JP2001167914A - 絶縁基板の分割溝形状 - Google Patents

絶縁基板の分割溝形状

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Noriaki Kurayoshi
紀明 倉吉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チップ型の電子部品の製造に使用する絶縁基
板であって、同電子部品の側面電極部にクラックが生じ
ることのない電子部品を製造することができる絶縁基板
の分割溝形状を提供する。 【解決手段】 格子状に分割溝を形成し、同分割溝に沿
って分割可能に構成した板状の絶縁基板において、分割
溝を構成する第1溝壁(6a)と第2溝壁(6b)とを、斜度の
異なる複数の傾斜面によってそれぞれ構成する。また
は、格子状に分割溝を刻設して分割可能とした絶縁基板
において、一方の分割溝に跨らせながら電極部を配設
し、同電極部間に抵抗体及び/または誘電体を配設し
て、電極部に跨られた分割溝に沿って絶縁基板を分割す
ることにより形成した棒状基板の分割面に側面電極部を
配設し、棒状基板を分割して形成した電子部品であっ
て、分割面の分割溝部分に沿って面取り部(18)を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は絶縁基板の分割溝形
状に関するものであり、特に、絶縁基板に刻設した分割
溝に沿って絶縁基板を分割し、分割によりあらわれる分
割面に電極ペーストを配設して側面電極部を形成した際
に、同側面電極部の形成不良が生じることを防止するこ
とができる分割溝形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミックス基板を絶縁基板とす
るチップ抵抗器やチップコンデンサなどの電子部品を製
造する際には、大判の集合絶縁基板の状態で製造してい
る(図1(a)参照)。同集合絶縁基板の表裏両面に
は、図7に拡大断面図で示すように、第1溝壁200aと第
2溝壁200bとからなる略Vの字状の分割溝200 を格子状
にそれぞれ刻設しており、集合絶縁基板100 に抵抗体ま
たは誘電体などの配設を行った後、分割溝200 に沿って
分割することにより単体の電子部品としている。
【0003】特に、チップ抵抗器やチップコンデンサな
どのような表面実装タイプの電子部品の場合には、絶縁
基板100 の表面側に配設した抵抗体部分やコンデンサ部
分と接続させた上部電極部と、絶縁基板100 の裏面側に
設けた下部電極部との導通をとる必要があるので、分割
溝200 に沿っての分割後、分割によってあらわれた分割
面に電極ペーストを塗布して側面電極部を形成し、絶縁
基板100 の上部電極部と下部電極部とを電気的に接続す
べく構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、絶縁基板100
に刻設する分割溝200 は、図7に示しているように、先
鋭的な略Vの字状に形成しているので、絶縁基板100 に
は分割溝200 によって略直角の角部300 が形成されるこ
ととなる。
【0005】側面電極部400 を配設する場合には、図8
に示すように、角部300 を含めた分割面500 に電極ペー
ストを塗布することによって形成しているため、角部30
0 部分が突出していると、電極ペーストを塗布した際
に、電極ペースト自体の表面張力とによって角部300 部
分において電極ペーストの厚みが薄くなりやすく、同電
極ペーストの焼結時にクラックを生起しやすくなるとい
う問題があった。ひどい場合には、角部300 部分のセラ
ミックス部分が露出することがあった。
【0006】ちなみに、図8はチップ抵抗器の断面図を
示しているものであり、符号p1は上部電極部、符号p2は
下部電極部、符号p3は抵抗体、符号p4は保護ガラス層、
符号p5は中間ガラス層、符号p6は被覆ガラス層である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決すべ
く、本発明では、格子状に分割溝を刻設し、同分割溝に
沿って分割可能に構成した板状の絶縁基板において、分
割溝を構成する第1溝壁と第2溝壁とを、斜度の異なる
複数の傾斜面によってそれぞれ構成したことを特徴とす
る絶縁基板の分割溝形状としているものである。
【0008】特に、第1溝壁及び第2溝壁を、斜度の小
さい一次傾斜面と、同一次傾斜面よりも斜度の大きい二
次傾斜面とによってそれぞれ構成したことに特徴を有す
るものである。
【0009】または、格子状に分割溝を刻設して分割可
能とした絶縁基板において、一方の分割溝に跨らせなが
ら電極部を配設し、同電極部間に抵抗体及び/または誘
電体を配設して、電極部に跨られた分割溝に沿って絶縁
基板を分割することにより棒状基板とした後、分割によ
ってあらわれた分割面に側面電極部を配設し、棒状基板
を分割して形成した電子部品に用いる絶縁基板であっ
て、前記分割溝が、分割面の側縁に面取り部となる傾斜
面を形成する分割溝であることを特徴とする絶縁基板の
分割溝形状としているものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の集合絶縁基板の分割溝
は、第1溝壁と第2溝壁とからなる略Vの字状の分割溝
であって、特に、第1溝壁と第2溝壁とをそれぞれ斜度
の異なる複数の傾斜面によって構成しているものであ
る。
【0011】特に、第1溝壁及び第2溝壁を、斜度の小
さい一次傾斜面と、同一次傾斜面よりも斜度の大きい二
次傾斜面との2つの傾斜面によってそれぞれ構成してい
る。
【0012】すなわち、上記の絶縁基板を用いてチップ
抵抗器やチップコンデンサなどの電子部品を製造した際
に、一次傾斜面部分を面取り部となる傾斜面とすること
ができるので略直角となる角部をなくすことができ、側
面電極部となる電極ペーストを塗布した際に同電極ペー
ストが薄くなった部分を生起することがなく、クラック
の発生や塗布不良を防止することができる。
【0013】以下において、図面を用いながら本発明の
実施例を詳説する。特に、本実施例ではチップ抵抗器の
場合について説明するが、単なるチップ抵抗器に限定す
るものではなく、チップコンデンサ、多連型のチップ抵
抗器やチップコンデンサ、さらには、ネットワーク電子
部品など、分割溝を形成した集合絶縁基板を用いて製造
する電子部品であればどのようなものにでも適用するこ
とができる。
【0014】
【実施例】図1(a)は第1実施例の集合絶縁基板1を
示すものであり、図2は同集合絶縁基板1の断面状態を
示すものである。本実施例では、集合絶縁基板1にはア
ルミナセラミックスを使用しているが、アルミナセラミ
ックスに限定するものではなく、他の絶縁性材料を使用
してもよい。
【0015】集合絶縁基板1には、複数の互いに平行な
第1分割溝2と、同第1分割溝2と直交する互いに平行
な複数の第2分割溝3とを配設している。本実施例で
は、集合絶縁基板1の表裏両面に第1分割溝2及び第2
分割溝3をそれぞれ配設しているが、必ずしも両面に配
設する必要はなく、どちらか一面にのみ配設してもよ
い。さらには、例えば、表面に第1分割溝2を、裏面に
第2分割溝3を配設してもよい。
【0016】第1分割溝2は、図2に示すように、それ
ぞれ一次傾斜面4と二次傾斜面5とからなる第1溝壁6a
と第2溝壁6bとによって構成している。一次傾斜面4は
二次傾斜面5よりも斜度を小さくし、一次傾斜面4と二
次傾斜面5との境に屈曲部7が形成されるように構成し
ている。
【0017】第1溝壁6a及び第2溝壁6bに形成される傾
斜面の数は、一次傾斜面4と二次傾斜面5との2つに限
定するものではなく、3つ、あるいは、4つとしてもよ
い。ただし、屈曲部7を必ず形成する必要がある。
【0018】屈曲部7を形成しておくことにより、図1
(b)に示すように、第1分割溝2に跨って電極ペース
トを塗布して上部電極部8を形成した際に、電極ペース
トの粘性が高いことによって、図3(a)に示すよう
に、第1分割溝2の底まで電極ペーストが入り込むこと
防止することができる。一方、屈曲部7を形成せず、た
とえば、図3(b)に示すように、第1分割溝2'の上端
部分を滑らかな曲面形状とした場合には、同第1分割溝
2'の底まで電極ペーストが滲み込むことにより、第1分
割溝2'を埋め戻してしまうことによって、第1分割溝2'
に沿った分割の際に、分割を妨げることとなる。従っ
て、屈曲部7を形成し、電極ペーストの第1分割溝2へ
の滲み込みを防止することが望ましい。図3中の符号9
は下部電極部であり、集合絶縁基板1の裏面側に形成し
た第1分割溝2,2'に跨って電極ペーストを塗布すること
によって形成している。
【0019】集合絶縁基板1に、一次傾斜面4と二次傾
斜面5とを有する第1分割溝2を形成するために、本実
施例では、アルミナセラミックスからなる同集合絶縁基
板1を焼成する前のグリーンシート1'の段階で、一次傾
斜面4及び二次傾斜面5に相当する傾斜部を形成した分
割溝形成金型(図示せず)を、グリーンシート1'に押し
当てることによって形成している。
【0020】または、図4に示すように、はじめに一次
傾斜面4を刻設する一次傾斜面形成金型10をグリーンシ
ート1'に押し当て(図4(a))、次いで、二次傾斜面
5を形成する二次傾斜面形成金型11をグリーンシート1'
に押し当てる(図4(b))ことによって形成してもよ
い。符号10' は一次傾斜面形成刃であり、符号11' は二
次傾斜面形成刃である。
【0021】一次傾斜面4は、図2及び図4に示すよう
に必ずしも平面である必要はなく、図5に示すように、
凹状の曲面形状とした凹曲面4'としてもよく、シャープ
な屈曲部7が形成されていればよい。
【0022】第1分割溝2を、複数の傾斜面からなる第
1溝壁6aと第2溝壁6bとにより構成していることによっ
て、構造的な応力を第1分割溝2の先端部分に集中させ
ることができるので、同第1分割溝2をより分割しやす
い状態とすることができる。
【0023】従って、逆に、後述するように集合絶縁基
板1面上に様々な加工を行っている途中で割れが生じ、
その後の加工が不可能となることによって、製造歩留ま
り低下させることがあるため、図6(a)に示すよう
に、第1分割溝2の先端部に平坦部6cを形成し、同先端
部に応力集中が生じることを防止すべく構成してもよ
い。平坦部6cは必ずしも集合絶縁基板1の表裏両面に配
設する必要はなく、図6(b)に示すように、一方の面
の第1分割溝2にのみ配設してもよい。
【0024】平坦部6cの有無、及び、第1分割溝2の深
さによって、集合絶縁基板1の第1分割溝2に沿った割
れ安さを調整することができる。
【0025】上述したように第1分割溝2及び第2分割
溝3を刻設したグリーンシート1'を焼成することによっ
て、集合絶縁基板1としている(図1(a))。第2分
割溝3には、第1分割溝2のような一次傾斜面4及び二
次傾斜面5を形成する必要性はないので、本実施例では
単一の斜度とした溝壁を形成している。ただし、複数の
斜度を有する溝壁によって第2分割溝3を構成してもよ
い。
【0026】次いで、同集合絶縁基板1の第1分割溝2
を跨ぐように電極ペーストを塗布し、焼成して上部電極
部8及び下部電極部9を形成する(図1(b))。上部
電極部8,8 間に抵抗体12を配設し、同抵抗体12をカバー
する保護ガラス層13を形成した後、レーザートリミング
によって抵抗値調整を行う(図1(c))。
【0027】その後、抵抗体12を被覆する中間ガラス層
14(図1(f)参照)、及び、被覆ガラス層15を配設し
(図1(d))、第1分割溝2に沿って集合絶縁基板1
を分割し、棒状基板16とする(図1(e))。符号17は
第1分割溝2に沿って分割したことによってあらわれた
分割面である。
【0028】第1分割溝2は、上述したように、一次傾
斜面4と二次傾斜面5とからなる第1溝壁6aと第2溝壁
6bとによって構成されているため、棒状基板16には第1
分割溝2に沿って、一次傾斜面4による面取り部18が形
成されている(図1(f))。同面取り部18部分には、
図3に示すように、電極ペーストの塗布により、上部電
極部8及び下部電極部9がすでに配設されている。
【0029】次いで、上部電極部8及び下部電極部9と
を電気的に接続すべく分割面17に電極ペーストを塗布し
て側面電極部19を形成する。棒状基板16には、一次傾斜
面4による面取り部18を形成していることによって、
「従来の技術」の項で説明した角部300 (図8参照)が
存在しないので、面取り部18にも十分な量の電極ペース
トを塗布することができ、面取り部18部分において側面
電極部19にクラックが生じたり、セラミックス部分が露
出したりすることを防止することができる。
【0030】側面電極部19の形成後、棒状基板16を第2
分割溝3で分割することによって単体状態とし、電極部
分にニッケルめっき及びはんだめっき20を施すことによ
って、チップ抵抗器21が完成する(図1(g))。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、絶縁基板に配設する分
割溝を、斜度の異なる複数の傾斜面からなる第1溝壁と
第2溝壁とにより構成することによって、あるいは、分
割面の側縁に面取り部となる傾斜面を形成する分割溝と
することによって、分割溝の刻設された絶縁基板を棒状
基板に分割した際に、分割面に角部が生じることを防止
することができる。
【0032】従って、同分割面に側面電極部となる電極
ペーストを塗布した際に、同電極ペーストの厚みが極め
て薄くなる部分が発生することを防止することができ、
側面電極部にクラックや電極の欠けなどが生じることを
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る絶縁基板を用いた電子部品の製造
工程を説明する説明図である。
【図2】本発明に係る分割溝形状の断面説明図である。
【図3】本発明に係る分割溝形状の断面説明図である。
【図4】本発明に係る分割溝形状の配設手段を説明する
説明図である。
【図5】他の実施例の分割溝形状の断面説明図である。
【図6】他の実施例の分割溝形状の断面説明図である。
【図7】従来の分割溝形状の断面説明図である。
【図8】従来のチップ抵抗器の断面説明図である。
【符号の説明】
1 集合絶縁基板 1' グリーンシート 2 第1分割溝 3 第2分割溝 4 一次傾斜面 5 二次傾斜面 6a 第1溝壁 6b 第2溝壁 7 屈曲部 8 上部電極部 9 下部電極部 17 分割面 18 面取り部 19 側面電極部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 格子状に分割溝を刻設し、同分割溝に沿
    って分割可能に構成した板状の絶縁基板において、分割
    溝を構成する第1溝壁(6a)と第2溝壁(6b)とを、斜度の
    異なる複数の傾斜面によってそれぞれ構成したことを特
    徴とする絶縁基板の分割溝形状。
  2. 【請求項2】 前記第1溝壁(6a)及び第2溝壁(6b)を、
    斜度の小さい一次傾斜面(4) と、同一次傾斜面(4) より
    も斜度の大きい二次傾斜面(5) とによってそれぞれ構成
    したことを特徴とする請求項1記載の絶縁基板の分割溝
    形状。
  3. 【請求項3】 格子状に分割溝を刻設して分割可能とし
    た絶縁基板において、一方の分割溝に跨らせながら電極
    部を配設し、同電極部間に抵抗体及び/または誘電体を
    配設して、電極部に跨られた分割溝に沿って絶縁基板を
    分割することにより棒状基板とした後、分割によってあ
    らわれた分割面に側面電極部を配設し、棒状基板を分割
    して形成した電子部品に用いる絶縁基板であって、 前記分割溝が、分割面の側縁に面取り部(18)となる傾斜
    面を形成する分割溝であることを特徴とする絶縁基板の
    分割溝形状。
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