JP2001149761A - 固液分離処理方法及び固液分離装置 - Google Patents

固液分離処理方法及び固液分離装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の表面に生物汚泥付着層を形成させて行
うろ過では、付着層が形成されるまでろ過水を原水槽へ
返送する必要があり、新たな動力を必要とし、返送によ
る水回収率の低下、非衛生的である等の問題があり、ま
た、従来の精密ろ過では、膜汚染により低Flux、膜の洗
浄に薬品が必要、薬品洗浄による膜劣化により耐久年数
が短い等の問題がある。これら従来の問題を解決する固
液分離処理方法および固液分離装置を提供する。 【解決手段】 ろ過体表面に生物汚泥の付着層を形成さ
せろ過処理後、精密ろ過を行う固液分離処理方法;並び
にろ過体の表面に生物汚泥の付着層を形成させろ過する
ろ過処理装置及び精密ろ過装置よりなる固液分離装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水処理分野に用い
られる固液分離処理方法及び固液分離装置に関し、特に
河川水、湖沼水、用水、下水、廃水、し尿等の全ての水
処理において、浮遊物質を固液分離する処理方法及び装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水処理において、要求される処理
水の性状により、ろ過体を使用しろ過体表面に活性汚泥
粒子の付着物層を形成させて行うろ過(「ダイナミック
ろ過」という)、もしくは精密ろ過のどちらかで固液分
離処理が行われてきた。ダイナミックろ過は、そのろ過
体表面に形成される汚泥層により、孔径よりも小さい粒
子も分離可能となる固液分離方法および装置である。す
なわち、ろ過体の表面に活性汚泥粒子の付着物層が形成
され、この付着物により活性汚泥粒子の通過を阻止する
ことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】孔径10μm以上のろ
過体を使用したろ過では、汚泥層が形成されるまで処理
水SSが高いため、ろ過水を原水槽又はろ過槽へ返送す
る必要があり、ろ過水を返送するための新たな動力
(例えば、ポンプ)が必要となる、ろ過水を返送する
ので水回収率が低下する、また、処理水中に微生物が
流出して非衛生的である、等の問題点がある。一方、孔
径1μm以下の精密ろ過では、膜汚染によりFlux
が高くとれない、膜の洗浄に薬品が必要である、薬
品洗浄による膜劣化により耐久年数が短い、等の問題点
がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決する固液分離処理方法及び固液分離装置を提供する
ものである。すなわち、本発明は、(1) ろ過体表面
に活性汚泥の付着層を形成させ、ろ過処理を行った後、
精密ろ過を行うことを特徴とする固液分離処理方法、
(2) ろ過体表面に活性汚泥の付着層を形成させ、ろ
過処理を行った後、吸着剤又は凝集剤もしくはその両方
を添加して精密ろ過を行うことを特徴とする前項(1)
記載の固液分離処理方法、(3) ろ過体の表面に活性
汚泥の付着層を形成させろ過するろ過処理装置および精
密ろ過装置よりなることを特徴とする固液分離装置、
(4) ろ過体の表面に活性汚泥の付着層を形成させろ
過するろ過処理装置、吸着剤又は凝集剤もしくはその両
方を添加する装置、および精密ろ過装置よりなることを
特徴とする前項(3)記載の固液分離装置、である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の固液分離処理方法では、ろ過体表面に活性汚泥
のろ過層を形成させ、ろ過処理を行った後、精密ろ過を
行う。すなわち、本発明の方法では、汚泥層ろ過により
粒径の大きいSSが予め除去され、その後精密ろ過によ
りSSが完全に除去される。
【0006】本発明に用いられるダイナミックろ過のろ
過体としては、一般的に良く使われているポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の有機性のろ過体
であってもよく、また、ガラス、炭素材、ゼオライト、
セラミックス、金属等の無機性のろ過体であってもよ
い。また、その形態としては、不織布、織物、焼結体等
があり、好ましくは、孔径が均一である織物、焼結体で
あり、特に好ましくは織物である。活性汚泥粒子のろ過
層によるろ過で使用するろ過体の孔径は、10〜450
μmが好ましく、さらに好ましくは25〜200μm、
特に好ましくは50〜150μmである。孔径が10μ
m未満のように小さすぎると、透過流束(Flux)が小さく
なり処理能力の低下をまねき、孔径が450μmを超え
るように大きすぎると、処理水中にSSが大量にリーク
するという不都合が生じる。このため、固液分離の対象
SSの性状によって、ろ過体には適切な孔径の範囲があ
る。
【0007】本発明において、ダイナミックろ過は、ダ
イナミックろ過槽内にろ過体を浸漬し、ポンプで吸引す
るか又は水頭差を利用した重力ろ過により、ろ過処理が
行われ、処理水が得られる。小水量の処理ではポンプで
吸引することが多く、大容量の処理では水頭差を利用し
た重力ろ過により処理水を得ることが多いが、処理水の
水量に係わらずいずれの方法をとってもよい。また、ダ
イナミックろ過槽は、単に原水中の浮遊物質を除去する
ためのものであってもよく、また、ろ過槽が生物処理を
兼ねたものであり微生物とろ液を分離するためのもので
あってもよい。
【0008】本発明に用いられる精密ろ過膜としては、
一般的に良く使われているポリエチレン、ポリスチレン
等の有機性のろ過膜であってもよく、また、セラミック
ス、金属等の無機性のろ過膜であってもよい。また、そ
の形状としては、平膜、中空糸、スパイラル、チューブ
ラ、回転平膜等が挙げられる。精密ろ過で使用するろ過
膜の孔径は、0.1〜1μmが好ましく、さらに好まし
くは0.1〜0.5μmである。
【0009】従来のダイナミックろ過だけで処理する場
合には、ダイナミックろ過層が形成され処理水へのSS
のリークがなくなるまで、原水槽又はろ過槽への処理水
の返送が必要であったが、本発明の処理方法では、後段
に孔径1μm以下の精密ろ過があるため、処理水を返送
する必要がなくなるという効果を奏する。また、汚泥層
を更新するために水逆洗浄を行う場合でも、清水を使用
する必要はなく、清澄な精密ろ過処理水を利用できると
いう効果を奏する。更に、精密ろ過では、粒径の大きい
SSが汚泥層ろ過により予め除去されているため、負荷
が軽減され、精密ろ過膜の汚染が少なく、高Flux処
理が可能であり、精密ろ過膜の洗浄頻度も少なくなると
いう効果を奏する。
【0010】精密ろ過処理時に、吸着剤又は凝集剤もし
くはその両方を添加すると、処理水質が安定化され、よ
り高Flux処理が可能となり、また、精密ろ過膜の負
荷がより軽減され、膜の洗浄頻度もより少なくなるとい
う効果を奏する。
【0011】本発明で用いられる吸着剤としては、活性
炭、鉄系吸着剤(例えば、ヒドロキシ硫酸鉄、水酸化第
二鉄、鉄粉、鹿沼土等)、キレート剤(例えば、EDT
A(エチレンジアミンテトラ酢酸)、グルコン酸ソー
ダ、ホスホン酸化合物等)、イオン交換体(例えば、イ
オン交換樹脂、キレート樹脂、有機物吸着樹脂、ゼオラ
イト等)が挙げられる。凝集剤として、無機凝集剤、有
機凝集剤のどちらを使用してもよく、また、両者を併用
してもよい。無機凝集剤としては、塩化第二鉄、ポリ硫
酸鉄、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド、鉄・シリカ
系凝集剤等が用いられる。有機凝集剤としては、デンプ
ン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等が用
いられる。これら吸着剤や凝集剤は、その種類により対
象とする物質が異なり、その除去対象目的に応じて、い
ずれかの吸着剤又は凝集剤が単独で、もしくは、複数の
吸着剤又は凝集剤が併用されて添加される。
【0012】これら吸着剤や凝集剤の除去対象物質及び
その効果は以下のとおりである。 活性炭は、微量有機物の吸着除去や、微細粒子の凝集
作用の向上等に効果がある。 鉄系吸着剤は、リンの除去に効果があり、添加量によ
り、貧栄養域である0.02mg/リットル以下が可能であ
る。 キレート剤、イオン交換体は、重金属の除去に効果が
ある。 凝集剤は、コロイド粒子や微細SSの大粒径化に効果
があり、またリンの除去にも効果がある。
【0013】これら吸着剤や凝集剤の添加方法は、連続
的に添加しても、回分的に添加してもよい。活性炭で
は、回分的に添加した方が吸着能力を十分に発揮でき、
好ましい。複数の吸着剤や凝集剤を添加する場合には、
各々を順々に添加する方法であってもよい。
【0014】吸着剤の添加量は、除去対象によって違い
があり、処理試験により、最適添加量を算出する。例え
ば、1g吸着剤当たりの除去物質量が、0.1g吸着量
/g吸着剤であり、除去物質濃度が10mg/リットルの場合
は、吸着剤の添加量は100mg/リットルとなる。凝集剤の
添加量は、対象水の性状により異なるものの、通常数十
〜数百mg/リットルである。
【0015】本発明の固液分離処理方法及び装置は、河
川水、湖沼水、用水、下水、廃水、し尿等の水処理の分
野で、浮遊物質を固液分離する処理方法及び装置全てに
適用が可能である。特に、浮遊物質濃度の高い水に適用
可能である。また、生物処理槽内に浸漬させ、微生物と
ろ液とを分離する処理方法及び装置にも適用可能であ
る。
【0016】
【実施例】以下、実施例および比較実験により本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。なお、実験条件は表−1に、結果は
表−2にまとめて示した。
【0017】(比較実験1)処理方式として、ダイナミ
ックろ過単独処理を行った。表−2の結果より、このダ
イナミックろ過単独処理の特徴としては、ろ過Flu
xが比較的高い、ろ過体に汚泥層が形成されるまて、
SSがリークした処理水を返送する必要がある、微生
物が処理水中に流出するため、非衛生的である、等が挙
げられる。なお、このダイナミックろ過単独処理におけ
る、(1)ろ過工程→(2)洗浄工程→(3)処理水返送工程→
(1)ろ過工程における処理水のSSの変動を図3に示
す。
【0018】(比較実験2)処理方式として、精密ろ過
単独処理を行った。表−2の結果より、この精密ろ過単
独処理の特徴としては、ろ過Fluxが小さく、膜汚
染を受けやすい、処理水質が安定しており、微生物学
的に安全性が大である、等が挙げられる。
【0019】(比較実験3)処理方式として、凝集剤を
添加した、精密ろ過単独処理を行った。表−2の結果よ
り、この凝集剤添加・精密ろ過単独処理の特徴として
は、凝集剤無添加の比較実験2と比べて、ろ過Flu
xに向上が認められない、生物処理で取りきれない過
剰なリンの除去が可能である、処理水質がが安定して
おり、微生物学的に安全性が大である、等が挙げられ
る。
【0020】(実施例1)処理方式として、ダイナミッ
クろ過処理後、精密ろ過処理を行った。なお、本実施例
1で用いた、本発明に係る固液分離処理方法の概略処理
フローを図1に示した。表−2の結果より本処理の特徴
は、処理水の返送が不要であり、微生物学的に安全性
が大である、ダイナミックろ過では洗浄後のSSが高
くてもよいため、処理水の返送が必要ではなく、平均ろ
過Fluxが向上する(即ち、ろ過水回収率が向上す
る)、精密ろ過では、膜汚染が軽減され、ろ過Flu
xが向上する、平均ろ過Fluxは、ダイナミックろ
過処理では汚泥層ろ過単独処理(比較実験1)と比べて
1.4倍以上であり、精密ろ過処理では精密ろ過単独処
理(比較実験2)と比べて1.7倍である、等が挙げら
れる。なお、このダイナミックろ過処理と精密ろ過処理
との組合せにおいて、ダイナミックろ過処理における、
(1)ろ過工程→(2)洗浄工程→(1)ろ過工程における処理
水のSSの変動を図3に示す。
【0021】(実施例2)処理方式として、ダイナミッ
クろ過処理後、凝集剤(FeCl3 10mg/リットル)を添
加し精密ろ過処理を行った。なお、本実施例2で用い
た、本発明に係る固液分離処理方法の概略処理フローを
図2に示した。表−2の結果より、実施例1の〜に
ついては同様であり、さらに、凝集剤の添加効果とし
て、コロイダル粒子及び微細SSが凝集し、膜汚染の原
因物質である溶解性COD成分の一部が除去される事に
より、実施例1に比べ精密ろ過Fluxが1.2倍と向
上し、処理水CODが低減される、生物処理で取り
きれなかったリンを除去し、処理水のリン濃度が低下す
る、等が挙げられる。
【0022】(実施例3)処理方式として、ダイナミッ
クろ過処理後、吸着剤(粉末活性炭20mg/リットル)を添
加し精密ろ過処理を行った。なお、本実施例3で用い
た、本発明に係る固液分離処理方法の概略処理フローを
図2に示した。表−2の結果より、実施例1の〜に
ついては同様であり、さらに、吸着剤の添加効果とし
て、膜汚染原因物質である微量有機物が除去され、実施
例1に比べ、ろ過Fluxが向上し、実施例2に比
べ、さらに処理水CODが低減される、等が挙げられ
る。なお、精密ろ過として回転平膜を使用した場合、透
過流束(Flux)2m/dまで処理可能であった。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】*1: 汚泥層更新のための洗浄頻度(水
・空気洗浄)。 *2:・平均ろ過Fluxとは、1日当たり、ろ過体又
はろ過膜の面積当たりの処理量である。 ・ダイナミックろ過でろ過開始初期の返送がある場合
は、その返送水量を抜いた実質の処理量から計算される
1日平均のろ過Flux。 ・精密ろ過の吸引/停止サイクルが、13分吸引/2分
停止である時の1日平均のろ過Flux。
【0026】
【発明の効果】ダイナミックろ過と精密ろ過とを組み合
わせることにより、ダイナミックろ過単独では不可能で
あった、処理水返送が不要となり、衛生学的安全性
が確保された。また、精密ろ過においては、SS負荷
の低減により、膜汚染の低減、高Flux処理が可
能となる。さらに、精密ろ過時に、凝集剤又は吸着剤、
もしくはこの両方を添加する事により、さらに処理水
質が安定し、さらに高いFlux処理が可能であり、洗
浄の軽減効果が確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた、本発明に係る固液分離処理
方法の概略処理フロー図である。なお、ダイナミックろ
過槽は、生物処理槽を兼ねる場合もある。
【図2】実施例2及び実施例3で用いた、本発明に係る
固液分離処理方法の概略処理フロー図である。なお、ダ
イナミックろ過槽は、生物処理槽を兼ねる場合もある。
また、凝集剤または吸着剤もしくはその両方を、連続的
にまたは回分的に添加する。ここで、実施例2では凝集
剤を、実施例3では吸着剤を、それぞれ精密ろ過処理槽
に添加した。
【図3】実施例1と比較実験1における、ダイナミック
ろ過処理における各工程と、処理水のSS変動を示す図
である。
【符号の説明】
1: 原水 2: ダイナミックろ過槽 3: 精密ろ過槽 4: 処理水 5: 凝集剤及び/又は吸着剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧 恭子 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 鈴木 ひとみ 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 Fターム(参考) 4D003 AA01 CA02 CA07 EA25 4D006 GA07 HA01 HA93 JA02A KA02 KA32 KB12 KB13 KB14 KB21 KD03 KD08 KD09 MA01 MA22 MC22 MC24 PB04 PB06 PB08 PC62 4D028 AC01 AC04 BC17 BD17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ろ過体表面に活性汚泥の付着層を形成さ
    せ、ろ過処理を行った後、精密ろ過を行うことを特徴と
    する固液分離処理方法。
  2. 【請求項2】 ろ過体表面に活性汚泥の付着層を形成さ
    せ、ろ過処理を行った後、吸着剤又は凝集剤もしくはそ
    の両方を添加して精密ろ過を行うことを特徴とする請求
    項1記載の固液分離処理方法。
  3. 【請求項3】 ろ過体の表面に活性汚泥の付着層を形成
    させろ過するろ過処理装置および精密ろ過装置よりなる
    ことを特徴とする固液分離装置。
  4. 【請求項4】 ろ過体の表面に活性汚泥の付着層を形成
    させろ過するろ過処理装置、吸着剤又は凝集剤もしくは
    その両方を添加する装置、および精密ろ過装置よりなる
    ことを特徴とする請求項3記載の固液分離装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003103122A (ja) * 2001-09-28 2003-04-08 Daicen Membrane Systems Ltd 濾過処理方法
JP2003103120A (ja) * 2001-09-28 2003-04-08 Daicen Membrane Systems Ltd ダイナミック濾過方法
JP2003103121A (ja) * 2001-09-28 2003-04-08 Daicen Membrane Systems Ltd 濾過エレメント
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JP2009066589A (ja) * 2007-08-21 2009-04-02 Asahi Kasei Chemicals Corp 廃水処理方法及び廃水処理装置

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