JP2001140061A - デポジションアシスト蒸着装置及び薄膜形成方法 - Google Patents

デポジションアシスト蒸着装置及び薄膜形成方法

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JP2001140061A JP32323799A JP32323799A JP2001140061A JP 2001140061 A JP2001140061 A JP 2001140061A JP 32323799 A JP32323799 A JP 32323799A JP 32323799 A JP32323799 A JP 32323799A JP 2001140061 A JP2001140061 A JP 2001140061A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は基材温度を上昇させることなく基材
上に薄膜を形成させうるイオンプレーティング装置及び
方法であって、通常の材質なら言うまでもなく、高い温
度で変質し易い材質の基材が対象であっても、広範な材
料から選択できる緻密で密着性の高い被膜を当該基材上
に高い被膜形成速度で形成可能な装置と方法の提供を目
的とする。 【解決手段】 基材に直接高周波電力を供給して安定な
プラズマを生成させる一方、チャンバーは接地せずに、
基材と蒸発源ボート間に直流バイアス電圧を印加してプ
ラズマ内電子を蒸発源に集中するよう構成し、蒸発源蒸
発エネルギーを加熱と電子ビーム密度の双方で制御可能
にすることにより、低温でも広範な材料の緻密かつ密着
性の高い薄膜を、高い速度で広範な材料の基材上に形成
できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基材へ直接高周波を
加える高周波イオンプレーティング蒸着を行う新規なデ
ポジションアシスト蒸着装置及び当該装置により改良さ
れた条件で良質な薄膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基材へ直接高周波を加えるイオンプレー
ティング蒸着法及びその装置は特許公報平1−4834
7に「無ガスイオンプレーティング蒸着機」として開示
されている。この蒸着機はアルゴンなどの不活性ガスを
使わず、蒸発材料からなる分子若しくは原子の粒子を基
材近傍で高周波により励起し、分布のよいプラズマを形
成させ、基材に付着させる蒸着機である。この時形成さ
れるプラズマを異常放電などのゆらぎから守り放電を安
定させるため、基材を固定するホルダーにコンデンサー
を形成させ、その静電容量で電気的ゆらぎを吸収させる
ことで、高真空での無ガスイオンプレーティング蒸着を
実現している。(図4参照)
【0003】しかし、前記開示例を含め従来技術におい
ては、蒸発源から被膜形成材料を蒸発させるための熱源
による輻射熱などで、薄膜を形成すべき基材は、その温
度を上昇させる環境に曝される。この温度上昇は、蒸着
時間を長く取る必要のあるプロセスでは、基材表面で1
50℃近くまで達する。従って、高い温度で変質し易い
材質の基材に被膜形成するような場合、輻射熱の影響を
受けない金属ミラーの単層コートなどのごとき、極く限
られた薄膜しか形成できていなかった。
【0004】一方、蒸発源の物質を蒸発せしめるエネル
ギーとして、熱エネルギーに限らず最近では電子線を用
いる方法も考案されている。しかし、無ガスイオンプレ
ーティング装置や、それに類似したイオンプレーティン
グ装置に本方法を用いるとき、電子線にゆらぎが発生し
たり、発生させる電子銃の熱電子発生用フィラメントの
寿命が実用に絶えないほど短くなる。即ち、基材と蒸発
源との間に形成されたプラズマ中の粒子の内、蒸着粒子
は基材に引き寄せられ付着するが、一方の電子は電子銃
フィラメントに引き寄せられ、プラズマ放電を安定化し
ようとするほど、また放電パワーを上げれば上げるほ
ど、電子はフィラメントに集中し、フィラメント付加が
大となり、電子ビームの照射位置の不安定化とともにフ
ィラメント寿命の短縮化を来す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の難点を解決せんとしたもので、基材温度を上昇させ
ることなく基材上に薄膜を形成させうるイオンプレーテ
ィング装置の提供を目的とする。
【0006】更に、本発明は通常の材質なら言うまでも
なく、高い温度で変質し易い材質の基材が対象であって
も、広範な材料から選択できる所望の被膜を当該基材上
に形成可能な装置と方法の提供を目的とする。更に本発
明は緻密で、密着性の高い被膜を広範な材質の基材上に
広範な被膜形成材料をもってして形成しうる装置と方法
の提供を目的とする。
【0007】更に本発明は安定したプラズマを形成し
て、被膜形成速度の高い条件を容易に持続設定可能な操
作性にすぐれたイオンプレーティング装置の提供を目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は少なくとも蒸着
材料のみからなるプラズマを形成する高周波イオンプレ
ーティング蒸着装置である。従来の技術では例えばアル
ゴンなどの希ガス元素のプラズマのエネルギーを利用す
る方法であったが、本発明では蒸着材料のみのプラズマ
でも可能なことが特徴である。勿論これら希ガス元素を
併用することがあっても、各種の選択条件のなかで好ま
しい場合は一向に差し支えない。従って、本発明の装置
にはこれら希ガス元素などの不活性ガスを供給する手段
をそなえていてもよい。
【0009】本発明は本発明の蒸着がその内部で行わ
れ、必要な各種部材若しくは手段が配置される真空とな
るチャンバーを具える。当該チャンバーは接地されてい
ないことが特徴であって、これは後述する本発明の更に
特徴とするところの電子を蒸発源ボートに集中させるた
めの重要な構成の一つである。
【0010】当該チャンバー内には、蒸着被膜の原料と
なるべき蒸発源を収納する接地されたボートが配置され
ている。当該ボートが接地されていることは、前記した
電子を蒸発源ボートに集中させるための重要な尚一つの
構成である。
【0011】当該ボートにはボートを加熱する手段を具
えており、ボートに収納された蒸発材料を加熱蒸発させ
ることが可能である。当該加熱手段は特にその構成方法
を選ばないが、ボートを電気抵抗体で作り、ボート自体
に電流を流してジュール熱を発生せしめる構成としても
よく、ボート内に発熱体を埋め込み若しくはボート裏面
に発熱体を密着させ、伝熱させるなどの構成をとればよ
い。
【0012】当該チャンバー内には、更に蒸着被膜を形
成すべき基材を保持する導電性部材からなる基材保持手
段を具える。当該基材保持手段はチャンバーからは絶縁
されており、絶縁部材を挟んで支持手段によってチャン
バー略上部中央に支持される。
【0013】支持手段は導電性部材からなり、チャンバ
ーとは同電位としてあり前記基材保持手段と対をなし絶
縁性部材挟んでコンデンサーを形成し、高周波電力の安
定な供給を果たしながら基材保持手段をチャンバー中に
支持する。
【0014】更に本発明はチャンバーの外部に配置さ
れ、その出力の片極が高周波電力供給用インピーダンス
マッチング装置を経、直流遮蔽フイルターを介して基材
保持手段へ接続された高周波電力供給電源を具える。当
該高周波電力供給電源の出力の他の片極は接地されてい
る。これにより基材保持手段に保持された基材に直接高
周波電力を供給することができ、チャンバー内所望部分
に安定なプラズマを形成させることが可能となる。勿論
高周波出力は可変として所望の操作条件を設定できるよ
うにするのがよい。インピーダンスマッチング装置は周
知のインダクタンスとコンダクタンスを組み合わせた同
調回路であってよく、その他の等価回路であっても差し
支えない。
【0015】更に本発明は陰極が高周波遮蔽フィルター
を介して基材保持手段へ接続され陽極が接地された直流
電圧印加電源を具える。これにより、蒸発源から蒸発
し、プラスに帯電した若しくは陽イオン化した粒子は加
速的に基材方向へ飛来し、基材と衝突・堆積して被膜形
成がなされる。一方のマイナス荷電粒子である電子は基
材保持手段の対極であって接地されていることによりプ
ラスに印加されている蒸発源ボート方向に加速的且つ集
中的に飛来し該ボート上の蒸発源に衝突し蒸発源にエネ
ルギーを与える。かくして、熱エネルギーに代わる高い
エネルギーを得た蒸発源は低温でも容易にチャンバー内
プラズマ形成領域へと蒸発していく。勿論当該直流電圧
印加電源の印加電圧は可変として、粒子の飛来エネルギ
ーを調節するなど所望の操作条件を設定できるようにす
るのがよい。
【0016】なお、本発明の構成を採るときは、蒸発源
ボート等が内部に配置されているチャンバー自体は電極
とは無関係に接地から絶縁されているので、チャンバー
内電子はチャンバー器壁上へ分散飛来して中和消滅する
ようなことはなく、実質的にほとんどの電子が蒸発源ボ
ートへと集中し高密度な電子ビームとなる。
【0017】また、本発明ではこのようにしてコントロ
ール可能な豊富な量の蒸発源粒子をコントロール可能な
エネルギーで基材に衝突させるので、蒸着物質の基材表
面上への単なる飛来堆積だけでなく、基材表面上で形成
された蒸着物質層の分子若しくは原子配列を安定な状態
に再配列できるエネルギーを持っているので、若しくは
基材内に浸透順応さえする余裕もあるので、形成される
被膜は緻密で密着性に優れた良質なものが得られるのが
特徴である。
【0018】上記の構成により上記のような本発明の特
徴を発現可能とすることにより、本発明は従来にない優
れたイオンプレーティング装置即ちデポジションアシス
ト蒸着装置を提供するものである。
【0019】本発明のボート加熱手段には温度調節手段
がまた蒸発源ボートには電子集中調節手段を具えること
が望ましい。加熱手段の温度調節手段は単にボート又は
加熱体へ流す電流若しくは加える電圧の調節であっても
差し支えない。これにより基材の耐熱性などを考慮した
操作条件の設定が可能となる。電子集中調節手段は、蒸
発源の電子線照射面積を調節するためのボートの平面面
積を調節してもよいし、ボート前面に絞り若しくはスリ
ットを置くのもよい。場合によっては、電場・磁場を組
み合わせた電子レンズ若しくは行路変更手段も可能であ
る。このようにして加熱エネルギーと電子照射エネルギ
ーの組み合わせを自在に設定できるようにすれば、広範
な材質の基材に対して、広範な材質の蒸発源を蒸着する
ことができ、各種材料に各種薄膜を形成した材料の提供
が可能となり、工業的利用価値が高まる。
【0020】更に本発明は、少なくとも蒸着材料のみか
らなるプラズマを形成する高周波イオンプレーティング
蒸着による薄膜形成方法であって、真空にしたチャンバ
ー内において蒸発源を加熱すること及び電子を衝突させ
ることにより蒸発源を蒸発させ、該チャンバー内に配置
された基材にプラズマ形成エネルギーとして高周波電力
を供給し、粒子運動エネルギーとして直流電圧を印加し
且つチャンバー内プラズマの電子をボート上の蒸発源に
集中して衝突させることにより低温度で蒸発源を蒸発可
能として、基材温度を上昇させないように蒸着材料を基
材に蒸着させて、緻密かつ基材に密着した薄膜を形成す
ることを特徴とする。
【0021】電子を蒸発源に集中して衝突させる方法を
更に具体的にのべると基材を高周波電源の片極及び直流
電圧の陰極とし、蒸発源ボートを蒸発源高周波電源のも
う一方の片極及び直流電源の陽極として接地し、チャン
バーを該接地から絶縁して行うことを特徴とする。
【0022】供給する高周波電力の周波数は13.5M
Hz近辺などが一般的だが、特に限定するものではな
く、対象となる基材の材質、蒸発源の物質、形成すべき
薄膜の設定仕様、必要な被膜形成速度などに応じて操作
性のよい周波数を選ぶべきである。同時にその出力も例
えば150乃至200mWが一般的だが、前記同様の観
点からこの範囲を出ても差し支えない。
【0023】基材に印加する直流電圧は前記した作用効
果をもたらすものであるが、本発明ではその電圧を特に
限定しないが、やはり前記した対象となる基材の材質、
蒸発源の物質、形成すべき薄膜の設定仕様、必要な被膜
形成速度など及び他の操作条件との関係に応じて選択す
べきである。
【0024】本発明の大きな特徴は基材の温度を上昇さ
せずに、基材に薄膜を形成させうることであり、略常
温、更に詳しくは100°C以下、好ましくは40°C
以下の温度で薄膜を形成させることを特徴とする。これ
により、プラスチック製の光学部材の新規な表面コー
ト、例えばカメラ用レンズ、眼鏡用レンズへの新規な反
射防止用コーティング、新規なハードコーティングなど
実用的用途に望まれる技術として意義がある。
【0025】本発明のチャンバー化内プラズマは蒸発材
料だけからなるプラズマで可能だが、他に少なくとも一
種の不活性ガスのプラズマが更に加わることがあって
も、その目的によっては構わない。更に、希ガスのみな
らず窒素のようなガスを導入して窒化物被膜を形成をせ
しむるのも、またシランなど化合物ガスを導入して関連
化合物被膜を形成をせしむるのも可能でありそれを妨げ
るものではない。
【0026】本発明は基材温度を制御できるのが特徴で
あるが、基材温度に影響するのは専らと言えるほど蒸発
源ボートから発する輻射熱によるものであるから、基材
温度を適度に調節する必要がある。しかし所定速度で基
材に蒸着し被膜が形成されるには蒸発源から所定速度で
蒸発源を蒸発させる必要がある。そこで電子線の集中量
を調節する必要性も生じる。即ち本発明では、電子線の
エネルギーと加熱エネルギーとの適切なバランスを図る
ところに特徴がある。よって、本発明は蒸発源ボートの
温度と蒸発源ボートへ集中する電子の量を調節して、所
望の基材温度における薄膜形成速度若しくは所望の薄膜
形成速度における基材温度を制御することを特徴とす
る。例えば弗化マグネシウム、二酸化珪素などの低融点
蒸発源による薄膜形成の場合は蒸発源の面積を広くし
て、アルミナ、酸化チタン、ジルコニアなど高融点蒸発
源による薄膜形成の場合は蒸発源の面積を狭くして電子
によるアシストの度合いを調節することができる。
【0027】本発明は前記したように広い条件での薄膜
形成が可能なため広い範囲の蒸発源、広い範囲の基材を
選択可能である。更に詳しくは本発明は基材がガラス、
セラミックス、金属、プラスチックスであり、蒸発源が
金属、金属酸化物、金属塩類、等の無機化合物及びオル
ガノポリシロキサンなどの有機金属高分子化合物を含む
高分子化合物であることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しながら、実施
例に基づいて本発明を詳しく説明する。図4は従来のイ
オンプレーティング蒸着機を示す概念図である。
【0029】
【実施例1】図1は本発明のデポジションアシスト蒸着
装置を示す概念図である。11は真空にすることが可能
なチャンバーで、接地されていない。1は蒸発源ボート
で接地されていて、ボート自体に加熱電源3により電流
を流し発熱させる。9は蒸発源で、ボートから熱を受け
て真空中のチャンバー内に蒸発する。2は基材保持手段
及び支持手段であって、基材10をチャンバー内に保持
すると共に基材10へ高周波電力を供給及び直流電圧を
印加する端子となる。5は高周波電源で4のマッチング
装置と7の直流遮蔽フイルターであるコンデンサーを経
て基材保持手段に接続し、もう一方は接地する。6は直
流電源でそのマイナス側を高周波遮蔽フィルターである
コイルを通じて基材保持手段に接続し、プラス側を接地
する。
【0030】蒸発源ボート1に乗せられた蒸発源即ち蒸
着材料9は加熱電源3の電流で加熱されて蒸発し、蒸発
源即ちコート材料からなる蒸発粒子が生成する。当該基
材には前記構成により出力50〜800mW、周波数1
3.56Mhzの高周波を付加し、基材近傍金に達した
蒸発粒子をイオン化する。イオン化された粒子を含む蒸
発粒子は、基材に印加された直流バイアスにより基材表
面へ引き寄せられ付着する。
【0031】一方解離した電子は基材との反対側の蒸発
源側に引き寄せられる。この時、蒸発源からは次々と蒸
発材料が蒸発しているので、引き寄せられた電子と衝突
して、プラズマの足が蒸発源に下りたような形に発光体
が蒸発源近傍に見られる。そして蒸発源近傍に集まった
電子は接地されている蒸発源ボートに吸い込まれてい
く。この時、蒸発源ボートの上には蒸発材料が乗せられ
加熱蒸発が進行しているが、飛来した電子が吸い込まれ
ときに蒸発材料をスパッタしより蒸発が促進される。
【0032】このような状況が出現して、プラズマが安
定すると蒸発源の蒸着材料はプラズマに吸い上げられる
ように蒸発するので基材に付着する蒸発材料の付着速度
を一定に保つために、ボートの加熱電流を下げて、加熱
による蒸発速度を調節する。スパッタされて蒸発した粒
子は同様にしてイオン化され基材に付着する。解離した
電子は蒸発源に飛来して次のスパッタに寄与する。この
繰り返しにより安定化すると、加熱源電流値は低く押さ
えることができ、従来よりも低い加熱温度で蒸着材料の
蒸発が継続して保持され、本発明のデポジションアシス
ト効果が発揮されることになる。
【0033】即ち、蒸発速度=(加熱による蒸発速度)
+(デポジションアシスト効果による蒸発速度)が保た
れ、デポジションアシスト効果が大きくなると、蒸発源
からの輻射熱は抑えられ、基材への影響が小さくなるの
で、基材の温度を上昇させないで薄膜の形成ができ、本
実施例の場合30℃以下の温度を保持しながらコーティ
ングを持続できた。
【0034】本発明を実施してコートした薄膜の基材へ
の密着性と緻密性を従来技術の方法と比較するために、
両方法で酸化チタン/酸化珪素多層被膜の蒸着を行った
サンプルについて、摩耗試験の結果を写真で示したもの
を図2に掲げる。Aが従来法、Bが本発明の方法であ
る。試験方法は、検査用標準消しゴムに2kgの荷重を
加え、200回往復させた後の表面の顕微鏡写真であ
る。これにより、本発明のコート膜は若干の傷の発生は
あるものの、剥離は全く生じていないこが判り、硬さ密
着性が著しく改善された。
【0035】又図3は従来技術と本発明の技術との比較
において、蒸発源と基材の温度変化を操作の経時に応じ
て追跡したグラフせある。これにより、本発明の装置及
び方法がいかに低温度に保って蒸着を進行させることが
可能かわかる。
【0036】
【実施例2】本発明において、蒸発源の面積を変えるこ
とで、飛来する電子の密度を変えてデポジションアシス
ト効果を任意に設定できた。
【0037】面積の小さな蒸発源を使用した場合は、飛
来する電子の密度が高くなるのでスパッタによるデポジ
ションアシスト効果が大きくなり高融点材料の蒸着に良
好な結果が得られた。また、広い面積の蒸発源では飛来
する電子が分散して低くなるので、デポジションアシス
ト効果が緩やかに作用するので、低融点コート材料や高
分子有機材料の蒸着に良好な結果が得られた。
【0038】
【発明の効果】本発明は高い温度で変質し易い材質の基
材が対象であっても、広範な材料から選択できる所望の
被膜を当該基材上に形成可能な装置と方法の提供を可能
にした。更に本発明は緻密で、密着性の高い被膜を広範
な材質の基材上に広範な被膜形成材料をもってして形成
しうる装置と方法の提供を可能にした。更に本発明は安
定したプラズマを形成して、被膜形成速度の高い条件を
容易に持続設定可能な操作性にすぐれたイオンプレーテ
ィング装置の提供をも可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するための装置の一例の概念図
である。
【図2】 本発明の実施によりコートした薄膜の基材へ
の密着性と緻密性を従来の技術による方法と比較する顕
微鏡写真である。
【図3】 本発明と従来技術を比較実施して、蒸発源及
び基材の温度変化を径時的に追跡したグラフである。
【図4】 従来技術を実施するための装置の一例の概念
図である。
【符号の説明】
1 蒸発源ボート 2 基材保持手段及び支持手段 3 加熱電源 4 高周波インピーダンスマッチング装置 5 高周波電源 6 直流電源 7 直流遮蔽フィルター 8 高周波遮蔽フィルター 9 蒸発源 10 基材 A 従来技術によるコート面のテスト結果を示す顕
微鏡写真 B 本発明の実施によるコート面のテスト結果を示
す顕微鏡写真

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一種類の蒸着材料の蒸発粒子
    ガスのみからなるプラズマを形成する高周波イオンプレ
    ーティング蒸着装置において、 真空となる接地されていないチャンバー、当該チャンバ
    ー内に配置されている蒸着被膜の原料となるべき蒸発材
    料を収納する接地されたボート、該ボートを加熱する手
    段、蒸着被膜を形成すべき基材を保持する導電性部材か
    らなる基材保持手段及びチャンバーと同電位の導電性部
    材からなり絶縁性部材を介して該基材保持手段を支持す
    る支持手段並びに、高周波電力供給電源であって片極が
    接地され片極が高周波電力供給用インピーダンスマッチ
    ング装置を経、直流遮蔽フイルターを介して高周波基材
    保持手段へ接続することにより直接基材に高周波電力を
    供給するように構成した高周波電力供給電源、陽極を接
    地し陰極を高周波遮蔽フィルターを介して基材保持手段
    へ接続することにより基材・ボート間に直流電圧を印加
    するように構成した直流電圧印加電源及び前記高周波電
    力供給用インピーダンスマッチング装置を具えた、チャ
    ンバー内プラズマの電子がボート上の蒸発源に集中して
    衝突するようにしたことを特徴とするデポジションアシ
    スト蒸着装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも一種類の不活性ガスのプラズ
    マが更に加わることを特徴とし、少なくとも一種の不活
    性ガスの供給手段を更に具えた請求項1記載のデポジシ
    ョンアシスト蒸着装置。
  3. 【請求項3】 ボート加熱手段の温度調節手段及び蒸発
    源の電子集中調節手段を具えた請求項1及び2記載のデ
    ポジションアシスト蒸着装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも一種類の蒸着材料のみからな
    るプラズマを形成する高周波イオンプレーティング蒸着
    による薄膜形成方法において、真空にしたチャンバー内
    において蒸発源を加熱すること及び電子を衝突させるこ
    とにより蒸発材料を蒸発させ、当該チャンバー内に配置
    された基材にプラズマ形成エネルギーとして高周波電力
    を供給し、粒子運動エネルギーとして直流電圧を印加し
    且つチャンバー内プラズマの電子をボート上の蒸発材料
    に集中して衝突させることにより低温度で蒸発材料を蒸
    発可能として、基材温度を上昇させないように蒸着材料
    を基材に蒸着させることを特徴とする薄膜形成方法。
  5. 【請求項5】 電子を蒸発源に集中して衝突させる方法
    が、基材を高周波電源の片極及び直流電圧の陰極とし、
    蒸発源ボートを蒸発源高周波電源のもう一方の片極及び
    直流電源の陽極とすることからなる請求項3記載の薄膜
    形成方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも一種類の不活性ガスのプラズ
    マが更に加わることを特徴とする請求項4及び5記載の
    薄膜形成方法。
  7. 【請求項7】 蒸発源ボートの温度と蒸発源ボートへ集
    中する電子の量を調節して、所望の基材温度における薄
    膜形成速度若しくは所望の薄膜形成速度における基材温
    度を制御することを特徴とする請求項4乃至6記載の薄
    膜形成方法。
  8. 【請求項8】 基材がガラス、セラミックス、金属、プ
    ラスチックスであり、蒸発源が金属、金属酸化物、金属
    塩類、等の無機化合物及びオルガノポリシロキサンなど
    の有機金属高分子化合物を含む高分子化合物である請求
    項4乃至7記載の薄膜形成方法。
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