JP2001132892A - 真空断熱装置 - Google Patents

真空断熱装置

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JP2001132892A
JP2001132892A JP31265499A JP31265499A JP2001132892A JP 2001132892 A JP2001132892 A JP 2001132892A JP 31265499 A JP31265499 A JP 31265499A JP 31265499 A JP31265499 A JP 31265499A JP 2001132892 A JP2001132892 A JP 2001132892A
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heat insulating
vacuum
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getter
vacuum heat
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Toshiyuki Sugano
俊行 菅野
Takayuki Inuzuka
隆之 犬塚
Chisa Abe
千佐 安部
Sho Yamada
祥 山田
Yoshio Nishimoto
芳夫 西本
Shuichi Iwata
修一 岩田
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25DREFRIGERATORS; COLD ROOMS; ICE-BOXES; COOLING OR FREEZING APPARATUS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F25D2201/00Insulation
    • F25D2201/10Insulation with respect to heat
    • F25D2201/14Insulation with respect to heat using subatmospheric pressure

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  • Thermal Insulation (AREA)
  • Refrigerator Housings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続気泡を有する多孔性断熱材の内部に経時
的に発生する浸透・透過ガスを常に安定して効率よく除
去することによって、恒常的に優れた断熱特性を示す真
空断熱構造体を提供すること。 【解決手段】 断熱構造体の内部とゲッター剤を排気ノ
ズルで連結し、ゲッター剤の吸着能が飽和に近づき真空
度が劣化する度に、加熱手段と真空排気手段でゲッター
剤を再活性する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空断熱装置に関
し、特に消費電力のより低減化が求められている冷蔵庫
などに適した真空断熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】真空断熱構造は、二重構造を有する筐体
の内部に、形状保持のための構造材をかねた連続気泡を
有する多孔性の断熱コア材を封入し、内部を真空にした
ものである。断熱気泡性コア材内のガスによる熱伝導を
原理的にゼロに出来るため、従来から使用されてきてそ
の断熱性能向上に限界がある断熱ガス内封発泡ウレタン
構造の2倍以上の断熱性能が期待できる。
【0003】その具体例には、ガス遮蔽性を有する外装
フィルム材からなる外殻内に断熱コア材として連続気泡
性ウレタンフォームを封入し、内部を真空にした真空断
熱パネルを、冷蔵庫などの断熱箱体の壁内に配設させた
後に、さらにこの周囲に発泡ウレタンを充填させた断熱
構造体(特開昭60−205164号公報)や、鉄板製
外箱とアクリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下ABS
樹脂と言う)製内箱からなる外殻内空間に発泡性断熱コ
ア材を注入し、内部を脱気した真空断熱箱体(特開平2
−192580号公報)などがある。
【0004】これらの真空断熱構造体の断熱性能は、そ
の断熱コア材の空隙が微細であるときに発揮される。例
えば空孔径約100μmの連続気泡性ウレタンをアルミラミ
ネートで構成される空間に内封した一般的な真空断熱パ
ネルの熱伝導率の真空度依存性は図2のような傾向を示
す。この図からわかるようにその断熱性能は真空度が約
133Pa以下の高真空下で発現されるもので、真空度が
悪化すると熱伝導率は著しく大きくなる。このため優れ
た断熱特性を保持するためには、その真空度を維持する
ことが不可欠である。
【0005】真空度の悪化を招くガスには、真空断熱パ
ネルの封止端部、外箱と内箱の接合部およびABS樹脂
などの外殻材を通して経時的に透過・侵入する空気や水
蒸気などの透過ガスと、各種構成材が吸着していた水、
多孔性断熱体形成時の副生成物である炭酸ガス、未反応
原料などの残存ガスおよび各種低分子有機物からの飛散
物などの内部発生ガスがある。
【0006】そこで「ゲッター剤」と称するガス吸着物
質を外殻内に充填する方法が提案されている。例えば、
水分吸着物質として酸化カルシウム、ゼオライト、シリ
カゲルなどを用いる例(特開昭59−225275号公
報)、有機ガス吸着物質として活性炭、炭酸ガス吸着物
質として水酸化ナトリウムを用いる例(特公平7−89
004号公報)、さらには殆ど全てのガスを吸着しうる
バリウム−リチウム合金を用いる例(特開平8−159
377号公報)などである。
【0007】しかしながらこれら種々のゲッター剤は、
外殻内で発生する希薄ガスをゆっくりと確実に吸着する
能力に優れているものの、それが保有する固有の吸着量
は有限で、いずれ飽和に近づき、活性は急激に低下す
る。しかも、これらゲッター剤は外殻内に挿入されてい
るから、その吸着能を再生し賦活することは不可能で、
外殻内部の真空度ひいては、断熱性能は低下の一途をた
どる。これに対応して、ゲッター剤の充填量を多くする
と当初の断熱性能が犠牲になる。
【0008】一方、特開平4−169777号公報で
は、長期的に真空度を保持する手段として、真空断熱構
造体に真空排気装置を装着させている。ここでは断熱性
能の低下を温度センサーでモニターし、所定の熱伝導率
以上になると、真空ポンプが作動するので真空断熱構造
体の内部は高真空下に保持される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記提案に基づけば、
いわば恒久的にある程度の真空度は維持できる。しかし
真空ポンプは、比較的ガス量の多い、大気圧から約133
Pa程度の低真空域までは効率よく排気できるものの、
真空断熱構造の低熱伝導性が発現する真空度133Pa以
下の希薄ガス雰囲気(高真空域)での排気効率は低い。
【0010】また外殻内部に封入された多孔体の空孔は
微細で、気体が通り抜け難いため、排気口近傍のガスは
排出されるものの、排気口より離れた部位では十分にガ
スは排出されにくい。その結果、真空断熱体内部の真空
度にバラツキが生じ、断熱性能が不均一になる。また外
殻内全体を133Pa以下の高真空に均一にするには長時
間の真空脱気が必要になる。
【0011】このため、従来の真空断熱構造を有する冷
蔵庫などでは、庫内温度を一定に保って食品の鮮度を維
持するという冷蔵庫本来の機能が不安定で、庫内を冷却
するためのコンプレッサーや高真空維持のための真空ポ
ンプの運転時間も長くなって、消費電力量がかえって増
加する結果を招いていた。
【0012】本発明は、このような課題を解決するため
になされたもので、優れた断熱特性を長期にわたって維
持できる真空断熱装置を提供すること、およびその真空
断熱装置を使用して消費電力の少ない冷却装置を提供す
ることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる真空断熱
装置は、連続気泡を有する多孔性断熱材が充填された構
造体の内部に存在するガスを、連続再生手段を備えたゲ
ッター剤で吸着するので恒常的に優れた断熱特性が提供
される。
【0014】ゲッター剤を連続再生する手段は、真空排
気装置を用いることが出来るが、通常加熱装置と真空排
気装置を組み合せた方が適している。ゲッター剤にはゼ
オライト、活性炭、シリカゲル、金属酸化物、樹脂系合
成吸着剤などの物理的吸着剤のうち少なくとも一種類を
使用できる。またゲッター剤は有効細孔径が異なる同一
種類の組成物からなる吸着剤を少なくとも2種以上併用
することが好ましい。さらにゲッター剤を再生する温度
は、100℃以下であることが適している。
【0015】本発明にかかる真空断熱構造体は加温装
置、保温装置、冷却装置等の断熱構造に広く適用できる
が、中でも冷蔵庫等の冷却装置に好適に適用することが
出来る。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るゲッター剤
再生ユニットを具備した真空断熱装置の断面構造を示す
概念図である。
【0017】真空断熱装置は、基本的に断熱材4、外箱
2および内箱3からなる断熱箱体1と、ゲッター剤ホル
ダー6、真空ポンプ7および真空計8から成るゲッター
剤再生ユニットで構成される。断熱箱体1とゲッター剤
再生ユニットは補助部材である排気バルブ10により連
結されている。ゲッター剤ホルダー6内は断熱箱体1に
連結する前に予め真空引きしておく。
【0018】ゲッター剤ホルダー6は、ガスバリヤー性
に優れたステンレス鋼などからなる容器で、内部にはゲ
ッター剤5が詰められている。ゲッター剤ホルダー6の
外周或いは内周には加熱ヒータ12が巻かれており、サ
ーモスタットで温度を制御できる。真空計8は排気バル
ブ10の電磁真空弁よりゲッター剤ホルダー6寄りに設
置してある。さらに、真空ポンプ7とゲッター剤ホルダ
ー6は排気バルブ11により連結されている。
【0019】断熱箱体1の外殻を構成する外箱2は、深
絞り鋼鈑で出来ており、耐傷性と不透気性が高い。内箱
3には気密性の観点から鋼鈑や、あるいは金属箔やガス
遮蔽性セラッミクなどを表面処理した樹脂を用いること
ができるが、成形性、意匠性および断熱性より冷蔵庫の
内箱材として汎用されているABS樹脂成形品をここで
は用いる。ABS樹脂は熱伝導性が小さく伝導熱漏洩を
抑止できる。外箱2と内箱3の周縁部の接合13a,13b
は成形型内で嵌合させた後、接着と気密シールをかね
て、エポキシ樹脂などの接着材を十分に塗り付けて、包
装材内部への外気の進入を遮断できるようにしてある。
断熱材4には、連続した微細気孔を有する多孔質体を用
いることが高断熱性を得るうえで必須で、ここでは連続
気泡を有する発泡ウレタンを用いる。かかる多孔質体は
発泡ウレタン原液を、充填・排気兼用バルブ9より充填
し、発泡硬化させることにより得られ、これにより先ず
内部が大気圧の断熱箱体1が得られる。
【0020】ついで断熱箱体1とゲッター剤再生ユニッ
トを排気バルブ10で連結し、充填・排気兼用バルブ9
から外部の大容量真空ポンプ(図示せず)を用いて、断
熱箱体内のガス、特に断熱材の微細孔に吸着された残留
ガスを十分に真空脱気し133Pa以下、好ましくは1.3P
a以下の真空度で充填・排気兼用バルブ9を閉めるとと
もに、排気バルブ10を開放することにより、脱気ライ
ンが一連化された真空断熱構造体を得ることが出来る。
断熱材4から放出される飛散物ガスや水蒸気などの透過
ガスは微細な気泡空間をゆっくりと通り抜けてやがてゲ
ッター剤ホルダー6に到着し、吸着される。
【0021】この真空断熱装置の真空度はピラニ真空計
或いは粘性真空計などの真空計8でモニターされる。ゲ
ッター剤5の吸着能の飽和に伴う脱気能力の低下により
真空度が悪化すると、所定の真空度で、排気バルブ10
が閉じ、排気バルブ11が開放されるとともに、ゲッタ
ー剤ホルダー6の加熱ヒーター12と真空ポンプ7が稼
動し、一定時間、真空加温状態でゲッター剤5の吸着能
を再活性(賦活)させる。ゲッター剤5の再活性が終え
ると、加熱ヒータ12を切り、排気バルブ11を閉じ、
真空ポンプ7を止めたのちに排気バルブ10が開放され
るように制御されている。再活性されたゲッター剤5
は、断熱材4の微細孔に拡散している希薄ガス、すなわ
ち真空悪化ガスを再びゆっくりと吸着し、断熱箱体内を
脱気する。真空度が悪化する度にゲッター剤5は再活性
されるので、恒久的に断熱特性を維持することができ
る。
【0022】ここで用いるゲッター剤5は、吸着能が飽
和状態で加温・減圧すると吸着ガスを容易に脱離する、
再生吸着能が大きいものが好ましい。活性炭、シリカゲ
ルあるいは金属酸化物など物理ゲッター剤(吸着剤)で
あれば特に限定するものではないが例えば冷蔵庫の一部
(機械室)に組み込まれるため、比較的低温(例えば1
00℃以下)で再活性できるゼオライトや樹脂系合成吸
着剤が特によい。酸化カルシウム、水酸化ナトリウムの
ようにガスを化学反応により捕捉し、新たな化合物とな
る不可逆性の化学ゲッター剤は吸着機能の再活性が極め
て困難なため、好ましくない。
【0023】またゲッター剤は、水蒸気や空気など分子
量の小さなガスから、未反応生成物など比較的分子量の
大きなガスまで全てを吸着し、さらに再活性時にはこれ
ら吸着したガスを一定雰囲気中で一気に放出できること
が重要である。このため吸着ガス種が異なるゲッター剤
を複数種組み合わせて用いることが極めて有効である。
この際ゼオライト、シリカゲルあるいは活性炭などの種
類の異なるものを混用することも出来るが、再活性のた
めの雰囲気真空度や温度が異なるため、吸着能の賦活が
十分に行われないことがある。そこでゼオライトや樹脂
系合成吸着剤のように同一種類の組成物で有効細孔径の
異なるものを混用するのが好ましい。
【0024】(実施例1)一部にコンプレッサーなど機械
類や冷媒回路を収納する切欠きのある、高さ110cm、
奥行き60cm、幅50cm、厚さ0.5mmの深絞り鋼鈑を
外箱2とし、断熱材壁厚さが40mm取れるよう一回り小
さい、厚さ0.5mmのABS樹脂真空成形品を内箱3と
する。これらをウレタンフォーム注入成形型内で組立
て、充填・排気兼用バルブ9より連続気泡を得るために
シリコン系破泡剤を処方した水発泡系ウレタン原液を注
入し、60℃で5分間、ウレタン樹脂を発泡硬化させ断
熱箱体1を得た。一方、外周にテープ状ヒータ12を巻
回した内径80mm、高さ100mmの円筒状のスチール容
器でなるゲッター剤ホルダー6に、東洋ソーダ(株)製の
合成ゼオライト、ゼオラムA−4を容器に一杯になるよ
う充填し、このゲッター剤ホルダー6と30リッター/
分の排気容量の小型真空ポンプ7とを組み立ててゲッタ
ー剤再生ユニットを得た。断熱箱体1の外箱にゲッター
剤再生ユニットの排気バルブ10を連結させ、充填・排
気兼用バルブ9より500リッター/分の排気能力を持
つ外部の真空ポンプにより真空度が6.7Paに到達し
てからさらに10分間排気して真空断熱構造体を得た。
この真空断熱構造体に冷媒回路や扉などの必要部品を組
み込んで内容積120Lの冷蔵庫を完成させ、真空計8
が133Paになると、温度が100℃に保つように設定
した加熱ヒータ12と真空ポンプ7が稼動し、内部真空
度が1.3Paに到達したらゲッター剤再生ユニットの
加熱ヒータ12と真空ポンプ7が停止するようセットし
た。
【0025】(実施例2)ゲッター剤としてゼオラムA
−3、A−5,A−9をそれぞれ1:1:1(重量比)
の割合で混合したものを用いた他は、実施例1とまった
く同様にして冷蔵庫を得るとともに、ゲッター剤再生ユ
ニットの稼動条件も断熱性能の評価も同一とした。
【0026】(実施例3)ゲッター剤としてガスクロマ
トグラフなどに用いられる三菱化学(株)製の樹脂系合成
吸着剤、セパビーズPS825、HPK55Hをそれぞれ
1:1(重量比)の割合で混合して用いた他は、実施例
1とまったく同様にして冷蔵庫を得るとともに、ゲッタ
ー剤再生ユニットの稼動条件も断熱性能の評価も同一と
した。
【0027】(実施例4)実施例4はゲッター剤ホルダ
ー6の加熱を取りやめ、真空度が133Paに悪化したら
室温で真空ポンプが40分間作動するように設定したほ
かは、実施例3と全く同様にした。
【0028】(実施例5)実施例5ではゲッター剤ホル
ダーの加熱温度を160℃に設定したほかは、実施例3
とまったく同様にした。
【0029】(比較例1)比較例1ではゲッター剤再生
ユニットのゲッター剤ホルダーを取り外し、排気バルブ
10に真空ポンプ7を直結した他は、実施例3とまった
く同じとした。すなわち、断熱箱体内での真空悪化ガス
の除去にゲッター剤を一切用いず、真空ポンプのみで排
気した。
【0030】(比較例2)比較例2では真空ポンプ7を
取り外し、排気バルブ11を絶えず閉めた状態にしたほ
かは実施例3とまったく同じとした。すなわち、断熱箱
体内での真空悪化ガスをゲッター剤で吸着させ、吸着能
が飽和になっても再活性しない。
【0031】(比較例3)比較例3は断熱材としてシク
ロペンタン発泡系の独立気泡発泡ウレタンフォームを充
填し、真空脱気は一切しない外殻内が大気圧の従来型断
熱構成で、外殻材や形状および冷媒回路などは実施例1
と同一とした。
【0032】このようにして組み立てられた冷蔵庫の断
熱性能の安定性を評価するために、運転時の消費電力量
をJIS−C9607B法で経時的に測定・比較した。
図3に実施例および比較例の測定結果を示す。
【0033】図3に示した如く、ゲッター剤再生ユニッ
トを装着した実施例1〜5の150日後の消費電力量
は、用いたゲッター剤の種類や、ゲッター剤再生ユニッ
トの稼動設定条件に関わらず、比較例1で示した真空ポ
ンプのみを装着したものより明らかに少ない。これは、
再生ユニット中のゲッター剤が、外殻内の希薄な真空悪
化ガスを徐々に吸着し、再生時には一気に吸着ガスを放
出する、一種のガス溜的な働きをすることにより脱気効
率が向上したためと考えられる。断熱箱体に真空ポンプ
を直接装着し内部の希薄ガスを排気するよりは効率がよ
いので、真空ポンプも小容量のもので十分である。一
方、ゲッター剤のみを用いた比較例2では吸着能が活性
な初期では、優れた真空断熱性能を示す。しかし時間が
経ち、吸着能が飽和すると再活性できないため、真空度
が維持できなくなり断熱性能は悪化する。とくに鋼板や
アルミラミネートフィルムなどに比べ透気度の大きいA
BS樹脂を内箱材として用いたこのケースでは、水蒸気
や空気の侵入量が多くゲッター剤の吸着能が短時間で飽
和し、比較例3の従来型独立気泡ポリウレタンよりも悪
くなった。
【0034】実施例1と2を比較すると、同一種類の組
成物からなる有効細孔径の異なる品種のものを混合して
用いた場合の効果が読み取れる。ゼオラムA−3は分子
径が3オングストローム以下のガス分子を選択的に吸着
する吸着剤で、同様にA−4、A−5、A−9はそれぞれ
4、5、9オングストローム以下のガス分子を吸着す
る。外殻内に発生する分子量、即ち分子径の異なる真空
悪化ガスはゲッター剤の細孔径に応じて捕捉・吸着され
るので、加温・減圧による再活性もスムーズに行われ
る。その結果、3種類の吸着材を使用した実施例2では1
種類の吸着材を使用した実施例1よりも消費電力量が少
なく安定していたと考えられる。2種類の吸着材を用い
た実施例3の場合も同様の理由で消費電力量は少なく安
定している。
【0035】実施例3、4、5を比較すると、再活性時
の加温条件の効果が読み取れる。再生温度が高くなると
再生吸着能は向上するが、再活性に必要な電力は増え
る。ゲッター剤の再生吸着能、再活性ユニットからの発
熱および冷媒回路能力がバランスする加温処理条件が最
も運転効率が良いことになる。3つの実施例を比較すれ
ば、その温度は100℃前後であることがわかる。また
室温で再生してもかなり消費電力は低く、良好な断熱性
能を維持できているから、一般に冷蔵庫には耐熱性の低
い樹脂が多く使われていることも考慮すれば、再活性温
度は100℃以下であることが適している。
【0036】吸着剤の再生は、真空と加熱を組み合せる
のが一般的だが、真空状態でゲッター剤に超音波振動を
加えることによっても可能である。この方法では温度が
ほとんど上がらないので、耐熱性の低い樹脂を使う場合
により適している。ゲッター剤はほぼ永久的に使用でき
るが、活性炭等を使用する場合には有機物を付着して再
活性が十分に行われなくなることがある。この場合には
水蒸気を封入して再生することもできる。
【0037】なお、本発明にかかるゲッター剤再生ユニ
ットを具備した真空断熱装置は、ここで説明した冷蔵庫
への使用に限定されるものではなく、例えば、車載用小
型冷蔵庫やプレハブ式簡易冷蔵庫、保冷車やパイプや建
築物の保温材など、保温および保冷用製品の断熱用部品
としての応用も可能であり、その要旨を脱し得ない範囲
で種々変形して用いることができる。
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる真空断熱
装置によれば、多孔性断熱材が充填されている断熱構造
体の真空度をゲッター剤で通常は維持し、ゲッター剤の
吸着能が低下しても再活性できるので、断熱性能を恒久
的に保持できる。ゲッター剤を断熱構造体から閉鎖可能
にすれば必要に応じてゲッター剤を断熱構造体から切り
離して再活性できる。またゲッター剤を加熱しながら再
活性すれば再生吸着能が向上する。さらに加熱温度を1
00℃以下で行えば、構成部品への熱影響が少ない。
【0039】ゲッター剤は、ゼオライト、活性炭、シリ
カゲル、金属酸化物、樹脂系合成吸着剤の中から選択す
れば長期にわたって可逆的に再活性が可能である。また
有効細孔径が異なるゲッター剤を2種類以上組み合せて
使うと、分子量の異なる真空悪化ガスを効率よく吸着で
きる。特に同一種類の組成物からなるものを2種以上併
用する場合には、再活性が容易に行われる。
【0040】本発明による真空断熱装置を有する冷却設
備は、冷却能力が安定しており、消費電力が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明におけるゲッター剤再生ユニットを装
着した真空断熱装置の概念図である。
【図2】 真空断熱パネルにおける熱伝導率の真空度依
存性を示した図である。
【図3】 本発明による真空断熱装置を有する冷蔵庫の
消費電力を測定した結果をあらわす表である。
【符号の説明】
1断熱箱体、 2外箱、 3内箱、 4断熱
材、 5ゲッター剤 6ゲッター剤ホルダー 7真空ポンプ、 8真
空計、9充填・排気兼用バルブ、 10排気バルブ、
11排気バルブ、12加熱ヒータ、 13嵌合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安部 千佐 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 山田 祥 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 西本 芳夫 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 岩田 修一 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 3H036 AA08 AB03 AB18 AB25 AB28 AB29 AC06 AE13 3L102 JA01 LB01 LB36 MB25 MB30

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉可能な内部空間を備えた構造体内に
    連続気泡を有する多孔性断熱材を充填するとともにこの
    構造体内を真空化してなる断熱構造体と、この構造体内
    に存在しうるガスを吸収可能なゲッター剤を含む真空維
    持手段と、当該ゲッター剤のガス吸収機能を再生しうる
    再生手段を備えてなる真空断熱装置。
  2. 【請求項2】 真空維持手段が、上記構造体と閉鎖可能
    に接続されたゲッター剤充填体からなる請求項1に記載
    の真空断熱装置。
  3. 【請求項3】 再生手段が、上記ゲッター剤充填体と閉
    鎖可能に接続された真空排気装置と上記ゲッター剤を加
    熱制御可能な加熱手段を備えてなる請求項2記載の真空
    断熱装置。
  4. 【請求項4】 加熱手段による加熱が、100℃以下で
    行われる請求項3に記載の真空断熱装置。
  5. 【請求項5】 ゲッター剤が、ゼオライト、活性炭、シ
    リカゲル、金属酸化物、樹脂系合成吸着剤のうちの少な
    くとも一種類からなる請求項1ー4項のいずれかに記載
    の真空断熱装置。
  6. 【請求項6】 ゲッター剤が、有効細孔径の異なるもの
    が少なくとも2種類以上混合されたものからなる請求項
    1ー5項のいずれかに記載の真空断熱装置。
  7. 【請求項7】 ゲッター剤が、同一種類の組成物からな
    る請求項6項に記載の真空断熱装置。
  8. 【請求項8】 断熱構造体が、冷却装置の断熱材である
    請求項1ー7項のいずれかに記載の真空断熱装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2806239B1 (en) * 2013-05-22 2017-10-18 LG Electronics Inc. Refrigerator and method of manufacturing the same
WO2019003475A1 (ja) * 2017-06-27 2019-01-03 栗田工業株式会社 真空度保持シート

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