JP2001137707A - 触媒及び芳香族カーボネートの製造方法 - Google Patents

触媒及び芳香族カーボネートの製造方法

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JP2001137707A
JP2001137707A JP32119899A JP32119899A JP2001137707A JP 2001137707 A JP2001137707 A JP 2001137707A JP 32119899 A JP32119899 A JP 32119899A JP 32119899 A JP32119899 A JP 32119899A JP 2001137707 A JP2001137707 A JP 2001137707A
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Akinobu Yoshisato
瑛信 善里
Masaharu Muramoto
雅晴 村元
Hirotaka Suzuki
啓高 鈴木
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ヒドロキシ化合物と一酸化炭素及び酸
素を反応させることによる芳香族カーボネートを経済的
かつ効率的に製造することを可能にする高い活性と選択
性を示す支持触媒、並びに、該触媒を用いた芳香族カー
ボネートの製造方法を提供する。 【解決手段】 酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタン
に、パラジウム等の貴金属とPb,Bi,Sn,Tlか
らなる群から選ばれる少なくとも1種の金属又はそれら
の化合物とを担持してなる液相不均一触媒であって、か
つ該触媒中に占めるパラジウム等の貴金属が0.01〜
15重量%である触媒。該触媒により、第4級アンモニ
ウム塩又はホスホニウム塩及びレドックス剤の存在下
に、芳香族ヒドロキシ化合物、一酸化炭素及び酸素から
芳香族カーボネートを経済的かつ効率的に製造すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な液相不均一触
媒及びその触媒を用いて芳香族ヒドロキシ化合物を一酸
化炭素及び分子状酸素と反応させることによって芳香族
カーボネートを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジフェニルカーボネートで代表される芳
香族カーボネートは、ポリカーボネートの原料等として
有用な化合物である。この芳香族カーボネートを製造す
る方法としては、従来、芳香族ヒドロキシ化合物とホス
ゲンを反応させる方法が用いられてきた。しかし、ホス
ゲンは毒性が強いこと、さらに大量の無機塩を副生する
ことから、この方法は工業的製造法としては多くの問題
がある。そこでホスゲンを用いないで芳香族カーボネー
トを製造する方法として、いくつかの方法が提案されて
いる。
【0003】例えば、特公昭56−38144号公報に
はパラジウム触媒の存在下で周期律表のIIIA,IVA,V
A,VIA,IB,IIB,IVB,VB,VIB,VIIB及びVII
IB族の金属を含む化合物並びに塩基を用いてフェノー
ルを一酸化炭素と反応させる方法が記載され、特公昭5
6−38145号公報にはパラジウム化合物とマンガン
錯体又はコバルト錯体、塩基及び乾燥剤を用いる方法が
記載されている。
【0004】また、特開平1−165551号公報には
パラジウム化合物、ヨウ素化合物及びゼオライトを用い
る方法;特開平2−104564号公報にはパラジウム
化合物、マンガン化合物、テトラアルキルアンモニウム
塩及びキノン類を用いる方法;特開平5−58961号
公報にはパラジウム化合物とコバルト、鉄、セリウム、
マンガン、モリブデン、サマリウム、ヴァナジウム、ク
ロム、銅から選ばれた無機化合物と芳香族ケトン、脂肪
族ケトン及び芳香族多環式コールタール炭化水素から選
ばれた助触媒と第4級アンモニウム塩からなる混合物を
用いる方法;特開平6−9505号公報にはパラジウム
化合物、セリウム化合物及び第4級アンモニウム塩等を
用いる方法;特開平6−41020号公報にはパラジウ
ム化合物、マンガン、コバルト、銅から選ばれた無機助
触媒及びニトリル化合物を用いる方法;特開平6−17
2268号公報にはパラジウム化合物、コバルトの5配
位錯体、第4級アンモニウム塩等を用いる方法;特開平
6−172269号公報には、パラジウム化合物とコバ
ルト、マンガン、銅から選ばれた無機助触媒、第4級ア
ンモニウム塩及びテルピリジン等の有機共触媒を用いる
方法;特開平7−10812号公報にはパラジウム化合
物、セリウム化合物及びアルカリ金属ハロゲン化物を用
いる方法;特開平7−145107号公報にはパラジウ
ム化合物、マンガン化合物及びアルカリ金属ハロゲン化
物を用いる方法;特開平8−92168号公報号にはパ
ラジウム化合物、アルカリ金属ハロゲン化物及び活性炭
を用いる方法;特開平8−99935号公報にはパラジ
ウム化合物、鉛化合物及びハロゲン化第4級アンモニウ
ム塩及び銅化合物を用いる方法が記載されている。
【0005】さらに、特開平8−281108号公報に
は金属類Ti,V,Mn,Cr,Fe,Co,Ni,C
u,La,Nb,Mo,Pb,希土類金属類、アクチニ
ド類の酸化物を含む支持体に担持した白金族金属化合物
からなる触媒を用い、マンガン又はコバルト塩のごとき
共触媒、第4級アンモニウム又はホスホニウム塩及び塩
基の存在下に反応させる方法;特開平8−281114
号公報には公知の支持体を用いて白金族金族化合物及び
共触媒として作用する金属化合物を担持した支持触媒を
用い、第4級アンモニウム又はホスホニウム塩及び塩基
の存在下に反応させる方法;特開平8−283206号
公報には白金族金属化合物、マンガン又はコバルト塩の
ごとき共触媒、第4級塩及び塩基に加えて、金族酸化
物、炭化物、窒化物、硼化物等の不均一助触媒を追加的
に用いる方法、がそれぞれ提案されている。
【0006】このような芳香族ヒドロキシ化合物を一酸
化炭素及び分子状酸素と反応させ芳香族カーボネートを
製造するための従来の触媒系は、高価なパラジウム等白
金族化合物にマンガン、コバルト、セリウム金属化合物
等のレドックス剤の使用と第4級アンモニウム塩等の助
触媒の存在が必須である上、さらに高価な塩基や配位子
あるいはヒドロキノンやキノン等の添加物が用いられ、
反応系が複雑で触媒成分と生成物の芳香族カーボネート
との分離が困難なだけでなく、反応の選択率が必ずしも
十分でなく精製も困難であった。また、収率も不十分で
反応率を上げるため全圧力も比較的高くする必要があ
り、かつ操作上爆発混合気体を形成しうるため、その組
成に注意が必要で、安全上の問題もある。
【0007】さらに、従来の方法では、パラジウムのご
とき高価な貴金属を用い、さらにレドックス剤の他比較
的多量の第4級アンモニウム塩を用いるため、工業的に
経済的に実施するためには触媒系の示す活性や選択性だ
けでなく、触媒系を有効に回収し循環使用できることが
きわめて重要となる。そのためにパラジウムを活性炭等
の不均一支持体に担持させるような方法でパラジウム触
媒系の一部あるいは大部分を不均一化して回収循環性を
高める試みがあるが(上記特開平8−92168号公報
等参照)、本発明者らの研究によれば、該触媒は反応生
成物の一部を強く吸着し、反応の持続性を損なう等の欠
点があり、触媒の再生処理が複雑で工業的に用いるには
不適切である。
【0008】一方、上記特開平8−281108号公報
及び特開平8−281114号公報には、レドックス剤
としての作用を持つ金属の酸化物を含む金属の酸化物を
支持体あるいは支持体の一部として用いる方法が提案さ
れているが、反応を高収率で行うためにはソジウムフェ
ノラート等の塩基が必要とされている。かかる塩基の存
在は、助触媒の4級アンモニウム塩の回収、循環使用を
困難にし、経済的な実施を不可能にしている。またパラ
ジウム等貴金属化合物の担持力も不十分な場合があり、
パラジウム金属及び支持体の成分等が反応溶液中に溶解
してしまうため、結果として経済的な方法とは言えな
い。
【0009】また、触媒として不溶性の支持体にパラジ
ウム等の貴金属を担持した触媒系では、本発明者らが詳
細に検討した結果、気・液・固の3相系の反応のため、
効率よく行うためには強制的な高速攪拌で、境膜拡散律
速を避けて行う必要のあることがわかった。かかる条件
の反応で高収率・高選択率を与えるだけでなく、長寿命
の不均一触媒系を与えることが望まれている。
【0010】本発明者らは、上記の問題を解決する触媒
系として、先に、PCT/JP/98/03473号(W
O99/06142号)において、ペロブスカイト型の
複合酸化物に着目し、その組成物の中から支持体成分と
してきわめて有効なものを見出し、下記式(1)又は
(1') M(1-x)M’xM”Oy ‥‥ (1) (式中、Mは周期律表IIIB族金属を示し、xは0〜1
の数値を示し、M’はイオン半径0.90オングストロ
ーム以上の金属を示し、M”はMn、Cr、Co、F
e、Ni又はCuを示し、yは2.5〜3.5の間の数
値を示す。) L(1-x)L’xL”Oy ‥‥ (1') (式中、Lは周期律表IIA、IVAから選ばれる酸化物と
して2価をとる金属を示し、xは0〜1の数値を示し、
L’はイオン半径0.90オングストローム以上の金属
を示し、L”は周期律表IVA、IVB及びIIIBから選ば
れた酸化物として4価をとりうる金属を、yは2.5〜
3.5の間の数値を示す。)で示されるペロブスカイト
型複合酸化物にパラジウム金属又はパラジウム化合物を
担持した触媒、並びに、該触媒を用いて芳香族カーボネ
ートを高収率・高選択率でかつ経済的に製造する方法を
提案した。
【0011】この触媒は反応率及び選択率が高く、極め
て優れた性能を有するものであるが、実際に触媒として
使用する際には、支持体として液相反応での強制攪拌に
対し十分に耐えられることが触媒寿命の観点から重要で
あり、強制攪拌に対してより強く安定なものが期待され
る。また、ペロブスカイト型複合酸化物は機械的強度を
確保するため球状に成形する等の加工が必要である等、
改善の余地が残されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の触媒の諸問題を解決し、芳香族ヒドロキシ化合物と一
酸化炭素及び酸素とを反応させることにより芳香族カー
ボネートを経済的かつ効率的に製造することを可能にす
る高い活性と選択性とを維持し、強制攪拌下でも長寿命
の支持触媒を提供し、さらに、該触媒を用いて芳香族カ
ーボネートを効率的に製造する方法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らがかかる機能
を持つ触媒における新規な支持体成分について鋭意研究
した結果、支持体成分としてきわめて有効なものを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、酸化チタンあるいは
酸化ジルコニウムをベースとし、それに貴金属とPb,
Bi,Sn及びTlから選ばれた金属の少なくとも1種
の金属又はそれらの化合物とを担持してなる新規な液相
不均一触媒、並びに、該触媒を用いて、芳香族ヒドロキ
シ化合物、一酸化炭素及び酸素を、第4級アンモニウム
塩又はホスホニウム塩の存在下、及びレドックス剤の存
在下に反応せしめて、目的の芳香族カーボネートを高収
率・高選択率でかつ経済的に製造する方法に係るもので
ある。
【0015】換言すれば、本発明は、下記(1)〜
(4)の新規触媒並びに(5)〜(7)の芳香族カーボ
ネートの製造法である。 (1)酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタンに、貴金
属及びPb,Bi,Sn及びTlからなる群から選ばれ
る少なくとも1種の金属又はそれらの化合物を担持して
なることを特徴とする液相不均一触媒。 (2)貴金属がパラジウムであることを特徴とする上記
(1)の液相不均一触媒。 (3)触媒におけるパラジウム金属又はパラジウム化合
物の量が、パラジウム金属にして酸化ジルコニウム及び
/又は酸化チタンの0.01〜15重量%であることを
特徴とする上記(1)の液相不均一触媒。 (4)上記(1)の液相不均一触媒からなることを特徴
とする芳香族カーボネートの合成反応用触媒。 (5)第4級アンモニウム塩又はホスホニウム塩とレド
ックス剤との存在下に、芳香族ヒドロキシ化合物、一酸
化炭素及び酸素より、芳香族カーボネートを製造する方
法において、上記(1)〜(4)の触媒を用いて反応さ
せることを特徴とする芳香族カーボネートの製造法。 (6)上記(5)の方法において、レドックス剤とし
て、セリウム、コバルト、銅又はマンガンの金属イオン
を含む化合物を用いることを特徴とする芳香族カーボネ
ートの製造法。 (7)上記(5)(6)の各方法において、一酸化炭素
と酸素の分圧及び全反応圧力を一定に保つガス流通下に
反応させることを特徴とする芳香族カーボネートの製造
法。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の新規な触媒並びに
それを用いた芳香族カーボネートの製造法について具体
的に説明する。
【0017】<本発明の触媒>本発明で触媒の基本とな
る支持体として用いられるのは、酸化チタン及び/又は
酸化ジルコニウムである。
【0018】酸化チタンとしては、ルチル型及びアナタ
ーゼ型のいずれでも良いが、高表面積と多孔性の構造を
取り易いこと等から、アナターゼ型の方が好ましい。一
方、酸化ジルコニウムとしては、単斜晶系、正方晶系及
び立方晶系のものがあり、いずれも本発明の触媒基本支
持体として用いられるが、強制攪拌に耐える強度と安定
性及び触媒として活性・選択性の上から立方晶系をとる
ものが好ましい。従って、通常、立方晶系安定化のため
に、CaO、MgO、Y23のような所謂安定化剤とい
われる酸化物を添加されたものも好ましく用いられる。
【0019】本発明においては、酸化ジルコニウム又は
酸化チタンは、通常、それぞれ1種のみで使用される
が、場合によっては両者を併用しても差し支えない。こ
れらの酸化ジルコニウム又は酸化チタンは、さらに、シ
リカゲル、シリカアルミナ又はアルミナ等の担体に担持
されていても良い。
【0020】本発明の触媒は、このような酸化チタン及
び/又は酸化ジルコニウムからなる支持体に、パラジウ
ム等の貴金属及びPb(鉛),Bi(ビスマス),Sn
(スズ)及びTl(タリウム)からなる群から選ばれる
少なくとも1種の金属又はそれらの化合物を担持せしめ
ることによって得られる。ここで、貴金属とは、Pd,
Pt,Ru,Rh,Ir,Re等の金属を総称するが、
なかでもPdが好適に使用される。
【0021】担持の方法としては、通常Pb,Bi,S
n及びTlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金
属又はそれらの化合物を、まず、酸化チタン及び/又は
酸化ジルコニウムに担持し、次いで、必要ならば焼成あ
るいは還元等の処理を行った後、パラジウム等の貴金属
あるいはそれらの化合物を担持する順序で行われるが、
それらの担持を同時に行うこともできるし、場合によっ
ては逆の順序で行っても良い。具体的に用いられる担持
の方法としては、沈殿法、含浸法あるいはそれらを併用
した方法等が挙げられる。
【0022】最終的に含浸法によってパラジウム等の貴
金属を担持する際、基本支持体である酸化チタンあるい
は酸化ジルコニウムが、溶液として用いる貴金属の塩の
種類によっては吸着担持性が弱い場合があり、かかる場
合には担持の助剤を用いるのが好ましい。例えば、通常
最もよく用いられる貴金属の塩として、塩化パラジウム
や硝酸パラジウム等の酸性の塩を用いる場合、助剤とし
て、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属
の化合物、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム
等のアルカリ金属の化合物及びイットリウム、ランタ
ン、セリウム、ネオジウム、サマリウム等の希土類金属
の化合物が用いられる。従って、貴金属あるいはそれら
の化合物を担持するに先立って、これらの助剤となる化
合物での処理が必要となる場合が多いので、Pb,B
i,Sn,Tlからなる群から選ばれる少なくとも1種
の金属又はそれらの化合物を担持せしめる操作は、助剤
の処理と同時に行われるのが普通であり、その方法が好
適である。
【0023】上記の助剤及びPb,Bi,Sn及びTl
からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属又はそれ
らの化合物を担持する方法としては、通常用いられる沈
殿法あるいは含浸法等の方法を用いることができる。し
かしながら、支持体の触媒成分として好ましい構造とし
ては、長期にわたる強制攪拌に耐える機械的強度を有す
ると同時に多孔質で高表面積であることが望ましく、か
かる支持体に分散性良く担持せしめる方法としては、含
浸法あるいは含浸後蒸発乾固する等の方法が好ましい。
【0024】具体的な方法としては、例えば、Pb,B
i,Sn及びTlからなる群から選ばれる少なくとも1
種の化合物の所定濃度の水溶液及び担持助剤として選ん
だ化合物の水溶液との混合水溶液を、基本支持体である
酸化チタンあるいは酸化ジルコニウムの粉末あるいは成
形体(好ましくは球状成形体)に含浸させた後、蒸発乾
固し、次いで、400℃〜600℃で1〜数時間焼成す
る等の方法が挙げられる。
【0025】ここで用いられるPb,Bi,Sn及びT
lからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属又はそ
れらの化合物の使用量は、最終的に用いるパラジウム等
の貴金属あるいはその化合物の量によって定められ、用
いる貴金属に対し原子比で1/10〜100、好ましく
は1/5〜10の範囲である。これらの金属の役割とし
ては主触媒の貴金属と結合して金属間化合物を形成し、
酸化還元反応の能力を高めるためと考えられる。
【0026】本発明の触媒は、パラジウム等の貴金属を
上記の支持体に担持せしめることによって得られる。担
持の方法は通常用いられる含浸法あるいは沈殿法等の方
法を用いることができる。
【0027】沈殿法は、水又は適当な有機溶媒に可溶性
のパラジウム塩、例えば、Na2PdCl4,K2PdC
4,(NH4)2PdCl4,(NH4)2PdCl6,(NBu
4)2PdCl4,Na2PdBr4,K2PdBr4,(NB
4)2PdBr4等の溶液中に予め上述のPb,Bi,S
n及びTlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金
属又はそれらの化合物を担持した支持体を懸濁し、アル
カリで中和する等の方法で、支持体表面にパラジウム等
の貴金属を担持せしめるものである。
【0028】含浸法は、通常、熱分解によってパラジウ
ム金属又はパラジウムの酸化物に転化しうるパラジウム
化合物の水溶液又は有機溶媒溶液を支持体に含浸せし
め、パラジウム化合物を支持体表面に沈着せしめる方法
である。含浸後、用いた溶媒により洗浄し、乾燥して熱
分解するか、再び含浸したパラジウム化合物が溶出しな
い溶媒中に懸濁させて、アルカリ等の中和して難分解性
の塩を溶出させパラジウムを水酸化物の形で沈着せしめ
るか、あるいは、ヒドラジン、ホルマリン等で還元する
等の方法で、支持体中に沈着担持せしめるものである。
【0029】かかる溶解性のパラジウム化合物として
は、上述したパラジウム塩、Na2PdCl4,K2Pd
Cl4,(NH4)2PdCl4,(NH4)2PdCl6,(NB
4)2PdCl4,Na2PdBr4,K2PdBr4,(N
Bu4)2PdBr4の他、例えば、テトラアンミンパラジ
ウムジクロライド;[Pd(NH3)4]Cl2、塩酸酸性
水溶液中のPdCl2、臭化水素酸酸性溶液中のPdB
2やアンモニア性水溶液中のパラジウムジニトロジア
ンミン錯体[Pd(NO2)2(NH3)2]、塩化メチレン等
ハロゲン含有溶媒あるいはその他の揮発性有機溶媒中の
(NBu4)2PdBr 4の他、πアリルパラジウムクロラ
イド[(C35)PdCl]2,πアリルパラジウムブロ
マイド[(C35)PdBr]2等のオレフィン錯体、ビ
スベンゾニトリルパラジウムジクロライド;Pd(C5
6CN)2Cl2のごときニトリル錯体やPdCl2(Ph3)
2,Pd(CO)(PPh3)3,Pd(CH2CH2)(PPh3)
2等のトリフェニルホスフィン錯体等がある。また反応
系に可溶で反応中還元されて不溶化沈着するようなパラ
ジウム化合物を用いて、結果的に支持体表面に担持させ
るような方法でもよい。
【0030】この方法に用いることのできるパラジウム
化合物としては、蟻酸パラジウム、酢酸パラジウム、安
息香酸パラジウム等の有機カルボン酸塩、パラジウムア
セチルアセトナート等の錯塩、臭化パラジウム、沃化パ
ラジウム等の反応系に可溶性の塩類が挙げられる。また
用いるパラジウムは必ずしも純粋である必要はなく、パ
ラジウムを主成分とする貴金属も同様に使用することが
できる。
【0031】こうしてパラジウム化合物を支持体に沈着
せしめた後に、通常、溶媒を蒸発乾燥後空気中又は真空
中あるいは不活性ガス中で加熱焼成する。加熱焼成の温
度は100℃から700℃の間、焼成時間は0.5時間
から50時間程度の範囲で行われる。この加熱焼成によ
って触媒系が構造的な安定化され本法にとって好ましい
形となるが、あまり高温度長時間の処理はシンタリング
等が生じて触媒活性あるいは選択性を損なう場合がある
ので注意を要する。パラジウムの使用量は支持体となる
酸化チタンあるいは酸化ジルコニウムに対しパラジウム
金属換算で0.01〜15重量%、好ましくは0.05
〜10重量%の範囲である。
【0032】<芳香族カーボネートの製造>本発明にお
いては、上記の触媒を用いて、芳香族ヒドロキシ化合物
を第4級アンモニウム塩又はホスホニウム塩の存在下、
かつレドックス剤の存在下に、そして塩基の存在又は非
存在下に、一酸化炭素及び酸素(空気中の酸素でも可)
と反応を行って目的の芳香族カーボネートを得ることが
できる。
【0033】本発明において製造される芳香族カーボネ
ートは下記式(2)で表わされる。
【0034】
【化1】ArO−CO−OAr’ ‥‥ (2) (式中、Ar及びAr’は、互いに同一又は相異なり、
置換もしくは未置換の炭素数6〜10のアリール基であ
り、好適には置換もしくは未置換のフェニル基、特に好
適には未置換のフェニル基である。)
【0035】本発明において原料として用いることので
きる芳香族ヒドロキシ化合物は、芳香族モノヒドロキシ
化合物又はポリヒドロキシ化合物であり、例えば、フェ
ノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノ
ール、テトラメチルフェノール、エチルフェノール、プ
ロピルフェノール、メトキシフェノール、エトキシフェ
ノール、クロロフェノール、ブロモフェノール等の置換
フェノール類及びそれらの異性体、ナフトール、メチル
ナフトール、クロロナフトール、ブロモナフトール等の
置換ナフトール及びそれらの異性体、ビスフェノールA
等のビスフェノール類等があるが、これらの中でフェノ
ールが特に好ましい。
【0036】本発明で用いられる第4級アンモニウム塩
及びホスホニウム塩は、一般式:R 1234NX、及
び一般式:R1234PX、でそれぞれ表される化合
物である。これらの式中R1〜R4は炭素数1〜8のアル
キル基あるいは炭素数6〜12のアリール基で、これら
は互いに同一でも相異なるものでもよい。Xはアニオン
で水酸基、アルコキシ基、フェノキシ基、クロライド、
ブロマイド、イオダイド等のハロゲンがよく用いられ
る。これらの中でも、特にテトラ−n−ブチルアンモニ
ウム塩及びテトラフェニルホスホニウム塩が好ましい。
反応に用いられる第4級アンモニウム塩又は第4級ホス
ホニウム塩の量は、パラジウムあるいはパラジウム化合
物に対してモル比で0.1〜1000の範囲、特に1〜
100の範囲であることが好ましい。
【0037】本発明の芳香族カーボネート製造反応は、
レドックス剤の存在下に行われる。かかるレドックス剤
としては周期律表のIIIA、IVA、VA、VIA、IB、II
B、VIB、VIIB、鉄族(VIII)及び希土類金属(III
B)の化合物が挙げられる。これらの金属の化合物は、
種々の酸化状態で使用可能であり、例えば、ハロゲン化
物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機カルボン酸塩、ジ
ケトン塩や、蓚酸塩、サルチル酸塩等の錯塩の他、一酸
化炭素、オレフィン類、アミン類、ホスフィン類等が配
位した錯体として使用可能である。これらのレドックス
能を有する金属化合物のうち好ましいものとしてはマン
ガン、コバルト、銅及びランタン、セリウム等の希土類
金属の化合物が挙げられ、特に好ましいものは、マンガ
ン、コバルト、銅及びセリウム金属の化合物である。こ
れらのレドックス剤の使用量は、特に制限はないが、パ
ラジウム化合物に対してモル比で0.1〜1000の範
囲であることが好ましく、特に0.1〜100の範囲で
あることが好ましい。
【0038】上記反応は塩基の存在又は非存在下に行わ
れる。塩基の存在は反応の速度と持続性を向上させ収率
向上をもたらす場合があり必要に応じて用いられるが、
用いる塩基の種類と量あるいはその形態によっては究極
的には第4級塩と反応して循環使用することができない
場合があるので必ずしも用いる必要はない。用いる場合
の塩基としては、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金
属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩等の有機酸
塩、アルコキサイドあるいはフェノキサイドとして用い
られる。また、別の形の塩基として有機の第3級アミン
あるいはピリジン類を用いることもできる。かかる有機
の塩基の例としては、トリエチルアミン、トリプロピル
アミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ベン
ジルジメチルアミン、ピリジン、ピコリン、ビピリジン
等が挙げられる。塩基を用いる場合の使用量はパラジウ
ムに対してモル比で0.01〜500の範囲である。
【0039】本発明における芳香族カーボネートの製造
反応は、上記芳香族ヒドロキシ化合物と上記触媒及び上
記助触媒成分を反応器に仕込み一酸化炭素と酸素の加圧
下、加温下に行われる。このとき反応を効率よく進める
ためには、反応で生成する水をできるだけ速やかに効率
よく反応系外に運び出すことが肝要である。そのために
従来例えばモレキュラーシーブのような脱水剤を反応系
に共存させる方法等が用いられたが、ガス流通式の反応
器により、過剰の反応ガスにより生成水を連続的に反応
系外に運び出す方法も効果的である。
【0040】さらにその際、一酸化炭素と酸素の分圧比
を一定に保ちかつ全圧力を一定に保つことが安全でもあ
り好ましい。反応の圧力は全圧で1〜300気圧、好ま
しくは1〜150気圧、さらに好ましくは2〜100気
圧の範囲である。また、一酸化炭素と酸素の分圧比は好
ましくは一定に保って行われるが、その組成比は安全面
からもその爆発範囲からはずれた組成であることが好ま
しい。そして、一酸化炭素と酸素の分圧比は全圧及び含
まれる不活性ガス成分の割合によっても異なるが通常
5:1〜30:1の範囲の中から選ばれる。こうして反
応中に供給されるガスの組成比を一定に保って反応に最
適なガス組成を維持すると同時に、反応で生成する水を
連続的に除去しつつ反応を行うことができる。
【0041】反応温度は30〜200℃、好ましくは5
0〜150℃の範囲が採用される。反応時間は反応条件
により異なるが通常は数分から数時間である。
【0042】反応に際しては溶媒として各種の不活性溶
媒を用いることができるが、比較的高い蒸気圧を有する
ものは、上記のガス流通系の条件で反応を行った場合反
応ガスと共に随伴して反応系から次第に失われる。その
ため、通常は反応物の芳香族ヒドロキシ化合物を反応溶
媒として使用し特に他の溶媒は用いないことが多い。
【0043】本発明の触媒を用いた芳香族カーボネート
の製造は、種々の方式で実施可能である。好適な方式と
して上述したガス流通式の他に、高圧反応容器を用いた
密閉式の反応器を用いてバッチ式で行うことも可能であ
る。また、連続式で行う場合、触媒を流動床式あるいは
固定床式とし、向流又は並流で行うことができる。
【0044】以下、図面を参照しながら、芳香族カーボ
ネートの製造の製造例を説明する。
【0045】図1は、一例として小型のガス流通式の反
応装置の概略を示す。図1に示した反応装置は、モル比
と分圧が一定に保たれた一酸化炭素と酸素(又は空気)
との混合ガスを一定流量、約10〜800ml/min
の範囲で連続して供給できるようになっている。反応器
10の容量は100mlで、円筒状であり、内径は30
mmであり、ガス吹き込み管と回転攪拌翼を備えてい
る。反応ガス供給路1から一酸化炭素、反応ガス供給路
2から酸素(又は空気)を供給し、それぞれバルブ3、
4を経て、それぞれ圧力調整器5、6によって、所定の
反応圧力を調整する圧力調整器12の圧力より1〜5気
圧高い圧力に調整する。このことによって定流量ガス供
給装置(マスフローコントローラー)7、8を通じそれ
ぞれ所定の流量のガスが供給され、ガス混合予熱器9を
経て反応器10に供給され上述の反応が行われる。反応
器10を経たガス成分はコールドトラップ11を経て、
さらに圧力調整器12を経て排気される。反応器1の圧
力は圧力調整器12で調節される。
【0046】図1に示す反応装置の例において、反応器
10を出たガスはコールドトラップ11に導かれるが、
ここで生成する水及び溶媒の一部が捕集され、未反応の
ガスが圧力調整器12を経て系外に出て回収されるが、
必要に応じてガス組成を調整した後循環使用することも
可能である。
【0047】反応終了後、芳香族カーボネートを含む反
応混合物は反応器11から取り出されるが、本発明の触
媒は濾過、遠心分離あるいは磁気による分離等の方法で
分離回収でき再利用が可能である。固定床式の場合はこ
の分離操作の必要はない。目的とする芳香族カーボネー
ト類は反応混合物から、濾別、蒸留、晶析等の方法で分
離・精製・単離することができる。
【0048】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施
例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
【0049】[実施例1] <酸化ジルコニウムへのPb化合物及び含浸助剤の担持
>市販の酸化ジルコニウム粉末(東ソー[株]成型 Y
−3型)を電気炉中でさらに1000℃で3時間焼成し
たもの10.0gに、酢酸マグネシウム;Mg(OAc)
2・4H2O 1.07g及び酢酸鉛;Pb(OAc)
2 0.72gを、3.5mlの水に溶かして含浸させ
た。そして、水分を蒸発乾固した後、500℃で3時間
焼成した。
【0050】<Pb,Mg化合物担持酸化ジルコニウム
へのパラジウム担持>50mlの水にジソジウムテトラ
クロロパラデート;Na2PdCl4 285mgを溶か
して、上記で得られたPb,Mg化合物担持酸化ジルコ
ニウ粉末5.0gを懸濁させた。50〜60℃で約1時
間保った後、0.5規定の苛性ソーダ水溶液をゆっくり
加えてPH=8まで中和した。しばらく静置後、濾過、
水洗して、得られた担持触媒を110℃で16時間乾燥
し、この触媒は酸化ジルコニウムに対し、パラジウムを
金属として約2.0重量%含有していた。
【0051】<上記担持触媒を用いたジフェニルカーボ
ネートの製造>図1に示した容量100mlの反応装置
を用いて、フェノール50.0gと上記触媒2000m
g、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド986m
g及びマンガンアセチルアセトナート70mgを仕込
み、反応器中を一酸化炭素で置換した。反応器の温度を
80℃に昇温すると同時に、一酸化炭素で圧力を1×1
6Pa(10バール)に上げ、所定の温度圧力になっ
たところで一酸化炭素の流量を500ml/min(標
準状態)及び純酸素の流量を30ml/min(標準状
態)を流通させ、反応圧力1×106Pa(10バー
ル)、反応温度80℃に保って3時間反応させた。反応
終了後、反応用器中の反応物を取り出しガスクロマトグ
ラフィーで分析したところ9.88g(収率17.3
%)のジフェニルカーボネート(DPC)が得られたこ
とが確認された。副生成物は殆ど検出されず、反応選択
率は99%以上であった。
【0052】[実施例2] <酸化チタンへのPb化合物及び含浸助剤の担持>実施
例1と同様に市販の酸化チタン粉末(アナターゼ型;関
東化学試薬1級)を10.0gに酢酸マグネシウム;M
g(OAc)2・2H2O 1.07g及び酢酸鉛;Pb(O
Ac)2 0.72gを3.5mlの水に溶かして含浸さ
せた。そして、水分を蒸発乾固した後、500℃で3時
間焼成した。
【0053】<Pb,Mg化合物担持酸化チタンへのパ
ラジウム担持>30mlの水にジソジウムテトラクロロ
パラデート;Na2PdCl4 185mgを溶かして、
上で得られた酸化チタン2.5gを懸濁させた。そし
て、攪拌しながら、5%苛性ソーダ水溶液でゆっくり中
和しPH=9にした。しばらく静置後、濾過、水洗し
て、得られた担持触媒を110℃で16時間乾燥し、さ
らに250℃で3時間焼成した。この触媒は酸化チタン
に対し、パラジウムを金属として約2.5重量%含有し
ていた。
【0054】<上記担持触媒を用いたジフェニルカーボ
ネートの製造>実施例1と同じ反応装置を用いて、フェ
ノール50.0gと上記触媒1000mg、マンガンア
セチルアセトナート2水和物80mgとテトラn−ブチ
ルアンモニウムブロマイド968mgを仕込み、反応器
中を一酸化炭素で置換した。反応器の温度を80℃に昇
温すると同時に、一酸化炭素で圧力を1×106Pa
(10バール)に上げ、所定の温度圧力になったところ
で一酸化炭素の流量を500ml/min(標準状態)
及び純酸素の流量を30ml/min(標準状態)を流
通させ反応圧力1×106Pa(10バール)、反応温
度80℃に保って4時間反応させた。反応終了後反応用
器中の反応物を取り出しガスクロマトグラフィーで分析
したところ6.40g(収率7.3%)のジフェニルカ
ーボネート(DPC)が得られことを確認した。反応選
択率は約99%であった。
【0055】[実施例3] <酸化ジルコニウムへのBi化合物及び含浸助剤の担持
>実施例で用いたと同じ安定化ZrO2粉末10.0g
に酢酸マグネシウム;Mg(OAc)2・4H2O 1.0
7g及び酢酸鉛;Bi(OAc)3 0.84gを3.5m
lの酢酸に溶かして含浸させ、溶媒を蒸発乾固した後、
500℃で3時間焼成した。
【0056】<Bi,Mg化合物担持酸化ジルコニウム
へのパラジウム担持>実施例1と同様にジソジウムテト
ラクロロパラデート;Na2PdCl4 285mgを溶
かして、上記で得られたPb,Mg化合物担持酸化ジル
コニウ粉末5.0gを懸濁させた。50〜60℃で約1
時間保った後、しばらく静置後、濾過、水洗して、得ら
れた担持触媒を110℃で16時間乾燥した。この触媒
は酸化ジルコニウムに対し、パラジウムを金属として約
2.0重量%含有していた。
【0057】<上記担持触媒を用いたジフェニルカーボ
ネートの製造>実施例1と同じ反応装置を用いて、フェ
ノール50.0gと上記触媒1000mg、マンガンア
セチルアセトナート無水物70mgとテトラn−ブチル
アンモニウムブロマイド968mgを用い、同じ反応条
件;一酸化炭素流量:500ml/min、酸素流量3
0ml/min、反応圧力1×106Pa(10バー
ル)、反応温度80℃に保って3時間反応させた。反応
終了後反応用器中の反応物を取り出しガスクロマトグラ
フィーで分析したところ6.80g(収率11.9%)
のジフェニルカーボネート(DPC)が得られた。反応
選択率は約99%であった。
【0058】[実施例4]オキシ塩化ジルコニウム水溶
液より噴霧乾燥法により成形し、800℃で6時間焼成
して、球状成形された酸化ジルコニウム粉末を得た。X
RD解析により主に単斜晶系をとっていることを確認し
た。また、BET法により比表面積は6.2m2/gで
あった。このZrO2を用い、実施例1と同様にして2
wt%のPd及びPd/Pb比が1のPbを担持した触
媒を調製し、同一反応条件で3時間反応させた。その結
果、8.80g(収率15.5%)のジフェニルカーボ
ネート(DPC)が得られた。反応選択率は約99%で
あった。
【0059】[実施例5〜8]実施例3と同様の方法で
パラジウムと等原子量のSn,Sbを担持した触媒を、
実施例1及び2で用いた同じ酸化ジルコニウム及び酸化
チタンを支持体に選んで調製を行った。また、芳香族カ
ーボネート合成反応も実施例3と同じ装置と同じ反応条
件を用いて実施した。それぞれの触媒組成とジフェニル
カーボネート(DPC)収量を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】[比較例1〜2]実施例1及び実施例2で
用いたと同じ酸化ジルコニウム及び酸化チタン(アナタ
ーゼ)を用い、実施例1及び実施例2とそれぞれ同様に
酢酸マグネシウム4水和物のみを担持し、焼成した後、
それぞれ2.0重量%のパラジウムを担時した触媒を調
製した。これらの触媒を用い実施例と同じ装置及び同じ
反応条件、すなわち、フェノール仕込量50.0g、テ
トラブチルアンモニウムブロマイド968mg、マンガ
ンアセチルアセトナート無水物80mg、反応温度80
℃、反応圧力1×106Pa、一酸化炭素流量500m
l/min、酸素流量25ml/minの条件でいずれ
も2時間反応させた。それらの結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】本発明の触媒は、良好な活性及び選択性
を維持しながら、強制攪拌に対して安定性がすぐれ、長
期にわたって安定に使用することができる。
【0064】さらに、本発明の触媒は、先に提案したペ
ロブスカイト型複合酸化物にパラジウム金属又は化合物
を担持した触媒に比べ、市販の球状成形された酸化ジル
コニウム等をそのままあるいは僅かな加工で支持体とし
て利用可能なため、触媒の調製の労力やコストを低減す
ることができ、また、Pb等がPd等の貴金属と同様に
酸化ジルコニウム、酸化チタン等に担持されているの
で、Pb等の使用量を少なくすることができるという利
点を有する。
【0065】また、本発明によれば、上記の触媒を使用
して、フェノール等の芳香族ヒドロキシ化合物、一酸化
炭素及び酸素(又は空気)から、ジフェニルカーボネー
トに代表される芳香族カーボネートを高い収率で製造す
ることができる。
【0066】なお、以上の説明では、本発明の触媒を使
用して、芳香族カーボネートを製造する場合を述べた
が、本発明の触媒は、これ以外の類似の反応にも適用可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】小型のガス流通式の反応装置の一例を示す概略
【符号の説明】
1:反応ガス供給路(一酸化炭素用) 2:反応ガス供給路(酸素又は空気用) 3,4:バルブ 5,6:圧力調整器 7,8:定流量ガス供給装置(マスフローコントローラ
ー) 9:ガス混合予熱器 10:反応器 11:コールドトラップ 12:圧力調整器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07B 61/00 300 C07C 69/96 Z C07C 68/00 B01J 23/56 Z 69/96 23/64 101Z (72)発明者 鈴木 啓高 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA04A BA04B BA05A BA05B BB06A BB06B BC10B BC19A BC19B BC21A BC21B BC22A BC22B BC25A BC25B BC69A BC69B BC72A BC72B CB62 CB66 DA05 EA01Y EA04Y EC02Y FA01 4H006 AA02 AC48 BA05 BA08 BA09 BA11 BA13 BA16 BA20 BA25 BA51 BA53 BA55 BC11 BC32 BE30 BE40 BJ50 KA60 4H039 CA66 CC60 CF30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタン
    に、貴金属とPb,Bi,Sn及びTlからなる群から
    選ばれる少なくとも1種の金属又はそれらの化合物とを
    担持してなることを特徴とする液相不均一触媒。
  2. 【請求項2】 貴金属がパラジウムであることを特徴と
    する請求項1に記載の液相不均一触媒。
  3. 【請求項3】 触媒中に占めるパラジウム金属又はその
    化合物の量が、パラジウム金属にして酸化ジルコニウム
    及び/又は酸化チタンに対し0.01〜15重量%であ
    ることを特徴とする請求項2に記載の液相不均一触媒。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の液相不均一触媒からな
    ることを特徴とする芳香族カーボネートの合成反応用触
    媒。
  5. 【請求項5】 第4級アンモニウム塩又はホスホニウム
    塩とレドックス剤との存在下に、芳香族ヒドロキシ化合
    物、一酸化炭素及び酸素より芳香族カーボネートを製造
    する方法において、請求項1〜請求項4のいずれかに記
    載の触媒を用いて反応させることを特徴とする芳香族カ
    ーボネートの製造方法。
  6. 【請求項6】 レドックス剤として、セリウム、コバル
    ト、銅又はマンガンの金属イオンを含む化合物を用いる
    ことを特徴とする請求項5に記載の芳香族カーボネート
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 一酸化炭素と酸素との分圧及び全反応圧
    力を一定に保つガス流通下に反応させることを特徴とす
    る請求項5又は請求項6に記載の芳香族カーボネートの
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007289810A (ja) * 2006-04-21 2007-11-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd 金属製充填補助材の分離方法

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