JP2001132532A - エンジンの失火診断装置 - Google Patents

エンジンの失火診断装置

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JP2001132532A
JP2001132532A JP31514899A JP31514899A JP2001132532A JP 2001132532 A JP2001132532 A JP 2001132532A JP 31514899 A JP31514899 A JP 31514899A JP 31514899 A JP31514899 A JP 31514899A JP 2001132532 A JP2001132532 A JP 2001132532A
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JP
Japan
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cylinder
misfire
engine
combustion stroke
crank
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Pending
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JP31514899A
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English (en)
Inventor
Tetsukazu Inoue
哲一 井上
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気筒間の燃焼バラツキやクランク角を検出す
るためにクランクロータに形成された突起或いはスリッ
トの製造上のバラツキ等による誤診断を確実に防止して
失火診断精度をより向上させる。 【解決手段】 各気筒における所定クランク角毎のエン
ジン回転数を検出すると共に、現在の燃焼行程気筒#n
を判別し、それを失火診断対象気筒として特定する(S
17)。現在燃焼行程にある気筒#nに対するエンジン
回転数MNXnをセットし(S18)、さらに、現在の
燃焼行程気筒#nから所定燃焼行程前の気筒に至るまで
の各気筒におけるエンジン回転数MNXn, …, MNX
n−4に基づき、全気筒平均回転数MNXmを算出する
(S19)。そして、現在燃焼行程にある気筒#nにお
けるエンジン回転数MXNnと全気筒平均回転数MNX
mとの差を失火判定レベルLVLMISと比較し(S2
0)、差が失火判定レベルLVLMISを超えたとき、
失火診断対象気筒#nの失火と判断する(S21)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定クランク角毎
のエンジン回転状態量の変化に基づいて失火を診断する
エンジンの失火診断装置に関し、詳しくは、気筒間の燃
焼バラツキやクランク角を検出するためにクランクロー
タに形成された突起或いはスリットの製造上のバラツキ
等による誤診断を防止して失火診断精度を向上するエン
ジンの失火診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジンの失火診断に際し、
所定クランク角毎のエンジン回転状態量の変化に基づい
て失火の有無を診断するエンジンの失火診断装置が知ら
れている。すなわち、任意クランク角度間の時間を計測
し、その時間或いはそれから算出した回転数を比較して
当該気筒が失火したか否かを判定している。例えば、4
気筒エンジンにおいて、#3気筒の失火判定を行う場
合、点火順序が#1→#3→#2→#4気筒のとき、1
回前に点火した#1気筒と比較し、失火判定を行ってい
る。
【0003】また、特開平10−148153号公報に
は、所定クランク角毎にエンジン回転数の変化を検出す
ると共に、現在の燃焼行程気筒を判別し、1燃焼行程前
の気筒を失火診断対象気筒として両者の回転数に基づい
て失火の有無を判断するエンジンの失火診断装置が記載
されている。
【0004】前記失火診断装置では、失火を判定するた
めの失火判定レベルと、該失火判定レベルよりも大きい
値で失火以外の要因による回転数の変化を判定するため
の誤判定防止判定レベルが、それぞれエンジン運転状態
に基づいて設定される。そして、失火診断対象気筒のエ
ンジン回転数の変化が、失火以外の要因、すなわちスナ
ッチや外乱等による回転変動によるものか否かを、誤判
定防止判定レベルとの比較により直接判断する。
【0005】すなわち、失火診断対象気筒に対するエン
ジン回転数の変化が、マイナスの失火判定レベル以下
で、且つマイナスの誤判定防止判定レベル以上であり、
さらに、現在の燃焼行程気筒に対するエンジン回転数の
変化が失火判定レベル以上のとき、失火診断対象気筒の
失火と判断する。また、失火診断対象気筒に対するエン
ジン回転状態量の変化がマイナスの誤判定防止判定レベ
ル未満のときには、失火以外の要因、すなわちスナッチ
や外乱等によるエンジン回転変動と判断し、このときに
は失火診断を除外する。そして、これにより該当失火診
断対象気筒に対する失火を適正に診断することが可能と
なり、失火以外のスナッチや外乱等に起因する回転変動
による誤診断を確実に防止して失火診断精度をより向上
させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
行例においては、各気筒間の燃焼は全て同一とは言え
ず、その間に強弱が存在し各気筒間に燃焼バラツキが存
在する場合がある。また、クランク角を検出するため
に、エンジンのクランクシャフトには、所定クランク毎
に突起或いはスリットを形成したクランクロータが軸着
されており、クランク角を表すクランクロータの突起或
いはスリットは、打ち抜き加工などによって製作される
ため、突起或いはスリットの間隔にバラツキが生じる。
このため、クランクロータの突起或いはスリットをクラ
ンク角センサにより検出し、クランク角センサから出力
されるクランクパルスの入力間隔に基づいて算出される
エンジンの回転数に、クランクロータに形成された突起
或いはスリットの製造上のバラツキ等に起因して、見掛
け上の変動が生じる。
【0007】このように、各気筒間における燃焼の強弱
のバラツキや、エンジン回転数を算出する際の基となる
クランク角を検出するためのクランクロータの製造上の
バラツキ等によって、通常燃焼時でも、#3気筒の回転
数>#1気筒の回転数となることがあり、この場合には
#3気筒が失火してもそれを検出できない可能性があ
る。また、それとは逆に#3気筒の回転数<#1気筒の
回転数の場合には、失火していないにも関わらず、失火
と誤認識してしまう可能性があり、その改善が望まれて
いた。
【0008】本発明は、上記事情に鑑み、気筒間の燃焼
バラツキやクランク角を検出するためにクランクロータ
に形成された突起或いはスリットの製造上のバラツキ等
による誤診断を確実に防止して失火診断精度をより向上
することが可能なエンジンの失火診断装置を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の本発明によるエンジンの失火診断装置
は、各気筒における所定クランク角毎のエンジン回転状
態量を検出する回転状態量検出手段と、現在の燃焼行程
気筒を判別し、前記現在燃焼行程にある気筒を失火診断
対象気筒と判断する気筒判別手段と、前記現在燃焼行程
にある気筒から、所定燃焼行程前の気筒に至るまでの各
気筒における前記エンジン回転状態量に基づき、前記所
定燃焼行程間におけるエンジン回転状態量の平均値を算
出する回転状態量平均値算出手段と、失火を判定するた
めの失火判定レベルをエンジン運転状態に基づき設定す
る失火判定レベル設定手段と、エンジン回転状態量の前
記平均値と、前記現在燃焼行程にある気筒におけるエン
ジン回転状態量とを比較し、前記平均値と前記現在燃焼
行程にある気筒のエンジン回転状態量との差が前記失火
判定レベルを超えたとき、失火診断対象気筒の失火と判
断する失火判別手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】すなわち、請求項1の発明では、各気筒に
おける所定クランク角毎のエンジン回転状態量を検出す
ると共に、現在の燃焼行程気筒を判別し、現在燃焼行程
にある気筒を失火診断対象気筒と判断する。また、現在
燃焼行程にある気筒から、所定燃焼行程前の気筒に至る
までの各気筒におけるエンジン回転状態量に基づき、前
記所定燃焼行程間におけるエンジン回転状態量の平均値
を算出する。さらに、失火を判定するための失火判定レ
ベルをエンジン運転状態に基づいて設定する。そして、
エンジン回転状態量の平均値と、現在燃焼行程にある気
筒におけるエンジン回転状態量とを比較し、前記平均値
と現在燃焼行程にある気筒におけるエンジン回転状態量
との差が失火判定レベルを超えたとき、失火診断対象気
筒の失火と判断するため、気筒間の燃焼バラツキやクラ
ンク角を検出するためにクランクロータに形成された突
起或いはスリットの製造上のバラツキ等に起因する誤診
断を確実に防止して失火診断精度をより向上することが
可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図9を参照して本発
明の実施の一形態を説明する。
【0012】先ず、図6に基づいてエンジンの全体構成
について説明する。同図において、符号1はエンジンで
あり、本形態においては水平対向型4気筒ガソリンエン
ジンを示す。このエンジン1のシリンダブロック1aの
左右両バンクには、シリンダヘッド2がそれぞれ設けら
れ、各シリンダヘッド2に吸気ポート2aと排気ポート
2bとが形成されている。
【0013】エンジン1の吸気系としては、シリンダヘ
ッド2の各吸気ポート2aにインテークマニホルド3が
連通され、このインテークマニホルド3に、各気筒の吸
気通路が集合するエアチャンバ4を介して、アクセルペ
ダルに連動するスロットル弁5aが介装されたスロット
ルチャンバ5が連通されている。更に、スロットルチャ
ンバ5の上流側に吸気管6を介してエアクリーナ7が取
り付けられ、エアクリーナ7がエアインテークチャンバ
8に連通されている。
【0014】また、吸気管6には、スロットル弁5aを
バイパスするバイパス通路9が接続され、このバイパス
通路9に、アイドル時にその弁開度によって該バイパス
通路9を流れるバイパス空気量を調整することでアイド
ル回転数を制御するアイドル回転数制御弁(ISC弁)
10が介装されている。
【0015】また、インテークマニホルド3の各気筒の
吸気ポート2aの直上流側に、インジェクタ11が配設
され、燃料供給路12を介して燃料タンク13に連通さ
れている。燃料タンク13には、インタンク式の燃料ポ
ンプ14が設けられており、燃料ポンプ14からの燃料
が、燃料供給路12に介装された燃料フィルタ15を経
てインジェクタ11及びプレッシャレギュレータ16に
圧送され、プレッシャレギュレータ16から燃料タンク
13にリターンされてインジェクタ11への燃料圧力が
所定の圧力に調圧される。
【0016】また、シリンダヘッド2の各気筒毎に、先
端の放電電極を燃焼室に露呈する点火プラグ17が取り
付けられ、この点火プラグ17に、イグナイタ19を内
蔵するイグニッションコイル18が接続されている。
【0017】一方、エンジン1の排気系としては、シリ
ンダヘッド2の各排気ポート2bに連通するエキゾース
トマニホルド20の集合部に排気管21が連通され、こ
の排気管21に触媒コンバータ22が介装されてマフラ
23に連通されている。
【0018】ここで、エンジン運転状態を検出するため
のセンサ類について説明する。吸気管6のエアクリーナ
7の直下流には、ホットワイヤ或いはホットフィルム等
を用いた熱式の吸入空気量センサ24が介装され、ま
た、スロットルチャンバ5に設けられたスロットル弁5
aに、スロットル弁5aの開度を検出するためのスロッ
トル開度センサ25が連設されている。
【0019】また、エンジン1のシリンダブロック1a
にノックセンサ26が取り付けられると共に、シリンダ
ブロック1aの左右バンクを連通する冷却水通路27に
冷却水温センサ28が臨まされている。更に、触媒コン
バータ22の上流に空燃比センサの一例としてO2セン
サ29が配設されている。
【0020】エンジン1のクランクシャフト30に軸着
するクランクロータ31の外周には、クランク角を検出
するためのクランク角センサ32が対設され、更に、ク
ランクシャフト30に対して1/2回転するカムシャフ
ト33に連設するカムロータ34に、現在の燃焼行程気
筒、燃料噴射対象気筒や点火対象気筒を判別するための
気筒判別センサ35が対設されている。
【0021】図7は、クランクロータ31とクランク角
センサ32の正面図、図8は、カムロータ34と気筒判
別センサ35の正面図である。上記クランクロータ31
は、図7に示すように、その外周に突起31a,31
b,31cが形成され、これらの各突起31a,31
b,31cが、各気筒(#1,#2気筒と#3,#4気
筒)の圧縮上死点前(BTDC)θ1,θ2,θ3の位
置に形成されている。本実施の形態においては、θ1=
97°CA,θ2=65°CA,θ3=10°CAであ
る。なお、突起31a, 31b, 31cに代えてスリッ
トを形成しても良い。
【0022】また、図8に示すように、上記カムロータ
34の外周には、気筒判別用の突起34a,34b,3
4cが形成され(スリットでも良い)、突起34aが#
3,#4気筒の圧縮上死点後(ATDC)θ4の位置に
形成され、突起34bが3個の突起で構成されて最初の
突起が#1気筒のATDCθ5の位置に形成されてい
る。更に、突起34cが2個の突起で構成され、最初の
突起が#2気筒のATDCθ6の位置に形成されてい
る。本実施の形態においては、θ4=20°CA,θ5
=5°CA,θ6=20°CAである。
【0023】そして、図4のタイムチャートに示すよう
に、エンジン運転に伴いクランクシャフト30及びカム
シャフト33の回転により上記クランクロータ31及び
カムロータ34が回転して、クランクロータ31の各突
起が上記クランク角センサ32によって検出され、クラ
ンク角センサ32からθ1,θ2,θ3(BTDC97
°,65°,10°)の各クランクパルスがエンジン1
/2回転(180°CA)毎に出力される。一方、θ3
クランクパルスとθ1クランクパルスとの間で上記カム
ロータ34の各突起が上記気筒判別センサ35によって
検出され、気筒判別センサ35から所定数の気筒判別パ
ルスが出力される。
【0024】また、後述する電子制御装置40(図9参
照)において、上記クランク角センサ32から出力され
るクランクパルスの入力間隔時間Tθに基づいてエンジ
ン回転数Neを算出すると共に、各気筒の燃焼行程順
(例えば、#1気筒→#3気筒→#2気筒→#4気筒)
と、上記気筒判別センサ35からの気筒判別パルスをカ
ウンタによって計数した値とのパターンに基づいて、現
在の燃焼行程気筒、燃料噴射対象気筒や点火対象気筒等
の気筒判別を行う。
【0025】次に、エンジン1を制御する電子制御系の
構成について説明する。図9は、本発明の実施の一形態
に係わる電子制御系の回路構成図である。上記インジェ
クタ11、イグナイタ19、ISC弁10等のアクチュ
エータ類に対する制御量の演算や制御信号の出力、すな
わち、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転数制
御等のエンジン制御は、図9に示す電子制御装置(EC
U)40によって行われる。
【0026】ECU40は、CPU41、ROM42、
RAM43、バックアップRAM44、カウンタ・タイ
マ群45、及びI/Oインターフェイス46がバスライ
ンを介して互いに接続されるマイクロコンピュータを中
心として構成され、各部に安定化電源を供給する定電圧
回路47、I/Oインターフェイス46に接続される駆
動回路48及びA/D変換器49等の周辺回路が内蔵さ
れている。
【0027】なお、カウンタ・タイマ群45は、フリー
ランカウンタ、気筒判別センサ信号(気筒判別パルス)
の入力計数用カウンタ等の各種カウンタ、燃料噴射用タ
イマ、点火用タイマ、定期割り込みを発生させるための
定期割り込み用タイマ、クランク角センサ信号(クラン
クパルス)の入力間隔計時用タイマ、及びシステム異常
監視用のウオッチドッグタイマ等の各種タイマを便宜上
総称するものであり、その他、各種のソフトウエアカウ
ンタ・タイマが用いられる。
【0028】定電圧回路47は、2回路のリレー接点を
有する電源リレー50の第1のリレー接点を介してバッ
テリ51に接続されると共に、直接、バッテリ51に接
続されており、イグニッションスイッチ52がONされ
て電源リレー50の接点が閉になるとECU40内の各
部へ電源を供給する一方、イグニッションスイッチ52
のON,OFFに拘らず、常時、バックアップRAM4
4にバックアップ用の電源を供給する。更に、バッテリ
51には、燃料ポンプリレー53のリレー接点を介して
燃料ポンプ14が接続されている。なお、電源リレー5
0の第2のリレー接点には、バッテリ51から各アクチ
ュエータに電源を供給するための電源線が接続されてい
る。
【0029】I/Oインターフェイス46の入力ポート
には、イグニッションスイッチ52、ノックセンサ2
6、クランク角センサ32、気筒判別センサ35、及
び、車速センサ36等が接続されており、更に、A/D
変換器49を介して、吸入空気量センサ24、スロット
ル開度センサ25、冷却水温センサ28、及びO2セン
サ29等が接続されると共に、バッテリ電圧VBが入力
されてモニタされる。
【0030】一方、I/Oインターフェイス46の出力
ポートには、電源リレー50及び燃料ポンプリレー53
の各リレーコイル、ISC弁10、インジェクタ11、
及び、警報ランプ61等が駆動回路48を介して接続さ
れると共に、イグナイタ19が接続されている。
【0031】また、上記I/Oインターフェイス46に
は、外部接続用コネクタ55が接続されており、この外
部接続用コネクタ55にシリアルモニタ(携帯型故障診
断装置)60を接続することで、シリアルモニタ60に
よってECU40における入出力データ及び、ECU4
0の自己診断機能により上記バックアップRAM44に
ストアされた失火と診断したことを示す後述する失火判
定NGフラグFLGNG、失火気筒データを含む故障部
位、故障内容を示すトラブルデータを読み出して診断可
能としている。更に、上記シリアルモニタ60によっ
て、上記トラブルデータのイニシャルセット(クリア)
が行えるようになっている。
【0032】なお、このシリアルモニタ60によるトラ
ブルデータの診断、及びイニシャルセットについては、
本出願人による特公平7−76730号公報に詳述され
ている。
【0033】CPU41では、ROM42に記憶されて
いる制御プログラムに従って、I/Oインターフェイス
46を介して入力されるセンサ・スイッチ類からの検出
信号、及びバッテリ電圧等を処理し、RAM43に格納
される各種データ、及びバックアップRAM44に格納
されている各種学習値データ、ROM42に記憶されて
いる固定データ等に基づき、気筒別の燃料噴射量、気筒
別の点火時期、ISC弁10に対する駆動信号のデュー
ティ比等を演算し、気筒別燃料噴射制御、気筒別点火時
期制御、アイドル回転数制御等のエンジン制御を行う。
【0034】このようなエンジン制御系において、EC
U40では、エンジン回転状態量の変化に基づいて失火
診断を行う。すなわち、エンジン回転状態量の一例とし
てエンジン回転数Neを用い、各気筒における所定クラ
ンク角毎のエンジン回転数MNXを算出すると共に、ク
ランク角センサ32、気筒判別センサ35からそれぞれ
出力されるクランクパルス、気筒判別パルスに基づいて
現在の燃焼行程気筒#nを判別し、それを失火診断対象
気筒と判断する。また、現在燃焼行程にある気筒#nか
ら、所定燃焼行程前の気筒に至るまでの各気筒における
エンジン回転数MNXに基づき、前記所定燃焼行程間に
おけるエンジン回転数MNXの平均値MNXmを算出す
る。さらに、失火を判定するための失火判定レベルLV
LMISをエンジン運転状態の一例としてエンジン回転
数Neとエンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tp
(=K×Q/Ne、Qは吸入空気量、Kは定数)とに基
づいて設定する。そして、エンジン回転数MNXの平均
値MNXmと、現在燃焼行程にある気筒#nにおけるエ
ンジン回転数MXNnとを比較し、平均値MNXmと現
在燃焼行程にある気筒#nにおけるエンジン回転数MX
Nnとの差が失火判定レベルLVLMISを超えたと
き、失火診断対象気筒#nの失火と判断する。
【0035】すなわち、各気筒の所定クランク角毎のエ
ンジン回転数平均値MNXmを採用し、このエンジン回
転数平均値MNXmと、現在燃焼行程気筒#nの所定ク
ランク角度間のエンジン回転数MNXnとの差に基づい
て該当気筒#nの失火を判断することで、各気筒間にお
ける燃焼の強弱のバラツキによる各気筒間のエンジン回
転変動や、エンジン回転状態量としてエンジン回転数を
算出する際の基となるクランク角を検出するためにクラ
ンクロータ31に形成された突起(或いはスリット)の
製造上のバラツキ等に起因する見掛け上のエンジン回転
変動の影響を抑制し、これらのバラツキに起因する誤診
断を確実に防止して失火診断精度をより向上することが
可能となる。
【0036】より詳細には、本実施の形態においては、
気筒間における所定クランク角毎のエンジン回転数とし
て、BTDCθ2,θ3間、すなわちθ2,θ3クラン
クパルス入力間のエンジン回転数を採用し、今回算出し
たエンジン回転数MNXnから、その3回前の同区間に
おけるエンジン回転数MNXn−3までを平均して、全
気筒平均回転数MNXmを算出する。また、クランク角
センサ32、気筒判別センサ35からそれぞれ出力され
るクランクパルス、気筒判別パルスに基づいて現在の燃
焼行程気筒#nを判別し、この気筒#nを失火診断対象
気筒と判断する。一方、失火を判定するための失火判定
レベルLVLMISを、エンジン運転状態に基づいて設
定する。そして、現在の燃焼行程気筒#nにおけるエン
ジン回転数MNXnから全気筒平均回転数MNXmを減
算し、その差が失火判定レベルLVLMISを超えてい
るとき、失火診断対象気筒#nの失火と判断する。
【0037】従って、上述のように、エンジン回転数を
検出する際の基となるクランク角を検出するためのクラ
ンクロータ31やクランク角センサ32の製造許容誤
差、取付許容誤差等の影響や、各気筒間における燃焼の
強弱のバラツキによる影響が抑えられ、更に失火診断精
度が向上する。
【0038】すなわち、ECU40は、本発明に係る回
転状態量検出手段、気筒判別手段、回転状態量平均値算
出手段、失火判定レベル設定手段、失火判別手段の機能
を実現する。
【0039】以下、上記ECU40によって実行される
本発明に係る失火診断処理について、図1〜図3に示す
フローチャートに従って説明する。
【0040】先ず、イグニッションスイッチ52がON
され、ECU40に電源が投入されると、システムがイ
ニシャライズされ、バックアップRAM44に格納され
ているトラブルデータ及び各種学習値等のデータを除
く、各フラグ、各カウンタ類が初期化される。そして、
エンジン1が起動すると、クランク角センサ32からの
クランクパルス入力毎に、図1に示す気筒判別/エンジ
ン回転数算出ルーチンが実行される。
【0041】この気筒判別/エンジン回転数算出ルーチ
ンでは、エンジン運転に伴いクランクロータ31が回転
してクランク角センサ32からのクランクパルスが入力
されると、先ず、ステップS1で、今回入力されたクラ
ンクパルスがθ1,θ2,θ3の何れのクランク角に対
応する信号かを気筒判別センサ35からの気筒判別パル
スの入力パターンに基づいて識別し、ステップS2で、
クランクパルスと気筒判別パルスとの入力パターンから
現在の燃焼行程気筒、点火対象気筒、及び燃料噴射対象
気筒等の気筒判別を行う。
【0042】すなわち、図4のタイムチャートに示すよ
うに、例えば、前回クランクパルスが入力してから今回
クランクパルスが入力されるまでの間に気筒判別パルス
入力が有れば、今回のクランクパルスはθ1クランクパ
ルスであると識別でき、更に次回入力されるクランクパ
ルスはθ2クランクパルスと識別できる。
【0043】また、前回と今回とのクランクパルス入力
間に気筒判別パルス入力が無く、前々回と前回のクラン
クパルス入力間に気筒判別パルス入力が有ったときに
は、今回のクランクパルスはθ2クランクパルスと識別
でき、次回入力されるクランクパルスはθ3クランクパ
ルスと識別できる。さらに、前回と今回との間、及び前
々回と前回とのクランクパルス入力間に、何れも気筒判
別パルス入力が無いときには、今回入力されたクランク
パルスはθ3クランクパルスと識別でき、次回入力され
るクランクパルスはθ1クランクパルスと識別できる。
【0044】一方、前回と今回とのクランクパルス入力
間に気筒判別パルスが3個入力(突起34bに対応する
θ5気筒判別パルス)したときには、次の圧縮上死点は
#3気筒であり、現在の燃焼行程気筒は#1気筒、点火
対象気筒は#3気筒、燃料噴射対象気筒は、その2つ後
の#4気筒となることが判別できる。また、前回と今回
のクランクパルス入力間に気筒判別パルスが2個入力
(突起34cに対応するθ6気筒判別パルス)したとき
には、次の圧縮上死点は#4気筒であり、現在の燃焼行
程気筒は#2気筒、点火対象気筒は#4気筒、燃料噴射
対象気筒は#3気筒と判別できる。
【0045】加えて、前回と今回とのクランクパルス入
力間に気筒判別パルスが1個入力(突起34aに対応す
るθ4気筒判別パルス)し、前の圧縮上死点が#4気筒
であったときには、次の圧縮上死点は#1気筒であり、
現在の燃焼行程気筒は#4気筒、点火対象気筒は#1気
筒、燃料噴射気筒は#2気筒と判別できる。同様に、前
回と今回とのクランクパルス入力間に気筒判別パルスが
1個入力し、前の圧縮上死点が#3気筒であったときに
は次の圧縮上死点は#2気筒であり、現在の燃焼行程気
筒は#3気筒、点火対象気筒は#2気筒、燃料噴射対象
気筒は#1気筒と判別できる。
【0046】本形態の4サイクル4気筒エンジン1で
は、燃焼行程は#1→#3→#2→#4の気筒順であ
り、図4のタイムチャートに示すように、気筒判別パル
ス出力時の今回の燃焼行程気筒#nを#3気筒とする
と、点火対象気筒は圧縮上死点を迎える#n+1=#2
気筒、このときの燃料噴射対象気筒#iはその2つ後の
#n+3=#1気筒となる。そして、後述するように、
今回の燃焼行程気筒#nからその3燃焼行程前の#n−
3気筒までの間におけるエンジン回転数の平均値MNX
mが算出され、この平均値MNXmと#n気筒における
エンジン回転数MNXnとが、θ3クランクパルス入力
毎に実行される図2, 3の失火診断ルーチンにおいて比
較され、燃焼行程気筒#nに対する失火診断が行われ
る。
【0047】なお、図4では、今回の燃焼行程気筒が#
3気筒であり、しかもその#3気筒が失火した状態を示
しており、各気筒の筒内圧が燃焼と共に上昇するのに対
し、#3気筒の筒内圧は燃焼行程に入っても上昇してい
ない。さらに、エンジン回転数MNXも、各気筒が燃焼
行程に入り筒内圧が増減するのに伴って増減している
が、#3気筒においては、失火のためエンジン回転数M
NXが増加することなく単調減少している。
【0048】また、ここでは詳述しないが、点火対象気
筒#n+1の判別結果に応じて該当気筒#n+1に対す
る点火時期が設定されて、気筒毎に点火時期制御が行わ
れる。更に、燃料噴射対象気筒#i(#n+3気筒)の
判別結果が、所定周期毎に実行される図示しない燃料噴
射量設定ルーチンにおいて参照されて、気筒毎に燃料噴
射量が設定される。
【0049】その後、ステップS2からステップS3へ
進み、前記クランクパルス入力間隔計時用タイマによっ
て計時された前回のクランクパルス入力から今回のクラ
ンクパルス入力までの時間、すなわちクランクパルス入
力間隔時間(θ1クランクパルスとθ2クランクパルス
の入力間隔時間Tθ12、θ2クランクパルスとθ3ク
ランクパルスの入力間隔時間Tθ23、或いはθ3クラ
ンクパルスとθ1クランクパルスの入力間隔時間Tθ3
1)を読み出し、クランクパルス入力間隔時間Tθを検
出する。
【0050】次いで、ステップS4へ進み、今回識別し
たクランクパルスに対応するクランクパルス間角度を読
み出し、このクランクパルス間角度と上記クランクパル
ス入力間隔時間Tθとに基づいて現在のエンジン回転数
MNXを算出し、RAM43の所定アドレスにストアし
てルーチンを抜ける。なお、上記クランクパルス間角度
は既知であり、予めROM42に固定データとして記憶
されているものであり、本実施の形態においては、θ1
クランクパルスとθ2クランクパルス間の角度は32°
CAであり、θ2クランクパルスとθ3クランクパルス
間の角度は55°CA、θ3クランクパルスとθ1クラ
ンクパルス間の角度は93°CAである。また、エンジ
ン始動時を考慮し、エンジン回転数MNXは、例えば、
150rpm 以上で算出される。
【0051】そして、θ3クランクパルス入力毎に実行
される図2, 3に示す失火診断ルーチンにおいて、今回
の燃焼行程気筒#n、及び3行程前までの各気筒#n−
1〜#n−3のθ2, θ3クランクパルス入力間におけ
るエンジン回転数MNXの各データが読み出され、各気
筒におけるエンジン回転数MNXiの平均値MNXmが
算出されると共に、この平均値と今回の燃焼行程気筒#
nにおけるエンジン回転数MNXnが比較されて失火診
断が行われる。
【0052】ここで、上記失火診断ルーチンは、θ3ク
ランクパルス入力に対応して実行され、このとき、上記
気筒判別/エンジン回転数算出ルーチンによりθ2クラ
ンクパルスとθ3クランクパルス間の入力間隔時間Tθ
23に基づきBTDCθ2,θ3間のエンジン回転数M
NXが算出されており、上述のBTDCθ2,θ3間の
エンジン回転数MNXに基づいて失火診断対象気筒の失
火診断が行われることになる。
【0053】この失火診断ルーチンにおいては、先ず、
ステップS11〜S13で、失火診断条件が成立するか
否かを判断する。
【0054】すなわち、ステップS11で、燃料カット
中か否かを判断し、燃料カットが行われていないとき、
ステップS12で、燃料噴射量設定ルーチンにおいて設
定され基本燃料噴射量を定める基本燃料噴射パルス幅T
pを下限値TpLWERと比較し、現在のエンジン運転領域
が失火診断可能領域にあるか否かを判断する。そして、
Tp≧TpLWERのとき、続くステップS13で、現
在のエンジン回転数MNXを上限値NeUPERと比較
する。
【0055】ここで、燃料カット中のときには、燃料が
噴射されておらず、各気筒とも強制失火状態にあり、失
火診断を行うことができない。また、Tp<TpLWE
Rで燃料噴射量が微少のときには、失火以外の回転変動
成分が大きくエンジン回転数変化によって失火診断を行
うと誤診断を生じる。さらに、Ne≧NeUPERの高
回転域では、回転変動がなまされ、この領域においては
失火診断を行うことはできない。
【0056】従って、燃料カット中のとき、或いはTp
<TpLWERの失火診断不能領域のとき、或いはNe
≧NeUPERの高回転域のときには、失火診断条件の
不成立により該当するステップからステップS14へ進
み、診断許可フラグFLGDIAGをクリア(FLGD
IAG←0)して失火診断を禁止し、ステップS16へ
進む。
【0057】一方、燃料噴射が行われており、Tp≧T
pLWERで現在のエンジン運転状態が失火診断可能領
域にあり、且つNe<NeUPERで高回転を除く領域
のとき、失火診断条件成立と判断してステップS15へ
進み、診断許可フラグFLGDIAGをセット(FLG
DIAG←1)して失火診断を許可し、ステップS16
へ進む。
【0058】ステップS16では、上記診断許可フラグ
FLGDIAGを参照し、FLGDIAG=0で診断条
件の不成立により失火診断が禁止されているときには、
図3のフローチャートのステップS31へジャンプし、
診断許可フラグFLGDIAGが再度確認され、FLG
DIAG=0が確認されるとステップS48へと進み、
失火診断条件が具備していない旨のデータをモニタ用デ
ータとしてストアし、ルーチンを抜ける。
【0059】ステップS16にて、FLGDIAG=1
で診断条件が成立し失火診断が許可されているときに
は、ステップS17に進み、失火診断対象気筒として現
在燃焼行程にある気筒#nが特定される。すなわち、図
1に示した気筒判別/エンジン回転数算出ルーチンにお
いて、クランクパルスと気筒判別パルスの入力パターン
から判別された気筒判別情報がRAM43から読み込ま
れる。この場合、例えば、クランクパルス入力間に気筒
判別パルスが1個入力し、前の圧縮上死点が#3気筒で
あったときには現在の燃焼行程気筒は#3気筒と判別さ
れており、このとき失火診断対象気筒として#3気筒が
特定される。
【0060】失火診断対象気筒#nが特定されると、ス
テップS18に進み、図1に示した気筒判別/エンジン
回転数算出ルーチンにて算出され、RAM43に格納さ
れている最新のθ2, θ3クランクパルス入力間のエン
ジン回転数Neを読み出して、当該気筒#nのエンジン
回転数MNXnとしてセットする。すなわち、予め回転
角度が分かっているθ2クランクパルスからθ3クラン
クパルスまでの時間に基づき、エンジン回転数Neが算
出されており、この値Neが気筒#nのエンジン回転数
MNXnとしてセットされる。例えば、失火診断対象気
筒が#3気筒の場合、このステップS18にて、エンジ
ン回転数としてMNX#3がセットされる(図4参
照)。
【0061】ここで、図5は、#3気筒が失火した場合
におけるエンジン回転数MNXnの変動を示す説明図で
あり、#3気筒が燃焼行程にある場合に、エンジン回転
数が大きく減少することが分かる。また、前述のように
図4にも#3気筒が失火した場合のエンジン回転数の変
化が示されており、例えば図4, 5のように#3気筒が
失火した場合には、このステップS18では正常燃焼時
よりも低い回転数が読み込まれてセットされることにな
る。
【0062】エンジン回転数MNXnをセットした後、
ステップS19に進み、全気筒平均回転数MNXmが算
出される。この全気筒平均回転数MNXmは、失火診断
対象気筒#nを含み、それより燃焼行程にして3回前の
気筒#n−3までの各エンジン回転数MNXnの平均を
採ったものであり、各エンジン回転数MNXn〜MNX
n−3の総和を気筒数4で除した値(MNXn+MNX
n−1+MNXn−2+MNXn−3)/4となる。例
えば、失火診断対象気筒が#3気筒であるとすると、全
気筒平均回転数MNXmは、(MNX#3+MNX#1
+MNX#4+MNX#2)/4となる。
【0063】全気筒平均回転数MNXmを算出した後、
ステップS20に進み、全気筒平均回転数MNXmと、
失火診断対象気筒#nにおけるエンジン回転数MNXn
との差が算出され、これと失火判定レベルLVLMIS
とが比較される。すなわち、失火診断対象気筒のエンジ
ン回転数MNXnから全気筒平均回転数MNXmを減算
した値と失火判定レベルLVLMISとの大小関係を判
定する。
【0064】この場合、失火判定レベルLVLMIS
は、エンジン運転状態として現在のエンジン回転数Ne
とエンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとに基
づき、ROM42に格納されている失火判定レベルマッ
プを参照し、補間計算により設定される。なお、失火判
定レベルLVLMISは、予めシミュレーション或いは
実験等により、エンジン回転数Neと基本燃料噴射パル
ス幅Tpとをパラメータとして、失火時のθ2, θ3ク
ランクパルス入力間のエンジン回転数MNXと全気筒平
均回転数MNXmとの差を求め、これに判定余裕度を加
味して失火を適正に判定し得る判定しきい値として設定
したものであり、例えば8×8格子のマップからなる失
火判定レベルマップとしてROM42の一連のアドレス
にメモリされている。
【0065】ステップS20において、エンジン回転数
MNXnから全気筒平均回転数MNXmを減算した値が
失火判定レベルLVLMIS未満の場合、すなわち、両
者の差が失火判定レベルLVLMISをマイナス側に超
えた場合、失火診断対象気筒#nが失火したものと判定
し、ステップS21に進む。例えば、図5に示したよう
に、失火診断対象気筒である#3気筒が失火した場合、
全気筒平均回転数MNXmに対しエンジン回転数MNX
#3が大きく落ち込むため、エンジン回転数MNXnか
ら全気筒平均回転数MNXmを減算した値が小さくな
り、失火判定レベルLVLMIS未満となって、#3気
筒の失火が検出される。
【0066】そして、ステップS21にて、#n気筒失
火回数MISCNTnをインクリメントし、図3のフロ
ーチャートのステップS31に進む。例えば#3気筒が
失火した場合、その失火検出が初回であれば#3気筒失
火回数MISCNT3=1となり、ステップS31へ進
む。
【0067】ここで、気筒間の燃焼バラツキやクランク
角を検出するためにクランクロータ31に形成された突
起(或いはスリット)の製造上のバラツキ等によりエン
ジン回転数が変動した場合にも、エンジン回転数は一時
的に低下する。
【0068】しかしながら、これらのバラツキに起因す
るエンジン回転数の変動時における現在の燃焼行程気筒
(失火診断対象気筒)#nのθ2, θ3クランクパルス
入力間のエンジン回転数MNXnと全気筒平均回転数M
NXmとの差は、失火時に比べると明確に小さい値とな
る。
【0069】このため、失火判定レベルLVLMIS
を、予めシミュレーション或いは実験等によりエンジン
回転数Neと基本燃料噴射パルス幅Tpとによるエンジ
ン運転領域毎に、燃焼のバラツキによる回転変動や、ク
ランクロータ31に形成された突起(或いはスリット)
の製造上のバラツキ等による見掛け上の回転変動では下
回らない値に容易に設定することが可能となる。
【0070】従って、所定クランク角毎としてθ2, θ
3クランクパルス入力間の全気筒平均回転数MNXmを
採用し、現在の燃焼行程気筒#nを失火診断対象気筒と
して、当該気筒におけるθ2, θ3クランクパルス入力
間のエンジン回転数MNXnと全気筒平均回転数MNX
mとの差を失火判定レベルと比較して当該気筒#nの失
火を判断することで、各気筒間における燃焼の強弱のバ
ラツキによる各気筒間のエンジン回転変動の影響や、エ
ンジン回転状態量を算出する際の基となるクランク角を
検出するためにクランクロータに形成された突起或いは
スリットの製造上のバラツキ等に起因する見掛け上のエ
ンジン回転変動の影響を抑制して、適正に失火診断を行
うことが可能となる。
【0071】一方、ステップS20で、エンジン回転数
MNXnから全気筒平均回転数MNXmを減算した値が
失火判定レベルLVLMIS以上の場合、失火診断対象
気筒#nは失火していないものと判定し、#n気筒失火
回数MISCNTnをインクリメントすることなくステ
ップS31に進む。そして、ステップS31以降の処理
で、総合的な失火判定を行う。
【0072】ステップS31では、上記診断許可フラグ
FLGDIAGを参照し、FLGDIAG=0で診断条
件の不成立により失火診断が禁止されているときには、
ステップS48へジャンプする。
【0073】一方、FLGDIAG=1で、失火診断が
許可されているときには、ステップS32へ進み、カウ
ント値CRACNTをカウントアップし、続くステップ
S33で、このカウント値CRACNTを設定値(20
00)と比較し、設定値に達したか否かを判断する。す
なわち、FLGDIAG=1で図2の失火診断ルーチン
によって気筒毎の失火診断が上記設定値により定まる設
定回数(2000回)行われる都度、後続のステップS
34以降の処理によって総合的な失火判定を行う。
【0074】そして、CRACNT<2000で設定回
数に未だ達していないときには、総合失火判定を行うこ
となく、ステップS48へジャンプし、CRACNT≧
2000で気筒毎の失火診断が設定回数(2000回)
に達したとき、ステップS34へ進む。そして、ステッ
プS34以下で、総合的な失火判定を行う。
【0075】この総合失火判定は、先ずステップS34
で、上記ステップS21においてカウントアップされた
各気筒毎の失火回数MISCNT#1〜#4を合計して
全気筒失火回数合計値ΣMISCNT#1〜#4を算出
し、この間の失火率MISPCNTを算出する(MIS
PCNT←ΣMISCNT#1〜#4×100/200
0)。
【0076】次いでステップS35で、上記失火率MI
SPCNTを設定値LMSCNTと比較することで、恒
常的に失火が生じているか否かを判断する。そして、M
ISPCNT≧LMSCNTで、恒常的に失火が生じて
いるときには、失火によるエンジン異常と判断してステ
ップS36へ進み、失火気筒及び上記失火率MISPC
NTの各データをバックアップRAM44の所定アドレ
スにストアする。
【0077】続くステップS37では、バックアップR
AM44にストアされ失火によるエンジン異常と判断さ
れたときセットされる1回目失火判定NGフラグFLG
NG1を参照し、FLGNG1=1で既に失火によるエ
ンジン異常と判断されているときには、ステップS38
へ進み、バックアップRAM44にストアされ失火によ
るエンジン異常と確定する2回目失火判定NGフラグF
LGNG2をセットし(FLGNG2←1)、ステップ
S39へ進む。この失火のエンジン異常の確定により上
記警報ランプ61を点灯或いは点滅し、失火によるエン
ジン異常を運転者に報知する。すなわち、2回連続して
恒常的な失火が生じていると判断されるときに、失火に
よるエンジン異常と確定することで、失火診断の信頼性
を向上する。
【0078】また、上記ステップS37で、FLGNG
1=0で失火によるエンジン異常と判断される初回のと
きには、ステップS39へジャンプする。
【0079】そして、ステップS39で、1回目失火判
定NGフラグFLGNG1をセットし(FLGNG1←
1)、続くステップS40で、失火異常判定解除を判断
するための異常なしの判定回数カウント値CNTOKを
クリアして(CNTOK←0)、ステップ46へ進む。
【0080】一方、上記ステップS35において、MI
SPCNT<LMSCNTのときには、恒常的な失火が
生じておらず、或いは、加減速等に伴う一時的な失火と
判断して、ステップS41へ進み、異常なしの判定回数
カウント値CNTOKをカウントアップする(CNTO
K←CNTOK+1)。続くステップS42では、上記
判定回数カウント値CNTOKを設定値(80)と比較
することで、失火異常の判定の解除条件を判断する。
【0081】そして、CNTOK<80のときには、失
火異常の判定解除条件が未だ成立していないと判断し、
そのままステップS46へ進む。
【0082】また、CNTOK≧80で異常なしの判定
が設定値により定まる設定回数(80回)継続したと
き、失火異常なしと確定し、失火異常の判定解除条件の
成立により、ステップS42からステップS43へ進
み、ステップS43〜S45で、1回目失火判定NGフ
ラグFLGNG1,2回目失火判定NGフラグFLGN
G2,失火率MISPCNTをそれぞれクリアし、上記
ステップS40へ進んで、上記判定回数カウント値CN
TOKをクリアしてステップS46へ進む。
【0083】そして、ステップS46へ進むと、次回の
総合失火判定に備え、上記カウント値CRACNTをク
リアし、続くステップS47で、各気筒毎の失火回数M
ISCNT#1〜#4をそれぞれクリアして、ステップ
S48へ進む。
【0084】そして、ステップS48で、上記各データ
をモニタ用データとしてストアし、ルーチンを抜ける。
また、この際、警報ランプ61を点灯して、運転者に失
火発生を通知しても良い。さらに、外部接続用コネクタ
55にシリアルモニタ60を接続すれば、シリアルモニ
タ60により、バックアップRAM44にストアされた
各失火判定NGフラグFLGNG1, 2や、失火気筒デ
ータを含む故障部位、故障内容を示すトラブルデータを
読み出して診断を行うことができる。なお、シリアルモ
ニタ60によって、失火に関するトラブルデータをクリ
アすることもできる。
【0085】以上、本発明者によってなされた発明を実
施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実
施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱し
ない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0086】例えば、前述の失火診断のステップS20
において、エンジン回転数MNXnから全気筒平均回転
数MNXmを減算した値が失火判定レベルLVLMIS
未満の場合に失火と判定しているが、全気筒平均回転数
MNXmからエンジン回転数MNXnを減算した値と失
火判定レベルLVLMISとを比較し、両者の差が失火
判定レベルLVLMIS以上の場合(MNXm−MNX
n≧LVLMIS)に失火と判定しても良い。
【0087】また、本実施の形態においては、エンジン
回転状態量としてエンジン回転数を用い、所定周期毎の
エンジン回転変化量に基づいて失火を検出するようにし
ているが、本発明はこれに限定されず、エンジン回転数
に代えてエンジン回転周期、エンジン回転角速度、或い
はエンジン回転角加速度を用いるようにしても良い。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、各気筒における所定クランク角毎のエンジン
回転状態量を検出すると共に、現在の燃焼行程気筒を判
別し、現在燃焼行程にある気筒を失火診断対象気筒と判
断する。また、現在燃焼行程にある気筒から、所定燃焼
行程前の気筒に至るまでの各気筒におけるエンジン回転
状態量に基づき、所定燃焼行程間におけるエンジン回転
状態量の平均値を算出する。さらに、失火を判定するた
めの失火判定レベルをエンジン運転状態に基づいて設定
する。そして、エンジン回転状態量の平均値と、現在燃
焼行程にある気筒におけるエンジン回転状態量とを比較
し、前記平均値と現在燃焼行程にある気筒におけるエン
ジン回転状態量との差が失火判定レベルを超えたとき、
失火診断対象気筒の失火と判断するので、各気筒間にお
ける燃焼の強弱のバラツキによる各気筒間のエンジン回
転変動や、エンジン回転状態量を算出する際の基となる
クランク角を検出するためにクランクロータに形成され
た突起或いはスリットの製造上のバラツキ等に起因する
見掛け上のエンジン回転変動の影響を抑制し、これらの
バラツキに起因する誤診断を確実に防止して失火診断精
度をより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気筒判別/エンジン回転数算出ルーチンのフロ
ーチャート
【図2】失火診断ルーチンのフローチャート
【図3】失火診断ルーチンのフローチャート(続き)
【図4】クランクパルス、気筒判別パルス、燃焼行程気
筒、筒内圧、及びエンジン回転数の関係を示すタイムチ
ャート
【図5】#3気筒が失火した場合のエンジン回転数の状
態を示すタイムチャート
【図6】エンジンの全体概略図
【図7】クランクロータとクランク角センサの正面図
【図8】カムロータと気筒判別センサの正面図
【図9】電子制御系の回路構成図
【符号の説明】
1 エンジン 32 クランク角センサ 35 気筒判別センサ 40 電子制御装置(回転状態量検出手段、気筒判別
手段、回転状態量平均値算出手段、失火判定レベル設定
手段、失火判別手段) Ne エンジン回転数(エンジン回転状態量) #n 現在の燃焼行程気筒 LVLMIS 失火判定レベル MNXn−1 1燃焼行程前の気筒#n−1における
所定クランク角度間のエンジン回転数 MNXn 現在の燃焼行程気筒#nにおける所定クラ
ンク角度間のエンジン回転数 MNXm 全気筒平均回転数(エンジン回転状態量の
平均値)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G087 BB14 CC01 FF07 FF18 FF24 FF32 3G019 CD09 GA00 GA01 GA05 GA06 GA16 3G084 DA04 DA27 EA05 EA07 EA11 EB22 EB25 FA00 FA24 FA33 FA34 FA38 FA39

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各気筒における所定クランク角毎のエン
    ジン回転状態量を検出する回転状態量検出手段と、 現在の燃焼行程気筒を判別し、前記現在燃焼行程にある
    気筒を失火診断対象気筒と判断する気筒判別手段と、 前記現在燃焼行程にある気筒から、所定燃焼行程前の気
    筒に至るまでの各気筒における前記エンジン回転状態量
    に基づき、前記所定燃焼行程間におけるエンジン回転状
    態量の平均値を算出する回転状態量平均値算出手段と、 失火を判定するための失火判定レベルをエンジン運転状
    態に基づき設定する失火判定レベル設定手段と、 エンジン回転状態量の前記平均値と、前記現在燃焼行程
    にある気筒におけるエンジン回転状態量とを比較し、前
    記平均値と前記現在燃焼行程にある気筒のエンジン回転
    状態量との差が前記失火判定レベルを超えたとき、失火
    診断対象気筒の失火と判断する失火判別手段とを備えた
    ことを特徴とするエンジンの失火診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007056713A (ja) * 2005-08-23 2007-03-08 Denso Corp 回転角度検出装置

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