JP2001162549A - スパナ - Google Patents
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Abstract
角形状部を有する各種ネジ部材の螺着に用いるトルク管
理機能を備えたスパナにおいて、特に多角形状部の寸法
が大きいネジ部材を比較的小さなトルクで締め付けるの
に適し、小型で軽量化が可能なスパナを提供する。 【解決手段】スパナ1は、適宜長さのハンドル部2の一
端側に環状の嵌合部3が一体に形成されたもので、AB
S樹脂等の合成樹脂により成形されている。そして、こ
の嵌合部3は、適用対象となるネジ部材の多角形状部に
対して適度なクリアランスを有し、所定の締付けトルク
以上においては素材自体の弾性変形により空転するもの
である。
Description
の外周面にスパナ掛け用の多角形状部を有するネジ部材
の螺着に用いるトルク管理機能を備えたスパナに係り、
特に多角形状部の寸法が大きいネジ部材を、比較的小さ
なトルクで締め付けるのに適した小型で軽量のスパナに
関するものである。
面の少なくとも一部が多角形状のネジ部材の螺着作業に
おいて、そのトルク管理を必要とする場合には、トルク
レンチなどと称される締付用工具が広く利用されてい
る。それら工具を介してネジ部材に負荷される締付けト
ルクは、それぞれのサイズ、使用条件等に応じた締着力
を確実に発現させるため、ネジ部材のサイズに準じて増
大するのが通例であり、これはまた締付用工具が嵌合さ
れる多角形状部の寸法(二面幅等)にも比例している。
したがって、大きなサイズすなわち多角形状部の寸法の
大きいネジ部材を対象とするトルクレンチは、必然的に
ハンドル部が長くなり、かなり重いものとなる(特開平
9−207079号公報等参照)。
ては、これを安定させるためグラウンドアンカーやロッ
クボルト等の土木用アンカー材が、その基端側部分を地
盤より突出した状態で埋設される。従来、それらアンカ
ー材の露出部は、コンクリートで覆うなどして防錆が図
られていたが、最近では、特開平11−264135号
公報等に示されるように、施工性の向上を目的として、
内部にグリース等の防錆材を充填した防錆用キャップを
冠着することが多くなっている。
第1026868号公報等に記載される袋ナット状のも
のが知られており、開放端側の内周面と外周面にそれぞ
れ雌ネジ部とスパナ掛け用の多角形状部が形成されると
ともに、その開放側端面にはシールリングが装着され、
上記トルクレンチ等の適宜締付用工具を用いてアンカー
材の露出部に螺着される。この種のキャップにおける多
角形状部の寸法は、ロックボルト用の場合で少なくとも
メートルネジでM76相当程度であり、さらにグラウン
ドアンカー用ともなると、同M100を大きく超える寸
法に形成され、ネジ部材としてみた場合には、きわめて
大きいほうの部類に入る。一方、その使用状態において
は、内部に充填されたグリース等が外に漏れ出ない程度
にシール状態が保持されればよく、むしろキャップの締
め過ぎはシールリング損傷等の原因になることから、前
記ロックボルト用のキャップを例に挙げると、その締付
けトルクはメートルネジでM12ないしM16のネジ部
品に適用する程度の荷重が推奨され、一般的なネジ部材
におけるサイズと締付けトルクの関係からは大きく外れ
たものになっている。
して例示した上記防錆キャップの取付作業のように、多
角形状部の寸法が大きい割りには締付けトルクをそれほ
ど必要としない場合でも、大きな締付けトルクの付与を
前提として作られている大型で重い締付用工具を使用せ
ざるを得なかった。このため、上記防錆キャップが適用
される法面のように、足場の悪い場所での取付作業は、
安全性、作業性等の面で改善すべき大きな問題があっ
た。
鑑みなされたもので、トルク管理機能を有し、多角形状
部の寸法が大きいネジ部材に適用可能でありながら小型
で軽量のスパナの提供をその目的とするものである。
め、本発明では、ナット等のネジ部材の外周面に設けら
れた多角形状部に嵌合して締付けトルクを伝達するスパ
ナにおいて、前記嵌合部が、所定値以上の締付けトルク
では素材自体の弾性変形により空転する構成とした点に
大きな特徴がある。
その肉厚やネジ部材に対するクリアランス等の条件を適
宜選択することにより、所定の締付けトルク以上では、
当該嵌合部に弾性変形が生じて空転するようになる。こ
のため、従来のような複雑なトルク調整機構が不要とな
り、多角形状部の寸法が大きいネジ部材を対象とする場
合でも、スパナを小型で軽量化することができ、製造コ
ストの低減にもつながる。したがって、例えば土木用ア
ンカー材の施工における防錆キャップの取付作業のよう
に、ネジ部材のサイズとしては大きくてもそれほど大き
な締付けトルクを必要とせず、また傾斜面等の足場が悪
い作業環境での使用においては、その取扱いやすさの点
から特に好適な工具となる。
部に対して適度なクリアランスを有する環状に形成した
場合には、当該クリアランスの存在により弾性変形が阻
害されることはなく、所定の締付けトルク以上では嵌合
部が適度に変形して空転するとともに、回動操作中にネ
ジ部材から外れにくいことから、特に前記のような傾斜
面で足場の悪い場所での操作性が向上するという利点が
ある。
弾性と機械的強度を兼ね備えているものがよく、合成樹
脂、バネ鋼などの使用が可能である。合成樹脂の具体例
を挙げると、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアリレ
ート、ABS樹脂などであり、この中でも価格、性能等
の点からABS樹脂が好適である。さらに、必要に応じ
てガラス繊維等の補強用充填材を添加してもよく、また
スパナ全体をかかる弾性材料とせずに嵌合部のみとし、
他の部分については別の材料とすることもできる。この
場合、嵌合部の内周側の形状として、隣り合う各直線部
の間に円弧部が配置された略六角形状とすれば、回動操
作中に特定部位への応力集中がなくなり、クラックの防
止に効果があり、繰返し使用における耐久性の向上にも
つながる。
照しながら本発明について詳細に説明する。図1は、本
発明に係るスパナの一実施例を示す平面図である。図示
のスパナ1はABS樹脂を素材とし、適宜長さのハンド
ル部2の一端側に、適用対象となるネジ部材の多角形状
部に嵌入される環状の嵌合部3が一体に形成されたもの
である。そして、この嵌合部3の内周側は、それぞれ六
個の直線部3aと円弧部3bとが交互に配置された略六
角形状に形成され、適用対象のネジ部材の多角形状部に
対して適度なクリアランスを有している。また、ハンド
ル部2の中央には、前記嵌合部3よりも小さいサイズで
六角形状の孔部2aが形成され、この孔部2aは、後述
するネジ部材としての防錆キャップの頂部に設けられた
防錆材確認用の六角ボルトの締付けに利用するものであ
る。さらに、ハンドル部2の他端側には小孔2bが設け
られ、ここに紐を通して作業者の腰などに吊り下げられ
るようになっている。
部材について説明する。図2および図3は、それぞれネ
ジ部材の一例である袋ナット状の金属製防錆キャップ1
0の部分断面正面図と同平面図である。このキャップ1
0は、地盤の安定に使用されるロックボルト等の土木用
アンカー材の施工において、地盤等から突出したアンカ
ー材頭部に装着して防錆を行うためのものである。その
構成について詳述すると、キャップ10の開放端側の内
周面に雌ネジ部10aが形成されるとともに、当該雌ネ
ジ部10aの外側周縁には鍔部10bが設けられ、この
鍔部10bに続く外周面がスパナを掛合させるための多
角形状部11となっている。なお、この多角形状部11
は、図3に明示されるように、六個の直線部11aと円
弧部11bとが交互に配置された略六角形状に形成さ
れ、スパナ1の嵌合部3が嵌合可能な寸法となってい
る。さらに、鍔部10bの端面には環状溝が形成され、
その内部にシールリング12が装着され、またキャップ
10の頂部に六角ボルト13が螺合している。
を示す部分断面図である。ここで、アンカー材20は法
枠21の交点部分に設置され、交点部分に設けられた孔
22にその基端側が突出した状態でグラウト材Gを介し
て定着されている。この突出部には角座金23が挿通さ
れ、その外側において凹状球面を有する球面座金24
と、先端側が凸状球面となっている締着用ナット25と
により固定される。そして、防錆キャップ10は、球面
座金24の外周面に形成されている雄ネジ部24aに螺
着され、その内部にはグリース等の防錆材26が充填さ
れる。
を示す斜視図である。防錆キャップ10の取付にあたっ
ては、予め頂部の六角ボルト13をやや緩めた状態で内
部にグリース等を雌ネジ部10aの近くまで充填し、こ
れをアンカー材の突出部に被せ、手で締められるところ
まで締め付ける。次いで、スパナ1を防錆キャップ10
の多角形状部11に嵌合させて締め付けると、スパナ1
の回転に伴ってその締付けトルクは漸増するが、所定の
回転角を超えた時点で多角形状部11において滑りが生
じ、スパナ1をさらに回転させても防錆キャップ10は
その位置に止まる。すなわち、本発明によるスパナ1
は、所定の締付けトルク以上では当該嵌合部3に弾性変
形が生じるように予め設定してあるため、過剰な締付力
が防錆キャップ10に負荷されることはない。したがっ
て、スパナ1を使用する場合には、空転が生じるまで締
め付ければ、シールリング12が有効に機能する最適な
締付け状態とすることができるのである。なお、スパナ
1の回転に伴い、頂部に仮締め状態で螺着された六角ボ
ルト13の周囲から防錆材が漏れ出たことを確認した
ら、スパナ1の孔部2aを利用して六角ボルト13を締
め付けると、防錆キャップ10の取付作業が完了するこ
とになる。
角形状部の寸法が大きい割にはさほどの締付けトルクを
必要としないネジ部材に対応する締付用工具として有効
であり、小型で軽量であることに加え、トルク管理も可
能であることから、法面等の足場の悪い場所での使用に
特に好適である。さらに、従来のような複雑なトルク調
整機構が不要であり成形の容易さ等の理由により、低コ
ストでの製造が可能になる。なお、実施例では、防錆キ
ャップ10の多角形状部11に円弧部11bが存在し、
ここで用いるスパナ1の嵌合部3にも同様な円弧部3b
が設けられているが、必ずしも適用対象となるネジ部材
の多角形状部の形状と同一にする必要はなく、例えば六
角形状にしてもよい。すなわち、ネジ部材の多角形状部
と、これに対応するスパナの嵌合部の形状は格別限定さ
れることはなく、所要の締付けトルク以上となったとき
にスパナの嵌合部が、弾性変形によりネジ部材に対して
空転するような形状、素材、両者の隙間等を選定すれば
よいのである。
プ10における多角形状部11の寸法がM56に相当す
るもの(なお、雌ネジ部10aの寸法ではM76のナッ
トに相当している。)を対象とした場合には、ABS樹
脂製のスパナ1の嵌合部3の厚さを7mmとすれば、
4,700N・cm程度の締付けトルクで空転が生じ
た。また、この時の締付け角度は、手による仮締めの状
態から45度程度回転させた位置であり、この状態で長
期間の暴露試験を行っても防錆材26の漏洩は見られな
かった。さらに、このスパナ1は、繰返し使用にも十分
耐え得るものであった。なお、空転を開始する時点での
締付けトルク値、すなわちネジ部材に対して最大限に負
荷することのできる締付けトルク値は、スパナ1におけ
る嵌合部3の材質ならびにその肉厚やネジ部材に対する
クリアランス等の条件を適宜選択することにより、任意
に設定することができる。
である。図示のスパナ5は、前記実施例と同様な合成樹
脂により形成され、ハンドル部の形状も同様であるが、
嵌合部6の形状が開放している点で環状の前記実施例と
は異なるものである。ここで嵌合部6は、ネジ部材の多
角形状部が六角形のものを対象としており、先端側にあ
る一対の挟持部6a,6a間の間隔は、一般的なスパナ
と同様にネジ部材の二面幅に対応した寸法に設定されて
いる。さらに、これら挟持部6a,6aの内縁部分にそ
れぞれ続く傾斜辺部6b,6bの交点方向には、ハンド
ル部7側に入り込むようにU字状の切欠部6cが設けら
れている。このスパナ5は、適宜ネジ部材に適用して回
転させると、所定の締付けトルク以上では挟持部6a,
6a間が弾性変形により広がり、ネジ部材に対して空転
するようになっている。この場合、ネジ部材に負荷すべ
き最大の締付けトルクは、前記実施例のスパナ1と同様
に嵌合部の材質、厚さ等によっても調整はできるが、特
に本実施例では切欠部6cの寸法を適宜選定することに
より容易に調整することが可能であり、しかもその範囲
が広いという利点もある。
の別の実施例であって、嵌合部の内周側の形状が前記第
一実施例とは異なるが、その余の部分の形状と材質は第
一実施例と同様である。図示のスパナ8において、嵌合
部9は、平面視円弧状の六個の突起9aが、それぞれの
頂部を嵌合部9の中心に向けて60度間隔で内周側に突
出した形状になっている。そして、スパナ8をネジ部材
30の多角形状部に嵌合して締付け方向に回動すると、
これら突起9aは、それぞれが多角形状部の各角部30
aの近くで掛合し、その締付力を伝達する。そして、所
定の締付けトルク以上では、嵌合部9における突起9a
間の部分が弾性変形し、これにより各突起9aが角部3
0aを乗り越え、それ以上の締付力がネジ部材30に導
入されないようになっている。
て土木用アンカー材に用いる防錆キャップに適用する事
例について説明したが、もちろん嵌合部等の形状を適宜
変更すれば、これとは全く別の使用目的、形状である各
種のネジ部材に適用することは可能であり、その場合に
は嵌合部における円弧部も必ずしも必要ではない。さら
に、ネジ部材における多角形状部と併せてスパナの嵌合
部の内周縁側を八角形以上の多角形状にしたり、また嵌
合部をハンドル部の両側に設けるなどして複数にしても
よく、その他ハンドル部の形状や材質を他のものに変更
するなど、この発明の技術思想内での種々の変更実施は
もちろん可能である。
ナは、所定の締付けトルク以上で嵌合部に弾性変形が生
じ、ネジ部材に対して空転する構成であるから、従来の
ような複雑なトルク調整機構が不要となり、スパナの小
型・軽量化に加え、低コストでの製造が可能になるな
ど、その実用上の効果はきわめて大である。かかる特長
を有するスパナは、例えば土木用アンカー材の突出部に
装着される防錆キャップなどのように、ネジ部材として
のサイズが大きくてもそれほど大きな締付けトルクを必
要としないものの締付け作業に特に適しており、前記防
錆キャップが用いられる傾斜面等の足場が悪い作業環境
での使用においては、その取扱いやすさの点から利便性
が高いものである。
成すれば、操作中においてネジ部材から外れにくいこと
から、前記のような足場の悪い場所での操作性が向上す
る。この場合、嵌合部を合成樹脂製とし、その形状を隣
り合う各直線部の間に円弧部が配置された略六角形状と
した場合には、嵌合部の特定部位への応力集中がなくな
り、合成樹脂製であっても耐久性の良好な工具となり、
スパナ全体を合成樹脂製とすれば安価に製造することが
できるなど、その実用上の効果はきわめて大である。
である。
錆キャップの部分断面正面である。
分断面図である。
ある。
ある。
ある。
…嵌合部、10,30…ネジ部材、11…多角形状部、
20…アンカー材、21…法枠
Claims (4)
- 【請求項1】ナット等のネジ部材の外周面に設けられた
多角形状部に嵌合して締付けトルクを伝達するスパナで
あって、前記嵌合部が、所定値以上の締付けトルクにお
いて素材自体の弾性変形により空転するものであること
を特徴とするスパナ。 - 【請求項2】前記嵌合部が環状に形成され、ネジ部材の
多角形状部に対して所要のクリアランスを有することを
特徴とする請求項1に記載のスパナ。 - 【請求項3】前記嵌合部が合成樹脂からなることを特徴
とする請求項1または2に記載のスパナ。 - 【請求項4】前記嵌合部における内周側の形状が、隣り
合う各直線部の間に円弧部が配置された略六角形状であ
ることを特徴とする請求項3に記載のスパナ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP34426799A JP4811889B2 (ja) | 1999-12-03 | 1999-12-03 | 防錆キャップ用スパナ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Family
ID=18367922
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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