JP2001158847A - ブロック共重合体組成物及びその成形品 - Google Patents

ブロック共重合体組成物及びその成形品

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JP2001158847A
JP2001158847A JP34236699A JP34236699A JP2001158847A JP 2001158847 A JP2001158847 A JP 2001158847A JP 34236699 A JP34236699 A JP 34236699A JP 34236699 A JP34236699 A JP 34236699A JP 2001158847 A JP2001158847 A JP 2001158847A
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Chikanori Itou
周徳 伊藤
Yukiatsu Furumiya
行淳 古宮
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 常温条件下のみならず高温条件下においても
良好な柔軟性を発揮するブロック共重合体組成物 【解決手段】 (a)と(b)からなり、以下の条件
(1)〜(6)を満足するブロック共重合体組成物。 (1)(a)はビニル芳香族化合物重合体とオレフィン
重合体とを有する直鎖状のブロック共重合体。 (2)(b)は金属原子間が酸素原子を介して結合して
なる架橋構造を有する高分子化合物。 (3)(b)の全金属原子基準でのケイ素原子含有率は
20モル%以上。 (4)(a)及び(b)の含有重量をWa及びWbで表
わす場合、Wa/(Wa+Wb)の値は0.750〜0.
999の範囲内。 (5)(a)と(b)とは完全相溶、共連続構造、また
は海島構造、を形成し、海成分が(a)からなり、20
0nm以下の粒子状の共連続構造物からなる。 (6)500℃での焼成法により得られた多孔性物質の
平均細孔径は50nm以下。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニル芳香族化合
物重合体ブロックとオレフィン重合体ブロックとを有す
るブロック共重合体を含有し、かつ常温及び高温での柔
軟性に優れるブロック共重合体組成物に関する。また本
発明は、該ブロック共重合体組成物が有する常温及び高
温での優れた柔軟性が活かされる成形品に関する。本発
明のブロック共重合体組成物は、常温条件下のみならず
高温条件下においても良好な柔軟性を発揮するため、常
温から高温に至るまでの広い温度範囲にわたる環境下で
使用される軟質物品、例えば、パッキン類、ホース類、
ガスケット類、ローラー類等の素材として有用である。
【0002】
【従来の技術】ビニル芳香族化合物重合体ブロックとオ
レフィン重合体ブロックとを有するブロック共重合体に
ついては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブ
ロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−
スチレンブロック共重合体(SBS)、星型スチレン−
ブタジエン系ブロック共重合体等の各種の重合体が知ら
れており、主鎖構造に着目すると、これらは直鎖状、星
型等に分類される。該ブロック共重合体はエラストマー
としての性能を有しており、柔軟性、制振性等に優れる
ことが知られている。また、該ブロック共重合体を各種
合成樹脂にブレンド又はアロイ化することにより、合成
樹脂に対して耐衝撃性、柔軟性、制振性等の性能を付与
する方法が提案されている。しかしながら、ビニル芳香
族化合物重合体ブロックとオレフィン重合体ブロックと
を有するブロック共重合体については、常温条件下で良
好な柔軟性を発揮できても、60℃以上の高温条件下で
は柔軟性が十分とは言えなくなるものが多い。このた
め、該ブロック共重合体単独及び該ブロック共重合体と
他の合成樹脂等とのブレンド物の何れの場合において
も、使用環境が高温環境を含む用途では使用上の制約が
大きいのが実情である。
【0003】一方、有機高分子物質の改質方法の一種に
無機物質との複合化があるが、その手法の一つとして、
いわゆるゾル−ゲル法がいくつかの有機高分子物質に対
して試みられている。ゾル−ゲル法は、テトラアルコキ
シシラン等の金属アルコキシドの加水分解と重縮合(脱
水反応及び脱アルコール反応)とを、有機高分子物質の
存在下又は有機高分子物質の原料モノマーの重合系中で
行わせることによって、有機高分子物質及びシリカ等の
金属酸化物からなる複合体を形成させようとするもので
ある。ビニル芳香族化合物重合体ブロックとオレフィン
重合体ブロックとを有するブロック共重合体へのゾル−
ゲル法の適用例としては、以下のような報告がなされて
いる。
【0004】(1)Journal of Applied Polymer Scien
ce、第66巻、第853頁〜第860頁(1997年) SEBSをニトロ化し還元することによってアミノ基を
有するスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロッ
ク共重合体変性物を調製し、該変性物を3−グリシジル
オキシプロピルトリメトキシシランと反応させ、その反
応混合物(テトラヒドロフラン溶液)中にテトラエトキ
シシラン及び/又はテトラブトキシチタンを塩酸、水及
びテトラヒドロフランと共に添加して30分間攪拌し、
得られた透明な均一溶液をガラス製の金型内に注ぎ込
み、その上部をシリコーン樹脂でシールドした状態で2
0日間覆っておくことによって溶媒及び副生する水を蒸
発させる(この間、加水分解反応と重縮合反応が進行す
る)、という操作を経て、SEBSの主鎖を主構造とし
て有する有機高分子物質と金属酸化物(シリカ、チタニ
ア又はシリカ−チタニア)からなる組成物が得られた。
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランは、
SEBSの鎖と金属酸化物とのカップリング剤として機
能し、該組成物は透明なフィルムを形成し、有機/無機
間の相溶性は良好であった。なお、上記のような変性や
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランとの
反応を行うことなく、直接SEBSの存在下でテトラエ
トキシシラン及びテトラブトキシチタンの加水分解と重
縮合を行った点以外は、上記と同様な手順を経た場合に
得られた組成物では、不透明なフィルムしか与えず、有
機/無機間の相溶性は不十分であった。
【0005】(2)Polymer Journal、第29巻、第992頁
〜第996頁(1997年) 星型スチレン−ブタジエンブロック共重合体のテトラヒ
ドロフラン溶液に、テトラエトキシシランと水を添加
し、得られた混合物を65〜70℃の油浴での加熱下に
8時間還流させ、次いで、得られた透明な溶液をガラス
板上に流し、この状態で3日間自然乾燥させる(この
間、加水分解反応と重縮合反応が進行する)、という操
作を経て、該ブロック共重合体とシリカからなる組成物
が得られた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らが、ブロッ
ク共重合体へのゾル−ゲル法の適用に関する上記の公知
例について検討した結果、高温柔軟性が幾分改良される
場合があるものの、工業的実施を想定したブロック共重
合体の高温柔軟性改良法としては不十分であることが判
明した。すなわち、上記(1)の記載に従って、SEB
Sをアミノ基変性し、3−グリシジルオキシプロピルト
リメトキシシランと反応させた後、上記のテトラエトキ
シシラン及び/又はテトラブトキシチタンの加水分解と
重縮合をテトラヒドロフラン溶液中で行うことによって
組成物を製造した場合、得られた組成物は高温条件下に
おける柔軟性の改良が不十分であり、さらに製法の煩雑
さのため工業的生産に不向きである。また、上記(1)
の記載に従って、未変性のSEBSの存在下における同
様なテトラエトキシシラン及びテトラブトキシチタンの
加水分解及び重縮合を行った場合でも、得られた組成物
については高温柔軟性の改良が不十分である。また、上
記(2)の星型スチレン−ブタジエンブロック共重合体
の存在下におけるテトラエトキシシランの加水分解と重
縮合によって得られた組成物でも高温柔軟性の改良が不
十分である。しかして、本発明の第一の課題は、常温条
件下のみならず高温条件下においても良好な柔軟性を発
揮することのできるブロック共重合体組成物を提供する
ことにある。また本発明の第二の課題は、これらの優れ
た性質が効果的に発揮される成形品を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、(i)上記(1)に記
載されたものとは異なる製造条件を採用すると、常温条
件下のみならず高温条件下においても良好な柔軟性を発
揮するブロック共重合体組成物が得られる場合があるこ
と、(ii)この場合に得られたブロック共重合体組成物
は、有機高分子化合物からなる相と金属酸化物からなる
相との相分離構造において上記(1)に記載された組成
物とは異なること、及び(iii)上記(2)に記載され
ているような星型スチレン−ブタジエンブロック共重合
体を使用してブロック共重合体組成物を製造した場合に
は、常温条件下のみならず高温条件下においても良好な
柔軟性を発揮するブロック共重合体組成物が得られ難い
こと、を見出し、さらに検討を重ねた結果、本発明を完
成するに至った。
【0008】本発明によれば、上記の第一の課題は、有
機高分子化合物(a)と金属酸化物(b)からなる組成
物であって、
【0009】(1)該有機高分子化合物(a)が、ビニ
ル芳香族化合物重合体ブロック(i)とオレフィン重合
体ブロック(ii)とを有する直鎖状のブロック共重合体
であり、
【0010】(2)該金属酸化物(b)が、金属原子間
が酸素原子を介して結合してなる架橋構造を有する高分
子化合物であり、
【0011】(3)該金属酸化物(b)について、全金
属原子基準におけるケイ素原子の含有率が20モル%以
上であり、
【0012】(4)該有機高分子化合物(a)及び該金
属酸化物(b)の含有量を重量基準においてそれぞれW
a及びWbで表わす場合、Wa/(Wa+Wb)の値が
0.750〜0.999の範囲内であり、
【0013】(5)(イ)該有機高分子化合物(a)と
該金属酸化物(b)とが完全相溶しているか、(ロ)該
有機高分子化合物(a)からなる相と該金属酸化物
(b)からなる相とが共連続構造を形成しているか、又
は(ハ)該有機高分子化合物(a)からなる相と該金属
酸化物(b)からなる相とが海島構造を形成し、かつ海
成分が該有機高分子化合物(a)からなり、島成分が該
金属酸化物(b)からなる相中に該有機高分子化合物
(a)からなる相が入り込んだ形態を有する平均粒子径
が200nm以下である粒子状の共連続構造物からなる
形態を有しており、かつ、
【0014】(6)500℃での焼成法により得られた
多孔性物質についてBET法で求めた平均細孔径が50
nm以下である、
【0015】ことを特徴とするブロック共重合体組成物
を提供することによって解決される。
【0016】また本発明によれば、上記の第二の課題
は、上記ブロック共重合体組成物からなる成形品を提供
することによって解決される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。
【0018】本発明のブロック共重合体組成物は、特定
の有機高分子化合物(a)及び特定の金属酸化物(b)
を含有する有機/無機複合体である。
【0019】本発明のブロック共重合体組成物を構成す
る有機高分子化合物(a)は、ビニル芳香族化合物重合
体ブロック(i)とオレフィン重合体ブロック(ii)と
を有する直鎖状のブロック共重合体(以下、かかるブロ
ック共重合体を「ブロック共重合体[A]」と略称する
ことがある)である。ブロック共重合体[A]におい
て、ビニル芳香族化合物重合体ブロック(i)は、例え
ば、スチレン単位、o−メチルスチレン単位、m−メチ
ルスチレン単位、p−メチルスチレン単位、クロロスチ
レン単位、ジクロロスチレン単位、ブロモスチレン単
位、ジブロモスチレン単位、α−メチルスチレン単位、
α−エチルスチレン単位、メチル−α−メチルスチレン
単位、ジメチルスチレン単位等のスチレン系化合物から
誘導される構造単位;ビニルナフタレン単位等のビニル
ナフタレン系化合物から誘導される構造単位などのビニ
ル芳香族化合物から誘導される構造単位を主たる構造単
位とする重合体ブロックである。オレフィン重合体ブロ
ック(ii)は、エチレン単位、プロピレン単位、イソブ
チレン単位等のモノオレフィン(炭素−炭素二重結合を
1個有する不飽和炭化水素)から誘導される構造単位;
1,3−ブタジエン単位、イソプレン単位、1,3−ペン
タジエン単位、1,3−ヘキサジエン単位等の共役ジオ
レフィン(共役系を形成する2個の炭素−炭素二重結合
を有する不飽和炭化水素)から誘導される構造単位;該
共役ジオレフィンから誘導される構造単位が水素添加さ
れてなる構造単位などのオレフィンから誘導される構造
単位を主たる構造単位とする重合体ブロックである。
【0020】ブロック共重合体[A]は、本発明の効果
を喪失しない範囲内で、所望に応じて、ビニル芳香族化
合物から誘導される構造単位及びオレフィンから誘導さ
れる構造単位に加え、他の構造単位を有していてもよ
い。該他の構造単位としては、例えば、アクリル酸メチ
ル単位、アクリル酸エチル単位、アクリル酸プロピル単
位、アクリル酸ブチル単位、アクリル酸2−エチルヘキ
シル単位、アクリル酸オクチル単位等のアクリル酸エス
テル単位;メタクリル酸メチル単位、メタクリル酸エチ
ル単位、メタクリル酸プロピル単位、メタクリル酸ブチ
ル単位、メタクリル酸アミル単位、メタクリル酸ヘキシ
ル単位、メタクリル酸2−エチルヘキシル単位、メタク
リル酸シクロヘキシル単位、メタクリル酸オクチル単
位、メタクリル酸デシル単位、メタクリル酸ドデシル単
位、メタクリル酸オクタデシル単位、メタクリル酸フェ
ニル単位、メタクリル酸ベンジル単位、メタクリル酸ナ
フチル単位、メタクリル酸イソボルニル単位等のメタク
リル酸エステル単位;アクリロニトリル単位、メタクリ
ロニトリル単位等のシアン化ビニル単位;ジフェニルエ
チレン単位等のビニリデン単位;酢酸ビニル単位等のカ
ルボン酸ビニル単位;塩化ビニル単位等のハロゲン化ビ
ニル単位などが挙げられる。これらの構造単位は、ビニ
ル芳香族化合物重合体ブロック(i)中又はオレフィン
重合体ブロック(ii)中に組込まれていても、またビニ
ル芳香族化合物重合体ブロック(i)及びオレフィン重
合体ブロック(ii)とは別の重合体ブロック中に組込ま
れていてもよい。
【0021】上記のビニル芳香族化合物から誘導される
構造単位、オレフィンから誘導される構造単位及び所望
により含有される他の構造単位は、ブロック共重合体
[A]が少なくとも1個のビニル芳香族化合物重合体ブ
ロック(i)及び少なくとも1個のオレフィン重合体ブ
ロック(ii)を有する限りにおいて多様な共重合形式を
採用することができ、それらの共重合の形態としては、
ランダム状、ブロック状、テーパーブロック状、これら
の2種以上の混在する状態など、特に限定されるもので
はない。ただし、本発明においては、ブロック共重合体
[A]が直鎖状であること(すなわち、ブロック共重合
体[A]の主鎖が実質的に線状構造を形成しているこ
と)が必要である。有機高分子化合物(a)が重合体ブ
ロック(i)及び重合体ブロック(ii)を有していても
直鎖状ではないブロック共重合体(例えば、星状のブロ
ック共重合体)である場合には、ブロック共重合体組成
物の高温柔軟性は不十分となる。
【0022】ブロック共重合体組成物における高温条件
下での柔軟性改良効果が特に良好となる点において、ブ
ロック共重合体[A]に含まれるビニル芳香族化合物重
合体ブロック(i)を構成する主構造単位はスチレン単
位及び/又はα−メチルスチレン単位であることが好ま
しく、またオレフィン重合体ブロック(ii)を構成する
主構造単位はイソブチレン単位、1,3−ブタジエン単
位、イソプレン単位、1,3−ブタジエン単位が水素添
加されてなる構造単位及びイソプレン単位が水素添加さ
れてなる構造単位のうち1つ以上の構造単位であること
が好ましい。ここで、上記イソプレン単位には、2−メ
チル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH−C
(CH)=CH−CH−:1,4−結合のイソプレ
ン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH{C(C
)=CH}−CH−:3,4−結合のイソプレ
ン単位]及び1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C
(CH )(CH=CH)−CH−:1,2−結合
のイソプレン単位]が包含され、上記1,3−ブタジエ
ン単位には、ビニルエチレン基[−CH(CH=C
)−CH−:1,2−結合のブタジエン単位]及
び2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH−CH=C
H−CH−:1,4−結合のブタジエン単位]が包含
される。上記の高温条件下での柔軟性改良効果において
特に好適なブロック共重合体[A]としては、例えば、
スチレン−イソプレン系ジブロック共重合体、スチレン
−イソプレン−スチレン系トリブロック共重合体、スチ
レン−ブタジエン−スチレン系トリブロック共重合体、
スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン系トリブ
ロック共重合体等のスチレンとイソプレン及び/又は
1,3−ブタジエンとのブロック共重合体;スチレン−
イソプレン−スチレン系トリブロック共重合体の水素添
加物(スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン系ト
リブロック共重合体)、スチレン−ブタジエン−スチレ
ン系トリブロック共重合体の水素添加物(SEBS)、
スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン系トリブ
ロック共重合体の水素添加物等のスチレンとイソプレン
及び/又は1,3−ブタジエンとのブロック共重合体の
水素添加物;スチレン−イソブチレン−スチレン系トリ
ブロック共重合体等のスチレンとイソブチレンとのブロ
ック共重合体などが挙げられる。上記のスチレンとイソ
プレン及び/又は1,3−ブタジエンとのブロック共重
合体及びその水素添加物においては、柔軟性に優れる点
で、3,4−結合のイソプレン単位、1,2−結合のイ
ソプレン単位、1,2−結合の1,3−ブタジエン単位
及びこれらの構造単位を水素添加して形成される構造単
位の合計量が、イソプレン又は1,3−ブタジエンに由
来するすべての構造単位の全量に対して0〜80モル%
の範囲内であることがより好ましく、50〜80モル%
の範囲内であることが特に好ましい。
【0023】また、ブロック共重合体[A]は、本発明
の効果を阻害しない範囲内で、水酸基、アミノ基、アル
キルアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、アミド
基、ジカルボン酸無水物の構造を有する基、シリル基、
ボロン酸の構造を有する基等の官能基を主鎖中又は主鎖
末端に有していてもよい。ただし、官能基導入のための
共重合又は変性によって製造コストが上昇するので、コ
ストの点で、官能基の含有量は全構造単位に対して0.
1モル%以下にとどめることが好適であり、0.01モ
ル%以下にとどめることがより好適であり、実質的に官
能基を有しないことが最も好適である。なお、ブロック
共重合体[A]の数平均分子量は、必ずしも限られるも
のではないが、2000〜1000000の範囲内であ
ることが好適であり、30000〜300000の範囲
内であることがより好適である。また、ブロック共重合
体[A]の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子
量)は、必ずしも限られるものではないが、1.0〜2.
0の範囲内が好適であり、1.0〜1.3の範囲がより好
適である。
【0024】ブロック共重合体[A]におけるビニル芳
香族化合物重合体ブロック(i)とオレフィン重合体ブ
ロック(ii)の割合比は特に限定されるものではない
が、常温及び高温での柔軟性が特に良好となる点におい
て、(i)/(ii)の重量比で10/90〜70/30
の範囲内であることが好ましく、10/90〜40/6
0の範囲内であることが特に好ましい。
【0025】本発明のブロック共重合体組成物を構成す
る金属酸化物(b)は、金属原子及び酸素原子を必須の
構成成分とする高分子化合物である。金属酸化物(b)
において、金属原子間は式:M−O−M(ここでM
及びMはそれぞれ金属原子を意味する)で示される
ように酸素原子を介して結合しており、この種の結合に
よって金属原子を架橋点とする架橋構造が形成されてい
る。なお、本発明においては、ブロック共重合体組成物
を構成する金属酸化物(b)を個々の金属酸化物分子の
平均的な姿で表現しているので、個々の分子の間におい
て化学構造及び分子量に多少の不均一さが合っても差し
支えない。
【0026】本発明のブロック共重合体組成物において
は、金属酸化物(b)の中の全金属原子基準におけるケ
イ素原子の含有率が20モル%以上であることが必要で
ある。20モル%未満の場合には、ブロック共重合体組
成物の高温での柔軟性が不十分となる。高温での柔軟性
の観点からは、同基準におけるケイ素原子の含有率は5
0モル%以上であることが好ましく、80モル%以上で
あることがより好ましく、実質的に100モル%である
ことが特に好ましい。該金属酸化物(b)がケイ素原子
以外の金属原子をも含む場合、ケイ素原子以外の金属原
子としては、チタン原子、アルミニウム原子、ジルコニ
ウム原子等の2価以上(より好ましくは3価又は4価)
の金属原子であることが好ましい。このような金属酸化
物(b)の代表例としては、シリカ、シリカ−チタニ
ア、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア等が挙げら
れる。
【0027】本発明のブロック共重合体組成物において
は、それを構成する有機高分子化合物(a)(すなわ
ち、ブロック共重合体[A])及び金属酸化物(b)の
含有量(重量基準での相対値)をそれぞれWa及びWb
表わす場合、Wa/(Wa+Wb)の値が0.75〜0.
999の範囲である。該値が0.75未満の場合、有機
高分子化合物(a)由来の柔軟性が大幅に損なわれる。
また、該値が0.999を越える場合、高温での柔軟性
の改良効果が不十分となる。ブロック共重合体組成物に
おける常温及び高温での柔軟性が特にバランスよく発揮
される点で、該値は0.80〜0.995の範囲内である
ことがより好ましく、0.85〜0.99の範囲内である
ことがさらに好ましい。
【0028】上記のWa及びWbは、以下のような溶媒
抽出法及び/又は焼成法によって求めることができる。
【0029】すなわち、ブロック共重合体組成物を、ト
ルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、クロロホルム
等から選ばれる有機高分子化合物(a)に対する良溶媒
で十分に溶解(又は膨潤)させ、該溶液(又は膨潤液)
から沈殿物を遠心分離等の方法で採取する。得られた沈
殿物(固体及び/又はゲル状物)について、溶解(又は
膨潤)及び沈殿物採取からなる同様の一連の操作を、溶
解度パラメーターが異なる5種類以上の溶媒(又は混合
溶媒系)を用いて、1種類の溶媒(又は混合溶媒系)に
対して2回以上繰り返して行う。ここで、溶解度パラメ
ーターが異なる5種類以上の溶媒としては、例えば、ヘ
キサン[14.9(MPa)0.5]、オクタン[15.6
(MPa)0.5]、シクロヘキサン[16.8(MPa)
0.5]、トルエン[18.2(MPa)0.5]、クロロ
ホルム[19.0(MPa)0.5]、アセトン[20.3
(MPa)0.5]及びオクタノール[21.1(MPa)
0.5]からなる7種類の溶媒の組合わせが挙げられ
る。このようにして最終的に沈殿固体が得られた場合に
は、該沈殿固体を金属酸化物(b)とみなし、各操作で
得られた上澄み液を合わせたものの濃縮残渣を有機高分
子化合物(a)とみなすことができるため、それぞれの
重量を測定することによって有機高分子化合物(a)の
含有量(重量基準の相対値:Wa)及び金属酸化物
(b)の含有量(重量基準の相対値:Wb)を測定する
ことができる。一方、上記の操作で最終的に採取された
物質が少なくとも部分的にゲル状物である場合には、ブ
ロック共重合体組成物を500℃で焼成し、得られた焼
結残渣(金属酸化物からなる多孔性物質)の重量を金属
酸化物(b)の含有量(重量基準の相対値:Wb)とみ
なし、さらに該Wbの値を用いて焼成前のブロック共重
合体組成物の重量に基づき補正して計算することによっ
て、有機高分子化合物(a)の含有量(重量基準の相対
値:Wa)を決定することができる。なお、上記の操作
で最終的に採取された物質が少なくとも部分的にゲル状
物である場合、ブロック共重合体組成物において有機高
分子化合物(a)と金属酸化物(b)との間で化学結合
が形成されていたものと推定することができる。このよ
うな化学結合は、ブロック共重合体組成物の製造に当た
って、有機高分子化合物(a)として反応性の官能基を
有しているものを使用した場合、カップリング剤を使用
した場合などにおいて形成されやすい。
【0030】本発明のブロック共重合体組成物において
は、有機高分子化合物(a)に由来する相と金属酸化物
(b)に由来する相とが完全相溶しているか、共連続構
造を形成しているか、又は海島構造を形成している。た
だし、該海島構造の場合、海成分は有機高分子化合物
(a)に由来する相からなり、島成分は金属酸化物
(b)からなる相中に有機高分子化合物(a)からなる
相が入り込んだ形態を有する平均粒子径が200nm以
下である粒子状の共連続構造物からなるものである。上
記のように限定された相分離構造を有しないブロック共
重合体組成物では、高温での柔軟性が不十分となる。な
お、本発明のブロック共重合体組成物が上記の海島構造
を有している場合、高温での柔軟性が特に良好となる点
で、島成分の平均粒子径は100nm以下であることが
好適であり、50nm以下であることがより好適であ
り、20nm以下であることがさらに好適である。ま
た、ブロック共重合体に由来する相は2つ以上のドメイ
ンから形成されていてもよく、その場合には、金属酸化
物(b)はすべてのドメイン内において又は1つ以上の
特定種のドメイン内において、上記の分散形態で存在し
ていればよい。
【0031】本発明のブロック共重合体組成物における
ブロック共重合体(a)と金属酸化物(b)との上記の
ような相分離構造は、ブロック共重合体組成物を電子顕
微鏡観察することによって確認することができる。すな
わち、電子顕微鏡観察ではブロック共重合体(a)と金
属酸化物(b)とが区別できない均一相を形成している
場合には、完全相溶していると判定することができる。
電子顕微鏡観察でブロック共重合体(a)からなる相と
金属酸化物(b)からなる相とがそれぞれ連続相の形態
で共存している場合には、共連続構造相を形成している
と判定することができる。また、電子顕微鏡観察におい
て、ブロック共重合体(a)からなる海成分中に金属酸
化物(b)を含む島成分が粒子状で均一に分散している
場合には、海島構造を形成していると判定することがで
きる。そして、海島構造の場合における上記の共連続相
(島成分)の平均粒子径も、同様に、電子顕微鏡写真に
基づいて決定することができる。
【0032】本発明のブロック共重合体組成物では、5
00℃での焼成法により得られた多孔性物質についてB
ET法を用いて細孔径分布を測定し、その分布に基づい
て求めた平均細孔径が50nm以下であることが必要で
ある。平均細孔径が50nmより大きい場合には、ブロ
ック共重合体組成物における高温での柔軟性が不十分と
なる。高温での柔軟性が特に良好となる点において、平
均細孔径は10nm以下であることが好ましく、2nm
以下であることが特に好ましい。
【0033】本発明のブロック共重合体組成物を上記の
一連の溶媒抽出操作に付して最終的に取得された残渣が
ゲル状物を含有しない固体である場合には、該組成物中
の金属酸化物(b)からなる相はその形状が保持される
反面、有機高分子化合物(a)からなる相は完全に抽出
されるため、得られる残渣が金属酸化物(b)からなる
多孔性物質となる。しかしながら、ブロック共重合体組
成物を500℃で焼成することによって得られた残渣
も、上記溶媒抽出法で得られる金属酸化物(b)からな
る多孔性物質とほぼ同じ平均細孔径を有する多孔性物質
となる。したがって、本発明のブロック共重合体組成物
においては、上記の溶媒抽出法で得られる残渣がゲル状
物を含有するか否かに係わらず、上記の焼成法によって
得られる残渣の平均細孔径は、金属酸化物からなる相が
形成する多孔性構造における平均細孔径を反映している
ものとみなすことができる。
【0034】なお、本発明のブロック共重合体組成物で
は、有機高分子化合物(a)と金属酸化物(b)との間
で、共有結合、イオン結合等の狭義の化学結合が形成さ
れている必要はないが、本発明の効果を損なわない程度
であれば、両者間で部分的に化学結合が形成されていて
もよい。
【0035】本発明のブロック共重合体組成物は、所望
に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内において、
有機高分子化合物(a)及び金属酸化物(b)に加え
て、他の成分を含有していてもよい。該他の成分として
は、金属塩、金属錯体、層状粘土化合物、可塑剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、他の合成樹脂、加工助
剤、補強剤、顔料等が例示される。上記の金属塩の例と
しては、炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩のような無機酸金属
塩;シュウ酸塩のような有機酸金属塩などが挙げられ
る。金属錯体の例としては、アセチルアセトナート金属
錯体、シクロペンタジエニル金属錯体、シアノ金属錯体
などが挙げられる。層状粘土化合物の例としては、合成
スメクタイト、合成マイカ等が挙げられる。合成樹脂の
例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオ
レフィン系樹脂(官能基を含有していてもよい);ポリ
スチレン;ポリメタクリル酸メチル;ポリビニルアルコ
ール;ポリ酢酸ビニル;ポリフェニレンエーテル等が挙
げられる。加工助剤の例としては、ステアリン酸等の高
級脂肪族カルボン酸又はその誘導体;パラフィン系プロ
セスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロ
セスオイル等のプロセスオイル;液状ポリイソブチレン
等が挙げられる。また、補強剤の例としては、マイカ、
カーボンブラック、シリカ、ガラス繊維、炭素繊維、炭
酸カルシウム、タルク等が挙げられる。なお、上記の任
意成分については1種類の使用に限定されず、所望によ
り2種類以上を併用しても差し支えない。
【0036】本発明のブロック共重合体組成物では、上
記のように任意成分を含有する場合であっても、上記の
ような溶媒抽出法及び焼成法に準じた方法で分析するこ
とによって、Wa/(Wa+Wb)(ここで、Waは有
機高分子化合物(a)の含有量(重量)を表し、Wbは
金属酸化物(b)の含有量(重量)を表す)の値を求め
ることができる。すなわち、上記一連の操作で分別、分
取された有機系成分(有機高分子化合物(a)等を含有
する成分)について、液体クロマトグラフィー等の任意
の方法で分別、分取することにより各成分の重量比を求
め、さらに分取された各成分をNMR解析等の方法で構
造解析することにより、該有機系成分中の有機高分子化
合物(a)の比率を決定することができる。また、無機
系成分(金属酸化物(b)等を含有する成分)に関して
は、質量分析、元素分析及び金属元素に対する定性分析
を組み合せることにより、該無機系成分中の金属酸化物
(b)の比率を求めることができる。
【0037】本発明のブロック共重合体組成物において
は、上記の任意成分の中でも、柔軟性及び成形加工性が
特に良好となる点で、上記プロセスオイル及び/又は上
記ポリオレフィン系樹脂を、有機高分子化合物(a)の
含有量、金属酸化物(b)の含有量、並びにプロセスオ
イル及びポリオレフィン系樹脂の合計含有量を重量基準
においてそれぞれWa、Wb及びWcで表す場合、Wc
/(Wa+Wb)の値が0.01〜10の範囲内となる
ような割合で含有することが好ましく、プロセスオイル
とポリオレフィン系樹脂の両方を上記範囲内の割合で含
有することがより好ましい。
【0038】本発明のブロック共重合体組成物は、例え
ば、シリコンアルコキシドを含有する金属アルコキシド
又はそのオリゴマー(以後、「シリコンアルコキシドを
含有する金属アルコキシド又はそのオリゴマー」を「金
属アルコキシド系成分」と総称することがある)、有機
高分子化合物(ブロック共重合体)及び有機溶剤を含有
する溶液(ゾル)中において該金属アルコキシド系成分
の加水分解(加溶媒分解)及び重縮合反応(脱水及び脱
アルコール反応)を行うことによって、ゲル状態を経
て、有機高分子化合物(a)及び金属酸化物(b)から
なるブロック共重合体組成物(有機/無機複合体)を製
造する方法を基礎とする方法で製造することができる。
ただし、本発明のブロック共重合体組成物を製造するた
めには、以下の(i)及び(ii)の条件を満足するよう
に反応を行うことが好ましい。
【0039】(i)金属アルコキシド系成分として、そ
の中の全金属原子基準におけるケイ素原子の含有率が2
0モル%以上であるものを使用すること。
【0040】(ii)有機高分子化合物(ブロック共重合
体)及び金属アルコキシド系成分の重量基準での使用割
合をそれぞれWa’及びWb’で表わす場合、Wa’/
(Wa’+Wb’)の値が0.750〜0.999の範囲
内となるように、両者の使用割合を設定すること。
【0041】以下、上記の製造方法について詳細に説明
する。
【0042】上記製造方法において使用する金属アルコ
キシド系成分とは、シリコンアルコキシド、シリコンア
ルコキシド以外の金属アルコキシド、シリコンアルコキ
シド由来の構造単位を有する金属アルコキシドのオリゴ
マー及びシリコンアルコキシド由来の構造単位を有しな
い金属アルコキシドのオリゴマーからなる群から選ばれ
る少なくとも1種の成分であって、かつ少なくとも1成
分として、シリコンアルコキシド又はシリコンアルコキ
シド由来の構造単位を有する金属アルコキシドのオリゴ
マーを含むものを意味する。金属アルコキシド系成分は
本発明のブロック共重合体組成物に含まれる金属酸化物
(b)に誘導されるので、得られるブロック共重合体組
成物中の金属酸化物において所望とするケイ素原子の含
有率(全金属原子基準)と同程度のケイ素原子の含有率
(全金属原子基準)を有する金属アルコキシド系成分を
使用すればよい。したがって、使用する金属アルコキシ
ド系成分については、その全金属原子基準におけるケイ
素原子の含有率が20モル%以上であるものがよく、5
0モル%以上であるものがより好ましく、80モル%以
上であるものがさらに好ましく、実質的に100モル%
であるものが特に好ましい。
【0043】上記シリコンアルコキシドとしては、1個
のケイ素原子を有し、2、3又は4個のアルコキシ基が
ケイ素原子に結合した化学構造を有するものが好まし
い。ここで、アルコキシ基の個数は3個又は4個である
ことがより好ましく、4個であることが特に好ましい。
なお、アルコキシ基の個数が2個又は3個の場合、ケイ
素原子にはさらにアルキル基(メチル基等)、芳香族炭
化水素基(フェニル基、ベンジル基等)、ハロゲン原子
(塩素原子等)等が結合する。アルコキシ基としては、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキ
シ基、ブトキシ基等が例示される。シリコンアルコキシ
ドの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチル
トリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オ
クチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、ベンジルトリメトキシシラン、クロロトリメトキシ
シランなどが挙げられる。これらの中でも、金属酸化物
(b)からなる相の分散性が良好なブロック共重合体組
成物が得られやすい点で、使用する金属アルコキシド系
成分が有するアルコキシ基の少なくとも一部はメトキシ
基又はエトキシ基であることが好ましく、メトキシ基及
びエトキシ基の量が用いる金属アルコキシド系成分中の
全アルコキシ基に対して20モル%以上であることがよ
り好適であり、50モル%以上であることがさらに好適
であり、80モル%以上であることがさらに好適であ
り、約100モル%であることが特に好適である。
【0044】上記のシリコンアルコキシド以外の金属ア
ルコキシドとしては、チタン、アルミニウム、ジルコニ
ウム等の2価以上(より好ましくは3価又は4価)の金
属原子を1個有し、これに1個以上(より好ましくは2
個以上、特に好ましくは3個以上)のアルコキシ基が結
合している化学構造を有する化合物が好ましい。アルコ
キシ基の具体例としては、上記シリコンアルコキシドに
ついて例示したようなものが挙げられる。金属原子はア
ルコキシ基以外の置換基を有していてもよく、その置換
基としてはアルキル基(メチル基等)、芳香族炭化水素
基(フェニル基、ベンジル基等)、ハロゲン原子(塩素
原子等)等が例示される。該金属アルコキシドの具体例
としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタ
ン、テトライソプロポキシチタン、メチルトリイソプロ
ポキシチタン、エチルトリイソプロポキシチタン、プロ
ピルトリイソプロポキシチタン、ブチルトリイソプロポ
キシチタン、ヘキシルトリイソプロポキシチタン、オク
チルトリイソプロポキシチタン、フェニルトリイソプロ
ポキシチタン、ベンジルトリイソプロポキシチタン等の
アルコキシチタン化合物;トリメトキシアルミニウム、
トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミ
ニウム、トリブトキシアルミニウム、メチルジイソプロ
ポキシアルミニウム、エチルジイソプロポキシアルミニ
ウム、プロピルジイソプロポキシアルミニウム、ブチル
ジイソプロポキシアルミニウム、ヘキシルジイソプロポ
キシアルミニウム、オクチルジイソプロポキシアルミニ
ウム、フェニルジイソプロポキシアルミニウム、ベンジ
ルジイソプロポキシアルミニウム、ジエトキシアルミニ
ウムクロリド等のアルコキシアルミニウム化合物;テト
ラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコ
ニウム、テトラブトキシジルコニウム、メチルトリイソ
プロポキシジルコニウム、エチルトリイソプロポキシジ
ルコニウム、プロピルトリイソプロポキシジルコニウ
ム、ブチルトリイソプロポキシジルコニウム、ヘキシル
トリイソプロポキシジルコニウム、オクチルトリイソプ
ロポキシジルコニウム、フェニルトリイソプロポキシジ
ルコニウム、ベンジルトリイソプロポキシジルコニウム
のアルコキシジルコニウム化合物などが挙げられる。
【0045】上記のシリコンアルコキシド由来の構造単
位を有する金属アルコキシドのオリゴマーには、上記の
ようなシリコンアルコキシド単独のオリゴマー、及び上
記のようなシリコンアルコキシドと他の金属アルコキシ
ドとのコオリゴマーが包含される。該他の金属アルコキ
シドとしては、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等
の2価以上(より好ましくは3価又は4価)の金属原子
を1個有し、これに1個以上(より好ましくは2個以
上、特に好ましくは3個以上)のアルコキシ基が結合し
ている化学構造を有する化合物が好ましい。シリコンア
ルコキシド由来の構造単位を有する金属アルコキシドの
オリゴマーは、シリコンアルコキシドを単独で又は他の
金属アルコキシドとの混合物で、公知の方法により加水
分解・重縮合することによって製造することのできる、
低分子量の水酸基含有オリゴマーであることが好まし
い。シリコンアルコキシド由来の構造単位を有する金属
アルコキシドのオリゴマーの好ましい具体例としては、
シラノール基含有テトラメトキシシラン二量体又はその
三量体以上のオリゴマー、シラノール基含有テトラエト
キシシラン二量体又はその三量体以上のオリゴマー、シ
ラノール末端変性オリゴジメチルシロキサンなどが挙げ
られる。シリコンアルコキシド由来の構造単位を有する
金属アルコキシドのオリゴマーを使用する場合、その重
合度は必ずしも限られるものではないが、2〜25の範
囲内であることが好ましく、2〜10の範囲内であるこ
とがより好ましい。
【0046】また、上記のシリコンアルコキシド由来の
構造単位を有しない金属アルコキシドのオリゴマーとし
ては、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等の2価以
上(より好ましくは3価又は4価)の金属原子(ただ
し、ケイ素原子を除く)を1個有し、これに1個以上
(より好ましくは2個以上、特に好ましくは3個以上)
のアルコキシ基が結合している化学構造を有する化合物
の1種又は2種以上を、公知の方法により加水分解・重
縮合することによって製造することのできる、低分子量
の水酸基含有オリゴマーであることが好ましい。シリコ
ンアルコキシド由来の構造単位を有しない金属アルコキ
シドの好ましい具体例としては、水酸基含有テトライソ
プロポキシチタン二量体又はその三量体以上のオリゴマ
ーなどが挙げられる。シリコンアルコキシド由来の構造
単位を有しない金属アルコキシドのオリゴマーを使用す
る場合、その重合度は必ずしも限られるものではない
が、2〜25の範囲内であることが好ましく、2〜10
の範囲内であることがより好ましい。
【0047】上記製造方法で使用する有機高分子化合物
はブロック共重合体組成物中の有機高分子化合物(a)
を与えるので、所望の有機高分子化合物(a)と基本的
には同一の有機高分子化合物を使用すればよい。したが
って、使用する有機高分子化合物については、上記のブ
ロック共重合体[A]に関するものと同様の説明を適用
することができる。
【0048】上記製造方法における反応において使用す
る有機高分子化合物及び金属アルコキシド系成分につい
ては、上記定義のWa’/(Wa’+Wb’)の値が
0.750〜0.999の範囲内となるように、両者の使
用割合を設定することが好ましい。Wa’/(Wa’+
Wb’)の値は、通常、得られるブロック共重合体組成
物におけるWa/(Wa+Wb)の値に近いものとなる
ので、Wa’/(Wa’+Wb’)の値が0.80〜0.
995の範囲内となるように設定することがより好まし
く、0.85〜0.99の範囲内となるように設定するこ
とがさらに好ましい。
【0049】上記製造方法における反応は、上記の金属
アルコキシド系成分の重縮合反応を有機高分子化合物及
び有機溶剤を含有する溶液(ゾル)中において行うもの
であり、基本的にはゾル−ゲル法において公知の反応手
法に準じたものである。金属アルコキシド系成分の重縮
合反応は巨大分子化した金属酸化物を生成するものであ
り、金属アルコキシドのようにアルコキシ基を含有する
化合物又はアルコキシ基を含有するオリゴマーを使用す
る場合にはアルコキシ基が水酸基に変化する加水分解
(又は加溶媒分解)反応を経由する脱水縮合反応により
進行し、水酸基を含有するオリゴマーを使用する場合に
は加水分解反応を経ることなく脱水縮合反応のみにより
進行することがあるが、いずれの場合でも適用可能であ
る。なお、反応中、本発明の効果が阻害されない範囲内
であれば、有機高分子化合物(a)と形成される金属酸
化物(b)との間で部分的に共有結合が形成されてもよ
い。
【0050】上記反応においては、ゾル−ゲル法におい
て公知の触媒を使用することが好ましい。使用可能な触
媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、安
息香酸、酢酸、乳酸、炭酸等の酸性触媒;及びアンモニ
ア、水酸化カリウム、トリエチルアミン、エチレンジア
ミン等の塩基性触媒を挙げることができ、これらを単独
で用いても組み合せて用いてもよい。一般的には、酸性
触媒を用いることが好ましく、酸性触媒と塩基性触媒を
組み合せて用いることがより好ましい。ただし、上記金
属アルコキシド系成分として、予め、ある程度加水分解
・重縮合された低分子量の水酸基含有オリゴマーを使用
する場合には、塩基性触媒を用いることが好ましい。触
媒の使用量は必ずしも厳密に限定されるものではない
が、使用する金属アルコキシド系成分中に含有されるア
ルコキシ基の1モルに対して0.0001〜1.0グラ
ム当量の範囲内であることが好適であり、0.001〜
0.1グラム当量の範囲内であることがより好適であ
る。
【0051】上記製造方法における反応では、有機高分
子化合物と金属アルコキシド系成分を有機溶剤に溶解さ
せてなる溶液(ゾル)を使用する。その際に使用される
有機溶剤は、有機高分子化合物、金属アルコキシド系成
分及び上記触媒を十分に溶解し得るものであれば特に限
定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素;塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、
二塩化エチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水
素;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン
等の飽和脂肪族炭化水素;テトラヒドロフラン、二硫化
炭素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシド等の極性溶媒等を、単独又は混合
して用いることが好適な場合が多く、その中でも、トル
エン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン等が好適
な場合が特に多い。
【0052】上記反応においては、必要に応じて、反応
系中に水を存在させてもよい。例えば、金属アルコキシ
ド系成分としてアルコキシ基を有する化合物又はアルコ
キシ基を有するオリゴマーを使用する場合、該アルコキ
シ基の加水分解反応を進行させる上で水の存在が必要と
なる。水の使用量については反応系の溶液が十分に均一
であれば必ずしも限定されるものではなく、上記のよう
に、使用する金属アルコキシド系成分、触媒の種類等を
考慮して適宜設定することができるが、一般的には、使
用する金属アルコキシド系成分中のアルコキシ基に対し
て1.5〜4.0倍モルの範囲内から選択することが好ま
しい。反応系に水を供給する場合、供給する水の状態は
特に限定されず、液体状の水であっても気体状の水(水
蒸気)であってもよい。気体状の水の供給は、水蒸気を
含有する雰囲気(例えば、ある程度高い湿度を有する空
気)を反応系に接触させることによって行うことができ
る。なお、塩酸のように水を含有する成分を使用する場
合には、その成分によって導入される水の量も考慮して
水の使用量を決定すべきである。
【0053】有機溶剤の総量(水を使用する場合には有
機溶剤と水との総量)は特に限定されないが、有機高分
子化合物と金属アルコキシド系成分の総和100重量部
に対して20〜2000重量部の範囲内が好適であり、
100〜1000重量の範囲内がより好ましい。
【0054】本発明のブロック共重合体組成物に、金属
塩、金属錯体、層状粘土化合物、可塑剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、難燃剤、多の合成樹脂、加工助剤、補強
剤、顔料等の、上記のような他の成分を含有させたい場
合には、反応に際し、支障がない限りにおいて、含有さ
せたい任意成分を上記の有機高分子化合物と金属アルコ
キシド系成分とを含有する溶液中に添加しておくことが
できる。また、これ以外に、別途金属アルコキシドを湿
式で加水分解して調製された金属酸化物の微粉末;金属
アルコキシドを乾式で加水分解又は燃焼して調製された
金属酸化物の微粉末;γ−グリシジルオキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラ
ン等のカップリング剤と称される試薬などを溶液中に添
加しておくこともできる。カップリング剤の使用は、本
発明のブロック共重合体組成物の製造において必要では
ないが、上記のように金属塩、金属錯体、層状粘度化合
物等を反応系に配合させる場合には、これらの任意成分
の分散性の向上に有効となることがある。カップリング
剤を使用する場合、製造コスト低減のため、その使用量
は、使用する金属アルコキシド系成分中の金属成分基準
において1.0モル%以下にとどめることが望ましく、
0.1モル%以下にとどめることがより望ましく、0.0
5モル%以下にとどめることがさらに望ましい。
【0055】上記製造方法における反応は、少なくとも
途中以降の段階において、低沸点物を蒸発させながら行
ってもよい。該低沸点物としては、有機溶剤、金属アル
コキシド系成分の重縮合によって副生する水、アルコー
ル類等、過剰の水を添加した場合には過剰分の水などが
包含される。
【0056】上記製造方法における反応における反応系
の温度は、必ずしも限定されるものではないが、通常2
0〜100℃の範囲内であり、好ましくは40〜60℃
の範囲内である。反応時間は触媒の量、種類等の反応条
件に応じて相違するが、反応は、通常0.5〜120時
間の範囲内、好ましくは1〜60時間の範囲内、より好
ましくは1〜24時間の範囲内において、所定の重縮合
度に達成するまで継続すればよい。また、反応系の雰囲
気については、必ずしも限定されるものではなく、空気
の雰囲気下、窒素気流下などの条件を採用することがで
きる。
【0057】上記製造方法における反応では、反応初期
には有機溶剤等の蒸発を抑制し、それに次ぐ反応後期
に、有機溶剤等を蒸発させながら行うことが好ましい。
このためには、反応初期は常圧下又は加圧下で反応を行
い、反応後期において減圧系に移行させることが好まし
いことがある。
【0058】上記製造方法における反応では、金属アル
コキシド系成分、有機高分子化合物、有機溶剤及び必要
に応じてさらに他の成分(触媒、水等)を含有する溶液
(ゾル)を用いて反応を開始するが、有機溶剤等の低沸
点物等を系外に除去しながら反応を行う場合、反応時間
の経過とともに反応系の状態は変化し、反応途中では、
有機高分子化合物及び金属酸化物からなるゲル状の有機
/無機複合体が形成され、最終的には、固体の組成物が
形成される。なお、反応系が液体状の場合には攪拌して
もよい。
【0059】なお、上記反応は、特に限定されるもので
はないが、以下の(イ)〜(ハ)の条件を全て満たすよ
うな条件下で行うことが、得られるブロック共重合体組
成物における相分散性及び高温での柔軟性に特に優れる
点で好適である。
【0060】(イ)メチルシクロヘキサン含有量が80
%以上(好ましくは95重量%以上、より好ましくは9
9.9重量%以上)の有機溶剤を使用すること。
【0061】(ロ)ゾル−ゲル法の触媒として親油性の
有機酸(具体的には酢酸、乳酸等が好ましく、酢酸がよ
り好ましい)を使用すること。
【0062】(ハ)40〜60℃の範囲内の反応温度に
おいて、反応系内の湿度を80%RH以上(好ましくは
90%RH以上、より好ましくは95%RH以上)に維
持した状態で、0.001〜24時間(好ましくは0.
01〜12時間)反応させること。
【0063】上記のようにして反応を完結させることに
よって本発明のブロック共重合体組成物を製造すること
ができる。本発明のブロック共重合体組成物に、金属
塩、金属錯体、層状粘土化合物、可塑剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、難燃剤、他の合成樹脂、加工助剤、補強
剤、顔料等の他の任意成分を含有させたい場合には、上
記のように、これらを有機高分子化合物と金属アルコキ
シド系成分とを含有する溶液中に添加させて反応を行う
ことにより、該任意成分を含有するブロック共重合体組
成物を製造することができるが、反応後、得られたブロ
ック共重合体組成物に任意成分を配合することも可能で
ある。任意成分として合成樹脂、加工助剤等を含有させ
たい場合には、反応後にこれらをブロック共重合体組成
物に配合する方法が好ましい。ブロック共重合体組成物
への任意成分の配合は、例えば、ブロック共重合体組成
物と任意成分とを溶融条件下に混練する方法によって行
うことができる。混練に際しては、混練機、押出機、ミ
キシングロール、バンバリーミキサー等の熱可塑性重合
体組成物の製造に通常採用されるような装置を使用する
ことができる。混練温度は、使用するブロック共重合体
組成物及び使用する任意成分の種類、使用する混練装置
等に応じて適宜選択すればよいが、通常、180〜23
0℃の範囲内であることが好ましい。なお、プロセスオ
イル及び/又はポリオレフィン系樹脂を配合するのであ
れば、その使用量については、有機高分子化合物の使用
量、金属アルコキシド系成分の使用量、プロセスオイル
及びポリオレフィン系樹脂の合計使用量をそれぞれW
a’、Wb’及びWc’で表す場合、Wc’/(Wa’
+Wb’)の値が0.01〜10の範囲内となるように
設定することが好ましい。
【0064】本発明のブロック共重合体組成物からなる
成形品は、上記のような製造方法において、溶媒を完全
に除去する前の段階(すなわち、反応前又は反応途中の
段階)で、シート、フィルム等の任意の形態に付形し、
その形態を保持させながら反応を完結させることによっ
て製造することができる。また、本発明のブロック共重
合体組成物を、通常のブロック共重合体に採用されるよ
うな各種の成形方法に供することにより、成形品を製造
することも可能である。採用可能な成形方法としては、
例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、
ブロー成形、真空成形等の一般的に用いられる成形方法
や、共押出成形、インサート成形等の複数の樹脂を複合
一体化させる成形方法などが挙げられ、これらの方法に
よって、シート、フィルム、チューブ等の各種形状の成
形品を得ることができる。
【0065】さらに、反応当初又は反応途中の溶液を布
帛、紙などの繊維集合体からなる基材に含浸させた後、
反応を行うことからなる方法、反応後の組成物を溶融条
件下で上記基材に含浸させることからなる方法等によ
り、ブロック共重合体組成物が繊維集合体基材に含浸さ
れた形態の複合材を製造することが可能である。
【0066】また、上記の反応において反応当初又は反
応途中の溶液からなる膜を所定形状の基材上に形成させ
た後、反応を行うことからなる方法、反応後の組成物を
溶融条件下で上記基材上に接触させることからなる方法
等により、ブロック共重合体組成物からなる層を有する
積層体を製造することができる。上記の積層体の製造に
使用される基材としては、必ずしも限定されるものでは
なく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリ
エステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;
ポリ塩化ビニル等の重合体などからなる成形品などを採
用することができるが、強度等の観点からは、二軸延伸
ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルム、二軸延伸ナイロン66フィルムなど
の延伸樹脂フィルムが好ましい。基材上に該溶液からな
る膜を形成させるためには、キャスト法、ディッピング
法、ロールコーティング法、スプレー法、スクリーン印
刷法などの公知の手法を採用することができる。基材上
への該溶液の付与は複数回繰り返して行ってもよく、そ
れによって反応後に形成される組成物層の厚みを調整す
ることも可能である。また、基材上に溶融状態のオレフ
ィン系重合体組成物を接触させるためには、押出しラミ
ネーション法などの公知の手法を採用することができ
る。積層体におけるブロック共重合体組成物層の厚み
は、必ずしも限られるものではないが、0.01〜20
0μmの範囲内であることが好ましく、0.01〜50
μmの範囲内であることがより好ましい。積層フィルム
は、基材からなる層を2層以上有していてもよく、ま
た、基材層の少なくとも1つとして紙からなる層を有し
ていてもよい。積層フィルムの全厚みについては、必ず
しも限られるものではないが、一般に、0.01〜1m
mの範囲内である。
【0067】本発明のブロック共重合体組成物は、パッ
キン類、ホース類、ガスケット、マット、防水シート、
キャスター、グロメット、各種キャップ、ウェザースト
リップ、伸縮性フィルム、ワイヤーケーブルカバー、自
動車用内装材、ソフトスイッチ等の各種用途に幅広く用
いることができる。
【0068】また、本発明のブロック共重合体組成物に
は、それを構成する有機高分子化合物(a)に対して親
和性のある粘着付与樹脂、プロセスオイル等を配合する
ことにより、常温及び高温での柔軟性や耐候性に優れた
粘・接着剤が得られる。親和性のある粘着付与樹脂とし
ては、炭化水素系樹脂、芳香族系樹脂、水添テルペン樹
脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添ロジ
ンエステル等が挙げられる。
【0069】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらにより制限されるものでは
ない。
【0070】なお、以下の実施例等における物性値等の
測定又は評価は、次に示す方法(1)〜(8)で行っ
た。
【0071】(1)数平均分子量及び分子量分布:使用
した有機高分子化合物(ブロック共重合体)について、
数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw(重量平均
分子量)/Mn)をGPC(株式会社島津製作所製)よ
り求めた。
【0072】(2)ビニル芳香族化合物から誘導される
構造単位の含量:使用した有機高分子化合物(ブロック
共重合体)の中のビニル芳香族化合物から誘導される構
造単位の含有量(重量%)は、H−NMR(日本電子
株式会社製「JNM−LA400/WB」)でのスペク
トル解析を元に求めた。
【0073】(3)ブロック共重合体組成物のWa/
(Wa+Wb):得られたブロック共重合体組成物を、
トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、クロロホル
ム等から選ばれる、使用した有機高分子化合物に対する
良溶媒で十分に溶解(又は膨潤)させ、該溶液(又は膨
潤液)から沈殿物を遠心分離法で採取した。得られた沈
殿物(固体及び/又はゲル状物)について、溶解(又は
膨潤)及び沈殿物採取からなる同様の一連の操作を、ヘ
キサン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン、クロロ
ホルム、アセトン及びオクタノールからなる溶解度パラ
メーターが異なる7種類の溶媒の中から選択された5種
類以上の溶媒(又は混合溶媒系)を用い、1種類の溶媒
(又は混合溶媒系)に対して2回以上繰り返して行っ
た。このようにして最終的に得られた沈殿固体の重量を
金属酸化物(b)の重量とみなし、各操作で得られた上
澄み液を合わせたものの濃縮残渣の重量を有機高分子化
合物(a)の重量とみなすことができるため、それぞれ
の重量を測定することによって、ブロック共重合体組成
物のWa/(Wa+Wb)を求めた。なお、ポリオレフ
ィン系樹脂及び/又はプロセスオイルを配合したものに
ついては、上記と同様の一連の操作で得られた上澄み液
を合わせたものから液体クロマトグラフィーで有機系成
分(有機高分子化合物、ポリオレフィン系樹脂及びプロ
セスオイル)を分別、分取して各成分の重量比を求め、
分取された各成分をNMR解析により組成分析すること
により該有機系成分中の各成分の比率を決定することが
できるので、それらを換算することにより、ブロック共
重合体組成物のWa/(Wa+Wb)及びWc/(Wa
+Wb)を決定した。
【0074】(4)金属酸化物(b)のケイ素原子含有
率:得られたブロック共重合体組成物を500℃で焼成
し、その残渣について蛍光X線分析法により金属元素の
定性分析及びその濃度の定量分析を行い、該組成物を構
成する金属酸化物(b)中の全金属原子基準におけるケ
イ素原子含有率(モル%)を求めた。
【0075】(5)ブロック共重合体組成物のモルフォ
ロジー:得られたブロック共重合体組成物の電子顕微鏡
写真観察によって、ブロック共重合体組成物のモルフォ
ロジーを確認し、それに基づいてそのミクロ相分離構造
を、「A」(良好)〜「E」(不良)の5ランクに分け
て判定した。有機高分子化合物(a)と金属酸化物
(b)とが完全相溶している場合には、相分散性のラン
ク付けを「A」とした。海島構造を形成している場合、
すなわち粒子状の分散相が存在する場合には、無作為に
抽出した100個の粒子の平均粒子径を求め、該平均粒
子径が20nm未満の場合の分散性のランクを「A」、
20nm以上且つ50nm未満である場合の分散性のラ
ンクを「B」、50nm以上且つ100nm未満である
場合の分散性のランクを「C」、100nm以上且つ2
00nm以下である場合の分散性のランクを「D」、2
00nmより大きい場合の分散性のランクを「E」とし
て判定した。上記の完全相溶の状態と海島構造の状態と
が共存する場合については、観察可能な粒子状分散相に
ついて上記の平均粒子径に基づく判定基準で分散性を評
価した。なお、本実施例及び本比較例において観察され
た粒子状の分散相は、いずれも、金属酸化物中に有機高
分子化合物(ブロック共重合体)からなる相が入り込ん
だ形態を有するものであった。
【0076】(6)焼結残渣の平均細孔径:得られたブ
ロック共重合体組成物を500℃で焼成した場合に得ら
れた焼結残渣(多孔性物質)についてBET法を用いて
細孔径分布を測定し、その分布に基づいて平均細孔径を
求めた。平均細孔径を「A」(小)〜「D」(大)の4
ランクに区分し、平均細孔径が2nm未満である場合を
「A」、2nm以上且つ10nm未満である場合を
「B」、10nm以上且つ50nm以下である場合を
「C」、50nmより大きい場合を「D」とランク付け
した。
【0077】(7)常温での柔軟性:ゾル−ゲル法によ
って製造された厚さ1mmのシート状のブロック共重合
体組成物については該シートを打ち抜くことによって、
また任意成分との溶融混練によって調製されたペレット
状のブロック共重合体組成物については射出成形法によ
って、それぞれ厚さ1mmのJIS3号ダンベルを作製
した。該ダンベルを用い、常温条件下(25℃)におい
て引張破断伸度(%)(JIS K6301に準拠)を
測定した。引張破断伸度が100%未満の場合にはブロ
ック共重合体組成物の柔軟性が不足していると判断し、
100%以上の場合には柔軟性は良好であると判断する
ことができる。
【0078】(8)高温での柔軟性:測定温度を常温か
ら高温(80℃)に変更した以外は上記(7)と同様の
方法で引張破断伸度を測定した。(高温での引張破断伸
度)/(常温での引張破断伸度)の値に基づいて柔軟性
の温度依存性を評価し、それを高温での柔軟性の指標と
した。すなわち、該値が0.90以上且つ1.00以下
の場合には「◎」(極めて良好)、0.80以上且つ
0.90未満の場合には「○」(良好)、0.50以上
且つ0.80未満の場合には「△」(やや不良)、0.
50未満の場合には「×」(不良)と判定した。
【0079】なお、実施例及び比較例において使用した
有機高分子化合物は、以下の略号で示す。
【0080】A−1:ポリスチレンブロック−ポリイソ
プレンブロック−ポリスチレンブロックのトリブロック
共重合体(数平均分子量=75000、分子量分布=
1.20、ビニル芳香族化合物重合体ブロック含量=2
0重量%、イソプレン単位における1,4−結合量=2
5%、3,4−結合及び1,2−結合の総量=75%、
ポリイソプレンブロックにおける水素添加率=0%)
【0081】A−2:ポリスチレン−ポリイソブチレン
のジブロック共重合体(数平均分子量=34000、分
子量分布=1.23、ビニル芳香族化合物重合体ブロッ
ク含量=30重量%)
【0082】A−3:ポリスチレンブロック−イソプレ
ン・ブタジエン共重合体ブロック−ポリスチレンブロッ
クのトリブロック共重合体(数平均分子量=20000
0、分子量分布=1.25、ビニル芳香族化合物重合体
ブロック含量=30重量%、イソプレン・ブタジエン共
重合体ブロックにおける1,3−ブタジエン単位とイソ
プレン単位のモル比=1/1、イソプレン・ブタジエン
共重合体ブロック中の1,3−ブタジエン単位における
1,4−結合量=40%、1,2−結合量=60%、イ
ソプレン・ブタジエン共重合体ブロック中のイソプレン
単位における1,4−結合量=30%、3,4−結合及
び1,2−結合の総量=70%、イソプレン・ブタジエ
ン共重合体ブロックにおける水素添加率=0%)
【0083】A−4:ポリスチレンブロック−イソプレ
ン・ブタジエン共重合体ブロック−ポリスチレンブロッ
クのトリブロック共重合体の水素添加物(数平均分子量
=206500、分子量分布=1.25、ビニル芳香族
化合物重合体ブロック含量=30重量%、水素添加前の
イソプレン・ブタジエン共重合体ブロックにおける1,
3−ブタジエン単位とイソプレン単位のモル比=1/
1、水素添加前のイソプレン・ブタジエン共重合体ブロ
ック中の1,3−ブタジエン単位における1,4−結合
量=40%、1,2−結合量=60%、水素添加前のイ
ソプレン・ブタジエン共重合体ブロック中のイソプレン
単位における1,4−結合量=30%、3,4−結合及
び1,2−結合の総量=70%、イソプレン・ブタジエ
ン共重合体ブロックにおける水素添加率=100%)
【0084】A−5:ポリスチレンブロック−ポリプロ
ピレンブロックのジブロック共重合体(数平均分子量=
30000、分子量分布=1.15、ビニル芳香族化合
物重合体ブロック含量=30重量%)
【0085】A−6:ポリスチレンブロック−ポリブタ
ジエンブロック系の星型ブロック共重合体(4本の枝を
有する星型ポリブタジエンの枝先に、それぞれ数平均分
子量17000のポリスチレンブロックが結合している
構造を有する;数平均分子量=150000、ビニル芳
香族化合物重合体ブロック含量=45重量%、ポリブタ
ジエンブロックにおける水素添加率=0%)
【0086】実施例及び比較例において使用した金属ア
ルコキシドは、以下の略号で示す。
【0087】B−1:テトラエトキシシラン B−2:テトラメトキシシラン B−3:テトライソプロポキシチタン B−4:トリイソプロポキシアルミニウム B−5:テトライソプロポキシジルコニウム B−6:メチルトリエトキシシラン
【0088】実施例1 有機高分子化合物[A−1]90重量部をメチルシクロヘ
キサン500重量部に溶解させた後、これに金属アルコ
キシド[B−1]34.7重量部及び酢酸0.05重量部
を加え、攪拌しながら60℃、90%RHの湿度条件下
において24時間反応を行った。得られたゾルをテフロ
ン製容器に高さ2mmになるように移し替え、容器上部
の開放部分をサランラップ(旭化成工業製ポリ塩化ビニ
リデンフィルム)で被覆し、開孔率5%になるようにサ
ランラップに針で穴を開けた後、60℃でさらに48時
間反応を続けた。その結果、無色透明なフィルム状の生
成物を得た。得られた生成物(ブロック共重合体組成
物)について、上記の方法で常温での柔軟性、高温での
柔軟性、モルフォロジー、金属酸化物の平均細孔径等の
各種の測定・評価を行った。その結果を下記の表1に示
す。
【0089】実施例2 有機高分子化合物[A−1]95重量部をメチルシクロヘ
キサン750重量部に溶解させた後、これに金属アルコ
キシド[B−2]12.7重量部及び乳酸0.10重量部
を加え、攪拌しながら60℃、85%RHの湿度条件下
において6時間反応を行った。得られたゾルをテフロン
製容器に高さ2mmになるように移し替え、容器上部の
開放部分をサランラップ(旭化成工業製ポリ塩化ビニリ
デンフィルム)で被覆した後、60℃でさらに6時間反
応させた。その後、開孔率10%になるようにサランラ
ップに針で穴を開けて、60℃でさらに24時間反応を
続けた結果、無色透明なフィルム状の生成物を得た。得
られた生成物(ブロック共重合体組成物)について、上
記の方法で常温での柔軟性、高温での柔軟性、モルフォ
ロジー、金属酸化物の平均細孔径等の各種の測定・評価
を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0090】実施例3 有機高分子化合物[A−1]80重量部をシクロヘキサン
600重量部に溶解させ、これに金属アルコキシド[B
−1]34.7重量部、金属アルコキシド[B−2]2
5.3重量部及び酢酸1.0重量部を加えて攪拌した
後、テフロン製容器に高さ2mmになるように移し替え
た。容器上部の開放部分をサランラップ(旭化成工業製
ポリ塩化ビニリデンフィルム)で被覆し、90%RHの
湿度条件下で40℃で0.5時間反応させた。その後、
開孔率20%になるようにサランラップに針で穴を開け
て、40℃でさらに48時間反応を続けた結果、無色透
明なフィルム状の生成物を得た。得られた生成物(ブロ
ック共重合体組成物)について、上記の方法で常温での
柔軟性、高温での柔軟性、モルフォロジー、金属酸化物
の平均細孔径等の各種の測定・評価を行った。その結果
を下記の表1に示す。
【0091】実施例4〜7 金属アルコキシドの種類及び量を表1に示したとおり変
更した以外は、実施例1と同様にして、反応操作を行
い、得られた生成物(ブロック共重合体組成物)につい
て常温での柔軟性、高温での柔軟性、モルフォロジー、
金属酸化物の平均細孔径等の各種の測定・評価を行っ
た。その結果を下記の表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】上記表1中の「有機高分子化合物量」とは
製造に用いた有機高分子化合物(ブロック共重合体)の
相対的重量(重量部)を意味し、「(i)×100/[(i)
+(ii)]」とは使用した有機高分子化合物におけるビニ
ル芳香族化合物重合体ブロック(i)及びオレフィン重
合体ブロック(ii)の総重量基準でのビニル芳香族化合
物重合体ブロック(i)の重量比率(重量%)を意味
し、「使用した金属アルコキシド」とは製造に用いた金
属アルコキシド系成分の相対的重量(重量部)を意味
し、「金属酸化物量」とは製造に用いた金属アルコキシ
ド系成分から化学量論的に換算された金属酸化物の相対
的重量(重量部)を意味し、「Wa/(Wa+Wb)」
とは得られたブロック共重合体組成物について上記方法
で分析することにより求められたWa/(Wa+Wb)
の値を意味し、「ケイ素原子含有率」とは得られたブロ
ック共重合体組成物について上記方法で分析することに
より求められた金属酸化物における全金属原子基準での
ケイ素原子の含有率(モル%)を意味する。
【0094】実施例8 有機高分子化合物[A−2]90重量部をメチルシクロヘ
キサン450重量部に溶解させた後、これに金属アルコ
キシド[B−1]34.7重量部及び酢酸0.46重量部
を加え、攪拌しながら60℃、85%RHの湿度条件下
において4時間反応を行った。得られたゾルをテフロン
製容器に高さ2mmになるように移し替え、容器上部の
開放部分をサランラップ(旭化成工業製ポリ塩化ビニリ
デンフィルム)で被覆した後、60℃でさらに4時間反
応させた。その後、開孔率1%になるようにサランラッ
プに針で穴を開けて、60℃でさらに12時間反応を続
けた結果、無色透明なフィルム状の生成物を得た。得ら
れた生成物(ブロック共重合体組成物)について、上記
の方法で常温での柔軟性、高温での柔軟性、モルフォロ
ジー、金属酸化物の平均細孔径等の各種の測定・評価を
行った。その結果を下記の表2に示す。
【0095】実施例9 有機高分子化合物[A−3]90重量部をトルエン450
重量部に溶解させた後、これに金属アルコキシド[B−
2]25.3重量部及び酢酸0.25重量部を加え、攪
拌しながら60℃、90%RHの湿度条件下において4
時間反応を行った。得られたゾルをテフロン製容器に高
さ2mmになるように移し替え、容器上部の開放部分を
サランラップ(旭化成工業製ポリ塩化ビニリデンフィル
ム)で被覆した後、60℃でさらに4時間反応させた。
その後、開孔率1%になるようにサランラップに針で穴
を開けて、60℃でさらに12時間反応を続けた結果、
無色透明なフィルム状の生成物を得た。得られた生成物
(ブロック共重合体組成物)について、上記の方法で常
温での柔軟性、高温での柔軟性、モルフォロジー、金属
酸化物の平均細孔径等の各種の測定・評価を行った。そ
の結果を下記の表2に示す。
【0096】実施例10及び11 実施例8において、有機高分子化合物[A−2]90重量
部と金属アルコキシド[B−1]34.7重量部との組合
わせを、有機高分子化合物[A−4]95重量部と金属ア
ルコキシド[B−2]12.7重量部との組合わせ(実施
例10)又は有機高分子化合物[A−5]90重量部と金
属アルコキシド[B−1]17.3重量部と金属アルコキ
シド[B−6]13.3重量部との組合わせ(実施例1
1)に変更した以外は実施例8と同様にして、反応操作
を行い、得られた生成物(ブロック共重合体組成物)に
ついて常温での柔軟性、高温での柔軟性、モルフォロジ
ー、金属酸化物の平均細孔径等の各種の測定・評価を行
った。その結果を下記の表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】上記表2中の「有機高分子化合物量」、
「(i)×100/[(i)+(ii)]」、「使用した金属アル
コキシド」、「金属酸化物量」、「Wa/(Wa+W
b)」及び「ケイ素原子含有率」については、上記表1
において説明したとおりである。
【0099】比較例1 有機高分子化合物[A−1]単体について、常温での柔軟
性及び高温での柔軟性に関する測定・評価を行った。そ
の結果を下記の表3に示す。
【0100】比較例2 有機高分子化合物[A−1]25重量部をメチルシクロヘ
キサン800重量部に溶解させた後、これに金属アルコ
キシド[B−1]260重量部及び酢酸2.23重量部を
加え、攪拌しながら60℃、90%RHの湿度条件下に
おいて4時間反応を行った。得られたゾルをテフロン製
容器に高さ2mmになるように移し替え、容器上部の開
放部分をサランラップ(旭化成工業製ポリ塩化ビニリデ
ンフィルム)で被覆した後、60℃でさらに4時間反応
させた。その後、開孔率1%になるようにサランラップ
に針で穴を開けて、60℃でさらに12時間反応を続け
た結果、無色透明なフィルム状の生成物を得た。得られ
た生成物(ブロック共重合体組成物)について、上記の
方法で常温での柔軟性、高温での柔軟性、モルフォロジ
ー、金属酸化物の平均細孔径等の各種の測定・評価を行
った。その結果を下記の表3に示す。
【0101】比較例3 有機高分子化合物[A−1]80重量部をメチルシクロヘ
キサン500重量部に溶解させた後、これに金属アルコ
キシド[B−1]8.67重量部、金属アルコキシド[B
−3]62.3重量部及び酢酸0.46重量部を加え、
攪拌しながら40℃、90%RHの湿度条件下において
1時間反応を行った。得られたゾルをテフロン製容器に
高さ2mmになるように移し替え、容器上部の開放部分
をサランラップ(旭化成工業製ポリ塩化ビニリデンフィ
ルム)で被覆し、開孔率1%になるようにサランラップ
に針で穴を開けた後、60℃でさらに24時間反応を続
けた。その結果、無色透明なフィルム状の生成物を得
た。得られた生成物(ブロック共重合体組成物)につい
て、上記の方法で常温での柔軟性、高温での柔軟性、モ
ルフォロジー、金属酸化物の平均細孔径等の各種の測定
・評価を行った。その結果を下記の表3に示す。
【0102】比較例4 比較例3において、有機高分子化合物[A−1]80重量
部と金属アルコキシド[B−1]8.67重量部及び金属
アルコキシド[B−3]62.3重量部との組合わせを、
有機高分子化合物[A−3]85重量部と金属アルコキシ
ド[B−2]2.53重量部及び金属アルコキシド[B−
5]37.2重量部との組合わせに変更した以外は同様
にして、反応操作を行い、得られた生成物(ブロック共
重合体組成物)について常温での柔軟性、高温での柔軟
性、モルフォロジー、金属酸化物の平均細孔径等の各種
の測定・評価を行った。その結果を下記の表3に示す。
【0103】比較例5 有機高分子化合物[A−6]10.0重量部をテトラヒド
ロフラン89重量部に溶解させた後、これに金属アルコ
キシド[B−1]4.0重量部及びイオン交換水1.38重
量部を加え、攪拌及び加熱還流の条件下に8時間反応を
行った。得られたゾルを25℃まで冷却してテフロン製
容器に高さ2mmになるように移し替え、容器上部の開
放部分をサランラップ(旭化成工業製ポリ塩化ビニリデ
ンフィルム)で被覆した後、25℃でさらに72時間反
応させた。その後、被覆を取り除いて、減圧下に40℃
で溶媒を除去しながらさらに6時間反応を続けた結果、
無色透明なフィルム状の生成物を得た。得られた生成物
(ブロック共重合体組成物)について、上記の方法で常
温での柔軟性、高温での柔軟性、モルフォロジー、金属
酸化物の平均細孔径等の各種の測定・評価を行った。そ
の結果を下記の表3に示す。
【0104】
【表3】
【0105】上記表3中の「有機高分子化合物量」、
「(i)×100/[(i)+(ii)]」、「使用した金属アル
コキシド」、「金属酸化物量」、「Wa/(Wa+W
b)」及び「ケイ素原子含有率」については、上記表1
において説明したとおりである。
【0106】上記表1〜3に示された結果によると、実
施例1〜11で得られた本発明に従うブロック共重合体
組成物では、室温条件下で良好な柔軟性を発揮するのみ
ならず、高温条件下でも同様にその良好な柔軟性を発揮
することがわかる。また、本発明の組成物では相分離性
も良好であることわかる。
【0107】これに対して、Wa/(Wa+Wb)の値
において本発明とは相違する比較例1の有機高分子化合
物(ブロック共重合体)単独及び比較例2のブロック共
重合体組成物、ケイ素原子含有率において本発明とは相
違する比較例3及び比較例4のブロック共重合体組成
物、並びに、使用した有機高分子化合物(ブロック共重
合体)が直鎖状ではなく且つ組成物における金属酸化物
の平均細孔径が大きすぎる点で本発明とは相違する比較
例5のブロック共重合体組成物では、室温条件下で良好
な柔軟性を発揮することができないか、又は、室温条件
下で良好な柔軟性を発揮できたとしても高温条件下では
もはや良好な柔軟性を発揮することができないことがわ
かる。
【0108】実施例12 実施例1で得られたフィルム状のブロック共重合体組成
物100重量部をポリプロピレン(グランドポリマー製
「J106W」)10重量部及びプロセスオイル(出光
石油化学製「PW90」)10重量部とともにスクリュ
ー型押出機を用いて220℃で溶融混練することによ
り、ペレット状のブロック共重合体組成物を得た。得ら
れたブロック共重合体組成物を用いて上記の方法で常温
での柔軟性、高温での柔軟性、モルフォロジー、金属酸
化物の平均細孔径等の各種の測定・評価を行った。その
結果を下記の表4に示す。
【0109】実施例13 実施例2で得られたフィルム状のブロック共重合体組成
物100重量部をエチレン−1−オクテン共重合体(ダ
ウケミカル製「エンゲージEG8200」)30重量部
及びプロセスオイル(出光石油化学製「PW380」)
20重量部とともにスクリュー型押出機を用いて220
℃で溶融混練することにより、ペレット状のブロック共
重合体組成物を得た。得られたブロック共重合体組成物
を用いて上記の方法で常温での柔軟性、高温での柔軟
性、モルフォロジー、金属酸化物の平均細孔径等の各種
の測定・評価を行った。その結果を下記の表4に示す。
【0110】実施例14 実施例3で得られたフィルム状のブロック共重合体組成
物100重量部を低密度ポリエチレン(三井化学製「ミ
ラソン401」)20重量部及びプロセスオイル(出光
石油化学製「PW150」)80重量部とともにスクリ
ュー型押出機を用いて220℃で溶融混練することによ
り、ペレット状のブロック共重合体組成物を得た。得ら
れたブロック共重合体組成物を用いて上記の方法で常温
での柔軟性、高温での柔軟性、モルフォロジー、金属酸
化物の平均細孔径等の各種の測定・評価を行った。その
結果を下記の表4に示す。
【0111】実施例15 実施例4で得られたフィルム状のブロック共重合体組成
物100重量部をポリプロピレン(チッソ製「K501
9」)400重量部とともにスクリュー型押出機を用い
て220℃で溶融混練することにより、ペレット状のブ
ロック共重合体組成物を得た。得られたブロック共重合
体組成物を用いて上記の方法で常温での柔軟性、高温で
の柔軟性、モルフォロジー、金属酸化物の平均細孔径等
の各種の測定・評価を行った。その結果を下記の表4に
示す。
【0112】実施例16 有機高分子化合物[A−2]90重量部をシクロヘキサン
500重量部に溶解させた後、これに金属アルコキシド
[B−1]17.3重量部、[B−2]12.7重量部及び
酢酸0.46重量部を加え、攪拌しながら60℃で48
時間反応を行った。なお、この反応の開始直後から12
時間は、反応系雰囲気の湿度を90%RHに制御した。
得られた溶液約600重量部を、プロセスオイル(出光
石油化学製「PS90」)400重量部と混合し十分に
乾燥させた後、スクリュー型押出機を用いて220℃で
溶融混練することにより、ペレット状のブロック共重合
体組成物を得た。得られたブロック共重合体組成物を用
いて上記の方法で常温での柔軟性、高温での柔軟性、モ
ルフォロジー、金属酸化物の平均細孔径等の各種の測定
・評価を行った。その結果を下記の表4に示す。
【0113】実施例17 有機高分子化合物[A−5]95.0重量部をメチルシク
ロヘキサン450重量部に溶解させた後、これに金属ア
ルコキシド[B−1]12.3重量部、金属アルコキシド
[B−4]7.12重量部及び酢酸0.46重量部を加
え、攪拌しながら60℃、60%RHの湿度条件下にお
いて4時間反応を行った。得られたゾルをテフロン製容
器に高さ2mmになるように移し替え、容器上部の開放
部分をサランラップ(旭化成工業製ポリ塩化ビニリデン
フィルム)で被覆した後、60℃でさらに4時間反応さ
せた。その後、開孔率1%になるようにサランラップに
針で穴を開けて、60℃でさらに12時間反応を続けた
結果、無色透明なフィルム状の生成物100重量部を得
た。それを低密度ポリエチレン(三井化学製「ミラソン
8319」)300重量部及びプロセスオイル(出光石
油化学製「PW380」)300重量部とともにスクリ
ュー型押出機を用いて220℃で溶融混練することによ
り、ペレット状のブロック共重合体組成物を得た。得ら
れたブロック共重合体組成物を用いて上記の方法で常温
での柔軟性、高温での柔軟性、モルフォロジー、金属酸
化物の平均細孔径等の各種の測定・評価を行った。その
結果を下記の表4に示す。
【0114】
【表4】
【0115】上記表4中の「有機高分子化合物量」、
「使用した金属アルコキシド」、「金属酸化物量」、
「Wa/(Wa+Wb)」及び「ケイ素原子含有率」に
ついては、上記表1において説明したとおりである。ま
た、「ポリオレフィン系樹脂量」とはポリオレフィン系
樹脂の使用量を意味し、「プロセスオイル量」とはプロ
セスオイルの使用量を意味し、「Wc/(Wa+W
b)」とはブロック共重合体組成物における有機高分子
化合物及び金属酸化物の総量に対するポリオレフィン系
樹脂及びプロセスオイルの総量の重量比を意味する。
【0116】上記表4の結果によると、実施例12〜1
7で得られたポリオレフィン系樹脂及び/又はプロセス
オイルを含有する本発明に従うブロック共重合体組成物
では、常温で良好な柔軟性を有するのみならず、高温で
も柔軟性に優れることがわかる。
【0117】
【発明の効果】本発明のブロック共重合体組成物は、常
温条件下において良好な柔軟性を発揮するのみならず、
高温条件下においても同様の良好な柔軟性を発揮するこ
とができる。そのため、該ブロック共重合体組成物から
なる成形品は、これらの優れた性質が有効に発揮され、
広範囲の用途に使用することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AE052 BB002 BB021 BB111 BB161 BC041 BC081 BC091 BC111 BC131 BP011 BP031 EC076 EX026 EX036 EX076 FD010 FD020 FD022 FD340 GJ02 GN00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機高分子化合物(a)と金属酸化物
    (b)からなる組成物であって、(1)該有機高分子化
    合物(a)が、ビニル芳香族化合物重合体ブロック
    (i)とオレフィン重合体ブロック(ii)とを有する直
    鎖状のブロック共重合体であり、(2)該金属酸化物
    (b)が、金属原子間が酸素原子を介して結合してなる
    架橋構造を有する高分子化合物であり、(3)該金属酸
    化物(b)について、全金属原子基準におけるケイ素原
    子の含有率が20モル%以上であり、(4)該有機高分
    子化合物(a)及び該金属酸化物(b)の含有量を重量
    基準においてそれぞれWa及びWbで表わす場合、Wa
    /(Wa+Wb)の値が0.750〜0.999の範囲内
    であり、(5)(イ)該有機高分子化合物(a)と該金
    属酸化物(b)とが完全相溶しているか、(ロ)該有機
    高分子化合物(a)からなる相と該金属酸化物(b)か
    らなる相とが共連続構造を形成しているか、又は(ハ)
    該有機高分子化合物(a)からなる相と該金属酸化物
    (b)からなる相とが海島構造を形成し、かつ海成分が
    該有機高分子化合物(a)からなり、島成分が該金属酸
    化物(b)からなる相中に該有機高分子化合物(a)か
    らなる相が入り込んだ形態を有する平均粒子径が200
    nm以下である粒子状の共連続構造物からなる形態を有
    しており、かつ、(6)500℃での焼成法により得ら
    れた多孔性物質についてBET法で求めた平均細孔径が
    50nm以下である、ことを特徴とするブロック共重合
    体組成物。
  2. 【請求項2】 有機高分子化合物(a)が実質的に反応
    性基を有しない請求項1記載のブロック共重合体組成
    物。
  3. 【請求項3】 有機高分子化合物(a)におけるビニル
    芳香族化合物重合体ブロック(i)とオレフィン重合体
    ブロック(ii)の重量比が、(i)/(ii)で10/9
    0〜70/30の範囲内である請求項1又は2記載のブ
    ロック共重合体組成物。
  4. 【請求項4】 有機高分子化合物(a)及び金属酸化物
    (b)のいずれとも異なる成分(c)をさらに含有する
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のブロック共重合体
    組成物。
  5. 【請求項5】 成分(c)がプロセスオイル及び/又は
    ポリオレフィン系樹脂であり、かつ有機高分子化合物
    (a)、金属酸化物(b)及び成分(c)の含有量を重
    量基準においてそれぞれWa、Wb及びWcで表す場
    合、Wc/(Wa+Wb)の値が0.01〜10の範囲
    内である請求項4記載のブロック共重合体組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のブ
    ロック共重合体組成物からなる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002057344A1 (en) * 2001-01-18 2002-07-25 Polymerat Pty Ltd Polymers having co-continuous architecture
JP2010090394A (ja) * 2010-01-12 2010-04-22 Riken Technos Corp 手袋用ディッピング成形用組成物及び溶剤ペースト
US8168445B2 (en) 2004-07-02 2012-05-01 Bio-Layer Pty Limited Use of metal complexes

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