JP2001160206A - 磁気記憶装置 - Google Patents

磁気記憶装置

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JP2001160206A
JP2001160206A JP2000340373A JP2000340373A JP2001160206A JP 2001160206 A JP2001160206 A JP 2001160206A JP 2000340373 A JP2000340373 A JP 2000340373A JP 2000340373 A JP2000340373 A JP 2000340373A JP 2001160206 A JP2001160206 A JP 2001160206A
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JP2000340373A
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English (en)
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Masaaki Sano
雅章 佐野
Yoshiaki Kita
芳明 北
Shunichi Narumi
俊一 鳴海
Takashi Kawabe
隆 川辺
Moriaki Fuyama
盛明 府山
公史 ▲高▼野
Koji Takano
Hisano Yamamoto
久乃 山本
Kenzo Masuda
賢三 益田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、記録密度の増大に伴うアク
セス時間の増大,転送速度の低減を回避し、メディア転
送速度15MB/s以上を確保するための磁気記憶装置
に適合した高飽和磁束密度,高比抵抗を有する薄膜材料
を用いた記録用薄膜磁気ヘッドとその製造方法及びそれ
を用いた磁気記憶装置を提供することにある。 【解決手段】 40〜60Ni−Fe及び更にこれにC
o,Mo,Cr,B,In,Pd等を添加し、高飽和磁
束密度を1.5T 以上,比抵抗を40μΩcm以上を有す
る磁性膜をフレームめっき法により製造することによ
り、高周波領域でも十分記録可能な記録ヘッドとなり、
メディア転送速度15MB/s以上,記録周波数45MH
z以上,磁気ディスクを4000rpm 以上で回転させる
高記録密度磁気記憶装置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッド用磁気コア
に関し、特に高記録密度用記録・再生分離型磁気ヘッド
の記録用ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気ディスク装置の高記録密度化
に伴って、記録媒体の高保磁力化が進み、該高保磁力媒
体に十分記録し得る能力を有する薄膜磁気ヘッドが要求
されている。そのためには、磁気ヘッドのコア材料には
飽和磁束密度(BS )の高い材料を用いることが必要で
ある。これらの材料として、従来、膜厚が3μm程度の
Ni−Fe合金膜が用いられてきた。しかし、このNi
−Fe合金膜は比抵抗が16〜20μΩcmと低いた
め、うず電流損失が大きく、このために高周波領域にお
ける記録磁界強度が低下し、記録周波数は高々30MH
z程度が限度である。また、これに替わる材料としてC
o系非晶質材料,Fe−Al−Si系センダト合金薄膜
等が提案されているが前者は非晶質であるがゆえに熱的
に不安定であること、また、後者は500℃程度の高い
温度での熱処理が必要であることなどから磁気ディスク
用の磁気コア材としては製造プロセス的に難点があり、
実用化に至っていない。また、最近では、薄膜磁気ヘッ
ド用磁気コア材料としてCo−Ni−Fe3元系材料が
提案されている(特開昭60−82638号,特開昭61−76
642号,特開昭64−8605号,特開平2−68906号,特
開平2−290995号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの3元系材料は
飽和磁束密度(BS )は1.5T 以上と高いが、Ni−
Fe合金膜同様比抵抗及び結晶粒径について全く考慮さ
れておらず、更にNi−Fe合金膜同様高周波特性に難
点があった。
【0004】一方、磁気ディスク装置の記憶容量は年々
確実に増大しており、現在製品化されている3.5 イン
チ装置の面記録密度、最大で350Mb/in2 まで高
められている。この場合のデータ記録周波数は27MH
z程度であり、従来のNi−Fe合金膜あるいはCo−
Ni−Fe合金膜では磁気ヘッドの性能限界に近づきつ
つある。
【0005】また、高周波用として40〜55Ni−F
eにNb,Ta,Cr,Mo等を添加したスパッタリン
グ法で形成する磁性膜として特開平3−68744号が提案さ
れているが、結晶磁気異方性が大きい材料ゆえ磁気特性
的にスパッタリング法による厚膜形成が困難である。
【0006】本発明の目的は、高周波領域での高記録密
度用即ち、高速アクセス,高速転送対応の磁気ヘッド
と、及びこれを用いた磁気記憶装置を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した問題
に鑑み成されたもので、高速転送,高記録密度を達成さ
せるための磁気ディスク装置、即ち、磁気ディスク装置
が記録・再生時に磁気ディスクが4000rpm 以上で回
転し、記録周波数が45MHz以上に設定されている磁
気記憶装置に搭載し、その性能を発揮させるための薄膜
磁気ヘッドとしては飽和磁束密度(BS )が大きく、困
難軸方向の保磁力が小さく、かつ、比抵抗が大きい材料
が要求される。従って、比抵抗も高く、飽和磁束密度も
高い組成領域はNi:38〜60重量%の範囲である。
しかしながら、この組成領域は結晶磁気異方性が最も大
きい範囲であるために通常薄膜磁気ヘッド等に適用され
る2μm以上の厚膜の磁性膜をスパッタリング法等で作
製する場合、膜の結晶粒が大きくなってしまい、保磁力
が大きく、一軸異方性が付与されにくい。
【0008】そこで、結晶粒を小さく抑えられるめっき
法を取上げ、38〜60重量%Ni−Fe2元系合金を
ベースにCo,Mo,Cr,Pd,B,In等の第3元
素の添加を検討し、必要な記録磁界を得る膜厚2〜5μ
mを確保した上で飽和磁束密度(BS ):1.5T以上,
保磁力(HCH):1.0Oe以下で、かつ比抵抗40μΩ
cm以上を有する優れた薄膜の組成範囲と製造方法を見出
したものである。これらの材料を薄膜磁気ヘッドに用い
ることにより、面記録密度:500Mb/in2 以上,
記録周波数:45MHz以上,転送速度15MB/s以
上の高性能磁気記憶装置を提供出来る。
【0009】本発明は、情報を記録する薄膜磁気ディス
クと,該薄膜磁気ディスクの回転手段と,浮動型スライ
ダに設けられ情報の書き込みと読み出しとを行う特にこ
れらを別個に行う薄膜磁気ヘッドと,前記浮動型スライ
ダを支持し薄膜磁気ディスクに対してアクセスする移動
手段とを具備した磁気記憶装置において、前記薄膜磁気
ヘッドの前記書き込み用磁気コアの上部磁気コア及び下
部磁気コアの少なくとも一方は平均結晶粒径が500Å
以下,室温の比抵抗が40μΩcm以上及び困難軸方向の
保磁力が1.0Oe 以下である金属磁性材よりなること
を特徴とする磁気記憶装置にある。
【0010】更に、本発明は前記薄膜磁気ヘッドの前記
書き込み用磁気コアの上部磁気コア及び下部磁気コアの
少なくとも一方は重量でNi38〜60重量%及びFe
40〜62重量%を有するNi−Fe系合金の電気めっ
き薄膜よりなることを特徴とする。
【0011】更に、本発明はメディア転送速度が1秒間
当たり15メガバイト以上,記録データの面記録密度が
1平方インチ当たり500メガビット以上及び情報の記
憶媒体が直径3.5 インチ以下の円盤状磁気ディスクを
具備した磁気記憶装置において、前記磁気ディスクが記
録・再生時に4000rpm 以上で回転し、記録周波数が
45MHz以上であり、前記記録を行う薄膜磁気ヘッド
の少なくとも上部磁気コアは、重量でNi38〜60重
量%及びFe40〜62重量%を有するNi−Fe系合
金からなり、その膜厚が1〜5μm,平均結晶粒径が5
00Å以下,比抵抗が40〜60μΩcm,困難軸方向の
保磁力が1.0Oe 以下及び、該記録用磁気ヘッドの記
録起磁力が0.5 アンペア・ターン以上であることを特
徴とする。
【0012】本発明に係る前記磁気コアは重量でCo1
5重量%以下及びMo,Cr,Pd,B及びInの1種
以上を総量で3重量%以下の少なくとも一方を含むこと
ができるものである。
【0013】更に、本発明は、情報を記録する薄膜磁気
ディスクと,該薄膜磁気ディスクの回転手段と,浮動型
スライダに設けられ情報の書き込みと読み出しとを別々
の素子で行う記録再生分離型薄膜磁気ヘッドと,前記浮
動型スライダを支持し薄膜磁気ディスクに対してアクセ
スする移動手段とを具備した磁気記憶装置においても前
述の記録部の薄膜磁気ヘッドの磁性膜に前述と同様の特
性,組成のものを用いることを特徴とする。
【0014】更に、本発明は、メディア転送速度が1秒
間当たり15メガバイト以上,記録データの面記録密度
が1平方インチ当たり500メガビット以上及び情報の
記憶媒体が直径3.5 インチ以下の円盤状磁気ディスク
を具備した磁気記憶装置において、前記磁気ディスクが
記録・再生時に4000rpm 以上で回転し、記録周波数
が45MHz以上であり、前記記録再生とを別々の素子
で行う記録再生分離型薄膜磁気ヘッドを有し、前記記録
を行う薄膜磁気ヘッドの少なくとも上部磁気コアに同様
の特性,組成のものを用いることを特徴とする。
【0015】本発明は、下部磁性膜と,該下部磁性膜上
に形成され一端が前記下部磁性膜の一端に接し、他端が
前記下部磁性膜の他端に磁気ギャップを介して対向し、
これによって下部磁性膜と共に一部に磁気ギャップを有
する磁気回路を形成する上部磁性膜と,両磁性膜間を通
り磁気回路と交差する所定巻回数のコイルを形成する導
体コイルとを具備した薄膜磁気ヘッドにおいて、前記下
部及び上部磁性膜の少なくとも一方が、めっき法で形成
され、重量でNi38〜60重量%及びFe40〜62
重量%を含有するNi−Fe系合金からなり、膜厚が1
〜5μm,平均結晶粒径が500Å以下及び困難軸方向
の保磁力が1.0Oe 以下であることを特徴とする薄膜
磁気ヘッドにある。
【0016】本発明は、下部磁性膜と,該下部磁性膜上
に形成され一端が前記下部磁性膜の一端に接し、他端が
前記下部磁性膜の他端に磁気ギャップを介して対向し、
これによって下部磁性膜と共に一部に磁気ギャップを有
する磁気回路を形成する上部磁性膜と,両磁性膜間を通
り磁気回路と交差する所定巻回数のコイルを形成する導
体コイルとを具備した薄膜磁気ヘッドの製造方法におい
て、前記下部及び上部磁性膜の少なくとも一方を、めっ
き浴が金属イオン濃度が15〜20g/lのNi++イオ
ン及び2.0〜2.7g/lのFe++イオンを含み、か
つ、Ni++イオンとFe++イオンの比(Ni++/Fe+
+)が7〜8と、応力緩和剤及び界面活性剤とを含み、
pHが2.5〜3.5であるNi−Fe合金の電気めっき
浴を用い電気めっきによって形成することを特徴とする
薄膜磁気ヘッドの製造方法にある。
【0017】特に、浴温度は20〜35℃に保持して5
〜30mA/cm2 の電流密度で磁界中フレームめっきに
より作製するのが好ましい。
【0018】更に、本発明はCoイオンを0.4〜0.6
g/l,Cr,Mo,Pd,In,Bの各イオンを0.
1g/l 以下を添加したことを特徴とする。更に、本
発明は磁界中フレームによって電気めっきによって作製
するのが好ましい。
【0019】本発明は、記録ヘッドの磁極磁性膜のうず
電流損失を考慮して膜厚,比抵抗,比透磁率を設計し、
記録周波数に伴う書きにじみ量、あるいはオーバーライ
ト値の変動を防止すること、ならびにデータの記録周波
数を高く設定し、かつ、上記ヘッドに適した磁気ディス
クを高速で回転させることにより解決される。
【0020】(1)メディア転送速度が1秒間当たり1
5メガバイト以上,記録データの面記録密度が1平方イ
ンチ当たり500メガビット以上となる手段を有するこ
とが好ましい。
【0021】(2)情報の記憶を直径3.5 インチ以下
の円盤状の磁気ディスクに行うときは、記録再生時にこ
の磁気ディスクが4000rpm 以上で回転し、記録周波
数が45MHz以上に設定されることが好ましい。
【0022】(3)保磁力2kOe以上の金属磁性膜を
用いた磁気ディスクを有することが好ましい。
【0023】(4)記録電流の立上り時間が5ナノ秒
(ns)以下に設定されることが好ましい。
【0024】(5)磁気ディスク媒体に情報の記録を行
う誘導型磁気ヘッドの記録用コイルは、薄膜プロセスを
利用して形成されており、端子数は3で、各端子間のイ
ンダクタンスは1マイクロヘンリー(μH)以下である
ことが好ましい。
【0025】(6)磁気ディスク媒体に情報の記録を行
う誘導型磁気ヘッドの記録用コイルは2層構造であり、
1層目コイルと2層目コイルの巻線数は等しく、かつ巻
線方向は互いに逆向きであることが好ましい。
【0026】(7)磁気ディスク媒体に情報の記録を行
う誘導型磁気ヘッドの記録用コイルは1層構造であり、
コイル始点(a)から終点(b)間の巻線数の半分に相
当する位置(c)に別の端子が接続されており、(c)−
(a)間、および(c)−(b)間に流れる電流は互いに
逆位相であることが好ましい。
【0027】(8)データの記録、あるいは記録再生に
用いる磁気ヘッドの記録磁極を構成する磁性膜の膜厚を
d(μm),比抵抗をρ(μΩcm),低周波領域におけ
る比透磁率をμとしたとき、それぞれのパラメータがμ
2/ρ≦500 なる関係を満足する手段を有すること
が好ましい。
【0028】(9)データの記録、あるいは記録再生に
用いる磁気ヘッドの記録磁極の少なくとも一部は、磁性
層と絶縁層とが交互に積層された多層構造となってお
り、その膜厚は2.7μm 以下であることが好ましい。
【0029】(10)データの記録、あるいは記録再生
に用いる磁気ヘッドの記録用磁性材の少なくとも上部磁
性材に前述のFe−Ni系合金、下部にはCo系非晶質
合金、あるいはFe系非晶質合金が用いることが好まし
い。
【0030】(11)磁気ヘッドの記録磁極材料内には
Zr,Y,Ti,Hf,Al、あるいはSiの内の少な
くとも一種を含むことが好ましい。
【0031】(12)データの記録、あるいは記録再生
に用いる磁気ヘッドの記録起磁力、すなわち記録電流と
コイル巻線数との積が0.5アンペア・ターン(AT)以
上に設定されていることが好ましい。
【0032】(13)データの記録、あるいは記録再生
に用いる磁気ヘッドの記録磁極の少なくとも一部の比抵
抗は40μΩcm以上、比透磁率は500以上であること
が好ましい。
【0033】(14)磁気ディスク媒体に情報の記録を
行う誘導型磁気ヘッドの記録用コイルは1層構造であ
り、コイル始点(a)から終点(b)間の巻線数の半分
に相当する位置(c)に別の端子が接続されており、
(c)−(a)間、および(c)−(b)間に流れる電流は互
いに逆位相であること、再生ヘッドとしてスピンバルブ
型素子,巨大磁気抵抗効果型素子を用いた記録再生分離
型ヘッドを用いることが好ましい。
【0034】記録周波数45MHz以上の高周波領域で
は磁気ヘッドのヘッド効率(磁束を誘導する効率)はう
ず電流損が支配的になる。従って、うず電流損を軽減す
るためには磁気コアの膜厚を薄くするのが最も効果的で
あるが、膜厚を薄くすると記録磁界が不足し記録不可能
となる。保磁力:2000Oe以上、特に2300Oe
以上の高保磁力媒体に十分記録するためには飽和磁束密
度が高いことは勿論のこと膜厚は2μm以上が必要とな
る。通常、多層膜化するのはこのうず電流損を低減させ
るためであるが、高記録密度対応のヘッドプロセスでは
寸法精度的に困難である。そのため磁気コアの比抵抗を
大きくしてうず電流損を低減させ、磁気コアの透磁率
(μ)の周波数特性を高周波側まで伸ばすことが必要で
ある。
【0035】Ni−Fe2元系磁性膜(膜厚:3μm)
ではNi38〜60重量%の範囲で飽和磁束密度
(BS )が1.5T 以上を示すと共に、比抵抗(ρ)が
40〜50μΩcmを示す。即ち、Niが38重量%より
少なくなると比抵抗(ρ)は高いが、飽和磁束密度(B
S )が1.5T を下まわる。また、Niが60重量%を
越えるとやはり飽和磁束密度(BS )が1.5T を下ま
わるので好ましくない。特に、40〜50重量%が好ま
しい。このような組成の膜を作製する場合はめっき法が
良い。即ち、電気めっき法により結晶粒径を非常に微細
にするために結晶磁気異方性の大きい本組成でも保磁力
を小さくできることと、結晶の配向性を極力なくすこと
ができるためである。例えば、結晶の配向比を(11
1)/(200)<5.0 以下にすることが望ましい。そ
のような膜を作製するためのめっき浴組成のNi及びF
eイオン濃度はNi++:15〜20g/l,Fe++:
2.0〜2.7g/lで、イオン比(Ni++/Fe++)は
7〜8であった。また、この時のめっき電流密度は10
〜20mA/cm2、pHは3.0、浴温度は30℃であ
る。
【0036】一方、Co,Mo,Cr,B,In及びP
dの少なくとも1種の元素を添加する場合、Coは15
重量%以下、Moは3重量%以下が飽和磁束密度
(BS )を1.5T以上に保ち、比抵抗(ρ)を40μΩ
cm以上を確保する上で望ましい。浴組成でCoの場合C
oSO4・6H2Oを100g/l(Coイオンで21g
/l)まで、Moの場合Na2MoO4・2H2Oを4.8
g/l(Moイオンで1.9g/l)までの添加が望まし
い。例えば、Moの替わりにCr〔Cr2(SO4)3・18
2O〕 を添加した場合もほぼ同様の結果を示した。
B,In等は比抵抗(ρ)の増大は10%程度でそれ程
大きな効果はなかった。一方、Coの添加は膜の比抵抗
(ρ)は若干低下するが飽和磁束密度(BS )は約10
%増大するので、Moとの共用が望ましい。また、Co
は膜の異方性磁界(HK )を増加させるので磁気特性の
安定化には好ましい。
【0037】尚、Coは15重量%以上になると膜の飽
和磁束密度(BS )は増大するが比抵抗(ρ)が小さく
なり過ぎて、Mo,Crの添加量を多くしないと膜の比
抵抗(ρ)を所望の値まで大きくできない。そのため膜
の保磁力が大きくなり好ましくない。また、Mo,Cr
等はやはり膜の保磁力を大きくしないで比抵抗(ρ)を
所望の値まで大きくするためには3重量%以下とする。
【0038】また、B,In,Pd等の添加量も同様で
ある。これらの場合のめっき条件は上述のNi−Fe2
元系の場合とまったく同様でよい。
【0039】磁性膜の高周波損失(tanδ)が、うず電流
損失のみによるものと仮定すると tanδ=μ″/μ′ =R/ωL =μ0μπd2f/Cρ …(1) と表せる。ここで、μ′およびμ″はそれぞれ複素透磁
率の実数部分と虚数部分である。また、Cは膜形状によ
り決まる定数、μ0 は真空の透磁率である。上式(1)
より、磁性膜固有の比透磁率μ,膜厚d,比抵抗ρがわ
かれば、周波数fに対するうず電流損失tanδ を見積も
ることができる。なお、周波数に対するヘッド効率(磁
束を誘導する効率)の変化は、複素透磁率の実数部分の
変化に比例すると考えられるので、(1)式からδを算
出し、このcos 成分をとることにより、ヘッド効率の周
波数依存性を求めることができる。すなわち、各周波数
におけるヘッド効率ηは次式で表わせる。
【0040】 η=cos[arctan(μ0μπd2f/Cρ)] …(2) (2)式より、磁性膜固有の比透磁率μ,膜厚d、およ
び比抵抗ρにより求まる値であるμd2/ρ の値を規定
することで、任意の周波数fにおけるヘッド効率ηを外
挿することができる。
【0041】上記ヘッドと高周波記録時の書きにじみ、
オーバーライト変動の小さな保磁力2kOe以上の金属
磁性膜を用いた磁気ディスクと組み合わせることによ
り、面記録密度が500Mb/in2 以上,記録周波数
45MHz以上,メディア転送速度15MB/s以上の
高性能磁気ディスク装置が得られる。
【0042】I/Oインターフェースにデータ・バスが
2バイド幅のFast and Wide SCSI(Samll Computer Sys
tem Interface)を用いた場合、入出力装置の価格と入出
力装置を構成する磁気ディスク装置1台当たりの転送速
度との関係から、データ・バスが2バイド幅のFast and
Wide SCSIインターフェースを用いると最大20M
B/sまでのデータ転送が可能となる。この場合、磁気
ディスク装置1台当たりの転送速度は15MB/s以上
であれば、入出力装置の価格低減が可能となることがわ
かる。
【0043】また磁気ディスク装置1台当たりの容量は
550MBあればWindows, Workplace等のOS
(Operation Software)を取り扱うことが可能となる。
この容量は3.5 インチの磁気ディスク1枚で実現する
には、データの記録可能な面記録密度は500Mb/i
2 以上である必要がある。
【0044】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1,図2に本発明
の一例である磁気ディスク装置の全体図、及び平面図を
示す。本磁気ディスク装置の構成は、情報を記録するた
めの磁気ディスク1,これを回転する手段のDCモータ
(図面省略),情報を書き込み,読み取りするための磁
気ヘッド2,これを支持して磁気ディスクに対して位置
を変える手段の位置決め装置、即ち、アクチュエータ4
とボイスコイルモータ5、及び装置内部を清浄に保つた
めのエアフィルタ6などからなる。アクチュエータは、
キャリッジ7とレール8,軸受9から成り、ボイスコイ
ルモータはボイスコイル10,マグネット11からな
る。これらの図では、同一の回転軸に8枚の磁気ディス
クを取付け、合計の記憶容量を大きくした例を示してい
る。
【0045】図3は本発明に係る磁気記録再生装置の正
面図、図4は同じくその平面図である。図において、1
は磁気ディスク、2は磁気ヘッド、3はジンバル系支持
装置、4は位置決め装置(アクチュエータ)である。磁
気ディスク1は回転駆動機構により、矢印aの方向に回
転駆動される。磁気ヘッド2は支持装置3によって支持
され、位置決め装置4により、回転直径O1 上で、矢印
1 またはb2 の方向に駆動されて位置決めされ、それ
によって所定のシリンダT1 〜Tn において、磁気記
録,再生が行われる。
【0046】磁気ディスク1は表面粗さRMAX が100
Å以下、望ましくは50Å以下の表面性の良好な媒体と
する。磁気ディスク1は、剛性基体の表面に真空成膜法
によって磁気記録層を形成してある。磁気記録層はγ−
Fe23またはCo−Ni,Co−Cr等の磁性薄膜と
して形成する。真空成膜法によって形成される磁気記録
層の膜厚は0.5μm 以下であるので、剛性基体の表面
性がそのまま記録層の表面性として反映される。従っ
て、剛性基体は、表面粗さRMAX が100Å以下のもの
を使用する。そのような剛性基体としては、ガラス,化
学強化されたソーダアルミノ珪酸ガラスまたはセラミッ
クを主成分とする剛性基体が適している。
【0047】磁気記録層は、γ−Fe23等の磁性酸化
鉄や磁性窒化物で構成することができる。また、磁性層
が金属や合金などの場合には、表面に酸化物層,窒化物
層を設けるか、表面を酸化皮膜とするのが望ましい。ま
た、炭素保護膜の使用等も望ましい。こうすることによ
り、磁気記録層の耐久性が向上し、極く低浮上量で記録
再生する場合や、コンタクト,スタート,ストップ時に
おいても、磁気ディスク1の損傷を防止できる。酸化物
層及び窒化物層は、反応性スパッタ,反応性蒸着等によ
って形成できる。また、酸化皮膜は、Co−Niまたは
Co−Cr等のように、鉄,コバルト,ニッケルのう
ち、少なくとも1種を含む金属または合金でなる磁気記
録層の表面を、反応性プラズマ処理等により、意図的に
酸化して形成できる。磁気ディスク1は、磁気記録層の
記録残留磁化が膜面に対して垂直方向の成分を主成分と
する垂直記録,膜面内成分を主成分とする面内記録のい
ずれであってもよい。図示は省略したが、磁気記録層の
表面に潤滑剤を塗布してもよい。
【0048】図5及び図6は磁気ヘッド2とジンバル系
支持装置3の組立構造を示す図である。磁気ヘッド2
は、セラミック構造体でなるスライダ25の空気流出端
部側に読み書き素子22を付着させ、位置決め装置4に
よって駆動される支持装置3により、浮上面23とは反
対側の面24に荷重を加えてピッチ運動及びロール運動
を許容するように支持する。読み書き素子42はIC製
造テクノロジと同様のプロセスにしたがって形成された
薄膜素子である。
【0049】支持装置3は位置決め装置4に取付けられ
る剛性アーム部51に、弾性金属薄膜でなる支持体37
の一端を、結合具11,12によって取付け固定すると
共に、支持体37の長手方向の一端にある自由端に、同
じく金属薄板である可撓体36を取付け、この可撓体3
6の下面に、磁気ヘッド2を取付けた構造となっている
(図3及び図4参照)。支持体37は剛性アーム部51
に取付けられる部分が弾性バネ部21となっていて、こ
の弾性バネ部41に接続して剛性ビーム部42を形成し
てある。剛性ビーム部42は両側に折曲げ形成したフラ
ンジ42a,42bを有している。可撓体36は支持体
37の長手方向軸線と略平行して伸びる2つの外側可撓
性枠部31,32と、支持体37から離れた端において
外側可撓性枠部31,32を連結する横枠33と、横枠
33の略中央部から外側可撓性枠部31,32に略平行
するように伸びていて先端を自由端とした中央舌状部3
4とを有して構成され、横枠33のある方向とは反対側
の一端を、支持体37の自由端付近に溶接等の手段によ
って取付けてある。
【0050】可撓体36の中央舌状部34の上面には、
例えば半球状等の荷重用突起35が設けられていて、こ
の荷重用突起35により、支持体37の自由端から中央
舌状部34へ荷重を伝えるようにしてある。中央舌状部
34の下面には磁気ヘッド2の面24を接着等の手段に
よって固着してある。
【0051】本実施例においては、上述の表面粗さR
MAX を有する磁気ディスク1を使用し、磁気ヘッド2の
浮上開始浮上量を0.01μm〜0.04μmの範囲に設
定する。そして、磁気ディスク1に設けられる読み書き
シリンダT1 〜Tn のうち、最内周シリンダTnにおけ
る磁気ヘッド2の浮上量gを、浮上開始浮上量0.01
μm〜0.04μm から、その数倍の値の間に設定して
駆動する。磁気ヘッド2を構成するスライダ21の形
状,支持装置3から磁気ヘッド2に加わる荷重,磁気デ
ィスク1の回転数等は、上述のような浮上量が得られる
ように設定する。
【0052】図7は負圧スライダの斜視図である。
【0053】負荷スライダ70は、空気導入面71と浮
揚力を発生する2つの正圧発生面72,72とに囲まれ
た負圧発生面73を有し、さらに空気導入面71並びに
2つの正圧発生面72,72と負圧発生面73との境界
において負圧発生面73より段差の大きい溝74とから
構成される。なお、空気流出端75には磁気ディスクに
情報の記録再生を行う薄膜磁気ヘッドエレメント76を
有する。
【0054】負圧スライダ70の浮上時においては、空
気導入面71から導入された空気は負圧発生面73で膨
張されるが、その際に溝74に向かう空気の流れも作ら
れるため、溝74の内部にも空気導入面71から空気流
出端75に向かう空気の流れが存在する。したがって、
負圧スライダ70の浮上時に空気中に浮遊する塵芥が空
気導入面71から導入されたとしても溝74の内部へ導
入され、溝74内部の空気の流れによって押し流され、
空気流出端78より負圧スライダ70の外へ排出される
ことになる。また負圧スライダ70の浮上時には溝4内
部には常に空気の流れが存在し澱み等がないため、塵芥
が凝集することもない。
【0055】図8は記録用ヘッドを形成した、記録再生
分離型ヘッドの概念図である。記録再生分離型ヘッド
は、本発明の素子を用いたインダクティブ型の記録ヘッ
ド,再生ヘッドと、及び、漏れ磁界による再生ヘッドの
混乱を防止するためのシールド部からなる。ここでは水
平磁気記録用の記録ヘッドとの搭載を示したが、本発明
の磁気抵抗効果素子を垂直磁気記録用のヘッドと組合わ
せ、垂直記録に用いても良い。ヘッドは、基体80上に
下部シールド膜82,磁気抵抗効果膜86及び電極8
5,上部シールド膜81からなる再生ヘッドと,下部磁
性膜84,コイル87,上部磁性膜83からなる記録ヘ
ッドとを形成してなる。このヘッドによって、記録媒体
上に信号を書き込み、また記録媒体から信号を読み取る
のである。
【0056】再生ヘッドの感知部分と,記録ヘッドの磁
気ギャップはこのように同一スライダ上に重ねた位置に
形成することで、同一トラックに同時に位置決めができ
る。このヘッドをスライダに加工し、磁気記録再生装置
に搭載した。
【0057】本実施例では、インダクティブ型の記録ヘ
ッドの上部及び下部磁性膜を以下の製法によって形成し
た。
【0058】Ni++量:16.7g/l,Fe++量:2.
4g/lを含み、その他通常の応力緩和剤,界面活性剤
を含んだめっき浴において、pH:3.0 ,めっき電流
密度:15mA/cm2 の条件でフレームめっきした上・
下部磁気コアを有する誘導型の薄膜磁気ヘッドを作製し
た。トラック幅は4.0μm、ギャップ長は0.4μmで
ある。この磁性膜の組成は42.4Ni−Fe(重量%)
であり、磁気特性は飽和磁束密度(BS )が1.64
T,困難軸保磁力(HCH)が0.5Oeで比抵抗(ρ)
は48.1μΩcm であった。上部磁気コア83,上部シ
ールド層を兼ねた下部磁気コア84,コイル87であ
る。再生のための磁気抵抗効果型素子86,磁気抵抗効
果型素子にセンス電流を流すための電極85,下部シー
ルド層82,スライダ80の構成を有する。
【0059】このような構成で評価した本発明による記
録ヘッドの性能(オーバーライト特性)を図9に示す。
40MHz以上の高周波領域でも−50dB程度の優れ
た記録性能が得られた。
【0060】図10は本実施例によって得られためっき
法とスパッタリング法によって得られた磁性膜の困難軸
保磁力と平均結晶粒径との関係を示すもので、結晶粒径
を500Å以下にすると1.0Oe 以下の低い保磁力が
得られることが分る。
【0061】更に、下部磁性膜には上述と同様に電気め
っきによってNi70〜80重量%,残部Feからなる
Ni−Fe合金薄膜又はこの合金薄膜を合金ターゲット
を用いスパッタリングによって形成することもできる。
【0062】図11は本発明のインダクティブ型の記録
ヘッドの断面図及び図12はその平面図であるが、この
薄膜ヘッドは上部シールド膜81と、その上に付着され
た前述の磁性膜からなる下部磁性膜83及び上部磁性膜
84からなる。図11は図12のA−A断面図である。
非磁性絶縁体89が層83,84の間に付着されてい
る。絶縁体の一部が磁気ギャップ88を規定し、これは
例えば周知技術によりエア・ベアリング関係に置かれた
磁性媒体と変換関係で相互作用する。支持体80はエア
・ベアリング表面(ABS)を有するスライダの形にな
っており、これはディスク・ファイル動作中に回転する
ディスクの媒体に近接し浮上関係にある。
【0063】薄膜磁気ヘッドは上部83,下部磁性膜8
4により出来るバック・ギャップ90を有する。バック
・ギャップ90は介在するコイル87により磁気ギャッ
プから隔てられている。
【0064】連続しているコイル87は例えばめっきに
より下部磁性層84の上に作った層になっており、これ
らを電磁結合する。コイル87は絶縁体89で埋められ
てあるコイルの中央には電気接点91があり、同じくコ
イルの外端部終止点には電気接点92として更に大きな
区域がある。接点は外部電線及び読み取り書き込み信号
処理ヘッド回路(図示略)に接続されている。
【0065】本発明においては、単一の層で作られたコ
イル87が、やや歪んだ楕円形をしており、その断面積
の小さい部分が磁気ギャップに最も近く配置され、磁気
ギャップからの距離が大きくなるにつれ、断面積が徐々
に大きくなる。
【0066】バック・ギャップ90は磁気ギャップのA
BSに相対的に近く位置している。
【0067】しかし楕円形コイルはバック・ギャップ9
0と磁気ギャップ88との間で比較的密に多数本入って
おり、コイルの幅乃至断面直径はこの区域では小さい。
更に、磁気ギャップから最も遠い部分での大きな断面直
径は電気抵抗の減少をもたらす。更に、楕円(長円)形
コイルは角や鋭い隅や端部を持たず、電流への抵抗が少
ない。又、楕円形状は矩形や円形(環状)コイルに比べ
導電体の全長が少なくて済む。これらの利点の結果、コ
イルの全抵抗は比較的少なく、発熱は少なく、適度の放
熱性が得られる。熱を相当量減らすので、薄膜層の層崩
れ,伸長,膨張は防止され、ABSでのボール・チップ
突出の原因が除かれる。
【0068】幅の変化がほぼ均一に進む楕円形コイル形
状は、スパッタリングや蒸着等より安価な従来のめっき
技術で付着できる。他の形状特に角のある形のコイルで
はめっき付着が不均一な幅の構造になり易い。角や鋭い
端縁部の除去は出来上ったコイルにより少ない機械的ス
トレスしか与えない。
【0069】本実施例では多数巻回したコイルがほぼ楕
円形状で磁気コア間に形成され、コイル断面径は磁気ギ
ャップからバック・ギャップに向けて徐々に拡がってお
り、信号出力は増加し、発熱が減少される。
【0070】図13は前述のインダクティブヘッドの下
部に形成した本発明の磁気抵抗効果素子の基体面上の構
成を表す概念図である。磁気抵抗効果膜110は基体1
50上に、記録媒体に対抗する面163に沿って素子の
幅143の長い短冊に形成される。この形状の規定は磁
気抵抗効果膜110に感知すべき磁界のかかる方向16
0に対して垂直な方向に適度の形状異方性を与える効果
がある。磁気抵抗効果膜110には電気的に接触してな
る電極140によって電流を通じ、記録媒体191表面
に平行な方向の幅141及び垂直な方向の幅142の大
きさを有する磁界感知部分にかかる磁界によって生じる
抵抗変化を出力として得る。
【0071】本概念図では磁気抵抗効果素子の端部が記
録媒体との対抗面に露出した形状となっているが、記録
媒体からの磁界を導くヨーク状軟磁性体を対抗面から配
置して、内側に設置した磁気抵抗効果素子に磁気的に結
合させると素子の機械的耐久性が増す。特に、素子のM
R高さを小さくすることでヨークの磁路抵抗を減少さ
せ、感度を向上することが出来る。
【0072】本発明の磁気抵抗効果素子は例えば図14
のような構成を有する。基体150上に、磁気抵抗効果
膜110、すなわちバイアス膜132,磁性膜111,
非磁性導電膜120,磁性膜112,非磁性導電膜層1
20,磁性膜層111,バイアス膜131を積層し、か
つ電極140を電気的に接合してなる。図12の素子構
成は電極140がバイアス膜131の下に設置されてい
るが、これは例えば上部バイアス膜に酸化ニッケルのよ
うな絶縁体を用いたときに有効な構造の一例となってい
る。
【0073】電極は他の構造、例えばバイアス膜を一部
にだけ形成してその上から電極140を形成しても構わな
い。あるいは導電性バイアス膜、例えばFeMn,Co
Pt膜などを用いて直接これに密着して電極を形成する
方法もある。
【0074】本素子は、バイアス膜に依って強い異方性
を印加した磁性膜と,前記の異方性に比べて弱い異方性
を一軸異方性,形状異方性、あるいはソフト膜バイアス
などで印加した磁性膜とを、電流は通じるが互いに磁気
的な結合を生じないように非磁性導電膜を介して交互に
積層したことである。特にその異方性の印加方向を以下
に述べる。
【0075】図15は本発明の磁気抵抗効果素子の異方
性制御の例を示す概念図で、図14においてA−A′で
示した素子部分の斜視図である。バイアス膜131及び
132は、図中矢印171及び172の方向に交換結合に
よる異方性を印加する。図中矢印160は感知すべき磁
界の方向、矢印161は磁性膜111に誘導した一方向
異方性の方向を示す。非磁性導電膜120に挟まれた磁
性膜112の容易磁化方向は図中矢印162の方向に一
軸異方性の誘導によって印加する。これは磁性膜の成長
中に所定の方向に磁界を印加することで達成される。本
図の実施例は異方性の印加をバイアス膜と誘導磁気異方
性で実現した例である。この結果矢印161と162は
共に膜面内で、互いに直交する。感知すべき磁界の大き
さに比較して、磁性膜111の異方性を大きく磁性膜1
12の異方性を小さくすることで、磁性膜111の磁化
を外部磁界に対してほぼ固定し、磁性膜112の磁化の
みが外部磁界に対して大きく反応するようになる。さら
に矢印160の方向にかかる感知すべき磁界に対して、
磁性膜111の磁化は異方性161によって磁化と外部
磁界が平行な容易軸励磁の状態に、逆に磁性膜112の
異方性に依って磁化と外部磁界が垂直な困難軸励磁の状
態になっている。この効果によって上記の応答をさらに
顕著なものにできるとともに、外部磁界に対して磁性膜
112の磁化が、矢印162の方向を起点に、回転によ
る困難軸励磁で素子が駆動される状態が実現し、磁壁移
動による励磁に伴うノイズを防止し、高周波での動作を
可能にすることができる。
【0076】本実施例の磁気抵抗効果素子の別の実施例
として、異方性の印加を2種類の異なるバイアス膜、つ
まり反強磁性膜との硬磁性膜で実現した例である。基体
150上に、反強磁性膜132,磁性膜111,非磁性
膜120,磁性膜112,硬磁性膜133を積層して、
電極を接続してなる。反強磁性膜132,硬磁性膜13
3を各々が非磁性膜で分離された2層の磁性膜111,
112に密着しており、感知すべき磁界の方向160に
対して平行および直行した方向172および173に磁
界中熱処理あるいは磁化処理をして磁性膜111,11
2の磁化をそれぞれ矢印161,162の方向に誘導す
る。反強磁性膜は例えば酸化ニッケル,硬磁性膜はコバ
ルト白金合金などが用いられる。硬磁性膜と反強磁性膜
の位置が逆か、それぞれの磁化の誘導方向が逆であって
も同等の効果がある。
【0077】本実施例の磁気抵抗効果素子を構成する膜
は高周波マグネトロンスパッタリング装置により以下の
ように作製した。アルゴン3ミリトールの雰囲気中に
て、厚さ1mm,直径3インチのセラミックス基板および
Si単結晶基板上に以下の材料を順に積層して作製し
た。スパッタリングターゲットとして酸化ニッケル,コ
バルト,ニッケル−20at%鉄合金,銅のターゲット
を用いた。ニッケル−鉄中へのコバルトの添加にはニッ
ケル−20at%鉄合金ターゲット上にコバルトのチッ
プを配置した。またコバルト中へのニッケル,鉄の添加
にはコバルトターゲット上にニッケルおよび鉄のチップ
を配置した。積層膜は、各ターゲットを配置したカソー
ドに各々高周波電力を印加して装置内にプラズマを発生
させておき、各カソードごとに配置されたシャッターを
一つずつ開閉して順次各層を形成した。膜形成時には基
板面内で直交する二対の電磁石を用いて基板に平行にお
よそ50エルステッドの磁界を印加して、一軸異方性を
もたせるとともに、酸化ニッケル膜の交換結合バイアス
の方向をそれぞれの方向に誘導した。
【0078】異方性の誘導は、基板近傍に取付けた二対
の電磁石によって、各磁性膜の形成時に誘導すべき方向
に磁界を加えて行った。あるいは、多層膜形成後に反強
磁性膜のネール温度近傍で磁界中熱処理を行い、反強磁
性バイアスの方向を磁界の方向に誘導した。
【0079】磁気抵抗効果素子の性能の評価は膜を短冊
形状にパターニングし、電極を形成して行った。この
時、磁性膜の一軸異方性の方向と素子の電流方向が平行
となるようにした。電気抵抗は電極端子間に一定の電流
を通じ、素子の面内に電流方向に垂直な方向に磁界を印
加して、素子の電気抵抗を電極端子間の電圧として測定
し、磁気抵抗変化率として感知した。
【0080】表1では素子の特性を抵抗変化率と飽和磁
界で表した。素子としての再生出力はこの抵抗変化率の
大きさに、感度は飽和磁界の小ささに、それぞれ対応す
る。
【0081】表1の結果から明らかなように特に磁気抵
抗素子No.1〜5は4%以上の抵抗変化率と良好な磁気
特性を有するものであり、No.6,7に比べ、抵抗変化
率において優れている。特に、試料No.1,2,4は飽
和磁界10エルステッド程度の良好な磁界感度と抵抗変
化率6から7%の高い出力を示している。
【0082】
【表1】
【0083】本実施例における磁気記憶装置において、
一対の電極85に挟まれた領域が再生トラック幅となる
が、これは2μmとした。記録時には、ターン数が20
のコイル87に15mAopの電流を流して任意の情報を
媒体磁性層に記録し、一方再生時にはリード線に8mA
の直流電流を印加して媒体磁性層からの漏洩磁界を検出
した。
【0084】この磁気ヘッドを、記録ビット方向の保磁
力が2100エルステッド,保磁力配向比が1.2 のC
oCrTa(Crの添加量は16アトミック%)を記録
層とする3.5 インチの磁気ディスクと組み合わせて磁
気記憶装置を構成した。なお、ここで使用した磁気ディ
スク記録層の残留磁束密度と膜厚との積Br・δは10
0ガウス・μmである。本実施例により構成した磁気記
憶装置の仕様を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】(実施例2)図6はめっき浴の金属イオン
濃度即ち、Ni++量及びFe++量を種々変えてめっきし
た磁性膜の組成と磁気特性及び比抵抗(ρ)の関係を示
したものである。
【0087】Ni++はNiCl2・6H2OをFe++はF
eSO4・7H2Oを使用し、その他通常の応力緩和剤,
界面活性剤を添加した。pH:3.0 ,浴温度:30
℃,めっき電流密度:15mA/cm2の条件でめっきし
た。膜厚は3.0μmである。
【0088】膜のNi含有量が38〜60重量%の範囲
で飽和磁束密度(BS )が1.5T以上,比抵抗(ρ)が
40μΩcm以上と従来良く知られている80Ni−Fe
パーマロイ膜に比較し飽和磁束密度(BS )で1.5以
上,比抵抗(ρ)で2倍以上と優れた特性を示すことが
わかる。また、困難軸保磁力(HCH)は80Ni−Fe
パーマロイ膜とほぼ同様に1Oe以下と小さい。バルク
材の値に比べ飽和磁束密度(BS )及び比抵抗(ρ)の
傾向はほぼ同じであるが、Ni含有量が多くなるにつれ
て低下する量が小さい。これはバルク材に比べ結晶粒径
が40〜80Åと著しく小さいためである。
【0089】このような特性はpHを2.5〜3.5程度
まで、また、めっき電流密度を5〜30mA/cm2 の範
囲に変えても大きな変化はなかった。浴温度についても
25〜35℃の範囲に変えたが、温度が高くなるほどN
i含有量が若干多くなる程度で、特性そのものに影響す
るものではなかった。
【0090】本実施例における磁性膜はインダクティブ
型薄膜磁気ヘッドの上部磁気コア,下部にNi70〜8
0重量%を含むFe−Ni系合金を用いた組み合わせに
好適であるが、上下磁気コアの両者にも用いることがで
きる。
【0091】特に、図16に示すようにNi40〜50
重量%でBS で1.6T と最も高い値を示し、膜の(N
i/Fe)比が0.667〜1.00のNiとFeとの組
み合わせを有するものが好ましい。尚、Ni38〜60
重量%における膜の(Ni/Fe)比は0.613〜1.
50である。
【0092】(実施例3)図17は(Ni44重量%−
Fe)系合金にMoを含有させた磁性膜の磁気特性と比
抵抗(ρ)についての検討結果である。
【0093】即ち、Ni++量:16.7g/l,Fe++
量:2.2g/lを含むめっき浴に比抵抗(ρ)を増大
せしめる元素としてMoを添加した場合の磁性膜の磁気
特性と比抵抗(ρ)を示したものである。MoはNa2
MoO4・4H2O を用い最大5g/l添加した。Mo
を添加することによって磁性膜の比抵抗(ρ)は添加量
に比例して増大することがわかる。例えば、Mo:2重
量%添加で磁性膜の比抵抗(ρ)はおよそ60μΩcm以
上と80Ni−Feパーマロイ膜の3倍以上の値を示
す。その時、飽和磁束密度(BS )はおよそ1.50Tと
5%程度の低下に止まり80Ni−Feパーマロイ膜の
1.5 倍以上の値を維持している。但し、添加量が3重
量%以上(MoはNa2MoO4・4H2O で5g/l以
上)になると保磁力(HCH)が1Oe以上になること
と、飽和磁束密度(BS )が1.5T 以下となり好まし
くない。
【0094】Moの替わりにCrについても検討したが
効果はMoとほぼ同様であった。
【0095】本実施例における磁性膜も前述の実施例と
同様に用いることができる。
【0096】(実施例4)図18は(Ni44重量%−
Fe)−Co15重量%−Mo磁性膜の磁気特性を損な
わずに飽和磁束密度(BS )と比抵抗(ρ)を更に増大
させるためにCoとMoを同じに添加した場合の検討結
果である。Coの添加にはCoSO4・7H2Oを用い、
Moの添加は実施例3同様Na2MoO4・4H2Oを用
いた。Coの添加量は13重量%(CoSO4・7H2
で100g/l)一定とした場合の例で、これに対して
Moは4重量%まで添加した。その結果、Coを13重
量%添加することで磁性膜の飽和磁束密度(BS )は
1.78T とおよそ10%増大するが、比抵抗(ρ)は
35μΩcmとおよそ30%も低減してしまう。従って、
Moを添加することによって比抵抗(ρ)は回復し、
2.5 重量%添加で比抵抗(ρ)はおよそ55μΩcmと
なり、逆に約20%の増大を示す。その時、飽和磁束密
度(BS )は1.55T とCoなしの膜に比べ高い値を
示す。また、Coの添加は膜の異方性磁界を増大させる
ので磁気特性的にも安定な方向にある。
【0097】本実施例における磁性膜も前述と同様に適
用できる。
【0098】(実施例5)図19は実施例2〜4に示し
た製造方法によって作製した代表的な磁性膜の透磁率
(μ)の周波数特性を測定し、それぞれの1MHzのμ
の値で規格化した結果である。比較試料として80Ni
−Feパーマロイについても測定した。膜厚はすべて3
μmである。本実施例における比抵抗の48〜60μΩ
cmのものは透磁率(μ)の周波数(f)に対する低下を
25%(即ち、初期値の75%)とした場合の周波数
(f)は40MHz〜70MHzとパーマロイの15M
Hzに比べおよそ3〜5倍に伸びており、周波数特性が
向上していることがわかる。
【0099】(実施例6)図20及び図21は本発明に
係る磁性膜として実施例1と同様に上部及び下部磁性膜
に用いた2段巻きコイルを有する誘導型薄膜磁気ヘッド
の断面図である。
【0100】図に示すように、この薄膜磁気ヘッド21
0は、例えばパーマロイなどの磁性材料の2枚の層21
2及び214から形成された下部及び上部磁性膜を含
む。層212及び214は、夫々整形層211及び21
3を含む2段階で付着される。
【0101】これらの層212及び214は、物理的に
接触している後部ギャップ領域218と,磁気ギャップ
221を形成するため非磁性材料の薄膜220で隔てら
れている先端領域219とを除き、絶縁層215,12
6及び217によって隔てられている。磁性体の層21
2及び214間のスペースには、平坦な導電コイル222
が設けられる。コイル222は、絶縁材料の層215,
216及び217間に楕円形パターンで付着された2枚
の層中の複数巻223a乃至223nを有している。変
換用ギャップ221の端部は、上記の層を付着させてい
る非磁性体の基板224上に形成されたエア・ベアリン
グ面(ABS)と一致する。変換用ギャップ221は、
回転する磁気ディスクなどの磁気記録媒体(図示せず)
とエア・ベアリング関係で相互作用する。ディスクが回
転するとき、そのヘッドはディスク記録面の非常に近く
でそのエア・ベアリング面(ABS)を飛行する。
【0102】この薄膜磁気ヘッドを製造するには、磁極
片先端領域219の薄い付着層を与えるため、適当なマ
スクを用いて基板224上に磁性層212及び整形層2
11を付着する。それから非磁性層220が、後部ギャ
ップ領域218の部分を除いて層211及び212上に
付着される。そして第1の絶縁層215が、磁気ギャッ
プ221のところを除き、層220の上方に付着され
る。連続的で平坦な導体の第1の層の楕円渦巻状の巻線
223a乃至223nが、例えば電気めっきにより絶縁
層215上に付着される。絶縁層216がコイルの第1
の層の上方に付着され、コイルの第2の層の巻線が付着
され、そのコイルの上方に絶縁層217が付着される。
それから、前述のとおり、磁性層212と物理的に接触
する後部ギャップ領域218のところを除き、磁性層2
14が、絶縁されたコイルの上方に付着される。
【0103】磁極片の先端219は予め選択したほぼ一
定の幅Wを有する。この幅Wは、対応する回転可能な磁
気媒体上のトラックの幅とほぼ同じか少し狭い。磁極片
先端の選択した幅Wは磁極片先端を切取ることにより得
られ、その磁極片先端を切取るステップは、第2の磁性
層214のための整形層213を付着するステップの前
に行われる。このように工程を変えると、従来の工程よ
りもはるかに高い精度で磁極片先端の切取りが可能とな
る。
【0104】磁性層214を付着した後で且つ整形層2
13を付着する前に、薄膜ヘッド・アセンブリをフォト
レジスト・マスク230で覆う。それからそのヘッドの
磁極片先端領域219のいずれかの側で、フォトレジス
ト・マスク中にウィンドウ(窓)232が形成される。
そのマスクされたヘッドは、イオン・ミリンダ工程を受
ける。その工程中、ヘツドのマスクしていない部分が食
刻され、磁極片先端を、図5に示すような所望の幅に切
取る。
【0105】イオン・ミリンダ工程は、その加工される
面に通常とほぼ同じ影響を及ぼし、これがフォトレジス
トのマスクとともに、マスクしていないヘッド構造をも
食刻させるようにする。これはまたヘッドから食刻され
た物質を、そのマスクの残りの部分上と、その前に食刻
されたヘッド構造とに再付着させる。この理由から、イ
オン・ミリング工程は2段階で実行される。第1のステ
ップでは、マスクしていないヘッド構造が磁性層14,
非磁性ギャップ層220及び磁性層212を経て基板2
24まで食刻される。この材料を完全に除去するため、
その第1のステップは、基板224中へ少し食刻し過ぎ
てしまう程度まで実行されるのが好ましい。このイオン
・ミリング工程中の第2のステップは、全ての再付着物
質を取除くために設けられ、例えば垂直に対し75度〜
80度といった大きな角度で実行される。イオン・ミリ
ング・ステップの好適な実施例では、一立方センチ当た
り約2ワットの電力密度で毎分約550Åというパーマ
ロイ磁性材料のための食刻速度が得られる。フォトレジ
ストが除去され、整形磁性層213が付着されて、薄膜
磁気ヘッドが完成される。
【0106】このフォトレジスト・マスクはイオン・ミ
リング工程中に食刻され、このヘッドの上部のレジスト
の厚さは、磁性層214の外形により、磁極片領域の上
方のフォトレジストの厚さよりも薄くなる。
【0107】本発明により製造される薄膜磁気ヘッド
は、一端に変換(トランスデューサ)用磁気ギャップと
他端に後部ギャップ領域とを有するヨーク構造であっ
て、そのヨーク構造の磁気ギャップと後部ギャップ領域
との間に付着された、磁気ヨークを付勢するための導電
コイルを有する上記ヨーク構造を2枚の磁性材料の層で
形成させた構成である。
【0108】本実施例で作製した薄膜磁気ヘッドを用い
て構成した磁気記憶装置について述べる。本実施例によ
る磁気ディスク装置は前述のように外径が約3.5 イン
チの磁気ディスク,ディスクを回転させるためのスピン
ドル,磁気ヘッドの位置決め機構,ハウジングを有す
る。磁気ヘッドは記録再生用に誘導型素子を用いた自己
記録再生型ヘッドで、トラック幅は5.0μm である。
ヘッドの上部及び下部磁性膜には飽和磁束密度が1.3
テスラで比抵抗ρ=60μΩcm,比透磁率μ=100
0,膜厚d=3μmの(Ni44重量%−Fe)−2重量
%Mo合金薄膜を用い、ギャップ長は0.4μm であ
る。なお、ヘッドの磁極には飽和磁束密度が1.6T の
同様のNi−Fe系合金のめっき薄膜、あるいはFe−
Co−Ni/Al23/Fe−Co−Ni多層膜,Ni
−Fe薄膜中に粒径が2nm〜3nmのZrO2,Y2
3,TiO2,HfO2,Al23、あるいはSiO2を含
む薄膜等を用いても同等の効果を得ることができる。な
お、磁性膜中の酸化物を混入させる場合、この粒径は
0.5nm〜5nm の間が望ましい。これは、この粒径
の範囲内において飽和磁束密度、あるいは軟磁気特性の
著しい低下を伴わずに磁性膜の比抵抗のみを高めること
ができるためである。なお、Fe−Ni合金薄膜に前述
のような酸化物を含有させることにより比抵抗は約60
μΩcmまで増大するとともに、比透磁率は1000前後
と良好な軟磁気特性を示す。一方、酸化物を含まないN
iFe薄膜等をヘッドの記録磁極に適用する場合には、
比透磁率を500以下にまで下げることで高周波特性を
改善することができる。ただし、この場合、ヘッドの記
録起磁力は0.5AT 以上に設定する必要がある。
【0109】磁気ディスク(11)の記録層には、記録
ビット方向の保磁力が2100エルステッド,保磁力配
向比が1.2 のCoCrTa(Crの添加量は16at
%)が用いられている。この磁気ディスクにおける残留
磁束密度と膜厚との積Br・δは300ガウス・μmで
ある。この記録媒体を用いることにより、線記録密度特
性の向上、および高線記録密度領域における媒体雑音を
大幅に低減することが可能となる。なお、媒体保磁力が
200エルステッド以下であると、ビットエラーレート
が低減してしまい装置動作が不可能となる。
【0110】記録再生時におけるスピンドルの回転数は
4491rpm に設定されており、この時の磁気ディスク
上のデータ記憶領域最外周におけるヘッドの浮上量は0.
05μmである。記録周波数は、データ記憶領域の最内周
から最外周にかけて各トラック上での線記録密度が等し
くなるように設定されており、最外周においては67.
5MHz に設定されている。
【0111】本実施例における磁気ディスク装置では、
各トラック上におけるデータの線記録密度は144kB
PI(kiro Bit Per Inch)、トラック密度は5kTPI
(kiloTrack Per Inch)に設定されており、面記録密度
は1平方インチ当たり720メガビットである。本実施
例では磁気ディスクを4枚用いており、装置のフォーマ
ット容量は2.8 ギガバイト、データの転送速度は1秒
間に15メガバイトである。なお、本実施例では8/9
変換を用いてデータの記録を行っているが、従来の1−
7方式を用いてデータの記録を行っても、本実施例と同
等の性能を有する装置を構成することができる。ただ
し、この場合の記録周波数は45MHzとなる。
【0112】本実施例により構成した磁気記憶装置の仕
様を表3に示す。
【0113】
【表3】
【0114】(実施例7)次に、ディスク径が2.5イ
ンチ,1.8インチ、および1.3 インチの磁気ディス
クを、本発明による磁気ヘッドと組み合わせて磁気記憶
装置を構成した結果について述べる。なお、本実施例で
用いた磁気ヘッド、および磁気ディスクは、実施例6で
用いたものと同じであり、各トラック上におけるデータ
の線記録密度は144kBPI、トラック密度は5kT
PIに設定されている。なおスピンドルの回転数は、そ
れぞれのディスク径において転送速度が15MB/sec
となるように設定している。また、実施例6で述べてい
るように、従来の1−7方式を用いてデータの記録を行
っても、本実施例と同等の性能を有する各装置を構成す
ることができる。ただし、この場合の記録周波数は45
MHzとなる。各装置の仕様を表4〜表6に記す。
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】
【0117】
【表6】
【0118】(実施例8)比抵抗ρ,膜厚dおよび比透
磁率μの異なる磁極を用いた2種類の誘導型薄膜磁気ヘ
ッドを作製し、それぞれの記録磁界強度の周波数依存性
を電子線トモグラフィー法を用いて測定した。試作した
各ヘッドの磁極材料,磁極厚みd,比抵抗ρ、および1
MHz以下の低周波領域における比透磁率μは表7に示
す通りである。
【0119】ヘッドAは、磁極に膜厚3μmの実施例1
に記載の組成を有するNi−Fe合金単層膜を用いてい
る。ヘッドBは実施例4と同様に膜厚2.2μm のFe
−Co−Ni−Mo膜を、膜厚0.1μmのAl23
間層を介して積層した磁極を用いている。よって、この
ヘッドの総磁極膜厚は4.5μm である。なお、ここで
用いたFe−Co−Ni−Mo/Al23/Fe−Co
−Ni−Mo多層膜は、Fe−Co−Ni−Mo膜一層
の厚みが2.7μm 以上になると、記録周波数45MH
zにおける磁界強度の減衰量が10%以上に達し、記録
周波数に伴う書きにじみ量、オーバーライト膜の変動原
因となり望ましくない。本実施例では、Fe−Co−N
i膜一層の厚みを2.2μm に設定した。一方、ヘッド
Cは、磁極の下部磁性膜に膜厚が3μmで比抵抗が90
μΩcmのCo−Ta−Zr非晶質単層膜を用いている。
【0120】
【表7】
【0121】規格化した記録磁界強度の周波数依存性の
測定結果から、ヘッド効率ηを算出した。Ni−Fe単
層膜を磁極とするヘッドAは、10MHzを超えたあた
りから記録磁界強度が低下していき、100MHzにお
ける強度は、低周波領域における強度の60%以下にま
で減衰している。一方、ヘッドBは、透磁率および比抵
抗がヘッドAに用いているNiFe膜と同等のFe−C
o−Ni−Mo膜を使用しているが、Al23絶縁層を
介して多層化しているため渦電流損失が大幅に緩和され
ている。このヘッドの場合、100MHzにおける磁界
強度の減衰量は20%程度と周波数特性が改善されてい
る。またヘッドCは、100MHzにおいても磁界強度
の減衰量はほぼ0と、優れた周波数特性が得られてい
る。
【0122】(実施例9)本実施例では、上部及び下部
磁性膜を以下の製法によって形成した。
【0123】Ni++量:16.7g/l,Fe++量:2.
4g/lを含み、その他通常の応力緩和剤,界面活性剤
を含んだめっき浴において、pH:3.0 ,めっき電流
密度:15mA/cm2 の条件でフレームめっきした上・
下部磁気コアを有する誘導型の薄膜磁気ヘッドを作製し
た。トラック幅は4.0μm、ギャップ長は0.4μmで
ある。この磁性膜の組成は42.4Ni−Fe(重量%)
であり、磁気特性は飽和磁束密度(BS )が1.64
T,困難軸保磁力(HCH)が0.5Oeで比抵抗(ρ)
は48.1μΩcm であった。
【0124】図22は記録・再生分離型薄膜磁気ヘッド
の斜視図及び図23は記録ヘッドの平面図である。上部
磁気コア320,上部シールド層を兼ねた下部磁気コア
321,コイル325を有し、この3つで記録ヘッドを構成
している。再生のための磁気抵抗効果型素子323,磁
気抵抗効果型素子323にセンス電流を流すための電極
324,下部シールド層322を有し、スライダ326
の構成を有する。
【0125】この誘導型の薄膜磁気ヘッドを実施例1に
示す磁気ディスク装置に搭載し、記録性能を評価した。
媒体は外径が3.5 インチ,保磁力が2500Oeであ
る。
【0126】このような構成で評価した本発明による記
録ヘッドの性能(オーバーライト特性)は40MHz以
上の高周波領域でも−50dB程度の優れた記録性能が
得られた。
【0127】(実施例10)本実施例における磁気記憶
装置は、図22に示す記録には誘導型の記録ヘッドを用
い、再生に磁気抵抗効果型素子(MR素子)を用いた記
録再生分離ヘッドを用いたものである。インダクティブ
型ヘッドの記録磁極の上部磁性膜を前述のように形成す
るとともに、もう一方の記録磁極を兼ねた上部シールド
層81にはFe−Co−Ni膜一層の厚みを2.2μm
としたFe−Co−Ni/Al23/Fe−Co−Ni
多層膜を用いている。なお、Al23 中間層の厚みは
0.1μm、記録磁極のトラック幅は3μmとした。下
部シールド層82には厚みが1μmのNi−Fe合金を
用いた。磁気抵抗効果型素子86には厚みが15nmの
Ni−Fe合金を用いており、これをソフトフィルムバ
イアス方式を利用して駆動している。なお、磁気抵抗効
果型素子86にはNi−Fe合金のかわりにNi−Fe
層,Cu層,Co層、およびNi−O系,Fe−Mn
系、あるいはCr−Mn系の反強磁性膜からなるスピン
バルブ型素子、あるいはCo−Ag,Co−Au,Ni
Fe−Ag,Co−Cu,Fe−Agなどの合金系巨大
磁気抵抗効果素子、あるいはCo/Cr,Fe/Cr,
Co/Cu,NiFe/Cu系の多層膜系巨大磁気抵抗
効果素子を用いることもできる。
【0128】本実施例により構成した磁気記憶装置は前
述の表2と同様の仕様が達成できるものである。
【0129】
【発明の効果】本発明によれば、特定の組成で、低コス
トなフレームめっき法により、高保磁力媒体に対して
も、かつ、高周波領域でも十分記録可能な記録ヘッドメ
ディア転送速度15MB/s以上を確保し、記録周波数
45MHz以上,磁気ディスクを4000rpm 以上の高
速で回転させることによりデータの高速転送,アクセス
時間の短縮,記憶容量の増大が可能となる高記録密度磁
気記憶装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録装置の斜視図。
【図2】磁気記録装置の断面図。
【図3】磁気記録装置の正面図。
【図4】磁気記録装置の平面図。
【図5】磁気ヘッドと支持装置の組立図。
【図6】磁気ヘッドと支持装置の組立図。
【図7】薄膜磁気ヘッドが設けられたスライダの斜視
図。
【図8】記録再生分離型薄膜磁気ヘッドの斜視図。
【図9】周波数とオーバーライトとの関係を示す線図。
【図10】結晶粒径と困難軸方向での保磁力との関係を
示す線図。
【図11】誘導型薄膜磁気ヘッドの断面図。
【図12】誘導型薄膜磁気ヘッドの平面図。
【図13】磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの膜構成を示
す平面図。
【図14】磁気抵抗効果型ヘッドの膜構成を示す図。
【図15】磁気抵抗効果型ヘッドの膜構成を示す図。
【図16】Ni量又は(Ni/Fe)比とBS ,ρ及び
CHとの関係を示す線図。
【図17】Mo量とBS ,ρ及びHCHとの関係を示す線
図。
【図18】Mo量とBS ,ρ及びHCHとの関係を示す線
図。
【図19】周波数と(μf/μ1MHz)との関係を示
す線図。
【図20】薄膜磁気ヘッドの平面図。
【図21】薄膜磁気ヘッドの断面図。
【図22】記録再生分離型薄膜磁気ヘッドの斜視図。
【図23】誘導型薄膜磁気ヘッドの平面図。
【符号の説明】
1…磁気ディスク、2…薄膜磁気ヘッド、3…ジンバル
系支持装置、4…位置決め装置、25…スライダ、80
…基体(スライダ)、81,321…上部シールド膜、
82,322…下部シールド膜、83,320…上部磁
性膜、84…下部磁性膜、85,324…電極、86,
110,323…磁気抵抗効果膜、87,222,32
5…コイル、88,221…磁気ギャップ、89…絶縁
体、90…バック・ギャップ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳴海 俊一 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 川辺 隆 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 府山 盛明 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 ▲高▼野 公史 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 山本 久乃 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 益田 賢三 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】情報を記録する薄膜磁気ディスクと,該薄
    膜磁気ディスクの回転手段と,浮動型スライダに設けら
    れ情報の書き込みと読み出しとを行う薄膜磁気ヘッド
    と,前記浮動型スライダを支持し薄膜磁気ディスクに対
    してアクセスする移動手段とを具備した磁気記憶装置に
    おいて、前記薄膜磁気ヘッドの前記書き込み用磁気コア
    の上部磁気コア及び下部磁気コアの少なくとも一方は平
    均結晶粒径が500Å以下,室温の比抵抗が40μΩcm
    以上及び困難軸方向の保磁力が1.0Oe 以下である金
    属磁性材よりなることを特徴とする磁気記憶装置。
  2. 【請求項2】情報を記録する薄膜磁気ディスクと,該薄
    膜磁気ディスクの回転手段と,浮動型スライダに設けら
    れ情報の書き込みと読み出しとを行う薄膜磁気ヘッド
    と,前記浮動型スライダを支持し薄膜磁気ディスクに対
    してアクセスする移動手段とを具備した磁気記憶装置に
    おいて、前記薄膜磁気ヘッドの前記書き込み用磁気コア
    の上部磁気コア及び下部磁気コアの少なくとも一方は重
    量でNi38〜60重量%、Fe40〜62重量%、C
    o15重量%以下及びMo,Cr,Pd,BあるいはI
    nの1種以上を総量で3重量%以下を含む合金薄膜より
    なることを特徴とする磁気記憶装置。
  3. 【請求項3】メディア転送速度が1秒間当たり15メガ
    バイト以上,記録データの面記録密度が1平方インチ当
    たり500メガビット以上及び情報の記憶媒体が直径
    3.5インチ以下の円盤状磁気ディスクを具備した磁気
    記憶装置において、前記磁気ディスクが記録・再生時に
    4000rpm 以上で回転し、記録周波数が45MHz以
    上であり、前記記録を行う薄膜磁気ヘッドの少なくとも
    上部磁気コアは、重量でNi38〜60重量%及びFe
    40〜62重量%を有するNi−Fe系合金からなるこ
    とを特徴とする磁気記憶装置。
  4. 【請求項4】前記磁気コアは、その膜厚が1〜5μm,
    平均結晶粒径が500Å以下,比抵抗が40〜60μΩ
    cm,困難軸方向の保磁力が1.0Oe 以下及び、該記録
    用磁気ヘッドの記録起磁力が0.5 アンペア・ターン以
    上であることを特徴とする請求項2または3記載の磁気
    記憶装置。
  5. 【請求項5】前記磁気コアは、重量でCo15重量%以
    下及びMo,Cr,Pd,B及びInの1種以上を総量
    で3重量%以下の少なくとも一方を含むことを特徴とす
    る請求項1または3記載の磁気記憶装置。
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