JP2001146943A - 無段変速機用ベルト組立体の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】エレメントや積層リングの不良を予め排除し
て、組立状態の良好なベルト組立体を得ることができ、
生産効率の高い無段変速機用ベルト組立体の製造方法を
提供する。 【解決手段】エレメントを成形するエレメント製造ライ
ン１１に、エレメントの成形状態を検査して良品のみを
ベルト組立ライン１３へ送るエレメント品質検査工程１
５を設ける。エレメント製造ライン１１に並行して板状
リングから積層リングを組み立てるリング製造ライン１
２に、積層リングの積層状態を検査して良品のみをベル
ト組立ライン１３へ送るリング品質検査工程１７を設け
る。エレメント製造ライン１１とリング製造ライン１２
とを合流させて複数のエレメントと積層リングとからベ
ルト組立体を組み立てるベルト組立ライン１３に、ベル
ト組立体の組立状態を検査して良品のみを製品とするベ
ルト品質検査工程１９を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機のプー
リに掛け亘して動力を伝達する無段変速機用ベルト組立
体の製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の無段変速機用ベルト組立体は、
複数の金属板状のエレメントが、積層リングにより環状
に結束されている。該ベルト組立体を組み立てるときに
は、エレメント製造ラインによって加工成形されたエレ
メントと、リング製造ラインによって形成された積層リ
ングとを、ベルト組立ラインによって組み立ててベルト
組立体を製造する。

【０００３】前記エレメント製造ラインにおいては、打
ち抜き工程によって金属製板材を打ち抜いて所定形状の
エレメントを成形し、焼戻しを行なう熱処理工程を経
て、研磨等による仕上げ工程が行なわれる。一方、前記
リング製造ラインにおいては、先ず、リング状に形成さ
れた板材から圧延工程によって所定形状の板状リングを
成形する。次いで、該板状リングを溶体化させて周長補
正を行なった後、時効・窒化処理を経て積層工程により
複数の板状リングが積層される。

【０００４】ところで、前記エレメント製造ラインによ
って製造されたエレメントに曲がりや傷等が生じていた
り、前記リング製造ラインによって製造された積層リン
グの積層状態が不良である場合には、前記ベルト組立ラ
インにおいて組み立てられたベルト組立体の品質が低下
する。

【０００５】そこで、前記ベルト組立ラインによって組
み立てられたベルト組立体に対して組立状態の良否を検
査することが考えられる。この種の検査としては、例え
ば、積層リングによって結束された各エレメント間の間
隔寸法を計測することが挙げられる。そして、計測結果
が所定の間隔寸法より小さければ組立状態が良好であ
り、所定の間隔寸法より大きい場合に組立状態が不良で
あるとして、不良なベルト組立体を排除することができ
る。

【０００６】しかし、前記の検査によると、ベルト組立
体の組立状態の良否判定しか行なえず、組立状態が不良
となった原因が特定困難である。即ち、ベルト組立体の
組立状態が不良となる原因としては、前記エレメントの
曲がりや欠け、或いは前記積層リングの積層状態の不良
等が考えられるが、前述のように各エレメント間の間隔
寸法を計測するだけでは、何れが原因であるかを確認す
ることが困難である。このため、不良なベルト組立体が
判定できても、それに基づいてエレメント製造ラインや
リング製造ラインに設けられた各装置の調整等に反映さ
せることが円滑に行なえない不都合がある。

【０００７】また、例えば、不良なエレメントが混在し
ている場合であっても、前記の検査を行なうためには、
ベルト組立体の組み立てを行なわなければならず、製品
として使用できないものを前記ベルト製造ラインにおい
て組み立てるといった無駄が生じるために、生産効率が
低下する不都合がある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】かかる不都合を解消し
て、本発明は、エレメントや積層リングの不良を予め排
除して、組立状態の良好なベルト組立体を得ることがで
き、生産効率の高い無段変速機用ベルト組立体の製造方
法を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明は、環状に積層された複数の金属板状のエ
レメントが、複数の金属板状リングを積層して形成され
た積層リングにより結束されてなる無段変速機用ベルト
組立体の製造方法であって、前記エレメントを複数の加
工工程により成形するエレメント製造ラインと、該エレ
メント製造ラインに並行して、前記板状リングを複数の
加工工程により成形した後、前記積層リングを組み立て
るリング製造ラインと、前記エレメント製造ラインと前
記リング製造ラインとを合流させ、複数の前記エレメン
トを前記積層リングにより環状に結束してベルト組立体
を組み立てるベルト組立ラインとを備え、前記エレメン
ト製造ラインの終端に、前記エレメントの成形状態を検
査して良品のみを前記ベルト組立ラインへ送るエレメン
ト品質検査工程を設け、前記リング製造ラインの終端
に、前記積層リングの積層状態を検査して良品のみを前
記ベルト組立ラインへ送るリング品質検査工程を設け、
前記ベルト組立ラインに、前記ベルト組立体の組立状態
を検査して良品のみを製品とするベルト品質検査工程を
設けたことを特徴とする。

【００１０】本発明によれば、前記エレメント製造ライ
ンにおいては、前記エレメントを複数の加工工程により
成形した後に、前記エレメント品質検査工程が行なわれ
る。該エレメント品質検査工程においては、例えば、エ
レメントの曲がり、傷つき、又は欠け等の有無から成形
状態を検査し、良品のみを前記ベルト組立ラインへ送
る。該エレメント品質検査工程をエレメント製造ライン
に設けたことにより、エレメントに不良が生じた場合
に、該エレメント製造ラインに設けられた各装置の調整
等に容易に反映させることができ、エレメントの成形精
度を確実に向上させることができる。そして、成形精度
が保証されたエレメントのみを前記ベルト組立ラインへ
送ることができる。

【００１１】一方、前記リング製造ラインにおいては、
複数の加工工程により前記積層リングを組み立てた後
に、前記リング品質検査工程が行なわれる。該リング品
質検査工程においては、例えば、積層リングの積層枚
数、及び各板状リングの密着度等から積層状態を検査
し、良品のみを前記ベルト組立ラインへ送る。該リング
品質検査工程をリング製造ラインに設けたことにより、
積層リングに不良が生じた場合に、該リング製造ライン
に設けられた各装置の調整等に容易に反映させることが
でき、積層リングの積層精度を確実に向上させることが
できる。そして、積層精度が保証された積層リングのみ
を前記ベルト組立ラインへ送ることができる。

【００１２】そして、前記ベルト組立ラインにおいて
は、良品であるエレメントと積層リングとによってベル
ト組立体を組み立てることができ、従来のように、不良
品が含まれたエレメントと積層リングとによるベルト組
立体の組み立てを排除して生産効率を向上させることが
できる。

【００１３】しかも、前記ベルト組立ラインにおいて
は、前記ベルト組立体を組み立てた後に、前記ベルト品
質検査工程が行なわれる。該ベルト品質検査工程におい
ては、例えば、積層リングによって結束された各エレメ
ントの間隔に基づいて組立状態を検査し、良品のみを製
品とする。該ベルト組立ラインによってベルト組立体が
組み立てられるときには、前記エレメント品質検査工程
及び前記リング品質検査工程によって、既にエレメント
と積層リングの品質が保証されているので、ベルト組立
体の組立状態の不良の発生が極めて少ない。また、ベル
ト品質検査工程によってベルト組立体の不良が確認され
た場合には、既にエレメントと積層リングの品質が保証
されているので、不良がベルト組立ラインに基づくもの
であることが容易に判断でき、ベルト組立ラインに設け
られた各装置の調整等に容易に反映させることができ
る。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づ
いて説明する。図１は本実施形態のベルト組立体の製造
方法を示すブロック図、図２はベルト組立体の一部を示
す説明図である。図１示の本実施形態は、図２に一部を
示す無段変速機用ベルト組立体１を組み立てるものであ
る。該ベルト組立体１は、複数のエレメント２が環状に
積層された状態で積層リング３によって結束されてい
る。該エレメント２は、金属製の板材を打ち抜いて形成
され、ボデー４と、該ボデー４に一対の凹部５を介して
連設されたヘッド６とによって構成されている。前記ボ
デー４には、図示しない自動車の動力伝達機構とされる
無段変速機のプーリに接するＶ面となる一対の傾斜端縁
７が形成されている。前記凹部５には、金属製の複数の
板状リング８を積層してなる積層リング３が張力をもっ
て掛け亘されている。なお、各エレメント２を積層状態
で位置決めするために、各エレメント２のヘッド６に
は、その積層方向に突出するディンプル９と、該ディン
プル９の反対側に形成されて該ディンプル９に対応する
ホール１０とが形成されている。

【００１５】次に、本実施形態によるベルト組立体１の
製造方法を、図２を参照しつつ図１に基づいて説明す
る。図１において、１１は前記エレメント２を製造する
エレメント製造ライン、１２は前記積層リング３を製造
するリング製造ライン、１３は前記ベルト組立体１を組
み立てるベルト組立ラインである。図１に示すように、
前記エレメント製造ライン１１と前記リング製造ライン
１２とは、その下流側において合流され、前記ベルト組
立ライン１３に接続されている。

【００１６】前記エレメント製造ライン１１は、複数の
加工工程からなるエレメント製造工程１４と、該エレメ
ント製造工程１４によって製造されたエレメント２の検
査を行なうエレメント品質検査工程１５とを備えてい
る。前記エレメント製造工程１４が備える各加工工程に
ついて簡単に説明すれば、図示しないが、金属板材から
打ち抜いて所定形状のエレメント２を得る打抜き工程
と、該打抜き工程によって成形されたエレメント２に熱
処理を施す熱処理工程と、該エレメント２にバレル研磨
等による仕上げ加工を施す仕上げ工程とが挙げられる。

【００１７】前記エレメント品質検査工程１５は、エレ
メント２の曲がり、傷、及び欠け等に基づく不良の有無
を検査し、良好とされたエレメント２を前記ベルト組立
ライン１３へ送り出す。また、不良とされたエレメント
２はベルト組立体１の構成部品としては採用せず、エレ
メント製造ライン１１から排出し廃却する。このとき、
エレメント品質検査工程１５において不良とされたエレ
メント２の検査データを、前記エレメント製造工程１４
にフイードバックすることにより、該エレメント製造工
程１４において前記各工程を行なう図示しない各装置の
作業条件や微妙な調整等に容易に反映させることができ
る。また、各装置の設備メンテナンスに検査データを用
いれば、設備の状態を事前に維持管理することができる
ので、更なるエレメント２単品の精度アップに寄与する
と共に、ベルト組立体１としての機能向上に貢献でき
る。

【００１８】前記リング製造ライン１２は、複数の加工
工程からなるリング製造工程１６と、該リング製造工程
１６によって製造された積層リング３の検査を行なうリ
ング品質検査工程１７とを備えている。前記リング製造
工程１６が備える各加工工程は、図示しないが、金属板
材を環状に形成したものを圧延して板状リング８を形成
する圧延工程と、該圧延工程によって成形された板状リ
ング８を溶体化した後、周長補正を行なう補正工程と、
時効・窒化処理を経て、複数の板状リング８を積層する
積層工程とが挙げられる。

【００１９】前記リング品質検査工程１７は、積層リン
グ３の積層枚数や積層状態を検査し、良好とされた積層
リング３を前記ベルト組立ライン１３へ送り出す。ま
た、不良とされた積層リング３はベルト組立体１の構成
部品としては採用せず、リング製造ライン１２から排出
して、リング製造ライン１２外に脇出し、積層リング３
を解体して再度板状リング３を積層した後、リング製造
ライン１２に流す。このとき、リング品質検査工程１７
において不良とされた積層リング３の検査データを、前
記リング製造工程１６にフイードバックすることによ
り、該リング製造工程１６において前記各工程を行なう
図示しない各装置の作業条件や微妙な調整等に容易に反
映させることができる。また、各装置の設備メンテナン
スに検査データを用いれば、設備の状態を維持管理する
ことができるので、更なる板状リング８単品の精度アッ
プに寄与すると共に、ベルト組立体１としての機能向上
に貢献できる。

【００２０】前記ベルト組立ライン１３は、前記エレメ
ント製造ライン１１から搬送された複数のエレメント２
を環状に積層配列し、前記リング製造ライン１２から搬
送された積層リング３を環状に積層配列されたエレメン
ト２の前記凹部５に組み付けるベルト組立工程１８を備
えている。

【００２１】また、該ベルト組立ライン１３は、ベルト
組立工程１８の下流にベルト品質検査工程１９を備えて
いる。該ベルト品質検査工程１９は、積層リング３によ
って結束された各エレメント２間の間隔を測定し、該間
隔が所定量より小であるとき良品として払い出し、該間
隔が所定量より大であるとき不良品としてベルト組立ラ
イン１３から排出する。

【００２２】該ベルト組立ライン１３に搬送されるエレ
メント２及び積層リング３は、前記エレメント品質検査
工程１５及び前記リング品質検査工程１７によって良品
とされたものである。従って、該ベルト品質検査工程１
９において不良とされたベルト組立体１は、エレメント
２や積層リング３の不良によるものではなく、ベルト組
立工程１８において生じたものであることが容易に判断
される。そこで、ベルト品質検査工程１９において不良
とされたベルト組立体１の検査データを、前記ベルト組
立工程１８にフイードバックすることにより、ベルト組
立ライン１３の不具合を特定し、該ベルト組立工程１８
に備える図示しない組立装置の作業条件や微妙な調整等
に迅速に反映させるので、後工程に不良品を流すことな
く、極めて品質の高いベルト組立体１を製造することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態のベルト組立体の製造方法
を示すブロック図。

【図２】ベルト組立体の一部を示す説明図。

【符号の説明】

１…ベルト組立体、２…エレメント、３…積層リング、
８…板状リング、１１…エレメント製造ライン、１２…
リング製造ライン、１３…ベルト組立ライン、１５…エ
レメント品質検査工程、１７…リング品質検査工程、１
９…ベルト品質検査工程。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】環状に積層された複数の金属板状のエレメ
   ントが、複数の金属板状リングを積層して形成された積
   層リングにより結束されてなる無段変速機用ベルト組立
   体の製造方法であって、 前記エレメントを複数の加工工程により成形するエレメ
   ント製造ラインと、 該エレメント製造ラインに並行して、前記板状リングを
   複数の加工工程により成形した後、前記積層リングを組
   み立てるリング製造ラインと、 前記エレメント製造ラインと前記リング製造ラインとを
   合流させ、複数の前記エレメントを前記積層リングによ
   り環状に結束してベルト組立体を組み立てるベルト組立
   ラインとを備え、 前記エレメント製造ラインの終端に、前記エレメントの
   成形状態を検査して良品のみを前記ベルト組立ラインへ
   送るエレメント品質検査工程を設け、 前記リング製造ラインの終端に、前記積層リングの積層
   状態を検査して良品のみを前記ベルト組立ラインへ送る
   リング品質検査工程を設け、 前記ベルト組立ラインに、前記ベルト組立体の組立状態
   を検査して良品のみを製品とするベルト品質検査工程を
   設けたことを特徴とする無段変速機用ベルト組立体の製
   造方法。