JP2001145710A - ゴム球体製造用金型およびゴム球体の製造方法 - Google Patents

ゴム球体製造用金型およびゴム球体の製造方法

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JP2001145710A
JP2001145710A JP33038899A JP33038899A JP2001145710A JP 2001145710 A JP2001145710 A JP 2001145710A JP 33038899 A JP33038899 A JP 33038899A JP 33038899 A JP33038899 A JP 33038899A JP 2001145710 A JP2001145710 A JP 2001145710A
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cavity
ring groove
spew
rubber
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JP33038899A
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Takayuki Tanaka
孝幸 田中
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予備成形体の必要量を削減すると共に、成形
されたゴム球体の金型からの取出時間を短縮する。 【解決手段】 上下一対の上金型12に対向する下金型
13のキャビティ13aの周囲に、リング溝13cをキ
ャビティ13aと接触させて連通するように設けてい
る。圧縮成形時に上金型12と下金型13を型締めする
とキャビティ13aに供給されたゴム組成物の予備成形
体Zがリング溝13cにも充填されてゴム球体と連結し
たスピューが形成されるようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 〔発明の詳細な説明〕 本発明は、ゴム球体製造用金型および該金型を用いたゴ
ム球体の製造方法に関し、詳しくは、ゴルフボールや球
体の玩具をゴム体より成形する場合に用いられ、金型形
状の改良により、ゴム体の必要量を低減すると共に、成
形されたゴム球体の金型からの取出作業性を向上するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、ゴルフボール等のゴム球体は、半
球状のキャビティを夫々有する一対の上下型からなる金
型を用い、予備成形体からなるゴム体(「プラグ」とも
称される)を金型のキャビティ内で圧縮成形加硫し、成
形されたゴム球体を金型を開いて作業者あるいは自動機
等により取り出している。
【0003】図6は成形用の金型1であり、上下一対の
上金型2、下金型3を一組として、プレス加熱機構等を
備えるプレス機(図示せず)のプレス面に、多数(通常
64組程度)取り付けられている。これら各組の上下金
型2、3の半球状のキャビティ2a、3aには、略円柱
状とした予備成形体からなるゴム体Zが供給され、圧縮
成形加硫を行うことで複数のゴルフボール等のゴム球体
が同時に形成されている。
【0004】上記上下金型2、3のキャビティ2a、3
aに投入される予備成形体のゴム体Zの重量は、成形加
硫されたゴルフボールBに欠けやひずみ等の不良が発生
するのを防止すると共に、金型からのゴルフボールBの
取出性を高めるために、成形加硫品のゴルフボール重量
より通常5から12%増にされている。この場合、余剰
の圧縮成型時にキャビティ2a、3a内の隅々までに予
備成形体Zが充填されると、余剰となる予備成形体Zの
一部がキャビティ2a、3aよりはみ出て、この状態で
加硫されることで、図7(A)(B)に示す所謂スピュ
ーSと呼ばれるバリ状片がキャビティ2a、3aの周囲
に形成される。
【0005】上記スピューSは、上下金型2、3の各組
毎に形成されるため、隣接する上下金型2、3のスピュ
ーS同士が連結し、この連結により成形される複数のゴ
ルフボールが連続して一体となり、一つのゴルフボール
を金型から取り出すと、他のゴルフボールが追従して金
型より引っ張り出されるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記スピューSを形成
するために、必要量に対して多めの予備成形体を使用し
ているが、スピューSは製品としてゴルフボールとは無
関係なため、材料的には無駄となる問題がある。しか
し、予備成形体の重量の増分割合を少なくして、ゴルフ
ボールの重量に対して5%未満にしてしまうと、各上下
金型2、3で形成されるスピューSが連結せずに夫々独
立してしまい、未加硫状態のスピューSがキャビィティ
2a、3aの周囲に貼り付いてしまう不具合が生じる。
このようになると、成形されたゴルフボールの取出およ
び貼り付いたスピューSの取り外しに手間を要し、取出
にかかる時間が、スピューで連結されて上下いずれか一
方の金型にゴルフボールが残る場合に比べて2倍以上も
かかってしまう問題がある。
【0007】また、各組の金型のスピューSが連結する
ようにしたとしても、成形後に分離した上金型2、下金
型3のどちら側にゴルフボールが残存するかは、キャビ
ィティ2a、3aと成形されたゴルフボールとの密着度
等により一定しない問題がある。例えば、図8に示すよ
うに、上記密着度等の相違により、成形された一部のゴ
ルフボールBは上金型2に残り、他のゴルフボールは下
金型3に残る場合があり、このようになると、連続して
いたスピューSも切断されてしまい効率的にゴルフボー
ルを取り出せなくなり、上下いずれか一方のみの金型に
ゴルフボールが残存した場合に比べて約3割程度余分に
取出時間がかかる問題もある。
【0008】本発明は上記した問題に鑑みてなされたも
のであり、成形後に金型を分離した際に、全ての成形品
が一方の金型に残存するようにして、取出作業の効率化
を図ることを第一の課題としている。さらに、スピュー
の形成に対応する予備成形体の増分を従来より減少して
材料の無駄を低減することを第二の課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、夫々半球状のキャビティを有する上金型
と下金型からなり、上記上金型あるいは下金型のいずれ
か一方の割面のキャビティの周囲に、スピュー成形用の
リング溝をキャビティと連通させて設け、上記キャビテ
ィ内でゴム体が球体として圧縮成形加硫される時、上記
リング溝に充填されるゴム体が上記球体の周面に連続し
たスピューとして加硫される構成としていることを特徴
とするゴム球体製造用金型を提供している。
【0010】このように、リング溝を設けると、成形さ
れたゴム球体と連続して一体にリング状のスピューが形
成され、スピューが形成される側の金型は成型品との接
触面積が他方の金型より多くなり金型に対する残存力を
増すことができる。よって、成形後の上下金型を開いた
後には、リング溝を設けた金型側にのみ成形されたゴム
球体を残すことができ、取出にかかる作業の手間および
時間を削減できる。上記リング溝を設けた金型は、圧縮
成形加硫用に対して好適に用いることができる。
【0011】上記リング溝の底面は、上記キャビティと
該リング溝の連通箇所から水平に、あるいは、外方に向
かってリング溝が深くなるように傾斜していることが好
ましい。このような角度の底面にすると、リング溝への
予備成形体の充填が容易になり、確実にゴム球体のスピ
ューを形成できる。
【0012】さらに、本発明は、上記キャビティの半径
をR(mm)、該キャビティと上記リング溝の連通箇所
の溝深さをt1(mm)、リング溝の溝幅をw(m
m)、リング溝の底面の水平面に対する角度をθ(度)
として、t1/Rの比が1%以上12%以下で、且つ、
w/Rの比が5%以上50%以下で、且つ、θが0度以
上25度以下に設定している。このように種々の寸法を
上記範囲で設定すると、スピュー成形に必要な予備成形
体の成型加硫品に対する増加分を最低限に抑えることが
でき、材料的に無駄となる量を低減できる。また、上記
範囲で成形されるスピューはゴム球体と連続して、取出
時等にも切断されることがないため、金型からの取出も
短時間で行える。
【0013】また、上記上下金型からなる金型の割面位
置を上記キャビティの中心水平位置より上方あるいは下
方へオフセットし、該中心水平位置より上方あるいは下
方へ突出させた側の割面に上記リンク溝を設けているこ
とが好ましい。このように、リング溝を設けた側の金型
をオフセットすると、より好条件でスピューを形成で
き、安定した取出を可能にできる。また、リング溝の形
成においても、連通箇所の溝深さ等に対して最適な数値
に設定できる。
【0014】上記ゴム球体製造用金型を用い、 上記金
型のキャビティ内に予備成形体からなるゴム体を充填し
て圧縮成形加硫し、該成形加硫時にキャビティの割面周
縁のリング溝にゴム体を流入させて、該リング溝内のス
ピューとなるゴム体を加硫し、上記キャビティ内で成形
されるゴム球体の周面に成形されるリング状のスピュー
が、上記リンク溝形成側の一方の金型側にのみ残るよう
にしているゴム球体の製造方法を提供している。このよ
うに、上記リング溝を有するゴム球体製造用金型を用い
ると、成型品のコア部(後にゴルフボールとなる部分)
の周囲に確実にスピューを形成でき、金型からの成型品
の取出および取出時間の短縮を図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。図1(A)(B)は、本発明のゴム
球体製造用の金型11であり、本実施形態では、ゴム球
体としてゴルフボールを成形している。金型11は、上
下一対の上金型12、下金型13より構成されており、
上金型12と下金型13の割面12b、13bは、中心
水平位置より上方にオフセットしている。
【0016】上記下金型13は、半球状のキャビティ1
3aを凹設していると共に、割面13bのキャビティ1
3aの周囲に、キャビティ13aと接触させて連通する
スピュー形成用のリング溝13cを設けている。上記連
通箇所は連通部13dとしており、割面13bからの連
通部13dの溝深さt1は、スピュー形成時にキャビテ
ィ13aからリング溝13cへ流入する予備成形体の量
を左右すると共に、成形されたスピューとゴム球体であ
るコア部(後にゴルフボールとなる部分)の連結強度に
も影響するため、キャビティ13aの半径Rとの相対関
係を考慮して決められている。上記溝深さt1とキャビ
ティ13aの半径との比t1/Rは1%以上12%以下
にすると好適になることが、後述する各実施例等より判
明している。なお、割面13aは、上金型12側へオフ
セットしているため、キャビティ13aの中心は割面1
3bよりオフセット量だけ下方に位置している。
【0017】また、上記リング溝13cの溝幅wは、短
すぎると形成されるスピューがあふれ出るおそれがあ
り、一方、長すぎると下金型13自体の寸法を大型化す
る必要があり、組み込むことができる金型数が制限され
て生産性が低下するので、上記同様にキャビティ13a
の半径Rを考慮して相対的に決定されている。この溝幅
wとキャビティ13aの半径との比w/Rも、5%以上
50%以下にすると好適になることが、後述する各実施
例等より判明している。さらに、リング溝13cの底面
13eは、ゴム体である予備成形体がリング溝13c全
体へ広がるように充填性を考慮して、連結部13dより
リング溝13cの外方に向かってリング溝13が深くな
るように下方に傾斜するか、あるいは、水平を維持する
ようにしている。この底面13eの水平面に対する傾斜
角度θは、後述の各実施例等の結果を考慮して0°以上
25°以下の範囲に設定している。
【0018】なお、リング溝13cの外周側における溝
深さt2は、上記連通部13dの溝深さt1、リング溝
13cの溝幅w、リング溝13cの底面13eの傾斜角
度θが決定されることにより規定される。
【0019】一方、上記下金型13に対抗する上金型1
2は、半球状のキャビティ12aを凹設するのみで、割
面12bにリング溝は設けていない。なお、上金型12
はオフセットされているため、キャビティ12aはオフ
セット量だけ、深さが浅くなっている。
【0020】 上記上金型12と下金型13からなる金
型11で、ゴム球体を成形するには、プレス機等に金型
11をセットし、下金型13のキャビティ13aにゴム
組成物の予備成形体を供給し、所要圧力で上金型12を
下金型13に型締めすると共に加熱することで、上記予
備成形体を圧縮成形加硫して行っている。成形後は、上
金型12を下金型13より開いてスピューの付随したコ
ア部を金型11より取り出すようにしている。
【0021】以下、表1に示す各実施例および各比較例
に基づき、更に詳しく説明する。
【表1】
【0022】上下金型は上下一組として成型用の3プレ
ス面を有するプレス機に1プレス面当たり64組、合計
192組取り付けた。また、キャビティ半径の小さい上
下金型の場合は、1プレス面当たり100組、合計30
0組を取り付けた。各組の金型に供給した予備成形体
は、ブタジエンゴム(日本合成ゴム社の商品名「BR0
1」)100重量部、アクリル酸亜鉛25重量部、亜鉛
華22重量部、ジクミルパーオキサイド1重量部をニー
ダーで混練してから、押出機で押出し、カッターで所要
重量になるように切断して形成した。また、上記予備成
形体の加硫は、152度で20分加熱することで行っ
た。
【0023】比較例1、2は、図6に示す従来のリング
溝を設けていない金型1を用いた場合で、ゴム体の予備
成形体の重量が成形加硫品であるゴルフボール(コア
部)の重量に対してどれだけ増やすと、即ち、形成され
るスピューの重量がゴルフボールの重量に対して何%に
該当するかで、コア部とスピューを金型から取り出すの
にどれくらいの時間を要したかを測定した。
【0024】比較例1、2における上下金型2、3の各
キャビティ2a、3aの半径Rは共に18mmとした。
比較例1では、使用する予備成形体の重量を26.5
g、成形加硫品となるコア部の重量を26.0gとし、
その結果、形成されるスピューの重量は0.5g、スピ
ュー重量に対する成形加硫品の重量の比は1.9%にな
った。一方、比較例2では、使用する予備成形体の重量
を29.5g、コア部の重量を26.0g、スピュー重
量/コア部重量の比を13.5%にした。
【0025】比較例1では、上記した金型および予備成
形体を用いて成形されたコア部およびスピューを金型か
ら取り出すのに5分かかった。一方、比較例2では、取
出は2.5分で済んだ。上記結果より、通常の金型を使
用しても取出時間を5分から短縮できることが分かる
が、短縮のためには、予備成形体の重量を多くしてスピ
ュー重量/コア部重量の比を高くする必要があり、その
結果、材料的に多くの無駄が発生している。よって、こ
のように予備成形体の重量を必要以上に増やすことは、
無駄が多く現実的な手法として採用できない。
【0026】以下の実施例1〜3および比較例3から5
は、上記比較例1に対して、スピュー重量/コア部重量
が1.9%以下で、取出にかかる時間が5分より短縮さ
れた場合を良として、各結果を判断した。
【0027】実施例1は、上述した上金型12、下金型
13を使用した場合であり、図1(A)(B)に示すを
下金型13において、キャビティ13aの半径Rを1
8.0mm、連通部13dの溝深さt1を0.4mm、
リング溝13cの溝深さt2を1.6mm、底面13e
の傾斜角度θを17度、溝幅wを4.0mmに設定し
た。その結果、t1/Rの比は2.2%、w/Rの比
は、22.2%となった。また、使用した予備成形体の
重量は26.5gで、コア部の重量を26.0gとした
ので、スピュー重量/コア部重量の比は1.9%となっ
た。
【0028】上記条件で、圧縮成形加硫すると、図2に
示すように、上金型12を下金型13より開いた状態で
は、コア部Bの周囲にリング状のスピューSが形成さ
れ、成形加硫品は全て下金型13に残存した。よって、
成形加硫品を金型から取り出す際も効率良く取り出すこ
とができ、また、取り出された成形加硫品は、図3に示
すように、コア部BにスピューSが付随していたので、
スピューSのみが金型に残ることなく取り出すことがで
き、取出に要した時間が2分であった。
【0029】上記結果より、スピュー重量/コア部重量
の比が1.9%で、比較例1と同値であるのに対し、取
出時間が2.0分と比較例1の半分以下に短縮され、大
きな効果が見られた。上記のように成形加硫品が全て下
金型13に残存した理由としては、成形加硫されたコア
部BとスピューSの接触面積が、上金型12に比べて下
金型13の方が多いため、下金型13に対する密着力等
が強くなるため等の理由が想定される。また、成形され
たスピューSも下金型13に残ることなくコア部と共に
取り出されたため、キャビティ13aの半径Rに対する
上記t1、t2、w、θの数値は適正だと考えられ、t
1/R、w/Rの比も適正と考えられる。
【0030】実施例2は、図1(A)の上下金型12、
13において、下金型13のキャビティ13aの半径R
は実施例1と同寸法の18.0mmに、連通部13dの
溝深さt1は実施例1より浅くして0.3mm、リング
溝13cの溝深さt2は1.7mm、底面13eの傾斜
角度θは実施例1より角度をつけて19度に、溝幅wは
実施例1と同寸法の4.0mmに設定した。その結果t
1/Rの比が1.6%、w/Rの数値が22.2%とな
った。また、使用した予備成形体の重量は、上記実施例
1と同様にしたので、スピュー重量/コア部重量の比が
1.9%となった。
【0031】上記条件で圧縮成形加硫し、成形加硫後に
上金型12を下金型13より開くと、実施例1と同様、
図2のようにコア部Bの周囲にリング状のスピューSが
形成され、成形加硫品は全て下金型13に残存した。よ
って、下金型13のみより成形加硫品を取り出すことと
なり、また、取り出された成形加硫品は、コア部Bにス
ピューSが付随していたので、取出に手間を要すること
なく、かかった時間は実施例1と同様2分であった。
【0032】上記結果より、実施例2においてもスピュ
ー重量/コア部重量が1.9%と、比較例1と同値であ
るのに対し、取出時間が2.0分と比較例1の半分以下
に短縮され、大きな効果が見られた。上記のようにキャ
ビティ13aの半径Rが18.0mmに対して連通部1
3dの溝深さt1を0.3mmにしても、スピューSは
確実に形成されると共に、取出時にリング溝13cに残
ることなくコア部Bに付随して取り出されるため、スピ
ューSとコア部Bの連結強度も十分だとみなされ、t1
/Rの比1.6%も適正だと考えられる。
【0033】一方、比較例3は、良好であった実施例2
に対して、連通部13dの溝深さt1がどの程度までで
あれば、良好な結果が得られるかを判断するために、連
通部13dの溝深さt1を実施例2より浅く0.15m
mに、底面13eの傾斜角度θを21度にした。なお、
下金型13のキャビティ13aの半径R、リング溝13
cの溝深さt2、溝幅wは実施例2と同寸法に設定し
た。その結果t1/Rの比が0.8%、w/Rの比が2
2.2%となった。また、使用した予備成形体の重量
は、実施例2より多く26.6gで、コア部の重量を2
6.0gとしたので、スピュー重量/コア部重量の比が
2.2%となった。
【0034】上記条件で圧縮成形加硫し、成形加硫後に
上金型12を下金型13より開くと、実施例2と同様、
図2のようにコア部Bの周囲にリング状のスピューSが
形成され、成形加硫品は全て下金型13に残存した。し
かし、下金型13から成形加硫品を取り出す際に、コア
部BとスピューSが切断されてしまう箇所があり、該箇
所ではコア部Bのみが取り出されスピューSがリング溝
13cに残存してしまい、取出に手間がかかり取出作業
に15分を要した。
【0035】上記のように、取出時にスピューSが切断
されたのは、キャビティ13aの半径18.0mmに対
して、連通部13dの溝深さ0.15mmが小さすぎた
ため、成形されたコア部BとスピューSの連結部の強度
が不足し、コア部Bの取出に追従できず切断された可能
性がある。よって、t1/Rの比が0.8%になるま
で、連通部13dの溝深さt1を小さくするのは不適当
だと判断した。
【0036】一方、比較例4は、良好であった実施例2
に対して、リング溝13cの底面の傾斜角度θをどの程
度まで傾けても良好な結果が得られるかを判断するため
に、傾斜角度θを35度、キャビティ13aの半径Rを
19.5mm、溝幅wを2.0mmに設定した。その結
果、リング溝深さt2は1.6mmとなり、また、連通
部13dの溝深さt1は実施例2と同寸法にした。よっ
て、t1/Rの比が1.5%、w/Rの比が10.2%
となった。また、使用した予備成形体の重量は、上記実
施例2より多く、35.3gで、コア部の重量を35.
0gとしたので、スピュー重量/コア部重量が0.8%
となった。
【0037】上記条件で圧縮成形加硫し、成形加硫後に
上金型12を下金型13より開くと、実施例2と同様、
コア部Bの周囲にリング状のスピューSが形成され、成
形加硫品は全て下金型13に残存した。しかし、下金型
13から成形加硫品を取り出す際に、コア部Bとスピュ
ーSが切断されてしまう箇所があり、該箇所ではコア部
Bのみが取り出されスピューSがリング溝13cに残存
してしまい、取出に手間がかかり取出作業に15分を要
した。
【0038】上記のように、取出時にスピューSが切断
されたのは、溝幅2.0mmに対して底面13eの角度
を35度と大きくしたため、コア部BとスピューSの連
結部の負担が過多となり、コア部Bの取出に追従できず
切断された可能性がある。よって、底面13eを35度
まで傾斜をつけるのは好ましくないと考えられる。
【0039】次に、実施例3は、良好だった実施例1よ
り連通部の溝深さt1を深くして0.5mmに、底面の
傾斜角度θを0度にした。下金型13のキャビティ13
aの半径Rと溝幅wは実施例1と同寸法であり、その結
果、t1/Rの比が2.7%、w/Rの比が27.7%
となった。また、使用した予備成形体の重量は、上記実
施例1より少なくして26.4g、コア部の重量は実施
例1と同量の26.0gとしたので、スピュー重量/コ
ア部重量の比が1.5%となった。
【0040】上記条件で圧縮成形加硫し、成形加硫後に
上金型12を下金型13より開くと、実施例1と同様、
コア部Bの周囲にリング状のスピューSが形成され、成
形加硫品は全て下金型13に残存した。よって、成形加
硫品の取出は下金型13のみからとなり、また、取り出
された成形加硫品は、コア部BにスピューSが付随して
いたので、コア部BとスピューSを同時に取り出すこと
ができ、取出に要した時間は実施例1と同様2分であっ
た。
【0041】上記結果より、実施例3では、スピュー重
量/コア部重量が1.5%となり、比較例1に対して材
料的に無駄となる量を削減した上、取出時間も2.0分
と比較例1の半分以下に短縮し非常に大きな効果が見ら
れた。このように、底面13eの傾斜角度θを0度にす
ると、スピュー成形に必要な予備成形体の量の削減に結
びつき大きな効果が得られることが判った。また、他の
数値、即ち、キャビティ13aの半径Rに対する上記t
1、t2、wの数値も適正だと考えられ、よって、t1
/Rの比が2.7%、w/Rの比が27.7%も適正と
考えられる。
【0042】上記実施例3に対して比較例5は、リング
溝13cの溝幅wをどの程度まで狭くしても良好な結果
が得られるかを判断するために、溝幅wを実施例3より
小さくして0.8mmに、キャビティ13aの半径Rを
19.5mmに設定した。連通部13dの溝深さt1、
リング溝13cの溝深さt2、傾斜角度θは実施例3と
同寸法とした。その結果t1/Rの比が2.5%、w/
Rの比が4.0%となった。また、使用した予備成形体
の重量は、上記実施例3より多く35.1gで、コア部
の重量を35.0gとしたので、スピュー重量/コア部
重量の比が0.3%となった。
【0043】上記条件で圧縮成形加硫し、成形加硫後に
上金型12を下金型13より開くと、一部の下金型13
においては、スピューSがリング溝13cより溢れ出た
状態で形成された。該スピューSはリング状ではなく不
定形な状態で形成されたので取出に時間がかかり、全体
の取出時間として5分を要した。
【0044】上記のように、スピューSがリング溝13
cより溢れ出たのは、上下金型12、13をプレス機に
配置した位置によっては、予備成形体の押出精度に相違
が生じ、押出精度の低くなった箇所の上下金型12、1
3においては、キャビティ13aの半径Rに対してリン
グ溝13cの溝幅wを小さいと上記押出精度の低さを吸
収できないために、圧縮時等に予備成形体がリング溝1
3cより溢れ出る結果になったと考えられる。よって、
キャビティ13aの半径Rが19.5mmに対してリン
グ溝13cの溝幅wを0.8mmにした場合、即ち、w
/Rの比を4.0%にするのは好ましくないことが判明
した。
【0045】なお、上記実施例1〜3、比較例1〜5以
外にも、経験的にキャビティ13aの半径Rに対して連
通部13dの溝深さt1を深くしすぎると、成形加硫さ
れたコア部BとスピューSを取り出してから、それぞれ
を切断してゴルフボールにする際、コア部Bとスピュー
Sの連結部の厚みがあり、切断分離が困難となり不適当
であることが判っている。通常、t1/Rの比が12%
を越えると上記切断分離に手間がかかる。
【0046】また、リング溝13cの溝幅wがキャビテ
ィ13aの半径Rに対して大きすぎると、プレス機のプ
レス面にセットできる金型数に制限を受けるため、一定
以上の生産性を維持するためには、w/Rの比が50%
を越える不適当になることが判っている。
【0047】上記実施例1〜3、比較例1〜5および上
述した経験値より、t1/Rが1%以上12%以下で、
w/Rが5%以上50%以下で、底面の傾斜角度が0度
以上25度以下である場合が、予備成形体の無駄が少な
く成形加硫品の取出にかかる時間も低減できることが判
明した。さらに、上記範囲内で、上述の実施例1等を考
慮すると、特に、t1/Rの比が2%以上5.5%以下
で、w/Rの比が10%以上30%以下である場合に良
好な結果となることも判明した。
【0048】なお、上記上金型12と下金型13は圧縮
成形加硫以外にも、加硫用の加熱を行わない圧縮成形に
対しても同様の効果が得られる。また、図4に示すよう
に、上金型12’と下金型13’の割面12b’、13
b’をオフセットせずに下金型13’にリング溝13
c’を設けた場合も同様の効果が得られた。さらに、図
5に示すように、上述したリング溝13c”を下金型1
3”ではなく上金型12”に設けた場合にも、分離後の
成型品の全てが上金型に残存し上記同様の効果が得られ
た。また、成形されるゴム球体は、上記ゴルフボール以
外にも種々のボールにも適用可能である。
【0049】
【発明の効果】上記した説明より明らかなように、本発
明のゴム球体の成形金型を用いることで、ゴム体である
予備成形体の使用量を削減した状態で、成形されたゴム
球体の全てを上下金型のいずれか一方に残存させること
ができるので、無駄となる予備成形体の量を削減できる
と共にゴム球体の取出時間の削減を図ることができる。
これに伴い、材料コストや生産コストの低減が図れ、生
産性の向上を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるゴム球体製造用金型であり、
(A)は断面図、(B)は下金型の上面図である。
【図2】 上記ゴム球体製造用金型による圧縮成形加硫
状態を示す概略図である。
【図3】 成形加硫されたスピュー付きのゴム球体を示
す概略図である。
【図4】 オフセットしていないゴム球体製造用金型の
断面図である。
【図5】 上金型にリング溝を設けたゴム球体製造用金
型の断面図である。
【図6】 従来の金型を示す断面図である。
【図7】 従来のスピュー形成状態であり、(A)は断
面図、(B)は(A)のA−A断面図である。
【図8】 従来の問題点を示す概略図である。
【符号の説明】
1、11 金型 2、12 上金型 2a、3a、12a、13a キャビティ 2b、3b、12b、13b 割面 3、13 下金型 13c リング溝 13d 連通部 13e 底面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 夫々半球状のキャビティを有する上金型
    と下金型からなり、 上記上金型あるいは下金型のいずれか一方の割面のキャ
    ビティの周囲に、スピュー成形用のリング溝をキャビテ
    ィと連通させて設け、 上記キャビティ内でゴム体が球体として圧縮成形加硫さ
    れる時、上記リング溝に充填されるゴム体が上記球体の
    周面に連続したスピューとして加硫される構成としてい
    ることを特徴とするゴム球体製造用金型。
  2. 【請求項2】 上記リング溝の底面は、上記キャビティ
    と該リング溝の連通箇所から水平に、あるいは、外方に
    向かってリング溝が深くなるように傾斜している請求項
    1に記載のゴム球体製造用金型。
  3. 【請求項3】 上記キャビティの半径をR(mm)、該
    キャビティと上記リング溝の連通箇所の溝深さをt1
    (mm)、リング溝の溝幅をw(mm)、リング溝の底
    面の水平面に対する角度をθ(度)として、 t1/Rの比が1%以上12%以下で、且つ、w/Rの
    比が5%以上50%以下で、且つ、θが0度以上25度
    以下に設定している請求項2に記載のゴム球体製造用金
    型。
  4. 【請求項4】 上記上下金型からなる金型の割面位置を
    上記キャビティの中心水平位置より上方あるいは下方へ
    オフセットし、該中心水平位置より上方あるいは下方へ
    突出させた側の割面に上記リンク溝を設けている請求項
    1乃至請求項3のいずれか1項に記載のゴム球体製造用
    金型。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に
    記載のゴム球体製造用金型を用い、 上記金型のキャビティ内に予備成形体からなるゴム体を
    充填して圧縮成形加硫し、該成形加硫時にキャビティの
    割面周縁のリング溝にゴム体を流入させて、該リング溝
    内のスピューとなるゴム体を加硫し、 上記キャビティ内で成形されるゴム球体の周面に成形さ
    れるリング状のスピューが、上記リンク溝形成側の一方
    の金型側にのみ残るようにしているゴム球体の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1330475C (zh) * 2004-07-21 2007-08-08 中外运动器材(泰国)股份有限公司 制作具橡胶皮及人造皮球体的模具

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