JP2001138323A - ビルドアップ用フィルムの製造方法 - Google Patents

ビルドアップ用フィルムの製造方法

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JP2001138323A
JP2001138323A JP32517499A JP32517499A JP2001138323A JP 2001138323 A JP2001138323 A JP 2001138323A JP 32517499 A JP32517499 A JP 32517499A JP 32517499 A JP32517499 A JP 32517499A JP 2001138323 A JP2001138323 A JP 2001138323A
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Yoshiyuki Ishii
義行 石井
Akihiro Kato
明宏 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度プリント配線板の製造に必要な半硬化
性フィルムを本質的に溶媒を用いることなく製造する方
法を提供する。 【解決手段】 プリント基板用絶縁フィルムを製造する
工程において、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を必須成分
として用い、熱可塑性樹脂を熱硬化性樹脂に溶媒を用い
ることなく溶解させてフィルムを製造する成形加工方法
であり、熱可塑性樹脂を熱硬化性樹脂に溶解させる工程
において、一旦両者が均一となる温度領域で溶解させ
て、かつ系の流動性を実質的に支配している相が、ゲル
化点以前で、かつ、ガラス転移温度以上の温度でフィル
ム状に成形加工されていることを特徴とする半硬化性フ
ィルム製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層配線板、例え
ば、半導体素子収納用パッケージなどに適した多層配線
板の製造に用いられる半硬化性フィルムの製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、配線板、例えば、半導体素子
を収納するパッケージに使用される多層配線板として、
樹脂を含む絶縁性基板表面に銅箔を接着した後、これを
エッチングして微細な回路を形成し、しかるのちにこの
基板を積層して多層化したプリント配線板が提案され使
用されている。また、最近では、更に精密で高密度な回
路を有する多層プリント配線板が求められるようになっ
ている。このような要求に対し、従来の多層プリント配
線板では、基板を貫通するスルーホールを形成しその内
部にメッキ等を施して層間の接続を行うため、スルーホ
ールによって回路設計が制限され高密度配線が難しかっ
た。このため、所定の基板表面に絶縁層と配線回路層を
交互にコーティング及びメッキ等、あるいはビアホール
形成等を施して多層化する所謂ビルドアップ工法が開発
されている。
【0003】一般には、ビルドアップ工法には、銅箔上
に未硬化樹脂フィルムがラミネートされている樹脂付き
銅箔を回路上に積層し、表面の銅箔にエッチングで回路
を形成するサブトラクティブ工法、および、銅箔のつい
ていない未硬化樹脂フィルムを回路に直接積層、硬化
し、その後、硬化フィルム上に無電解めっきで回路を形
成するアデイティブ法が知られている。絶縁層に用いら
れている樹脂としては、積層工程において空隙を残すこ
となく回路に樹脂を十分流し込むこと、及び、成形後は
その後加工過程にたえうるだけの弾性を有する必要性か
ら、古くから熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂が使用さ
れてきた。
【0004】しかしながら、近年の電子機器の高性能化
にともない、電気特性、耐熱性、耐吸水性の点からエポ
キシ樹脂単独では、対応し切れなくなりつつある。エポ
キシ樹脂等を含む熱硬化性樹脂の特性を改善する手段と
しては、熱可塑性樹脂を配合する方法が知られている。
例えば、特開平11−87927号公報や特開平11−100562号
公報では、各種熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の組み合わ
せが開示されている。この配合方法では両成分を均一に
混合し、フィルム状に成形加工するために、本来最終製
品形態である未硬化フィルムには実質的に含まれない溶
媒を使用しており、したがって、環境の観点、およびコ
ストの点からなお一層の改善が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ビルドアッ
プ方式の多層途配線板の製造において用いられるビルド
アップ用半硬化性フィルムを溶媒を用いずに製造する方
法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱硬化性
樹脂と熱可塑性樹脂の相溶性と、硬化過程を詳細に検討
することによって、本発明を完成するに至った。即ち、
本発明は、(1) 熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を必須
成分として用い、両者が均一となる温度領域で、溶媒を
用いることなく熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に溶解させ
た後に、系の流動性を実質的に支配している相が、ゲル
化点以前で、かつ、ガラス転移温度以上の温度で成形加
工することを特徴とする半硬化性フィルムの製造方法、
(2) 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、トリアリルイ
ソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ベンゾオキ
サジン樹脂、シアネートエステル樹脂であることを特徴
とする上記(1)の半硬化性フィルムの製造方法、
(3) 熱可塑性樹脂がポリフェニレンエーテルである
ことを特徴とする上記(1)又は(2)の半硬化性フィ
ルムの製造方法、(4) 上記(1)、(2)又は
(3)の半硬化性フィルム製造方法で製造された半硬化
性フィルム、である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける樹脂の組み合わせとしては、熱硬化性樹脂と熱可
塑性樹脂を必須成分とするものである。熱可塑性樹脂と
して具体例を挙げれば、ポリオレフィン樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、不飽和も
しくは飽和環状ポリオレフィン系などが挙げられるが、
ビルドアップ用樹脂としての特性を満足するものであれ
ば上記例に特定されるものではない。中でもポリフェニ
レンエーテルが耐熱性と電気特性の観点から好ましい。
【0008】一方、熱硬化性樹脂として具体例を挙げれ
ば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹
脂、シアネートエステル系樹脂、ジアリルフタレート系
樹脂、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レート、ベンゾオキサジン系樹脂などが挙げられるが必
ずしも上記例に特定されるものではない。中でもエポキ
シ樹脂、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシア
ヌレート、ベンゾオキサジン樹脂が電気特性と耐熱性の
観点から好ましい。
【0009】該熱硬化性樹脂と該熱可塑性樹脂の組合せ
は、加熱により軟化し、フィルムに成形でき、かつ、成
形後に耐熱性、電気特性などビルドアップ用樹脂に要求
される特性を満足するものであれば特に限定されるもの
ではないが、ポリフェニレンエーテルとトリアリルイソ
シアヌレート、ポリフェニレンエーテルとトリアリルシ
アヌレート、ポリフェニレンエーテルとエポキシ樹脂の
組合せが好ましく、ポリフェニレンエーテルとエポキシ
樹脂の組合せが特に好ましい。また、熱硬化性樹脂、熱
可塑性樹脂をそれぞれ2種以上組み合わせて使用した
り、多層構造を有するフィルムとすることも可能であ
る。
【0010】熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との配合割合
は、両者の合計重量100重量部に対して熱硬化性樹脂
が10〜90重量部が好ましく、より好ましくは40〜
80重量部の範囲である。熱硬化性樹脂が10重量部未
満では、樹脂の流動性、ひいては成形加工性が低下する
ので好ましくない。一方、熱硬化性樹脂が90重量部を
超えると誘電特性が低下し、また得られる半硬化性フィ
ルムが非常にもろくなるので好ましくない。
【0011】本発明においては、その性能を損なわない
範囲において熱硬化性樹脂の硬化剤および硬化促進剤を
用いることが可能である。例えばエポキシ樹脂には、ジ
シアンジアミド、イミダゾール類、フェノール樹脂など
が好ましく、トリアリルイソシアヌレート及び/または
トリアリルシアヌレートには、ラジカル開始剤が好まし
い。これらの硬化剤および硬化促進剤の添加量は熱硬化
性樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部の範囲に
あるのが好ましい。0.01重量部未満では、硬化剤として
作用することができず、また15重量部を超えると硬化
しすぎて脆くなり好ましくない。
【0012】また、公知慣用の添加剤を使用することも
可能である。例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、
チタン酸バリウム、酸化ケイ素紛、無定形シリカ、タル
ク、クレー、雲母紛などの無機充填剤、三酸化アンチモ
ン、五酸化アンチモンなどの難燃助剤、シリコンパウダ
ー、ナイロンパウダー、フッ素パウダーなどの有機充填
剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、
シランカップリング剤等の密着性付与剤のような添加剤
を使用できる。また、必要に応じて、フタロシアニンブ
ルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、
ジスアゾイエロー、酸化チタン、カーボンブラックなど
の公知慣用の着色剤を用いることができる。
【0013】本発明において、熱可塑性樹脂は熱硬化性
樹脂に溶解することが必要である。ここで本発明での溶
解の原理、およびその確認方法について説明する。一般
に異なる2種類の有機物IとIIを混合した場合、組成お
よび温度を変数とした相図(phase diagram)を定義する
ことができる。有機物の組み合わせによっては、実用的
な全領域で相溶する場合や、逆に全領域で相溶しない場
合があるが、この現象は、相溶した場合の自由エネルギ
ーが相溶しない2相における自由エネルギーの合計に比
べて低いかどうかで、つまり混合に伴う自由エネルギー
の差がどうなるかで決定される。
【0014】相図の例を図1に示す。この相図は高温溶
解型(Upper Critical Solution Temperature、略してUC
ST型)相図と呼ばれるものであり、一般的に高分子−低
分子の系によく見られるものである。これとは逆に低温
で溶解する例もあり、その場合には低温溶解型(Lower C
ritical Solution Temperature、略してLCST型)相図と
呼ばれている。図1に見られる相図中ではバイノーダル
曲線とスピノーダル曲線とを記載しているが、非相溶領
域のなかでも、スピノーダル曲線の内側を不安定領域と
いい、スピノーダル曲線とバイノーダル曲線に挟まれた
領域を準安定領域と呼ばれている。準安定領域において
は、相分離は何らかの活性化が必要となるものの、不安
定領域では、相分離は自発的に進行する。本発明の、両
者が均一になる温度領域とはバイノーダル領域の外側で
ある。
【0015】両者が均一になる温度領域以外のところで
溶解を行うと、両成分の溶解が不充分となり、最終形態
のフィルムに不均一な領域が生じてしまい、ひいてはフ
ィルムの物性のむらを引き起こしてしまうので、好まし
くない。この均一な領域についての温度領域を判断する
方法としては、通常の相分離解析技術をそのまま用いる
ことができるが、特に試料をホットステージ上にセット
して、光学顕微鏡あるいは、光散乱装置にて、試料が不
均一になる点を調べていく方法が好ましい。
【0016】本発明で両者の混合に用いる装置として
は、特に限定されるものではないが、一般に用いられる
高分子の混錬機がそのまま用いられる。均一に要する時
間が節約できるという観点から2軸押出機を用いてもよ
い。両者を混合するに工程では、前述した硬化剤を添加
せずに混錬する事が好ましい。次に熱可塑性高分子と熱
硬化性高分子の溶融体を、フィルム状に成形加工する方
法について述べる。
【0017】均一な状態から、一般に高分子を所望の形
状、例えばフィルム状に成形するためには、溶融体の状
態から完全に固体になる前までに成形を行う必要があ
る。ここで、上記の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を
必須成分とする樹脂組成物は均一に溶解している状態か
ら、温度変化あるいは反応の進行に伴い、相分離を起こ
す場合がある。通常は、連続相と分散相とに相分離し、
熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂がそれぞれ相図にした
がって、各相に分配するが、系の流動性を実質的に支配
している相とは通常連続相である。もちろん、熱硬化性
樹脂と熱可塑性樹脂の相溶性が高い場合、つまり、相分
離が見られない場合は、全体が系の流動性を支配してい
ることになる。
【0018】上記系の流動性を決定する因子としてはゲ
ル化と、ガラス化が挙げられる。まず、ゲル化について
説明する。高分子が液状の様相を呈している状態から固
体に転移する状態はゲル化と呼ばれており、特に熱硬化
性樹脂の成形加工の場合、ゲル化が成形可能な範囲を決
めている。ゲル化が起こる点は、ゲル化点と呼ばれ、そ
の状態に至るまでの時間(ゲルタイムという)あるい
は、官能基の反応率で表されることが多い。系の流動性
を実質的に支配している相のゲル化がいつ起こるかを調
べる方法としては、粘性を調べる方法が一般的である。
特にパラレルプレートを用いたレオメーターで、弾性
率、粘性率の周波数依存性を追跡し、損失tan δ( =
損失弾性率を複素弾性率で割ったもの)が、全ての周波
数領域において一致する点を、系の流動性を実質的に支
配している相のゲル化点とするのが正確である。(Poly
mer Processing and Structure Development(Arthur N.
Wilkinson and Anthony J. Ryan, KluwerAcademic Pub
lishers,1999)を参照のこと。)ここでいう系の流動性
を実質的に支配している相とは、2相に相分離を起こし
ている場合は、連続相であり、相分離を起こしていな
い、すなわち均一な場合は全体となる。
【0019】一方、一般に高分子はガラス転移温度を有
しており、ガラス転移温度以上の領域では、樹脂は軟化
しやすくなる。したがって、本発明のような成形加工を
する上では、少なくとも系の流動性を実質的に支配して
いる相のガラス転移温度以上である必要がある。2成分
系で、相分離がおきた場合のガラス転移温度は通常2つ
観測されるが、連続相が分散相よりも熱可塑性樹脂を大
量に含んでいること、熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂のガ
ラス転移温度よりも高温であることから、本発明におい
て、系の流動性を実質的に支配する相のガラス転移温度
は高温側となる。(ガラス転移温度以上の溶融挙動につ
いては、Polymers:Chemistry and Physics of Modern M
aterials, (L. H. Cowie Blackie A&P, 1991)を参照の
こと)。
【0020】ガラス転移温度(Tg)の測定について
は、通常の熱分析(DSC:示差走査熱分析、 TMA:熱機械
膨張測定、 DMA:動的粘弾性熱分析)などが挙げられ
る。また、電子顕微鏡撮影によるモルフォロジー解析
が、連続相を呈しているかどうかについての指標とな
る。系の流動性を実質的に支配している相のガラス転移
温度は、例えば、試料をDSCサンプルパンに挿入し、一
定昇温温度で(例えば10℃/min)測定を行い、検出さ
れたガラス転移温度(基線の変曲点)のうち高温側をと
ることによって測定することが可能である。
【0021】以上のように本発明の成形加工において
は、ゲル化とガラス化の両転移が成形加工可能となる限
界点を支配することになるが、ゲル化あるいはガラス化
のどちらか一方が起こった段階で所望の形状に加工する
事が困難となる。したがって、ゲル化とガラス化が行わ
れないようにフィルム状に加工しなければならないので
あり、所望の材料に対して上述のゲル化およびガラス化
に関する転移条件を、上述のレオメーター、およびDSC
などの熱分析で詳細に検討した上で製造条件を決定する
事が必要である。
【0022】次にフィルムへの成形方法について述べ
る。フィルムへの成形は、通常T-ダイを装着した押出機
による押出成形が好ましく、圧縮成形による方法で行っ
てもよい。また、所望の厚みに成形するために、後工程
としてカレンダーロールや、再度圧縮成形を行うことも
可能であるが、上述したように系の流動性を実質的に決
める相のゲル化あるいはガラス化が起こる前に成形加工
を行わなければならない。成形温度については、系の流
動性を実質的に支配する相のガラス転移温度よりも、少
なくとも10℃、好ましくは20℃以上、100℃以下
が望ましい。10℃未満では、少しではあるがガラス化
影響を受け、加工性に劣るので望ましくない。また、1
00℃を超えると、熱硬化性樹脂の反応が急速に始まっ
てしまうので好ましくない。また、成形に要する時間
(硬化剤を添加後、成形終了までの時間)は、短時間で
あるほど、ゲル化反応の進行を進めることなく、かつ、
生産性の向上にも寄与するが、例えば圧縮成形機では1
分〜5分の間が好ましい。1分未満では、フィルム表面
の平滑性や、厚み精度を十分に出すことが困難であり、
また5分を超えると、硬化が進行しすぎてしまうために
好ましくない。また、実際にゲル化点にいたる時間を測
定する温度としては、成形温度よりも高温(通常5〜5
0℃)で測定を行い、得られたゲル化点にいたる時間
(ゲルタイム)よりも短い時間で成形を行う方法が好ま
しい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に製造例、実施例及び比較例
を示して本発明を具体的に説明するが、系の流動性を実
質的に支配している相のガラス転移温度および、ゲルタ
イムの測定は以下のように行った。ガラス転移温度:セ
イコー電子工業(株)製 DSC6200を使用した。試料を
10mg秤量し、アルミニウムパンに密閉し、窒素下、
昇温速度10℃/minで−50℃から250℃まで測定を行っ
た。ガラス転移温度は、基線の接線と、変曲が最大とな
る点の接線の交点とした。ガラス転移温度が2つ現れる
場合、高温側のガラス転移温度を系の流動性を実質的に
支配している相のガラス転移温度とした。ガラス転移温
度が1つしか現れない場合は、この点を系の流動性を実
質的に支配している相のガラス転移温度とした。
【0024】ゲルタイム:レオメーターは、レオメトリ
ックス社製RMS-800製を使用した。パラレルプレートに
サンプルを挟んで、市販の多重周波数プログラム(FAW-M
WQ)を使って、複素弾性率、損失弾性率の経時変化を追
跡し、損失(tan d)の周波数依存性のない点をゲル化点
として求めた。
【0025】
【実施例1】ポリフェニレンエーテル樹脂(旭化成工業
(株)製 数平均分子量30000、重量平均分子量5
0000)50重量部、液状ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂(旭チバ(株)製 AER260 エポキシ当量
180)50重量部をラボプラストミルにて185℃、
1時間かけて混合した。混合直後の状態は透明であっ
た。また、このサンプルをホットステージ上に載せて、
光学顕微鏡にて冷却過程の様子を観察したところ160
℃でサンプルが曇り始めた。
【0026】
【比較例1】実施例1と同じ配合比のポリフェニレンエ
ーテルと液状エポキシ樹脂とをラボプラストミルにて1
50℃、1時間かけて混合した。混合直後の状態は、不
透明であり、一部ポリフェニレンエーテルが未溶解な部
分が見られた。
【0027】
【実施例2〜7】表1に示すような組み合わせの熱可塑
性樹脂と、熱硬化性樹脂をラボプラストミルで混錬し
た。表1中の重量部は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との
合計重量100重量部に対する値である。混錬時間、及
び混練温度を表1に示した。均一性を確認してから、硬
化剤を入れ1分ほど混合した。樹脂組成物をすばやく掻
き出し、表1に示した条件にて、あらかじめ加温してい
る37トンプレスにて面圧2MPaで圧縮成形を行い、約6
0μmのフィルムを作成した。得られたフィルムは可と
う性のあるしなやかなものであった。なお、表1には各
組成において、実質的に系の流動性を決めている相のガ
ラス転移温度(Tg)、およびゲルタイム(ゲル化に要
する時間)を示している。
【0028】実施例で得られた厚み約60μmのフィル
ムを線間100μmピッチ、銅箔厚み18μmの内層回路を
有する基板上にラミネートし、面圧2MPa、180℃で1時
間ほど加圧プレスを行った。積層後、基板を切断し、断
面を研磨し、光学顕微鏡で観察を行った。内層の回路凹
凸部には樹脂が一様に充填されていた。
【0029】
【比較例2】表1に示した条件でフィルムを成形し、実
施例2と同様にフィルムを作成した。得られたフィルム
は、可とう性のない、むらのあるものであった。これを
実施例2と同様に内層回路基板にラミネートし、加圧積
層したが、内層の回路凸凹部には、空隙が観測された。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】本発明の半硬化性フィルム製造方法は、
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の特性を兼ね備えたフィル
ムを、溶媒を用いることなく製造できる方法であり、生
産性が環境の観点から、あるいは生産性の面から、大い
に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高温で均一な樹脂組成物を形成する高温溶解型
(UCST型)相図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を必須成分
    として用い、両者が均一となる温度領域で、溶媒を用い
    ることなく熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に溶解させた後
    に、系の流動性を実質的に支配している相が、ゲル化点
    以前で、かつ、ガラス転移温度以上の温度で成形加工す
    ることを特徴とする半硬化性フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、トリア
    リルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ベン
    ゾオキサジン樹脂、シアネートエステル樹脂であること
    を特徴とする請求項1記載の半硬化性フィルムの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂がポリフェニレンエーテル
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の半硬化性
    フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の半硬化性フィ
    ルム製造方法で製造された半硬化性フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012107191A (ja) * 2010-10-25 2012-06-07 Fujifilm Corp 半硬化物、硬化物およびそれらの製造方法、光学部品、硬化樹脂組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012107191A (ja) * 2010-10-25 2012-06-07 Fujifilm Corp 半硬化物、硬化物およびそれらの製造方法、光学部品、硬化樹脂組成物

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