JP2001148913A - 苗移植機の移植爪開閉装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 爪の先端が植え付けた苗に接触して、苗を前
に引き倒してしまうのを防ぐ。 【解決手段】くちばし状をなす左右１対の爪体１２を苗
受け筒１０の下端部に横方向に開閉自在に取付ける。そ
して爪昇降リンク１５に連動する伸縮自在な爪開口ロッ
ド１７を、爪リンク１８を介して爪体接続軸１３に連結
して、爪開口ロッド１７で爪体接続軸１３を牽引ばね１
４に抗して下方に押し下げることにより、爪体１２をそ
の下死点付近で開口する。さらに爪開口ロッド１７と爪
リンク１８を連結する連結軸１９にタイミングカム２０
を取り付け、苗受け筒１０の一端に設けたローラ２２を
このタイミングカム２０に摺接させて、前記連結軸１９
とローラ２２間の距離を保つことにより、上昇行程の爪
体１２を開口状態に維持させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、苗移植機の苗供給
部から苗を受け取って植え付ける移植爪の改良に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】移植爪は、爪部分が鳥のくちばしのよう
に開閉する構造で、その尖った先端を下方に向けて下降
し、先端が地中に突き刺すと爪を開き、内部の苗を放出
して植え付け、植付け後、上昇して閉じ、再び苗をくわ
えて下降するという、爪の開閉と昇降を繰り返す仕組み
になっている（例えば実開平７−３０６０６号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この苗移植機は、前進
しながらこの移植爪を作動して、次々と苗を植えていく
のであるが、従来は移植爪が機体の進行方向に沿う方向
すなわち前後方向に開く構造であったため、茶の苗木や
一部の野菜の苗のように、植える苗の背が高い場合に
は、爪の先端が植え付けた苗に接触して、苗を前に引き
倒してしまうおそれがあった。

【０００４】本発明は、この点を改良したもので、移植
爪を機体の進行方向と直交する方向すなわち横方向に開
閉することを特徴とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の移植爪開閉装置
の構成は次のとおりである。先ず、苗移植機に備える爪
昇降リンクに苗受け筒を連結し、この苗受け筒の左右両
側部に、くちばし状をなす左右１対の爪体の基部をそれ
ぞれ軸着して、爪体を苗受け筒の下端部に開閉自在に接
続すると共に、両爪体の接合部を爪体接続軸で相互に連
結する。そして、この爪体接続軸と苗受け筒の一端に牽
引ばねを張り渡して、この牽引ばねで爪体接続軸を上方
に牽引することにより爪体を常時閉方向に付勢する。さ
らに、前記爪昇降リンクに連動する伸縮自在な爪開口ロ
ッドを爪リンクを介して前記爪体接続軸に連結して、爪
開口ロッドで爪体接続軸を前記牽引ばねに抗して下方に
押し下げることにより、爪体をその下死点付近で開口す
る。加えて、爪開口ロッドと爪リンクを連結する連結軸
にタイミングカムを取り付け、苗受け筒の一端に設けた
ローラをこのタイミングカムに摺接させて、前記連結軸
とローラ間の距離を保つことにより、上昇行程の爪体を
開口状態に維持させる、というのが本発明の構成であ
る。

【０００６】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施態様を図面に示
して説明する。図１は、苗移植機の全体側面図で、エン
ジン１を搭載し、その動力を左右の駆動輪２に伝達し
て、機体を前進する。３は畝の両側を転動する前輪で、
４は畝の頂上の植付け面を展圧整地する遊転ロールであ
る。５は植付けた苗の根元に土を寄せる土寄せディスク
である。６は移植爪で、その上方に苗供給機構７を装備
する。苗供給機構７は６〜１２本程度の円筒形の苗供給
筒８を回転軸９の周りに環状に並べ、移植爪６の昇降運
動にあわせて、決まった角度だけ間欠的に回転する構造
で、図２ないし３に示すように、移植爪６が上昇して上
死点に達すると、その真上に位置する苗供給筒８の底蓋
８aが開いて、内部の苗を移植爪６に投下する。なお図
２および図３では機体は図中右方向に前進する。

【０００７】移植爪６は、図４にいっそう明らかなよう
に、苗受け筒１０と爪体１２から成り立っている。苗受
け筒１０は上部の口径が広い円筒体で、その下部の左右
両側部に、くちばし状をなす左右１対の爪体１２，１２
の基部をそれぞれ軸着１１，１１して、爪体１２を苗受
け筒１０の下端部に開閉自在に接続する。また、両爪体
１２，１２の上部に張り出したフランジに連結片１２a
をそれぞれ起立し、これに明けた長孔に爪体接続軸１３
を挿通して、両爪体１２、１２の接合部を、苗受爪け筒
１０の前後において連結する。さらに、この爪体接続軸
１３，１３と苗受け筒１０の一端に、牽引ばね１４を張
り渡して、この牽引ばね１４で爪体接続軸１３を上方に
牽引することにより、爪体１２を常時閉方向に付勢す
る。１５は爪昇降リンクで、その一端はエンジン１の動
力で回転する基軸１６にクランクを介して連結してい
る。この爪昇降リンク１５に苗受け筒１０を連結する。
１７は爪昇降リンク１５に連動する爪開口ロッドで、中
空軸１７aにスライドロッド17bを挿通して伸長可能な構
造になっている（図６（a）参照）。１７ｃはストッパ
ー用のロックナットである。このロッド１７を爪リンク
１８を介して爪体接続軸１３に連結して、爪開口ロッド
１７で爪体接続軸１３を牽引ばね１４に抗して下方に押
し下げることにより、爪体１２を下死点付近で開口す
る。次に、爪開口ロッド１７と爪リンク１８を連結する
連結軸１９にタイミングカム２０を取り付け、苗受け筒
１０に一体の取付け片２１に設けたローラ２２をこのタ
イミングカム２０に摺接させる。これにより、連結軸１
９とローラ２２間の距離を保つことにより、上昇行程の
爪体１２を開口状態に維持する。２３はタイミングカム
２０に形成した係合突起で、２４はタイミングカム２０
を反時計方向に牽引する復帰ばねである。

【０００８】図５に、移植爪６の移動軌跡を示す。実際
には、これに苗移植機の移動Aの影響が加わる。今、移
植爪６が図５の（a）で示す下死点に来ると、爪開口ロ
ッド１７が限界まで短縮しているため、連結軸１９を、
図３のように、ローラ２２から離れる方向に移動する。
この動きが爪リンク１８を経て爪体接続軸１３に伝わ
り、爪体接続軸１３が牽引ばね１４に抗して下方に押し
下げられ、これにより爪体１２が左右に開き、内部の苗
が外に落ちて植え付けられる。その後、爪昇降リンク１
５により移植爪６は垂直姿勢を維持して上昇する。
（b）で示すこの上昇行程中、爪開口ロッド１７の側面
が突起２３に当ってタイミングカム２０を図中時計方向
に回転し、ローラ２２がタイミングカム２０の円周面を
滑る。このため連結軸１９の位置は変わらず、爪体接続
軸１３は押し下げられたままの位置を保つため、爪体１
２は上昇行程中、開いた状態を維持する。なおこのとき
爪開口ロッド１７は伸びて、連結軸１９の位置不変を助
ける。移植爪６が（c）の上死点に達すると、タイミン
グカム２０の回転で、カムの円周面をローラ２２が越え
てしまうため、連結軸１９がタイミングカム２０の支持
を失い、牽引ばね１４の力で爪体接続軸１３が上に引っ
張られて、爪体１２がいっきに閉じる。これと同時に爪
開口ロッド１７は既定の長さに短縮する。このように移
植爪６が閉じると、苗供給機構７より苗が苗受け筒１０
内に投下される。その後、移植爪６は下降するが、下死
点までの下降行程中は爪体１２は閉じたままである。下
死点に達すると、連結軸１９とローラ２２の間隔がタイ
ミングカム２０の径より開いてタイミングカム２０は復
帰ばね２４により反時計方向に回転し、前記の（a）に
戻る。

【０００９】

【発明の効果】このように本発明では、移植爪の爪体が
機体の進行方向に対し横方向に開くので、苗の背が高い
場合でも、移植爪が苗に接触して押し倒すようなことが
なく、また植付け後、移植爪はすぐ閉じることなく開い
た状態を保って上昇するので、苗との接触がいっそう確
実に避けることができ、背の高い苗でも株間を狭く密植
できるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】苗移植機の全体側面図である。

【図２】図1の要部拡大図で、移植爪が上死点に位置し
た状態を示す。

【図３】図２と同じ要部拡大図で、移植爪が下死点に位
置した状態を示す。

【図４】移植爪の拡大正面図である。

【図５】移植爪の移動軌跡を示す作用図である。

【図６】タイミングカムの動きを示す作用図で、その
（a）は移植爪が図５の下死点（a）に位置するときのタ
イミングカムを示し、以下、（ｂ）は移植爪が図５の上
昇行程（b）にあるとき、（c）は移植爪が図５の上死点
（c）にあるとき、（ｄ）は移植爪が図５の下降行程
（ｄ）にあるとき、をそれぞれ示す。

【符号の説明】

１はエンジン、６は移植爪、８は苗供給機構、１０は苗
受け筒、１２は爪体、１３は爪体接続軸、１４は牽引ば
ね、１５は爪昇降リンク、１７は爪開口ロッド、１８は
爪リンク、１９は連結軸、２０はタイミングカム、２２
はローラ。

【手続補正書】

【提出日】平成１１年１１月２６日（１９９９．１１．
２６）

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図１

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗移植機に備える爪昇降リンクに苗受け
   筒を連結し、この苗受け筒の左右両側部に、くちばし状
   をなす左右１対の爪体の基部をそれぞれ軸着して、爪体
   を苗受け筒の下端部に開閉自在に接続すると共に、両爪
   体の接合部を爪体接続軸で連結し、さ らにこの爪体接
   続軸と苗受け筒の一端に牽引ばねを張り渡して、この牽
   引ばねで爪体接続軸を上方に牽引することにより爪体を
   常時閉方向に付勢する一方、前記爪昇降リンクに連動す
   る伸縮自在な爪開口ロッドを爪リンクを介して前記爪体
   接続軸に連結して、爪開口ロッドで爪体接続軸を前記牽
   引ばねに抗して下方に押し下げることにより、爪体をそ
   の下死点付近で左右に開口し、 さらに爪開口ロッドと爪リンクを連結する連結軸にタイ
   ミングカムを取り付け、苗受け筒の一端に設けたローラ
   をこのタイミングカムに摺接させて、前記連結軸とロー
   ラ間の距離を保つことにより、上昇行程の爪体を開口状
   態に維持することを特徴とする苗移植機の移植爪開閉装
   置。