JP2001131862A - 機能性微粒晶担持シート材とその製造方法 - Google Patents

機能性微粒晶担持シート材とその製造方法

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JP2001131862A
JP2001131862A JP30874299A JP30874299A JP2001131862A JP 2001131862 A JP2001131862 A JP 2001131862A JP 30874299 A JP30874299 A JP 30874299A JP 30874299 A JP30874299 A JP 30874299A JP 2001131862 A JP2001131862 A JP 2001131862A
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Shigeru Sasaki
慈 佐々木
Kenichiro Suzuki
賢一郎 鈴木
Hiroaki Hayashi
宏明 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シート材に対して、その風合いを損なうこと
なく、容易に剥落しない形態で機能性結晶を担持させ
る。 【解決手段】 結晶核物質を分散状に含有又は担持させ
たシート材の浸漬下に、機能性結晶を析出すべき溶質を
過飽和に生成する溶液反応系を設定し、結晶核物質を中
心とする溶質の析出により、シート材上に微粒状の機能
性結晶を分散状態で析出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は機能性微粒晶担持シ
ート材とその製造方法に関し、更に詳しくは、柔軟な風
合い又は一定の柔軟性が求められるシート材に対して、
その要求を阻害することなく一定の機能性結晶を強固に
担持させた機能性微粒晶担持シート材とその製造方法に
関する。本発明は、例えば、衣服やカーテンクロスに光
触媒を担持させる場合等に特に好ましく適用される。
【0002】
【従来の技術】生活環境に存在する種々のシート材の中
には柔軟な風合い又は一定の柔軟性を求められるものが
あり、又、これらのシート材は、本来の機能に加え、そ
の用途に関連する特定の機能を付加することが望ましい
場合がある。その代表的な例として、衣服やカーテンク
ロス等のシート材に光触媒を担持させ、脱臭,抗菌,防
汚等の機能を付加しようとする場合が挙げられる。
【0003】このような場合における光触媒担持方法の
従来技術として、例えば、スパッタリングによる方法、
浸漬法により光触媒をコロイド粒子として付着させる方
法、いわゆるディップニップ方式で付着させる方法等が
用いられている。
【0004】又、これらのシート材が合成樹脂繊維を用
いている場合には、該合成樹脂に予め光触媒粒子を練り
込んでおくと言う方法がある。
【0005】次に、シート材上に光触媒の被膜を形成さ
せる方法として、慶応大学理工学部の今井宏明らの提案
による、四フッ化チタンの塩酸水溶液を用いて繊維上に
アナターゼの結晶薄膜を直接合成させる方法等も提案さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記スパッタ
リング法、コロイド粒子付着法又はディップニップ方式
の場合、基本的には光触媒を付着状態で担持させている
ので、光触媒の剥落を生じる恐れがある。又、上記の練
り込み法による場合、光触媒粒子の剥落は生じ難いが、
光触媒が繊維構成材料中に埋没して性能を阻害される恐
れがある。
【0007】一方、今井らの提案によるアナターゼの結
晶薄膜を形成させる方法においては、アナターゼが繊維
上に直接に析出しているので、一般的には剥落を生じ難
いと考えられ、しかも表面に露出しているために触媒性
能も良好に発揮されると考えられる。しかしながらこの
方法による場合、第1に、結晶の薄膜が繊維表面を隙間
なく覆うためシート材の柔軟性あるいは柔軟な風合いが
損なわれると言う問題があり、第2に、シート材が例え
ば洗濯時のような激しい動揺もしくは折曲げを受けた場
合、シート材表面全体を覆って層状に形成された結晶薄
膜構造が、部分的には結晶の固着力を上回る強い応力を
受け、多数のクラックを生じて破壊されると共に一部の
結晶が剥落すると言う問題があった。
【0008】そこで本発明は、柔軟な風合い又は一定の
柔軟性が求められるシート材に対して、例えば光触媒の
ような特定の機能を果たす結晶を、次の〜の条件を
満足する形態で担持させることを、解決すべき課題とす
る。 結晶の担持によってシート材固有の風合い又は柔軟性
を阻害しない。 結晶がシート材の激しい動揺や折曲げによっても容易
に剥落しない。 結晶の性能を阻害しない担持形態である。
【0009】発明者は、上記課題の解決手段を模索する
過程で「微粒結晶の分散担持」と言う担持形態が極めて
有効であると言う着想に到達し、又、かかる担持形態を
可能とする製造プロセスを確立して、本願発明を完成し
た。
【0010】
【課題を解決するための手段】(第1発明の構成)上記
課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の
発明)の構成は、柔軟な風合い又は一定の柔軟性が求め
られるシート材に対して、該シート材の用途に関連した
特定の機能を果たす微粒状の結晶が、シート材上に直接
析出した形態で分散状に担持されている、機能性微粒晶
担持シート材である。
【0011】(第2発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、
結晶核物質を分散状に含有又は担持した第1発明に係る
シート材の浸漬下に、第1発明に係る結晶を析出すべき
溶質を過飽和に生成する溶液反応系を設定し、生成した
前記溶質を前記結晶核物質を中心として析出させること
により、シート材上に微粒状の前記結晶を分散状に生じ
させる、機能性微粒晶担持シート材の製造方法である。
なお、本件明細書において「浸漬」とは、いわゆるディ
ッピングや含浸,スプレーコート等の形態を含む概念で
ある。
【0012】(第3発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、
前記第2発明に係る溶液反応系が酸化チタンを生成可能
なチタン塩溶液であり、結晶が光触媒の結晶である、機
能性微粒晶担持シート材の製造方法である。
【0013】(第4発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、
前記第3発明に係るチタン塩溶液に含まれるチタン塩
が、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシド、無機チタ
ン塩、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニ
ルカリウム2水和物、シュウ酸チタンバリウム、硫酸チ
タニル、チタニルアセチルアセトナートより選ばれた少
なくとも1種である、機能性微粒晶担持シート材の製造
方法である。
【0014】(第5発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、
前記第3発明又は第4発明に係るチタン塩溶液が四フッ
化チタンの酸性溶液である、機能性微粒晶担持シート材
の製造方法である。
【0015】
【発明の作用・効果】(第1発明の作用・効果)第1発
明においては、微粒状の結晶がシート材上において分散
状に担持されているので、シート材の全体的な風合いあ
るいは柔軟性を殆ど阻害しない。又、個々の微粒状結晶
は、人間の指先や肌にザラツキ感を与える程大きくはな
い。
【0016】微粒状の結晶はシート材上に直接析出した
形態で担持されているので、シート材に対する接着力が
強く、シート材の通常の使用状況において剥落しないの
は勿論であるが、シート材が洗濯時のような激しい動揺
もしくは折曲げを受けた場合でも、前記結晶薄膜のよう
な担持形態の破壊的な変化を伴わないので、容易に剥落
しない。
【0017】更に、微粒状の結晶はシート材上に(つま
り、表面上に)担持されているので、前記練り込み方式
のような結晶の埋没等による不具合がない。なお、結晶
が薄膜状に担持される場合よりも微粒状に分散して担持
される場合の方が(その分散担持の密度にも関連する
が)、一般的に結晶の表面積合計を大きくすることがで
きるので、その特定機能をより良く発現させ得る。
【0018】微粒状の結晶によって発現される「特定機
能」の内容は、第1発明の構成及び作用・効果に対して
直接には関連しない。従って「特定機能」の内容は任意
である。
【0019】(第2発明の作用・効果)第2発明によっ
て、第1発明に係る機能性微粒晶担持シート材を簡易か
つ効率的に製造することができる。この方法において、
微粒状結晶の分散密度は結晶核物質の含有密度又は担持
密度によって調整することができ、個々の微粒状結晶の
サイズはシート材の浸漬時間、溶質生成反応の反応速度
又は溶質析出速度のいずれか一以上の因子をコントロー
ルすることで調整することができる。
【0020】(第3発明〜第5発明の作用・効果)第3
発明〜第5発明によって、第2発明の実用的価値の高い
実施形態が提供される。なお、第5発明において、四フ
ッ化チタンの酸性溶液から光触媒たる酸化チタン(Ti
2W)の結晶を析出させるプロセスは100°C以下の
低温度域において十分に遂行させることができるので、
シート材の熱劣化を回避する事ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、第1発明〜第5発明の実施
の形態について説明する。以下において単に「本発明」
と言うときは、第1発明〜第5発明を一括して指してい
る。
【0022】〔シート材〕本発明において用いるシート
材は、柔軟な風合い又は一定の柔軟性が求められるシー
ト材である限りにおいて、その用途や形状もしくは形態
及び材質等は限定されない。
【0023】シート材の用途面からは、例えば衣服,カ
ーテンクロス,布団カバー,シーツ,ハンカチ,壁紙,
壁クロス,ブラインド,ふきん,テーブルクロス,タペ
ストリー等を代表的に例示することができる。これらは
いずれも、柔軟な風合い又は一定の柔軟性が求められ、
脱臭,抗菌,防汚その他の特定機能を付加することが望
ましく、かつ、例えば洗濯のような激しい動揺や折曲げ
を伴う扱いを受けることがある。
【0024】シート材の材質としては、有機又は無機の
合成繊維又は天然繊維(例えば、生糸,絹,麻,ポリエ
ステル繊維,ナイロン繊維,ポリアクリロニトリル繊
維,アラミド繊維,ガラス繊維等)を用いた織物又は不
織布,植物繊維を用いた抄紙等や、合成樹脂又はエラス
トマーを用いたフィルム状又はシート状材料等を代表的
に例示することができる。
【0025】〔結晶の種類と機能〕シート材に担持され
る結晶は、該シート材の用途に関連した特定の機能を果
たすものである。結晶の種類と機能は限定されないが、
代表的なものとして、脱臭効果の他に抗菌効果や防汚効
果も期待できる光触媒結晶、光を必要とせずに光触媒と
同様の脱臭等の効果を期待できる触媒結晶、親水効果を
期待できるシリカ,チタニア等の表面にOH基を多く持
つ無機酸化物結晶、等を例示することができる。
【0026】光触媒結晶としては、公知の各種光触媒結
晶を任意に使用することができるが、特に好ましくは酸
化チタン結晶、とりわけ好ましくはアナターゼ型を例示
することができる。
【0027】〔結晶の担持形態〕特定の機能を果たす微
粒状の結晶は、シート材上において、結晶核物質を中心
として析出させたものである。従って微粒状の結晶は結
晶核物質及びこれを中心とする一定範囲のシート材上に
析出しているので、結晶核物質自体がシート材に強固に
固着しているか否かに関わらず、微粒状の結晶はシート
材に強固に固着している。
【0028】結晶核物質は微粒状の結晶の析出拠点とな
り得るものである限りにおいて、微粒状の結晶と同一の
物質であっても、異なる物質であっても構わないが、一
般的にはTi,Si,Al又はその酸化物であるチタニ
ア,アルミナ,ケイ酸等を便利に利用することができ
る。
【0029】結晶核物質は、上記のように、それ自体の
シート材に対する固着力を余り問題としないので、これ
をシート材上に担持するに当たっては、例えば結晶核物
質の粒子分散液あるいは結晶核物質又は結晶核物質前駆
体のゾル液等にシート材をディッピッグしてから乾燥さ
せる、と言った簡易な方法を任意に採用することができ
る。
【0030】一方、シート材が合成樹脂やエラストマー
を用いたものである場合には、成形前のこれらの溶融材
料に予め粉粒状の結晶核物質を混入させておく練り込み
法も、好ましく採用できる。特定の機能を果たす微粒状
の結晶自体を練り込むのではないので、前記従来技術の
ような弊害はない。更に、ポリエステル繊維等の一定の
合成繊維には艶消しの目的で不活性な酸化チタン等が練
り込まれている場合があるが、これをそのまま結晶核物
質として利用することもできる。
【0031】上記した、結晶核物質を意図的に練り込む
場合や、図らずもこれが練り込まれている場合におい
て、その結晶成長核としての機能を顕著にするために、
水酸化ナトリウム水溶液,アルコール蒸気,反応促進剤
を用いたアルカリ減量加工により、結晶核物質をシート
材表面に更に露出させても良い。
【0032】シート材表面における結晶核物質の分散密
度が、特定の機能を果たす微粒状の結晶の分散密度を決
定する。又、前記のように、溶質生成反応液へのシート
材の浸漬時間,溶質生成反応の反応速度を決定する諸条
件,結晶核物質に対する溶質析出速度を決定する諸条件
が微粒状の結晶の大きさを決定する。従って、一律には
規定できないが、シート材上において所定範囲のサイズ
の微粒状の結晶を所定の分散密度で担持させるための条
件は、経験によって知ることができる。
【0033】シート材表面における微粒状の結晶の分散
密度は任意であるが、過密又は過疎なものは好ましくな
い。あくまでも一例として、微粒状の結晶がシート材表
面積の0.1%〜80%を占有する程度の分散密度を例
示することができる。個々の微粒状の結晶のサイズも任
意であるが、手触りに影響する程に過大なものや、実質
的に機能しない程に過小なものは好ましくない。過大又
は過小でない範囲内では、結晶のサイズが不揃いでも構
わない。あくまでも一例として、径が0.01μm〜1
0μm程度のものを例示することができる。微粒状の結
晶の形状は、経験によれば半球状を呈する場合が多い
が、上記程度のサイズであれば如何なる形状を呈してい
ても風合い等に影響はなく、任意の形状で構わない。
【0034】〔機能性微粒晶担持シート材の製造方法〕
本発明に係る機能性微粒晶担持シート材の製造方法は、
結晶核物質を分散状に含有又は担持した第1発明に係る
シート材の浸漬下に、第1発明に係る結晶を析出すべき
溶質を過飽和に生成する溶液反応系を設定し、生成した
溶質を結晶核物質を中心として析出させることにより、
シート材上に微粒状の結晶を分散状に生じさせる方法で
ある。
【0035】上記の方法において、シート材の用途,材
質,形状等や、結晶の種類は前記の通りである。溶液反
応系及びこれによって生成すべき溶質の種類も、析出さ
せたい結晶の種類に対応して規定される公知技術の範囲
内において、任意に決定することができる。
【0036】好ましく設定される溶液反応系の例とし
て、溶液反応系が酸化チタンを生成可能なチタン塩溶液
であり、前記結晶が光触媒の結晶である場合を挙げるこ
とができる。この場合のチタン塩溶液に含まれるチタン
塩としては、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシド、
無機チタン塩、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ
酸チタニルカリウム2水和物、シュウ酸チタンバリウ
ム、硫酸チタニル、チタニルアセチルアセトナートより
選ばれた1種又は2種以上のチタン塩を好ましく例示す
ることができる。
【0037】又、チタン塩溶液を、酸化チタンを生成可
能な溶液反応系とするためには、一律には規定できない
が、例えば、一定の酸性領域あるいはアルカリ性領域に
pH調整を行うこと、酸化チタンの生成を促すような添
加物を溶液に加えること、等の手段を任意に採用するこ
とができる。これらの溶液反応系においては、酸化チタ
ンを過飽和に生成することが、とりわけ好ましい。
【0038】特に好ましく設定される溶液反応系の一例
が、四フッ化チタンの酸性水溶液(例えばpH2程度の
塩酸酸性水溶液)を調製することである。この溶液反応
系においては、四フッ化チタンの加水分解によって溶質
である酸化チタンTiO2を過飽和に生成し、浸漬され
たシート材に分散状に含有又は担持された結晶核物質を
中心に上記酸化チタンが析出して、一定の分散密度のも
とに、かつシート材に強固に固着された状態で、脱臭,
抗菌,防汚等の効果を発現する光触媒たる酸化チタンの
微粒状の結晶を形成するのである。
【0039】そして酸化チタン微粒状結晶の大きさは、
上記プロセスに関わる諸条件を制御することで任意に決
定できる。この溶液反応系は前記のように100°C以
下の温度で十分に遂行可能であり、又、かかる温度条件
下に溶液反応系の水分を蒸発させることにより、結晶析
出速度を向上できる。
【0040】
【発明の有益な実施態様】本発明は、以下の実施態様に
おいて、併記する作用・効果を伴って、好ましく実施す
ることができる。
【0041】1)風合い,柔軟性が求められるシート材
に対して、特定の機能を果たす微粒状の結晶がシート材
上に直接析出した形態で分散状に担持されている機能性
微粒晶担持シート材。これによりシート材固有の風合
い,柔軟性を阻害することなく、シート材の洗濯時等に
も容易に剥落しない形態で結晶を担持できる。
【0042】2)上記シート材が衣服,カーテンクロ
ス,布団カバー,シーツ,ハンカチ,壁紙,壁クロス,
ブラインド,ふきん,テーブルクロス又はタペストリー
である。これによりシート材の代表的な実施形態が提供
される。
【0043】3)上記結晶が光触媒結晶、光を必要とせ
ずに光触媒と同様の脱臭等の効果を期待できる触媒結
晶、又は親水効果を期待できる無機酸化物結晶である。
これにより特定の機能を果たす結晶の代表的な実施形態
が提供される。
【0044】4)上記光触媒結晶が酸化チタン結晶、特
にアナターゼ型である。これにより特に好適な光触媒結
晶を担持した機能性微粒晶担持シート材が提供される。
【0045】5)シート材表面における上記結晶がシー
ト材表面積の0.1%〜80%を占有する程度の分散密
度である。これにより、風合いを阻害する程に過密でな
く、有効に機能しない程に過疎でもない結晶分散密度の
一例が提示される。
【0046】6)上記微粒状の結晶の径が0.01μm
〜10μm程度である。これにより、手触りに影響する
程に大きくなく、実質的に機能しない程に小さくもない
結晶サイズの一例が提示される。
【0047】7)結晶核物質を分散状に含有又は担持し
たシート材の浸漬下に、結晶を析出すべき溶質を過飽和
に生成する溶液反応系を設定し、生成した溶質を結晶核
物質を中心として析出させる機能性微粒晶担持シート材
の製造方法。これにより、上記機能性微粒晶担持シート
材の簡易かつ効率的な製造法が提供される。
【0048】8)上記結晶核物質がTi,Si,Al又
はその酸化物たるチタニア,アルミナ,ケイ酸である。
これらの結晶核物質が汎用的で利用し易い。
【0049】9)上記結晶核物質がシート材表面に付着
され、又はシート材の構成材料に練り込まれる。これに
より、簡易に結晶核物質をシート材に対して分散状に含
有又は担持させ得る。
【0050】10)上記結晶核物質として、シート材構
成材料の艶消し用に練り込まれた酸化チタン等を利用す
る。これにより手間が省ける。
【0051】11)シート材構成材料に練り込まれた結
晶核物質をアルカリ減量加工によりシート材表面に露出
させる。これにより結晶の析出を促進できる。
【0052】12)上記溶液反応系の設定が、酸化チタ
ンを生成可能なチタン塩溶液であり、結晶が光触媒の結
晶である。これにより簡易に光触媒たる酸化チタンの微
粒状結晶を形成できる。
【0053】13)上記チタン塩溶液に含まれるチタン
塩が、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシド、無機チ
タン塩、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタ
ニルカリウム2水和物、シュウ酸チタンバリウム、硫酸
チタニル、チタニルアセチルアセトナートより選ばれた
少なくとも1種である。これにより有利なチタン塩溶液
の実施形態が提供される。
【0054】14)上記溶液反応系の設定が、四フッ化
チタンの酸性水溶液を調製することである。これにより
簡易に光触媒たる酸化チタンの微粒状結晶を形成でき、
かつ100°C以下の温度で反応を遂行してシート材の
熱劣化を回避できる。
【0055】
【実施例】〔結晶担持カーテンクロスの作製〕 (実施例1)光に対して不活性な酸化チタンが予め艶消
しのために練り込まれているポリエステル繊維からなる
レースのカーテンに、0.04mol/Lの四フッ化チ
タンのpH2の塩酸酸性水溶液を60°Cで3時間含浸
させた後、60°Cで1時間乾燥して、光触媒を担持し
たカーテンクロスを作製した。そのSEM写真(拡大ス
ケールを併記)を図1及び図2に示す。写真において、
太く写った繊維と、その表面に分散状態で析出した大小
各サイズの略半球状の微粒結晶とが示されている。
【0056】(実施例2)結晶核物質を含まないポリエ
ステル繊維からなるレースのカーテンを酸化チタン微粒
子の水懸濁液(酸化チタン微粒子のチタン濃度は2mモ
ル/L)中に浸漬した後、引き上げて乾燥させた。つい
でこのレースのカーテンに、0.04mol/Lの四フ
ッ化チタンのpH2の塩酸酸性水溶液を60°Cで3時
間含浸させた後、60°Cで1時間乾燥して、光触媒を
担持したカーテンクロスを製造した。
【0057】(比較例1)結晶核物質を含まないポリエ
ステル繊維からなるレースのカーテンに、0.04mo
l/Lの四フッ化チタンのpH2の塩酸酸性水溶液を6
0°Cで3時間含浸させた後、60°Cで1時間乾燥し
て、光触媒を担持したカーテンクロスを製造した。
【0058】〔結晶担持カーテンクロスの評価〕 (光触媒活性の評価)まず、上記各例に係る結晶担持カ
ーテンクロスの生地を反応管に入れ、初期濃度20pp
m、全量10リットルのアセトアルデヒド(空気バラン
ス)を4リットル/分で閉鎖系において循環しながら光
を照射して、アセトアルデヒドの濃度の時間変化を測定
した。
【0059】アセトアルデヒドの除去反応は一次反応で
あることから、初期濃度と測定濃度との対数を時間に対
してプロットした直線の傾き、即ち反応速度定数kを指
標として用いることができ、これを求めた。上記初期濃
度をC0 、測定濃度をC、アセトアルデヒド循環時間を
tとすると、〔−ln(C/C0 )=kt〕の式で、上
記のkを求めることができる。求めたkの値を末尾の表
1に示した。
【0060】又、上記各例に係る結晶担持カーテンクロ
スの生地について、比較のために、光を照射しない場合
の上記試験におけるkの値も求めたので、それらも併せ
て表1に示した。
【0061】(結晶形状の観察)写真は提示しないが、
実施例2,比較例1についても上記実施例1と同様に、
SEM写真により析出した結晶の形状観察を行った。そ
の結果を末尾の表1における「担持物の形状」の欄に示
す。 (結晶剥離の評価)上記各例に係る結晶担持カーテンク
ロスの切片0.2gを、水20gと一緒にそれぞれ試験
管に入れ、振とう器で30分間振とうした。その後、試
験管から切片を取り除き、試験管の一方からキセノンラ
ンプを照射して試験管を通った光の強度Iを測定した。
又、ブランク試験として、別途に純水を入れた同型試験
管についても同一の光強度でキセノンランプを照射して
試験管を通った光の強度I0を測定した。そして各例に
係る試験の測定値Iとブランク試験の測定値I0 との百
分比である、(I/I0 )×100(%)・・・(式
1)の数値により結晶の剥離性を評価した。各例におけ
る式1に係る数値(%)を、表1の「担持物の剥離」の
欄に示す。
【0062】(風合いの評価)上記各例に係る結晶担持
カーテンクロスと、それらの結晶担持処理(実施例2に
ついては酸化チタン微粒子付着処理)を行う前のカーテ
ンクロスとについて、JIS L1096(6.19.
4)に従ってクロスの剛軟性を評価した。
【0063】そして処理前のクロスの剛軟性(L0 )に
対する処理後のクロスの剛軟性(L)の減少を、(L−
L0 )/L0 ×100(%)・・・(式2)の式により
数値で表した。各例における式2に係る数値(%)を、
表1の「風合いの変化」の欄に示す。
【0064】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のSEM写真を示す図である。
【図2】実施例のSEM写真を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 101:30 D06M 11/12 (72)発明者 林 宏明 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4G047 CA02 CA05 CB05 CB06 CC03 CD03 CD04 CD07 4G069 AA03 AA08 AA09 BA01B BA02B BA04A BA04B BA04C BA48A BA48C BC16B BD05B CA01 CA07 CA10 CA17 DA06 EA09 EB18Y FA01 FA02 FA03 FB66 4L031 BA07 BA09 BA13 DA00 DA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柔軟な風合い又は一定の柔軟性が求めら
    れるシート材に対して、該シート材の用途に関連した特
    定の機能を果たす微粒状の結晶が、シート材上に直接析
    出した形態で分散状に担持されていることを特徴とする
    機能性微粒晶担持シート材。
  2. 【請求項2】 結晶核物質を分散状に含有又は担持した
    請求項1に記載のシート材の浸漬下に、請求項1に記載
    の結晶を析出すべき溶質を過飽和に生成する溶液反応系
    を設定し、生成した前記溶質を前記結晶核物質を中心と
    して析出させることにより、シート材上に微粒状の前記
    結晶を分散状に生じさせることを特徴とする機能性微粒
    晶担持シート材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記溶液反応系が酸化チタンを生成可能
    なチタン塩溶液であり、前記結晶が光触媒の結晶である
    ことを特徴とする請求項2に記載の機能性微粒晶担持シ
    ート材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記チタン塩溶液に含まれるチタン塩
    が、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシド、無機チタ
    ン塩、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニ
    ルカリウム2水和物、シュウ酸チタンバリウム、硫酸チ
    タニル、チタニルアセチルアセトナートより選ばれた少
    なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の
    機能性微粒晶担持シート材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記チタン塩溶液が四フッ化チタンの酸
    性溶液であることを特徴とする請求項3又は請求項4の
    いずれかに記載の機能性微粒晶担持シート材の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105463828A (zh) * 2015-12-30 2016-04-06 浙江大学 一种在涤纶织物上负载二氧化钛纳米线的方法

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