JP2001131720A - 切粉分断性,切削仕上げ性,耐食性,押出性に優れたアルミニウム合金押出材 - Google Patents

切粉分断性,切削仕上げ性,耐食性,押出性に優れたアルミニウム合金押出材

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JP2001131720A
JP2001131720A JP31331699A JP31331699A JP2001131720A JP 2001131720 A JP2001131720 A JP 2001131720A JP 31331699 A JP31331699 A JP 31331699A JP 31331699 A JP31331699 A JP 31331699A JP 2001131720 A JP2001131720 A JP 2001131720A
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weight
aluminum alloy
corrosion resistance
extrudability
extruded material
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Noboru Numata
昇 沼田
Shigeru Okaniwa
茂 岡庭
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Nippon Light Metal Co Ltd
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Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 切粉分断性,切削仕上げ性,耐食性,押出性
に優れたアルミニウム合金押出し材を得る。 【構成】 このアルミニウム合金押出材は、Si:2.
5〜4.0%,Mg:0.8〜1.2%,Fe:0.1
0〜0.3%,Cu:0.2〜0.3%,Cr:0.1
0〜0.25%,Mn:0.02〜0.10%,Ti:
0.01〜0.2%,B:0.003〜0.03%を含
み、残部が実質的にAlの組成をもつビレットを530
〜570℃×1〜6時間の保持で均質化処理し、冷却後
に再度300〜450℃に加熱した後、押出加工し、5
30〜570℃×1〜3時間の溶体化処理後に水焼入れ
し、次いで170〜200℃×6〜12時間の人工時効
処理を施すことにより製造される。この処理により、平
均結晶粒径が均一微細な再結晶組織のマトリックスが形
成され、Si系晶出物の面積率が3〜8%であり、Si
系晶出物に対するSi単体晶出物の割合が60%以下に
抑制される。T6処理に替え、ダイス端焼入れすること
もできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性,押出性に加え
て切削性にも優れたアルミニウム合金押出材に関する。
【0002】
【従来の技術】アンチロックブレーキングシステムのハ
ウジングや油圧・空圧シリンダ等では、多数の孔が開け
られ、樹脂製品等の複数部品が取り付けられる場合が多
い。そのため、孔開けを容易にするため快削性アルミニ
ウム合金が従来から使用されている。快削性アルミニウ
ム合金としては、6000系アルミニウム合金にPb,
Bi,Sn等の低融点金属を添加した合金が知られてい
る。しかし、低融点金属を添加したアルミニウム合金を
リサイクルしてアルミニウム資源として再利用しようと
すると、Pb,Bi,Sn等の低融点金属の分離が困難
であり、リサイクル時の転用に支障を来している。そこ
で、低融点金属の添加に替えて、切粉分断の起点となる
SiやSi系化合物を金属組織に晶出させることにより
アルミニウム合金の切削性を向上させることが検討され
ている(特開平9−249931号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、金属組織に晶
出させたSi単体が非常に硬質であるため、切削工具の
摩耗が早く、切削仕上げされた表面も粗くなり易い。粗
い表面は、たとえばアンチロックブレーキングシステム
のように多数の樹脂製品が取り付けられる用途では、樹
脂製品を密着させ難く、密着不良に起因した油漏れ等の
原因となっていた。また、腐食防止用のアルマイト皮膜
の形成も困難であった。本発明は、このような問題を解
消すべく案出されたものであり、比較的硬度が低いF
e,Mg,Mn等とSiとの金属間化合物を晶出させて
Si単体の晶出量を抑えることにより、良好な切粉分断
性を確保しながら、切削仕上げ面を平滑にし、切削工具
も長寿命化し、耐食性及び押出性にも優れたアルミニウ
ム合金押出材を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミニウム合
金押出材は、その目的を達成するため、Si:2.5〜
4.0重量%,Mg:0.8〜1.2重量%,Fe:
0.10〜0.3重量%,Cu:0.2〜0.3重量
%,Cr:0.10〜0.25重量%,Mn:0.02
〜0.10重量%,Ti:0.01〜0.2重量%,
B:0.003〜0.03重量%,必要に応じV:0.
1〜0.25重量%を含み、残部が実質的にAlの組成
をもつビレットを530〜570℃×1〜6時間の保持
で均質化処理し、冷却後に再度300〜450℃に加熱
した後、押出加工し、530〜570℃×1〜3時間の
溶体化処理後に水焼入れし、次いで170〜200℃×
6〜12時間の人工時効処理を施すことにより製造さ
れ、平均結晶粒径が均一微細な再結晶組織のマトリック
スをもち、Si系晶出物の面積率が3〜8%の範囲にあ
り、Si系晶出物に対するSi単体晶出物の割合が60
%以下に抑えられていることを特徴とする。
【0005】溶体化処理→水焼入れのT6処理に替え,
ダイス端焼入れを採用することもできる。この場合、均
質化処理したビレットを400〜500℃に加熱した
後、形材速度20m/分以下で押出加工し、冷却速度2
00℃/分以上でダイス端焼入れする。押出し材のマト
リックスは、繊維状組織がみられず、均一微細な再結晶
組織になっている。人工時効処理で強度が付与された押
出し材は、優れた切削性を活用し、アンチロックブレー
キングシステムのハウジングや油圧又は空圧シリンダ部
材に使用される。
【0006】
【作用】金属組織に晶出したSiは、表1に示すように
非常に硬質の晶出物である。そこで、本発明において
は、Si単体の晶出量が少なくなるようにSi含有量を
4.0重量%以下に規制し、Si系晶出物の面積率を8
%以下に規制すると共に、SiをFe,Mg,Mn等と
の金属間化合物(以下、Si系化合物という)として晶
出させ、Si単体での晶出を抑制し、全Si系晶出物に
占めるSi単体の晶出物の割合を60%以下に抑えてい
る。Si系化合物は、Si単体に比較して硬度が低いた
め、切削工具の摩耗を緩和させ、切削仕上げ面の平滑性
を向上させる。しかも、切粉分断性の向上には十分な硬
度をもっているので、良好な切削性が付与される。更
に、SiやSi系化合物の外に、切粉分断の起点となる
化合物を形成するBを添加することによって切削性の向
上を図っている。
【0007】
【0008】また、マトリックスを硬くして切粉分断性
や切削仕上げ面の平滑性を向上させるため、均質化処
理,溶体化処理等の熱処理温度として530〜570℃
と比較的高温の温度域を採用している。製品の表面仕上
り性は、押出後の金属組織を繊維状組織ではなく均一微
細な再結晶組織とすることによっても向上する。すなわ
ち、繊維状組織をもつ押出材では繊維に直交する方向に
切削すると切削面が粗くなるが、均一微細な再結晶組織
をもつ押出材では切削方向に拘わらず一定した表面粗さ
の切削面となる。均一微細な再結晶組織は、押出し時の
ビレット温度及び押出速度の制御やV添加によって得ら
れる。以下、本発明で規定した合金成分,含有量等につ
いて説明する。
【0009】合金設計 Si:2.5〜4.0重量% 時効処理時にMg2Siとして析出して押出材に強度を
付与すると共に、マトリックスに切粉分断の起点となる
単体Si又はSi系化合物として晶出し、押出材の切削
性を向上させる合金成分である。このような作用を得る
ために、Si含有量を2.5〜4.0重量%の範囲に設
定している。2.5重量%未満のSi含有量では、Si
やSi系化合物の晶出量が不足し、十分な切粉分断性が
得られない。逆に4.0重量%を超えるSi含有量で
は、Si単体の晶出量が多くなり過ぎる。そのため、表
面仕上り性が悪く、押出材に対する樹脂製品等の密着性
が低下し、油漏れ等の欠陥が発生し易くなる。また、切
削工具の摩耗を促進させ、押出材の耐食性も低下させ
る。
【0010】Mg:0.8〜1.2重量% 時効処理時にMg2Siとして析出して押出材に強度を
付与すると共に、π−Al8Si6Mg3Fe等の化合物
として晶出する合金成分である。強度付与に有効なMg
2Siの析出量を確保するためには、0.8重量%以上
のMgが必要である。しかし、1.2重量%を超える過
剰量のMgが含まれると、強度は向上するものの耐食性
や熱間加工性が劣化する。また、π−Al8Si6Mg3
Fe等の化合物として晶出することにより、表面仕上り
性に悪影響を及ぼすSi単体の晶出量が少なくなる。 Fe:0.10〜0.3重量% Al(Fe,Mn)Si,Al(Fe,Cr)Si,π
−Al8Si6Mg3Fe等の化合物として晶出する合金
成分であり、Si単体の晶出量を低減する作用を呈す
る。更に、押出材を均一微細な再結晶組織とし、繊維状
組織の生成・成長を防止することにより、切削面の表面
粗さを小さくする上でも有効である。このような作用
は、0.10重量%以上のFe含有量で顕著になる、し
かし、0.3重量%を超える過剰量のFeが含まれる
と、押出材の耐食性が劣化する。
【0011】Cu:0.2〜0.3重量% 時効処理時にMg2Si,CuAl2の析出を促進させる
作用があり、強度向上にも有効な合金成分である。この
ような作用は、0.2重量%以上で顕著になるが、Cu
含有量が0.3重量%を超えると耐食性が劣化する傾向
がみられる。 Cr:0.10〜0.25重量% Al(Fe,Cr)Siとして晶出することによりSi
単体の晶出量を低減すると共に、強度及び耐食性の向上
に有効な合金成分であり、0.10重量%以上でCrの
添加効果が顕著になる。しかし、0.25重量%を超え
る過剰量のCrが含まれると、粗大な金属間化合物が生
成し、押出性及び耐食性が低下する傾向がみられる。 Mn:0.02〜0.10重量% Al(Fe,Mn)Siとして晶出することによりSi
単体の晶出量を低減すると共に、Crと同様に強度及び
耐食性の向上にも有効な合金成分である。このような作
用は0.02重量%以上で顕著になるが、0.10重量
%を超えるMn含有量では粗大な金属間化合物が生成
し、押出性及び耐食性が劣化する。
【0012】Ti:0.01〜0.2重量% 鋳塊の結晶粒を微細化し、鋳造割れを抑制する作用を呈
する合金成分である。このような作用は0.01重量%
以上で顕著になるが、0.2重量%を超える過剰量のT
iが含まれると粗大なTiAl3,TiB2等が生成し、
押出性や切削面の平滑性が劣化しやすい。 B:0.003〜0.03重量% 切粉分断性の向上に有効な硬質のB系化合物を生成する
と共に、鋳塊の結晶粒を微細化して鋳造割れを抑制する
作用も呈する合金成分である。Bの作用は0.003重
量%以上で顕著になるが、0.03重量%を超えるB含
有量では粗大なTiB2等が生成し切削面の平滑性が悪
くなる。 V:0.1〜0.25重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、押出材の金属
組織を微細再結晶組織とし、繊維状組織の生成を防止す
る作用を呈する。Vの添加効果は0.1重量%以上で顕
著になるが、0.25重量%を超える過剰なVは粗大な
化合物を生成させ、押出性や切削面の平滑性に悪影響を
及ぼす。
【0013】製造条件 均質化処理:530〜570℃×1〜6時間 所定組成に溶製されたアルミニウム合金溶湯は、ビレッ
トに鋳造された後、均質化処理される。530〜570
℃の比較的高い温度で均質化処理するとき、鋳造時に生
じた偏析が解消されると共に、押出材のマトリックスも
硬質化して切粉分断性が向上し、表面仕上り性が向上す
る。530℃に達しない処理温度ではマトリックスの硬
さが不足し、逆に570℃を超える処理温度では鋳塊に
バーニングが発生する。押出材のマトリックスの硬度上
昇を実効的にするため、処理時間は1〜6時間の範囲に
定められる。
【0014】押出加工:後工程でT6処理が施される押
出材では、均質化処理されたビレットを冷却後に再度3
00〜450℃に予熱し、押出機に装填する。予熱温度
を300〜450℃の範囲に設定することにより、押出
後の金属組織が均一で微細な再結晶組織となる。予熱温
度が450℃を超えると、押出し時にテアリングが発生
し易く、繊維状の金属組織が発達し易くなる。逆に30
0℃未満の予熱温度では、大きな押出圧力が必要とさ
れ、押出設備が大きくなってしまう。ダイス端焼入れさ
れる押出材では、均質化処理されたビレットを冷却後に
400〜500℃に予熱し、押出機に装填する。この場
合、400℃を下回る予熱温度では、ダイス端焼入れし
ても押出材に十分な焼きが入らない。また、ダイス端焼
入れした押出材の組織を均一で微細な再結晶組織とし、
テアリングの発生を防止するために、押出時の形材速度
を20m/分以下に設定する。また、必要とする焼きを
入れることから,焼入れ速度を200℃/分以上に設定
する。
【0015】溶体化処理:530〜570℃×1〜3時
間の溶体化→水焼入れ 溶体化処理では、押出材のマトリックスに分散している
析出物を十分に固溶させるため、530〜570℃の温
度域に1〜3時間加熱する溶体化処理を施した後、水焼
入れする。析出物の固溶によって、マトリックスが硬質
化して切粉分断性が向上し、表面仕上り性が改善され
る。530℃未満の溶体化処理温度や1時間に達しない
短時間加熱では、析出物の固溶が不足し、十分な硬度が
得られない。逆に570℃を超える溶体化処理温度や3
時間を超える長時間加熱では、バーニングが生じ易くな
る。
【0016】 人工時効処理:170〜200℃×6〜12時間 溶体化処理又はダイス端焼入れされた押出材は、170
〜200℃×6〜12時間で人工時効処理される。人工
時効処理によってMg2Si,CuAl2等が析出し、押
出材に必要強度が付与される。170℃未満の加熱温度
や6時間未満の短時間加熱では、強度向上に有効なMg
2Si,CuAl2等の析出量が不足する。逆に200℃
を超える加熱温度や12時間を超える長時間加熱では、
過時効となって必要な機械的強度が得られない。
【0017】金属組織 このように処理された押出材は、マトリックスが均一で
微細な再結晶組織になっており、切削性に優れ、切削方
向に拘わらず良好な表面仕上り性で切削加工できる。繊
維状組織に由来する切削異方性は、マトリックスを平均
粒径が2mm以下の均一微細な再結晶組織にすることに
より解消される。他方、平均粒径が大きい場合や繊維状
組織が残存していると、繊維の方向性による影響が現
れ,繊維状組織に直交する方向で切削した場合に切削面
が粗くなりがちである。マトリックスに分散しているS
i系晶出物は、良好な切粉分断性を確保する上から面積
率で3〜8%の範囲に調整されている。Si系晶出物が
3%未満では、十分な切粉分断性が得られない。逆に8
%を超える量では押出材が硬質化し、粗い切削面が形成
され、また工具寿命が短くなる傾向がみられる。更に、
全Si系晶出物に占めるSi単体晶出物の割合を60%
以下に抑えるとき、硬質化,切削面の粗面化や工具の短
命化が一層効果的に防止される。
【0018】
【実施例】表2の組成に溶製した各種アルミニウム合金
をビレットに鋳造し、押出加工した後、T6処理又はダ
イス端焼入れし、人工時効処理を施した。このときの製
造条件を表3及び表4に示す。何れの製造条件でも、人
工時効処理としては、180度に8時間加熱保持する条
件を採用した。なお、各製造条件ごとに5本のビレット
を押出加工した。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】得られた各押出材について、テアリングム
の有無及び金属組織を観察し、XMA分析及び画像解析
でSi系晶出物の面積率を測定すると共に、切削試験及
び耐食試験に供した。切削試験では径10mmの超硬ド
リルを用い、回転数:1500rpm,送り:0.2m
m/rev,切削深さ:20mm,切削回数:押出材1
本につき100回の条件を採用し,切削面の表面仕上り
性,切粉分断性及び工具寿命を調査した。切削面の表面
仕上り性は、10番目に加工した孔について平均粗さR
aを測定し、押出材5本の平均値を求め、表面粗さの平
均値が0.2μm以下を「5」,0.2〜0.3μmを
「4」,0.4〜0.5μmを「3」,0.4〜0.5
μmを「2」,0.5μm以上を「1」と5段階評価し
た。
【0023】切粉分断性は、10番目に加工した孔につ
いて切粉の数及び量から100g当りの切粉数に換算
し、押出材5本の平均値を求め、換算切粉数が2500
個以上を「5」,2500〜2000個を「4」,20
00〜1500個を「3」,1500〜1000個を
「2」,1000個以下を「1」と5段階評価した。工
具寿命は,100番目に加工した孔について切削面の最
大高さRyを測定し、最大高さRyが高いものほど工具
寿命が短いものと仮定して押出材5本の最大高さRyの
平均値を求め、最大高さの平均値が5μm以下を
「○」,5〜7μmを「△」,7μm以上を「×」と3
段階評価した。耐食性試験では、JIS Z2371に
準拠して塩水噴霧500時間後の腐食減量を測定した。
そして、押出材5本の腐食減量の平均が60mg/dm
2以下を「○」,60〜100mg/dm2を「△」,1
00mg/dm2以上を「×」と3段階評価した。
【0024】
【0025】
【0026】表5,6の調査結果にみられるように、本
発明に従った試験番号1,5,9,13,21,24,
27,30では、何れもSi単体の晶出物が少なく、切
削工具の磨耗が少なく、表面粗さの小さな仕上げ表面に
なっている。具体的には、Si系晶出物量の多い比較合
金5の押出材と同等の切粉分断性をもっているにも拘わ
らず、Si単体としての晶出物量が少ないため工具寿
命,切削面の表面仕上り性が改善されている。更に、耐
食性にも優れ、テアリングが発生しなかったことから押
出性にも優れていることが判る。そのため、アンチロッ
クブレーキングシステムのハウジングや油圧・空圧シリ
ンダ用として好適な材料といえる。これに対し、Fe,
Cr量を多くしB無添加の比較合金6の押出材は、本発
明例に比較して切粉分断性,耐食性,押出性の何れも劣
っていた。これは、Fe及びCrが多いことによる耐食
性の低下に加え,押出性が低下し,B無添加のために切
粉分断性が低下したためである。本発明例に比較してM
nが多くB無添加の比較合金7の押出材も同様に、多量
のMnに起因して耐食性及び押出性が低下し,B無添加
のために切粉分断性が低下していた。
【0027】試験番号17,33の比較例では、Si単
体の晶出量が多いことから、切粉分断性には優れている
ものの切削面が粗くなっており、樹脂製品等を取り付け
た際に密着性に劣ることが予想される。更に、本発明合
金に比較してFe,Mn,Crを増量したB無添加の試
験番号18,19,34,35では、切削面の表面仕上
り性は同等であったものの,切粉分断性,押出性及び耐
食性に劣っていた。なかでも、繊維状組織のマトリック
スをもつ押出し材では、切削性に異方性があり、表面粗
さの小さな製品を切り出す際に切削方向に制約が加わっ
た。しかも、多量のSiが含まれるとき、耐食性や押出
性が低下する傾向がみられた。更に、本発明で規定した
成分条件を満足する合金を使用した場合でも、ビレット
を高温で予熱した試験番号3,11,15では、マトリ
ックスが均一微細な再結晶組織にならず、微細再結晶組
織と繊維状組織が混在したマトリックスになるため,切
削面の仕上り性が低下していた。試験番号7は、V添加
によって均一微細な再結晶組織をもっていた。逆にビレ
ットの均質化温度を低く設定した試験番号4,8,1
2,16,23,26,32,29では、マトリックス
へのSi系晶出物の均一分散が不十分で、しかもマトリ
クスの硬さが不足するため、切粉分断性及び切削面の表
面仕上り性が劣っていた。比較的低い溶体化温度で押出
材を溶体化処理した試験番号2,6,10,14では、
切削面の仕上り性及び切粉分断性が低下していた。これ
は、溶体化温度が低いために、マトリックスの硬さが不
足することが原因であると考えられる。
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、マトリックスに晶出するSi単体の晶出量を抑え、
Al(Fe,Mn)Si,Al(Fe,Cr)Si,π
−Al 8Si6Mg3Fe,Mg2Si等のSi系化合物を
晶出させることにより、切粉分断性を確保すると共に表
面仕上り性を向上させている。また、押出し材のマトリ
ックスを均一で微細な再結晶組織とすることにより、繊
維状組織に由来する切削性の異方性がなく、樹脂製品等
を密着状態で取り付けることが可能な表面仕上がりにす
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22F 1/00 604 C22F 1/00 604 612 612 630 630J 630K 630Z 682 682 683 683 691 691A 691B 692 692A 694 694Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:2.5〜4.0重量%,Mg:
    0.8〜1.2重量%,Fe:0.10〜0.3重量
    %,Cu:0.2〜0.3重量%,Cr:0.10〜
    0.25重量%,Mn:0.02〜0.10重量%,T
    i:0.01〜0.2重量%,B:0.003〜0.0
    3重量%を含み、残部が実質的にAlの組成をもつビレ
    ットを530〜570℃×1〜6時間の保持で均質化処
    理し、冷却後に再度300〜450℃に加熱した後、押
    出加工し、530〜570℃×1〜3時間の溶体化処理
    後に水焼入れし、次いで170〜200℃×6〜12時
    間の人工時効処理を施すことにより製造され、平均結晶
    粒径が均一微細な再結晶組織のマトリックスをもち、S
    i系晶出物の面積率が3〜8%の範囲にあり、Si系晶
    出物に対するSi単体晶出物の割合が60%以下に抑制
    されていることを特徴とする切粉分断性,切削仕上げ
    性,耐食性,押出性に優れたアルミニウム合金押出材。
  2. 【請求項2】 Si:2.5〜4.0重量%,Mg:
    0.8〜1.2重量%,Fe:0.10〜0.3重量
    %,Cu:0.2〜0.3重量%,Cr:0.10〜
    0.25重量%,Mn:0.02〜0.10重量%,T
    i:0.01〜0.2重量%,B:0.003〜0.0
    3重量%を含み、残部が実質的にAlの組成をもつビレ
    ットを530〜570℃×1〜6時間の保持で均質化処
    理し、冷却後に再度400〜500℃に加熱した後、形
    材速度20m/分以下で押出加工し、冷却速度200℃
    /分以上でダイス端焼入れし、次いで170〜200℃
    ×6〜12時間の人工時効処理を施すことにより製造さ
    れ、平均結晶粒径が均一微細な再結晶組織のマトリック
    スをもち、Si系晶出物の面積率が3〜8%の範囲にあ
    り、Si系晶出物に対するSi単体晶出物の割合が60
    %以下に抑制されていることを特徴とする切粉分断性,
    切削仕上げ性,耐食性,押出性に優れたアルミニウム合
    金押出材。
  3. 【請求項3】 Si:2.5〜4.0重量%,Mg:
    0.8〜1.2重量%,Fe:0.10〜0.3重量
    %,Cu:0.2〜0.3重量%,Cr:0.10〜
    0.25重量%,Mn:0.02〜0.10重量%,T
    i:0.01〜0.2重量%,B:0.003〜0.0
    3重量%を含み、残部が実質的にAlの組成をもち、平
    均結晶粒径が均一微細な再結晶組織のマトリックスをも
    ち、Si系晶出物の面積率が3〜8%であり、Si系晶
    出物に対するSi単体晶出物の割合が60%以下である
    切粉分断性,切削仕上げ性,耐食性,押出性に優れた請
    求項1又は2記載の方法で製造されたアルミニウム合金
    押出材。
  4. 【請求項4】 更にV:0.1〜0.25重量%を含む
    請求項3記載の切粉分断性,切削仕上げ性,耐食性,押
    出性に優れたアルミニウム合金押出材。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載のアルミニウム合金
    押出材で作られたアンチロックブレーキングシステムの
    ハウジング。
  6. 【請求項6】 請求項3又は4記載のアルミニウム合金
    押出材で作られた油圧又は空圧シリンダ。
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