JP2001157473A - 電気機械エネルギ変換素子を振動源とする振動体、この振動体を駆動源とする振動波駆動装置、振動波駆動装置を有する装置およびこの振動体を搬送源とする搬送装置 - Google Patents

電気機械エネルギ変換素子を振動源とする振動体、この振動体を駆動源とする振動波駆動装置、振動波駆動装置を有する装置およびこの振動体を搬送源とする搬送装置

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JP2001157473A
JP2001157473A JP33587899A JP33587899A JP2001157473A JP 2001157473 A JP2001157473 A JP 2001157473A JP 33587899 A JP33587899 A JP 33587899A JP 33587899 A JP33587899 A JP 33587899A JP 2001157473 A JP2001157473 A JP 2001157473A
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electro
mechanical energy
vibration
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Kosuke Fujimoto
幸輔 藤本
Kenichi Kataoka
健一 片岡
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Canon Inc
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】振動体に励振する複数の定在波の波長、振幅の
むらを排除し、駆動波を安定化できる振動体を提供す
る。 【解決手段】円環形状の圧電素子により弾性体に複数の
定在波を形成し、各定在波の合成で進行性の振動波を励
起する振動体において、圧電素子は励起する振動の半波
長の領域を定在波の数で等分割し、互いに等しい極性分
布にした駆動領域をそれぞれ複数の定在波の励起に用い
ると共に、隣接する駆動領域が等しい極性分布となるよ
うにして複数配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気−機械エネル
ギー変換素子としての圧電素子を振動源として弾性体に
駆動振動を形成する振動体と、この振動体を駆動源とす
る振動波駆動装置およびこの振動体を駆動源とする装置
および被搬送体として流体や粉体を搬送する搬送装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】振動波モータは、低速度で大きなトルク
が取り出せるアクチュエータであるとともに、電磁モー
タが持つコギングがなく、回転むらが少ないことが特徴
である。とくに、進行波型の振動波モータは、弾性体に
振動振幅が一様な進行性の振動波を起こし、これに加圧
接触された移動体を連続的に駆動することにより、原理
上では回転むらが生じないとされている。
【0003】図21は、従来の振動波モータの振動体の
斜視図である。1は金属などの弾性体製の振動体、2は
円環状の電気−機械エネルギー変換素子としての圧電素
子で、電圧印加用の電極3が設けられている。なお、前
記振動体には、圧電素子の取り付け側とは反対の面に、
摩擦材料を介して接触体が(不図示)の加圧手段を介し
て加圧接触し、移動体を押圧する。前記振動体と前記接
触体とが相対移動するもので、前記振動体をステータと
して用いると、前記接触体はロータ(移動体)として作
用する。
【0004】図22(1)〜(3)は、進行波型振動波
モータの駆動原理を示す展開図である。
【0005】図22(1)は、振動体に励起する第一の
定在波(これをA相定在波と呼ぶ)であり、図22
(2)は振動体に励起する第二の定在波(これをB相定
在波と呼ぶ)である。図示したAおよびB相定在波は、
各節位置(腹位置)が互いに4分の1波長ずれている。
この2つの定在波を時間的位相差を90°をもって同時に
励起し、重ね合わせることによって、図22(3)に示
した一様な振幅を持つ進行波を合成することができる。
このようにして曲げ進行波が励起された振動体の曲げ変
形の中立面より離れた点が楕円運動をするため、前記振
動体の片面(圧電素子の接着面とは反対面)に移動体を
押圧し、楕円運動の頂点近傍で接触させるようにする
と、前記振動体と前記移動体の間に働く摩擦力によっ
て、前記移動体が駆動される。
【0006】前記A,B各相定在波を励起するために、
前記振動体を構成する前記弾性体に固着する圧電素子
は、圧電セラミックス等で構成される単一の円板に、複
数の電極を蒸着などで形成し、この複数の電極が形成さ
れた領域について分極処理することによって、単一の素
子で2つの定在波を励起することを可能にしている。
【0007】図23に代表的な分極パターンを示す。
【0008】図23(a)に示すように、間に4分の1
波長の非駆動部を挟んでA相定在波と、B相定在波をそ
れぞれ形成する2群の電極群(以下A相電極群、B相電
極群と呼ぶ)が設けられており、A,B相の各電極群内
では、2分の1波長の長さをもつ電極が、図中の
(+)、(−)記号で示すように隣り合う電極が互いに
逆方向に分極されている。
【0009】A相、B相の各電極群は、導電性ペース
ト、あるいは、フレキシブルプリント基板などの手段で
それぞれ短絡され、図23(b)に示すように、裏面の
グランド電極3−2との間に所望の電圧を印加すること
によって、分極方向と直交した方向の伸縮力が発生し、
振動体に曲げモーメントが加わることによって、上述し
た2つの定在波が、A相電極群、B相電極群に印加する
各駆動信号(以下A相、B相と呼ぶ)で励起される。
【0010】しかしながら、上記従来例のように、一体
の圧電素子に互いに逆方向に分極処理を施した場合に
は、以下の問題があった。
【0011】図24は、互いに逆方向に分極する圧電素
子の隣り合う電極部分の断面図である。図中の矢印は、
分極時に各電極に印加した電位差による電気力線を示し
ている。
【0012】図示したように、2つの電極の境界部から
離れた部分では、電気力線はほぼ厚み方向に走ってお
り、分極の方向もこの電気力線の方向に施される。
【0013】しかしながら、隣り合う電極の間に設けた
境界部分の電気力線は、厚み方向ではなく、隣り合う電
極間で厚み方向と直交する方向に走っているため、分極
も、厚み方向と直交する方向に施されてしまう。
【0014】一方、振動体の曲げ剛性は、主に弾性体の
曲げ剛性と、固着する圧電素子の剛性で決まる。圧電素
子は、振動体の中立面から離れた位置に固着されるた
め、振動体の曲げ剛性に寄与するのは振動方向と直交し
た方向の剛性である。
【0015】圧電素子の縦弾性係数は、施された分極方
向によって、異方性を持つ。分極方向と平行な方向の縦
弾性係数をY33 、分極方向と直交方向の縦弾性係数をY1
1 とすると、通常 Y11 >Y33 の関係を持っている。
【0016】電極の中央付近では、ほぼ厚み方向に分極
されるため、厚さ方向と直交する方向の縦弾性係数はY1
1 であるが、互いに隣り合って逆方向に分極された場
合、その境界領域では、厚さ方向と直交する方向の縦弾
性係数はY33 となる。このため、互いに逆方向に分極さ
れた電極の境界領域の縦弾性係数は電極部分よりも小さ
い値となっている。
【0017】振動体に励起される定在波の伝播速度は、
振動体の各部分の曲げ剛性と、線密度によって決定さ
れ、これが一様でないと曲げ振動の伝播速度が部分的に
変化するため、励起された定在波の波長が変化し、場所
によって波長のむらを生じてしまう。
【0018】図25は、図23の分極パターンによって
生ずる波長のむらを、4分の1波長の被駆動部を中心に
して展開図に示したものである。
【0019】A相電極群によって励起されたA相定在波
は、A相電極群の領域ではその振動の腹が電極の中央に
あたり、B相電極群の領域においては、その振動の腹が
電極の境界領域と一致する位置にある。
【0020】このため、A相の定在波にとって、振動体
のA相電極群の領域は曲げ剛性が高く、B相電極群の領
域では曲げ剛性が低くなる。このため、A相領域では振
動の伝播速度が大きいため、波長が長く、B相領域では
振動の伝播速度が遅く、波長が短くなる。
【0021】同様にB相電極群によって励起された定在
波は、A相領域で波長が短く、B相領域で波長が長くな
る。
【0022】このように、AB各定在波の波長にむらを
生じるため、合成された進行波振幅には、図25のよう
な振幅むらが生じることがわかった。
【0023】進行波振幅にむらがある場合、移動体の駆
動速度にむらを生じるため、移動体の圧接力にむらがあ
ったり、触面が完全な平面でないことによって、移動体
と振動体の相対位置によって移動体の速度むらを生ず
る。
【0024】また、送り速度の異なる領域を移動体が等
速で摺動することによって、送り力を相殺しあう領域が
生じ、摩擦損失によって効率が低下する。
【0025】さらに、移動体と振動体の間に働く圧接力
が振動体の位置によって異なるため、振動体の摩擦面の
偏摩耗を引き起こし、モータの寿命を縮める結果とな
る。
【0026】そこで、隣りあう電極間が互いに異なる方
向の分極とならないように、すべての電極領域を同じ方
向に分極したものが、図26に示す分極パターンであ
る。
【0027】このパターンでは、間に4分の1波長の非
駆動部を挟んでA相、B相の各電極群が形成され、各群
内では、2分の1波長の長さをもつ電極が、配置されて
いる。被駆動部電極を含むすべての電極領域では、図の
(+)記号で示すように、すべて厚み方向の同じ方向に
分極されている。
【0028】A相の電極群内の、1つおきの電極群A
+、および残りの電極群A+をそれぞれ並列に接続し、
2群の電極の間に交番電圧を印加することによって、A
相の定在波が励振できる。
【0029】B相についても同様に、B相の電極群内
の、1つおきの電極群B+、および残りの電極群B+を
それぞれ並列に接続し、2群の電極の間に交番電圧を印
加することによって、B相の定在波が励振できる。
【0030】そして、A,B相に印加する交番電圧に、
時間的位相差90°を持たせて同時に印加することによ
って振動体に進行性の振動波を励振することができる。
【0031】このパターンでは、すべての電極領域にお
いて、同じ厚み方向に分極されているため、上述したよ
うな、電極間での横方向の分極は生じないことから、上
述したような曲げ剛性の不均一をなくすることができ
た。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来例においては、以下に述べる問題点があった。
【0033】図26に示した分極パターンを用いた振動
体においては、各相の振動を励起する分極領域は、半周
以下の領域に偏って配置されている。各分極領域で励起
された振動は、振動体の内部の減衰あるいは移動体を押
圧することによって生ずる減衰によって、振幅が減衰し
ながら振動体を伝播することになる。
【0034】図27は、移動体の回転速度に対する、振
動体に印加した外乱の加振力に対する減衰比をグラフに
したものである。回転数の低い領域では、振動体の振幅
が小さく、減衰比が大きくなっている。このグラフか
ら、低回転での駆動時、および起動時には、振動体の振
動の減衰が大きく、圧電素子から振動体への加振力によ
って生ずる振動は、振動体を伝幡するうちに減衰してい
ることが考えられる。
【0035】図28は、微小な振幅で駆動しているとき
の、A、Bの各定在波、およびそれらの合成の進行波の
振動振幅を、振動体の4分の1波長の非駆動電極の中央
の位置から振動体を切り開いて展開図にして表したもの
である。
【0036】図28(1)は、A相のみに交番電圧を印
加して測定した振動体の振動変位、図28(2)は、B
相のみに交番電圧を印加して測定した振動体の振動変位
である。
【0037】A相印加時には、A相を励振する圧電素子
の分極領域が配置されている角度領域においては振幅が
大きく、そこから離れるに従って振幅が低下している。
同様に、B相印加時には、B相を励振する圧電素子の分
極領域が配置されている角度領域においては振幅が大き
く、そこから離れるに従って振幅が低下している。
【0038】図28(3)は、A相、B相の両方に90°
の時間的位相がずれた交番電圧を印加した場合の振動体
の振動振幅である。A、B相の各振動が減衰しているこ
とによって、進行波振幅は、A、B相の分極領域群の位
置で定在波成分が大きく、振動振幅のむらが大きい。定
在波成分が大きい領域では、駆動位置での楕円運動の形
状が変形し、周方向の送り成分が減少することとなる。
【0039】このように、振幅のむらが大きくなると、
起動するのにより大きな振幅が必要になり、また、低振
幅の駆動時には、移動体の駆動速度にむらを生じるた
め、移動体の圧接力にむらがあったり、接触面が完全な
平面でないことによって、移動体と振動体の相対位置に
よって移動体の速度むらを生ずる。
【0040】また、送り速度の異なる領域を移動体が等
速で摺動することによって、送り力を相殺しあう領域が
生じ、摩擦損失によって効率が低下する。
【0041】さらに、移動体と振動体の間に働く圧接力
が振動体の位置によって異なるため、振動体の摩擦面の
偏摩耗を引き起こし、モータの寿命を縮める結果とな
る。
【0042】本出願に係る発明の目的は、振動体に励振
する複数の定在波の波長のむら、および、振幅のむらを
排除し、複数の定在波の合成としての駆動波を安定化で
きる電気機械エネルギー変換素子を振動源とする振動
体、この振動体を駆動源とする振動波駆動装置、および
この振動体を搬送源とする搬送装置を提供しようとする
ものである。
【0043】
【課題を解決するための手段】本出願に係る発明の目的
を実現する電気機械エネルギー変換素子を振動源とする
振動体の第1の構成は、弾性体と電気−機械エネルギー
変換素子とにより構成され、前記電気−機械エネルギー
変換素子への交番信号の印加で形成される所定の波長の
複数の振動の合成で前記弾性体の駆動部に駆動振動を形
成する電気−機械エネルギー変換素子を駆動源とする振
動体において、前記電気−機械エネルギー変換素子は、
振動の半波長の領域を合成する振動の数で等分割した複
数の駆動領域が形成され、前記各駆動領域における極性
分布が各駆動領域で互いに等しく分布している前記半波
長の駆動領域を複数組配置し、隣接する前記駆動領域の
極性分布を同じ極性としたことを特徴とする。
【0044】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第2の構
成は、上記第1の構成で、前記駆動領域は圧電素子を分
極してなる分極領域であって、前記分極領域内の分極の
極性分布が互いに等しいことを特徴とする。
【0045】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第3の構
成は、上記第2の構成で、前記分極領域内の分極を圧電
素子の歪みの方向と直交する同一の方向に施したことを
特徴とする。
【0046】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第4の構
成は、上記第2の構成で、前記駆動領域は、圧電素子の
歪み方向にさらに分割された複数の小領域で形成され、
前記各小領域は圧電素子の歪み方向と平行な方向で、隣
り合う前記小領域間で逆方向に分極されていることを特
徴とする。
【0047】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第5の構
成は、上記第4の構成で、前記分極領域内の小領域の境
界部分に第一の電極と第二の電極を等ピッチで交互に周
方向に複数配置し、前記第一の電極の群と前記第二の電
極の群の間で分極処理が施されていることを特徴とす
る。
【0048】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第6の構
成は、上記第5の構成で、前記第一の電極を共通電極と
して短絡し、前記第二の電極を複数の領域ごとに短絡し
て駆動電極群を形成し、前記複数の振動を励起する分極
領域を形成したことを特徴とする。
【0049】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第7の構
成は、上記第5または第6の構成で、前記電気−機械エ
ネルギ変換素子の表裏に鏡面対称に前記電極が施されて
いることを特徴とする。
【0050】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第8の構
成は、上記第4から第7のいずれかの構成で、前記電気
−機械エネルギ変換素子は、前記電気−機械エネルギー
変換素子の歪み方向と直交する方向に複数枚重ねた積層
構造であることを特徴とする。
【0051】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第9の構
成は、上記いずれかの構成で、前記弾性体は電気機械エ
ネルギ変換素子と同じ材料で、一体的に形成されている
ことを特徴とする。
【0052】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第10の
構成は、上記いずれかの構成で、前記弾性体には厚み方
向に複数の溝が形成されていることを特徴とする。
【0053】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第11の
構成は、上記第10の構成で、前記複数の溝は、振動体
に励起する複数の振動の腹および節に対して対称に配置
されていることを特徴とする。
【0054】本出願に係る発明の目的を実現する電気機
械エネルギー変換素子を振動源とする振動体の第12の
構成は、上記いずれかの構成で、前記電気−機械エネル
ギ変換素子の一部に振動モニタ用の領域を備えているこ
とを特徴とする。
【0055】本出願に係る発明の目的を実現する振動体
を駆動源とする振動波駆動装置の構成は、上記いずれか
の構成の振動体と、前記振動体に加圧接触する接触体と
を有し、前記駆動振動によって前記振動体と前記接触体
とを相対的に駆動することを特徴とする。
【0056】本出願に係る発明の目的を実現する振動波
駆動装置を有する装置は、上記の振動波駆動装置を駆動
源として被駆動体を駆動することを特徴とする。
【0057】本出願に係る発明の目的を実現する搬送装
置は、上記いずれかの振動体を有し、前記弾性体の駆動
部に流体または粉体を搬送する搬送管を接触させ、前記
搬送管内を流体または粉体を搬送させることを特徴とす
る。
【0058】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1〜図5
は本発明の第1の実施の形態を示す。
【0059】まず、本実施の形態の全体構成を説明す
る。
【0060】図1は振動体に移動体を加圧接触させた振
動波駆動装置としての振動波モータの概略構成を示す斜
視図を示す。
【0061】本実施の形態における振動体は、円環形状
に形成された金属製の弾性体1に、曲げ振動によって生
じる周方向の変位を拡大する目的で、複数の変位拡大用
の溝4が放射方向に沿って形成されている。弾性体1
の、溝が形成されている面と反対側の面には、円環状の
電気−機械エネルギー変換素子としての圧電素子2が接
着剤、ろう付けなどの方法により、固着されている。
【0062】図2は図1に示す圧電素子2の電極パター
ン、および分極方向を示す。図2(a)はパターン電極
面、図2(b)は裏面の共通電極面を示す。共通電極面
が弾性体1に固着され、共通電極3−2が、弾性体1と
電気的に導通している。
【0063】図2(a)において、電極3−1は、4分
の1波長(λ/4)のピッチで全周に形成され、各電極
での分極方向は、図中+方向で示すように、全て同方向
に形成されている。
【0064】本実施の形態の振動体は、圧電素子の周方
向の伸縮によって、1周に7つの曲げ変形を起こす振動
モードを用いるものである。なお、この振動モードの形
成原理は、圧電素子が厚み方向に縮むと、圧電素子の厚
み方向と直交する方向において圧電素子には伸びが生
じ、逆に圧電素子が厚み方向に伸びると、圧電素子の厚
み方向と直交する方向において圧電素子に縮みが生じる
ことを利用しており、1波長(λ)の長さにおいて、圧
電素子により周方向に4分の1半波長(λ/4)の伸び
と4分の1半波長(λ/4)の縮みを半波長(λ/2)
の位置的位相を有して同時に形成することで定在波を形
成するようにしている。
【0065】図3(a)はA相定在波駆動時のA相駆動
電極と、節の位置を示し、図3(b)はB相定在波駆動
時のB相駆動電極と、節の位置を示す。
【0066】図3(a)において、(A+)、(A−)
の記号で示した領域がA相駆動電極である。(A+)電
極と、(A−)電極には、互いに逆位相の交番電圧が印
加される。破線は、A相の定在波駆動時の節の位置を示
す。
【0067】A相パターン電極は、A相の振動モードを
励起するために、振動振幅が極大となる腹の位置に、各
半波長(λ/2)あたりに1つずつ14個所において均
等に配置されている。
【0068】すなわち、隣接する(A+)と(A+)の
電極は波長のピッチで、同様に(A−)と(A−)の電
極も波長λのピッチで、(B+)と(B+)、(B−)
と(B−)の電極も波長λのピッチで形成される。
【0069】図3(b)に示したB相パターンは、A相
と位置的位相が4分の1波長(λ/4)ずれた位置で7
次の振動モードを励起させるため、A相パターンとλ/
4ずれた位置で、λ/2のピッチで均等に配置される。
【0070】そして、A相パターン、B相パターンを同
じ円周上に配置するため、A相、B相の各パターン電極
は、λ/4の角度長を持つ、扇形の形状としている。
【0071】A、B相の各パターン電極は、図中(+)
の記号で示すように、すべてが厚み方向に同じ極性に分
極されている。
【0072】図4は、本実施の形態の圧電素子2への給
電を行うためのフレキシブルプリント基板を示す。
【0073】電圧印加のためのフレキシブルプリント基
板7は圧電素子2に接着剤などで貼り付けられている。
フレキシブルプリント基板7の給電電極は、それぞれ
(A+)、(A−)、(B+)、(B−)の4つの電極
に分けられ、波長λのピッチで設けられた各グループの
電極露出部であるランド7−1が、圧電素子のパターン
電極を波長λのピッチでそれぞれ短絡している。
【0074】本実施の形態の振動体の駆動方法は、(A
+)と(A−)電極間、および、(B+)と(B−)電
極間に互いに時間的位相が90°ずれた交番電圧を不図
示の駆動装置により印加する。圧電素子の固着面の共通
電極を挟んで(A+)と(A−)の圧電素子が直列に接
続されるため、素子上で同極性に分極された分極領域が
電気的には逆に接続され、(A+)と(A−)に接続さ
れた各分極領域は、互いに逆位相の伸縮力を発生するこ
ととなる。こうして、A、Bの各相の定在波が、位置的
位相差λ/4、および時間的位相差90°をもって励起
され、進行性の振動波が励起される。
【0075】本実施の形態では全ての電極が軸方向に同
極性に分極されている。
【0076】図5は本実施の形態の圧電素子の分極部分
の断面図を示す。
【0077】図5において、矢印は、分極時にパターン
電極3−1と、共通電極3−2間に走る電気力線を表し
ており、分極も矢印で示した電気力線の方向に施され
る。
【0078】パターン電極3−1の境界部では、表面近
くで電気力線が横方向に走る領域がある。この領域にお
いては、横方向の歪みに対しての縦弾性係数が変化して
大きくなるが、この領域は、全ての隣り合うパターン電
極間に存在し、A相、B相それぞれの定在波の節に対し
て対称な位置にあるから、A、B各相の波長の不均一
や、振動が励起される位置のずれの原因とはならない。
【0079】本実施の形態の圧電素子の構成では、従来
のように隣り合う分極領域が互いに逆方向に分極されて
いることによって、その分極領域間における周方向の分
極による縦弾性係数の変化が生じることがなく、一様な
剛性分布を持たせることができている。
【0080】次に、本実施の形態の分極領域配置につい
て説明する。
【0081】本実施の形態の分極領域配置は、図2
(a)に示すように、半波長の領域に、駆動振動を合成
する2つの振動を励起するA,Bの2相の分極領域が配
置された隣り合う2つの分極領域を複数配置した構成と
なっている。
【0082】図19は、本実施の形態の分極領域配置の
基本となる、隣り合う4分の1波長の2領域をそれぞれ
A,Bの2相とした1組だけを配置した構成を表す。図
20(1)は、図19の分極パターンにおいて、A相の
みの駆動による定在波振動の分布、図20(2)は、同
様にB相のみの駆動による定在波振動の分布、図20
(3)はA相,B相にそれぞれ90°の時間的位相がず
れた交番電流を印加して得られたA相,B相の合成振動
である進行性振動はを励起したときの振幅分布、、図2
0(4)は各部における、縦振動縦振動成分に対する送
り方向振動成分の比率(楕円比)の分布を表したもので
ある。
【0083】A相の分極領域で加振された振動は、図2
0(1)に示すように、加振された領域で振動振幅が大
きく、振動体の減衰、あるいは振動体との摩擦負荷によ
る減衰によって、振幅を減少させながら伝幡し、A相分
極領域の対角において極小となる。B相の分極領域で加
振された振動についても、図20(2)に示すように同
様に分布する。
【0084】しかしながら、A,B相の各相の加振は、
隣り合う領域において加振されているため、各位置にお
けるA,B相振動の減衰に大きな差がなく、振幅比率は
1:1に近くなる。そのため、図20(4)に示すよう
に、縦振動成分に対する送り方向振動成分の比率(楕円
比)は略均一な分布となる。
【0085】図20(3)に示した合成振動振幅の分布
のように、分極領域から離れた箇所では振幅が減少する
が、図19に示した配置を複数組配置することによって
合成振動振幅の分布を均一化することができる。
【0086】本実施の形態では、振動体の全周に均等に
配置しているため、合成振動振幅の分布および楕円比の
分布は共に全周に渡って均一にすることができている。
【0087】上述したように、本実施の形態では、剛性
が一様で、均等な加振が実現することによって、定常駆
動だけでなく、減衰の大きい条件においても、振幅むら
がなく、駆動力が一様な振動体が実現できる。
【0088】さらに、本実施の形態では、図1に示すよ
うに、弾性体に施した変位拡大用のの溝が各駆動領域に
対して対称に配置されているため、該溝によって生ずる
弾性体の剛性の不均一が各(A,B相)振動に与える影
響と等しい均一な振動を妨げることなく振幅を拡大でき
る。
【0089】円環状の移動体を圧接させて相対駆動する
場合では、停止状態からの起動時の、減衰が大きい振幅
領域においても均等な振動振幅が得られ、駆動力が均等
に働くために、滑らかな起動が可能となる。
【0090】さらに、低振幅での連続駆動においても、
剛性の不均一、および駆動力の不均一を原因とする振動
振幅むらが少ないため、回転むらが少なく、また圧接部
の摺動部の偏摩耗が減り、長寿命化が実現できる。
【0091】(第2の実施の形態)図6〜図8は本発明
の第2の実施の形態を示す。
【0092】本実施の形態では、5次の振動モードを励
起する圧電素子の分極を、周方向に施したものである。
すなわち、上記した第1の実施の形態では、圧電素子の
分極方向は厚み方向とし、厚み方向の変位で生じる周方
向の伸縮を利用して弾性体に振動を形成するようにして
いるが、本実施の形態では、圧電素子への交番信号の印
加により圧電素子を直接周方向に伸縮できるようにした
ものである。
【0093】本実施の形態において、共通電極3−2
は、外周の円環部から内周側に向けてで櫛歯状電極部が
等ピッチで形成された櫛歯形状のパターンで、振動体に
励振する5次の振動モードの波長λに対し、λ/4の角
度を持つ分極領域の隣り合う境界に夫々櫛歯状電極部
(以下境界櫛歯状電極部と呼ぶ)を位置させ、この両方
の該境界櫛歯状電極部の間に2つの櫛歯状電極部(内側
櫛歯状電極部と呼ぶ)を配置するようにしている。そし
て、そのλ/4の領域内での共通電極3−2の境界櫛歯
状電極部と内側櫛歯状電極部の周方向における間に、駆
動電極3−2の櫛歯状駆動電極部が配置されている。
【0094】すなわち、駆動電極3−1は、λ/4の領
域内で、内周の円弧部から外周側に向けて等ピッチで延
びる内側櫛歯状電極部を有し(本実施の形態では3
本)、この内側櫛歯状電極部が共通電極3−2の各櫛歯
状電極部の間に配置され、λ/4の領域内で、共通電極
3−2の櫛歯状電極と駆動電極3−1の櫛歯状電極とが
交互に配置されている。そして、このような構成をλ/
4の領域内ごとに全周に渡り形成している。なお、裏面
には電極は設けていない。
【0095】本実施の形態における圧電素子の分極処理
は、駆動電極3−1の全てを(+)とし、共通電極3−
2を接地して分極することによって、図7に示すよう
に、駆動電極3−1の櫛歯状電極部から周方向両方向に
対向する共通電極3−2の櫛歯状電極部に向かった分極
が施される。
【0096】図8は圧電素子2の周方向断面の分極時の
電気力線を示す。駆動電極3−1の中央部付近の圧電素
子は厚み方向にも分極されてしまうが、これによって生
ずる、縦弾性係数の不均一は、励起される複数の振動の
全ての節に対して対称であり、さらに駆動波長に対して
短い間隔で生じるため、駆動振幅への影響を小さくでき
ている。
【0097】第1の実施の形態と同様にして、駆動電極
をλ/2のピッチで、交互に(A+)、(A−)とし、
これらとλ/4ずれた駆動電極を、λ/2のピッチで、
交互に(B+)、(B−)として、(A+)と(A−)
電極間、(B+)と(B−)電極間にそれぞれ時間的位
相が90°ずれた交番電圧を印加すると、圧電素子の共
通電極を挟んで(A+)と(A−)の圧電素子が直列に
接続されるため、素子上で同極性に分極された分極領域
が電気的には逆に接続され、(A+)と(A−)に接続
された各分極領域は、互いに逆位相の伸縮力を発生する
こととなる。こうして、A、Bの各相の定在波が、位置
的位相差λ/4、および時間的位相差90°をもって励
起され、進行性の振動波が励起される。
【0098】本実施の形態では全ての分極領域におい
て、λ/4のピッチで回転対称に、また各振動の節線に
対して対称に分極されているため、分極の方向による縦
弾性係数の変化によってA、B各相の定在波の振動位置
がずれたり、振幅が変化することがない。
【0099】さらに、各半波長の領域を2等分した4分
の1波長の領域をそれぞれA相,B相とした領域の組を
基本の配置としているために、A,B両相の振動の減衰
の差が少なく、これを全周に配置しているため、振動系
の減衰が大きい条件においても、振幅を均等にすること
ができている。
【0100】本実施の形態では、圧電素子に周方向の分
極を用いて周方向に発生する力を励振に用いている。厚
み方向の分極を用いて周方向の発生力を取り出す場合と
比較して、圧電定数は2倍であるため、第1の実施の形
態と比較して、より低い電圧で同等の駆動力が得られ、
同じ駆動電圧においては、より大きな駆動力が得られる
利点がある。
【0101】また、裏面には電気的な配線が不要である
から、弾性体を圧電素子と一体に焼成したのち、表面に
パターンを形成して分極することも可能となる。
【0102】(第3の実施の形態)図9は本発明の第3
の実施の形態の圧電素子を示す。
【0103】本実施の形態では、上記した第2の実施の
形態に示した表面の電極パターンを、表裏鏡面対称に設
けたものである。
【0104】共通電極3−2は第2の実施の形態と同様
に、外周で円環状に連結されたくし歯形状のパターン
で、振動体に励振する5次の振動モードの波長λに対
し、λ/4の角度を持つ分極領域の隣り合う境界に共通
電極を配置し、そのλ/4の領域内でのくし歯状共通電
極と、そのλ/4の領域内で、内周で円弧状に連結され
たくし歯状の駆動電極3−1のくし歯とが交互に配置さ
れている。
【0105】一方、裏面には、表面の電極パターンと表
裏鏡面対称の配置で電極が施され、分極処理、および駆
動時には、表面の裏面と鏡面対称の位置にある共通電極
および駆動電極と短絡して用いる。
【0106】そして、駆動電極3−1の全てを(+)と
し、共通電極を接地して分極することによって、図10
に示すように、駆動電極のくし歯と共通電極のくし歯が
隣り合う領域において、面内の、主に周方向に分極が施
される。
【0107】図11は圧電素子2の周方向断面の分極時
の電気力線を示す。表裏鏡面対称に電極を配置し、分極
しているため、電気力線も表裏対称となる。駆動電極3
−1の中央部付近の圧電素子は厚み方向にも分極されて
しまうが、これによって生ずる縦弾性係数の不均一は、
励起される複数の振動の全ての節に対して対称であり、
さらに駆動波長に対して短い間隔で生じるため、駆動振
幅への影響を小さくできている。表裏対称なパターンと
しているため、同じ厚さの場合は、第2の実施の形態と
比較して厚み方向に施される分極を減らすことができ
る。
【0108】第1の実施の形態と同様にして、駆動電極
をλ/2のピッチで、交互に(A+)、(A−)とし、
これらとλ/4ずれた駆動電極を、λ/2のピッチで、
交互に(B+)、(B−)として、(A+)と(A−)
電極間、(B+)と(B−)電極間にそれぞれ時間的位
相が90°ずれた交番電圧を印加すると、圧電素子の共
通電極を挟んで(A+)と(A−)の圧電素子が直列に
接続されるため、素子上で同極性に分極された分極領域
が電気的には逆に接続され、(A+)と(A−)に接続
された各分極領域は、互いに逆位相の伸縮力を発生する
こととなる。こうして、A、Bの各相の定在波が、位置
的位相差λ/4、および時間的位相差90°をもって励
起され、進行性の振動波が励起される。
【0109】本実施の形態では第2の実施の形態と同様
に振動系の減衰が大きい条件においても振幅を均等にす
ることができる上、表裏に鏡面対称の分極を施している
ことから、第2の実施の形態と比較して、有効に周方向
の発生力が得られ、より低い電圧で同等の駆動力が得ら
れ、同じ駆動電圧においては、より大きい駆動力を得ら
れる利点がある。
【0110】(第4の実施の形態)図12、図13は第
4の実施の形態を示す。
【0111】図12は本実施の形態の圧電素子の断面
図、図13は図12の圧電素子の電極パターンを示す。
【0112】本実施の形態の圧電素子は、第3の実施の
形態の構成の圧電素子を複数枚積層した構造のもので、
圧電素子を構成する各層の構造体には図13に示す電極
パターンが形成されている。
【0113】周方向の分極を施した場合、均等に分極さ
れている場合では、素子の厚みが大きいほど発生力が大
きくなる。しかしながら、電極間のピッチに比較して厚
みが増すと、厚み方向の中央部の分極強度が弱くなって
くる。そこで、電極間ピッチを広げると、より駆動時に
電圧を必要とするという問題がある。
【0114】そこで、本実施の形態では、各層の厚みを
電極のピッチに対して薄くした層を、電極を挟んで複数
積層した圧電素子としたものである。
【0115】厚みを増して駆動力を増やす効果の他に、
同じ厚みでも、積層素子の形状にして各層の厚みを薄く
構成することによって、電極近傍で厚み方向に分極され
る成分が減り、効率よく駆動力を発生できる。
【0116】同じ駆動相の電極、および共通電極は、素
子を厚み方向に貫くスルーホールや、内外周に設けた電
極によって導通されており、表面にフレキシブルプリン
ト基板等で電圧を印加することによって、各層に電圧を
印加し、振動体を駆動することができる。
【0117】本実施の形態では、圧電素子を複数枚積層
したことにより駆動電圧を少なくできるため、駆動回路
を安価に構成できるほか、同じ電圧を印加する場合で
は、より大きな駆動力を得ることが可能な、振幅、振動
力が均一な振動体を構成することができる。
【0118】(第5の実施の形態)図14は本発明の第
5の実施の形態の圧電素子の電極パターンを示す。
【0119】本実施の形態は、1周に7次の曲げ進行波
を励起する圧電素子である。
【0120】図14において、駆動用の分極領域3は、
各半波長を2等分した領域をそれぞれA相、B相とし、
6波長分を交互に配置している。駆動用の分極領域を配
置しない残りの1波長分の領域には、A相定在波、B相
定在波の振動状態を検出するモニター領域5が配置され
ている。
【0121】各駆動用、モニタ用の分極領域は、厚み方
向に同じ極性で分極処理がなされており、モニタ用の分
極領域は、その電極上に圧電効果によって生ずる電圧を
外部の測定手段によって測定し、A,B各相の振幅の制
御や、異常の検出に用いる。
【0122】図15(a)は、本実施の形態の圧電素子
での進行波振幅分布を展開して示したものである。
【0123】図15(b)は、従来の配置の圧電素子で
同様の進行波を励起した場合の進行波振幅分布を示す。
【0124】本実施の形態においては、1波長分を駆動
に用いていないため、完全に均一な進行性振幅は得られ
ず、わずかにむらを生じている。
【0125】しかしながら、同じ振動を、A,B相の駆
動領域が左右に分離した従来の分極パターンで励起した
場合と比較すると、振動振幅のむらを減らすことができ
ている。
【0126】さらに、振動のモニタ領域を設けて各相の
振幅を制御できるため、外部の電圧印加手段のA,B相
間の電圧のアンバランスを原因とする振動体の振幅むら
の除去、または移動体からの摩擦負荷によって生ずるア
ンバランスを修正し、より安定した駆動が可能となる。
【0127】(第6の実施の形態)図16は本発明の第
6の実施の形態の圧電素子の電極パターンを示す。
【0128】本実施の形態は、周方向に分極を施した圧
電素子の一部にA相定在波,B相定在波の振動状態を検
出するモニタ領域5を配置したものである。
【0129】モニタ領域の電極には、振動体に生じた振
動に対応して、圧電素子の歪みによる圧電効果によって
電圧が生じる。これを外部の測定手段に配線して振動振
動振幅の制御や、異常の検出に用いる。
【0130】本実施の形態では、モニタ領域5に圧電定
数の大きい、歪みと同方向の分極を用いるため、検出さ
れる電圧が高く、耐ノイズ性をを高めることができる。
【0131】(第7の実施の形態)図17は本発明の第
7の実施の形態の圧電素子の分極パターンである。
【0132】上記した第5および第6の実施の形態に示
したモニタ領域は、駆動用の分極領域の配置をそのまま
用いていたため、駆動用の領域を減らすことになり、加
振力の分布を変化させ、僅かに振動振幅にむらを生じて
いた。
【0133】そこで、本実施の形態においては、モニタ
領域5を駆動領域の一部を切欠いて配置し、駆動領域の
減少を少なくしたものである。
【0134】モニタ領域5は、駆動用の分極領域の境界
部分に、一部を切り欠いて配置されており、駆動領域は
全周に配置されている。
【0135】各駆動領域は、中央部分でもっとも発生力
が大きく、その周方向両端へいくにしたがって減少する
傾向にあるため、本実施の形態のように、境界部分に配
置することによって、モニタ領域を配置するために切り
欠いた駆動領域の発生力の減少を小さく抑えることがで
きる。
【0136】第7の実施の形態の変形例さらに、加振力
の分布変化を少なくするには、図18に示すように、モ
ニタ電極と同形状の分極部を4分の1波長のピッチで全
周に設けても良い。図18の実施の形態では、駆動領域
の配置を変えることなくモニタ領域を配置できる。
【0137】(第8の実施の形態)図29は本発明の第
8の実施の形態の圧電素子の分極パターンである。
【0138】図29において、(+)記号で示された極
性に分極処理された分極領域は、各領域が4分の1波長
の長さの駆動領域であり、それぞれ位置的位相差が半波
長ずれた2つの振動を励起するA相、B相用の駆動領域
として使用される隣り合う2つの分極領域が6組連続的
に配置されている。
【0139】一方、図中(−)記号で示された極性に分
極された分極領域は、同様に各領域が4分の1波長の長
さの駆動領域であり、それぞれ位置的位相差が半波長ず
れた2つの振動を励起するA相,B相用の駆動領域とし
て使用される隣り合う2つの分極領域が1組だけ(+)
の極性に分極された分極領域とは4分の1波長の整数倍
の間隔を隔てて配置されている。
【0140】本実施の形態の圧電素子に配置された分極
領域は全て駆動領域として使用されるが、隣接し、他の
分極領域とは隣接しない1組のみ極性を異ならせてい
る。
【0141】本実施の形態のように、互いに隣接しない
分極領域は、極性が異なる分極処理を行っても、十分そ
の間隔が離れているために、各分極領域間での分極がな
されず、圧電素子の材料特性、発生力の不均一は少ない
ため、振幅、駆動力がより均一な振動体を構成する効果
がある。
【0142】(第9の実施の形態)図30は本発明の第
9の実施の形態の振動体を用いた振動波モータによる駆
動装置を示す概略図である。
【0143】本実施の形態の振動波駆動装置を構成する
振動体は、図1に示す振動体を用いたもので、移動体6
が前記振動体に不図示の加圧支持機構を用いて回転自在
に圧接され、移動体6と前記振動体との間には耐摩耗性
摩擦材料が介在している。
【0144】前記振動体の、移動体6との接触部に励起
した駆動振動によって、移動体6が連続的に駆動され、
移動体6の回転運動により、他の駆動機構を駆動する。
【0145】上記した構成の本実施の形態の駆動装置
は、移動体6の回転運動によって直接被駆動物体を移動
させるような駆動機構、例えばローラによるシート搬送
装置、または電子写真装置の感光ドラム駆動等である。
あるいは、被駆動物体との間に、ギア,ベルト,リンク
機構等を介在させて駆動する装置である。
【0146】本実施の形態では、振動振幅、発生力がよ
り均一化されるため、移動体の駆動速度のむらが少な
く、被駆動物体を速度ムラを少なく駆動できる。また、
駆動力のむらが少ないため、位置決め時の制御性が向上
し、高精度な駆動装置を構成できる。
【0147】(第10の実施の形態)図31は本発明の
第10の実施の形態を示す振動波駆動装置の概略図であ
る。
【0148】本実施の形態の振動波駆動装置を構成する
振動体は、図1に示す振動体を用いたもので、この振動
体により被駆動部材を直接駆動する。
【0149】本実施の形態の振動波駆動装置は、他の装
置や部品を駆動する駆動装置、または電子写真装置のト
ナー等の粉体、インク等の流体を搬送する、粉体または
流体搬送装置として機能する。具体的には、振動体の駆
動部に搬送管を接触させ、この搬送管内を前記粉体また
は流体を搬送させる。
【0150】本実施の形態では、振動振幅、発生力がよ
り均一化されるため、被駆動部材を速度むらを少なく駆
動できる。また、駆動力のむらが少ないため、位置決め
時の制御性が向上し、高精度な振動波駆動装置を提供で
きる。
【0151】
【発明の効果】請求項1、2に係る発明によれば、近接
した領域から各振動を励振し、これらを複数配置するこ
とにより、減衰による振幅のむらを低減できる。
【0152】請求項3に係る発明によれば、厚み方向に
同一方向に分極された電気−機械エネルギー変換素子を
用いた振動体は、剛性のむらがなく、近接した領域から
各振動を励振し、これらを複数配置することにより、剛
性の不均一および減衰による振幅のむらを低減できる。
【0153】請求項4,5,6に係る発明によれば、周
方向に分極された電気−機械エネルギー変換素子を用い
た振動体は、周方向に分極された電気−機械エネルギー
変換素子を用いた振動体は、より小さい電圧で駆動が可
能で、厚み方向の変位を利用した電気−機械エネルギー
変換素子との比較において、同じ電圧では駆動力が大き
く、減衰による振幅のむらを低減した振動体とすること
ができる。
【0154】請求項7に係る発明によれば、周方向に分
極され、厚み方向に対して鏡面対象に分極された電気−
機械エネルギー変換素子を用いた振動体は、より有効に
周方向の分極が施され、より小さい電圧で駆動が可能
で、換エネルギ素子を用いた振動体は、より小さい電圧
で駆動が可能で、厚み方向の変位を利用した電気−機械
エネルギー変換素子との比較において、同じ電圧では駆
動力が大きく、減衰による振幅のむらを低減した振動体
とすることができる。
【0155】請求項8に係る発明によれば、周方向に分
極された積層構造の電気−機械エネルギー変換素子を用
いた振動体は、より小さい電圧で駆動でき、駆動力を大
きくすることができる。
【0156】請求項9に係る発明によれば、電気−機械
エネルギー変換素子と弾性体が一体に形成された振動体
は、簡単な構造で安価な振動体とすることができる。
【0157】請求項10、11に係る発明によれば、変
位拡大用の溝が施された振動体においても減衰による振
幅のむらを低減した振動体とすることができる。
【0158】請求項12に係る発明によれば、振動体の
振動状態をモニタすることによって、振動状態の制御が
可能となり、より振動振幅むらを低減することができ
る。
【0159】請求項13〜15に係る発明によれば、速
度むらが少なく、長寿命な振動波駆動装置、振動波駆動
装置を有する装置、搬送装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の斜視図
【図2】図1の圧電素子のパターン図で、(a)は表面
側、(b)は裏面側を示す。
【図3】図1の圧電素子の駆動電極と節位置を示し、
(a)はA相、(b)はB相を示す。
【図4】図1の圧電素子の給電用のフレキシブルプリン
ト配線板を示す図。
【図5】図1の圧電素子の分極部分の部分断面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の圧電素子のパター
ン図で、(a)は表面側、(b)は裏面側を示す。
【図7】図6の圧電素子の分極状態を示す部分平面図
【図8】図6の圧電素子の分極状態を示す断面図
【図9】本発明の第3の実施の形態の圧電素子のパター
ン図で、(a)は表面、(b)は裏面側を示す。
【図10】図9の圧電素子の分極状態を示す部分平面
図。
【図11】図9の圧電素子の分極状態を示す部分断面
図。
【図12】本発明の第4の実施の形態の圧電素子の分極
状態を示す部分断面図。
【図13】図12の圧電素子の電極パターンを示す平面
図。
【図14】本発明の第5の実施の形態の圧電素子の分極
パターンを示す図。
【図15】本発明の第5の実施の形態の振動体の波形図
で、(a)は定在波、(b)は進行波振動の振幅の分布
を夫々示す。
【図16】本発明の第5の実施の形態の圧電素子の電極
パターン図
【図17】本発明の第7の実施の形態の圧電素子の分極
パターンの平面図。
【図18】第7の実施の形態の変形例を示す圧電素子の
分極パターンの平面図。
【図19】本発明の第1の実施の形態の基本の分極パタ
ーンの平面図。
【図20】(1)〜(4)は本発明の第1の実施の形態
の基本の分極パターンでの振動振幅を表す波形図
【図21】従来の振動体の斜視図。
【図22】(1)〜(3)は進行波型振動波モータの駆
動原理を表す展開図。
【図23】図21の圧電素子の分極パターン図で、
(a)は表面、(b)は裏面側を示す。
【図24】図21の圧電素子の断面図。
【図25】図21の振動体の波形図を示す。
【図26】従来の他の圧電素子の分極パターンを示し、
(a)は表面、(b)は裏面側を示す。
【図27】図26の圧電素子を用いた振動波モータにお
ける移動体の回転速度に対する振動体の減衰比の関係を
示す図
【図28】(1)〜(3)は図26の圧電素子を用いた
振動体の振動振幅の波形図。
【図29】本発明の第8の実施の形態の圧電素子の分極
パターンを示す図。
【図30】本発明の第9の実施の形態を示す斜視図。
【図31】本発明の第10の実施の形態を示す斜視図。
【符号の説明】
1…振動体 2…圧電素子 3…電極 4…溝 5…モニタ電極 6…移動体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H680 AA01 BB03 BC04 BC05 CC02 CC06 CC07 DD01 DD02 DD23 DD27 DD28 DD39 DD40 DD53 DD85 DD87 DD92 DD95 EE11 EE24 FF08 FF24 FF33

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性体と電気−機械エネルギー変換素子
    とにより構成され、前記電気−機械エネルギー変換素子
    への交番信号の印加で形成される所定の波長の複数の振
    動の合成で前記弾性体の駆動部に駆動振動を形成する電
    気−機械エネルギー変換素子を駆動源とする振動体にお
    いて、 前記電気−機械エネルギー変換素子は、振動の半波長の
    領域を合成する振動の数で等分割した複数の駆動領域が
    形成され、前記各駆動領域における極性分布が各駆動領
    域で互いに等しく分布している前記半波長の駆動領域を
    複数組配置し、隣接する前記駆動領域の極性分布を同じ
    極性としたことを特徴とする電気−機械エネルギー変換
    素子を駆動源とする振動体。
  2. 【請求項2】 前記駆動領域は圧電素子を分極してなる
    分極領域であって、前記分極領域内の分極の極性分布が
    互いに等しいことを特徴とする請求項1記載の電気−機
    械エネルギー変換素子を駆動源とする振動体。
  3. 【請求項3】 前記分極領域内の分極を圧電素子の歪み
    の方向と直交する同一の方向に施したことを特徴とする
    請求項2記載の電気−機械エネルギー変換素子を駆動源
    とする振動体。
  4. 【請求項4】 前記駆動領域は、圧電素子の歪み方向に
    さらに分割された複数の小領域で形成され、前記各小領
    域は圧電素子の歪み方向と平行な方向で、隣り合う前記
    小領域間で逆方向に分極されていることを特徴とする請
    求項2記載の電気−機械エネルギー変換素子を駆動源と
    する振動体。
  5. 【請求項5】 前記分極領域内の小領域の境界部分に第
    一の電極と第二の電極を等ピッチで交互に周方向に複数
    配置し、前記第一の電極の群と前記第二の電極の群の間
    で分極処理が施されていることを特徴とする請求項4記
    載の電気−機械エネルギー変換素子を駆動源とする振動
    体。
  6. 【請求項6】 前記第一の電極を共通電極として短絡
    し、前記第二の電極を複数の領域ごとに短絡して駆動電
    極群を形成し、前記複数の振動を励起する分極領域を形
    成したことを特徴とする請求項5記載の電気−機械エネ
    ルギー変換素子を駆動源とする振動体。
  7. 【請求項7】 前記電気−機械エネルギ変換素子の表裏
    に鏡面対称に前記電極が施されていることを特徴とする
    請求項5または6記載の電気−機械エネルギー変換素子
    を駆動源とする振動体。
  8. 【請求項8】 前記電気−機械エネルギ変換素子は、前
    記電気−機械エネルギー変換素子の歪み方向と直交する
    方向に複数枚重ねた積層構造であることを特徴とする請
    求項4から7のいずれか一つに記載の電気−機械エネル
    ギー変換素子を駆動源とする振動体。
  9. 【請求項9】 前記弾性体は電気機械エネルギ変換素子
    と同じ材料で、一体的に形成されていることを特徴とす
    る請求項1から8のいずれか一つに記載の電気−機械エ
    ネルギー変換素子を駆動源とする振動体。
  10. 【請求項10】 前記弾性体には厚み方向に複数の溝が
    形成されていることを特徴とする請求項1から9のいず
    れか一つに記載の電気−機械エネルギー変換素子を駆動
    源とする振動体。
  11. 【請求項11】 前記複数の溝は、振動体に励起する複
    数の振動の腹および節に対して対称に配置されているこ
    とを特徴とする請求項10記載の電気−機械エネルギー
    変換素子を駆動源とする振動体。
  12. 【請求項12】 前記電気−機械エネルギ変換素子の一
    部に振動モニタ用の領域を備えていることを特徴とする
    請求項1から11のいずれか一つに記載の電気−機械エ
    ネルギー変換素子を駆動源とする振動体。
  13. 【請求項13】 請求項1から12のいずれか一つに記
    載の振動体と、前記振動体に加圧接触する接触体とを有
    し、前記駆動振動によって前記振動体と前記接触体とを
    相対的に駆動することを特徴とする振動体を駆動源とす
    る振動波駆動装置。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の振動波駆動装置を
    駆動源として被駆動体を駆動することを特徴とする振動
    波駆動装置を有する装置。
  15. 【請求項15】 請求項1から12のいずれかに記載の
    電気−機械エネルギー変換素子を振動源とする振動体を
    有し、前記弾性体の駆動部に流体または粉体を搬送する
    搬送管を接触させ、前記搬送管内を流体または粉体を搬
    送させることを特徴とする搬送装置。
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