JP2001140355A - 鋼製リング・ケーブル複合構造屋根及び工法 - Google Patents

鋼製リング・ケーブル複合構造屋根及び工法

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JP2001140355A
JP2001140355A JP31947499A JP31947499A JP2001140355A JP 2001140355 A JP2001140355 A JP 2001140355A JP 31947499 A JP31947499 A JP 31947499A JP 31947499 A JP31947499 A JP 31947499A JP 2001140355 A JP2001140355 A JP 2001140355A
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cable
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Makoto Kondo
近藤  誠
Yasuo Kaminofuji
保夫 神野藤
Hiroshi Shimizu
弘 清水
Atsushi Isoda
厚志 磯田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は施設の上方を被覆するドーム屋根を
設ける鋼製リング・ケーブル複合構造屋根及び工法に関
する。従来のドーム屋根は鉄骨トラス構造にされ、重量
が大きくなり既存施設に設置する場合、下部構造の補強
が必要となり、また重量増によるコストおよび工期の長
期化の不具合があった。本発明は、このような不具合を
解消できるドーム屋根及びその工法の提供を課題とす
る。 【解決手段】 本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造
屋根は、横断面形状が箱型にされ、施設外周に沿い設け
た鉄骨支持柱の上端部に連結された連続した外周リン
グ、外周リングに端部が連結され、ドーム屋根中心部を
通って放射状に配置され、ドーム屋根の荷重の一部を鉄
骨支持柱を介し下部構造体に伝達する吊りケーブルから
なる。これにより、上述の不具合が解消され、また、外
周リングは、同様の箱型にされた鉄骨支持柱に連結さ
れ、施設外周に配設されるので、充分に応力に耐えるも
のにでき、捩りモーメントに抗するものにできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、球場等の大面積を
有する施設の上方を覆い、雨天に関わらず内部で競技等
ができる空間を形成するようにしたドーム屋根構造及び
その工法に係り、特に、ケーブルと鋼製リングを使用し
てドーム屋根構造を作製するようにした、鋼製リング・
ケーブル複合構造屋根及び工法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、雨天に関わらず競技、イベント等
が開催できるように、球場等の大面積の施設の上方を覆
い、雨天時においても競技者、演奏者又は多数の観客が
雨に濡れることなく、競技等に集中できるようにしたド
ーム屋根の開発が進められ、既に、各地にこのような施
設が製作され稼動している。
【0003】このようなドーム屋根のうち、図10は鉄
骨トラスを用いて骨組み構造を形成するようにしたドー
ム屋根の一例である。すなわち、図10(a)に示すよ
うに、平面視において円形に形成された施設の上方に
は、円形施設の中心部に屋根支間長(スパン)11の長
さの1/10〜1/20にされた直径の内周リング2が設けら
れ、この内周リング2に向けて約60本からなり放射状
に組まれた、アーチ型鉄骨トラス3を架設して、架設ド
ーム屋根骨組みを形成するようにしている。すなわち、
図10(a)に示す矢視D−Dにおける断面図である、
図10(b)に示すようにこのアーチ型鉄骨トラス3
は、自重や雪荷重などの荷重を支持するために、施設の
全周に連続して設けられたテンションリング1と内周リ
ング2との間に、トラス構造に組み上げられて剛な構造
にされて架設され、大きな荷重を負担できるようにされ
ている。
【0004】一般的に、このような施設は、屋根支間長
11が大きくなると、ドーム屋根の構造体、いわゆる、
骨組みを形成するアーチ型鉄骨トラス等が支持しなくて
はならない荷重も増大することになる。特に、内部に野
球やサッカー場などを設けるようにした、約200mに
もなる長大な屋根支間長11を必要とする既設の施設
に、施設リニューアルとしてドーム屋根を架設するよう
な場合には、鉄骨トラス3を主体とした骨組み構造で
は、過大な荷重を支持する必要があるために、施設に従
来から設けられている下部構造体だけでは支持強度が不
足するため、新たに大きな支持構造体を設け、鉄骨トラ
ス3の基端部を支持するテンションリング1を補強した
支持構造体の上方に設ける必要が生じ、このために、リ
ニューアル工事においてもコストの増大や工期の長期化
を招くことになる不具合がある。
【0005】なお、図において、4は鉄骨トラス3およ
び内周リング2の上方を被覆して、施設内への雨等の吹
き込みを防止する軽量スチール、合わせ材若しくは樹脂
板等からなる軽量の屋根材であり、この屋根材4は鉄骨
トラス3に連結され、鉄骨トラス3の上面に密着させて
設けられている。
【0006】したがって、ドーム屋根を架設することが
考慮されてない下部構造体にされた施設に対して、リニ
ューアルする場合のドーム屋根には、特に超軽量なドー
ム屋根を架設することが重要であると共に、追設する支
持構造体および支持構造体で支持するテンションリング
1にかかる荷重を減少させることが必要となる。
【0007】図11は、このような超軽量なドーム屋根
を架設して、ドーム屋根の荷重を軽減するとともに、追
設する支持構造体にかかる荷重を減少させるために、従
来から橋梁技術として広く使われている、ケーブルで架
設される重量物を吊持するようにした吊り構造を、ドー
ム屋根に適用した例を示す図である。この吊り構造のド
ーム屋根では、前述した図10に示す鉄骨トラス3を主
体とした骨組み構造のドーム屋根と同様に、図11
(a)に示すように、平面視において円形に形成された
施設の上方に吊りケーブル6を放射状に張設するため
に、施設の外周に沿って連続したスチール製の鉄骨支持
柱(サポート)7を立設するとともに、鉄骨支持柱7の
上端には施設の外周縁に沿って連続させて形成されたコ
ンプレッションリング5を配設し、固定するようにして
いる。
【0008】また、放射状に張設される吊りケーブル6
のそれぞれは、円形施設の中心を通過するように配置さ
れて、両端をコンプレッションリング5の内周にそれぞ
れ連結するようにしている。また、鉄骨支持柱7のコン
プレッションリング5を固定している上端より下方に
は、図11(a)に示す矢視E−Eにおける断面図であ
る、図11(b)に示すように、前述した鉄骨トラス3
の上面を被覆するようにした屋根材4と同様の構造にさ
れた屋根材4が配設されている。
【0009】この屋根材4は、コンプレッションリング
5の内周間に張設された、吊りケーブル6に上端が連結
された繋ぎ材(ポスト)8の下端が連結されて吊持され
ており、断面図である図11(b)に点線で示すコンプ
レッションリング5間に張設される吊りケーブル6の高
さより、屋根材4の重量によって生じるサグ9量だけ下
方に配置されることになる。
【0010】換言すれば、繋ぎ材8は、吊りケーブル6
の沈み込み、いわゆるサグ9量を考慮した長さにされ
て、その上、下端部を吊りケーブル6および屋根材4に
それぞれ連結し、屋根材4が鉄骨支持柱7の間で略水平
になるようにして、吊りケーブル6によって吊り下げら
れるようにしている。
【0011】このように、図11に示す吊り構造のドー
ム屋根では、繋ぎ材8から伝達される屋根材4にかかる
荷重を吊りケーブル6が支持するようにしているため
に、吊りケーブル6の軸方向には大きな張力が発生す
る。
【0012】また、この張力によって、吊りケーブル6
の両端が連結されているコンプレッションリング5には
周方向に圧縮力が働くと共に、吊りケーブル6のサグ9
量が発生するために、その張力はコンプレッションリン
グ5の面外力を発生させ、コンプレッションリング5の
材軸に沿って、図11(c)に示した矢視で示すような
内側に向けた捩りモーメント10が発生する。
【0013】このような、円形(円筒)状のコンプレッ
ションリング5は、前述した吊りケーブル6の張力によ
って発生する圧縮力には、大きな抵抗力を発揮させるこ
とができるが、材軸に沿って発生する捩りに対しては大
きな抵抗力を発揮させることができにくいため、捩りモ
ーメント10による捩りに大きな抵抗力を発揮できる機
構を別途設ける必要がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来の内周リングおよび鉄骨トラスで骨組みを構成するよ
うにしたドーム屋根の作製で生じる過大を荷重を支持す
るために必要となる大きな支持構造体、テンションリン
グを設けるために生じるコストの増大や工期の長期化に
よる不具合、又は吊り構造のドーム屋根の作製で生じる
コンプレッションリングの捩りに抗することのできる機
構の設置に伴う不具合を、外周リング等からなる鋼製リ
ングとケーブルとからなる複合構造にすることにより、
解消することの出来る鋼製リング・ケーブル複合構造屋
根及び作製工法を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】このため、第1番目の本
発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋根は、次の手段
とした。
【0016】(1)施設の上方を被覆するドーム屋根構
造を形成するために、横断面形状が略四角形の箱型にさ
れて、施設の外周に沿って設けられている下部構造体の
上端に、間隔を設けて複数立設され同様に横断面形状が
箱型にされた、鉄骨支持柱の少なくとも上端部に連結さ
れて、施設の外周に沿って連続して配設した外周リング
を設けた。なお、外周リングの平面形状は、真円形のも
のにすることが最も強度上好ましいが、施設の平面形状
に合わせて多角形のものにしてもよい。また、施設の外
周に沿って立設される鉄骨支持柱の数は、施設の大きさ
によっても異なるが、直径200mの施設の場合で約6
0本程度、換言すれば10m程度の間隔にして、設ける
ことが好ましい。
【0017】(2)外周リングの内周部に端部が連結さ
れ、ドーム屋根の中心部を通り施設の上方に放射状に配
置されて、ドーム屋根の荷重の少なくとも一部を鉄骨支
持柱を介して下部構造体に伝達する吊りケーブルを設け
た。なお、吊りケーブルは、端部が連結された外周リン
グの内周部に対向している外周リングの内周部に他端が
連結され、施設の中心を通り外周リングの間に架設され
た一本からなるものでも、端部が外周リングの内周部に
それぞれ連結され、施設の中心で連結して施設の中心を
通し、外周リング間に架設するようにした二本からなる
吊りケーブルでもよい。
【0018】また、吊りケーブルの端部が内周部に連結
される外周リングは、鉄骨支持柱の上方又は下方又は上
方および下方の両位置にすることもできる。さらに、鉄
骨支持柱には補強材が内部に設けられた剛構造部と内部
に補強材を設けていない柔構造部とで構成し、外周リン
グの連結部は柔構造部にすることが好ましい。
【0019】本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋
根は、上述(1)、(2)の手段としたので、(a)ド
ーム屋根の荷重は、全てが鉄骨トラス等を介して下部構
造体に伝達されず、少なくとも一部は吊りケーブルを通
り鉄骨支持柱を介して下部構造体に伝達されるので、鉄
骨トラス等の構造強度、換言すれば重量を軽減すること
ができ、支持構造を含むドーム屋根の荷重を軽減するこ
とができる。また、吊りケーブルの端部が連結される外
周リングは、横断面形状が箱型にされて、同様に横断面
形状が箱型にされた鉄骨支持柱に連結され、施設の外周
に連続して配設されたものにされているので、従来のコ
ンプレッションリングのように大きな吊りケーブルの張
力が作用する場合においても、ケーブルの張力による応
力に充分に耐えるものにできるとともに、張力の作用に
より生じる捩りモーメントに抗することができるものに
できる。
【0020】また、第2番目の本発明の鋼製リング・ケ
ーブル複合構造屋根は、上述(1)、(2)の手段に加
え、次の手段とした。
【0021】(3)吊りケーブルの端部が連結される箱
型断面形状にされ外周リングの連結部内部に、吊りケー
ブルの張設方向に向けて配置された鋼製の薄板で形成さ
れたダイヤフラムを設けた。なお、ダイヤフラムは、外
周リングの箱型断面内壁に側縁全体が固着され、中心部
分に外周リングに要求される剛性に応じて定められる大
きさの空間部分が設けられた、厚さ2〜3m/m のものに
することが好ましい。
【0022】本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋
根は、上述(3)の手段としたので、上述(a)に加
え、(b)張力による応力は、ダイヤフラムを設けたこ
とにより均等に外周リングに作用させることができ、吊
りケーブルに大きな張力が作用する場合においても、充
分これに抗することができる外周リングにでき、また、
大きな張力が作用する場合においては箱型横断面形状が
変形することにより、吊りケーブルとの連結部が張力方
向に移動するために、吊りケーブルとの連結部に生じる
過大な応力集中を防止できるとともに、張力により外周
リングの面外方向に生じる捩りモーメントに抗するもの
にすることができる。
【0023】また、第3番目の本発明の鋼製リング・ケ
ーブル複合構造屋根は、上述(1)の手段、又は上述
(1)、(2)の手段、又は上述(1)、(2)、
(3)の手段に加え、次の手段とした。
【0024】(4)吊りケーブルの端部が連結される外
周リングの連結部の箱型断面内部に、外周リングの長さ
方向に配置され、鋼製板又はロッドで形成されたリブを
設けた。
【0025】本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋
根は、上述(4)の手段としたので、上述(a)、又は
上述(a)、(b)に加え、(c)吊りケーブルに大き
な張力が作用する場合においても、張力による応力は、
リブを設けたことにより、外周リングの全長にわたって
均等に作用させることができ、応力に充分抗するものに
することができ、従来のコンプレッションリングと同様
の強度を有する外周リングにでき、施設の外周に沿って
連続して配設された外周リングの平面形状を維持するこ
とができる。
【0026】また、第4番目の本発明の鋼製リング・ケ
ーブル複合構造屋根は、上述(1)の手段、上述
(1)、(2)の手段、又は上述(1)、(2)、
(3)の手段、又は上述(1)、(2)、(3)、
(4)の手段に加え、次の手段とした。
【0027】(5)ドーム屋根の中央部に設置され、外
周リングの内周部に一端が連結された吊りケーブルの他
端が連結され、外周リングの内周部との間に吊りケーブ
ルを張設して、施設の上方に放射状に吊りケーブルを配
置する内周リングを設けた。なお、内周リングは真円形
状若しくは多角形状の筒状のものにするとともに、径が
屋根支間長の1/10〜1/20にされ、長さはドーム屋根の骨
組み構造の種類に応じて2〜20mのものにされ、放射
状に配置されてドーム屋根の荷重の一部を下部構造体に
伝達する吊りケーブルに生じる張力に抗することができ
るものにすることが好ましい。
【0028】本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋
根は、上述(5)の手段としたので、上述(a)、又は
上述(a)、(b)、又は上述(a)、(b)、(c)
に加え、(d)ドーム屋根の荷重は、内周リングおよび
これに連結された吊りケーブルにより、外周リングの内
周部に均等に伝達され、鉄骨支持柱を介して施設の外周
に配設された下部構造体に均等に伝達されるため、特定
部分の下部構造体の補強等が不要になる。さらに、吊り
ケーブルは、外周リングの半径以下の長さにすることが
でき、吊りケーブルに生じる張力を半減させることがで
き、吊りケーブルを小径のものにすることができ、ドー
ム屋根の荷重をさらに低減することができる。
【0029】また、第5番目の本発明の鋼製リング・ケ
ーブル複合構造屋根は、上述(1)、(2)の手段、又
は上述(1)、(2)、(3)の手段、又は上述
(1)、(2)、(3)、(4)の手段、又は上述
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)の手段に加
え、次の手段とした。
【0030】(6)基端部が鉄骨支持柱の下端部に連結
され、先端部が内周リングの外周に連結された吊りケー
ブルで吊持されるとともに、吊りケーブル下方で施設の
上方に放射状に配置された鉄骨トラスを設けた。
【0031】本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋
根は、上述(6)の手段としたので、上述(a)、又は
上述(a)、(b)、又は上述(a)、(b)、
(c)、又は上述(a)、(b)、(c)、(d)に加
え、(e)屋根材上面に負荷される荷重が鉄骨トラスを
介して、均等に下部構造体に伝達されるとともに、吊り
ケーブルによってもドーム屋根重量の一部が支持される
ことになるので、従来の鉄骨トラス構造のドーム屋根に
比較して、重量を約10%軽減することができドーム屋
根の製造、製作コストを低減できる。また、吊りケーブ
ル、外周リングおよび鉄骨支持柱の強度と鉄骨トラスの
強度との比率を適宜の値にすることにより、ドーム屋根
に負荷される荷重の分担比率を自由に変更することがで
きる。
【0032】また、第6番目の本発明の鋼製リング・ケ
ーブル複合構造屋根は、上述(1)、(2)の手段、又
は上述(1)、(2)、(3)の手段、又は上述
(1)、(2)、(3)、(4)の手段、又は上述
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)の手段に加
え、次の手段とした。
【0033】(7)外周リングの内周部に外周縁が連結
され、施設の上方を被覆するドーム屋根を形成する屋根
材を設けた。
【0034】(8)屋根材の下方に吊りケーブルの張設
方向と同方向に配設され、外周リングの内周部の間に張
設された押さえケーブルを設けた。なお、吊りケーブル
は、押さえケーブルの上方になるようにしても、又は下
方になるようにして配置するようにしても良い。
【0035】本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋
根は、上述(7)、(8)の手段としたので、上述
(a)、又は上述(a)、(b)、又は(a)、
(b)、(c)、又は上述(a)、(b)、(c)、
(d)に加え、(e)吊りケーブルの他に押さえケーブ
ルを設けるようにしたことにより、押さえケーブルの傾
斜角を自在に設定することにより、ドーム屋根は雨仕舞
いを考量した傾斜角にすることができる。また、ドーム
屋根構造材の上部を被覆する屋根材を押さえケーブルに
連結することにより、強風時においても屋根材の吹き上
げを防止することができる。また、屋根材の支持には鉄
骨トラスを使用しないので、押さえケーブルの上方に吊
りケーブルを設けるようにした場合で約30%、押さえ
ケーブルの下方に吊りケーブルを設けるようにした場合
で約40%にもなる、大幅な重量軽減を図ることがで
き、ドーム屋根の製造、製作コストを大幅に低減でき
る。
【0036】また、第7番目の本発明の鋼製リング・ケ
ーブル複合構造屋根工法は、次の手段を採用した。
【0037】(9)大面積の施設の上方に形成されるド
ーム屋根を支持するためのドーム屋根を作製する工法に
おいて、箱型横断面形状にされ、横断面方向に配置され
た鋼製薄板のダイヤフラム及び長さ方向に配置された鋼
製リブを内部に設けるようにした鉄骨支持柱を、施設の
外周に沿って設けた下部構造体の上端に間隔をおいて立
設する工程、(10)鉄骨支持柱の少なくとも上端部に
連結された外周リングを、施設の外周に沿って連続して
設ける工程、(11)ドーム屋根の中央部に内周リング
を設ける工程、(12)外周リングの内周部に一端を連
結し、内周リングの外周部に他端を連結して、ダイヤフ
ラムの配設方向に配置し施設の上方に放射状に吊りケー
ブルを設ける工程。
【0038】本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋
根工法は、上述(9)〜(12)の手段を採用したの
で、(f)これにより、上述(1)〜(5)の手段に
し、上述(a)、(b)、(c)、(d)の作用、効果
を奏する鋼製リング・ケーブル複合構造屋根と同等のド
ーム屋根を作製することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の鋼製リング・ケー
ブル複合構造屋根の実施の一形態を図面に基づき説明す
る。なお、図において図10、図11に示す部材と同一
部材、若しくは類似の部材には同一符号を付して説明は
省略する。図1は、本発明の鋼製リング・ケーブル複合
構造屋根の実施の第1形態を示す平面図、図2は図1に
示す矢視A−Aにおける横断面図、図3は図2に示す外
周リング、鉄骨支持柱および下部構造体の詳細を示す断
面図である。
【0040】図1に示すように、施設の外周に沿って外
周リング101が円形状に配置されている。なお、外周
リング101は、平面視において、多角形状のものにし
た方が良い場合もあるが、説明の都合上、円形の外周形
状にされたものとして以下説明する。また、図2に示す
ように施設の外周から中央部に向けて鉄骨トラス103
が組み立てられ、中央部付近に位置する鉄骨トラス3の
先端部には、直径が屋根支間長11の約1/10〜1/20にさ
れ、高さが約5mにされた円筒状の内周リング102が
固着されている。この外周リング101の内周側には、
一端が外周リング101の上端部に連結されるととも
に、他端が内周リング102の上端部に連結され、外周
リング101と内周リング102の間に、約60本から
なる吊りケーブル6を放射状に張設するようにしてい
る。
【0041】この吊りケーブル6と鉄骨トラス103と
の間には、上、下端が吊りケーブル6および鉄骨トラス
103にそれぞれ連結された繋ぎ材8が、吊りケーブル
6の長さ方向に等ピッチに配設されて、鉄骨トラス10
3の重量の一部をこの吊りケーブル6で吊持するように
している。
【0042】このように、本実施の形態では、外周リン
グ101、内周リング102、外周リング101と内周
リング102との間に張設された吊りケーブル6及び吊
りケーブル6の下方に配置されたアーチ状の鉄骨トラス
103からなる骨組みと、鉄骨トラス103の上面を被
覆した屋根材4とによりドーム屋根を形成し、屋根材4
上面には荷重が均等に伝達されるとともに、鋼製の繋ぎ
材8で連結された吊りケーブル6の吊持力によりドーム
屋根重量の一部は支持されるので、鉄骨トラス103お
よび内周リング102は、図10に示す鉄骨トラス3、
内周リング2に比較して、約10%程度軽量のものにす
ることができる。
【0043】また、吊りケーブル6のそれぞれ一端がそ
の内周上端部に連結される外周リング101は、図3に
示すように鋼製箱型構造にされ、吊りケーブル6に負荷
されるドーム屋根荷重の一部を、鉄骨支持柱105を介
して下部構造体104に伝達するようにしている。
【0044】すなわち、既設建物である施設の外周に沿
って立設された外周壁等からなる下部構造体104の上
端には、図10に示すテンションリング1と同様に鉄骨
トラス103の基端部が下方に連結され、鉄骨トラス1
03を介して伝達されるドーム屋根荷重の一部である圧
縮力に抗することができるように、補強材106が配設
された下方の剛構造部107と、補強材106が配設さ
れず吊りケーブル6に負荷されるドーム屋根荷重の一部
を下部構造体104に伝達できる強度にされる剛構造部
107上方の柔構造部108とからなる鉄骨支持柱10
5が設けられている。
【0045】この鉄骨支持柱105は、下部構造体10
4の上端に放射状に張設される60本の吊りケーブル6
および吊りケーブル6の下方に組み立てられる鉄骨トラ
ス103に対応して設けられており、約10m毎に立設
するようにしている。また、吊りケーブル6が内周側に
連結される外周リング101は、鉄骨支持柱105上方
の柔構造部108の上方に、前述したように鋼製箱型構
造にされた、平面視において円形にされた連続した構造
のものにされている。
【0046】この鋼製箱型構造にされた外周リング10
1の内壁には鋼製リブプレート109が軸方向に複数本
配設されると共に、吊りケーブル6が連結される周方向
位置には、中央部に空隙部112を設けるようにした、
厚さ10〜20m/m の鋼製のダイヤフラム110が設置
され、吊りケーブル6に負荷されるドーム屋根の一部の
荷重によりケーブル張力111で生じる応力を、箱型断
面全体で分担させるようにしている。
【0047】本実施の形態の鋼製リング・ケーブル複合
構造屋根は、上述のように構成されているので、吊りケ
ーブル6設置によって、ドーム屋根荷重を鉄骨トラス1
03及び吊りケーブル6で分担させることができるの
で、鉄骨トラス103にかかる荷重は、図10に示す鉄
骨トラス3にかかる荷重に比較して減少し、鉄骨トラス
103の断面及び部材は鉄骨トラス3のそれよりも減
り、重量を軽減でき、さらには内周リング102の重量
も軽減することができる。
【0048】また、鉄骨トラス103及び吊りケーブル
6に負荷されるドーム屋根荷重の分配率を、ケーブル
6、外周リング101および鉄骨支持柱105の強度を
変えることにより、自由に変更可能とすることが出来
る。さらに、吊りケーブル6に負荷されるドーム屋根荷
重を下部構造体104に伝達する外周リング101は、
コンプレッションリングとして吊りケーブル6に生じる
ケーブル張力111による圧縮に抵抗すると共に、箱型
断面にすることにより増大する捩り抵抗機能を利用し
て、コンプレッションリング5により生じる図11に示
す捩りモーメント10による捩りに抵抗できるものにす
ることができる。
【0049】さらに、外周リング101はダイヤフラム
110及びリブプレート109で補剛されているので、
吊りケーブル6の張力によって発生する応力が均等にす
ることができる。また、鉄骨支持柱105には柔構造部
108を設けたことで、外周リング101に働くケーブ
ル張力によってドーム屋根の中心方向に生じる水平変形
に追従させることができ、さらには柔構造部108の高
さを変えることにより、水平変形量を制御できるので、
下部構造体104に生じる反力を軽減することが出来
る。
【0050】次に、図4は本発明の鋼製リング・ケーブ
ル複合構造屋根の実施の第2形態を示す平面図、図5は
図4に示す矢視B−Bにおける図で、図5(a)は全体
断面図、図5(b)は図5(a)に示すA部の詳細断面
図、図6は図5(a)に示す鉄骨支持柱の詳細断面図で
ある。
【0051】図4に示すように、施設の外周に沿って実
施の第1形態のものと同様な外周リング101が円形状
に配置されている。また、外周リング101の中心部分
には、実施の第1形態のものに比較して高さが低くされ
た内周リング121が設けられ、外周リング101を内
周リング121との間には、外周リング101の上端部
と内周リング121の上端部を連結する吊りケーブル6
が張設されている。
【0052】また、図5(a)に示すように施設の外周
に設けられた下部構造体104の上端には、上方に前述
した外周リング106を設けるとともに、下方にも外周
リング106と同じ構造にされ、外周リング106と共
に外側リング126を構成する、下部外周リング125
が設けられた鉄骨支持柱124が立設されている。この
下部外周リング125の下端部と内周リング121との
間にも、吊りケーブル6と同様の直径、例えば、100
φの押さえケーブル122が張設され吊りケーブル6と
共に本実施の形態のケーブル123を構成している。
【0053】また、一側の下部外周リング125の下部
とこれに対向して設けられた他側の下部外周リング12
5の下部との間には、中央部が内周リング121に支持
されるとともに、内周リング121と下部外周リング1
25間に張設された押さえケーブル122で下方から支
持され、実施の第1形態のものと同じように、軽量構造
にされた屋根材4が施設の上方全体に展張されている。
外周リング101および下部外周リング125の間に設
けられ、下部構造体104の上端に立設される鉄骨支持
柱124は、中間部には、補強材106が配設された剛
構造部107と、補強材106が配設されず、剛構造部
107と外周リング6および下部外周リング125との
間がそれぞれ柔構造部108にされ、吊りケーブル6に
負荷される屋根材4荷重の一部を下部構造体104に伝
達できる強度にされている。
【0054】このように、本実施の形態の鋼製リング・
ケーブル複合構造屋根では、施設の外周に沿って、外側
リング126が円形状に配置され、その内側面に円中心
部に設けた内周リング121との接続により、くぼみが
出来るように弧を描いた吊りケーブル6及び押さえケー
ブル122を接続し、押さえケーブル122の上部には
その円形の施設全体を屋根材4が覆い、屋根材4上面に
は均等に応力が吊りケーブル6に伝達されるように繋ぎ
材6で接続するようにしている。
【0055】また、外側リング126断面は、鋼製箱型
リングにされ吊りケーブル6及び押さえケーブル122
と接続し、屋根材4からなるドーム屋根荷重が下部構造
体104に伝達される。また、外側リング126間には
柔構造部108と剛構造部107とからなる鉄骨支持柱
124を配置し、外側リング126の内部にはダイヤフ
ラム110及びリブプレート109を設置し、箱型断面
全体でケーブル張力111による応力を分担させるよう
にしている。
【0056】これにより、吊りケーブルおよび押さえケ
ーブル122からなるケーブル123が屋根材4で形成
されたドーム屋根に架かる全体荷重を負担することによ
り、実施の第1形態で示した鉄骨トラス103を必要と
しないので、約30%もの大幅な重量低減を図れる。ま
た、押さえケーブル122を設置することで、雨仕舞い
を考慮した勾配の屋根面を形成することができ、さらに
は、風による屋根材4の吹き上げ荷重を押さえケーブル
122で支持することが出来る。
【0057】また、外側リング126は、コンプレッシ
ョンリングとして圧縮に抵抗すると共に、箱型断面によ
る捩り抵抗機能を利用し、捩りに抵抗することができ、
また鉄骨支持柱124を柔構造部108を設けたものに
することによって、外側リング126に働く円中心方向
の水平変形に追従させ、下部構造体104の反力を低減
することが出来る。
【0058】次に、図7は本発明の鋼製リング・ケーブ
ル複合構造屋根の実施の第3形態を示す平面図、図8は
図7に示す矢視C−Cにおける横断面図で、図8(a)
は全体図、図8(b)は図8(a)に示すB部の詳細
図、図9は図7に示す外周リングを支持するために施設
の外周壁上端に立設される鉄骨支持柱の断面図である。
【0059】図7に示すように、図1、図4と同様に施
設の外周に沿って外周リング132が円形状に配置さ
れ、その内側面に円中心部で凸形状を形成するように弧
を描いた吊りケーブル6及び押さえケーブル122を接
続する。従って、円中心部には高さが約20mにもなる
内周リング131が設置され、その上、下端部に押さえ
ケーブル122及び吊りケーブル6をそれぞれ接続する
ようにしている。
【0060】また、外周リング132および内周リング
131の間に張設された押さえケーブル122上部に
は、その円形全体を屋根材4が覆い、屋根材4上面には
均等に応力が吊りケーブル6に伝達されるように、押さ
えケーブル122と吊りケーブル6との間には、ケーブ
ル123長さ方向に等ピッチに配置された鋼製の繋ぎ材
8で接続するようにしている。
【0061】図9は外周リング132および鉄骨支持柱
105の断面図で、外周リング132の内部に図3、図
6に示す外周リング101、下部外周リング125と同
様に図示省略したリブプレート109が設けられている
外、図3に示す外周リング101および鉄骨支持柱10
5と同様の構造にされている。すなわち、前述したよう
に外周リング132が吊りケーブル6及び押さえケーブ
ル122と接続され、ドーム屋根荷重の全体を下部構造
体10に伝達するために、外周リング132の下部に図
3に示したものと同構造の鉄骨支持柱105が配置され
ており、外周リング132と鉄骨支持柱105との箱型
断面全体で吊りケーブル6、押さえケーブル122に生
じるケーブル張力111による応力を分担させるように
している。
【0062】このように、本実施の形態の鋼製リング・
ケーブル複合構造屋根は、上述のように構成されている
ので、吊りケーブル6および押さえケーブル122がド
ーム屋根に架かる荷重を負担することにより、図2に示
すようなアーチ型の鉄骨トラス103を必要としないの
で、約40%にもなる大幅な重量低減を図れる。また、
押さえケーブル122を設置することで、雨仕舞いを考
慮した勾配の屋根面を形成することができ、さらには、
屋根材4は吹き上げケーブル122に固縛されており風
によるドーム屋根に負荷される吹き上げ荷重を押さえケ
ーブル122で支持することが出来る。
【0063】また、外周リング132は、コンプレッシ
ョンリングとしてケーブル張力111に抵抗すると共
に、箱型断面に吊りケーブル6及び押さえケーブル12
2が接続するため、外周リング132にかかる捩りを互
いにうち消すことが出来、部材寸法が小さくなり、軽量
化が可能となる。また、鉄骨支持柱105に柔かな構造
部を設けることによって、外周リング132に働く円中
心方向の水平変形に追従させることができ、下部構造体
10の反力を低減することが出来る。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の鋼製リン
グ・ケーブル複合構造屋根は、横断面形状が略四角形の
箱型にされ、施設外周に沿い設けられた下部構造体の上
端に複数立設され、箱型の横断面形状の鉄骨支持柱の上
端部に連結されて、外周に沿い連続して配設した外周リ
ング、外周リングに端部が連結され、ドーム屋根中心部
を通り施設の上方に放射状に配置され、ドーム屋根の荷
重の一部を鉄骨支持柱を介し下部構造体に伝達する吊り
ケーブルからなるものとした。
【0065】これにより、ドーム屋根の荷重は、全てが
鉄骨トラス等を介して下部構造体に伝達されず、一部は
吊りケーブル、鉄骨支持柱から下部構造体に伝達され、
ドーム屋根の重量を軽減できる。また、外周リングは、
同様に横断面形状が箱型にされた鉄骨支持柱に連結さ
れ、施設の外周に配設されるので、充分に応力に耐える
ものにでき、張力の作用による捩りモーメントに抗する
ことができる。
【0066】また、本発明の鋼製リング・ケーブル複合
構造屋根は、外周リングの連結部の箱型断面内部に、吊
りケーブルの張設方向に配置され鋼製の薄板からなるダ
イヤフラムを設けるものとした。
【0067】これにより、張力による応力は均等に外周
リングに作用し、大きな張力が作用する場合でも、これ
に抗することができ、また、大きな張力が作用するとき
は箱型断面形状から変形して、吊りケーブルとの連結部
が張力方向に移動し、連結部への過大な応力集中を防止
でき、さらには、張力により外周リングの面外方向に生
じる捩りモーメントに抗することができる。
【0068】また、本発明の鋼製リング・ケーブル複合
構造屋根は、吊りケーブルが連結される外周リング連結
部の箱型断面内部に、外周リングの長さ方向に鋼製板又
はロッドからなるリブを設けるものとした。
【0069】これにより、吊りケーブルに大きな張力が
作用するとき、張力による応力は均等に外周リング全長
に作用し、張力による応力に充分抗することができる外
周リングにでき、施設の外周に連続して配設される外周
リングの平面形状を維持できる。
【0070】また、本発明の鋼製リング・ケーブル複合
構造屋根は、ドーム屋根の中央部に設置され、外周リン
グの内周部に連結された吊りケーブルの他端が連結さ
れ、外周リングの内周部との間に吊りケーブルを張設
し、施設上方に放射状に吊りケーブルを配設する内周リ
ングを設けるものとした。
【0071】これにより、ドーム屋根の荷重は、内周リ
ングと吊りケーブルにより、外周リングに均等に伝達さ
れ、鉄骨支持柱を介して、下部構造体に伝達される。さ
らに、吊りケーブルを外周リングの半径以下の長さにで
き、吊りケーブルの張力を半減でき、吊りケーブルを小
径のものにできる。
【0072】また、本発明の鋼製リング・ケーブル複合
構造屋根は、基端部が鉄骨支持柱の下端部に連結され、
先端部が内周リングの外周に連結され、吊りケーブル下
方の施設上方に放射状にした鉄骨トラスを設けた。
【0073】これにより、屋根材上面に負荷される荷重
が均等に伝達され、吊りケーブルによりドーム屋根重量
の一部は支持されるので、従来の鉄骨トラス構造のドー
ム屋根重量に比べ、約10%軽減できドーム屋根の製
造、製作コストを低減できる。また、吊りケーブル、外
周リングおよび鉄骨支持柱の強度と鉄骨トラスの強度と
の比率を変え、ドーム屋根に負荷される荷重の分担率を
自由に変更できる。
【0074】また、本発明の鋼製リング・ケーブル複合
構造屋根は、外周リングに外周縁が連結され、施設上方
を被覆するドーム屋根を形成する屋根材、屋根材の下方
で吊りケーブルの張設方向と同方向に設置され、外周リ
ングの内周部と内周リングとの間に張設される押さえケ
ーブルを設けた。
【0075】また、本発明の鋼製リング・ケーブル複合
構造屋根は、吊りケーブルの他に押さえケーブルを設け
るようにした。
【0076】これにより、押さえケーブルの傾斜角を自
在にすることができ、ドーム屋根は雨仕舞いを考量した
傾斜角にすることができ、また、ドーム屋根構造材の上
部を被覆する屋根材を押さえケーブルに連結することに
より、強風時においても屋根材の吹上を防止することが
できる。さらに、屋根材の支持に鉄骨トラスを使用しな
いので、押さえケーブルの上方に吊りケーブルを設ける
場合で約30%、押さえケーブルの下方に吊りケーブル
を設ける場合で約40%にもなる、大幅な重量軽減がで
き、ドーム屋根の製造、製作コストを低減できる。
【0077】また、本発明の鋼製リング・ケーブル複合
構造屋根工法は、箱型断面形状にされ、横断面方向に配
置された鋼製薄板のダイヤフラム及び長さ方向に配置さ
れた鋼製リブを内部に設けた鉄骨支持柱を、施設の外周
に沿って設けた下部構造体の上端に間隔をおいて立設す
る工程、鉄骨支持柱の上端部に連結した外周リングを、
施設の外周に沿い連続して設ける工程、ドーム屋根の中
央部に内周リングを設ける工程、外周リングの内周部と
内周リングの外周部とを連結して、ダイヤフラムの配設
方向に施設の上方へ放射状に吊りケーブルを設ける工程
とからなるものとした。
【0078】これにより、横断面形状が略四角形の箱型
にされ、施設外周に沿い設けられた下部構造体の上端に
複数立設され、箱型の横断面形状の鉄骨支持柱の上端部
に連結されて、外周に沿い連続して配設した外周リン
グ、外周リングに端部が連結され、ドーム屋根中心部を
通り施設の上方に放射状に配置され、ドーム屋根の荷重
の一部を鉄骨支持柱を介し下部構造体に伝達する吊りケ
ーブル、外周リングの連結部の箱型断面内部に、吊りケ
ーブルの張設方向に配置され鋼製の薄板からなるダイヤ
フラム、吊りケーブルが連結される外周リング連結部の
箱型断面内部に、外周リングの長さ方向に鋼製板又はロ
ッドからなるリブ、ドーム屋根の中央部に設置され、外
周リングの内周部に連結された吊りケーブルの他端が連
結され、外周リングの内周部との間に吊りケーブルを張
設し、施設上方に放射状に吊りケーブルを配設する内周
リングを設けるものとしたものと、同様な効果が得られ
る鋼製リング・ケーブル複合構造屋根を作成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋根の
実施の第1形態を示す平面図、
【図2】図1に示す矢視A−Aにおける横断面図、
【図3】図2に示す外周リング、鉄骨支持柱および下部
構造体の詳細を示す断面図、
【図4】本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋根の
実施の第2形態を示す平面図、
【図5】図4に示す矢視B−Bにおける図で、図5
(a)は全体断面図、図5(b)は図5(a)に示すA
部の詳細断面図、
【図6】図5(a)に示す鉄骨支持柱の詳細断面図、
【図7】本発明の鋼製リング・ケーブル複合構造屋根の
実施の第3形態を示す平面図、
【図8】図7に示す矢視C−Cにおける横断面図で、図
8(a)は全体図、図8(b)は図8(a)に示すB部
の詳細図、
【図9】図7に示す外周リングを支持するために施設の
外周壁上端に立設される鉄骨支持柱の断面図、
【図10】従来の鉄骨トラスで形成されたドーム屋根構
造を示す図で、図10(a)は平面図、図10(b)は
図10(a)に示す矢視D−Dにおける横断面図、
【図11】従来の吊り構造のドーム屋根構造を示す図
で、図11(a)は平面図、図11(b)は図11
(a)に示す矢視E−Eにおける横断面図、図11
(c)は図11(a)に示すコンプレッションリングに
発生する捩りモーメントを示す模式図である。
【符号の説明】
1 テンションリング 2 内周リング 3 鉄骨トラス 4 屋根材 5 コンプレッションリング 6 吊りケーブル 7 鉄骨支持柱 8 繋ぎ材 9 サグ 10 捩りモーメント 11 屋根支間長(スパン) 101 外周リング 102 内周リング 103 鉄骨トラス 104 下部構造体 105 鉄骨支持柱 106 補強材 107 剛構造部 108 柔構造部 109 リブプレート 110 ダイヤフラム 111 ケーブル張力 112 空隙部 121 内周リング 122 押さえケーブル 123 ケーブル 124 鉄骨支持柱 125 下部外周リング 126 外側リング 127 捩りモーメント 131 内周リング 132 外周リング
フロントページの続き (72)発明者 清水 弘 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 磯田 厚志 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三 菱重工業株式会社神戸造船所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大面積の施設の上方に形成されるドーム
    屋根を支持するためのドーム屋根構造において、箱型横
    断面形状にされ、前記施設の外周に沿って設けられた下
    部構造体の上端に間隔を設けて立設された、鉄骨支持柱
    の少なくとも上端部に連結されて、前記施設の外周に沿
    って連続して設けられた外周リングと、前記外周リング
    の内周部に端部が連結され、前記ドーム屋根の中央部を
    中心にして前記施設の上方に放射状に配置されて、前記
    ドーム屋根の荷重の少なくとも一部を前記鉄骨支持柱を
    介して、前記下部構造体に伝達する吊りケーブルとを設
    けたことを特徴とする鋼製リング・ケーブル複合構造屋
    根。
  2. 【請求項2】 前記吊りケーブルの端部が連結される前
    記外周リングの連結部の箱型断面内部を、前記吊りケー
    ブルの張設方向に配置され、鋼製の薄板で形成されたダ
    イヤフラムを設けたことを特徴とする請求項1の鋼製リ
    ング・ケーブル複合構造屋根。
  3. 【請求項3】 前記吊りケーブルの端部が連結される前
    記外周リングの箱型断面内部に、前記外周リングの長さ
    方向に鋼製のリブを配設したことを特徴とする請求項1
    又は請求項2の鋼製リング・ケーブル複合構造屋根。
  4. 【請求項4】 前記ドーム屋根の中央部に設置され、前
    記外周リングの内周部に一端が連結された前記吊りケー
    ブルの他端が連結され、前記外周リングの内周部との間
    に前記吊りケーブルを張設して、前記施設の上方に放射
    状に前記吊りケーブルを配設する内周リングを設けたこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3の鋼
    製リング・ケーブル複合構造屋根。
  5. 【請求項5】 基端部が前記鉄骨支持柱の下端部に連結
    され、先端部が前記外周リングの内周に連結された吊り
    ケーブルで吊持されるとともに、前記吊りケーブル下方
    で前記施設の上方に放射状に配置された鉄骨トラスを設
    けたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項
    3又は請求項4の鋼製リング・ケーブル複合構造屋根。
  6. 【請求項6】 前記外周リングの内周部に外周縁が連結
    され、施設の上方を被覆するドーム屋根を形成する屋根
    材と、前記屋根材の下方で前記吊りケーブルの張設方向
    と同方向に設置され、前記外周リングの内周部の間に張
    設された押さえケーブルとを設けたことを特徴とする請
    求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4の鋼製リ
    ング・ケーブル複合構造屋根。
  7. 【請求項7】 大面積の施設の上方に形成されるドーム
    屋根を支持するためのドーム屋根を作製する工法におい
    て、箱型横断面形状にされ、横断面方向に配置された鋼
    製薄板のダイヤフラム及び長さ方向に配置された鋼製リ
    ブを内部に設けた鉄骨支持柱を、前記施設の外周に沿っ
    て設けた下部構造体の上端に間隔をおいて立設する工程
    と、前記鉄骨支持柱の少なくとも上端部に連結された外
    周リングを、前記施設の外周に沿って連続して設ける工
    程と、前記ドーム屋根の中央部に内周リングを設ける工
    程と、前記外周リングの内周部に一端を連結し、前記内
    周リングの外周部に他端を連結して、前記ダイヤフラム
    の配設方向に配置し前記施設の上方に放射状に吊りケー
    ブルを設ける工程とからなることを特徴とする鋼製リン
    グ・ケーブル複合構造屋根工法。
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