JP2001171535A - ステアリングダンパ - Google Patents

ステアリングダンパ

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JP2001171535A
JP2001171535A JP35891999A JP35891999A JP2001171535A JP 2001171535 A JP2001171535 A JP 2001171535A JP 35891999 A JP35891999 A JP 35891999A JP 35891999 A JP35891999 A JP 35891999A JP 2001171535 A JP2001171535 A JP 2001171535A
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JP
Japan
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steering
pilot
cylinder
valve
damper
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JP35891999A
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Inventor
Hirotetsu Sonoda
博鐵 園田
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Bosch Corp
Bosch Braking Systems Corp
Original Assignee
Bosch Braking Systems Co Ltd
Bosch Braking Systems Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 操舵時にキックバック等が切り増し側や戻し
側に働いてもその衝撃を減衰、緩和することができるス
テアリングダンパを得る。 【解決手段】 流路切換弁CVとパワーシリンダ左、右
室CL、CRを接続する左、右シリンダ通路3,4の途
中で流路切換弁からパワーシリンダへの流入を阻止する
可変絞り弁6,7と、それぞれに並列に接続され流路切
換弁からパワーシリンダへの流入を許容するパイロット
操作チェック弁8,9とからなる左、右一対のダンパ部
10A,10Bを設ける。パイロット操作チェック弁
に、他方のシリンダ通路におけるダンパ部の流路切換弁
側およびパワーシリンダ側の流体圧力により弁体32を
開動作させるパイロットプランジャ35,36を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、舵取りハンドルの
舵取り操作に伴って流路切換弁を切換え制御してパワー
シリンダを作動させパワーアシスト力(操舵補助力)を
得るパワーステアリング装置において、キックバック等
のような操舵輪側からの逆入力時における衝撃を減衰、
緩和するために用いるステアリングダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に油圧式のパワーステアリング装置
では、舵取りハンドルの舵取り操作に伴ってポンプとタ
ンクとをパワーシリンダの左、右室に選択的に接続する
流路切換弁を備えている。この流路切換弁により舵取り
操作に応じてパワーシリンダのいずれかの室に圧油を給
送することにより、操舵輪を転舵させるためのパワーア
シスト力を付与している。
【0003】このようなパワーステアリング装置を搭載
した自動車において、パワーステアリング装置にステア
リングダンパを付設したものとして、たとえば特開昭5
8−139867号公報、特開昭61−12468号公
報、特開昭62−43367号公報により種々提案され
ている。
【0004】これらのステアリングダンパは、自動車の
走行時において、たとえば走行路面の凹凸や障害物等に
起因して操舵輪側からこの操舵輪を転舵させる力が、い
わゆるキックバックとして作用した逆入力時の衝撃を減
衰、緩和し、舵取りハンドル側に急激な衝撃が伝わらな
いようにするためのものである。
【0005】従来のステアリングダンパにおいて最も一
般的なものは、パワーステアリング装置における流路切
換弁とパワーシリンダの左、右室との間の左、右シリン
ダ通路に、前述したキックバック等の操舵輪側からの力
がパワーシリンダに作用したときに、ピストンの動きに
伴ってシリンダ室から排出される圧油の流れに抵抗を与
える絞りまたは可変絞り弁を設けている。しかし、この
ような絞りまたは可変絞り弁は、舵取りハンドルの舵取
り操作に伴う正入力時において、ポンプからの圧油の流
れ、さらにタンクへの戻り側の流れに対しても流路抵抗
となるから、パワーシリンダの作動にあたっての応答性
を低下させる。
【0006】このため、左、右のシリンダ通路におい
て、上述した絞りを可変絞り弁で構成するとともに、こ
れらの可変絞り弁にそれぞれ並列にチェック弁を設け、
舵取り操作による正入力時に対応するシリンダ通路のチ
ェック弁を開くことにより、流路切換弁を介してポンプ
からシリンダ室への圧油の給送を充分に行えるようにし
たものが、上述した特開昭62−43367号公報によ
り提案されている。この従来例では、ステアリングダン
パ本体に設けた油室内の振動周波数に依存する可変絞り
弁としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなチ
ェック弁を設けても、シリンダ室からの戻り側の流れは
絞りまたは可変絞り弁を通過するしかなく、これらが流
路抵抗となってパワーシリンダの応答性を低下させる。
【0008】また、上述した従来のステアリングダンパ
では、キックバック等の操舵輪側からの逆入力時の衝撃
を減衰させるための可変絞り弁と、舵取りハンドルから
の舵取り操作に伴う正入力時の戻り側の流れの油路が同
じであるから、たとえば急操舵時等のように充分な圧油
の供給が必要であっても、戻り側のシリンダ室からの圧
油の排出が妨げられる場合がある。
【0009】すなわち、キックバック等の逆入力時の衝
撃を減衰する性能を重視して可変絞り弁を設けると、舵
取り操作に伴う正入力時に戻り側のシリンダ室からの戻
り側の充分な流路を確保できないため、供給側のシリン
ダ室に必要な量の圧油を供給することができない。この
ように圧油の供給が不充分であると、パワーシリンダで
は圧油の供給不足に起因して作動が遅延し、操舵輪の転
舵追従性が不充分となる。特に、急操舵時に舵取りハン
ドルの操作にいわゆる引っかかりが生じ、操舵が不円滑
になるおそれがある。
【0010】パワーステアリング装置において、正入力
時にこのような引っかかりのない舵取りハンドル操作を
可能とし、しかもパワーシリンダの応答性をよくして転
舵追従性を向上させるには、パワーシリンダの左、右室
に至る左、右シリンダ通路の流路断面積を大きくする必
要がある。しかし、このように構成すると、上述したキ
ックバック等の操舵輪側からの逆入力時の衝撃を減衰さ
せる性能が不充分となるものであり、このような操舵時
の応答性とキックバック等の減衰性能という相反する要
請を満足することができる対策を講じることが望まれて
いる。
【0011】このため、本出願人は、キックバック等の
操舵輪側からの逆入力時における衝撃を減衰、緩和する
というステアリングダンパとしての性能を満足させると
ともに、舵取りハンドルの舵取り操作に伴う正入力時の
転舵追従性を改善することができるステアリングダンパ
を、特願平10−224262号により先に提案した。
【0012】この先に提案したステアリングダンパは、
舵取り操作に応じて流路を切換える流路切換弁とパワー
シリンダ左、右室とを接続する左、右一対のシリンダ通
路の途中に、左、右一対の可変絞り弁と、それぞれの可
変絞り弁に並列に接続されパワーシリンダの各室からの
戻り側の流れを阻止する左、右一対のパイロット操作チ
ェック弁とからなる左、右一対のダンパ部を設けた構造
である。そして、各パイロット操作チェック弁に、それ
ぞれ他方のシリンダ通路における流体圧力を導くパイロ
ット圧通路を接続することにより、それぞれのパイロッ
ト操作チェック弁を、パワーシリンダの各室から流路切
換弁への戻り側の流れが得られるように開動作可能に構
成している。
【0013】このようなステアリングダンパを設けたパ
ワーステアリング装置では、舵取りハンドルの舵取り操
作に伴う正入力時には、ポンプからの圧油を、供給側の
シリンダ通路中のパイロット操作チェック弁を開いてシ
リンダ室に供給できるとともに、戻り側のシリンダ通路
中のパイロット操作チェック弁を、上述した供給側のシ
リンダ通路内の流体圧力をパイロット圧として導くこと
により開動作させることができる。したがって、戻り側
のシリンダ室からの流れを小さな流路抵抗で確保できる
から、舵取り操作に伴う転舵追従性を向上させることが
できる。
【0014】また、キックバック等のように操舵輪側か
らの逆入力時の衝撃は、パワーシリンダの戻り側の室か
らの戻り側の流れが、シリンダ通路に設けた可変絞り弁
を通ることによって生じる流路抵抗により減衰、緩和さ
れ、ステアリングダンパとしての性能を得ることができ
る。これは、この逆入力時においては、パイロット操作
チェック弁にはこれを開くパイロット圧が導かれておら
ず、このチェック弁を通る戻り側の流れは阻止されてお
り、戻り側の流れが上述した可変絞り弁を流路抵抗とし
て通る流れのみとなるからである。
【0015】しかし、上述した構造によるステアリング
ダンパでは、舵取りハンドルの舵取り操作中において、
操舵輪側からキックバック等の逆入力による衝撃が舵取
り操作と同方向(いわゆる切り増し側)に加わったとき
であって、その衝撃が小さいときに問題があった。すな
わち、舵取り操作が行われているときに切り増し側に逆
入力が作用すると、パワーシリンダの戻り側の室からの
戻り側の流れに可変絞り弁による減衰、緩和を有効に働
かせることができないことがあり、ステアリングダンパ
としてのダンパ効果が不十分となるおそれがあった。
【0016】このような問題は、舵取り操作中に切り増
し側に逆入力が働いたときであって、しかもこの逆入力
の大きさが小さいと、戻り側のシリンダ通路に可変絞り
弁と並列に設けたパイロット操作チェック弁が、供給側
のシリンダ通路内の流体圧力をパイロット圧として開動
作しそのままの状態を維持するから、上述した可変絞り
弁による衝撃の減衰、緩和を有効に働かせることができ
ないことがあった。勿論、キックバック等の逆入力によ
る衝撃の大きさによっては、戻り側の流体圧力が大きく
なって上述したパイロット操作チェック弁を閉じるか
ら、可変絞り弁による減衰、緩和を働かせることができ
る。
【0017】したがって、上述したステアリングダンパ
を用いたパワーステアリング装置には、舵取り操作時に
切り増し側に逆入力が作用したときに、たとえこの逆入
力による衝撃が小さい場合にあっても、これを確実に減
衰、緩和することができ、これによって操舵、非操舵、
または逆入力が切り増し側、戻し側(舵取り操作と逆方
向)というように車輌の走行状態が如何なる状態であっ
ても、ステアリングダンパのもつ効果をより一層発揮さ
せることができるような対策を講じることが望まれてい
る。
【0018】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、操舵輪側からキックバック等の逆入力が切
り増し側や戻し側に作用したとしても、その衝撃を減
衰、緩和することができ、ステアリングダンパとしての
性能を満足できるととともに、舵取りハンドルの舵取り
操作に伴う正入力時における転舵追従性を損なうことが
ないステアリングダンパを得ることを目的とする。
【0019】また、本発明は、流路切換弁とパワーシリ
ンダ左、右室との間のシリンダ通路の途中に、可変絞り
弁と他方の通路における流体圧力で作動されるパイロッ
ト操作チェック弁とを並列に設けることによりステアリ
ングダンパを構成するにあたって、簡易な構造によって
正入力時の転舵追従性と逆入力時の衝撃を減衰、緩和す
る性能とを共に満足することができるステアリングダン
パを得ることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】このような目的に応える
ために本発明の請求項1記載の発明に係るステアリング
ダンパは、ポンプ、タンクとパワーシリンダの左、右室
との間を舵取り操作に応じて選択的に切換え接続する流
路切換弁と、この流路切換弁をパワーシリンダの左、右
室に接続する左、右一対のシリンダ通路を備えたパワー
ステアリング装置に付設されるステアリングダンパであ
って、前記各シリンダ通路の途中で前記流路切換弁から
パワーシリンダへの流入を阻止する可変絞り弁と、この
可変絞り弁に並列に接続され前記流路切換弁から前記パ
ワーシリンダへの流入を許容するパイロット操作チェッ
ク弁とからなる左、右一対のダンパ部を備え、前記パイ
ロット操作チェック弁に、それぞれ他方のシリンダ通路
におけるダンパ部の前記流路切換弁側および前記パワー
シリンダ側の流体圧力により開動作させるパイロットプ
ランジャを設け、このパイロットプランジャの動きで前
記パワーシリンダの対応する室から前記流路切換弁への
流れを許容するように構成したことを特徴とする。
【0021】本発明(請求項1記載の発明)によれば、
左、右ダンパ部を構成するパイロット操作チェック弁
を、それぞれ他方のシリンダ通路におけるダンパ部の両
側の流体圧力差に応じて移動するパイロットプランジャ
で開動作させているから、操舵時においてキックバック
等の逆入力が切り増し側、戻し側に働いても、ステアリ
ングダンパとしての性能を得ることができる。
【0022】すなわち、本発明(請求項1記載の発明)
によれば、舵取りハンドルの舵取り操作に伴う正入力時
には、ポンプからの圧油を、供給側のシリンダ通路中の
パイロット操作チェック弁を開いてシリンダ室に供給す
ることができる。さらに、供給側のシリンダ通路内での
ダンパ部の両側の流体圧力をそれぞれのパイロット圧通
路を介して戻り側のシリンダ通路中のパイロット操作チ
ェック弁に導き、このパイロット操作チェック弁のパワ
ーシリンダ側の流体圧力と対比させてこれを開動作する
ことにより、戻り側のシリンダ室からの流れを流路抵抗
が小さくなるように確保できるから、舵取り操作に伴う
転舵追従性を損なうことがない。
【0023】また、本発明(請求項1記載の発明)によ
れば、舵取りハンドルが操作されてない非操舵時すなわ
ち車輌の直進走行時においてキックバック等のように操
舵輪側からの逆入力時の衝撃は、パワーシリンダの戻り
側の室からの戻り側の流れが、この戻り側のシリンダ通
路に設けた可変絞り弁を通ることによって生じる流路抵
抗により減衰、緩和され、ステアリングダンパとしての
性能を得ることができる。このとき、戻り側のシリンダ
通路に設けたパイロット操作チェック弁は戻り側の流れ
に対しては逆方向であるから閉状態を保ち、またこれを
開動作させるパイロット圧も導かれておらず、戻り側の
流れは阻止されている。
【0024】本発明の請求項2記載の発明に係るステア
リングダンパは、請求項1において、前記パイロットプ
ランジャは、パイロット操作チェック弁を開動作させる
ための大径部と小径部とを有し、前記パイロット操作チ
ェック弁に、それぞれ他方のシリンダ通路におけるダン
パ部の流路切換弁側およびパワーシリンダ側の流体圧力
を導く第1および第2のパイロット通路を設け、前記パ
イロットプランジャの大径部端面に前記第1のパイロッ
ト通路を接続し、小径部端面に前記第2のパイロット通
路を接続するとともに、前記大径部、小径部間の段差部
に当該シリンダ通路のダンパ部を構成するパイロット操
作チェック弁におけるパワーシリンダ側の流体圧力を作
用させることを特徴とする。
【0025】本発明(請求項2記載の発明)によれば、
舵取りハンドルが舵取り操作されている操舵時(正入力
時)においてキックバック等の逆入力時の衝撃が操舵輪
から舵取りハンドルに対して切り増し側(舵取り操作と
同方向)に働くと、戻り側の通路のパイロット操作チェ
ック弁は他方(供給側)の通路でのダンパ部の両側から
のパイロット圧の差圧の大小にかかわらず、当該チェッ
ク弁よりもパワーシリンダ側の通路内の流体圧力によっ
て閉状態となる。したがって、パワーシリンダの戻り側
の室からの戻り側の流れが、この戻り側のシリンダ通路
に設けた可変絞り弁を通ることによって生じる流路抵抗
により減衰、緩和され、ステアリングダンパとしての性
能を得ることができる。
【0026】また、本発明(請求項2記載の発明)によ
れば、操舵時においてキックバック等の逆入力時の衝撃
が操舵輪から舵取りハンドルに対して戻し側(舵取り操
作と逆方向)に働くと、逆入力時に戻り側となるパイロ
ット操作チェック弁は他方のダンパ部の両側からのパイ
ロット圧の差圧とこのチェック弁のパワーシリンダ側の
流体圧力との圧力バランスによって閉状態となる。この
ような閉状態は、逆入力時の衝撃が大きくても小さくて
も同じである。したがって、パワーシリンダの戻り側の
室からの戻り側の流れが、この戻り側のシリンダ通路に
設けた可変絞り弁を通ることによって生じる流路抵抗に
より減衰、緩和され、ステアリングダンパとしての性能
を得ることができる。
【0027】本発明の請求項3記載のステアリングダン
パは、請求項1において、前記パイロット操作チェック
弁を、弁開度が通過流量に依存しているバルブとしたこ
とを特徴とする。
【0028】本発明(請求項3記載の発明)によれば、
供給側のパイロット操作チェック弁は、パワーシリンダ
の供給側の室への供給側の流量に応じた開度で開いて供
給側で必要な流量を確保する。また、供給側の流体圧力
をパイロット圧とし、その供給側の流量の増加に伴って
開いてパワーシリンダの戻り側の室から排出された戻り
側での充分な流量を確保することができる。
【0029】また、本発明の請求項4記載のステアリン
グダンパは、請求項1において、前記可変絞り弁を、弁
開度が通過流量に依存しているバルブとしたことを特徴
とする。
【0030】本発明(請求項4記載の発明)によれば、
可変絞り弁は、パワーシリンダから排出された戻り側の
流量に依存して開度が変わることにより、戻り側の流れ
に必要な流路抵抗を与える。
【0031】
【発明の実施の形態】図1ないし図7は本発明に係るス
テアリングダンパの一つの実施の形態を示し、この実施
の形態では、圧力流体として圧油を用いた油圧式パワー
ステアリング装置に適用した場合を説明する。
【0032】ここで、図1〜図4は本発明に係るステア
リングダンパを油圧式パワーステアリング装置に適用し
た場合においてステアリングダンパの作動状態を説明す
るための図であって、図1は舵取り操作により舵取りハ
ンドルから正入力を与えている操舵時においてキックバ
ック等の逆入力は作用していない場合を示す図である。
また、図2は非操舵時(直進走行時)において操舵輪側
に逆入力が働いている場合を示す図、図3は操舵時であ
って操舵輪の切り増し側に逆入力が働いている場合を示
す図、図4は操舵時であって操舵輪の戻し側に逆入力が
働いている場合を示す図である。
【0033】図5は本発明に係るステアリングダンパを
ラックピニオン式パワーステアリング装置に適用した場
合のパワーステアリング本体部の要部断面図、図6
(a),(b),(c)は図5において本発明を特徴づ
けるステアリングダンパを構成する可変絞り弁とパイロ
ット操作チェック弁とを説明するための拡大断面図およ
び(a)のVIb−VIb線 VIc−VIc線で断面した要部断面
図、図7は本発明に係るステアリングダンパを用いたパ
ワーステアリング装置における油圧回路の概要を説明す
る図である。
【0034】図7において、全体を符号1で示すパワー
ステアリング装置における油圧回路の概要を説明する
と、この油圧回路は、油圧源であるポンプPから供給通
路2を介して給送される圧油を、図示しない舵取りハン
ドルによる舵取操作によって切換え制御される流路切換
弁CV(図1〜図4ではPSバルブとして図示してい
る)を介してアクチュエータであるパワーシリンダ(P
/Cで示す)の左、右室CL,CRに給送するととも
に、タンクTに還流させるように構成されている。
【0035】図中3,4はパワーシリンダP/Cの左、
右室への左、右シリンダ通路、5は流路切換弁CVから
タンクTに至る戻り通路である。なお、この実施の形態
では、後述するようにロータ18とスリーブ19とから
なる回転型流路切換弁CVを用いている。
【0036】このような構成によるパワーステアリング
装置1において、流路切換弁CVが舵取りハンドルの舵
取り操作状態(たとえば操舵方向、操舵角度、操舵速度
等)に応じてパワーシリンダP/Cの左、右室CL,C
Rへの通路3,4を切換え制御する。この切換えによ
り、ポンプPからの圧油がいずれか一方の室CL,CR
に給送され、他方の室がタンクTに接続されることで、
パワーシリンダP/Cにより操舵力を補助するパワーア
シスト力が得られるが、これは広く知られている通りで
あり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0037】上述した構成によるパワーステアリング装
置1において、左、右シリンダ通路3,4の途中に、ス
テアリングダンパ10を構成する左、右一対の可変絞り
弁6,7をそれぞれ設けている。これらの可変絞り弁
6,7は、キックバック等のような操舵輪側からの逆入
力時にパワーシリンダP/Cのいずれかの室CL,CR
から流路切換弁CVを介してタンクT側に至る戻り側の
通過流量に依存して開口面積が変化するように構成され
る。
【0038】このような可変絞り弁6,7によれば、キ
ックバック等の操舵輪側からの逆入力時の衝撃を、パワ
ーシリンダP/Cの戻り側の室CLまたはCRからの戻
り側の流れが、シリンダ通路3または4に設けた可変絞
り弁6または7を通ることによって生じる流路抵抗によ
って減衰、緩和することができ、ステアリングダンパと
しての性能を得ることができる。このような可変絞り弁
6,7は、シリンダ室から流路切換弁CVに至る戻り側
での流れを許容するとともに、通過流量に依存し、シリ
ンダ室からの流量が大きいと絞り開口が大きく、流量が
小さいと絞り開口が小さくなるように構成されている。
【0039】上述したパワーステアリング装置1の左、
右シリンダ通路3,4において、前記パワーシリンダP
/Cの各室CL,CRから前記流路切換弁CVを介して
タンクTに接続される戻り側の流れを阻止するステアリ
ングダンパ10を構成する左、右一対のパイロット操作
チェック弁8,9を、前記各可変絞り弁6,7に並列に
接続し、これらの弁によって左、右一対をなすダンパ部
10A,10Bを構成している。
【0040】また、これらの各パイロット操作チェック
弁8,9には、それぞれ他方のシリンダ通路4,3側で
あって前記可変絞り弁7,6と前記流路切換弁CVとの
間の通路部分4a,3aから流体圧力を導く第1のパイ
ロット圧通路8a,9aと、前記可変絞り弁7,6と前
記パワーシリンダP/Cの各室CL,CRとの間の通路
部分4b,3bから流体圧力を導く第2のパイロット圧
通路8b,9bとを接続している。
【0041】そして、それぞれのパイロット操作チェッ
ク弁8,9は、後述する左、右一対の段付きパイロット
プランジャ35,36にそれぞれのシリンダ通路3,4
内を流れる流体圧力と前記パイロット圧通路8a,8
b;9a,9b間で生じる流体圧力差とが作用すること
によって、前記パワーシリンダP/Cの各室CL,CR
から流路切換弁CV側への戻り側の流れを得るように開
動作可能に構成している。
【0042】このようなパイロット操作チェック弁8,
9は、上述したキックバック等の操舵輪側からの逆入力
時には戻り側の流れを阻止するように閉じている。な
お、このときには、パイロット操作チェック弁8,9に
はこれを開くようなパイロット圧は作用してはいない。
【0043】一方、舵取りハンドルの舵取り操作に伴う
正入力時には、ポンプPからの圧油を、供給側のシリン
ダ通路3または4中のパイロット操作チェック弁8また
は9を開いてシリンダ室CLまたはCRに供給すること
ができる。さらに、上述した供給側のシリンダ通路3,
4内の流体圧力を第1のパイロット圧通路9aまたは8
a、第2のパイロット圧通路9bまたは8bを介して戻
り側のシリンダ通路4または3中のパイロット操作チェ
ック弁9または8に導き、前述した段付きパイロットプ
ランジャ35,36の大径部と小径部とでの流体圧力差
によってこれを開動作させている。このような構成によ
れば、流路抵抗が少なくなり戻り側のシリンダ室CRま
たはCLからの戻り側の流れを確保することができるか
ら、舵取り操作に伴う転舵追従性を向上させることがで
きる。
【0044】図5において、全体を符号1で示すものは
ラックピニオン式パワーステアリング装置におけるパワ
ーステアリング本体部である。11は図示しない舵取り
ハンドルに連結される入力軸としてのスタブ軸、12は
このスタブ軸11の内方端(左端)側にトーションバー
13を介して連結されるピニオン軸で、このピニオン軸
12には、図示しない舵取りリンク機構を構成するラッ
ク軸14上のラック歯14aと噛合するピニオンギヤ1
2aが設けられている。なお、これら両軸11,12間
にはトーションバー13のねじれにより所定角度範囲内
での相対的な回動変位を許容するフェイルセーフ機構と
して突部および溝部からなるセーフティスプライン部1
5が設けられている。
【0045】16はパワーステアリング本体部を構成す
るステアリングボディで、後述する回転型の流路切換弁
CVのバルブハウジングやラック軸14を摺動自在に保
持する筒状空間を形成するボディ部を含めた一体の構造
により構成されている。なお、前記両軸11,12は、
軸受等による軸支部により回転可能に支持され、また適
宜の位置にはオイルシールが介装されている。
【0046】このステアリングボディ16内で各軸1
1,12の内方端側には、回転型流路切換弁CVを構成
するロータ18およびスリーブ19がそれぞれ一体的に
連結されている。これらのロータ18およびスリーブ1
9の相対的な回転変位によって、図7に示すようにポン
プP、タンクTとパワーシリンダP/Cの左、右室C
L,CRとの間の流路切換えを行うことは前述した通り
である。この実施の形態では、ロータ18はスタブ軸1
1側に一体に形成され、またスリーブ19もピニオン軸
12に一体に形成され、トーションバー13により相対
的に回転変位可能な状態で組合わされてステアリングボ
ディ16におけるバルブハウジング部でのバルブ組込み
空間に組込まれて内設されている。
【0047】前記回転型流路切換弁CVを構成するロー
タ18およびスリーブ19、さらにはバルブハウジング
部(ボディ16)における油圧回路の構成は広く知られ
ているものと同じか、あるいは類似するものである。す
なわち、互いに対向して摺接するロータ18の外周面と
スリーブ19の内周面には、それぞれ周方向に所定間隔
おいて複数の通路溝がバルブ溝として凹設されるととも
に、複数の流体供給孔および流体排出孔が適宜の個所に
穿設することにより形成され、これら通路溝等の選択的
な連通、遮断により油圧回路が必要に応じて切換え制御
される。また、上述した流路切換弁CVを内設したステ
アリングボディ16にはポンプPからの圧油が流入する
入りポ−トやタンクTに圧油を還流させる戻りポート、
さらにはこれらに至る通路が設けられるが、ここでの図
示等は省略する。
【0048】17A,17BはパワーシリンダP/Cの
左、右室CL,CRに接続される左、右出力ポートで、
上述した流路切換弁CVの舵取り操作に伴なう回転変位
で、これらのポート間での油圧通路を任意に連通、遮断
し、パワーシリンダでのパワーアシスト力の発生を制御
することも、広く知られている通りである。
【0049】上述した構造を有するステアリングボディ
16の外側には、図5および図6(a),(b),
(c)に示すように、前述したステアリングダンパ10
を構成するブロック20と前記出力ポート17A,17
Bを有する第2のブロック21とが付設されている。そ
して、前記ボディ16、ブロック20,21によって、
前記左、右シリンダ通路3,4の途中に、第1の空間2
3と第2の空間24とが形成されている。なお、図1〜
図4では、これらの空間23,24を符号22を付した
ブロック内に形成した状態で図示している。
【0050】前記第1の空間23は、前記可変絞り弁6
または7を形成する部分であり、可変絞り弁6または7
は、この第1の空間23に開口する通路孔25とこの通
路孔25を開閉可能に覆う板ばね26とから構成されて
いる。なお、27はこの板ばね26をブロック20にね
じ止めする止めねじ、28は回り止めピンである。
【0051】このような構成において、前記出力ポート
17A,17Bからの圧油がシリンダ通路3,4を経て
流路切換弁CV側に流れると、通路孔25を経て流れる
流量に応じて板ばね25の揺動端が開き方向に弾性変形
し、可変絞り弁6,7としての流路の開口面積を開閉す
るように構成されている。
【0052】ここで、このような可変絞り弁6,7を構
成する板ばね26は、通路孔25の開口端を開閉するだ
けであり、受圧面積が小さく、また比較的強いばね力を
もつように形成されているから、開度が小さく絞り効果
を得ることができるものである。このように強いばね力
をもつ板ばね26を用いると、逆入力時に通過流量に依
存する流路抵抗としての有効に機能する。
【0053】前記ステアリングダンパ10には、パイロ
ット操作チェック弁8,9を構成する部材が前記第2の
空間24を利用して設けられている。これらのパイロッ
ト操作チェック弁8,9は、前記第2の空間24に開口
するようにブロック20に形成した通路孔31と、この
通路孔31の幅広な開口端31aを開閉可能に覆う板ば
ね32とによって構成されている。33は板ばね32を
止めねじ27との組み合わせで固定するナット、34は
回り止めピンである。
【0054】前記板ばね32を開動作方向に押圧可能な
大径部35a,36aと小径部35b,36bとからな
る段付き形状のパイロットプランジャ35,36を、ブ
ロック20,21内の孔部にメタルシールによりシール
した状態で可動可能に設けている。これらのパイロット
プランジャ35,36は一端側の大径部35a,36a
が前記ブロック20内の孔部に摺動自在に保持されてい
る。また、小径部35b,36bは前記空間24を介し
て前記ブロック21内に形成した孔部内に臨み、摺動自
在に保持されている。
【0055】前記大径部35a,36aの端面には、パ
イロット圧通路8a,9aを介して相手側のシリンダ通
路4,3においてダンパ部10B,10Aの流路切換弁
CV側の流体圧力が導かれている。一方、小径部35
b,36bの端面には、パイロット圧通路8b,9bを
介して相手側のシリンダ通路4,3においてダンパ部1
0B,10AのパワーシリンダP/C側の流体圧力が導
かれている。また、前記大径部35a,36aの小径部
35b,36bを設けた側には段差部35c,36cが
形成され、この段差部35c,36cには前記空間24
内の流体圧力、すなわちシリンダ通路3,4においてパ
イロット操作チャック弁8,9のパワーシリンダP/C
側の流体圧力が作用する。
【0056】このような段付き形状のパイロットプラン
ジャ35,36は、大径部35a,36aと小径部35
b,36bの端部に作用するパイロット圧の差圧と、前
記段差部35c,36cが臨んでいる第2の空間24内
の流体圧力すなわちパイロット操作チェック弁8,9の
パワーシリンダP/C側の流体圧力との圧力バランスに
よって動作する。そして、これらの圧力バランスによっ
て、パイロット操作チェック弁8,9の開動作、閉動作
を制御するようになっている。
【0057】このようにすれば、操舵時において操舵輪
側からキックバックなどの逆入力による衝撃が加わった
としても、ダンパ効果を発揮させることができ、しかも
操舵時における転舵追従性が損なわれない。このような
利点は、後述するように操舵時において切り増し側に逆
入力を受けた場合においてダンパ効果を確実に作用させ
ることができるうえで効果的である。
【0058】ここで、このようなパイロット圧通路8
a,9a;8b,9bには、詳細な図示は省略したが、
前述した流路切換弁CVにおける通路溝42,41等を
介して他方のシリンダ通路4,3側の通路部分4a,3
a;4b,3bの圧油が導かれるように構成している。
【0059】このような構成によるステアリングダンパ
10によれば、前述した図1〜図4または図5を用いて
説明した逆入力時と正入力時の動作、さらにポンプPか
らの圧油の供給側、タンクTへの圧油の戻り側の流れ
を、所要の状態で得ることができるのである。
【0060】ここで、上述した構造によるパイロット操
作チェック弁8,9によれば、板ばね32が通路孔31
の幅広な開口端31aに臨んでおり、流路切換弁CV側
からの圧油に対して受圧面積が広いから、この板ばね3
2を低い圧力で開き動作させることができる。なお、こ
の板ばね32は比較的弱いばね力をもつように形成され
ている。このような板ばね32を用いると、流体の流れ
に応じて開閉動作することができる。また、このような
パイロット操作チェック弁8,9は、上述した流れに依
存して開閉するとともに、パイロットプランジャ35,
36により開動作したり開動作が許容されたり、または
閉動作可能に構成することができる。
【0061】また、このようなパイロット操作チェック
弁8,9において、これを実際に設計する場合には、板
ばね32が低いパイロット圧によって直ぐに開くように
段付きパイロットプランジャ35,36を流路切換弁C
Vの直近に設けるとよく、しかも板ばね32も薄く長く
形成するとよい。
【0062】さらに、この実施の形態では、段付きパイ
ロットプランジャ35,36を作動させるためのパイロ
ット圧通路8a,9aをステアリングボディ16に穿設
した通路孔により、パイロット圧通路8b,9bをブロ
ック21に形成したしている。なお、このように流路切
換弁CVに近いからパイロットプランジャ35,36の
応答性の面で優れている。ここで、上述したパイロット
プランジャ35,36には、板ばね32の保護のために
適宜のストッパ手段(たとえば段部、段差等を利用)を
ブロック21側の保持穴との間に付設するとよい。
【0063】上述した構造によるステアリングダンパ1
0は、図1〜図4に示すように動作する。図1は前述し
たように舵取りハンドルが舵取り操作されている操舵時
であってしかも操舵輪側からの逆入力はないときの状態
を示す。このときには、ポンプPからの流体圧力が流路
切換弁CVを介して左シリンダ通路3によりパワーシリ
ンダP/Cの左室CLに供給され、また他方のシリンダ
右室CRは右シリンダ通路4、流路切換弁CVを介して
タンクT側に接続され、これによりパワーシリンダP/
Cは図中右側に出力があるときの状態を説明する。
【0064】すなわち、ポンプPからの圧力流体は、左
シリンダ通路3内を流路切換弁CVからシリンダ左室C
Lに供給される。このとき、可変絞り弁6は流れに対し
て逆方向であって閉じられた状態にある。また、パイロ
ット操作チェック弁8は弁体である板ばね32が流れに
対して順方向であって、操舵速度(供給流量)に依存し
た開度で開き、シリンダ左室CLに必要な量が供給され
る。このとき、このパイロット操作チェック弁8のパイ
ロットプランジャ35の大径部35aと小径部35bの
端面には前記右シリンダ通路4の右ダンパ部10Bの流
路切換弁CV側、パワーシリンダP/C側の流体圧力P
3,P4(P3>P4)が作用し、チェック弁8の弁体
である板ばね32の開閉には関与しない状態を維持して
いる。
【0065】前記パワーシリンダP/Cの右室CRは右
シリンダ通路4を介して流路切換弁CVに接続され、こ
の流路切換弁CVを介してタンクTに接続されている。
このとき、前記右シリンダ通路4に設けた右ダンパ部1
0B,10Aのうち、可変絞り弁7は操舵速度に比例し
て増減する圧力流体の流量に応じて開動作する。
【0066】また、パイロット操作チェック弁9は右シ
リンダ通路4での戻り側の流れとは逆向きであるが、パ
イロットプランジャ36の大径部36aと小径部36b
とに前記左シリンダ通路3内で左ダンパ部10Aの流路
切換弁CV側、パワーシリンダP/C側の流体圧力P
1,P2(P1>P2)が働く。この差圧は、パイロッ
トプランジャ36を図中下方に動かし、チェック弁9の
弁体である板ばね32を開いて戻り側の流れを確保でき
るようになっている。このチェック弁9は、左シリンダ
通路3内を流れる流量すなわち操舵速度に依存して増大
することにより開度が大きくなり、戻り側の流れを小さ
い流路抵抗をもって充分に確保する。
【0067】したがって、図1の状態では、左、右ダン
パ部10A,10Bを設けていても、左、右シリンダ通
路3,4においての供給側の流れも、戻り側の流れも所
要の状態で行え、舵取り操作に伴う転舵追従性が損なわ
れない。
【0068】図2は車輌が直進走行しており、舵取り操
作が行われてない非操舵時であって操舵輪側からの逆入
力が生じたときの状態を示す。非操舵時においては、流
路切換弁CVとシリンダ左、右室CL,CRとの間の
左、右シリンダ通路3,4には圧力流体の流れは生じて
いない。この状態において、操舵輪側からの逆入力が図
2中右側に働いてパワーシリンダP/Cのピストンが図
中右側に動くと、シリンダ右室CR内の圧力流体が右シ
リンダ通路4により流路切換弁CVを介してタンクT側
に流れる戻り側の流れが生じる。
【0069】このとき、右ダンパ部10Bのパイロット
操作チェック弁9は板ばね32が流れに対して逆方向で
あるから閉じた状態となるとともに、可変絞り弁7は戻
り側の流れに順方向となって板ばね26の付勢力に応じ
て開く。このとき、この逆入力の速度(戻り側の通過流
量)に依存して流路抵抗となり、逆入力を減衰、緩和す
ることができる。ここで、この可変絞り弁7の板ばね2
6は前述したように比較的強いばね力をもっているか
ら、この戻り側の流れに流路抵抗となってステアリング
ダンパとしての性能を得ることができる。
【0070】一方、左シリンダ通路3には、上述したパ
ワーシリンダP/Cが動くことにより左シリンダ室CL
内に吸い込まれる流れが生じる。この流れは可変絞り弁
6は逆方向であるから閉状態を維持するが、パイロット
操作チェック弁8の板ばね32は流れに順方向であって
操舵速度、流量に依存した開度で開く。このとき、パイ
ロットプランジャ35には、小径部35b側に逆入力に
より大きくなった流体圧力P3が作用し、これよりも低
い圧力P4が大径部35aに作用し、チェック弁8の弁
体である板ばね32の開閉には関与しない状態を維持し
ている。
【0071】このような左シリンダ通路3においての左
ダンパ部10Aの流路切換弁CV側、パワーシリンダP
/C側の流体圧力P1,P2が右側のチェック弁9のパ
イロットプランジャ36の大径部36a、小径部36b
に作用するが、その差圧が小さいとともに、パイロット
プランジャ36の段差部36cに逆入力で圧力が上昇し
ているパワーシリンダP/C側の流体圧力が空間24内
で働くことにより、この右側のチェック弁9が開動作す
ることはない。
【0072】したがって、図2の状態では、右ダンパ部
10Bにおいて、可変絞り弁7の板ばね23を開いて流
れが生じることによる流路抵抗で、逆入力による衝撃を
減衰、緩和することができる。
【0073】図3は舵取り操作を行っている操舵時であ
って、しかも操舵輪側からの逆入力が舵取りハンドルの
切り増し側に働いたときの状態を示す。このときには、
前述した図1で説明したように圧力流体の供給側の流れ
と戻り側の流れとが左、右シリンダ通路3,4を流れて
いる。
【0074】本発明によるステアリングダンパ10は、
このような操舵状態で切り増し側に逆入力が働いたとき
のダンパ効果を、たとえ逆入力が小さい場合にあって
も、より一層確実に作用させることができる点が大きな
特徴である。
【0075】これを詳述すると、図1の操舵状態におい
て、逆入力が図3に示すように働くと、右シリンダ通路
4において右ダンパ部10Bとシリンダ右室CRとの間
の流体圧力が上昇する。この上昇に伴って空間24内の
圧力P3が増加し、右側のパイロット操作チェック弁9
のパイロットプランジャ36の段差部36cにこの圧力
P3が作用することにより、このパイロットプランジャ
36を図1での圧力P1,P2の大、小径部に作用する
差圧による平衡状態から大径部36a側に復帰移動させ
る。しかも、この右側のパイロット操作チェック弁9は
戻り側の流れと逆方向になるから、閉じた状態となって
いる。
【0076】したがって、右シリンダ通路4内での戻り
側の流れは、可変絞り弁7の板ばね23を押し開けて流
れ、このときの流路抵抗によって減衰、緩和することが
できるのである。このようなダンパ効果は、逆入力速度
が速くなって戻り側の流れが多くなる程、これに依存し
て流路抵抗が増えることにより得られる。
【0077】図4は操舵時であってしかも操舵輪側から
の逆入力が戻し側に働いたときの状態を示す。ここで、
操舵時の状態は上述した図1、図3においての説明と同
じである。
【0078】この状態において、逆入力が図4中矢印で
示す方向に働くと、供給側であった左シリンダ通路3内
をシリンダ左室CLから流路切換弁CVを介してタンク
T側に至る戻り側の流れが生じる。この流れに対して、
前記左ダンパ部10Aにおける可変絞り弁6は板ばね2
3が逆入力速度に依存して流路抵抗が大きくなる。
【0079】また、パイロット操作チェック弁8の板ば
ね32は流れに対して逆方向になるから閉じる。しか
も、パイロットプランジャ35において、段差部35c
には、逆入力により圧力が上昇したパワーシリンダP/
C側の流体圧力P2が作用し、P3,P4の差圧で動い
ていたパイロットプランジャ35を図4に示すように板
ばね32の開動作に関与しない位置に維持する。しか
も、パイロット操作チェック弁8の閉状態は、逆入力時
の衝撃が大きくとも、また小さくとも維持することがで
きる。これは戻り側のチェック弁では、この弁よりもパ
ワーシリンダ側の通路中で上昇する流体圧力が板ばね3
2に閉状態を維持するように作用するためである。
【0080】一方、右ダンパバルブ部において、可変絞
り弁7の板ばね23は閉状態となるとともに、パイロッ
ト操作チェック弁9は、右シリンダ通路4内にシリンダ
側の動きで生じる流れは板ばね32を開いて流れる。こ
のとき、パイロットプランジャ36は、逆入力によって
上昇したパワーシリンダP/C側の流体圧力P2が小径
部36bに作用し、圧力P1よりも大きいから、板ばね
32が閉じてもよい状態になる。
【0081】したがって、左シリンダ通路3内での戻り
側の流れが、可変絞り弁6の板ばね23を押し開けて流
れ、このときの流路抵抗によって減衰、緩和することで
ダンパ効果は、逆入力速度が多くなり、戻り側の流れが
多くなる程、これに依存して流路抵抗が増えることによ
り得ることができる。
【0082】なお、本発明は上述した実施の形態で説明
した構造には限定されず、各部の形状、構造等を適宜変
形、変更し得ることはいうまでもない。たとえば上述し
た実施の形態では、ステアリングダンパ10を、ラック
ピニオン型のパワーステアリング装置1に適用した場合
を述べたが、本発明はこれに限らず、別のタイプのパワ
ーステアリング装置1にも適用可能である。
【0083】また、上述した実施の形態では、ステアリ
ングダンパ10を構成する可変絞り弁6,7とパイロッ
ト操作チェック弁8,9とからなるダンパ部10A,1
0Bを、ステアリングボディ16の外周部に付設したブ
ロック20,21を用いて一体的に形成した場合を述べ
たが、これに限定されない。
【0084】さらに、上述したパイロット操作チェック
弁8,9にパイロット圧通路8a,9a;8b,9bを
介して導く流体圧力としては、他方のシリンダ通路内で
あってダンパ部10B,10Aの流路切換弁CV側、パ
ワーシリンダP/C側であれば適宜の箇所から導いた流
体圧力であってもよい。
【0085】さらに、ステアリングボディ16におい
て、左、右シリンダ通路3,4に付設される左、右ステ
アリングダンパ10,10を、ステアリングボディ16
の周方向における適宜の位置に設けることは自由であ
り、その相対的な位置関係を近接して設けることもでき
る。
【0086】また、上述した実施の形態では、可変絞り
弁6,7とパイロット操作チェック弁8,9とを、板ば
ね26,32を用いたバルブとして構成した例を説明し
ている。このような構造によれば、それぞれの弁を簡単
な構造で組立ても簡単に形成でき、しかも所要の動作を
得ることができるが、本発明はこれに限定されない。た
とえばボールやスプールを弁体として用いた弁を用いる
ことは自由である。
【0087】要するに、可変絞り弁は流路切換弁CVか
らパワーシリンダP/Cへの流れを阻止し、これとは逆
の流れを許容するとともに流れの量に応じて弁開度が増
減するバルブであって流体の流れに流路抵抗となるとよ
い。また、パイロット操作チェック弁は、他方の通路に
おけるダンパ部の流路切換弁CV側、パワーシリンダP
/C側の流体圧力の差圧によって作動するパイロットプ
ランジャをもち、しかもこの弁のパワーシリンダP/C
側の流体圧を加味して動作することができるパイロット
式のバルブであればよい。
【0088】また、上述した実施の形態では、パイロッ
ト操作チェック弁8,9においてパイロットプランジャ
35,36として、大径部と小径部とを一体に形成した
ものを用いているが、本発明はこれに限らず、大径部と
小径部とを別個に形成したものを組み合わせて用いても
よい。このような径の異なるプランジャをつき合わせ用
いる構造は生産性の面で有利である。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るステア
リングダンパによれば、パイロットプランジャの動きを
供給側の通路の流体圧力によるパイロット圧と戻り側の
通路であってパワーシリンダ側の流体圧力とによって制
御しているから、操舵時において戻し側への逆入力は勿
論、たとえ切り増し側に逆入力が働いたとしても、戻り
側のパイロット操作チェック弁をこの弁のパワーシリン
ダ側の流体圧力で閉動作させることができるから、戻り
側の可変絞り弁による戻り側の流れを減衰、緩和し、ス
テアリングダンパとしての性能を得ることができる。
【0090】特に、本発明によれば、操舵時において切
り増し側に小さい逆入力が働いたとしても、ステアリン
グダンパとしての性能を発揮させることができる。車輌
の走行時においては、キックバック等の逆入力として小
さい衝撃が加わることが多いから、本発明はこのような
小さい逆入力に有効に対処できる点で効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るステアリングダンパの一つの実
施の形態を示し、このステアリングダンパを設けたパワ
ーステアリング装置において、操舵時(舵取り操作に伴
う正入力時)であって操舵輪側からの逆入力がないとき
の状態を示す構成図である。
【図2】 図1において、非操舵時(直進走行時)であ
って逆入力が働いたときの状態を示す構成図である。
【図3】 図1、図2において、操舵時であって切り増
し側に逆入力が働いているときの状態を示す構成図であ
る。
【図4】 図1、図2、図3において、操舵時であって
戻し側に逆入力が働いているときの状態を示す構成図で
ある。
【図5】 本発明に係るステアリングダンパを適用した
パワーステアリング装置の本体部の要部断面図である。
【図6】 (a)は本発明に係るステアリングダンパの
具体的な構造を拡大して示す要部断面図、(b),
(c)は(a)のVIb−VIb線、VIc−VIc線断面図で
ある。
【図7】 本発明に係るステアリングダンパを備えたパ
ワーステアリング装置において要部の油圧回路を説明す
るための概略図である。
【符号の説明】
1…パワーステアリング装置、2…供給通路、3,4…
左、右シリンダ通路、3a,4a…流路切換弁、可変絞
り弁間の通路部分、5…戻り通路、6,7…可変絞り
弁、8,9…パイロット操作チェック弁、8a,9a…
第1のパイロット圧通路、8b,9b…第2のパイロッ
ト圧通路、10…ステアリングダンパ、10A,10B
…左、右ダンパ部、11…スタブ軸、12…ピニオン
軸、16…ステアリングボディ、18…ロータ、19…
スリーブ、20…ブロック、21…第2のブロック、2
2…ブロック、23…第1の空間、24…第2の空間、
25…通路孔、26…板ばね、27…止めねじ、28…
回り止めピン、31…通路孔、31a…開口端、32a
板ばね、33…ナット、34…回り止めピン、35,3
6…パイロットプランジャ、35a,36a…大径部、
35b,36b…小径部、35c,36c…段差部、P
…ポンプ、T…タンク、CV…流路切換弁(PSバル
ブ)、P/C…パワーシリンダ、CL,CR…左、右シ
リンダ室。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプ、タンクとパワーシリンダの左、
    右室との間を舵取り操作に応じて選択的に切換え接続す
    る流路切換弁と、この流路切換弁をパワーシリンダの
    左、右室に接続する左、右一対のシリンダ通路を備えた
    パワーステアリング装置に付設されるステアリングダン
    パであって、 前記各シリンダ通路の途中で前記流路切換弁から前記パ
    ワーシリンダへの流入を阻止する可変絞り弁と、この可
    変絞り弁に並列に接続され前記流路切換弁から前記パワ
    ーシリンダへの流入を許容するパイロット操作チェック
    弁とからなる左、右一対のダンパ部を備え、 前記パイロット操作チェック弁は、それぞれ他方のシリ
    ンダ通路におけるダンパ部の前記流路切換弁側および前
    記パワーシリンダ側の流体圧力により開動作させるパイ
    ロットプランジャを有し、このパイロットプランジャの
    動きで前記パワーシリンダの対応する室から前記流路切
    換弁への流れを許容するように構成したことを特徴とす
    るステアリングダンパ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のステアリングダンパにお
    いて、 前記パイロットプランジャは、前記パイロット操作チェ
    ック弁を開動作させるための大径部と小径部とを有し、 前記パイロット操作チェック弁に、それぞれ他方のシリ
    ンダ通路におけるダンパ部の前記流路切換弁側および前
    記パワーシリンダ側の流体圧力を導く第1および第2の
    パイロット通路を設け、 前記パイロットプランジャの大径部端面に前記第1のパ
    イロット通路を接続し、小径部端面に前記第2のパイロ
    ット通路を接続するとともに、前記大径部、小径部間の
    段差部に当該シリンダ通路のダンパ部を構成するパイロ
    ット操作チェック弁におけるパワーシリンダ側の流体圧
    力を作用させることを特徴とするステアリングダンパ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のステアリングダンパにお
    いて、 前記パイロット操作チェック弁は、弁開度が通過流量に
    依存しているバルブであることを特徴とするステアリン
    グダンパ。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のステアリングダンパにお
    いて、 前記可変絞り弁は、弁開度が通過流量に依存しているバ
    ルブであることを特徴とするステアリングダンパ。
JP35891999A 1999-12-17 1999-12-17 ステアリングダンパ Pending JP2001171535A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100980962B1 (ko) 2008-06-23 2010-09-07 현대자동차주식회사 진동 차단 장치를 갖춘 차량용 동력 조향 장치
CN103465956A (zh) * 2013-09-27 2013-12-25 徐州重型机械有限公司 转向控制阀、工程车辆转向系统以及转向防冲击的方法
JP2015157619A (ja) * 2014-02-24 2015-09-03 ザ・ボーイング・カンパニーTheBoeing Company 能動型降着装置ダンパー

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