JP2001143618A - 偏向ヨークコアおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 変形や歪みの少ない楕円形の偏向ヨークコア
を作製する。 【解決手段】 円形の偏向ヨークコア４を成形・焼成
し、この偏向ヨークコア４を割り溝５に沿ってＹ軸方向
に分割する。分割された偏向ヨークコア４の各分割面
６、６を研磨加工して組み合わせれば楕円形の偏向ヨー
クコア４が作製できる。係る製造方法によれば、従来の
円形の偏向ヨークコアと同程度の寸法精度を有する楕円
形の偏向ヨークコアを得ることができる。また、成形金
型や焼成炉材は従来の丸形が使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン受信
機やディスプレイ機器等の陰極線管（ＣＲＴ）に適用さ
れる偏向ヨークコアに関し、特に、消費電力の低減を図
った楕円形の偏向ヨークコアに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】上記偏向ヨーク３は、水平コイル（Ｘ軸
用）と垂直コイル（Ｙ軸用）の二組の鞍形コイルを備え
ており、図２に示すように、ＣＲＴの本体部１（円錐状
部分）とネック管２の外周部を包み込むように装着され
て、偏向ヨーク３から発生する磁界によりネック管２に
設けた電子銃から放出される電子ビームをそれぞれＸ軸
方向とＹ軸方向に偏向させるものである。通常、ネック
管２の部分は円形を成しており、断面円形の中心線はＣ
ＲＴの管軸にあたる。従って、装着される偏向ヨークコ
ア４の形状も、図３に示すようにＣＲＴの形状に見合う
ように円錐状（朝顔形状）の丸形コアとしたものが一般
的である。

【０００３】ところで、一般的に電子ビームを偏向する
ために偏向ヨークで消費される電力（偏向電力）はＸ軸
側に比べてＹ軸側の方が大きくなっている。この偏向電
力の差は装着される偏向ヨークコアの径に関係してお
り、径が大きい程電力消費が多くなることが知られてい
る。このようなことから、ＣＲＴ装置においては、偏向
ヨークでの消費電力を如何に低減するかが大きな課題と
なっている。偏向電力を低減するには比較的電力消費の
大きいＹ軸側のコア径を小さくすることが重要であり、
その施策としてコアの形状を横長の四角形としてＹ軸偏
向電力の低減を図ったものも提案されている。このよう
なコアについては、専用の角形の成形金型を使用して成
形・焼成が行われている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
に成形金型を角形とすると加圧成形時の造粒密度に密の
部分と粗の部分が生じ、このアンバランスがコア変形の
一要因となっていた。また、焼成工程において、従来の
丸形焼成炉材（焼成の際に成形体を載せる架台）を使用
した場合は、成形体と炉材との接触が不安定となってガ
タが発生することとなり、これもまたコアの変形要因と
なった。このため、規格公差を満足する寸法精度の高い
偏向ヨークコアを得るには従来の丸形焼成炉材に替えて
角形専用の炉材を必要とされ、そのための設備費用が大
幅にアップするという問題も有った。また、用途によっ
て焼成後のコアに内面研磨加工を施して寸法精度の向上
を図る場合も生ずるが、内形状が四角形であると精度の
高い研磨加工を施すことは極めて困難であった。係るコ
アの寸法精度の善し悪しは偏向ヨークで発生する磁界強
度にバラツキを与え、最終的にＣＲＴ画面上における画
像表示精度に大きく影響するものである。

【０００５】本発明の目的は、上記問題点を解消し、寸
法精度が高く、電力消費の少ない楕円形の偏向ヨークコ
アおよびその製造方法を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明では、
円形の偏向ヨークコアを成形・焼成し、当該偏向ヨーク
コアをＹ軸方向に分割し、分割された偏向ヨークコアの
各分割面を研磨加工して惰円形の偏向ヨークコアを作製
するものである。

【０００７】本製造方法によれば、分割面を所定の寸法
だけ研磨加工する工程を設けるだけで従来の円形の偏向
ヨークコアと同程度の寸法精度を有する惰円形の偏向ヨ
ークコアを得ることができる。尚、成形金型や焼成炉材
も従来通りの丸形がそのまま使用できるので、冶具や設
備の共用化が可能となる。また、コアの内面研磨加工に
ついてはコアの分割前に行えば良いから、より高い寸法
精度が求されるＣＲＴ装置にも十分対応可能である。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図１に基づいて本発明に係
る偏向ヨークコア４の製造方法を説明する。図１（ａ）
〜（ｄ）では、それぞれ偏向ヨークコアの平面図と側面
図が示されている。尚、説明を簡略化するため、以下の
説明において従来と共通する部分については同一の符号
を用いた。

【０００９】図１（ａ）は、成形・焼成後の偏向ヨーク
コア４を示しており、これは開口部が円形を成す従来型
の偏向ヨークコアである。当該偏向ヨークコア４は外形
が円錐状で、長手方向（Ｙ軸方向）に沿って１対の割り
溝５が設けてある。この状態で、必要に応じてコアの内
面がＲ研磨される。この偏向ヨークコア４は、横断面が
円形の一体成形であるから前記Ｒ研磨加工は容易であ
り、且つ精度良く行うことができる。

【００１０】次に、図１（ｂ）に示すように、円形の偏
向ヨークコア４が割り溝５に沿って一対の分割片４ａと
４ｂとに半割される。分割には先端鋭利な刃物のような
冶具を用い、割り溝５の部分を割断することにより簡単
に行える。従来では、半割された分割片４ａ、４ｂの状
態でＸ軸・Ｙ軸用の偏向コイルと共にＣＲＴの本体部
（１）とネック管（２）の外周部にその分割面６、６同
士を合わせるようにして装着されるが、本実施形態で
は、半割された一対の分割片４ａ、４ｂの各々分割面
６、６が、更に、図中の破線部で示す所定の厚さ分だけ
研磨加工される。尚、この際、各分割片４ａ、４ｂの研
磨量が相等しく成るように制御されることが肝心であ
る。

【００１１】図１（ｃ）は、研磨加工後の偏向ヨークコ
ア４（分割片４ａ、４ｂ）を示している。この一対の分
割片４ａ、４ｂの分割面６，６を対面させるように組み
合わせると、図１（ｄ）に示すような、両開口部が楕円
形を成す偏向ヨークコア４が実現できる。尚、図中に示
したＸ、Ｙ座標はＣＲＴへ装着する際のコアの向きを示
しており、これで、偏向電力の大きいＹ軸側のコア径を
小さくした低消費電力の偏向ヨークコア４が完成する。

【００１２】このように本発明では、従来通りの円形コ
アの形で成形・焼成工程を行えるので、従来同様、変形
や歪みの少ない寸法精度の高い偏向ヨークコアを作製で
きると共に、成形金型や焼成炉材も従来の丸形を使用で
きるので新たな設備も不要である。また、コアの内面研
磨加工は分割する前に行えば、従来の角形コアでは困難
であった内面加工が精度良く施されたより寸法精度の高
い楕円形の偏向ヨークコアを実現できる。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
円形の偏向ヨークコアを成形・焼成した後、当該偏向ヨ
ークコアをＹ軸方向に分割し、分割された偏向ヨークコ
アの各分割面を研磨加工して惰円形の偏向ヨークコアを
作製するようにしたので、従来の円形の偏向ヨークコア
と同等の寸法精度を有する楕円形の偏向ヨークコアを作
製することができる。加えて、コア内面の研磨加工も高
精度に行えるから、より高精細な画像表示が要求される
ＣＲＴ装置にも十分対応することができる。

【００１４】また、成形金型や焼成炉材も従来の丸形を
そのまま使用できるので、そのための新たな設備は不要
であり、コストダウンが図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る偏向ヨークコアの製造工程を示す
図である。

【図２】ＣＲＴに偏向ヨークを装着した状態を示す図で
ある。

【図３】従来の円形の偏向ヨークコアの外観斜視図であ
る。

【符号の説明】

４ 偏向ヨークコア ５ 分割面

フロントページの続き (72)発明者 川添 豪 東京都港区新橋５丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 Ｆターム(参考） 5C028 LL08 5C042 AA07 FG11 FG33

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円形の偏向ヨークコアを成形・焼成し、 当該偏向ヨークコアをＹ軸方向に分割し、 分割された偏向ヨークコアの各分割面を研磨加工して惰
   円形の偏向ヨークコアを作製することを特徴とする偏向
   ヨークコアの製造方法。
2. 【請求項２】 Ｙ軸方向に分割した円形の偏向ヨークコ
   アの各分割面を研磨加工して作製したことを特徴とする
   惰円形の偏向ヨークコア。