JP2001154056A - 光ファイバの加熱処理方法 - Google Patents

光ファイバの加熱処理方法

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JP2001154056A
JP2001154056A JP33614199A JP33614199A JP2001154056A JP 2001154056 A JP2001154056 A JP 2001154056A JP 33614199 A JP33614199 A JP 33614199A JP 33614199 A JP33614199 A JP 33614199A JP 2001154056 A JP2001154056 A JP 2001154056A
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JP
Japan
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optical fiber
heat treatment
gas
glass
treatment
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JP33614199A
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Shinji Ishikawa
真二 石川
Motonori Nakamura
元宣 中村
Tomoki Sano
知己 佐野
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱処理による光学特性の調整が行われた後
の光ファイバの加熱部分での機械的強度を向上させる光
ファイバの加熱処理方法を提供する。 【解決手段】 SiO2系ガラスからなる光ファイバの
光学特性を調整するための加熱処理において、被覆光フ
ァイバ1のガラス露出部分10で露出された光ファイバ
のガラス部11をガスパージ箱20内に設置し、加熱処
理の対象となる光ファイバ11の部分に対して、加熱処
理の前処理としてガス供給管21からハロゲンガスまた
はハロゲン化ケイ素などのガスを吹き付けてハロゲン化
処理を行う。このとき、光ファイバ11のガラス表面上
のOH基がハロゲン元素に置換されるので、加熱処理時
にOH基が発生及び拡散されることによる欠陥の発生を
低減して、光ファイバの機械的強度の低下を抑制するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバのモー
ドフィールド径などの光学特性を調整するための加熱処
理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバの融着接続などの工程におい
て、光ファイバのモードフィールド径(MFD)や様々
な光学特性を変化させるために加熱処理を行う場合があ
る。光ファイバを加熱するとコアのドーパントが拡散さ
れるので、これによって、モードフィールド径を拡大ま
たは調整することができる。
【0003】例えば、モードフィールド径の異なる光フ
ァイバ同士を接続する際に、融着接続後に融着接続部近
傍の光ファイバのガラス部に対してバーナや電気炉など
を用いて加熱を行い、接続部でのモードフィールド径を
互いに拡大させることが行われる(例えば、特許第28
04355号公報参照)。このとき、モードフィールド
径が融着接続部近傍で連続的に変化するようになるな
ど、モードフィールド同士の接続状態が改善されて、光
伝送における融着接続部での接続損失を低減させること
ができる。
【0004】特に、近年WDM伝送容量の増大に伴っ
て、光ファイバに対して、(1)信号光パワーの強い信
号光が伝送される光ファイバ部分でのモードフィールド
径増大などによる非線形効果の低減、(2)波長多重数
の増大のための波長分散スロープの低減、及び(3)光
ファイバの全分散の低減、の3点が求められているが、
これらの特性を単一の光ファイバによってすべて満足す
ることは困難である。これに対して、モードフィールド
径などの構造及び特性が異なる複数の光ファイバを縦列
に接続することによって、上記した各条件を満たす光伝
送路を構成する試みがなされている。このような場合、
上記した加熱処理でのモードフィールド拡大による接続
損失の低減が伝送路の損失低減のため重要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】光ファイバの融着接続
の際に接続部に対して上記のような加熱処理を行った場
合、加熱された部位での光ファイバの強度低下が問題と
なる。すなわち、露出された光ファイバのガラス部に対
して加熱処理を行うことによって、光ファイバのガラス
表面に外傷や化学的な結合状態の変化などによる欠陥を
生じてしまうという問題を生じる。この欠陥の発生は、
接続後の光ファイバの機械的強度を低下させ、光ファイ
バが破断される原因ともなる。
【0006】このとき、接続部での光ファイバの破断強
度は例えば数100MPa程度(ファイバ径125μm
で数100g程度)まで低下してしまう。これに対し
て、ファイバ部を完全に固定化するファイバコネクタな
どの光部品を用いる場合や、補強部材によって固定する
場合においては、それらの固定方法によって、加熱処理
で低下した破断強度を補うことが可能である。
【0007】しかしながら、伝送線路としてファイバケ
ーブル内に光ファイバ接続部を形成する場合には、光フ
ァイバの機械的強度を充分に補うことができない。その
ため、ケーブルに印加される張力に対する長期信頼性を
確保するには、光ファイバの接続部自体の破断強度を向
上させることが必要となる。このことは、融着接続後の
モードフィールド径を拡大する加工工程以外に行われる
光ファイバの加熱による光学特性の調整においても同様
である。
【0008】本発明は、以上の問題点に鑑みてなされた
ものであり、加熱処理による光学特性の調整が行われた
後の光ファイバの加熱部分での機械的強度を向上させる
光ファイバの加熱処理方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明による光ファイバの加熱処理方法は、
SiO2系ガラスからなる光ファイバに対して加熱処理
を行って光学特性を調整する加熱処理方法であって、光
ファイバのガラス表面をあらかじめハロゲン化処理した
後に加熱処理を行うことを特徴とする。
【0010】本願発明者は、加熱処理による上述した光
ファイバの機械的強度低下について、光ファイバのガラ
ス表面上に存在するOH基(水酸基)に着目した。すな
わち、光ファイバのガラス表面における欠陥発生の原因
として、周辺に存在する水分やゴミなどが付着したガラ
ス表面上において、加熱処理時にSi−O−Siの結合
がH2O分子との反応などによってSi−OHとなって
OH基を生じ、さらに生じたOH基が加熱によってガラ
ス中に拡散していくことが考えられる。
【0011】これに対して、上記した加熱処理方法にお
いては、光ファイバに対して加熱処理を行う前処理とし
て光ファイバのガラス表面にハロゲン化処理を施して、
OH基をハロゲン元素で置換することとしている。これ
によって、加熱処理時のOH基の発生及び拡散が抑制さ
れて、ガラス表面での欠陥発生による光ファイバの機械
的強度の低下を防止することができる。
【0012】また、加熱処理を抵抗加熱または誘導加熱
によって行うことを特徴とする。抵抗加熱を利用する電
気抵抗炉や誘導加熱を利用する電気誘導炉の場合、電気
炉内における雰囲気などの処理条件の調整が容易である
ため、ハロゲン化処理の効果を充分に保持することが可
能である。
【0013】あるいは、加熱処理を波長5μm以上の光
を出力する加熱用光源を用いて行うことを特徴とする。
レーザなどの加熱用光源を用いた場合も、同様に処理条
件の調整を行うことができる。また、波長5μm以上の
光はSiO2系ガラスからなる光ファイバでの吸収効率
が高く、効果的に光ファイバを加熱することが可能であ
る。そのような加熱用光源としては、例えばCOレーザ
(波長5.1μm)またはCO2レーザ(波長10.6
μm)を用いることが好ましい。なお、バーナによる火
炎など他の手段を用いて加熱処理を行う場合において
も、同様にハロゲン化処理を適用することによって光フ
ァイバの強度低下を抑制することが可能である。
【0014】ハロゲン化処理に用いるハロゲン元素は、
FまたはClであることが好ましい。これらのハロゲン
元素は、他のBr、Iのハロゲン元素に比べ、特にOH
基と比較して化学結合強度が強く、OH基に対する置
換、及び置換後の拡散の抑制をより確実に行うことがで
きる。
【0015】さらに、ハロゲン化処理におけるハロゲン
置換にハロゲン化ケイ素を用いることが好ましい。これ
によって、ハロゲン元素がハロゲン化ケイ素となる過程
を省略できるので、ハロゲン化処理が数倍効率よく行え
る。また、置換されるハロゲン元素を増やすことがで
き、また、光ファイバのガラス表面への浸食を生じるこ
となくハロゲン化処理を行うことができる。
【0016】また、加熱処理の雰囲気は、N2、He、
Ar、Neのうち少なくとも1種類のガスを含む不活性
ガス雰囲気であることを特徴とする。さらに、不活性ガ
ス雰囲気は、ハロゲンガスまたはハロゲン化合物ガスを
含むことが好ましい。不活性ガスを雰囲気とすることに
よって、置換されたハロゲン元素の加熱処理時における
反応が抑制され、また、ハロゲンガスや、ハロゲン化ケ
イ素などのハロゲン化合物を雰囲気に含ませることによ
って、ハロゲン元素の熱脱離などを抑制することができ
る。これによって、ハロゲン化処理による欠陥発生低減
の効果が向上される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面とともに本発明による
光ファイバの加熱処理方法の好適な実施形態について詳
細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素に
は同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図
面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していな
い。
【0018】最初に、光ファイバへの加熱の前処理とし
て行われるハロゲン化処理について説明する。図1は、
本発明による光ファイバの加熱処理方法の一実施形態に
おけるハロゲン化処理について概略的に示す正面断面図
である。なお、以下においてハロゲン化処理及び加熱処
理に関して示す各断面図は、いずれも処理対象となる光
ファイバの中心線または中心位置を含む平面による断面
である。
【0019】図1においてハロゲン化処理の対象として
図示されている光ファイバは、合成樹脂等による被覆1
2が光ファイバのガラス部11(以下、単に光ファイバ
11という)の外周に形成された被覆光ファイバ1であ
る。後述する加熱処理が行われる部分は、被覆12が除
去されて光ファイバ11が露出されたガラス露出部分1
0とされている。
【0020】このような状態の光ファイバは、例えば2
本の光ファイバの融着接続時に得られる。光ファイバの
融着接続においては、それぞれの光ファイバの接続させ
る先端部分について所定の長さにわたって被覆を除去し
た後、光ファイバのガラス部が露出された先端部分の接
続面同士をアーク放電などによって融着接続する。光フ
ァイバの接続においては、この融着接続後であって再被
覆を行う前の光ファイバの状態が、図1に示されたガラ
ス露出部分10を有する被覆光ファイバ1に相当する。
【0021】被覆光ファイバ1は、ガスパージ箱20内
の所定の位置に加熱処理を行うガラス露出部分10の光
ファイバ11が配置されるように、ガスパージ箱20に
対して固定される。ガスパージ箱20には、ハロゲン化
処理を行うためのガスを供給するノズル状のガス供給管
21が設けられており、また、このガス供給管21は所
定の1方向、図1においては図中の左右方向、に可動な
ようにガスパージ箱20に対して設置されている。
【0022】このガス供給管21に対して、被覆光ファ
イバ1は、そのガラス露出部分10の光ファイバ11表
面がガス供給管21のガスパージ箱20内側の先端部分
であるガス供給口21aに面するとともに、光ファイバ
11の伸びる方向がガス供給管21の上記した移動方向
と一致されるように配置される。また、ガス供給管21
からガスパージ箱20内に供給されたガスは、排気口2
2から排気される。
【0023】ガス供給管21からは、ハロゲン化処理を
行うための所定のガスが供給される。ハロゲン化処理に
用いるガスに含まれる成分としては、F2やCl2などの
ハロゲンガスや、SiF4やSiCl4などのハロゲン化
ケイ素を用いることが好ましい。また、それ以外のハロ
ゲン化合物ガスを用いることも可能である。ハロゲン元
素F、Cl等を含むこれらのガスをガラス露出部分10
において露出された光ファイバ11に対して吹き付ける
ことによって、ガラス露出部分10でのガラス表面をハ
ロゲン置換するハロゲン化処理が行われる。
【0024】ハロゲン化処理中においては、処理が行わ
れる光ファイバ11を数100℃程度の温度に保つこと
が好ましい。光ファイバ11を加温した状態でガスを吹
き付けることによって、ハロゲン置換反応を促進してハ
ロゲン化処理の効率を向上させることができる。光ファ
イバ11を加温する方法としては、ガスパージ箱20の
全体を加温する方法や、ガス供給管21から供給される
ガスをあらかじめ加温しておく方法などがある。ただ
し、このハロゲン化処理は常温で行っても良い。
【0025】なお、上記したハロゲン化処理は、ガラス
露出部分10の全体の光ファイバ11に対して行っても
良いし、または、ガラス露出部分10のうち後述する加
熱処理が行われる光ファイバ11の部分のみについて行
っても良い。
【0026】次に、上記したハロゲン化処理に続いて行
われる光ファイバに対する加熱処理について説明する。
図2は、本実施形態における加熱処理について概略的に
示す図であり、図2(a)は正面断面図、図2(b)は
側面断面図を示す。
【0027】図2に示した光ファイバの加熱処理方法に
おいては、電気抵抗炉による抵抗加熱を用いて光ファイ
バを加熱している。本実施形態における電気抵抗炉は、
ガスパージ箱30の内部に設置された炉心管31及びヒ
ータ32を備えて構成されている。
【0028】炉心管31は、中心軸が所定の方向に伸び
る略円筒状に形成されており、その側面の一方側が、図
2(b)に示すように光ファイバの挿入・設置等を行う
ための管の長手方向に沿った開口部31aとされてい
る。炉心管31の外周面上には、外周面の所定部分に接
触するようにヒータ32が設置されている。図2におい
ては、ヒータ32は炉心管31の円筒部分に対して、そ
の外周面の両端を除く部分に接触するように設置されて
いる。また、炉心管31及びヒータ32の周囲には、そ
れらを覆う断熱材33が設けられている。
【0029】図1に示した方法によって光ファイバ11
に対してハロゲン化処理が行われた被覆光ファイバ1
は、その軸方向が円筒状の炉心管31の中心軸と略一致
された状態で、ガラス露出部分10において露出された
光ファイバ11のうち加熱処理の対象となる部分が炉心
管31内に位置するように配置される。例えば、光ファ
イバの融着接続後におけるモードフィールド径の調整の
ための加熱処理においては、融着接続部を含む所定の範
囲に対して加熱処理を行う。
【0030】炉心管31の外周面に接触されたヒータ3
2に電源ケーブル32aを介して電力が供給されると、
抵抗加熱によって高温となったヒータ32によって炉心
管31が加熱され、このヒータ32及び炉心管31から
の熱によってガラス露出部分10の光ファイバ11が加
熱処理される。加熱処理の条件については、調整しよう
とする光学特性や光ファイバの構造等によって異なる
が、例えば加熱温度は1200℃〜1500℃程度、ま
た、加熱時間は1分〜20分程度である。
【0031】このとき、ガスパージ箱30内の加熱処理
雰囲気としては、He、Ar、Neなどの希ガスやN2
など、不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。また、
このような不活性ガス雰囲気にハロゲンガスやハロゲン
化合物ガスなどを含ませた雰囲気を用いても良い。これ
らのガス雰囲気は、ガスパージ箱30に設けられたガス
供給口34から供給されて排気口35から排気されるよ
うに構成されており、これによってガスパージ箱30内
で一定の加熱処理雰囲気が保持される。
【0032】なお、図1に示したハロゲン化処理及び図
2に示した加熱処理は、それぞれガスパージ箱20及び
30内において行われるが、これらの処理工程について
は、同一のガスパージ箱内にそれぞれの処理装置を設置
して行っても良いし、それぞれ別のガスパージ箱内に処
理装置を設置して行っても良い。
【0033】ハロゲン化処理後に加熱処理を行う上記し
た光ファイバの加熱処理方法の効果について説明する。
【0034】上記した実施形態においては加熱処理を行
う前処理として、光ファイバ11に対してハロゲン化処
理を行っている。すなわち、光ファイバ11のガラス表
面に存在するOH基に対して、ハロゲンガスやハロゲン
化ケイ素などのガスを吹き付けることによってハロゲン
置換を行う。ハロゲン元素が拡散する速度はOH基に比
べて非常に遅い。したがって、前処理としてガラス表面
にハロゲン化処理を行うことによって、加熱処理時にお
けるOH基の発生及び拡散による欠陥の成長が抑制され
て、光ファイバの破断強度の低下が防止される。
【0035】ハロゲン化処理に用いるハロゲン元素を含
むガスとしては、上記したようにF 2やCl2などのハロ
ゲンガスや、SiF4やSiCl4などのハロゲン化ケイ
素などがある。ハロゲン元素としてはOH基と比較して
化学結合強度が強いFまたはClを用いることが、ハロ
ゲン置換を確実に行うとともに置換後の拡散を抑制する
上で好ましい。また、置換用の化学種としてハロゲン化
ケイ素を用いた場合には、より高濃度での置換が可能に
なるとともに、光ファイバのガラス表面への浸食を防ぐ
ことができる。
【0036】また、ハロゲン化処理後の加熱処理におい
ては、ガスパージ箱などの雰囲気の調整が可能な容器を
用いて所定の雰囲気内で加熱処理を行うことが好まし
い。さらに、ガスパージ箱内の加熱処理雰囲気としてH
e、Ar、Neなどの希ガスやN2など、不活性ガスを
用いることが好ましい。加熱処理開始時の光ファイバ1
1はハロゲン化処理によってガラス表面がハロゲン置換
された状態にあるが、加熱処理の温度及び時間や加熱方
法などの条件によっては、ガラス表面のハロゲン元素が
反応を起こして再びOH基が発生してしまうなど、ハロ
ゲン化処理による一定の効果はあるものの、ハロゲン化
処理の効果がそがれる場合がある。
【0037】これに対して、加熱処理雰囲気を不活性ガ
スとすることによって、ハロゲン元素が反応を起こすの
を防止して、加熱処理終了までハロゲン化処理の効果を
充分に保持することが可能となり、破断強度低下を抑制
する効果を向上させることができる。また、この不活性
ガス雰囲気に、ハロゲンガスやハロゲン化合物ガスなど
を含ませておくと、ハロゲン元素の熱脱離などをさらに
抑制することができる。ハロゲン化合物ガスとしては、
ハロゲン化ケイ素など様々な化合物ガスを用いることが
できる。なお、ガスの種類によっては、排気されるガス
の処理に対する注意が必要である。
【0038】図3は、加熱処理後の光ファイバの破断強
度について示すグラフである。ここで、横軸は光ファイ
バの破断強度(GPa)、縦軸は累積破断確率(%)を
示しており、測定による各データ点は、その破断強度に
おいて何%の光ファイバが破断するかを示している。ま
た、データ測定は、各条件に対してそれぞれ10本の光
ファイバを用いて行った。
【0039】各データのうち、黒丸で示されている破断
データAは、加熱処理を行っていない初期状態での光フ
ァイバの破断強度を示している。一方、白丸で示されて
いる破断データB、Cは、加熱処理を行った後の破断強
度を示している。なお、破断データB、Cでは、加熱処
理の温度及び時間については、図2に示した加熱処理に
関して上述した加熱条件を適用し、同一の加熱条件によ
って加熱処理を行っている。
【0040】破断データBは、ハロゲン化処理を行わな
い従来の加熱処理方法によるものであり、また、大気雰
囲気中において加熱処理を行っている。一方、破断デー
タCは、上述した実施形態の加熱処理方法を用いた本発
明の実施例によるものである。この破断データCでは、
ハロゲン化処理については、SiF4ガスを用いて温度
150℃で10分程度の処理を行い、また、加熱処理に
ついては、不活性ガスであるArガス雰囲気中で行って
いる。
【0041】このとき、初期ファイバの破断データAで
は、約5GPaの破断強度が得られているのに対して、
加熱処理後においては、ハロゲン化処理を行わない従来
例の破断データBでは、破断強度は1GPaを大きく下
回っている。一方、本発明の実施例による破断データC
では、初期ファイバに比べれば破断強度が低下している
が、加熱処理前にハロゲン化処理を行うことによって、
破断強度は1GPa以上に保たれ、加熱処理による光フ
ァイバの機械的強度の低下が大きく抑制されていること
がわかる。破断データB、Cでの50%破断強度は、破
断データBで約0.3GPa、本発明による破断データ
Cで約1.7GPaである。
【0042】ここで、光ファイバの融着接続時にも光フ
ァイバが加熱されるが、融着接続における加熱はモード
フィールド径などの光学特性の調整のための加熱処理と
比較して充分に短時間である。したがって、光ファイバ
に傷をつけない取り扱い方法や放電加熱条件の調整によ
って、平均破断強度を2〜3GPa程度(ファイバ径1
25μmで3kg程度)まで向上させることが可能であ
る。これに対して、光学特性調整のための加熱の場合、
加熱処理時間が比較的長時間となるので、上述したよう
なハロゲン化処理が強度低下を抑制するために効果的で
ある。なお、融着接続時に塩素−水素火炎を用いてOH
基による破断強度低下を抑制することについて、文献 E
lec. Lett. Vol.17 (1981) pp.812-813 に記載がある。
【0043】本発明による光ファイバの加熱処理方法
は、上記した実施形態に限られるものではなく、用いる
処理装置の構成や処理条件等について様々な変形及び変
更が可能である。図4は、光ファイバの加熱処理方法の
他の実施形態における加熱処理について概略的に示す正
面断面図である。
【0044】本実施形態においては、光ファイバの加熱
処理に加熱用光源であるレーザ41を用いている。レー
ザ41から出力された光は集光レンズ42を介して集光
されつつガスパージ箱30内に入射され、ガラス露出部
分10の光ファイバ11に照射されて光ファイバ11の
加熱が光学的に行われる。
【0045】このような光学的手段による加熱の場合、
光ファイバ11の加熱処理に用いられる光としては波長
5μm以上の光を用いることが好ましい。波長5μm以
上の光はSiO2系ガラスによる吸収効率が非常に高
く、したがって、SiO2系ガラスからなる光ファイバ
を効率的に加熱することができる。そのような加熱用光
源としては、例えば波長10.6μmの光を出力するも
のなどのCO2レーザ、あるいは波長5.1μmなどの
COレーザなどを用いることができる。
【0046】なお、加熱処理に関しては、図2に示した
抵抗加熱を利用した電気抵抗炉や、図4に示したレーザ
などの加熱用光源に限らず、誘導加熱を利用した電気誘
導炉などを用いても良い。これらの電気炉や加熱用光源
を用いた加熱方法においては、加熱処理時における光フ
ァイバ11の雰囲気などの加熱条件の調整が容易であ
り、機械的強度低下の抑制を好適に実現することができ
る。ただし、バーナの火炎による加熱方法などを用いた
場合においても、上記のようにハロゲン化処理を行うこ
とによって加熱処理による強度低下の抑制を実現するこ
とが可能である。
【0047】
【発明の効果】本発明による光ファイバの加熱処理方法
は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得
る。すなわち、SiO2系ガラスからなる光ファイバの
光学特性を調整するための加熱処理において、加熱処理
を行う前処理としてあらかじめ光ファイバのガラス表面
をハロゲン置換するハロゲン化処理を行う。これによっ
て、加熱処理時において発生される欠陥の原因となるO
H基の発生及びガラス内部への拡散を低減することがで
き、したがって、加熱処理による光ファイバの機械的強
度の低下が抑制される。
【0048】加熱処理による光ファイバの光学特性調整
としては、例えばモードフィールド径の異なる光ファイ
バの融着接続後に行われるモードフィールド径の調整が
ある。近年、光伝送路に求められるいくつかの特性条件
を満たす伝送路を構成するためにそのような光ファイバ
接続の必要性は高まっている。これに対して、上記した
加熱処理方法を適用することによって、接続部における
接続損失が低減されると同時にケーブル化後における破
断強度が向上された光ファイバ伝送路が実現される。
【0049】また、光ファイバの接続以外の加工工程に
おいても、同様に加熱によるモードフィールド径などの
光学特性調整が必要となることが考えられ、それらの工
程においても上記した加熱処理方法を適用することによ
って、加熱処理後の光ファイバ伝送路または光ファイバ
部品の機械的強度を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバの加熱処理方法の一実施形態におけ
るハロゲン化処理について概略的に示す正面断面図であ
る。
【図2】光ファイバの加熱処理方法の一実施形態におけ
る加熱処理について概略的に示す(a)正面断面図、及
び(b)側面断面図である。
【図3】加熱処理後の光ファイバの破断強度について示
すグラフである。
【図4】光ファイバの加熱処理方法の他の実施形態にお
ける加熱処理について概略的に示す正面断面図である。
【符号の説明】
1…被覆光ファイバ、10…ガラス露出部分、11…光
ファイバのガラス部、12…被覆、20…ガスパージ
箱、21…ガス供給管、21a…ガス供給口、22…排
気口、30…ガスパージ箱、31…炉心管、31a…開
口部、32…ヒータ、32a…電源ケーブル、33…断
熱材、34…ガス供給口、35…排気口、41…レー
ザ、42…集光レンズ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 知己 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 Fターム(参考) 2H036 KA02 MA12 MA14 MA16 2H038 CA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO2系ガラスからなる光ファイバに
    対して加熱処理を行って光学特性を調整する加熱処理方
    法であって、 前記光ファイバのガラス表面をあらかじめハロゲン化処
    理した後に前記加熱処理を行うことを特徴とする光ファ
    イバの加熱処理方法。
  2. 【請求項2】 前記ハロゲン化処理に用いるハロゲン元
    素は、FまたはClであることを特徴とする請求項1記
    載の光ファイバの加熱処理方法。
  3. 【請求項3】 前記ハロゲン化処理におけるハロゲン置
    換にハロゲン化ケイ素を用いることを特徴とする請求項
    1記載の光ファイバの加熱処理方法。
  4. 【請求項4】 前記加熱処理の雰囲気は、N2、He、
    Ar、Neのうち少なくとも1種類のガスを含む不活性
    ガス雰囲気であることを特徴とする請求項1記載の光フ
    ァイバの加熱処理方法。
  5. 【請求項5】 前記不活性ガス雰囲気は、ハロゲンガス
    またはハロゲン化合物ガスを含むことを特徴とする請求
    項4記載の光ファイバの加熱処理方法。
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