JP2001159631A - 多孔質材、それを用いた検出装置および検出方法 - Google Patents

多孔質材、それを用いた検出装置および検出方法

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JP2001159631A JP34428999A JP34428999A JP2001159631A JP 2001159631 A JP2001159631 A JP 2001159631A JP 34428999 A JP34428999 A JP 34428999A JP 34428999 A JP34428999 A JP 34428999A JP 2001159631 A JP2001159631 A JP 2001159631A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 量の制限を受けず、感度が高い多孔質材を提
供する。 【解決手段】 上流部から下流部へ液体がクロマト的に
移動する多孔質材であって、下流部におけるクロマト的
流れの途中に、液体試料中に含まれる被検物質を直接的
または間接的に捕捉する捕捉部11を設け、捕捉部の孔
径は、他の部分の孔径より小さい。クロマト的流動を意
図的に不均一にし、捕捉部において、局所的に流動の一
部を妨害し、被検物質を捕捉する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体試料(尿、血
清などの液体)内における被検物質の存否を、多孔質材
の孔径の大小を利用して検出する多孔質材、それを用い
た検出装置および検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液体中に含まれる目的物質を、孔径が均
一な多孔質材を用いて、孔径の大きさに対応させてろ過
分離する技術は、従来から存在する。このような技術
は、大量の目的物質の分離、濃縮などには有用である
が、液体試料の中などに存在する少量の物質の有無を検
出する場合には不向きである。
【0003】また、液体試料などの中に存在する少量の
物質の有無を検出する手法として、異なる孔径を有する
複数の多孔質材を、垂直方向に重ね合わせて、上下方向
に液体試料を通過させ目的物質を捕捉、検出する技術も
ある。しかし、このような技術では、検出面積が広くな
り、多くの試料が必要になるだけでなく、上流側の多孔
質材が観察を邪魔するため、これを取り除いて観察する
必要があり、その手間が発生する。なお、この技術は、
重力による液体の移動を利用している。
【0004】また、液体試料などの中に存在する少量の
物質の有無を検出するには、免疫クロマト法がある。こ
れは、液体試料をクロマト的に移動させ、その途中で分
離捕捉を行い、被検物質が捕捉されたか否かを観察する
ことが非常に簡単で有用な手段である。この手法による
従来の検出装置では、被検物質に対する特異反応成分
を、多孔質材(メンブレン)に、移動できないように結
合(固定)させていた。そして、被検物質を、多孔質材
に固定された特異反応成分と結合させることにより、多
孔質材に被検物質を捕捉し、検出を行っていた。
【0005】ところが、このような構成によると、多孔
質材に結合できる特異反応成分の量(特異反応成分の多
孔質材への吸着量)には限界があるので、感度が制限さ
れたり、検出量にばらつきが発生するという問題点があ
った。
【0006】また、この種の検出法に用いられる多孔質
材は、クロマト的な流動を一定にすることのみに着目し
て構成されており、必然的に、多孔質材の孔径は一様と
なっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上の事情に鑑みて、
本発明は、少量の物質の検出に適し、上流側の多孔質材
を取り除く必要がなく、しかも、高感度で検出量のばら
つきの少ない多孔質材、これを用いた検出装置および検
出方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の多孔質材では、
下流部におけるクロマト的流れの途中に、液体試料中に
含まれる被検物質を、直接的または間接的に捕捉する捕
捉部を含み、捕捉部の孔径は、他の部分の孔径より小さ
くした。
【0009】この構成により、被検物質の検出感度を向
上できるとともに、検出量のばらつきを少なくできる。
【0010】
【発明の実施の形態】請求項1記載の多孔質材では、下
流部におけるクロマト的流れの途中に、液体試料中に含
まれる被検物質を、直接的または間接的に捕捉する捕捉
部を設け、捕捉部の孔径は、他の部分の孔径より小さく
した。
【0011】このように、捕捉部の孔径を、他の部分の
孔径より小さくしているため、液体のクロマト的移動は
一定でなくなる。即ち、上流部をクロマト的に移動して
きた物質のうち、捕捉部の孔径より大きな物質は、捕捉
部を通過できず、捕捉される。また、孔径よりも小さな
物質は、捕捉部を通過する。これにより、被検物質また
は被検物質に所定粒子を結合させたものは、捕捉部に捕
捉される。
【0012】即ち、従来の検出装置のように、多孔質材
に固定した特異反応成分に依存しないので、特異反応成
分の結合量の制限を受けることがなく、検出感度の向上
を図ることができるとともに、検出量のばらつきを少な
くできる。
【0013】請求項2記載の多孔質材では、捕捉部は、
下流部の特定箇所に、粒子を埋め込むことにより形成さ
れる。粒子を埋め込むことにより、捕捉部の孔径を局所
的に小さくできる。
【0014】請求項3記載の多孔質材では、捕捉部は、
下流部の特定箇所を溶剤処理することにより形成され
る。溶剤処理することにより、捕捉部の孔径を局所的に
小さくできる。
【0015】請求項4記載の多孔質材では、上流部は第
一の部材からなり、下流部は、第二の部材からなり、第
一の部材は、第二の部材よりも孔径が大きく、第一の部
材は、第二の部材に接合され、この接合箇所が、捕捉部
となる。第一、第二の部材を接合することにより、捕捉
部の孔径を局所的に小さくできる。
【0016】次に、図面を参照しながら、本発明の実施
の形態について説明する。 (実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1におけ
る検出装置の側面図、図2は、同平面図である。図1お
よび図2に示すように、実施の形態1における検出装置
は、液体試料添加部1、粒子塗布パッド3およびメンブ
レン5からなる。メンブレン5は、上流部7および下流
部9からなる。メンブレン5の下流部9には、液体試料
に含まれる被検物質を捕捉する捕捉部11が設けられ
る。
【0017】液体試料添加部1は、多孔質材からなる。
粒子塗布パッド3は、多孔質材からなり、例えば、ガラ
ス繊維コンジュゲートパッドを用いることができる。粒
子塗布パッド3には、標識物質および検出に影響しない
粒子が塗布されている。後で詳述するが、標識物質およ
び検出に影響しない粒子は、液体試料に含まれる被検物
質と結合して、反応生成物となる。粒子塗布パッド3に
おいては、液体試料、標識物質、検出に影響しない粒子
および反応生成物の移動が可能である。標識物質は、着
色されており、粒子塗布パッド3、メンブレン5および
捕捉部11を容易に通過するサイズとなっている。この
ような条件の下で、標識物質としては、例えば、粒径が
0.02μm〜0.5μmの金コロイドまたは着色ラテ
ックスを用いることができる。検出に影響しない粒子
は、粒子塗布パッド3およびメンブレン5(捕捉部11
を除く)は通過するが、捕捉部11は、通過できないサ
イズである。このような条件の下で、検出に影響しない
粒子としては、例えば、粒径が0.5μm〜5μmの白
ラテックスを用いることができる。
【0018】メンブレン5(捕捉部11除く)の孔径
(実質的ポアサイズ)は、液体試料、標識物質、検出に
影響しない粒子および反応生成物の移動を可能にするサ
イズである。このような条件の下で、メンブレン5とし
ては、孔径が、検出に影響しない粒子の粒径以上(1μ
m〜20μmなど)のものを用いることができる。な
お、メンブレン5は、多孔質材の一つの例であり、その
他の多孔質材を用いることができる。
【0019】メンブレン5の特定箇所に、粒子を塗布
し、固定することで(粒子を埋め込むことで)、メンブ
レン5の特定箇所の孔径を、特定箇所を除くメンブレン
5の孔径より小さくして、この特定箇所を捕捉部11と
している。このような手法で、捕捉部11の孔径は、液
体試料および標識物質は通過できるが、検出に影響しな
い粒子および反応生成物は通過できないサイズとなって
いる。このような条件の下で、メンブレン5に塗布、固
定する粒子としては、例えば、粒径が0.5μm〜3μ
mの白ラテックスを用いることができ、粒径が0.5μ
m〜5μmの粒子を捕捉できるようにする。
【0020】次に、検出方法について説明する。まず、
液体試料を液体試料添加部1に添加する。そして、液体
試料は、液体試料添加部1を矢印A方向にクロマト的に
移動し、粒子塗布パッド3へ流入する。粒子塗布パッド
3において、液体試料は、標識物質および検出に影響し
ない粒子とともに矢印B方向にクロマト的に移動する。
この時、液体試料に被検物質が存在していれば、標識物
質および検出に影響しない粒子は、被検物質と反応し
(結合し)、反応生成物となる。
【0021】図3は、このようにして生成された反応生
成物の模式図である。図3に示すように、被検物質13
は、標識物質15および検出に影響しない粒子17と結
合し、反応生成物となっている。
【0022】液体試料に被検物質13が存在している場
合において、粒子塗布パッド3からメンブレン5へ流入
してきた反応生成物は、矢印C方向にクロマト的に移動
し、捕捉部11に捕捉される。なぜなら、捕捉部11の
孔径は、反応生成物に含まれる検出に影響しない粒子の
粒径より小さいからである。そして、反応生成物は、標
識物質15により着色されているので、反応生成物が捕
捉されたこと、すなわち、液体試料に被検物質13が存
在することを肉眼で確認できる。なお、液体試料、反応
生成物とならない標識物質15および検出に影響しない
粒子17も、メンブレン5においてクロマト的に移動す
る。
【0023】一方、液体試料に被検物質13が存在して
いない場合は、粒子塗布パッド3からメンブレン5へ流
入してきた液体試料、標識物質15および検出に影響し
ない粒子17は、矢印C方向にクロマト的に移動する。
そして、検出に影響しない粒子17は、捕捉部11に捕
捉される。なぜなら、検出に影響しない粒子17の粒径
は、捕捉部11の孔径より大きいからである。この場
合、検出に影響しない粒子17は無色であるため、捕捉
部11にサインは現れない。液体試料および標識物質1
5は、捕捉部11を通過し流れ去る。なぜなら、標識物
質15の粒径は、捕捉部11の孔径より小さいからであ
る。
【0024】以上のように、本発明の実施の形態1にお
いては、メンブレン5(捕捉部11を除く)の孔径を捕
捉部11の孔径より大きくしている。すなわち、メンブ
レン5の孔径を反応生成物が通過できる大きさにし、メ
ンブレン5の特定箇所に粒子を固定することで、捕捉部
11を設け、捕捉部11の孔径を、標識物15の粒径よ
り大きくするとともに、反応生成物のサイズより小さく
している。このような孔径の小さい捕捉部11を設ける
ことによって、被検物質13を含む反応生成物を捕捉し
ている。したがって、従来の検出装置のように、特異反
応成分に依存しないから、特異反応成分の結合量の制限
を受けることがなく、検出感度の向上を図ることができ
るとともに、検出量のばらつきを少なくできる。
【0025】また、メンブレン5の特定箇所に捕捉部1
1を設けているため、捕捉部11の面積を小さくするこ
とができ、被検物質が少量であるときも、明瞭なサイン
が得られる。捕捉部11は、外部に露呈しているから、
別段メンブレンを剥がす必要はなく、検出結果を外部か
ら容易に観察できる。さらに、被検物質13、標識物質
15および検出に影響しない粒子17を結合させた反応
生成物を捕捉するので、被検物質が、無色で、捕捉部1
1の孔径より小さい場合でも、検出が可能である。
【0026】次に、実施の形態1における検出装置を用
いた第一の実験の結果を示す。なお、この実験は、色彩
および粒径の異なる二種類の着色粒子の混合溶液を用い
て、実施の形態1における検出装置が、上述した機能を
果たすかどうかを確認するためのものであり、実際に、
検出装置の検出の対象となる液体試料を用いているわけ
ではない。実際に、検出装置の検出の対象となる液体試
料を用いた実験の結果は後述する。
【0027】少なくとも5μm程度の粒子をクロマト的
に移動させることができるニトロセルロースメンブレン
(メンブレン5に相当し、商標名がSXHFであるミリ
ポア社のニトロセルロースメンブレンを使用)に、15
%(10〜20%が可能)のポリスチレン性白ラテック
ス(粒径2.2μm(0.5μm〜5μmが可能))溶
液を、1cm当たり約1.3μlの量でライン状に塗
布、乾燥し吸着固定させ、ライン幅約1mmで、メンブ
レン5の実質的孔径を小さくして、捕捉部11を形成し
た。このニトロセルロースメンブレンを、粒子などの吸
着を防ぐため、0.5%のカゼインを含む溶液に30分
程度漬け込み、処理した。これを、乾燥後、約5mm×
35mmに切断した。
【0028】このような処理をしたニトロセルロースメ
ンブレンにおいて、0.6μmの粒径を持つ着色粒子
(ポリスチレン性ブルーラテックス)と、0.04μm
程度の粒径を持つ金コロイド粒子との混合溶液を、クロ
マト的に移動させた。混合溶液を十分に展開させた後、
ポリスチレン性白ラテックスを固定した部分(捕捉部1
1に相当)を観察したところ、着色粒子(ポリスチレン
性ブルーラテックス)のみが捕捉されて、青いラインが
現れていた。一方、金コロイド粒子は、捕捉されずに流
れたため、金コロイド由来の赤いラインは形成されなか
った。以上の結果、0.04μm程度の粒径を持つ金コ
ロイド粒子は捕捉されず、0.6μmの粒径を持つ着色
粒子は捕捉され、容易に検出できることが確認された。
【0029】次に、実際に、検出装置の検出の対象とな
る液体試料を用いた第二の実験の結果を示す。粒径が
0.6μm(0.5μm〜5μmが可能)のポリスチレ
ン性白ラテックス(検出に影響しない粒子17に相当)
に抗βーhCG抗体を結合させ、粒径が0.04μm
(0.02μm〜0.5μmが可能)の金コロイド粒子
(標識物質15に相当)に抗hCG抗体を結合させた。
結合の要領は、常法にしたがった。
【0030】次に、少なくとも10μm程度の粒子をク
ロマト的に移動させることができるガラス繊維(粒子塗
布パッド3に相当)を、5mm×10mmに切断して、
上記の抗βーhCG抗体結合ポリスチレン性白ラテック
スと、抗hCG抗体結合金コロイド粒子とを適量混合
し、塗布して乾燥させた。このガラス繊維(粒子塗布パ
ッド3に相当)と、上述した第一の実験と同じ方法で得
られたニトロセルロースメンブレン(メンブレン5に相
当)とを3mm程度重なるように接触させ、テープで貼
り合わせて、5mm幅のストリップとした。
【0031】80μlのhCGを含む陽性試料を、ガラ
ス繊維(粒子塗布パッド3に相当)下端から吸収させ、
5分後に、捕捉部11において金コロイド由来の発色を
観察した。hCGを含む試料では、50mlU/ml〜
1000000mlU/mlの範囲で発色が現れ、よっ
て、陽性と判定された。一方、80μlのhCGを含ま
ない陰性試料をガラス繊維(粒子塗布パッド3に相当)
下端から吸収させたが、捕捉部11に発色は観察できな
かった。hCGを含まない試料については、陰性と判定
された。
【0032】次に実施の形態1における検出装置の第1
変形例について説明する。実施の形態1における検出装
置では、被検物質13が、捕捉部11の孔径より小さ
く、かつ、無色の場合を対象としたが、第1変形例で
は、被検物質が、捕捉部11の孔径より小さく、かつ、
有色の場合を対象とする。
【0033】第1変形例が、上述の実施の形態1におけ
る検出装置と異なるのは、粒子塗布パッド3だけであ
る。第1変形例では、粒子塗布パッド3には、検出に影
響しない粒子17だけが、塗布されている。すなわち、
第1変形例では、実施の形態1における検出装置と比較
して、標識物質15が存在しないだけで、その他の構成
は同じであり、粒子塗布パッド3、検出に影響しない粒
子17、メンブレン5および捕捉部11の条件も同じで
ある。
【0034】次に、第1変形例における検出方法につい
て、主に、上述した検出方法と比較して異なる部分を説
明する。なお、第1変形例における矢印B、C方向につ
いては、図1と同様であるので、図1を参照されたい。
【0035】粒子塗布パッド3において、液体試料は、
検出に影響しない粒子とともに矢印B方向にクロマト的
に移動する。この時、液体試料に被検物質が存在してい
れば、検出に影響しない粒子は、被検物質と結合し、反
応生成物となる。
【0036】図4は、このようにして生成された反応生
成物の模式図である。図4に示すように、被検物質18
は、検出に影響しない粒子17と結合し、反応生成物と
なっている。
【0037】液体試料に被検物質18が存在している場
合においては、粒子塗布パッド3からメンブレン5へ流
入してきた反応生成物は、矢印C方向にクロマト的に移
動し、捕捉部11に捕捉される。なぜなら、捕捉部11
の孔径は、反応生成物に含まれる検出に影響しない粒子
の粒径より小さいからである。そして、被検物質18
は、有色であるため、反応生成物が捕捉されたこと、す
なわち、液体試料に被検物質18が存在することを肉眼
で確認できる。
【0038】以上のような第1変形例は、捕捉部11の
孔径を他の部分の孔径より小さくすることで、被検物質
を検出するため、実施の形態1における検出装置と同様
の効果を奏する。また、粒径が捕捉部11の孔径より大
きい粒子17と、被検物質とを結合させた反応生成物を
捕捉するので、被検物質の粒径が、捕捉部11の孔径よ
り小さい場合でも、被検物質の検出が可能となる。
【0039】次に実施の形態1における検出装置の第2
変形例について説明する。実施の形態1における検出装
置では、被検物質13が、捕捉部11の孔径より小さ
く、かつ、無色の場合を対象としたが、第2変形例で
は、被検物質が、捕捉部11の孔径より大きく、かつ、
有色の場合を対象とする。
【0040】図5は、実施の形態1における検出装置の
第2変形例の平面図である。なお、図1と同一の部分に
ついては、同一の符号を付している。図5に示すよう
に、第2変形例は、メンブレン5により構成され、メン
ブレン5は、上流部7および下流部9を有する。メンブ
レン5の下流部9には、捕捉部11が設けられている。
【0041】第2変形例が、上述の実施の形態1におけ
る検出装置と異なるのは、粒子塗布パッド3および液体
試料添加部1を有しないことと、捕捉部11の孔径を、
被検物質の粒径より小さくしてあることである。なお、
第2変形例においても、図1に示すような液体試料添加
部1を設けることもできる。粒子塗布パッド3が不要な
のは、被検物質の粒径が、捕捉部11の孔径をより大き
く、かつ、被検物質が有色であるため、捕捉部11で被
検物質を捕捉でき、被検物質が捕捉されたことを肉眼で
確認できるからである。その他の構成については、第2
変形例は、実施の形態1における検出装置と同様であ
る。第2変形例における検出方法についても、反応生成
物ではなく被検物質が、そのまま捕捉部11に捕捉され
る点を除けば、上述した実施の形態1における検出方法
と同様である。
【0042】なお、上述した第2変形例においては、被
検物質は、捕捉部11に捕捉された時、肉眼で直接観察
できる有色物質であったが、そうでない場合は、前もっ
て処理するなどして、着色・染色したり、蛍光や発光な
どの手段によるセンシングなどで検出することもでき
る。
【0043】以上のような第2変形例は、捕捉部11の
孔径を他の部分の孔径より小さくすることで、被検物質
を検出するため、実施の形態1における検出装置と同様
の効果を奏する。
【0044】次に実施の形態1における検出装置の第3
変形例について説明する。実施の形態1における検出装
置では、粒子塗布パッド3を設け、これに標識物質15
および検出に影響しない粒子17を塗布し、粒子塗布パ
ッド3におけるクロマト的流れの中で、被検物質13
と、標識物質15と、検出に影響しない粒子17とを反
応させ、反応生成物を作っていたが、第3変形例では、
粒子塗布パッド3を設けずに、検出装置の外部で、反応
生成物を作り、これを検出装置に添加するものである。
この第3変形例は、実施の形態1における検出装置と同
様に、被検物質が、捕捉部の孔径より小さく、かつ、無
色の場合を対象とする。
【0045】図6は、実施の形態1における検出装置の
第3変形例の平面図である。なお、図1と同一の部分に
ついては、同一の符号を付している。図6に示すよう
に、第3変形例は、メンブレン5により構成され、メン
ブレン5は、上流部7および下流部9を有する。メンブ
レン5の下流部9には、捕捉部11が設けられている。
メンブレン5および捕捉部11の構成および条件は、図
1に示した実施の形態1における検出装置のメンブレン
5および捕捉部11と同じである。また、標識物質およ
び検出に影響しない粒子の条件も実施の形態1における
検出装置の場合と同じである。なお、図1に示したよう
に、液体試料添加部1を、メンブレン5の上流部7に接
続することもできる。
【0046】次に、第3変形例における検出方法につい
て、主に、実施の形態1における検出装置の場合と比較
して異なる部分を説明する。図6に示すように、まず、
試験管などの容器20において、液体試料19と、検出
に影響しない粒子17と、標識物質15とを混合する。
この時、液体試料に被検物質が存在すれば、図3に示す
ような反応生成物が作られる。このように、被検物質が
無色の時は、化学反応や免疫反応などで、標識物質15
と結合させたり、発色させたりする。一方、液体試料に
被検物質が存在しなければ、反応生成物は作られない。
このような容器20において作った混合液を、メンブレ
ン5の上流部7に添加する。そして、メンブレン5にお
いて、この混合液は、クロマト的に矢印C方向に移動す
る。
【0047】液体試料に被検物質が存在すれば、反応生
成物に含まれる検出に影響しない粒子の粒径は、捕捉部
11の孔径より大きいので、反応生成物が、捕捉部11
に捕捉され、サインがあらわれる。液体試料に被検物質
が存在しなければ、標識物質15は、捕捉部11を通過
し、無色の検出に影響しない粒子17だけが、捕捉部1
1に捕捉される。なお、混合液が、メンブレン5の上流
部7に添加された後の検出機構は、実施の形態1におけ
る検出装置において、液体試料、反応生成物、標識物質
および検出に影響しない粒子が、メンブレン5の上流部
7に流入した後の検出機構と同じである。
【0048】以上のような第3変形例は、捕捉部11の
孔径を他の部分の孔径より小さくすることで、被検物質
を検出するため、実施の形態1における検出装置と同様
の効果を奏する。
【0049】次に実施の形態1における検出装置の第4
変形例について説明する。上述の第3変形例は、実施の
形態1における検出装置と同様に、被検物質が、捕捉部
の孔径より小さく、かつ、無色の場合を対象としたが、
第4変形例は、被検物質が、捕捉部の孔径より小さく、
かつ、有色の場合を対象とする。
【0050】第4変形例が、第3変形例と異なる点につ
いて説明する。第3変形例では、図6に示すように、試
験管などの容器20において、液体試料19と、検出に
影響しない粒子17と、標識物質15とを混合するのに
対して、第4変形例では、試験管などの容器において、
液体試料と、検出に影響しない粒子とを混合する点で、
両者は異なる。したがって、第4変形例では、液体試料
に被検物質が存在すれば、図4に示すような反応生成物
が作られる。その他の構成や検出方法については、第3
変形例と同じである。
【0051】以上のような第4変形例は、メンブレンの
上流部に設けられた捕捉部の孔径を他の部分の孔径より
小さくすることで、被検物質を検出するため、実施の形
態1における検出装置と同様の効果を奏する。また、被
検物質および検出に影響しない粒子を結合させた反応生
成物を捕捉するので、被検物質が、捕捉部11の孔径よ
り小さい場合でも、検出が可能である。
【0052】次に、実施の形態1における検出装置、第
1変形例、第2変形例、第3変形例および第4変形例
が、具体的にどのように利用されるかを、例を挙げなが
ら説明する。
【0053】まず、第2変形例(被検物質の粒径が、捕
捉部11の孔径より大きく、かつ、有色の場合が対象)
の利用性について説明する。上述の第1および第2の実
験は、第2変形例にも同様に適用できる。ただし、第2
変形例には、粒子塗布パッド3に相当するものはない。
上述の第1および第2の実験におけるニトロセルロース
メンブレンの処理条件、ならびに、上述の第1および第
2の実験で用いたニトロセルロースメンブレンおよびポ
リスチレン性白ラテックスは、一つの例に過ぎず、これ
らの素材や処理条件を変化せることにより、捕捉部11
で捕捉できる物質のサイズおよび、捕捉せず通過できる
物質のサイズは、ある程度自由に設定できる。
【0054】したがって、液体試料に、不溶性の粒子
(例えば、植物の胞子、粉体顔料など)、血球成分、コ
コアまたは小麦粉などが含まれている場合、これらのサ
イズに応じて、液体試料添加部1、粒子塗布パッド3お
よびメンブレン5の素材、ならびに捕捉部11の孔径を
設定すれば、容易に捕捉部11において、被検物質(目
的物質)が、捕捉・分離され、その存在が明らかにな
る。また、少量の被検物質(目的物質)を、捕捉部11
に濃縮させることも可能である。さらに、捕捉部11に
は、明らかなサイン(捕捉部11の形状によるが、例え
ば、ライン状やスポット状のサイン)が現れるため、判
定が非常に容易である。また、被検物質が、直接肉眼で
観察できない場合は、前もって処理したり、染色したり
することもできる。
【0055】次に、第1変形例および第4変形例(被検
物質の粒径が、捕捉部11の孔径より小さく、かつ、有
色の場合が対象)の利用性について説明する。例えば、
蛋白などの生体成分を検出する際に、生体成分を、粒径
が捕捉部11の孔径より大きい粒子と特異的に反応させ
ることにより、捕捉部11において生体成分を分離・濃
縮することが可能となる。
【0056】なお、上述の第1および第2の実験は、第
1変形例および第4変形例にも同様に適用できる。ただ
し、第4変形例には、粒子塗布パッド3に相当するもの
はない。上述の第1および第2の実験におけるニトロセ
ルロースメンブレンの処理条件、ならびに、上述の第1
および第2の実験で用いたニトロセルロースメンブレ
ン、ガラス繊維およびポリスチレン性白ラテックスは、
一つの例に過ぎず、これらの素材や処理条件を変化せる
ことにより、捕捉部11で捕捉できる物質のサイズおよ
び、捕捉せず通過できる物質のサイズは、ある程度自由
に設定できる。
【0057】次に、実施の形態1における検出装置およ
び第3変形例(被検物質の粒径が、捕捉部11の孔径よ
り小さく、かつ、無色の場合が対象)の利用性について
説明する。例えば、蛋白などの生体成分を検出する際
に、生体成分を、粒径が捕捉部11の孔径より大きい粒
子および標識物質(色素や着色粒子、酵素など)と特異
的に反応させることにより、生体成分の検出が可能とな
る。このように、生物化学的または免疫的な検出が容易
に実施できる。
【0058】なお、上述の第1および第2の実験は、第
3変形例にも同様に適用できる。ただし、第3変形例に
は、粒子塗布パッド3に相当するものはない。上述の第
1および第2の実験におけるニトロセルロースメンブレ
ンの処理条件、ならびに、上述の第1および第2の実験
で用いたニトロセルロースメンブレン、ポリスチレン性
白ラテックスおよび金コロイド粒子は、一つの例に過ぎ
ず、これらの素材や処理条件を変化せることにより、捕
捉部11で捕捉できる物質のサイズおよび、捕捉せず通
過できる物質のサイズは、ある程度自由に設定できる。
【0059】(実施の形態2)図7は、本発明の実施の
形態2における検出装置の側面図である。なお、図1と
同一の部分については同一の符号を付している。図7に
示すように、実施の形態2における検出装置は、液体試
料添加部1、粒子塗布パッド3およびメンブレン5から
なる。メンブレン5は、上流部7および下流部9からな
る。メンブレン5の下流部9には、液体試料に含まれる
被検物質を捕捉する捕捉部21が設けられる。実施の形
態2における検出装置が、実施の形態1における検出装
置と異なるのは、捕捉部21だけである。したがって、
液体試料添加部1、粒子塗布パッド3、メンブレン5
(捕捉部21を除く)、標識物質および検出に影響しな
い粒子については、実施の形態1における検出装置の場
合と同じである。また、検出方法についても、実施の形
態1における検出装置の場合と同じである。したがっ
て、実施の形態1における検出装置と異なる部分である
捕捉部21について詳しく説明する。
【0060】メンブレン5の特定箇所を有機溶剤(メタ
ノール、アセトンなど)で処理することで、メンブレン
5の特定箇所の孔径を、特定箇所を除くメンブレン5の
孔径より小さくして、この特定箇所を捕捉部21とす
る。このような手法で、捕捉部21の孔径は、液体試料
および標識物質は通過できるが、検出に影響しない粒子
および反応生成物は通過できないサイズとなっている。
このような条件を満足するように、有機溶剤としては、
例えば、濃度30〜50%のアセトン(特に、濃度40
〜50%のアセトン)または濃度90〜95%のメタノ
ールなどを用いることができる。
【0061】以上のように、本発明の実施の形態2にお
いては、メンブレン5(捕捉部21を除く)の孔径を捕
捉部21の孔径より大きくしている。すなわち、メンブ
レン5の孔径を反応生成物が通過できる大きさにし、メ
ンブレン5の特定箇所を溶剤処理することで、捕捉部2
1を設け、捕捉部21の孔径を、標識物の孔径より大き
くするとともに、反応生成物のサイズより小さくしてい
る。このような孔径の小さい捕捉部21を設けることに
よって、被検物質を含む反応生成物を捕捉している。し
たがって、従来の検出装置のように、被検物質を捕捉す
る手段として、メンブレンに、特異反応成分を移動でき
ないように結合させておらず、特異反応成分の結合量の
制限を受けることがないので、検出感度の向上を図るこ
とができるとともに、検出量のばらつきを少なくでき
る。
【0062】また、メンブレン5の特定箇所に捕捉部2
1を設けているため、捕捉部21の面積を小さくするこ
とができ、被検物質が少量であるときも、明瞭なサイン
が得られる。捕捉部21は、外部に露呈しているから、
別段メンブレンを剥がす必要はなく、検出結果を外部か
ら容易に観察できる。さらに、被検物質、標識物質およ
び検出に影響しない粒子を結合させた反応生成物を捕捉
するので、被検物質が、無色で、捕捉部21の孔径より
小さい場合でも、検出が可能である。
【0063】次に、実施の形態2における検出装置を用
いた第三の実験の結果を示す。なお、この実験は、色彩
および粒径の異なる二種類の着色粒子の混合溶液を用い
て、実施の形態2における検出装置が、上述した機能を
果たすかどうかを確認するためのものであり、実際に、
検出装置の検出の対象となる液体試料を用いているわけ
ではない。実際に、検出装置の検出の対象となる液体試
料を用いた実験の結果は後述する。
【0064】少なくとも5μm程度の粒子をクロマト的
に移動させることができるニトロセルロースメンブレン
(メンブレン5に相当し、商標名がSRHFであるミリ
ポア社のニトロセルロースメンブレンを使用)に、溶剤
であるアセトン45%水溶液(アセトン30〜50%水
溶液、または、メタノール90〜95%水溶液が可能)
を、1cm当たり約1.3μlの量でライン状に塗布
し、ライン幅約1mmで、メンブレン5の実質的孔径を
小さくして、捕捉部21を形成した。このニトロセルロ
ースメンブレンを、粒子の吸着を防ぐため、0.5%の
カゼインを含む溶液に30分程度漬け込み、処理した。
これを、乾燥後、約5mm×35mmに切断した。
【0065】このような処理をしたニトロセルロースメ
ンブレンにおいて、0.6μmの粒径を持つ着色粒子
(ポリスチレン性ブルーラテックス)と、0.04μm
程度の粒径を持つ金コロイド粒子との混合溶液を、クロ
マト的に移動させた。混合溶液を十分に展開させた後、
溶剤処理した部分(捕捉部21に相当)を観察したとこ
ろ、着色粒子(ポリスチレン性ブルーラテックス)のみ
が捕捉されて、青いラインが現れていた。一方、金コロ
イド粒子は、捕捉されずに流れたため、金コロイド由来
の赤いラインは形成されなかった。以上の結果、0.0
4μm程度の粒径を持つ金コロイド粒子は捕捉されず、
0.6μmの粒径を持つ着色粒子は捕捉され、容易に検
出できることが確認された。
【0066】次に、実際に、検出装置の検出の対象とな
る液体試料を用いた第四の実験の結果を示す。粒径が
0.6μm(0.5μm〜5μmが可能)のポリスチレ
ン性白ラテックス(検出に影響しない粒子17に相当)
に抗βーhCG抗体を結合させ、粒径が0.04μm
(0.02μm〜0.5μmが可能)の金コロイド粒子
(標識物質15に相当)に抗hCG抗体を結合させた。
結合の要領は、常法にしたがった。
【0067】次に、少なくとも10μm程度の粒子をク
ロマト的に移動させることができるガラス繊維(粒子塗
布パッド3に相当)を、5mm×10mmに切断して、
上記の抗βーhCG抗体結合ポリスチレン性白ラテック
スと、抗hCG抗体結合金コロイド粒子とを適量混合
し、塗布して乾燥させた。このガラス繊維(粒子塗布パ
ッド3に相当)と、上述した第三の実験と同じ方法で得
られたニトロセルロースメンブレン(メンブレン5に相
当)とを3mm程度重なるように接触させ、テープで貼
り合わせて、5mm幅のストリップとした。
【0068】80μlのhCGを含む陽性試料を、ガラ
ス繊維(粒子塗布パッド3に相当)下端から吸収させ、
5分後に、捕捉部21において金コロイド由来の発色を
観察した。hCGを含む試料では、50mlU/ml〜
1000000mlU/mlの範囲で発色が現れ、よっ
て、陽性と判定された。一方、80μlのhCGを含ま
ない陰性試料をガラス繊維(粒子塗布パッド3に相当)
下端から吸収させたが、捕捉部21に発色は観察できな
かった。hCGを含まない試料については、陰性と判定
された。
【0069】実施の形態2における検出装置と、実施の
形態1における検出装置が異なるのは、メンブレン5に
設ける捕捉部21の形成方法だけである。したがって、
実施の形態2における検出装置においても、実施の形態
1における検出装置の第1から第4変形例を同様に適用
できる。また、その利用性についても、同様である。
【0070】(実施の形態3)図8は、本発明の実施の
形態3における検出装置の側面図である。なお、図1と
同一の部分については同一の符号を付している。図8に
示すように、実施の形態3における検出装置は、液体試
料添加部1、粒子塗布パッド23およびメンブレン25
からなる。メンブレン25は、クロマト的流れの下流部
を構成し、粒子塗布パッド23はクロマト的流れの上流
部を構成する。メンブレン25において、粒子塗布パッ
ド23から液体試料などが流入してくる部分、すなわ
ち、メンブレン25と粒子塗布パッド23との接合箇所
の近傍が、捕捉部27となる。なお、捕捉部27は、メ
ンブレン25の特定箇所を加工して形成するものではな
く、このように接合するだけで、メンブレン25の特定
箇所がそのまま捕捉部となるのである。実施の形態3に
おける検出装置が、実施の形態1における検出装置と異
なるのは、粒子塗布パッド23とメンブレン25との関
係である。以下、詳しく説明する。
【0071】液体試料添加部1は、実施の形態1におけ
る検出装置と同じである。粒子塗布パッド23は、多孔
質材からなり、例えば、ガラス繊維コンジュゲートパッ
ド(アキュウイック(商標名)など)を用いることがで
きる。粒子塗布パッド23には、標識物質および検出に
影響しない粒子が塗布されている。粒子塗布部23にお
いては、液体試料、標識物質、検出に影響しない粒子お
よび反応生成物(図3参照)の移動が可能である。標識
物質は、着色されており、粒子塗布パッド23、メンブ
レン25および捕捉部27を容易に通過するサイズとな
っている。このような条件の下で、標識物質としては、
例えば、粒径が0.02μm〜0.5μmの金コロイド
または着色ラテックスを用いることができる。検出に影
響しない粒子は、粒子塗布パッド23は通過するが、メ
ンブレン25(捕捉部27含む)は、通過できないサイ
ズである。このような条件の下で、検出に影響しない粒
子としては、例えば、粒径が0.5μm〜5μm(特に
1μm程度)の白ラテックスを用いることができる。
【0072】メンブレン25(捕捉部27を含む)の孔
径は、液体試料および標識物質は通過できるが、検出に
影響しない粒子および反応生成物は通過できずに捕捉さ
れるサイズである。このような条件の下で、メンブレン
25としては、粒径が0.5μm〜5μmの粒子を捕捉
できるものを用いることができる。なお、メンブレン2
5は、多孔質材の一つの例であり、その他の多孔質材を
用いることができる。
【0073】次に、検出方法について説明する。まず、
液体試料を液体試料添加部1に添加する。そして、液体
試料は、液体試料添加部1を矢印A方向にクロマト的に
移動し、粒子塗布パッド23へ流入する。粒子塗布パッ
ド23において、液体試料は、標識物質および検出に影
響しない粒子とともに矢印B方向にクロマト的に移動す
る。この時、液体試料に被検物質が存在していれば、図
3に示すように、標識物質15および検出に影響しない
粒子17は、被検物質13と結合し、反応生成物とな
る。
【0074】液体試料に被検物質13が存在している場
合においては、反応生成物が、メンブレン25に流入
し、メンブレン25と粒子塗布パッド23との接合箇所
の近傍(捕捉部27)に捕捉される。なぜなら、メンブ
レン25(捕捉部27を含む)の孔径は、反応生成物に
含まれる検出に影響しない粒子の粒径より小さいからで
ある。そして、反応生成物は、標識物質15により着色
されているので、反応生成物が捕捉されたこと、すなわ
ち、液体試料に被検物質13が存在することを肉眼で確
認できる。なお、反応生成物とならない標識物質15お
よび液体試料は、メンブレン25において矢印C方向に
クロマト的に移動する。
【0075】一方、液体試料に被検物質13が存在して
いない場合は、粒子塗布パッド23からメンブレン25
へ流入してきた液体試料および標識物質15は、矢印C
方向にクロマト的に移動し、流れ去る。検出に影響しな
い粒子17は、捕捉部27に捕捉される。なせなら、検
出に影響しない粒子17の粒径は、捕捉部27の孔径よ
り大きいからである。この場合、検出に影響しない粒子
17は無色であるため、捕捉部27にサインは現れな
い。
【0076】以上のように、本発明の実施の形態3にお
いては、メンブレン25の孔径を粒子塗布パッド23の
孔径より小さくしている。すなわち、粒子塗布パッド2
3の孔径を反応生成物が通過できる大きさにするととも
に、メンブレン25の孔径を反応生成物が通過できない
大きさにしている。このように、メンブレン25の孔径
を小さくすることによって、被検物質13を含む反応生
成物を捕捉している。したがって、従来の検出装置のよ
うに、被検物質を捕捉する手段として、メンブレンに、
特異反応成分を移動できないように結合させておらず、
特異反応成分の結合量の制限を受けることがないので、
検出感度の向上を図ることができるとともに、検出量の
ばらつきを少なくできる。
【0077】また、メンブレン25の特定箇所(メンブ
レン25と粒子塗布パッド23との接合箇所の近傍、す
なわち、捕捉部27)に反応生成物が捕捉されるため、
捕捉部27の面積を小さくすることができ、被検物質が
少量であるときも、明瞭なサインが得られる。捕捉部2
7は、外部に露呈しているから、別段メンブレンを剥が
す必要はなく、検出結果を外部から容易に観察できる。
さらに、被検物質13、標識物質15および検出に影響
しない粒子17を結合させた反応生成物を捕捉するの
で、被検物質が、無色で、メンブレン25の孔径より小
さい場合でも、検出が可能である。
【0078】次に、実施の形態3における検出装置を用
いた第五の実験の結果を示す。なお、この実験は、色彩
および粒径の異なる二種類の着色粒子の混合溶液を用い
て、実施の形態3における検出装置が、上述した機能を
果たすかどうかを確認するためのものであり、実際に、
検出装置の検出の対象となる液体試料を用いているわけ
ではない。実際に、検出装置の検出の対象となる液体試
料を用いた実験の結果は後述する。
【0079】0.3μm程度の粒子を捕捉できるニトロ
セルロースメンブレン(メンブレン25に相当し、商標
名がプレデターであるポール社のニトロセルロースメン
ブレンを使用)を、粒子の吸着を防ぐため、0.5%の
カゼインを含む溶液に30分程度漬け込み、処理した。
これを、乾燥後、約5mm×35mmに切断した。ま
た、少なくとも10μm程度の粒子をクロマト的に移動
させることができるガラス繊維(粒子塗布パッド23に
相当)を、5mm×15mmに切断した。そして、この
ガラス繊維と上記のニトロセルロースメンブレンとを、
3mm程度重なるように接触させ、テープで貼り合わせ
て、5mm幅のストリップとした。
【0080】0.3μmの粒径を持つ着色粒子(ポリス
チレン性ブルーラテックス)と、0.02μm程度の粒
径を持つ金コロイド粒子との混合溶液を、上記したスト
リップのガラス繊維(粒子塗布パッド23に相当)側か
らクロマト的に移動させた。混合溶液を十分に展開させ
た後、ニトロセルロースメンブレン(メンブレン25に
相当)の特定箇所、すなわち、ガラス繊維(粒子塗布パ
ッド23に相当)とニトロセルロースメンブレン(メン
ブレン25に相当)との接合箇所の近傍(捕捉部27に
相当)を観察したところ、着色粒子(ポリスチレン性ブ
ルーラテックス)のみが捕捉されて、青いラインが現れ
ていた。一方、金コロイド粒子は、捕捉されずに流れた
ため、金コロイド由来の赤いラインは形成されなかっ
た。以上の結果、0.02μm程度の粒径を持つ金コロ
イド粒子は捕捉されず、0.3μmの粒径を持つ着色粒
子は捕捉され、容易に検出できることが確認された。
【0081】次に、実際に、検出装置の検出の対象とな
る液体試料を用いた第六の実験の結果を示す。粒径が
0.3μm(0.3μm〜5μmが可能)のポリスチレ
ン性白ラテックス(検出に影響しない粒子17に相当)
に抗βーhCG抗体を結合させ、粒径が0.02μm
(0.02μm〜0.5μmが可能)の金コロイド粒子
(標識物質15に相当)に抗hCG抗体を結合させた。
結合の要領は、常法にしたがった。
【0082】次に、少なくとも10μm程度の粒子をク
ロマト的に移動させることができるガラス繊維(粒子塗
布パッド23に相当)を、5mm×10mmに切断し
て、上記の抗βーhCG抗体結合ポリスチレン性白ラテ
ックスと、抗hCG抗体結合金コロイド粒子とを適量混
合し、塗布して乾燥させた。このガラス繊維(粒子塗布
パッド23に相当)と、上述した第五の実験と同じ方法
で得られたニトロセルロースメンブレン(メンブレン2
5に相当)とを3mm程度重なるように接触させ、テー
プで貼り合わせて、5mm幅のストリップとした。
【0083】80μlのhCGを含む陽性試料を、ガラ
ス繊維(粒子塗布パッド23に相当)下端から吸収さ
せ、捕捉部27において金コロイド由来の発色を観察し
た。hCGを含む試料では、50mlU/ml〜100
0000mlU/mlの範囲で発色が現れ、よって、陽
性と判定された。一方、80μlのhCGを含まない陰
性試料をガラス繊維(粒子塗布パッド23に相当)下端
から吸収させたが、捕捉部27に発色は観察できなかっ
た。hCGを含まない試料については、陰性と判定され
た。
【0084】なお、実施の形態3における検出装置にお
いても、実施の形態1における検出装置の第1から第4
変形例を同様に適用できる。また、その利用性について
も、同様である。
【0085】
【発明の効果】本発明では、多孔質材におけるクロマト
的流動が、意図的に不均一にされている。より詳しく
は、捕捉部において、局所的に流動の一部が妨害され
る。即ち、孔径の小さい捕捉部により被検物質を捕捉す
ることにより、検出感度の向上を図ることができるとと
もに、検出量のばらつきを少なくできる。また、被検物
質の大きさが、直接捕捉できない大きさの場合でも、被
検物質を、粒径が捕捉部の孔径より大きい粒子と結合さ
せることにより、被検物質を検出できる。さらに、被検
物質が無色の場合でも、被検物質を有色の標識物質と結
合させることにより、被検物質を検出できる。加えて、
本発明の多孔質材は、少量の物質検出に好適に用いら
れ、検出結果の確認時等に上流側の部分を除去したりす
る必要はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における検出装置の側面
【図2】本発明の実施の形態1における検出装置の平面
【図3】被検物質(無色)、検出に影響しない粒子およ
び標識物質が反応して生成される反応生成物の模式図
【図4】被検物質(有色)および検出に影響しない粒子
が反応して生成される反応生成物の模式図
【図5】本発明の実施の形態1における検出装置の第2
変形例の平面図
【図6】本発明の実施の形態1における検出装置の第3
変形例の平面図
【図7】本発明の実施の形態2における検出装置の側面
【図8】本発明の実施の形態3における検出装置の側面
【符号の説明】
1 液体試料添加部 3、23 粒子塗布パッド 5、25 メンブレン 7 上流部 9 下流部 11、21、27 捕捉部 13、18 被検物質 15 標識物質 17 検出に影響しない粒子 19 液体試料 20 容器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上流部から下流部へ液体がクロマト的に移
    動する多孔質材であって、前記下流部におけるクロマト
    的流れの途中に、液体試料中に含まれる被検物質を直接
    的または間接的に捕捉する捕捉部を設け、前記捕捉部の
    孔径は、他の部分の孔径より小さいことを特徴とする多
    孔質材。
  2. 【請求項2】前記捕捉部は、前記下流部の特定箇所に、
    粒子を埋め込むことにより形成することを特徴とする請
    求項1記載の多孔質材。
  3. 【請求項3】前記捕捉部は、前記下流部の特定箇所を溶
    剤処理することにより形成することを特徴とする請求項
    1記載の多孔質材。
  4. 【請求項4】前記上流部は第一の部材からなり、前記下
    流部は、第二の部材からなり、前記第一の部材は、前記
    第二の部材よりも孔径が大きく、前記第一の部材は、前
    記第二の部材に接合され、この接合箇所が、前記捕捉部
    となることを特徴とする請求項1記載の多孔質材。
  5. 【請求項5】請求項1から4のいずれかに記載の多孔質
    材を備えることを特徴とする検出装置。
  6. 【請求項6】クロマト的流れの上流に位置する上流部に
    液体試料を注入し、上流部から下流部へ液体試料をクロ
    マト的に移動させる方法であって、前記下流部に、前記
    上流部より孔径が小さい捕捉部を設けて、この捕捉部に
    よって試料液体に含まれる被検物質を捕捉することを特
    徴とする検出方法。
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