JP2013184137A - 空気浄化フィルター及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一酸化炭素を効果的に除去することができる空気浄化フィルター及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 フィルター基材1と、金ナノ粒子4が金属酸化物5に担持されて形成された金ナノ粒子触媒2と、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に固定させるための1種又は2種以上の金属塩水和物を含むバインダー3とを有することを特徴とする空気浄化フィルター10により、上記課題を解決した。この空気浄化フィルター10は、金属酸化物5の表面に金ナノ粒子4を担持させて形成された金ナノ粒子触媒2を準備する工程と、金ナノ粒子触媒2と1種又は2種以上の金属塩化合物と水溶媒とを混合して金ナノ粒子触媒固定用スラリーを調製する工程と、金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に付着乾燥する工程により製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、一酸化炭素を効果的に除去することができる空気浄化フィルター及びその製造方法に関する。
一酸化炭素は、非常に中毒性の強いガスであり、一酸化炭素が生活環境の空気中に含まれると人体に深刻な影響を及ぼす。具体的には、一酸化炭素は、酸素に比べて200倍以上もヘモグロビンと結合しやすいという特性を有する。そのため、人が一酸化炭素を吸入すると、一酸化炭素が酸素よりも優先して血液中のヘモグロビンと結合するので、酸素はヘモグロビンと結合することができず、血液の酸素運搬能力が低下してしまう。その結果、人体は酸素不足に陥り、いわゆる一酸化炭素中毒が引き起こされる。
一酸化炭素の生活環境中での発生源としては、例えば、たばこの煙が挙げられる。たばこの煙に含まれる主な有害物質には、ニコチン、タール及び一酸化炭素が挙げられ、一酸化炭素はたばこの煙に1%〜3%程含まれる。1本のたばこの喫煙で一酸化炭素とヘモグロビンとの結合は1%〜2%程増加するといわれている。一酸化炭素がヘモグロビンと結合した一酸化炭素ヘモグロビンは体内での半減期が3時間〜4時間程度であるので、常時喫煙する人は慢性的な酸素不足に陥っていることになる。また、主流煙に含まれる一酸化炭素濃度は、たばこ1本当たり約30mgであるのに対し、副流煙に含まれる一酸化炭素濃度は、たばこ1本当たり約150mgであり、主流煙よりも副流煙の方が一酸化炭素を多く含んでいる。そのため、副流煙を吸入することによる受動喫煙の影響も問題になっている。たばこの煙に含まれる一酸化炭素により、虚血性心疾患、末梢動脈疾患及び慢性呼吸器疾患の発生が危惧され、さらに妊娠時の胎児への影響等が心配される。
一酸化炭素の人体への影響を低減する対策としては、建屋内を全面禁煙にすることが望ましいが、小規模の飲食施設や遊戯施設等では全面禁煙にできない場所が多くあり、いわゆる分煙設備及びその技術のニーズが高まっている。たばこの煙に含まれる主な有害物質のうち、ニコチン及びタールは有機物であるので、通常のフィルターで物理的に吸着除去することができるが、一酸化炭素は気体であり、これまでは物理的に除去することができずに排気により除去されていた。ただし、排気によって除去された一酸化炭素は、建屋内で還流しないように建屋外に完全に排気することが必要であり、大掛かりな配管工事等が必要になる。そのため、導入コストが高く、分煙設備の普及の妨げになっている。このような状況から、一酸化炭素の効果的な除去技術の開発が望まれている。
一酸化炭素の除去技術として、非特許文献1には、金ナノ粒子を酸化物表面に固定した触媒(以下、「金ナノ粒子触媒」ともいう。)が提案されており、室温で一酸化炭素を効果的に酸化除去できることが記載されている。こうした金ナノ粒子触媒を製造した例として、例えば特許文献1には、昇華性の金前駆体と無機担体又は有機担体とを、室温下、常圧で、機械的摩擦を加えながら固相混合した後に還元処理することにより、担体の表面に金微粒子を分散、固定することが提案されている。また、例えば特許文献2には、金化合物溶液にカルコゲン化物を添加して形成された金−カルコゲン系イオンと担体とを接触させて、担体に金−カルコゲン系イオンを吸着させたり、又は、その金−カルコゲン系イオンの溶液を酸性にしたりすることにより、担体表面に金カルコゲナイドを沈殿析出させることが提案され、その後に担体を分離、加熱することにより、金微粒子を担体表面に析出させて分散、固定化することが提案されている。
また、金ナノ粒子触媒を有機基材に固定した例として、例えば特許文献3には、基体と、シランモノマーが表面に結合し、シランモノマー及び基体表面の化学結合により該基体に固定される無機微粒子と、その無機微粒子の表面に担持された少なくとも2種類の触媒微粒子とを有する複合化触媒担持体が提案されている。また、例えば特許文献4には、無機微粒子を含む基体と、その基体の表面に接合し、表面に接合界面周縁部を有する金ナノ微粒子とを有する抗ウイルス剤が提案されている。
こうした特許文献3,4には、無機微粒子の表面をシランモノマーで被覆した後、この無機微粒子をシランモノマーのグラフト重合により有機基体に結合させ、この有機基体をアルカリ性の四塩化金酸四水和物溶液に浸漬させ、攪拌した後、減圧乾燥して窒素雰囲気下で100℃で加熱し、有機基体に固定された複合化触媒担持体等を得ることが提案されている。また、特許文献3,4には、上記した無機微粒子が金属酸化物の微粒子であることが提案され、上記した有機基体がPET製不織布であることが提案されている。
特許文献3,4に記載の技術によれば、有機基体にシランモノマーの化学結合を介して複合化触媒担持体等を固定するので、低温でしかも充分な耐久性を保持する状態で固定することができるとしている。そのため、金属やセラミック等の無機基体はもちろん、従来は不可能であった有機系の素材を含む部材を基体とする複合化触媒担持体等を提供することができるとしている。
特開2008―259993号公報 特開2009―240951号公報 特開2010―5568号公報 特開2011―213719号公報
Haruta,M., "Catalysis Today", 36, p.153-166(1997).
しかしながら、特許文献3,4で提案された技術で得られた複合化触媒担持体は、空気中の一酸化炭素を除去する能力が不十分であるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、空気中の一酸化炭素を効果的に除去できる新しい空気浄化フィルター及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題について鋭意検討し、空気中の一酸化炭素を除去する能力が十分に発揮されない原因は、金ナノ粒子触媒を基材に固定させるためのバインダーに有機成分や官能基が存在するためであると推定した。そこで、本発明者は、有機成分や官能基を有さない金属塩水和物を、金ナノ粒子触媒を基材に固定させるバインダーとして用いたところ、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するための本発明に係る空気浄化フィルターは、フィルター基材と、金ナノ粒子が金属酸化物に担持されて形成された金ナノ粒子触媒と、該金ナノ粒子触媒を前記フィルター基材に固定させるための1種又は2種以上の金属塩水和物を含むバインダーとを有することを特徴とする。
この発明によれば、金ナノ粒子触媒をフィルター基材に固定させるためのバインダーとして1種又は2種以上の金属塩水和物を適用したので、有機成分や官能基を有さないバインダーにより金ナノ粒子触媒をフィルター基材に固定させることができる。その結果、金ナノ粒子触媒の触媒活性を著しく低下させることなくフィルター基材に固定できるので、空気中の一酸化炭素を効果的に除去することができる。
本発明に係る空気浄化フィルターにおいて、前記金属塩水和物が、珪酸塩水和物、アルミニウム塩水和物及びカルシウム塩水和物のいずれか1種又は2種以上を含む。
本発明に係る空気浄化フィルターにおいて、前記金属酸化物が、酸化チタンである。
本発明に係る空気浄化フィルターにおいて、前記フィルター基材が、有機材料で形成された不織布である。
この発明によれば、フィルター基材が有機材料で形成された不織布であるので、適度な通気性を有する。その結果、空気中の一酸化炭素を効果的に除去できる。
上記課題を解決するための本発明に係る空気浄化フィルターの製造方法は、金属酸化物に金ナノ粒子を担持させて形成された金ナノ粒子触媒を準備する工程と、前記金ナノ粒子触媒と1種又は2種以上の金属塩化合物と水溶媒とを混合して金ナノ粒子触媒固定用スラリーを調製する工程と、前記金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材に付着乾燥する工程と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、金ナノ粒子触媒と1種又は2種以上の金属塩化合物と水溶媒とを混合して金ナノ粒子触媒固定用スラリーを調製する工程と、その金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材に付着乾燥する工程とを有するので、有機成分や官能基を有さないバインダーにより金ナノ粒子触媒をフィルター基材に固定させることができる。その結果、金ナノ粒子触媒の触媒活性を著しく低下させることなくフィルター基材に固定できるので、空気中の一酸化炭素を効果的に除去することができる空気浄化フィルターを製造できる。
本発明に係る空気浄化フィルターによれば、有機成分や官能基を有さないバインダーにより金ナノ粒子触媒をフィルター基材に固定させることができるので、金ナノ粒子触媒の触媒活性を著しく低下させることなくフィルター基材に固定できる。その結果、空気中の一酸化炭素を効果的に除去できる空気浄化フィルターになる。
本発明に係る空気浄化フィルターの製造方法によれば、有機成分や官能基を有さないバインダーにより金ナノ粒子触媒をフィルター基材に固定させることができるので、金ナノ粒子触媒の触媒活性を著しく低下させることがなく、空気中の一酸化炭素を効果的に除去することができる空気浄化フィルターを製造できる。
本発明に係る空気浄化フィルターの一例を示す模式的な一部拡大図である。 金ナノ粒子触媒の一例を示す模式図である。 実施例で用いた金ナノ粒子触媒の透過型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明に係る空気浄化フィルター及びその製造方法について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[空気浄化フィルター]
本発明に係る空気浄化フィルター10は、図1及び図2に示すように、フィルター基材1と、金ナノ粒子4が金属酸化物5に担持されて形成された金ナノ粒子触媒2と、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に固定させるための1種又は2種以上の金属塩水和物を含むバインダー3とを有している。なお、図1中の符号10’は空気浄化フィルターの構成繊維である。
空気浄化フィルター10は、有機成分や官能基を有さないバインダー3により金ナノ粒子触媒2がフィルター基材1に固定されている。そのため、金ナノ粒子触媒2は、その触媒活性が著しく低下することなくフィルター基材1に固定されている。その結果、空気浄化フィルター10は、空気中の一酸化炭素を効果的に除去することができる。
空気浄化フィルター10は、図1に示すように、3次元網目構造であり、その空隙率は、特に限定されないが、例えば50%以上90%以下である。空気浄化フィルター10の空隙率をこの範囲にすることにより、空気浄化フィルター10としての実用的な通気性を有し、空気中の一酸化炭素を効果的に除去することができる。空隙率は、フィルター基材1を構成する繊維の総体積とフィルター基材1の体積とを測定し、[1−(フィルター基材1を構成する繊維の総体積/フィルター基材1の体積)]×100によって計算された値で評価することができる。また、空気浄化フィルター10の厚さは、特に限定されず、使用環境に応じて適宜設計できる。
空気浄化フィルター10は、その表面のみに金ナノ粒子触媒2が固定されているものであってもよいし、空気浄化フィルター10の厚さ方向の内部にも、金ナノ粒子触媒2が固定されているものでもよい。空気中の一酸化炭素を効果的に除去するためには、空気浄化フィルター10の厚さ方向の内部にも、金ナノ粒子触媒2が固定されているものがより好ましい。
以下、各構成要素をさらに詳しく説明する。
(フィルター基材)
フィルター基材1は、空気浄化フィルター10の基材である。フィルター基材1は、空気浄化用のフィルターとしての通気性があり、図1に示すように、3次元網目構造を有している材料であれば特に限定されない。フィルター基材1の形成材料としては、例えば、有機材料繊維、金属材料繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、天然繊維、又はカーボン繊維等を挙げることができる。なかでも、汎用性及び工業性の点から、有機材料繊維で形成された合成繊維が好ましく挙げられる。合成繊維の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、トリメチルペンテン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂;ポリエーテルサルホン;ポリウレタン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテル樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ABS樹脂;フェノール樹脂;ユリア樹脂;メラミン樹脂等が挙げられる。特に、合成繊維で形成された有機基材である不織布が好ましく、通気性及び経済性に優れている。
フィルター基材1の形成材料の繊維径としては、特に限定されないが、例えば、5μm以上30μm以下である。繊維径をこの範囲にすることにより、実用的な強度及び通気性を備えた空気浄化フィルター10になる。
フィルター基材1は3次元網目構造であり、その空隙率は特に限定されないが、例えば50%以上90%以下の空隙率であることが好ましい。空隙率をこの範囲にすることにより、フィルター基材1に金ナノ粒子触媒2を固定させた場合であっても実用的な通気性を有し、空気中の一酸化炭素を効果的に除去することができる空気浄化フィルター10になる。また、こうした空隙率のフィルター基材1の多くは不織布であり、そうした不織布は空隙率が高いので、その内部にまで金ナノ粒子触媒2を進入させて固定させることができ、内部での空気浄化も可能になるのでより好ましい。空隙率は、上記同様、フィルター基材1を構成する繊維の総体積とフィルター基材1の体積とを測定し、[1−(フィルター基材1を構成する繊維の総体積/フィルター基材1の体積)]×100によって計算された値で評価することができる。
また、フィルター基材1の厚さも特に限定されず、空気浄化フィルター10の使用環境に応じて適宜選択される。
(金ナノ粒子触媒)
金ナノ粒子触媒2は、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化させる触媒として機能するものであり、図2に示すように、金ナノ粒子4が金属酸化物5に担持されて形成されている。こうした金ナノ粒子触媒2は、光触媒のように紫外線や可視光を必要とせず、また、白金触媒のように150℃以上の高い温度も必要としない。そのため、金ナノ粒子触媒2を有する空気浄化フィルター10は、特別な光源や熱源を用いることなく一酸化炭素を除去できるので、空気清浄機や空調機器の内部のような暗所に取り付けて用いることができる。
金ナノ粒子4は、金のナノ粒子であり、その金ナノ粒子4の平均粒子径は、1nm以上20nm以下が好ましく、1nm以上5nm以下がより好ましい。金ナノ粒子4の平均粒子径をこの範囲にすることで、金ナノ粒子4の安定的な生産性を維持しつつ、金ナノ粒子触媒2の活性部位である金ナノ粒子4と金属酸化物5との接合界面(いわゆる「ペリメータ」のことである。)を多くすることができるので、触媒活性の効率性及び経済性の点で有利になる。なお、この平均粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて複数の触媒試料を観察し、その各々の触媒試料の写真像を側長し、観察した倍率から計算して得られた粒子径の平均値を用いることができる。
金属酸化物5は、金ナノ粒子4を担持するためのものであり、金ナノ粒子4を担持して金ナノ粒子触媒2としての活性を有するものであれば特に限定されない。金属酸化物5としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化錫、酸化イットリウム及び酸化コバルト等を挙げることができる。なかでも、触媒活性の高さ、安定性及び経済性の点から、酸化チタンが好ましく用いられる。
金属酸化物5の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば1μm以上30μm以下である。金属酸化物5の平均粒子径をこの範囲にすることで、金ナノ粒子触媒2は生産性に優れるものになる。また、金属酸化物5の粒子形状は、特に限定されないが、例えば、球状、回転楕円体状、多角形状、又は鱗片状等が挙げられる。この平均粒子径は、例えば、散乱式粒子計分布測定装置によって測定された値で評価することができる。
こうした金ナノ粒子触媒2は、従来公知の方法で製造できる。例えば、固相混合還元法、沈殿析出法、含浸法、滴下中和沈殿法、還元剤添加法、pH制御中和沈殿法、有機金錯体吸着法、ウォッシュコート法、コロイド焼成法等を適用できる。
(バインダー)
バインダー3は、図1に示すように、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に固定させるためのものであり、1種又は2種以上の金属塩水和物で構成されている。金属塩水和物は、金属塩化合物を水和させてできる固形物であり、こうした固形物が、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に固定させるバインダー3として機能する。なお、図1中の符号2aは、金ナノ粒子触媒2とバインダー3との複合物が凝集して層状になっているものの例である。
金属塩水和物は、金属塩化合物を水和させて得られるものであれば特に限定されず、具体的には、金属塩化合物の粒子と水とを混合して、自然乾燥又は100℃程度以下の低温乾燥で生成することができるものであれば特に限定されない。こうした金属塩水和物としては、例えば、珪酸塩水和物、アルミニウム塩水和物、カルシウム塩水和物、ジルコニウム塩水和物、マグネシウム塩水和物、及びイットリウム塩水和物等を挙げることができる。
金属塩水和物を得るための金属塩化合物としては、水和反応により金属塩水和物を生成するものであれば特に限定されず、例えば、珪酸塩化合物、アルミニウム塩化合物、カルシウム塩化合物、ジルコニウム塩化合物、マグネシウム塩化合物、及びイットリウム塩化合物等を挙げることができる。
珪酸塩化合物としては、例えば、二酸化珪素(SiO)、金属シリケート等を挙げることができ、金属シリケートとしては、例えば、アルミノ珪酸塩、ジルコニウム珪酸塩、ナトリウム珪酸塩等を挙げることができる。また、アルミニウム塩化合物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、Al)、塩化アルミニウム(AlCl)等を挙げることができる。カルシウム塩化合物としては、例えば、酸化カルシウム(CaO)等を挙げることができる。ジルコニウム塩化合物としては、例えば、酸化ジルコニウム(ジルコニア、ZrO)等を挙げることができる。マグネシウム塩化合物としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)等を挙げることができる。イットリウム塩化合物としては、例えば、酸化イットリウム(イットリア、Y)を挙げることができる。これらの金属塩化合物は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
金属塩化合物の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、10nm以上500nm以下である。金属塩化合物の粒子径をこの範囲にすることで、この金属塩化合物の粒子径に基づいた金属塩水和物を生成できるので、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に均一且つ高い密着力で固定することができる。この平均粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて複数の金属塩化合物試料を観察し、その各々の金属塩化合物試料の写真像を側長し、観察した倍率から計算して得られた粒子径の平均値を用いることができる。
金属塩化合物を水和させて金属塩水和物にするための水は、通常、金属塩化合物の水和反応を促進させるために、酸性、中性又はアルカリ性のものを用いる。酸性又はアルカリ性の水は、例えば、水に塩酸又は水酸化ナトリウム等の酸又は塩基を添加して調製できる。
本発明では、金属塩水和物をバインダー3として、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に固定させることにより、金ナノ粒子触媒2が有する触媒活性を著しく低下させることなくフィルター基材1に固定させることができる。こうして、金ナノ粒子触媒を従来一般的に用いられている有機バインダーやシランカップリング剤等の無機バインダーでフィルター基材1に固定させた場合のように、金ナノ粒子触媒の触媒活性が低下して、空気中の一酸化炭素を除去する能力が不十分になるという問題を解決している。
なお、バインダー3に含まれる有機成分や官能基が金ナノ粒子触媒2の触媒活性を低下させる現象のメカニズムは、現時点では明確には分かっていないが、バインダー3に含まれる有機成分や官能基がペリメータに存在する酸素ラジカルを消費し、一酸化炭素の分解に寄与する酸素ラジカルが減少するためであると考えられる。
金属塩水和物は、有機成分や官能基を有さないので、一酸化炭素の分解に寄与する酸素ラジカルがそれらの有機成分や官能基によって無駄に消費されることが無いと考えられる。そのため、金属塩水和物をバインダー3として用いた空気浄化フィルター10は、金ナノ粒子触媒2の触媒活性を著しく低下させることなく空気中の一酸化炭素を効果的に除去することができると考えられる。また、金属塩水和物は、構造がそれほど緻密ではないため、金ナノ粒子触媒2の活性部位である接合界面に一酸化炭素が到達することを妨げることはなく、金ナノ粒子触媒2のフィルター基材1への固定及び金ナノ粒子触媒2の触媒活性を両立させることができると考えられる。また、バインダー3は、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1と高い密着力で固定することができるので、空気浄化フィルター10は、フィルター基材1から金ナノ粒子触媒2が剥離、脱落することがなく、長期間にわたって使用できるものになる。なお、バインダー3は、金属塩化合物の水和反応により生成するので、厳密には、金属水酸化物、水和した金属水酸化物、金属酸化物、水和した金属酸化物、金属酸化水和物等の複合物であると考えられる。
なお、従来一般的に用いられている無機バインダーであるシランカップリング剤は、グラフト重合等させる際に高いエネルギーの放射線を照射したり、高温に加熱したりすることにより、有機成分や官能基を除去することができる。しかしながら、こうした有機成分や官能基の除去方法では、フィルター基材1が有機基材で形成されている場合、その有機基材が脆くなったり、分解したりしてしまい、フィルター基材1の強度が十分に確保できないという問題がある。一方、金属塩水和物による固定では、高いエネルギーを照射したり、高い温度にしたりする必要がないので、有機基材に対しても問題なく金ナノ粒子触媒2を固定できる。
金属水和物の同定は、例えば、X線光電子分光を用いて行うことができる。また、バインダー3中の有機成分や官能基の有無は、例えば、フーリエ変換赤外分光により分析することができる。この場合、フィルター基材1が例えば合成樹脂で形成された不織布であるときには、その合成樹脂の有機成分や官能基であるか、バインダー3の有機成分や官能基であるかがわからなくなるため、フィルター基材1を取り除いたうえで分析する必要がある。
[空気浄化フィルターの製造方法]
本発明に係る空気浄化フィルター10の製造方法は、金属酸化物5の表面に金ナノ粒子4を担持させて形成された金ナノ粒子触媒2を準備する工程(金ナノ粒子触媒準備工程)と、金ナノ粒子触媒2と1種又は2種以上の金属塩化合物と水溶媒とを混合して金ナノ粒子触媒固定用スラリーを調製する工程(金ナノ粒子触媒固定用スラリー調製工程)と、その金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に付着乾燥する工程(付着乾燥工程)とを有する。
空気浄化フィルター10の製造方法によれば、有機成分や官能基を有さないバインダー3により金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に固定させることができるので、金ナノ粒子触媒2の触媒活性を著しく低下させることがなく、空気中の一酸化炭素を効果的に除去することができる空気浄化フィルター10を製造できる。以下、各工程について説明する。
(金ナノ粒子触媒準備工程)
金ナノ粒子触媒準備工程は、金ナノ粒子4を金属酸化物5に担持させて金ナノ粒子触媒2を準備する工程である。金ナノ粒子触媒準備工程により、金ナノ粒子4が金属酸化物5に担持されるので、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化させる触媒として機能する金ナノ粒子触媒2を調製することができる。なお、金ナノ粒子4、金属酸化物5、金ナノ粒子触媒2及び金ナノ粒子触媒2の調製方法は、「空気浄化フィルター」の「金ナノ粒子触媒」欄で説明した内容と同様であるので、ここではその説明を省略する。
(金ナノ粒子触媒固定用スラリー調製工程)
金ナノ粒子触媒固定用スラリー調製工程は、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に固定させるための金ナノ粒子触媒固定用スラリーを調製する工程である。金ナノ粒子触媒固定用スラリーは、金ナノ粒子触媒2と金属塩化合物の粒子と水溶媒とを混合してスラリーを調製した後、このスラリーを酸性又はアルカリ性にすることにより調製できる。なお、金属塩化合物は、「空気浄化フィルター」の「バインダー」欄で説明した内容と同様であるので、ここではその説明を省略する。
金ナノ粒子触媒固定用スラリーを酸性又はアルカリ性にする方法は、例えば、塩酸や水酸化ナトリウム等の酸又は塩基を金ナノ粒子触媒固定用スラリーに添加する方法が挙げられる。金ナノ粒子触媒固定用スラリーを酸性又はアルカリ性にすることにより、金属塩化合物の水和反応が進行し、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に固定するためのバインダー3としての金属塩水和物を生成することができる。
金ナノ粒子触媒固定用スラリーの粘度は、例えば100Pa・s以上1000Pa・s以下である。金ナノ粒子触媒固定用スラリーの粘度をこの範囲にすることで、フィルター基材1に安定的に付着させることができ、また、金ナノ粒子触媒2及び金属塩化合物の粒子の沈降を防ぐことができる。粘度は、回転粘度計によって測定された値で評価することができる。
金ナノ粒子触媒固定用スラリーには、金ナノ粒子触媒2及び金属塩化合物の粒子の分散性を高め沈降を抑制するためにエタノールやイソプロピルアルコール等のアルコールを添加してもよい。なお、アルコールを前記したスラリーに添加する場合であっても、後述する付着乾燥工程でこうしたアルコールは金ナノ粒子触媒固定用スラリーから揮発するので、空気浄化フィルター10にアルコールが含まれることはない。
(付着乾燥工程)
付着乾燥工程は、金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に付着させて、その後乾燥する工程である。付着乾燥工程により、金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に接触させて、フィルター基材1と金ナノ粒子触媒2との間に金属塩水和物の固形物を生成できる。その結果、この金属塩水和物は、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に固定させるバインダー3として機能するので、金ナノ粒子触媒2がフィルター基材1に固定された空気浄化フィルター10を作製することができる。
フィルター基材1の空隙率は、金ナノ粒子触媒固定用スラリーを付着させる量に応じて、空気浄化フィルター10が実用的な通気性を有するように適宜選択される。その他、フィルター基材1については、「空気浄化フィルター」の「フィルター基材」欄で説明した内容と同様であるので、ここではその説明を省略する。
付着乾燥工程の付着方法は、金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に付着できれば特に限定されず、例えば、金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に塗布する方法や、金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に吹付ける方法や、金ナノ粒子触媒固定用スラリー中にフィルター基材1を浸漬させて引き上げる方法等が挙げられる。
金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に塗布する方法としては、特に限定されないが、従来公知の塗布方法を適用できる。こうした塗布方法としては、例えば、グラビアコート、フレキソコート、ロールコート、リバースロールコート、スクリーンコート、エアーナイフコート、キスコート、ダイコート、ナイフコート、ブレードコート、カーテンコート、スロットオリフィス、ロールナイフコート、バーコート等が挙げられる。
金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に吹付ける方法としては、特に限定されないが、例えば、金ナノ粒子触媒固定用スラリーをスプレーで吹付ける方法等が挙げられる。
こうした付着方法によれば、金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に均一に付着させることができるので、金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に均一に固定できる。また、フィルター基材1の表面のみではなく、フィルター基材1の厚さ方向の内部にまで金ナノ粒子触媒固定用スラリーを付着させることができるので、フィルター基材1の厚さ方向の内部にまで金属ナノ粒子触媒2を固定できる。
また、金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に吹付ける方法によれば、金ナノ粒子触媒固定用スラリーを霧状にしてフィルター基材1に付着させるので、金ナノ粒子触媒固定用スラリーの使用量の制御がしやすく、生産性を向上させることができる。
必要に応じて、金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材1に付着させる前に、フィルター基材1を洗浄する洗浄工程を導入してもよい。フィルター基材1の洗浄は、フィルター基材1に洗浄液を噴霧したり、フィルター基材1を洗浄液中に浸漬したりして行われる。洗浄液としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ハイドロフルオロエーテル等の親水性エーテル類、水、弱酸性水溶液、弱アルカリ性水溶液、炭素数1〜4のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチルや酢酸エチル等の水に部分的に混和するエステル類等を挙げることができる。
付着乾燥工程の乾燥方法は、金ナノ粒子触媒固定用スラリーから水溶媒を蒸発させて除去できれば特に限定されない。例えば、自然乾燥又は100℃以下の低温乾燥等が挙げられる。
こうした金属塩水和物による金ナノ粒子触媒2の固定化は、高いエネルギーや高い温度を与えずに金ナノ粒子触媒2をフィルター基材1に固定できるので、実用的で廉価な有機基材で形成されたフィルター基材1を用いた空気浄化フィルター10を製造することができる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
金ナノ粒子触媒を以下のように析出沈降法を適用して準備した。まず、テトラクロロ金酸四水和物(関東化学株式会社製、HAuCl・4HO)62.8mgを蒸留水150mLに加えて攪拌し、金イオン水溶液を調製した。次いで、金属酸化物として、酸化チタン粒子(日本エアロジル株式会社製、商品名:AEROXIDE TiO P25)を用い、この酸化チタン粒子1gを前記した金イオン水溶液に加え1時間攪拌した。このとき、金イオン水溶液は70℃にし、pHを7〜8の範囲にした。次いで、ここに蒸留水1Lを加えて攪拌した後上澄み液を除去する水洗作業をpHが変化しなくなるまで5回繰り返した。その後、沈殿物をろ過、洗浄し、120℃で12時間乾燥して、金ナノ粒子が酸化チタン粒子に担持された金ナノ粒子触媒を得た。
金ナノ粒子触媒固定用スラリーを以下のようにして調製した。まず、得られた金ナノ粒子触媒を遊星ボールミルで平均粒子径5μmまで粉砕した。次いで、金属塩化合物として、酸化アルミニウム粉体(シーアイ化成株式会社製、平均粒子径31nm)及び二酸化珪素粉体(シーアイ化成株式会社製、平均粒子径25nm)の2種を用い、それぞれ60質量%、20質量%、及び蒸留水20質量%となるように混練し、凝集物の無い均一なスラリーを得た。次いで、このスラリー0.5gに上記した平均粒子径5μmの金ナノ粒子触媒5gを加えて混合した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11〜12の範囲に調整し、金ナノ粒子触媒固定用スラリーを得た。なお、上記の混練及び混合は、超音波を照射しながら行ない、得られた金ナノ粒子触媒固定用スラリーの粘度は600Pa・sであった。
空気浄化フィルターを以下のようにして作製した。フィルター基材として、繊維径20μm〜30μm、空隙率87%のポリエステル製不織布(日本バイリーン株式会社製、商品名:FS−6200)を用いた。まず、この不織布を300mm×300mmの大きさにカットし、この不織布にベーカーアプリケーター(株式会社小平製作所社製、型番:YBA−7型)を用いて前記した金ナノ粒子触媒固定用スラリーを塗布した。その後、余分な金ナノ粒子触媒固定用スラリーをゴムスキージですき取ることで除去した後、100℃で乾燥して金ナノ粒子触媒を前記したフィルター基材である不織布に固定した。こうして、空気浄化フィルターを得た。
なお、フィルター基材は、前処理としてハイドロフルオロエーテル洗浄液(3M社製、商品名:NOVEC7100)に浸漬させて超音波洗浄し、乾燥させる処理を行った。
[実施例2]
金属塩化合物として、酸化アルミニウム粉体及び二酸化珪素粉体酸化の代わりに、カルシウム粉体(宇部マテリアル株式会社製、平均粒子径500nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、空気浄化フィルターを作製した。
[比較例1]
金ナノ粒子触媒固定用スラリーに含まれる金属塩化合物の代わりに、ポリビニルピロリドンをエタノールで希釈した有機バインダーを用いた以外は、実施例1と同様にして空気浄化フィルターを作製した。
[評価]
(ア)実施例1で得られた金ナノ粒子触媒を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。(イ)実施例1,2で得られた空気浄化フィルターを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。(ウ)実施例1,2及び比較例1で得られた空気浄化フィルターについて、目視によりフィルター基材からの粉体の脱落や剥離の有無を確認した。(エ)実施例1,2及び比較例1で得られた空気浄化フィルターの空隙率を、フィルター基材を構成する繊維の総体積とフィルター基材の体積とを測定し、(1−フィルター基材を構成する繊維の総体積/フィルター基材の体積)×100によって計算した。(オ)実施例1,2及び比較例1で得られた空気浄化フィルターについて一酸化炭素の除去試験を行った。
一酸化炭素の除去試験は、作製した空気浄化フィルターに濃度800ppmの一酸化炭素ガスを毎分50mLで通気させ、その通気したガスを熱伝導度検出器ガスクロマトグラフィー装置(株式会社島津製作所社製、型番:GC−2014AT)を用いて分析することにより行った。なお、800ppmの一酸化炭素ガスの濃度は、たばこの副流煙に含まれる一酸化炭素の濃度と同等である。
[結果]
実施例1で得られた金ナノ粒子触媒をTEMで観察した結果を図3に示す。実施例1で得られた金ナノ粒子触媒は、粒子径が10nm以下の金ナノ粒子が酸化チタン粒子に担持された構造をしていることが確認された。
実施例1,2で得られた空気浄化フィルターをSEMで観察した結果、実施例1,2で得られた空気浄化フィルターは、図2に示すように、フィルター基材の表面に金ナノ粒子触媒の粉体がバインダーにより固定されていることが確認された。
実施例1,2及び比較例1で得られた空気浄化フィルターからの粉体の脱落や剥離の有無を目視で観察した結果、空気浄化フィルターからの粉体の脱落や剥離は確認されなかった。
実施例1,2及び比較例1で得られた空気浄化フィルターの空隙率は、それぞれ73%,71%,74%であった。
実施例1,2及び比較例1で得られた空気浄化フィルターについて一酸化炭素の除去試験を行った結果、実施例1,2及び比較例1で得られた空気浄化フィルターは、それぞれ93%,90%及び20%の一酸化炭素を除去することが確認された。また、除去された一酸化炭素は、酸化されて二酸化炭素に変換されていることが確認された。
ここで、一酸化炭素の除去試験の参考実験として、実施例1で得られた金ナノ粒子触媒を、フィルター基材に固定せずに、実施例1で用いた不織布をほぐした繊維と共にガラス管に詰めて、上記した一酸化炭素の除去試験を行った。その結果、98%の一酸化炭素が除去されることが確認された。
こうした一酸化炭素の除去試験の結果から、金属塩水和物をバインダーとして用いた空気浄化フィルターは、金ナノ粒子触媒の活性を著しく低下させることなく、効果的に空気中の一酸化炭素を除去できることが示された。
1 フィルター基材
2 金ナノ粒子触媒
2a 金ナノ粒子触媒とバインダーとの凝集物
3 バインダー(金属塩水和物)
4 金ナノ粒子
5 金属酸化物
10 空気浄化フィルター
10’ 空気浄化フィルターの構成繊維

Claims (5)

  1. フィルター基材と、金ナノ粒子が金属酸化物に担持されて形成された金ナノ粒子触媒と、該金ナノ粒子触媒を前記フィルター基材に固定させるための1種又は2種以上の金属塩水和物を含むバインダーとを有することを特徴とする空気浄化フィルター。
  2. 前記金属塩水和物が、珪酸塩水和物、アルミニウム塩水和物及びカルシウム塩水和物のいずれかを含む、請求項1に記載の空気浄化フィルター。
  3. 前記金属酸化物が、酸化チタンである、請求項1又は2に記載の空気浄化フィルター。
  4. 前記フィルター基材が、有機材料で形成された不織布である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気浄化フィルター。
  5. 金属酸化物に金ナノ粒子を担持させて形成された金ナノ粒子触媒を準備する工程と、
    前記金ナノ粒子触媒と1種又は2種以上の金属塩化合物と水溶媒とを混合して金ナノ粒子触媒固定用スラリーを調製する工程と、
    前記金ナノ粒子触媒固定用スラリーをフィルター基材に付着乾燥する工程と、を有することを特徴とする空気浄化フィルターの製造方法。
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