JP2001150014A - 圧延用粗バーの加熱方法 - Google Patents

圧延用粗バーの加熱方法

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JP2001150014A
JP2001150014A JP33293699A JP33293699A JP2001150014A JP 2001150014 A JP2001150014 A JP 2001150014A JP 33293699 A JP33293699 A JP 33293699A JP 33293699 A JP33293699 A JP 33293699A JP 2001150014 A JP2001150014 A JP 2001150014A
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Tsuneji Mizuhashi
恒司 水橋
Shinji Matsuo
慎二 松尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 仕上げ圧延条件が変動しても薄鋼板の材質の
バラツキや仕上がり形状の悪化が少なくなるように仕上
げ圧延中の圧延用粗バーの長手方向の温度変動を考慮し
た圧延用粗バーの加熱方法を提供する。 【解決手段】 仕上げ圧延機16の入側の圧延用粗バー
12の長手方向の温度と圧延用粗バー12の仕上げ圧延
条件とから仕上げ圧延機16で圧延された直後の薄鋼板
の長手方向の温度を求め、求めた長手方向の温度から薄
鋼板を仕上げ目標温度以上とするために、仕上げ圧延機
16の入側で圧延用粗バー12を加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、仕上げ圧延機出側
の薄鋼板の長手方向の温度を仕上げ目標温度以上とし、
長手方向の温度分布を均一化するように、仕上げ圧延機
の入側で圧延用粗バーを加熱する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】加熱炉より抽出したスラブから粗バーを
形成するときの粗圧延条件、複数の粗バーの先後端を順
次接合して圧延用粗バーを形成するときの接合条件等に
より、仕上げ圧延機の入側において、圧延用粗バーの長
手方向の温度分布は大きく変動していた。圧延用粗バー
の長手方向の温度分布が大きく変動すると、仕上げ圧延
温度も大きく変動するため、仕上げ圧延された薄鋼板の
材質のバラツキや、変形抵抗の変動に伴う仕上がり形状
の悪化が発生し、薄鋼板の製造歩留りの低下という問題
を起こしていた。
【0003】そこで、仕上げ圧延機の入側において、圧
延用粗バーの長手方向の温度分布を均一化するために、
例えば特開平10−244301号公報に提案されてい
るように、仕上げ圧延機が圧延用粗バーを噛み込む前に
圧延用粗バーの長手方向の温度分布を検出して、誘導加
熱装置を用いて圧延用粗バーを長手方向に加熱すること
が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平10−244301号公報提案の誘導加熱による圧
延用粗バーの加熱方法では、仕上げ圧延機内を圧延用粗
バーが移動する間の圧延用粗バーからの放熱、圧延ロー
ルとの接触による圧延用粗バーからの抜熱、圧延ロール
と圧延用粗バーとの間の摩擦による圧延用粗バーへの摩
擦熱供給、圧延用粗バー内での加工発熱等の仕上げ圧延
条件に依存した圧延中の圧延用粗バーの温度変動につい
ては全く考慮されておらず、そのため圧延中の圧延用粗
バーの温度変動に伴って仕上げ圧延された薄鋼板の材質
のバラツキや仕上がり形状の悪化といった問題が未解決
のまま存在している。
【0005】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、仕上げ圧延条件が変動しても薄鋼板の材質のバラツ
キや仕上がり形状の悪化が少なくなるように仕上げ圧延
中の圧延用粗バーの長手方向の温度変動を考慮した圧延
用粗バーの加熱方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う第1の発
明に係る圧延用粗バーの加熱方法は、スラブを粗圧延し
て形成される粗バー又は複数の粗バーの先後端を順次接
合して形成される接合粗バーからなる圧延用粗バーを仕
上げ圧延するときの前記圧延用粗バーの加熱方法であっ
て、仕上げ圧延機の入側の前記圧延用粗バーの長手方向
の温度と前記圧延用粗バーの仕上げ圧延条件とから前記
仕上げ圧延機で圧延された直後の薄鋼板の長手方向の温
度を求め、求めた長手方向の温度から該薄鋼板を仕上げ
目標温度以上とするために、前記仕上げ圧延機の入側で
前記圧延用粗バーを加熱する。
【0007】仕上げ圧延条件の変化に伴う圧延中の圧延
用粗バーの温度変化を予測して、仕上げ圧延機で圧延さ
れた直後の薄鋼板の長手方向の温度が仕上げ目標温度以
上となるように加熱するので、仕上げ圧延条件の変化に
伴う圧延中の温度変化による薄鋼板の材質のバラツキや
仕上がり形状の悪化を防止することができる。ここで、
仕上げ目標温度は、得ようとする薄鋼板の品質特性又は
成分によって設定される温度である。
【0008】前記目的に沿う第2の発明に係る圧延用粗
バーの加熱方法は、スラブを粗圧延して形成される粗バ
ー又は複数の粗バーの先後端を順次接合して形成される
接合粗バーからなる圧延用粗バーを仕上げ圧延するとき
の前記圧延用粗バーの加熱方法であって、仕上げ圧延機
の入側の前記圧延用粗バーの長手方向の表面温度と前記
圧延用粗バーの仕上げ圧延条件とから前記仕上げ圧延機
で圧延された直後の薄鋼板の長手方向の温度を求め、求
めた長手方向の温度から該薄鋼板の長手方向の温度変化
が予め設定した値以下で、かつ仕上げ目標温度以上とす
るために、前記仕上げ圧延機の入側で前記圧延用粗バー
を加熱する。
【0009】薄鋼板の長手方向の温度変化を予め設定し
た値以下とすることにより、仕上げ圧延条件が変動して
も、圧延中の圧延用粗バーの長手方向の温度変化を所定
の範囲内に制御することができ、薄鋼板の材質のバラツ
キや仕上がり形状の悪化を防止することが可能となる。
【0010】更に、第2の発明に係る圧延用粗バーの加
熱方法において、前記圧延粗バーが前記接合粗バーであ
る場合、前記仕上げ圧延機の入側で前記接合粗バーの先
頭粗バーの先部と最終粗バーの後部、及び前記接合粗バ
ーにおける前記先頭粗バーと前記最終粗バーを除いた各
粗バーの先部を加熱するのがより好ましい。
【0011】接合粗バーを仕上げ圧延する場合、接合粗
バーにおける先頭粗バーの先部及び最終粗バーの後部
は、仕上げ圧延機の噛み込み速度が遅いため、仕上げ圧
延中の温度低下が大きくなる。仕上げ圧延機に入る手前
で接合粗バーにおける先頭粗バーの先部及び最終粗バー
の後部を加熱することで仕上げ圧延中の温度低下を補償
でき、接合粗バーにおける先頭粗バーの先部及び最終粗
バーの後部の薄鋼板の材質のバラツキや仕上がり形状の
悪化を小さくすることができる。
【0012】また、圧延された連続薄鋼板の接合部を切
断するとき接合粗バーの移動速度を低下させるので、仕
上げ圧延中の接合粗バーを構成する各粗バーの先部(接
合部後部)では仕上げ圧延時の温度低下が大きくなる。
仕上げ圧延機に入る手前で接合粗バーを構成する各粗バ
ーの先部を加熱することで仕上げ圧延時の温度低下を補
償でき、接合粗バーを構成する各粗バーの先部の仕上げ
圧延条件が変動しても薄鋼板の材質のバラツキや仕上が
り形状の悪化を小さくすることができる。このように、
接合粗バーの先頭粗バーの先部と最終粗バーの後部、及
び接合粗バーを構成する各粗バーの先部を加熱すること
によって、圧延されて得られた連続薄鋼板の全体に渡る
材質のバラツキや仕上がり形状の悪化を少なくすること
ができる。
【0013】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係る圧延用粗バーの加熱方法を適用した圧延用粗バ
ーの加熱装置の概念図、図2は粗バーを仕上げ圧延機で
圧延した直後の薄鋼板長手方向の表面温度の分布図、図
3は仕上げ圧延機の入側で誘導加熱装置で加熱した後の
粗バーの長手方向における表面温度の分布図、図4は接
合粗バーを仕上げ圧延機で圧延した直後の薄鋼板の長手
方向における表面温度の分布図、図5は仕上げ圧延機の
入側で誘導加熱装置で加熱した後の接合粗バーの長手方
向における温度分布図である。
【0014】図1に示すように、本発明の一実施の形態
に係る圧延用粗バーの加熱方法を適用した圧延用粗バー
の加熱装置10は、加熱炉より抽出されたスラブを粗圧
延機11により粗圧延して形成された粗バー又は複数の
粗バーを順次接合して得られる接合粗バーからなる圧延
用粗バー12を加熱するために仕上げ圧延機16の手前
に設けられた圧延用粗バー加熱装置の一例である誘導加
熱装置13と、誘導加熱装置13の手前に備えられた圧
延用粗バー12の表面温度を計測する温度センサー14
と、誘導加熱装置13の加熱条件を決定する加熱条件処
理手段17とを有している。以下、これらについて詳細
に説明する。
【0015】誘導加熱装置13は、圧延用粗バー12の
表面に近接させた誘導コイルに交流電流を流したときに
圧延用粗バー12側に発生する渦電流を利用して、ジュ
ール発熱により圧延用粗バー12自体を直接加熱する装
置である。このため、加熱の制御応答性に優れ、加熱速
度が大きく、誘導コイルの形や大きさにより加熱位置や
加熱領域サイズを任意に設定することができるため、圧
延用粗バー12の任意の位置を短時間で所定の温度に加
熱することができる。圧延用粗バー12中に発生する渦
電流は、表皮効果のため圧延用粗バー12の表面付近に
集中するので、圧延用粗バー12の発熱は表層部付近に
局在化する。このため、圧延用粗バー12を厚さ方向に
均一に加熱するには、低周波数を用いた誘導加熱を行う
のが好ましい。
【0016】走行中の圧延用粗バー12の表面温度を計
測する温度センサー14は非接触状態で高応答性の測温
が可能な、例えば放射型温度計を使用するのが好まし
い。温度センサー14で得られた信号は、信号ケーブル
15により、加熱条件処理手段17へ伝送される。
【0017】加熱条件処理手段17は、仕上げ圧延機1
6に入る圧延用粗バー12の長手方向所定位置での表面
温度と、圧延用粗バー12の仕上げ圧延条件とから、仕
上げ圧延機16より圧延された直後の圧延用粗バー12
の所定位置に対応した薄鋼板の長手方向所定位置での表
面温度を解析的に求め、求めた表面温度が仕上げ目標温
度以上でかつ予め設定した温度変化量以下となるよう、
好ましくは薄鋼板の長手方向にわたって均一温度になる
ように、仕上げ圧延機16の入側で圧延用粗バー12の
所定位置を加熱するための誘導加熱装置13の加熱条件
を決定する機能を有するものである。決定された加熱条
件は、加熱条件処理手段17から信号ケーブル18によ
り誘導加熱装置13に伝送される。
【0018】この加熱温度は、仕上げ圧延機16で圧延
した直後の薄鋼板の表面温度が仕上げ目標温度以上とな
るように設定すればよいが、薄鋼板の長手方向の最高温
度以下であることがエネルギーコスト上好ましい。ま
た、予め設定した温度変化量とは、仕上げ圧延のための
各種制御の追従性を補償できる温度変化の範囲、例えば
圧延中の圧延用粗バー12の温度により仕上げ圧延機1
6のロール間隙を調整して圧延後の板厚を一定にする制
御を行っているが、この板厚制御系が追従できなくなり
板厚精度が悪くなり始めるまでの温度変化の範囲であ
り、仕上げ圧延ロールの大きさ、制御方式等により若干
異なるが、5〜10℃/秒以下であり、0%/秒にする
ことが最も好ましい。
【0019】次に、本発明の一実施の形態に係る圧延用
粗バー12の加熱方法について詳細に説明する。仕上げ
圧延された薄鋼板で材質のバラツキや仕上がり形状の悪
化が薄鋼板の長手方向で生じるのは、仕上げ圧延機16
に入るときに圧延用粗バー12の表面温度を長手方向に
対して均一化しても、仕上げ圧延中に圧延用粗バー12
の長手方向に温度変動が生じるためである。従って、仕
上げ圧延中に圧延用粗バー12の長手方向に温度変動が
生じる原因について考える。
【0020】いま、仕上げ圧延機16が圧延ロール7基
を有する7スタンドから構成されているとする。圧延用
粗バー12が1番目のスタンドに入ってから出てくるま
での間で生じる圧延用粗バー12の温度変動の要因の主
なものは、次の1)〜4)である。 1)1番目のスタンド間を通過する間の熱の放熱冷却 2)1番目のスタンド内の圧延ロールとの接触による抜
熱冷却 3)1番目のスタンド内の圧延ロールとの間のすべりに
よる摩擦発熱 4)1番目のスタンド内の圧延ロールによる加工発熱 従って、表面温度T(0)の圧延用粗バー12が、仕上
げ圧延機16の1番目のスタンドを通過して出てきたと
きの表面温度T(1)は、式(1)を用いて求められ
る。
【0021】同様に、2番目のスタンド〜6番目のスタ
ンドまでを考えると、i番目のスタンドに入るときの温
度は(i−1)番目のスタンドを通過して出てきたとき
の圧延用粗バー12の表面温度T(i−1)であるか
ら、各スタンドを通過したときの圧延用粗バー12の表
面温度は式(2)〜(6)を用いて求められ、最終的に
は式(7)によって仕上げ圧延機16で圧延された直後
の薄鋼板の表面温度T(7)が求まる。ここで、放熱
i、抜熱i、摩擦発熱i、加工発熱iは、それぞれi番
目のスタンドを通過する間の、熱の放熱冷却、圧延ロー
ルとの接触による抜熱冷却、圧延ロールとの間のすべり
による摩擦発熱、圧延ロールによる加工発熱の温度変動
の作用を示し、F(放熱i、抜熱i、摩擦発熱i、加工
発熱i、T(i−1))は、i番目のスタンドによる放
熱i、抜熱i、摩擦発熱i、加工発熱iの各温度変動の
作用によって表面温度T(i−1)の圧延用粗バー12
がどのような表面温度T(i)になるかを示す関数であ
る。
【0022】
【数1】
【0023】各スタンドで生じる圧延用粗バー12に対
する放熱冷却、抜熱冷却、摩擦発熱、加工発熱の各温度
変動の作用は各スタンドで全て同一と考えられるので、
i番目のスタンドによる温度変動の作用を表示する関数
F(放熱i、抜熱i、摩擦発熱i、加工発熱i、T(i
−1))の内容は各スタンドで同一と考えられる。ま
た、放熱冷却、抜熱冷却、摩擦発熱、加工発熱の各温度
変動は解析的に表示することができるので、関数F(放
熱i、抜熱i、摩擦発熱i、加工発熱i、T(i−
1))は、放熱冷却、抜熱冷却、摩擦発熱、加工発熱を
示す各解析式を組み合わせた実験式として決定すること
ができる。
【0024】温度変動の主な要因である1)スタンド間
を通過する間の熱の放熱冷却、2)スタンド内の圧延ロ
ールとの接触による抜熱冷却、3)スタンド内の圧延ロ
ールとの間のすべりによる摩擦発熱、4)スタンド内の
圧延ロールによる加工発熱において、各要因を大きく支
配するパラメータを検討すると、圧延用粗バー12がス
タンド間を通過する間の熱の放熱量はスタンド間を通過
する際の経過時間、圧延ロールとの接触による抜熱量は
圧延ロールとの接触時間に比例するため、放熱冷却と抜
熱冷却は圧延用粗バー12の仕上げ圧延機16内での移
動速度に影響を受ける。一方、圧延用粗バー12と圧延
ロールとの間のすべりによる摩擦発熱量と加工発熱量
は、いずれも圧延用粗バー12がどの程度圧延されるか
という圧下率に比例する。
【0025】圧延用粗バー12が粗バー単体の場合に
は、粗バーを仕上げ圧延機16に噛み込ませるときに、
圧延用粗バー12の先部は仕上げ圧延機16が噛み込む
際の振動や仕上げ圧延機16の出側の薄鋼板の飛び跳ね
を防止するため低速で噛み込まれる。従って、仕上げ圧
延機16内を圧延用粗バー12の先部が移動するときの
経過時間は長くなり、圧延用粗バー12の先部からの放
熱量は増加する。また、圧延用粗バー12の噛み込み速
度が遅いことから、圧延ロールとの接触時間も長くなり
圧延用粗バー12の先部からの抜熱量も増加する。この
ため、仕上げ圧延機16より出てきた直後の薄鋼板の先
部の表面温度は、薄鋼板の他の部分と比較して温度低下
が著しくなる。
【0026】圧延用粗バー12の先部の仕上げ圧延が進
行して、先部が仕上げ圧延機16より圧延されて出てく
る状態になると、仕上げ圧延機16内の圧延用粗バー1
2は、両端が拘束された状態で仕上げ圧延できる状態に
なっているため、圧延用粗バー12の移動速度を増加さ
せることが可能となる。移動速度が増加すると、仕上げ
圧延機16内を圧延用粗バー12が移動するときの経過
時間は短くなって圧延用粗バー12からの放熱量は低下
し、圧延ロールとの接触時間も短くなって圧延用粗バー
12からの抜熱量も低下する。このため、摩擦発熱と加
工発熱量の寄与が相対的に大きくなり、仕上げ圧延機1
6より出てきた直後の薄鋼板の先部に続く部分の表面温
度は先部に比べて高くなる。
【0027】圧延用粗バー12の後部が仕上げ圧延機1
6より吐き出される際には、後部が振動することを防止
するため低速で吐き出される。従って、仕上げ圧延機1
6内を圧延用粗バー12の後部が移動するときの経過時
間は長くなり圧延用粗バーの後部からの放熱量は増加
し、圧延ロールとの接触時間も長くなるので圧延用粗バ
ー12の後部からの抜熱量も増加する。このため、仕上
げ圧延機16で圧延した直後の薄鋼板の後部の表面温度
の低下は著しくなる。これらを式(1)〜(7)を用い
て求めた仕上げ圧延機16で圧延した直後の薄鋼板の長
手方向の表面温度の変動を図2に示す。
【0028】また、圧延用粗バー12が接合粗バーの場
合には、粗バー単体の際と同様な温度低下に加えて、接
合粗バーを仕上げ圧延して形成した薄鋼板を薄鋼板を形
成した粗バー単位で巻き取るため、仕上げ圧延が終了し
た薄鋼板は薄鋼板の各接合部で順次切断されていく。接
合部を切断するとき、薄鋼板の巻き取り速度を低下させ
る必要があるため、薄鋼板と接合している圧延中の圧延
用粗バー12の仕上げ圧延機16内での移動速度も低下
する。圧延中の圧延用粗バー12の移動速度の低下は、
仕上げ圧延機16内での放熱量の増加、圧延ロールによ
る抜熱量の増加の要因となり、仕上げ圧延機16より出
てきた直後の薄鋼板の接合部後部の表面温度は接合部後
部の前後部分の温度と比較して低下する。これを式
(1)〜(7)を用いて求めた仕上げ圧延機16より出
てきた直後の薄鋼板の接合部後部の長手方向の表面温度
の変動を図4に示す。
【0029】以上の結果に基づき、仕上げ圧延機16よ
り出てきた直後の表面温度が仕上げ目標温度以上で、か
つ予め設定した温度変化量以下、好ましくは薄鋼板の長
手方向にわたって所定の均一温度となるように、仕上げ
圧延機16の入側で圧延用粗バー12を長手方向に誘導
加熱装置13を用いて加熱するときの方法について詳細
に説明する。
【0030】粗バーからなる圧延用粗バー12を図2、
図3で示されるように、式(1)〜(7)を用いて仕上
げ圧延機16で圧延した直後の薄鋼板の表面温度を求め
ると、先部が最も温度が低く、仕上げ目標温度を下回っ
た場合には目標とする品質が出なくなる。更に、後部が
最も温度変化量が大きく、予め設定した温度値以上とな
り板厚変化が大きくなった場合には仕上げ圧延の制御が
追従できなくなる。また、図4に示すように、接合粗バ
ーの場合は、これに加えて接合部における各粗バーの先
部の温度が低くなる。
【0031】従って、誘導加熱装置13の加熱能力が十
分にある場合には、仕上げ圧延機16で圧延した直後の
薄鋼板の表面温度が薄鋼板の温度の最も高い部分と同等
温度となるように、即ち薄鋼板の長手方向に均一温度に
なるように、仕上げ圧延機16の入側で粗バー12を加
熱すればよい。また、誘導加熱装置13の加熱能力が十
分でない場合には、薄鋼板の先部、後部、接続部後部が
仕上げ目標温度以上、設定温度変化量以下で、薄鋼板長
手方向にできる限り均一温度に近づくように仕上げ圧延
機16の入側で粗バー12を加熱する。
【0032】接合部後部を除いた中央部分(薄鋼板の温
度の最も高い部分)の温度をT(C)とすると、仕上げ
圧延機16で圧延した直後の薄鋼板の表面温度がT
(C)となるためには、7番目のスタンドに入るときの
圧延用粗バー12の表面温度、即ち6番目のスタンドを
通過して出てきたときの圧延用粗バー12の表面温度T
(6’)とT(C)が、式(7)の関係を満足しなけれ
ばならないことから、表面温度T(6’)は式(7)を
逆に解いた式(8)により決定できる。
【0033】同様に、6番目のスタンド〜2番目のスタ
ンドまでを考えると、i番目のスタンドに入るときの温
度は(i−1)番目のスタンドを通過して出てきたとき
の圧延用粗バー12の温度T(i−1)であるから、各
スタンドに入るときの圧延用粗バー12の表面温度は式
(9)〜(13)を用いて求められ、最終的には式(1
4)によって仕上げ圧延機16に入るときの圧延用粗バ
ー12の表面温度T(0’)が求まる。また、仕上げ圧
延では各スタンドでどの程度圧延されるかという圧下率
が決まると、各スタンドを出てきた圧延用粗バー12の
長さがどの程度となるのか予測することができるので、
仕上げ圧延機16より出てきた直後の薄鋼板の長手方向
の特定位置が圧延用粗バー12のどの部分に対応してい
るかを逆算して求め、この部分の圧延用粗バー12の表
面温度がT(0’)になるように加熱する。ここで、G
(放熱i、抜熱i、摩擦発熱i、加工発熱i、T
(i))は、i番目のスタンドによる放熱i、抜熱i、
摩擦発熱i、加工発熱iの各温度変動の作用からi番目
のスタンドに入る前の圧延用粗バー12の表面温度T
(i−1)を逆算する関数である。
【0034】
【数2】
【0035】例えば、圧延用粗バー12の厚さが40m
mで、これを2mmの薄鋼板に仕上げ圧延する場合で
は、仕上げ圧延機16で圧延した直後の薄鋼板の長手方
向の表面温度を求めることで、温度が低い先部の長さは
200mとなるが、これは圧延用粗バー12の長さに換
算すると10mに相当し、仕上げ圧延機16より出てき
た薄鋼板の先部200mの表面温度を仕上げ目標温度以
上のT(C)にするには、例えば図2においてT(C)
=850℃とすると、図中の斜線部分Aを埋めるように
すればよく、これには、圧延用粗バー12の先部10m
の部分を図3の斜線部分Aaが補充されるように加熱し
てやればよいことになる。
【0036】また、図2において、仕上げ圧延機16で
圧延した直後の薄鋼板の後部の表面温度の低下が著しい
部分Bの長さは70mと求まるが、これは圧延用粗バー
12の長さに換算すると3.5mに相当し、仕上げ圧延
機16より出てきた薄鋼板の後部70mの表面温度変化
が20℃/秒であるので、これを予め設定した温度変化
量5〜10℃/秒以下である0℃/秒にするには、例え
ばこの場合は、図2の斜線部分Bを埋めて温度変化がな
いようにすればよく、これには、圧延用粗バー12の後
部3.5mの部分を図3の斜線部分Baに示すように加
熱してやればよいことになる。
【0037】更に、図4に示すように接合粗バーの場合
は、仕上げ圧延機16で圧延した直後の薄鋼板の接合部
の表面温度の低い部分は、接合部後部の長さ400mの
部分となるが、これは圧延用粗バー12では接合粗バー
を構成する先頭粗バーと最終粗バーを除いた各粗バーの
先部(接合部後部)の20mに相当し、仕上げ圧延機1
6より出てきた薄鋼板の接合部後部400mの表面温度
を仕上げ目標温度以上であるT(C)、例えば840℃
にするには、先頭粗バーの先部と最終粗バー後部の加熱
に加えて、図4の薄鋼板の斜線部分Cを埋めるように、
圧延用粗バー12の接合部後部20mの部分を誘導加熱
装置13で図5の斜線部分Caのように加熱してやれば
よいことになる。
【0038】
【発明の効果】請求項1記載の圧延用粗バーの加熱方法
においては、仕上げ圧延機の入側の圧延用粗バーの長手
方向の温度と圧延用粗バーの仕上げ圧延条件とから仕上
げ圧延機で圧延された直後の薄鋼板の長手方向の温度を
求め、求めた長手方向の温度から該薄鋼板を仕上げ目標
温度以上とするために、仕上げ圧延機の入側で圧延用粗
バーを加熱するので、生産性向上の要請から圧延用粗バ
ー自体の長さが長くなったり、仕上げ圧延条件が変動し
ても仕上げ圧延機出側において薄鋼板が局部的に仕上げ
目標温度以下になることがなく、薄鋼板の目標とする材
質を薄鋼板全体で得ることができ、しかも同一薄鋼板内
での材質バラツキや仕上がり形状の悪化を防止できて薄
鋼板の歩留りを向上させることが可能となる。
【0039】請求項2及び3記載の圧延用粗バーの加熱
方法においては、仕上げ圧延機の入側の圧延用粗バーの
長手方向の表面温度と圧延用粗バーの仕上げ圧延条件と
から仕上げ圧延機で圧延された直後の薄鋼板の長手方向
の温度を求め、求めた長手方向の温度から該薄鋼板の長
手方向の温度変化が予め設定した値以下で、かつ仕上げ
目標温度以上とするために、仕上げ圧延機の入側で圧延
用粗バーを加熱するので、仕上げ圧延機の出側において
薄鋼板が局部的に仕上げ目標温度以下になることもな
く、しかも温度変化が設定値以下になり、上記の効果に
加えて板厚制御の追従性が良好となり板厚変動の少ない
薄鋼板を得ることができ、高精度の薄鋼板の品質管理が
可能となる。また、仕上げ圧延機の設備能力を変更する
ことなく薄鋼板の拡幅化、極薄化、更に硬質材料の仕上
げ圧延に対して自在に対応することができる。
【0040】特に、請求項3記載の圧延用粗バーの加熱
方法においては、圧延粗バーが接合粗バーである場合、
仕上げ圧延機の入側で接合粗バーの先頭粗バーの先部と
最終粗バーの後部、及び接合粗バーにおける先頭粗バー
と最終粗バーを除いた各粗バーの先部を加熱するので、
仕上げ圧延中の接合部の組織変化を抑制でき接合部での
破断が防止できて生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る圧延用粗バーの加
熱方法を適用した圧延用粗バーの加熱装置の概念図であ
る。
【図2】粗バーを仕上げ圧延機で圧延した直後の薄鋼板
の長手方向における表面温度の分布図である。
【図3】仕上げ圧延機の入側で誘導加熱装置で加熱した
後の粗バーの長手方向における表面温度の分布図であ
る。
【図4】接合粗バーを仕上げ圧延機で圧延した直後の薄
鋼板の長手方向における表面温度の分布図である。
【図5】仕上げ圧延機の入側で誘導加熱装置で加熱した
後の接合粗バーの長手方向における温度分布図である。
【符号の説明】
10:圧延用粗バーの加熱設備、11:粗圧延機、1
2:圧延用粗バー、13:誘導加熱装置、14:温度セ
ンサー、15:信号ケーブル、16:仕上げ圧延機、1
7:加熱条件処理手段、18:信号ケーブル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B21B 37/00 132A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スラブを粗圧延して形成される粗バー又
    は複数の粗バーの先後端を順次接合して形成される接合
    粗バーからなる圧延用粗バーを仕上げ圧延するときの前
    記圧延用粗バーの加熱方法であって、仕上げ圧延機の入
    側の前記圧延用粗バーの長手方向の温度と前記圧延用粗
    バーの仕上げ圧延条件とから前記仕上げ圧延機で圧延さ
    れた直後の薄鋼板の長手方向の温度を求め、求めた長手
    方向の温度から該薄鋼板を仕上げ目標温度以上とするた
    めに、前記仕上げ圧延機の入側で前記圧延用粗バーを加
    熱することを特徴とする圧延用粗バーの加熱方法。
  2. 【請求項2】 スラブを粗圧延して形成される粗バー又
    は複数の粗バーの先後端を順次接合して形成される接合
    粗バーからなる圧延用粗バーを仕上げ圧延するときの前
    記圧延用粗バーの加熱方法であって、仕上げ圧延機の入
    側の前記圧延用粗バーの長手方向の表面温度と前記圧延
    用粗バーの仕上げ圧延条件とから前記仕上げ圧延機で圧
    延された直後の薄鋼板の長手方向の温度を求め、求めた
    長手方向の温度から該薄鋼板の長手方向の温度変化が予
    め設定した値以下で、かつ仕上げ目標温度以上とするた
    めに、前記仕上げ圧延機の入側で前記圧延用粗バーを加
    熱することを特徴とする圧延用粗バーの加熱方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の圧延用粗バーの加熱方法
    において、前記圧延粗バーが前記接合粗バーである場
    合、前記仕上げ圧延機の入側で前記接合粗バーの先頭粗
    バーの先部と最終粗バーの後部、及び前記接合粗バーに
    おける前記先頭粗バーと前記最終粗バーを除いた各粗バ
    ーの先部を加熱することを特徴とする圧延用粗バーの加
    熱方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011192067A (ja) * 2010-03-15 2011-09-29 Nippon Steel Corp 温度制御方法および温度制御装置

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JP2011192067A (ja) * 2010-03-15 2011-09-29 Nippon Steel Corp 温度制御方法および温度制御装置

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