JP2001164482A - 絞り衣服の製造方法等及び該製造方法により形成された絞り衣服 - Google Patents
絞り衣服の製造方法等及び該製造方法により形成された絞り衣服Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 衣服に皺(しぼ)と呼ばれる凸凹形状を意図
的に残すように工夫し確実かつ安定的に、所望の形態や
色合いを備えた絞り衣服を製造できる方法などを提供す
るとともに、独特の形態、伸縮性、風合い、着心地等を
備えた新規な絞り衣服を提供すること。 【解決手段】 染色及び縫製が施された布帛2を多数箇
所において糸6で部分的に絞る「絞り工程」と、この
「絞り工程」によって得られた絞り布帛3に蒸気を曝露
して絞り形状を保持する「蒸気セット工程」を少なくと
も備える「成形工程」と、この「成形工程」後に前記糸
を抜き取る「抜糸工程」と、を少なくとも備えている絞
り衣服の製造方法及びこの方法によって製造された絞り
衣服。
的に残すように工夫し確実かつ安定的に、所望の形態や
色合いを備えた絞り衣服を製造できる方法などを提供す
るとともに、独特の形態、伸縮性、風合い、着心地等を
備えた新規な絞り衣服を提供すること。 【解決手段】 染色及び縫製が施された布帛2を多数箇
所において糸6で部分的に絞る「絞り工程」と、この
「絞り工程」によって得られた絞り布帛3に蒸気を曝露
して絞り形状を保持する「蒸気セット工程」を少なくと
も備える「成形工程」と、この「成形工程」後に前記糸
を抜き取る「抜糸工程」と、を少なくとも備えている絞
り衣服の製造方法及びこの方法によって製造された絞り
衣服。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、日本古来の染色法
である「絞染め」(しぼりぞめ)の絞り技術を応用する
ことによって、布帛に皺を形成する絞り衣服の製造方
法、該製造方法に好適な染色方法及び該製造方法により
形成された絞り衣服に関する。
である「絞染め」(しぼりぞめ)の絞り技術を応用する
ことによって、布帛に皺を形成する絞り衣服の製造方
法、該製造方法に好適な染色方法及び該製造方法により
形成された絞り衣服に関する。
【0002】
【従来の技術】日本古来の染色法に、着物の「絞染め」
と呼ばれる技術がある。この技術は、糸で布帛をつまむ
ようにしてくくり、又は適当な方法で布帛に皺(しぼ)
と呼ばれる凸凹形状を生じさせて、部分的に染色液の侵
入するのを防いでから、染め出す方法であり、鹿子(か
のこ)絞り、有松(ありまつ)絞り等が代表的なもので
ある。
と呼ばれる技術がある。この技術は、糸で布帛をつまむ
ようにしてくくり、又は適当な方法で布帛に皺(しぼ)
と呼ばれる凸凹形状を生じさせて、部分的に染色液の侵
入するのを防いでから、染め出す方法であり、鹿子(か
のこ)絞り、有松(ありまつ)絞り等が代表的なもので
ある。
【0003】この絞染め技術において用いられている布
帛の絞り技術は、絞られている布帛部分と絞られていな
い布帛部分の染色度合いの差異を利用する柄表現の特殊
技術として、専ら伝わってきたものである。図10は、
この「絞染め」技術の「絞り工程」の流れを簡略に表し
ており、染色工程前に絞りを行うことが特徴となってい
る。
帛の絞り技術は、絞られている布帛部分と絞られていな
い布帛部分の染色度合いの差異を利用する柄表現の特殊
技術として、専ら伝わってきたものである。図10は、
この「絞染め」技術の「絞り工程」の流れを簡略に表し
ており、染色工程前に絞りを行うことが特徴となってい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
「絞染め」技術における絞り技術を応用し、絞り形状を
意図的に形成できるように工夫すれば、多様な皺(ギャ
ザー)形状を備えた新規な風合いを呈するとともに、皺
部分の伸縮性を生かして織物でも編物同様に身体にフィ
ットする衣服類が提供できるという可能性がある。
「絞染め」技術における絞り技術を応用し、絞り形状を
意図的に形成できるように工夫すれば、多様な皺(ギャ
ザー)形状を備えた新規な風合いを呈するとともに、皺
部分の伸縮性を生かして織物でも編物同様に身体にフィ
ットする衣服類が提供できるという可能性がある。
【0005】また、この「絞り」技術による衣服製造に
際し、特に、ポリエステル繊維を布帛に採用してプリン
ト染色を施す場合においては、絞りの「成形工程」の蒸
気熱によって、染料の移行昇華が発生し易すいため、商
品価値を損なうおそれがあるという問題がある。
際し、特に、ポリエステル繊維を布帛に採用してプリン
ト染色を施す場合においては、絞りの「成形工程」の蒸
気熱によって、染料の移行昇華が発生し易すいため、商
品価値を損なうおそれがあるという問題がある。
【0006】そこで、本発明の目的は、(1)上記「絞
染め」技術における「絞り」技術を応用することによっ
て、最終製品である衣服に皺(しぼ)と呼ばれる凸凹形
状を意図的に残すように工夫し確実かつ安定的に、所望
の形態や色合いを備えた絞り衣服を製造できる方法を提
供すること、(2)移行昇華を有効に防止できる染色方
法を絞り技術に応用すること、(3)独特の形態、伸縮
性、風合い、着心地等を備えた新規な絞り衣服を提供す
ること、にある。
染め」技術における「絞り」技術を応用することによっ
て、最終製品である衣服に皺(しぼ)と呼ばれる凸凹形
状を意図的に残すように工夫し確実かつ安定的に、所望
の形態や色合いを備えた絞り衣服を製造できる方法を提
供すること、(2)移行昇華を有効に防止できる染色方
法を絞り技術に応用すること、(3)独特の形態、伸縮
性、風合い、着心地等を備えた新規な絞り衣服を提供す
ること、にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、以下の手段を採用する。請求項1に係る
絞り衣服の製造方法では、(1)染色及び縫製が施され
た布帛を多数箇所において糸で部分的に絞る「絞り工
程」と、(2)この「絞り工程」によって得られた絞り
布帛に蒸気を曝露して絞り形状を保持する「蒸気セット
工程」少なくとも備えた「成形工程」と、(3)この
「成形工程」後に前記糸を抜き取る抜糸工程と、からな
る3工程を少なくとも備えるようにする。この製造方法
によれば、「絞り工程」で形成された絞り形状によっ
て、最終製品である衣服に皺(ギャザー)を確実かつ安
定的に保持形成することができる。尚、「絞り工程」で
は、布帛を部分的に山状に摘まんで、その裾野部分を糸
でくくって行う絞り方法等が考えられる。この絞り方法
では、布帛に対して凸凹の段差が比較的大きな山状の皺
を多数形成することができる。
に、本発明は、以下の手段を採用する。請求項1に係る
絞り衣服の製造方法では、(1)染色及び縫製が施され
た布帛を多数箇所において糸で部分的に絞る「絞り工
程」と、(2)この「絞り工程」によって得られた絞り
布帛に蒸気を曝露して絞り形状を保持する「蒸気セット
工程」少なくとも備えた「成形工程」と、(3)この
「成形工程」後に前記糸を抜き取る抜糸工程と、からな
る3工程を少なくとも備えるようにする。この製造方法
によれば、「絞り工程」で形成された絞り形状によっ
て、最終製品である衣服に皺(ギャザー)を確実かつ安
定的に保持形成することができる。尚、「絞り工程」で
は、布帛を部分的に山状に摘まんで、その裾野部分を糸
でくくって行う絞り方法等が考えられる。この絞り方法
では、布帛に対して凸凹の段差が比較的大きな山状の皺
を多数形成することができる。
【0008】請求項2に係る絞り衣服の製造方法では、
請求項1に記載の「絞り工程」を、前記布帛を縫い針で
波縫いした後に、皺寄せ(ギャザー寄せ)して行うよう
にする。この製造方法によれば、糸で布帛を部分的に括
って行う絞り方法よりも、細い皺を緻密に形成できるの
で、形態的に差別化されるとともに、独特の風合いと着
心地を備えた絞り衣服を製造できる。
請求項1に記載の「絞り工程」を、前記布帛を縫い針で
波縫いした後に、皺寄せ(ギャザー寄せ)して行うよう
にする。この製造方法によれば、糸で布帛を部分的に括
って行う絞り方法よりも、細い皺を緻密に形成できるの
で、形態的に差別化されるとともに、独特の風合いと着
心地を備えた絞り衣服を製造できる。
【0009】請求項3に係る絞り衣服の製造方法では、
請求項1又は2に記載の「絞り工程」を、前記布帛の斜
め方向ではなく、左右方向に進行するようにして順次絞
りを形成する。この製造方法によれば、布帛の左右方向
に進行するようにして順次絞りを形成するようにしたの
で、「成形工程」によって歪みや反りが発生することが
なくなるため、衣服が平坦となって、整理、整列がし易
く、運搬、収納、保管に便利であるだけでなく、全方向
に伸縮し、特に左右方向への伸縮性が大きいので、着心
地のよい絞り衣服を提供できる。
請求項1又は2に記載の「絞り工程」を、前記布帛の斜
め方向ではなく、左右方向に進行するようにして順次絞
りを形成する。この製造方法によれば、布帛の左右方向
に進行するようにして順次絞りを形成するようにしたの
で、「成形工程」によって歪みや反りが発生することが
なくなるため、衣服が平坦となって、整理、整列がし易
く、運搬、収納、保管に便利であるだけでなく、全方向
に伸縮し、特に左右方向への伸縮性が大きいので、着心
地のよい絞り衣服を提供できる。
【0010】請求項4に係るプリント染色方法では、分
散型のカチオン染料により、プリント染色加工又は浸染
加工したカチオン可染ポリエステルからなる布帛を用い
て染色を行なう。この手段によれば、プリント染色加工
又は浸染加工後に、熱蒸気セット加工を含む種々の熱処
理工程が施される衣服製造工程であっても、染料の移行
昇華を有効に防止することができる。例えば、染色され
た布帛を二重、三重あるいはそれ以上重ね合わせて、絞
り加工において蒸気曝露するような場合でも、布帛間の
色移りが起こらないため好適であり、リバーシュブル用
の絞り衣服なども容易に製造できるようになる。なお、
「カチオン可染ポリエステル」とは、カチオン染料で染
色されやすいポリエステルを意味し、一般に、レギュラ
ー染料で染色されやすいポリエステルとは区別される。
また、プリント染色加工とは、布帛に柄模様をスクリー
ンなどを使用して染色する方法をいい、浸染加工とは、
所定温度の染色液に布帛自体を浸漬して染色する方法を
いう。
散型のカチオン染料により、プリント染色加工又は浸染
加工したカチオン可染ポリエステルからなる布帛を用い
て染色を行なう。この手段によれば、プリント染色加工
又は浸染加工後に、熱蒸気セット加工を含む種々の熱処
理工程が施される衣服製造工程であっても、染料の移行
昇華を有効に防止することができる。例えば、染色され
た布帛を二重、三重あるいはそれ以上重ね合わせて、絞
り加工において蒸気曝露するような場合でも、布帛間の
色移りが起こらないため好適であり、リバーシュブル用
の絞り衣服なども容易に製造できるようになる。なお、
「カチオン可染ポリエステル」とは、カチオン染料で染
色されやすいポリエステルを意味し、一般に、レギュラ
ー染料で染色されやすいポリエステルとは区別される。
また、プリント染色加工とは、布帛に柄模様をスクリー
ンなどを使用して染色する方法をいい、浸染加工とは、
所定温度の染色液に布帛自体を浸漬して染色する方法を
いう。
【0011】請求項5に係る絞り衣服の製造方法では、
請求項4に記載されたカチオン可染ポリエステルからな
る布帛を縫製し、この縫製された布帛に対して請求項1
から3のいずれかに記載された「絞り工程」を行なうよ
うにする。この製造方法によれば、プリント染色により
柄模様が形成された布帛の濃色部分から薄色部分への染
料の移行昇華を有効に防止できるので、薄色部分に、一
見して汚れ様に見える色移りが起こらない鮮明な柄模様
を備えた絞り衣服の製造を行うことができる。
請求項4に記載されたカチオン可染ポリエステルからな
る布帛を縫製し、この縫製された布帛に対して請求項1
から3のいずれかに記載された「絞り工程」を行なうよ
うにする。この製造方法によれば、プリント染色により
柄模様が形成された布帛の濃色部分から薄色部分への染
料の移行昇華を有効に防止できるので、薄色部分に、一
見して汚れ様に見える色移りが起こらない鮮明な柄模様
を備えた絞り衣服の製造を行うことができる。
【0012】請求項6に係る絞り衣服の製造方法では、
請求項1,2,3又は5のいずれかに記載された布帛を
天然繊維によって形成する場合において、前記「成形工
程」を蒸気セット工程のみから構成し、請求項7に係る
絞り衣服の製造方法では、同布帛をウールで形成する場
合において、絞り形状を保持する「成形工程」につい
て、溶液浸漬、乾燥、蒸気セットの各工程を順次行うよ
うにし、請求項8に係る絞り衣服の製造方法では、布帛
を綿又は麻によって形成する場合において、絞り形状を
保持する「成形工程」について、溶液浸漬、水洗、中
和、乾燥の各工程を順次行うようにする。これらの請求
項6から8に記載された絞り衣服の製造方法によれば、
種々の天然繊維素材で形成された布帛を使用する場合に
おいても、ごわごわしない、軟らかな風合いの絞り衣服
を形成することができる。
請求項1,2,3又は5のいずれかに記載された布帛を
天然繊維によって形成する場合において、前記「成形工
程」を蒸気セット工程のみから構成し、請求項7に係る
絞り衣服の製造方法では、同布帛をウールで形成する場
合において、絞り形状を保持する「成形工程」につい
て、溶液浸漬、乾燥、蒸気セットの各工程を順次行うよ
うにし、請求項8に係る絞り衣服の製造方法では、布帛
を綿又は麻によって形成する場合において、絞り形状を
保持する「成形工程」について、溶液浸漬、水洗、中
和、乾燥の各工程を順次行うようにする。これらの請求
項6から8に記載された絞り衣服の製造方法によれば、
種々の天然繊維素材で形成された布帛を使用する場合に
おいても、ごわごわしない、軟らかな風合いの絞り衣服
を形成することができる。
【0013】請求項9に係る絞り衣服は、請求項1,
2,3,5,6,7,8のいずれかに記載された絞り衣
服の製造方法によって形成されているため、染色及び縫
製が施された布帛が、多数箇所において部分的に絞られ
て形成された多数の皺が保持されたものとなる。この絞
り衣服は、独特の凸凹形状を有する形態が維持され、低
温の水洗いでも形状がくずれることはない。また、やわ
らかな着物用の風合いを有し、伸縮性に富むために、身
体にフィットする大変着心地の良い新規な衣服である。
更に、この絞り衣服は、着用前は縮小された状態である
ため、携帯にも便利である。そして、請求項5に記載さ
れた製造方法で形成された絞り衣服は、染料の移行昇華
のない柄模様を形成することもできるので商品価値が極
めて高い。
2,3,5,6,7,8のいずれかに記載された絞り衣
服の製造方法によって形成されているため、染色及び縫
製が施された布帛が、多数箇所において部分的に絞られ
て形成された多数の皺が保持されたものとなる。この絞
り衣服は、独特の凸凹形状を有する形態が維持され、低
温の水洗いでも形状がくずれることはない。また、やわ
らかな着物用の風合いを有し、伸縮性に富むために、身
体にフィットする大変着心地の良い新規な衣服である。
更に、この絞り衣服は、着用前は縮小された状態である
ため、携帯にも便利である。そして、請求項5に記載さ
れた製造方法で形成された絞り衣服は、染料の移行昇華
のない柄模様を形成することもできるので商品価値が極
めて高い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1〜図3に基づいて、本発明に係る「絞り衣服
の製造方法」の製造工程を簡潔に説明する。
態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1〜図3に基づいて、本発明に係る「絞り衣服
の製造方法」の製造工程を簡潔に説明する。
【0015】<絞り衣服の製造工程の概略説明>ポリエ
ステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維等の合成繊維
又は絹、麻、綿、羊毛(ウール)等の天然繊維からなる
生地を適宜に選択し、適宜の染料により染色した後、生
地を所望の衣服形状に適合するパターン1にカットし、
縫製を行う。尚、縫製された布帛2は、本製造工程から
得られる最終製品が、多数の皺(絞り)5を備えた絞り
衣服4であることを見込んで、かなり大き目のサイズに
形成しておく必要がある。
ステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維等の合成繊維
又は絹、麻、綿、羊毛(ウール)等の天然繊維からなる
生地を適宜に選択し、適宜の染料により染色した後、生
地を所望の衣服形状に適合するパターン1にカットし、
縫製を行う。尚、縫製された布帛2は、本製造工程から
得られる最終製品が、多数の皺(絞り)5を備えた絞り
衣服4であることを見込んで、かなり大き目のサイズに
形成しておく必要がある。
【0016】次に、縫製された布帛2の一部を摘んで山
状に引き上げ、その裾野部分を糸で括って強く締め付け
て皺5aを形成する方法(以下「糸括り方法」とい
う。)によって、絞り作業をフリーハンドで連続して行
って(図2(B)参照)、縫製布帛2の全面に、皺5a
を形成していく(以下、この工程を「絞り工程」とい
う。)。
状に引き上げ、その裾野部分を糸で括って強く締め付け
て皺5aを形成する方法(以下「糸括り方法」とい
う。)によって、絞り作業をフリーハンドで連続して行
って(図2(B)参照)、縫製布帛2の全面に、皺5a
を形成していく(以下、この工程を「絞り工程」とい
う。)。
【0017】この「絞り工程」では、布帛2に対して斜
め方向ではなく、左右方向(図2(A)、図6(A)に
示すX方向)に、皺5aを形成していくのが望ましい。
その理由は、布帛2の左右方向に進行するように皺5a
を形成することによって、布帛2に加わる張力を左右方
向(X方向)に均等に形成し、最終製品である絞り衣服
4に歪みや反りが発生するのを防止できるからである。
め方向ではなく、左右方向(図2(A)、図6(A)に
示すX方向)に、皺5aを形成していくのが望ましい。
その理由は、布帛2の左右方向に進行するように皺5a
を形成することによって、布帛2に加わる張力を左右方
向(X方向)に均等に形成し、最終製品である絞り衣服
4に歪みや反りが発生するのを防止できるからである。
【0018】即ち、左右方向への絞り形成によって、最
終製品である絞り衣服4が平坦な形状に仕上がるので、
整理、整列がし易くなって、運搬や保管が効率的となっ
て、大変便利となる。更には、左右方向への皺5aの形
成によって、最終製品である絞り衣服4には、左右方向
への均等な伸縮性が備わるようになることから、着心地
の面でも大変良好となる。
終製品である絞り衣服4が平坦な形状に仕上がるので、
整理、整列がし易くなって、運搬や保管が効率的となっ
て、大変便利となる。更には、左右方向への皺5aの形
成によって、最終製品である絞り衣服4には、左右方向
への均等な伸縮性が備わるようになることから、着心地
の面でも大変良好となる。
【0019】ここで、「絞り工程」における絞り技術と
して、本願発明者は、上記した「糸括り法」(図2参
照)以外に、図7に示すような方法(以下「波縫い法」
という。)を案出した。この絞り形成方法の第2実施例
とも言うべき「波縫い法」は、まず、縫い針7の針孔に
挿通された糸6によって、布帛を適宜の長さに波縫いし
た後(図7(A)参照)、一定方向(波縫い進行方向逆
側)にギャザー寄せして、皺5bを形成するという方法
である(図7(B)参照)。
して、本願発明者は、上記した「糸括り法」(図2参
照)以外に、図7に示すような方法(以下「波縫い法」
という。)を案出した。この絞り形成方法の第2実施例
とも言うべき「波縫い法」は、まず、縫い針7の針孔に
挿通された糸6によって、布帛を適宜の長さに波縫いし
た後(図7(A)参照)、一定方向(波縫い進行方向逆
側)にギャザー寄せして、皺5bを形成するという方法
である(図7(B)参照)。
【0020】この「波縫い法」によれば、図8に示すよ
うに、多数の細い皺が緻密に形成できるため、上記「糸
括り法」とは異なる繊細な風合いや形状を呈する絞り衣
服を提供でき、形態的な差別化を図ることができる(図
8参照)。
うに、多数の細い皺が緻密に形成できるため、上記「糸
括り法」とは異なる繊細な風合いや形状を呈する絞り衣
服を提供でき、形態的な差別化を図ることができる(図
8参照)。
【0021】次に、上記「絞り工程」において、「糸括
り法」又は「波縫い法」のいずれかの方法によって、縫
製布帛2の全面に皺5a又は皺5bの形成を終えること
ができたら、皺5a,5bの形状を最終製品において保
持できるようにするため、即ち絞り形状を固定するため
の「成形工程」(後述)を行う。そして、この「成形工
程」後に、絞り形状を保持していた糸6を全部抜きとっ
て(「抜糸工程」)、最終製品である絞り衣服4を得
る。
り法」又は「波縫い法」のいずれかの方法によって、縫
製布帛2の全面に皺5a又は皺5bの形成を終えること
ができたら、皺5a,5bの形状を最終製品において保
持できるようにするため、即ち絞り形状を固定するため
の「成形工程」(後述)を行う。そして、この「成形工
程」後に、絞り形状を保持していた糸6を全部抜きとっ
て(「抜糸工程」)、最終製品である絞り衣服4を得
る。
【0022】<「染色工程」と「成形工程」の詳細説明
>以下、主に図3、図4を参照して、上記製造工程中の
「染色工程」と「成形工程」に関して、合成繊維を無地
染めした場合と合成繊維をプリント染色した場合)に分
けて、詳しく説明する。
>以下、主に図3、図4を参照して、上記製造工程中の
「染色工程」と「成形工程」に関して、合成繊維を無地
染めした場合と合成繊維をプリント染色した場合)に分
けて、詳しく説明する。
【0023】(合成繊維に浸染(無地染め)する場合の
「染色工程」と「成形工程」)ポリエチレン、ナイロン
等の熱可塑性の合成繊維に「無地染め」(単一色で染
色)を施した布帛を採用する場合における「染色工程」
は、一般的に、染料溶液中に布帛を浸漬して行なう浸染
工程によって行うわれる。この「染色工程」後に、上記
「絞り工程」を経て行われる「成形工程」は、大別して
「蒸気セット工程」と「乾燥工程」から構成する(図3
参照)。
「染色工程」と「成形工程」)ポリエチレン、ナイロン
等の熱可塑性の合成繊維に「無地染め」(単一色で染
色)を施した布帛を採用する場合における「染色工程」
は、一般的に、染料溶液中に布帛を浸漬して行なう浸染
工程によって行うわれる。この「染色工程」後に、上記
「絞り工程」を経て行われる「成形工程」は、大別して
「蒸気セット工程」と「乾燥工程」から構成する(図3
参照)。
【0024】まず、この「蒸気セット工程」は、「絞り
工程」を経た絞り布帛3全体を紙に包んで、その上から
更にポリエチレン等のフィルムでくるみ、図示しない蒸
気釜に投入することにより行う。
工程」を経た絞り布帛3全体を紙に包んで、その上から
更にポリエチレン等のフィルムでくるみ、図示しない蒸
気釜に投入することにより行う。
【0025】蒸気釜の蒸気温度は、125℃〜135
℃、より好適には130℃に設定し、連続15〜20分
間の蒸気を布帛に曝露する。その後、充分に冷却して、
蒸気釜から布帛を取り出して、自然乾燥又はタンブラー
乾燥を行うのが好適である。尚、タンブラー乾燥とは、
布帛を回転させながら熱乾燥させる技術をいう。
℃、より好適には130℃に設定し、連続15〜20分
間の蒸気を布帛に曝露する。その後、充分に冷却して、
蒸気釜から布帛を取り出して、自然乾燥又はタンブラー
乾燥を行うのが好適である。尚、タンブラー乾燥とは、
布帛を回転させながら熱乾燥させる技術をいう。
【0026】ここで、浸染加工により布帛を無地染めす
る場合において、カチオン可染ポリエステルで形成した
布帛を、分散型のカチオン染料液に浸漬して染色(浸
染)すると、染料の移行昇華が発生し難い。尚、「移行
昇華」とは、より濃色の染料が、熱処理等の影響を受け
て、より薄色の布帛部分に溶け出して移り込む現象をい
う。
る場合において、カチオン可染ポリエステルで形成した
布帛を、分散型のカチオン染料液に浸漬して染色(浸
染)すると、染料の移行昇華が発生し難い。尚、「移行
昇華」とは、より濃色の染料が、熱処理等の影響を受け
て、より薄色の布帛部分に溶け出して移り込む現象をい
う。
【0027】例えば、染色された布帛を複数枚重ねる等
して、絞り加工やクラッシュしわ加工などのしわ形成加
工に必須の熱処理工程を行なった場合でも、濃色の染料
がより淡色の染料が染色された布帛(部分)に移行して
しまうようなことがなく好適である。なお、クラッシュ
しわ加工とは、所定の網(ネット)や箱に布帛を一枚又
は複数枚押し込めた状態で熱処理を施し、最終製品であ
る衣服にしわを固定形成する加工をいう。
して、絞り加工やクラッシュしわ加工などのしわ形成加
工に必須の熱処理工程を行なった場合でも、濃色の染料
がより淡色の染料が染色された布帛(部分)に移行して
しまうようなことがなく好適である。なお、クラッシュ
しわ加工とは、所定の網(ネット)や箱に布帛を一枚又
は複数枚押し込めた状態で熱処理を施し、最終製品であ
る衣服にしわを固定形成する加工をいう。
【0028】(合成繊維にプリント染色する場合の「染
色工程」と「成形工程」)次に、熱可塑性合成繊維製の
布帛にプリント染色を行って柄模様を形成する場合にお
いては、上記「染色工程」における諸条件を、更に工夫
する必要がある。その理由は、プリント染色を行った柄
模様の布帛の場合は、「成形工程」における「蒸気セッ
ト工程」の熱(蒸気)によって、染料の移行昇華が発生
して柄模様が損なわれてしまうと商品価値が低下するの
で、これを有効に防止する必要があるからである。
色工程」と「成形工程」)次に、熱可塑性合成繊維製の
布帛にプリント染色を行って柄模様を形成する場合にお
いては、上記「染色工程」における諸条件を、更に工夫
する必要がある。その理由は、プリント染色を行った柄
模様の布帛の場合は、「成形工程」における「蒸気セッ
ト工程」の熱(蒸気)によって、染料の移行昇華が発生
して柄模様が損なわれてしまうと商品価値が低下するの
で、これを有効に防止する必要があるからである。
【0029】ここで、図9は、水玉模様にプリント染色
された絞り衣服4において、色の薄い水玉部分9に周辺
の濃色部分から染料が移り込んでいる様子を例として、
移行昇華が発生した布帛の状態を簡易に表現している。
尚、図9においては、上記「糸括り法」で形成された皺
5aが形成されている。
された絞り衣服4において、色の薄い水玉部分9に周辺
の濃色部分から染料が移り込んでいる様子を例として、
移行昇華が発生した布帛の状態を簡易に表現している。
尚、図9においては、上記「糸括り法」で形成された皺
5aが形成されている。
【0030】移行昇華の状態を具体的に説明すると、布
帛にプリント染色によって形成された、周囲よりも薄色
の水玉模様部分7には、周辺の濃色染料が移り込んで、
符号8で示すようなシミ様の汚れが生じてしまってい
る。このようなシミ様の汚れは、水玉模様のような柄模
様の美しさを損なうことになることから、絞り衣服4の
商品価値を低下させる原因となる。
帛にプリント染色によって形成された、周囲よりも薄色
の水玉模様部分7には、周辺の濃色染料が移り込んで、
符号8で示すようなシミ様の汚れが生じてしまってい
る。このようなシミ様の汚れは、水玉模様のような柄模
様の美しさを損なうことになることから、絞り衣服4の
商品価値を低下させる原因となる。
【0031】このような染料の移行昇華を有効に防止す
るために、本願発明者は、プリント染色工程に関する好
適な条件設定を行うための実験を長年行ってきた。その
結果、「プリント染色工程」を、図5に示すように、
「プリント工程」、「蒸し工程」、「水洗工程」、「整
理工程」からなる4工程で構成するとともに、布帛素材
としてカチオン可染ポリエステルを採用して、プリント
染色を行うことが、最適であることを案出した。
るために、本願発明者は、プリント染色工程に関する好
適な条件設定を行うための実験を長年行ってきた。その
結果、「プリント染色工程」を、図5に示すように、
「プリント工程」、「蒸し工程」、「水洗工程」、「整
理工程」からなる4工程で構成するとともに、布帛素材
としてカチオン可染ポリエステルを採用して、プリント
染色を行うことが、最適であることを案出した。
【0032】より詳細には、このプリント染色工程で
は、2000メッシュのスクリーンを使用し、スクリー
ンをかくためのスケージ(へら)は硬質(H)タイプを
使用する。染料は、分散型のカチオン染料を使用し、糊
剤としてはガム系のものを使用する。そして、「蒸し工
程」においては、蒸気釜にHT連続スチーマーを使用し
て、蒸気温度を115℃〜125℃、特に好適には12
0℃に設定し、連続30分間の蒸気曝露を行うようにす
る。この際の蒸気圧は、レギュラー染料用のポリエステ
ルと比較してカチオン可染ポリエステル繊維が比較的損
傷しやすいことから、2気圧以内に設定するのが望まし
い。
は、2000メッシュのスクリーンを使用し、スクリー
ンをかくためのスケージ(へら)は硬質(H)タイプを
使用する。染料は、分散型のカチオン染料を使用し、糊
剤としてはガム系のものを使用する。そして、「蒸し工
程」においては、蒸気釜にHT連続スチーマーを使用し
て、蒸気温度を115℃〜125℃、特に好適には12
0℃に設定し、連続30分間の蒸気曝露を行うようにす
る。この際の蒸気圧は、レギュラー染料用のポリエステ
ルと比較してカチオン可染ポリエステル繊維が比較的損
傷しやすいことから、2気圧以内に設定するのが望まし
い。
【0033】続く「水洗工程」では、アニオン系のソー
ピング剤、具体的には、一般に使用されるようなアルカ
リ洗剤ではなく、ソーダ灰(明成化学工業株式会社製の
「ラッコールPSK」が特に好適である。)を使用す
る。この水洗に続き湯洗(温度60℃)を行って、約4
時間程度をかけて還元洗浄する。
ピング剤、具体的には、一般に使用されるようなアルカ
リ洗剤ではなく、ソーダ灰(明成化学工業株式会社製の
「ラッコールPSK」が特に好適である。)を使用す
る。この水洗に続き湯洗(温度60℃)を行って、約4
時間程度をかけて還元洗浄する。
【0034】この還元洗浄によって、プリント染色で使
用された糊剤を完全に落す。尚、洗浄時間は、布帛の色
柄により、微調整を行う。なお、上記した一連のカチオ
ン可染ポリエステルを用いたプリント染色方法又は浸染
方法は、絞り衣服の製造だけでなく、プリント染色工程
後に熱処理工程が施され得る種々の衣服加工、例えば、
クラッシュしわ加工等においても、染料の移行昇華を有
効に防止することができるので、適用範囲の広い技術で
ある。
用された糊剤を完全に落す。尚、洗浄時間は、布帛の色
柄により、微調整を行う。なお、上記した一連のカチオ
ン可染ポリエステルを用いたプリント染色方法又は浸染
方法は、絞り衣服の製造だけでなく、プリント染色工程
後に熱処理工程が施され得る種々の衣服加工、例えば、
クラッシュしわ加工等においても、染料の移行昇華を有
効に防止することができるので、適用範囲の広い技術で
ある。
【0035】次の「整理工程」では、柔軟剤他の薬品を
使用せずに、帯電防止剤(例えば、日華化学株式会社製
の「ナイスポールPF85」)のみを使用して、150
℃の温度条件下で1分間の熱乾燥を行い、セットする。
この方法によって、後続の「成形工程」における「蒸気
セット工程」での染料の移行昇華現象を有効に防止する
ことができることが確認できた。
使用せずに、帯電防止剤(例えば、日華化学株式会社製
の「ナイスポールPF85」)のみを使用して、150
℃の温度条件下で1分間の熱乾燥を行い、セットする。
この方法によって、後続の「成形工程」における「蒸気
セット工程」での染料の移行昇華現象を有効に防止する
ことができることが確認できた。
【0036】上記実験から本願発明者は、プリント染色
されたカチオン可染ポリエステル布帛において、染料の
移行昇華を有効に防止するためのポイントとして、次の
(1)〜(3)からなる技術的事項が、特に重要である
という知見を得た。 (1)プリント染色工程において糊層をできるだけ少な
くするように工夫すること。 (2)プリント染色工程における「蒸し工程」の蒸気曝
露条件を上記条件とすること。 (3)プリント染色工程における「水洗工程」におい
て、ソーピン剤によって糊剤を完全に落とすこと。
されたカチオン可染ポリエステル布帛において、染料の
移行昇華を有効に防止するためのポイントとして、次の
(1)〜(3)からなる技術的事項が、特に重要である
という知見を得た。 (1)プリント染色工程において糊層をできるだけ少な
くするように工夫すること。 (2)プリント染色工程における「蒸し工程」の蒸気曝
露条件を上記条件とすること。 (3)プリント染色工程における「水洗工程」におい
て、ソーピン剤によって糊剤を完全に落とすこと。
【0037】続いて、「天然繊維」で形成された布帛を
採用した場合における上記「成形工程」について、主に
図4(A)〜(C)に基づいて、説明する。絹(シル
ク)製の布帛を使用する場合は、上記した合成繊維の場
合と同様に、「絞り工程」後に、絞り布帛3(図1参
照)を「成形工程」に移して「蒸気セット工程」を行う
(図4(A)参照)。
採用した場合における上記「成形工程」について、主に
図4(A)〜(C)に基づいて、説明する。絹(シル
ク)製の布帛を使用する場合は、上記した合成繊維の場
合と同様に、「絞り工程」後に、絞り布帛3(図1参
照)を「成形工程」に移して「蒸気セット工程」を行う
(図4(A)参照)。
【0038】この場合の「蒸気セット工程」は、蒸気温
度135〜145℃、好ましくは、140℃の条件で、
10〜15分間行なう。そして、その後の「乾燥工程」
を省いて、抜糸工程に移るようにする。このような方法
を採用することによって、最終製品である絹製の絞り衣
服4を、着心地のよい柔らかな風合いを備えるようにす
ることができる。
度135〜145℃、好ましくは、140℃の条件で、
10〜15分間行なう。そして、その後の「乾燥工程」
を省いて、抜糸工程に移るようにする。このような方法
を採用することによって、最終製品である絹製の絞り衣
服4を、着心地のよい柔らかな風合いを備えるようにす
ることができる。
【0039】次に、羊毛(ウール)製の布帛を使用する
場合は、「縫製工程」に続く「絞り工程」の次に、絞り
布帛3を常温のモノエタノールバイサルファイト5〜7
%溶液(明成化学工業株式会社製の「モナミンBTN」
が特に好適である。)に浸漬した後、70〜80℃の温
度条件下で乾燥するという方法から構成される前処理を
施した後に、「成形工程」に移して「蒸気セット工程」
にかける(図4(B)参照)。この場合の「蒸気セット
工程」は、115〜125℃、好ましくは、120℃の
蒸気温度条件で、約15分間行うのが好適である。この
際の蒸気圧は、ウール繊維の損傷を回避するため、1.
8気圧以下に、コントロールのが望ましい。
場合は、「縫製工程」に続く「絞り工程」の次に、絞り
布帛3を常温のモノエタノールバイサルファイト5〜7
%溶液(明成化学工業株式会社製の「モナミンBTN」
が特に好適である。)に浸漬した後、70〜80℃の温
度条件下で乾燥するという方法から構成される前処理を
施した後に、「成形工程」に移して「蒸気セット工程」
にかける(図4(B)参照)。この場合の「蒸気セット
工程」は、115〜125℃、好ましくは、120℃の
蒸気温度条件で、約15分間行うのが好適である。この
際の蒸気圧は、ウール繊維の損傷を回避するため、1.
8気圧以下に、コントロールのが望ましい。
【0040】そして、綿又は麻製の布帛を使用する場合
は、上記した綿・麻と同様の「蒸気セット工程」によっ
て「成形工程」を行うことによって、風合いの良好な絞
り衣服4が形成できる。なお、綿又は麻製の布帛では、
「蒸気セット工程」において、比較的高温の蒸気温度1
50℃、蒸気圧3気圧の条件でも絞り衣服を製造するこ
とが可能であることがわかった。
は、上記した綿・麻と同様の「蒸気セット工程」によっ
て「成形工程」を行うことによって、風合いの良好な絞
り衣服4が形成できる。なお、綿又は麻製の布帛では、
「蒸気セット工程」において、比較的高温の蒸気温度1
50℃、蒸気圧3気圧の条件でも絞り衣服を製造するこ
とが可能であることがわかった。
【0041】また、綿又は麻製の布帛の場合では、「蒸
気セット工程」を採用しない「成形工程」も案出するこ
とができた。即ち、ボーメ40の水酸化ナトリウム液に
5〜6分間浸漬した後、流水で60分間以上水洗を行
い、3%濃度の酢酸溶液で中和処理を10〜15分間行
って、乾燥するという方法である(図4(C)参照)。
尚、この「成形工程」における水洗は、布帛が擦れ合っ
て生じる色むらを有効に防止することができることか
ら、流水条件で行うのが特に好適である。
気セット工程」を採用しない「成形工程」も案出するこ
とができた。即ち、ボーメ40の水酸化ナトリウム液に
5〜6分間浸漬した後、流水で60分間以上水洗を行
い、3%濃度の酢酸溶液で中和処理を10〜15分間行
って、乾燥するという方法である(図4(C)参照)。
尚、この「成形工程」における水洗は、布帛が擦れ合っ
て生じる色むらを有効に防止することができることか
ら、流水条件で行うのが特に好適である。
【0042】このように、本願発明に係る絞り衣服の製
造方法においては、多様な素材の布帛に対応できること
に加え、浸染による無地染め又はプリント染色による柄
模様の布帛においても、染料の移行昇華の懸念をするこ
とがなく、安心して絞り形成作業を行なうことができ
る。
造方法においては、多様な素材の布帛に対応できること
に加え、浸染による無地染め又はプリント染色による柄
模様の布帛においても、染料の移行昇華の懸念をするこ
とがなく、安心して絞り形成作業を行なうことができ
る。
【0043】また、本願発明に係る絞り衣服の製造方法
によれば、合成繊維製又は天然繊維製の布帛に対して、
確実に皺5を形成できるとともに、軟らかで着心地の良
い絞り衣服を提供できる。
によれば、合成繊維製又は天然繊維製の布帛に対して、
確実に皺5を形成できるとともに、軟らかで着心地の良
い絞り衣服を提供できる。
【0044】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1又は2に記載された絞り衣服の製造方法によれば、
「絞り工程」で形成された絞り形状を所定の「成形工
程」によって、最終製品である衣服に所望の皺(ギャザ
ー)を確実かつ安定的に形成することができる。
1又は2に記載された絞り衣服の製造方法によれば、
「絞り工程」で形成された絞り形状を所定の「成形工
程」によって、最終製品である衣服に所望の皺(ギャザ
ー)を確実かつ安定的に形成することができる。
【0045】しかも、絞り方法を「糸括り法」や「波縫
い法」の如きに工夫し、更に絞り密度や絞り程度を工夫
することによって、形態的に差別化された皺を衣服に形
成できるので、製品の多様化を図ることができる。
い法」の如きに工夫し、更に絞り密度や絞り程度を工夫
することによって、形態的に差別化された皺を衣服に形
成できるので、製品の多様化を図ることができる。
【0046】また、請求項3に記載された製造方法のよ
うに、布帛の左右方向に進行するように絞りを形成して
いくようにすれば、「成形工程」によって歪みや反りが
発生することが一切なくなるので、絞り形成された衣服
が平坦となって整理、整列がし易くなり、運搬、保管に
便利となるだけでなく、上下、左右方向に均等に伸縮す
る着心地のよい絞り衣服を製造することができる。
うに、布帛の左右方向に進行するように絞りを形成して
いくようにすれば、「成形工程」によって歪みや反りが
発生することが一切なくなるので、絞り形成された衣服
が平坦となって整理、整列がし易くなり、運搬、保管に
便利となるだけでなく、上下、左右方向に均等に伸縮す
る着心地のよい絞り衣服を製造することができる。
【0047】請求項4に係るプリント染色方法では、分
散型のカチオン染料により、プリント染色加工又は浸染
加工したカチオン可染ポリエステルからなる布帛を用い
た染色手段を採用しているので、染色工程後に種々の熱
処理工程が施される衣服製造工程であっても、染料の移
行昇華を有効に防止することができるので、色合いが鮮
明な衣服を提供できる。
散型のカチオン染料により、プリント染色加工又は浸染
加工したカチオン可染ポリエステルからなる布帛を用い
た染色手段を採用しているので、染色工程後に種々の熱
処理工程が施される衣服製造工程であっても、染料の移
行昇華を有効に防止することができるので、色合いが鮮
明な衣服を提供できる。
【0048】この請求項4に記載されたカチオン可染ポ
リエステルからなる布帛を縫製して、請求項1から3の
いずれかに記載された「絞り工程」にかけるようにすれ
ば、プリント染色により柄模様が形成された布帛の濃色
部分から薄色部分への染料の移行昇華を有効に防止で
き、薄色部分に、一見して汚れ様に見える色移りが起こ
らない鮮明な柄模様を備えた絞り衣服の製造を行うこと
ができるので、絞り衣服の付加価値を高めることができ
る。
リエステルからなる布帛を縫製して、請求項1から3の
いずれかに記載された「絞り工程」にかけるようにすれ
ば、プリント染色により柄模様が形成された布帛の濃色
部分から薄色部分への染料の移行昇華を有効に防止で
き、薄色部分に、一見して汚れ様に見える色移りが起こ
らない鮮明な柄模様を備えた絞り衣服の製造を行うこと
ができるので、絞り衣服の付加価値を高めることができ
る。
【0049】そして、天然繊維製の布帛を使用する場合
においては、請求項6から第8項のいずれかに記載され
た製造方法のように工夫すれば、羊毛、綿又は麻製の布
帛であっても、ごわごわしない柔らかな風合いの絞り衣
服を確実に形成できる。
においては、請求項6から第8項のいずれかに記載され
た製造方法のように工夫すれば、羊毛、綿又は麻製の布
帛であっても、ごわごわしない柔らかな風合いの絞り衣
服を確実に形成できる。
【0050】このように本願発明に係る絞り衣服製造法
で形成された絞り衣服は、所望の形態や色合いを備える
とともに、独特の形態、伸縮性、風合い、着心地等を備
えているので、商品価値が極めて高い。
で形成された絞り衣服は、所望の形態や色合いを備える
とともに、独特の形態、伸縮性、風合い、着心地等を備
えているので、商品価値が極めて高い。
【図1】本発明に係る「絞り衣服の製造方法」の製造工
程の流れを簡易に示す図
程の流れを簡易に示す図
【図2】(A)同製造工程における「成形工程」後(抜
糸工程前)の衣服の状態を示す図 (B)同衣服の糸で括るように形成された(「糸括り
法」で形成された)絞り部分を拡大して示す図
糸工程前)の衣服の状態を示す図 (B)同衣服の糸で括るように形成された(「糸括り
法」で形成された)絞り部分を拡大して示す図
【図3】同製造工程における合成繊維製布帛の「成形工
程」の流れを簡易に示す図
程」の流れを簡易に示す図
【図4】(A)天然繊維製布帛の場合における「成形工
程」の流れを簡易に示す図であって、絹、綿又は麻製の
布帛の場合に採用できる「成形工程」の流れを示す図 (B)ウール製の布帛の場合に採用できる「成形工程」
の流れを示す図 (C)綿又は麻製の布帛の場合に採用できる「成形工
程」の流れを示す図
程」の流れを簡易に示す図であって、絹、綿又は麻製の
布帛の場合に採用できる「成形工程」の流れを示す図 (B)ウール製の布帛の場合に採用できる「成形工程」
の流れを示す図 (C)綿又は麻製の布帛の場合に採用できる「成形工
程」の流れを示す図
【図5】同製造工程において採用できる「プリント染色
工程」の流れを簡易に示す図
工程」の流れを簡易に示す図
【図6】(A)本発明に係る「絞り衣服の製造方法」の
製造工程によってできた最終製品である絞り衣服の状態
を示す図 (B)同衣服の絞り形状(抜糸後の状態)を拡大して示
す図、である。
製造工程によってできた最終製品である絞り衣服の状態
を示す図 (B)同衣服の絞り形状(抜糸後の状態)を拡大して示
す図、である。
【図7】(A)〜(D)は、同製造工程の「絞り工程」
の第2実施例の流れを簡略化して示す図
の第2実施例の流れを簡略化して示す図
【図8】第2実施例である「波縫い法」による「絞り工
程」によって形成された絞り形状の状態を示す図
程」によって形成された絞り形状の状態を示す図
【図9】水玉模様にプリント染色された布帛を使って製
造された絞り衣服の染料の移行昇華の様子を表す図
造された絞り衣服の染料の移行昇華の様子を表す図
【図10】日本古来の染色法である「絞染め」技術の
「絞り工程」の流れを簡略に表す図
「絞り工程」の流れを簡略に表す図
2 (縫製された)布帛 3 絞り布帛 4 (最終製品である)絞り衣服 5(5a,5b) 皺 6 糸 7 縫い針 X (布帛2の)左右方向
Claims (9)
- 【請求項1】 染色及び縫製が施された布帛を多数箇所
において糸を用いて部分的に絞る「絞り工程」と、 この「絞り工程」によって得られた絞り布帛に蒸気を曝
露して絞り形状を保持する蒸気セット工程を少なくとも
備えた「成形工程」と、 この「成形工程」後に前記糸を抜き取る「抜糸工程」
と、 を少なくとも備えていることを特徴とする絞り衣服の製
造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の「絞り工程」を、前記布
帛を縫い針で波縫いした後に皺寄せ(ギャザー寄せ)し
て行うようにしたことを特徴とする絞り衣服の製造方
法。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の「絞り工程」
を、前記布帛の左右方向に進行するように順次絞りを形
成することを特徴とする絞り衣服の製造方法。 - 【請求項4】 分散型のカチオン染料により、プリント
染色加工又は浸染加工したカチオン可染ポリエステルか
らなる布帛を用いることを特徴とする染色方法。 - 【請求項5】 請求項4の染色方法によって染色された
前記カチオン可染ポリエステルからなる布帛を縫製した
後に、請求項1から3のいずれかに記載の「絞り工程」
を行なうことを特徴とする絞り衣服の製造方法。 - 【請求項6】 前記布帛を天然繊維によって形成する場
合において、前記「成形工程」を「蒸気セット工程」の
みから構成することを特徴とする請求項1,2,3、5
のいずれかに記載の絞り衣服の製造方法。 - 【請求項7】 前記布帛を羊毛(ウール)で形成する場
合において、絞り形状を保持する「成形工程」を、溶液
浸漬、乾燥、蒸気セットの各工程を順次行うようにした
ことを特徴とする請求項1,2,3、5のいずれかに記
載の絞り衣服の製造方法。 - 【請求項8】 前記布帛を綿又は麻によって形成する場
合において、絞り形状を保持する「成形工程」を、溶液
浸漬、水洗、中和、乾燥の各工程を順次行うようにした
ことを特徴とする請求項1,2,3、5のいずれかに記
載の絞り衣服の製造方法。 - 【請求項9】 請求項1,2,3,5,6,7,8のい
ずれかに記載された絞り衣服の製造方法によって、染色
及び縫製された布帛を多数箇所において部分的に絞ら
れ、その絞り形状が保持されて多数の皺を備えた絞り衣
服。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US09/530,080 US6523196B1 (en) | 1999-09-29 | 1999-09-29 | Shibori clothes manufacturing method, etc. and shibori clothes made by said manufacturing method |
JP34082599A JP2001164482A (ja) | 1999-09-29 | 1999-11-30 | 絞り衣服の製造方法等及び該製造方法により形成された絞り衣服 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11-551525 | 1999-09-29 | ||
JP55152599 | 1999-09-29 | ||
JP34082599A JP2001164482A (ja) | 1999-09-29 | 1999-11-30 | 絞り衣服の製造方法等及び該製造方法により形成された絞り衣服 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001164482A true JP2001164482A (ja) | 2001-06-19 |
Family
ID=26576807
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34082599A Pending JP2001164482A (ja) | 1999-09-29 | 1999-11-30 | 絞り衣服の製造方法等及び該製造方法により形成された絞り衣服 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001164482A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010065353A (ja) * | 2008-09-12 | 2010-03-25 | Ibaraki Prefecture | 獣毛素材繊維への染色加工方法及びその加工品 |
JP2010257820A (ja) * | 2009-04-27 | 2010-11-11 | Fukui Prefecture | モアレ模様を利用した装飾照明機構 |
-
1999
- 1999-11-30 JP JP34082599A patent/JP2001164482A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010065353A (ja) * | 2008-09-12 | 2010-03-25 | Ibaraki Prefecture | 獣毛素材繊維への染色加工方法及びその加工品 |
JP2010257820A (ja) * | 2009-04-27 | 2010-11-11 | Fukui Prefecture | モアレ模様を利用した装飾照明機構 |
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