JP2001152277A - Co基合金およびその製造方法 - Google Patents

Co基合金およびその製造方法

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JP2001152277A JP33446199A JP33446199A JP2001152277A JP 2001152277 A JP2001152277 A JP 2001152277A JP 33446199 A JP33446199 A JP 33446199A JP 33446199 A JP33446199 A JP 33446199A JP 2001152277 A JP2001152277 A JP 2001152277A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 700℃以上の環境下で使用されるCo基合
金の耐食性および耐酸化性を向上させた合金を提供す
る。 【解決手段】 金属組織上で見られる網状に分布した炭
化物のうちW、Mo、Nb、Taの一種または二種以上
の元素を主成分とした炭化物の数が70%以上、かつA
STM結晶粒度番号7以上であり、望ましくは網状に分
布した炭化物で形成される円形あるいは多角形の最大対
角長さが40μm以下であるCo基合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジェットエンジン
部品や加熱炉内部品などの耐熱材あるいは各種化学プラ
ントに使用される耐熱材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ジェットエンジン部品や加熱炉内
部品などの耐熱材あるいは各種化学プラントに使用され
る耐熱材料には、Co基合金やNi基合金が用いられて
いた。この中で、Co合金についてはその耐酸化性、耐
衝撃亀裂性、高温クリープ、耐熱損傷性を改善すること
を目的とした組成または組織の改良が提案されている。
例えば特公平5−463号に示される合金は組成を改良
し、さらにセラミック粒子を分散させることにより耐酸
化性および耐衝撃亀裂性を改善した提案や、特公昭62
−21062号に示される合金は組成を改良することに
より高温クリープ特性を改善した提案、更には特開平1
0−1753号および特開平10−1754号に示され
る合金は組成を改良することにより高温クリープおよび
耐酸化性を改善した提案がなされている。また、特開平
4−329852号および特開平4−221034号に
示される合金は組成を改良することにより耐食性および
耐摩耗性を改善した提案、そして特開平4−20273
2号には組成、結晶粒度および炭化物分布を改良するこ
とにより耐熱損傷性を改善した提案がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は上記特公平
5−463号、特公昭62−21062号、特開平10
−1753号、特開平10−1754号、特開平4−3
29852号、特開平4−221034号および特開平
4−202732号に代表されるCo合金の結晶粒径
や、炭化物の分布について詳細に検討した。その結果、
結晶粒が大きいと粒界に発生する炭化物が偏析すること
を知見した。また、Co合金に析出している炭化物の種
類には、Crを主成分とする炭化物と、W、Mo、N
b、Taの一種または二種以上の元素を主成分にする炭
化物が析出していることを知見した。
【0004】特公平5−463号、特公昭62−210
62号、特開平10−1753号および特開平10−1
754号に示されるように鋳造された材料に熱処理を施
した状態で使用し、塑性加工を施さない場合、ASTM
結晶粒度番号を7以上の細粒に調整することができな
い。本発明者の検討によればASTM結晶粒度番号7未
満の粗粒がある場合、熱処理中または製品の使用中に結
晶粒界上に炭化物が偏析し、700℃以上の環境下で著
しい酸化と腐食が発生する。本発明者らは熱間塑性加工
等により再結晶させて、その微細結晶粒界上に炭化物を
析出させることで、700℃以上の環境下で耐酸化性お
よび耐食性が向上することを知見した。
【0005】また、特開平4−329852号および特
開平4−221034号に示される耐食性を改善した合
金では炭化物が析出することにより耐食性が劣化するこ
とが記載されている。しかしながら、本発明者の検討に
よればCrを主体とした炭化物が析出した場合は耐食性
が劣化するものの、W、Mo、Nb、Taの一種または
二種以上を主成分とした炭化物の割合が高い場合は耐食
性は劣化しない。さらに特開平4−202732号に示
される耐熱損傷性のみを向上したCo合金においても炭
化物のうちCrを主成分とした炭化物が多く析出した場
合は粒界近傍においてCrが欠乏し、耐食性と耐酸化性
が著しく低下する場合があることを知見した。そして、
析出する炭化物のうちW、Mo、Nb、Taの一種また
は二種以上の元素を主成分とした炭化物の割合を高めて
やることで、耐酸化性および耐食性の低下を抑制する効
果があること突き止めた。
【0006】これらのうち特開平4−202732号に
示されるように、析出した炭化物の組成にこだわらない
場合でも耐熱損傷性を向上させることは可能である。ま
た、この結晶粒界上に析出した炭化物を単純に特開平4
−202732号に示されるように、特別に広い単位面
積(mm)あたりの面積占有率で炭化物分布を見れ
ば、熱間塑性加工において再結晶する前に存在した粗大
な結晶粒界に炭化物が偏析していても均一分布とみなさ
れる場合があり、このような場合でも、その後の固溶化
処理により結晶粒のみを微細にすることは可能で、耐熱
損傷性という観点からは特に問題ないとするものであ
る。
【0007】しかしながら本発明者等の検討の結果、熱
間塑性加工において再結晶する前に存在した粗大な結晶
粒界に炭化物が偏析した場合は、700℃以上の環境に
おいて偏析した炭化物近傍で著しい酸化および腐食が発
生することを知見した。本発明者等は金属組織上で見ら
れる炭化物のうち、網状に分布した炭化物で特定の組成
を有する炭化物と、微細な結晶粒にに調整することで、
耐酸化性および耐食性の低下を抑制する効果があること
突き止めた。
【0008】そして更に、例えば熱間塑性加工等により
再結晶させて、その微細結晶粒界上に炭化物を析出させ
てやることで、耐酸化性および耐食性が向上し、700
℃以上の環境下で使用される例えばジェットエンジン部
品や加熱炉内部品などの耐熱材あるいは各種化学プラン
トに使用される耐熱材料を実用化する上で特に有効とな
ることを知見した。本発明の目的は、700℃以上の環
境下で使用されるCo基合金の耐食性および耐酸化性を
向上させた合金を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、700℃以
上の環境下で使用されるCo基合金の耐酸化性および耐
食性の問題について鋭意検討したところ、結晶粒界に析
出するCrを主成分とした炭化物と、主としてW、M
o、Nb、Taの一種または二種以上を主成分とした炭
化物のうち、主としてW、Mo、Nb、Taの一種また
は二種以上を主成分とした炭化物の割合を高めてやるこ
とで、耐酸化性および耐食性を大きく改善でき、併せて
結晶粒度を特定の番号以上の微細な結晶粒に調整し、更
にその結晶粒界に炭化物を析出させることで700℃以
上の環境下での使用にも、十分に耐え得る耐酸化性およ
び耐食性を付与できることを見いだし、本発明に到達し
た。
【0010】即ち本発明は、金属組織上で見られる網状
に分布した炭化物のうちW、Mo、Nb、Taの一種ま
たは二種以上の元素を主成分とした炭化物の数が70%
以上、かつASTM結晶粒度番号7以上であることを特
徴とするCo基合金である。好ましくは、金属組織上で
見られる網状に分布した炭化物で形成される円形あるい
は多角形の最大対角長さが40μm以下であるCo基合
金であり、本発明の好ましい化学組成は、質量%でC
0.3%以下、Si1.0%以下、Mn2.0%以下、
Cr10〜30%、Ni40%以下、W、Mo、Nb、
Taの一種または二種以上が合計で30%以下、残部は
不可避的不純物と実質的にCoでなるCo基合金であ
る。また、本発明は、上記のCo基合金の製造方法にお
いて、被加工材料温度が900℃に低下するまでの間
に、減面率40%以上の熱間塑性加工を施し、その後、
900℃以上の温度で固溶化処理するCo基合金の製造
方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】上述したように、本発明の重要な
特徴は、炭化物のうちW、Mo、Nb、Taの一種また
は二種以上の元素を主成分とした炭化物の数およびAS
TM結晶粒度を夫々特定の範囲に調整することで、良好
な耐酸化性と耐食性を有し、かつ優れた耐熱損傷性を同
時に付与したことにある。以下に本発明を詳しく説明す
る。まず、本発明において主に結晶粒界に析出する網状
に分布した炭化物のうち、W、Mo、Nb、Taの一種
または二種以上の元素を主成分とした炭化物の数を70
%以上とすることにより、Crを主成分とした炭化物の
析出が少なくなり、炭化物周辺のCrの欠乏を避けるこ
とができる。その結果、耐酸化性および耐食性が向上す
る。
【0012】ここで言うW、Mo、Nb、Taの一種ま
たは二種以上を主成分とした炭化物とは、例えばEDX
等のエックス線分析装置で分析してCを除いた各元素の
重量%を測定し、W、Mo、Nb、Taの一種または二
種以上の元素の合計の重量%が50%を超える炭化物を
いう。例えば、図1(a)に示す電子顕微鏡写真には、
定電位電解エッチング法により母材金属を腐食して網状
に分布した炭化物を炭素膜上に取出したものを示してい
る。この網状に分布した炭化物のひとつ(図1(b)の
炭化物a)を分析したところ、Wが74重量%、Crが
10重量%、Coが14重量%、Niが2重量%であ
り、この炭化物はWを主成分とした炭化物であるとみな
す。
【0013】上述の定電位電界エッチング法で母材を腐
食すれば、基地(マトリックス)の元素の影響が少な
く、炭化物のみの定性、定量分析が可能であるため、本
発明で規定する炭化物の特定に好適である。勿論、薄膜
法等で分析しても良く、肝心なことは、基地(マトリッ
クス)の影響をできるだけ受けないような分析を行うこ
とである。
【0014】そして、本発明では、上述した定電位電界
エッチング法等によって、炭化物のみの分析が可能にな
った試料で、例えば無作為に選んだ炭化物50個をED
X等のエックス線分析装置により分析し、W、Mo、N
b、Taの一種または二種以上を主成分とした炭化物が
35個以上であればW、Mo、Nb、Taの一種または
二種以上を主成分とした炭化物数が70%以上である。
この時、例えば図1(a)の炭化物の場合、図1(b)
の模式図に示す炭化物a、bおよびCのようなものを夫
々一個の炭化物と言う。
【0015】そして、上記のW、Mo、Nb、Taの一
種または二種以上を主成分とした炭化物の数が70%以
上であれば、Crを主成分とした炭化物が結晶粒界に析
出するのを抑制でき、耐酸化性と耐食性が向上する。な
お、本発明で対象とする炭化物の大きさは、0.2μm
以上のものを言い、W、Mo、Nb、Taの一種または
二種以上を主成分とした炭化物の大きさが0.2μm未
満の大きさであれば、Crを主成分とした炭化物析出抑
制の効果がないためである。
【0016】また、ASTM結晶粒度番号7以上という
微細な結晶粒に調整することで、高温での熱疲労特性を
向上させると同時に、網状に分布した炭化物を均一に分
散させることが容易になる。ASTM結晶粒度番号7未
満の粗大な結晶粒となれば、網状に分布した炭化物の最
大対角長さが大きくなり炭化物分布が不均一になるだけ
でなく、例えば700℃以上の高温での熱疲労特性が低
下する原因の一つとなる。なお、本発明で網状とは、上
記のASTM結晶粒度番号7以上の微細な結晶粒の粒界
に析出する炭化物の形態を指す。
【0017】そして、本発明では、網状に分布した炭化
物で形成される円形あるいは多角形の最大対角長さを4
0μm以下と規定した。この時、本発明で言う円形、多
角形とは、例えば図2で示すような形状は、多角形と見
做し、これより角が丸みを帯びているもの等は本発明で
は円形と言う。そして次に、上記の図2中に示される視
野のうち、最も大きな炭化物網の最大対角長さ(A−
A’として図示する)を測定し、その長さが40μm以
下であれば、炭化物偏析部分に発生する著しい酸化と腐
食が抑えられ、耐酸化性と耐食性がさらに向上する。
【0018】以下に各元素の作用について説明する。C
はW、Mo、Nb、Ta、Crのいずれかと結びついて
炭化物を形成し、粒界に析出することにより常温および
高温での強度を向上させる。また、高温では結晶粒粗大
化を防止する効果もある。しかし、過度の添加は炭化物
偏析を引きおこし、耐酸化性および耐食性を劣化させ
る。従って、Cの上限は0.3%である。
【0019】Siは溶湯に対して強力な脱酸作用を発揮
するほか、鋳造性を向上させる作用がある。また、Si
は耐酸化性および耐食性を向上させる元素でもある。こ
れらの理由でSiを添加するが、過度の添加は耐酸化性
の低下と材料の脆化を引き起こすため、Siの上限は
1.0%である。MnはSiと同じく脱酸作用を発揮す
るほか、鋳造性を向上させる作用があるが、過度の添加
は耐酸化性を低下させるのでMnの上限は2.0%であ
る。
【0020】Crは耐酸化性および耐食性を向上させる
元素である。十分な耐食性および耐酸化性を付与するに
は10%以上必要である。しかし、過度の添加はW、M
o、Nb、Taの炭化物数の減少による耐酸化性および
耐食性の低下、高温における酸化膜の脱落および熱間加
工性低下の原因となる。従って、Crの添加量は10〜
30%である。Niはオーステナイト相を安定化させる
成分であるが、過度の添加は熱間加工性を低下させる。
そのためNiの上限は40%である。
【0021】W、Mo、Nb、TaはCと結びついて炭
化物を形成し、粒界に析出することにより常温および高
温での強度を向上させる。また、高温では結晶粒粗大化
を防止する効果もある。また、Co中に固溶することに
より常温および高温における強度を向上させる効果もあ
る。しかし、過度の添加により熱間加工性が低下するた
めこれらの元素の添加量は合計で30%以下である。ま
た、以下の元素は下記の範囲内で本発明合金に含まれて
もよい。Al1%以下、Ti1%以下、Cu0.3%以
下、B0.05%以下、Zr0.5%以下、Mg0.0
2%以下、Ca0.02%以下
【0022】次に、本発明の製造方法について説明す
る。熱間塑性加工によりASTM結晶粒度番号7以上の
微細なCo基合金を製造するには再結晶する温度域で十
分な塑性変形を与えることが必要であるが、温度が低す
ぎると再結晶が十分に進まない。従って、被加工材料温
度が900℃に低下するまでの間に熱間塑性加工を行う
ことが必要である。また、塑性変形量が少ないと全面再
結晶しないかまたは再結晶粒がASTM結晶粒度番号7
より小さくなり粗大な結晶粒となることがある。従っ
て、減面率40%以上の熱間塑性加工を施すことが必要
である。
【0023】網状に分布した炭化物で形成される円形あ
るいは多角形の最大対角長さを40μm以下にするには
微細な再結晶粒界上に炭化物を析出させる必要がある。
つまり、熱間塑性加工により再結晶させて微細結晶粒に
して、熱間塑性加工後の冷却中またはその後の固溶化処
理中に炭化物をその微細結晶粒の粒界に析出させること
が必要である。
【0024】上述した本発明の被加工材温度や減面率が
満たされない場合は、熱間塑性加工後に粗大な未再結晶
粒が残存し、その後の固溶化処理により再結晶させて微
細な結晶粒に調整しても熱間塑性加工後の冷却中または
その後の固溶化処理中に粗大な未再結晶粒の粒界上に炭
化物が析出し、網状に分布した炭化物で形成される円形
あるいは多角形の最大対角長さが40μmより大きくな
ることがあり、耐酸化性および耐食性を低下させる要因
となる。
【0025】上述した鍛造の際に、被加工材のすべての
箇所に均一に歪みをかけることが望ましい。このような
熱間塑性加工を行うには動力に油圧方式を用いた四面か
ら同時に圧下する鍛造が適している。勿論、従来から行
われている二面から圧下する鍛造方式を用いても良い
が、鍛造に時間がかかり、減面率40%に達する前に被
鍛造材の温度が900℃未満となる可能性が有る。
【0026】また、動力がクランク機構による機械方式
を用いた四面から同時に圧下する鍛造を行うと、圧下の
全ストロークにわたって十分に荷重をかけることができ
ず、結果として減面率40%を達成するのに非常に時間
がかかり、鍛造中に被鍛造材の温度が900℃未満にな
り易く、また、材料内部での歪みが不均一になり易い。
さらにCo基合金は熱間での変形抵抗が大きく、圧延に
より熱間塑性加工を行ことは困難である。これらの理由
から本発明の製造方法には動力に油圧方式を用いた四面
から同時に圧下する鍛造が最も適している。
【0027】本発明では、この鍛造の後に、W、Mo、
Nb、Taの一種または二種以上の元素を主成分にする
炭化物を特定量以上析出させるために、固溶化処理を施
す。固溶化処理温度が低いとCrを主成分とした炭化物
が析出して、耐酸化性および耐食性を低下させるため、
固溶化処理温度は900℃以上で行う。
【0028】
【実施例】以下に実施例として本発明を詳しく説明す
る。表1に示す組成の合金をエレクトロスラグ再溶解
し、均熱処理後、分塊鍛造により素材を準備し、加熱炉
にて1200℃に加熱して仕上げ熱間塑性加工(鍛造)
を行った。このときの鍛造は、動力に油圧方式を用いた
四面から同時に圧下する鍛造で行い、鍛造中の被鍛造材
の温度測定には放射温度計を用いている。さらにこの試
料を固溶化処理を施し、実験用試料とした。表1にその
組成、仕上げ熱間塑性加工条件および固溶化処理温度を
示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示す試料から電子顕微鏡観察用試験
片を切出した。表面を研磨後、定電位電解エッチング法
により母材金属を腐食し、その後、炭素膜上に炭化物の
みを取出した。このようにして取出した炭化物のうち任
意の50個の炭化物をEDXにより分析し、炭化物中の
W、Mo、Nb、Taの一種または二種以上を主成分と
する炭化物数の割合を求めた。
【0031】さらに、表1に示す試料から光学顕微鏡用
試験片を切出した。表面を研磨後、塩酸:硝酸:グリセ
リン=4:1:1の腐食液により腐食し、金属組織観察
を行った。400倍の倍率で任意の30視野の観察を行
い、ASTMに示される比較法により結晶粒度を測定
し、さらに図2(b)図3(b)に示すような炭化物の
最大対角長さを測定し、その平均値を炭化物網径とし
た。また、10×10×15mmの試料を切り出して鏡
面研磨し、800℃×20hの耐酸化試験を行い、表面
粗さRmaxを測定した。
【0032】表2に本発明材(No.1〜16)および
比較材(No.17〜24)について炭化物中のW、M
o、Nb、Taの一種または二種以上を主成分とする炭
化物数、炭化物網径および700℃×20hの耐酸化試
験後の表面粗さRyを示す。表面粗さRyが大きいほど
耐酸化性が悪いことを示している。
【0033】
【表2】
【0034】本発明のNo.1〜16で炭化物中のW、
Mo、Nb、Taの一種または二種以上を主成分とする
炭化物数が70%以上であった。そのW、Mo、Nb、
Taの一種または二種以上の炭化物のなかでもWが最も
多く含まれた炭化物であった。また結晶粒度番号は、全
てASTM結晶粒度番号が7以上であった。さらに網状
に分布した炭化物の最大対角長さが非常に小さく、すべ
て炭化物網径40μm以下であった。さらに、耐酸化試
験の結果、炭化物中のW、Mo、Nb、Taのうち一種
または二種以上を主成分とする炭化物数が多いことと図
2(a)に示すように網状に分布した炭化物の最大対角
長さが小さく、炭化物近傍の著しい酸化が押さえられた
ため表面粗さRyが非常に小さかった。
【0035】一方、比較材No.17は固溶化処理温度
が低いため炭化物中のW、Mo、Nb、Taの一種また
は二種以上を主成分とする炭化物数が少なくなり、Cr
を主成分とした炭化物が増え、その結果、炭化物近傍の
Crが欠乏し、耐酸化性が低下した。比較材No.18
は仕上げ熱間塑性加工(鍛造)中に温度が低下している
ため鍛造中に再結晶が進まなくなり、素材の粗大な未再
結晶粒界に炭化物が析出し、図3(a)に示すように網
状に分布した炭化物の最大対角長さが大きくなり、耐酸
化性が低下した。ただし、その後の固溶化処理により炭
化物網の大きさは大きいままで結晶粒のみが微細になっ
ている。
【0036】比較材No.19は固溶化処理温度が低い
ため炭化物中のW、Mo、Nb、Taの一種または二種
以上を主成分とする炭化物数が少なくなり耐酸化性が低
下している。また、仕上げ熱間加工(鍛造)における減
面率が少ないため鍛造中の再結晶が不十分となり、AS
TM結晶粒度番号が7未満の粗大な結晶粒が残存した。
また、その粗大な結晶粒界上に径の大きな網状に分布し
た炭化物を形成し、さらに耐酸化性が低下した。比較材
No.20では固溶化処理温度が低いため炭化物中の
W、Mo、Nb、Taの一種または二種以上を主成分と
する炭化物数が少なくなり耐酸化性が低下している。ま
た、Cが0.3%以上添加されているため炭化物の偏析
が発生し、さらに耐酸化性の劣化を引起こしている。
【0037】比較材No.21では固溶化処理温度が低
いため炭化物中のW、Mo、Nb、Taの一種または二
種以上を主成分とする炭化物数が少なくなり耐酸化性が
低下している。さらにCrが10%未満であるため材料
表面にCr酸化物が十分に形成されず、より耐酸化性が
低下している。比較材No.22では固溶化処理温度が
低いため炭化物中のW、Mo、Nb、Taの一種または
二種以上を主成分とする炭化物数が少なくなり耐酸化性
が低下している。さらにCrが30%を超えているため
酸化膜の剥離が起こり、さらに耐酸化性が低下してい
る。Niを40%を超えて添加した場合(No.23)
およびWを30%を超えて添加(No.24)した場合
は鍛造ができなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明によればCo基合金の耐酸化性お
よび耐食性を飛躍的に改善することができ、ジェットエ
ンジンや加熱炉あるいは各種化学プラントの実用化にと
って欠くことのできない技術となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明合金の金属組織を示す顕微鏡写真と模式
図である。
【図2】本発明合金の金属組織を示す顕微鏡写真と模式
図である。
【図3】比較合金の金属組織を示す顕微鏡写真と模式図
である。
【符号の説明】
1.網状に分布した炭化物、2.結晶粒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野々村 敏明 島根県安来市安来町2107番地2 日立金属 株式会社安来工場内 (72)発明者 福井 毅 島根県安来市安来町2107番地2 日立金属 株式会社安来工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属組織上で見られる網状に分布した炭
    化物のうちW、Mo、Nb、Taの一種または二種以上
    の元素を主成分とした炭化物の数が70%以上、かつA
    STM結晶粒度番号7以上であることを特徴とするCo
    基合金。
  2. 【請求項2】 金属組織上で見られる網状に分布した炭
    化物で形成される円形あるいは多角形の最大対角長さが
    40μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の
    Co基合金。
  3. 【請求項3】 質量%でC:0.3%以下、Si:1.
    0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:10〜30%、
    Ni:40%以下、更にW、Mo、Nb、Taのうち一
    種または二種以上を合計で30%以下、残部は不可避的
    不純物と実質的にCoでなることを特徴とする請求項1
    または2に記載のCo基合金。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかに記載のCo基
    合金の製造方法において、被加工材料温度が900℃に
    低下するまでの間に、減面率40%以上の熱間塑性加工
    を施し、その後、900℃以上の温度で固溶化処理する
    ことを特徴とするCo基合金の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010090478A (ja) * 2008-09-15 2010-04-22 Satomichi Tokutomi 耐摩耗性コバルト基合金
JP2011246734A (ja) * 2010-05-21 2011-12-08 Hitachi Ltd 燃焼器用部材、燃焼器用部材の製造方法、及び燃焼器
JP2011255409A (ja) * 2010-06-10 2011-12-22 Mitsubishi Materials Corp 環状成形体の製造方法
US9592547B2 (en) 2012-12-10 2017-03-14 Mitsubishi Materials Corporation Method of manufacturing annular molding

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