JP2001131193A - トロポロン化合物の白金錯体 - Google Patents

トロポロン化合物の白金錯体

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JP2001131193A
JP2001131193A JP31100899A JP31100899A JP2001131193A JP 2001131193 A JP2001131193 A JP 2001131193A JP 31100899 A JP31100899 A JP 31100899A JP 31100899 A JP31100899 A JP 31100899A JP 2001131193 A JP2001131193 A JP 2001131193A
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Katsuya Shimizu
克也 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トロポロン化合物と白金よりなる新規な抗菌
性錯体を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるトロポロン化
合物の白金錯体。 【化1】 (式中、R1 〜R3 は水素、または直鎖または分岐のア
ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキ
ル基を表す。nは白金イオンの価数を表す整数で2また
は4である。mは白金イオンに対するトロポロン化合物
のモル比を表す1から6の整数である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トロポロン化合物
と白金よりなる新規な抗菌性錯体に関する。更に詳しく
は、本発明は、広範囲の種類の細菌、カビ等に対する優
れた抗菌効果を有し、様々な用途における抗菌剤として
有用であるばかりでなく、白金錯体を用いた癌治療にお
ける副作用軽減や感染症防止の効果が期待できる新規な
白金錯体に関する。
【0002】
【従来の技術】トロポロン化合物とは下記の一般式(2)
で表される7員環芳香族化合物であり、一般に優れた抗
菌性を有することで知られている。
【化2】 中でも下記式(3)で示される4−位にイソプロピル基を
有する4−イソプロピルトロポロンは別名ヒノキチオー
ルと呼ばれ、1936年野副鉄男博士によってタイワン
ヒノキの精油より分離された物質であり、広範囲の種類
の細菌、カビ等に対して優れた抗菌効果を示すととも
に、耐性菌の発生例が認められないなどの有用な特性を
有する物質である。従って、抗癌剤による治療などで体
力が低下した場合に懸念される感染症などの予防効果は
元来期待できる物質である。
【化3】
【0003】更に、ヒノキチオールをはじめとするトロ
ポロン化合物は、近年の研究の結果抗菌性以外に多くの
極めて有用な特性を有することが分かってきた。その一
つとして、薬物毒性軽減作用や抗酸化作用を有する蛋白
質であるメタロチオネイン(MT)の合成を促進する作
用を有することが示された(創薬科学研究報告 平成8
年度 創薬科学総合研究事業、94(1997))。M
Tは抗癌剤の副作用を軽減する効果を有するので、この
知見は癌治療の分野において極めて有用である。なおM
Tは、発癌、炎症、老化、虚血再灌流障害など多くの疾
病の原因である活性酸素を除去する効果をもつ、スーパ
ーオキシドジスムターゼ(SOD)と類似の作用を有す
ることが分かっている(化学総説、27、p.82(1
995))。従って、上記のMT合成促進効果は癌以外
の様々な疾病にも有効である可能性が高い。
【0004】また、トロポロン化合物は、種々の金属イ
オンと反応して下記式(4) のような金属錯体を形成する
ことは既に知られている。
【化4】 例えば、J.Chem.Soc.Japan 64、7
42(1943)には、ヒノキチオールとNa、Ag、
Cu、Be、Mg、Zn、Cd、Hg、Ca、Mn、C
o、Ni、Pb、Fe、Al、Cr、Bi、Sb、T
h、Ce、Ti、Sn、V、Mo、W、Uとの金属錯体
が示されている。また、防菌防黴、22、265(19
94)には、ヒノキチオールとNa、Mg、Ca、B
a、Zn、Cu、Fe、Agとの金属錯体が優れた抗菌
性を有することが示されている。しかしいずれの報文に
おいてもヒノキチオールの白金錯体に関する記述は全く
ない。また、J.Am.Chem.Soc.75、37
84(1953)には、トロポロンとAg、Sr、C
d、Hg、Ce、Al、In、Cr、U、Mn、Fe、
Pd、Cu、Be、Pb、Zn、Ni、Co、Mg、C
aとの金属錯体が示されているが、該報文においてはト
ロポロンの白金への配位は観測できなかったと記述され
ている。即ち、トロポロン化合物が種々の金属と錯体を
形成することが知られていたにも関わらず、該化合物と
白金との錯体を提供する技術は未だ開示されていない。
【0005】ところで、下記式(5) で表されるcis−
DichlorodiamminePt(II)(シスプ
ラチン、cis−DDP)〔Nature、222、3
85(1969)〕に代表されるように、白金錯体の中
には抗癌作用を有する物があり、化学療法剤として既に
臨床応用されている。しかし、cis−DDPは強い腎
毒性や吐き気、神経障害などの副作用があり、その軽減
のために下記式(6) 〜(9) のような様々な白金錯体が開
発されている(メディシナルケミストリー第4版、p.
264、講談社サイエンティフィク;化学総説、27、
p.82(1995))。
【0006】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0007】しかしながら、これまでに開示されている
抗癌性白金錯体のなかにトロポロン化合物を配位させた
ものはなく、いずれも配位子自身には臨床的効果がない
ものであった。なお、上記の抗癌作用を有する白金錯体
の特徴は、cis−配置のCarrier ligan
dとLeaving groupを有することである。
前者はアミン類に代表され、白金イオンと強固な結合を
形成する。後者はハロゲン化物イオンやジカルボン酸に
代表され、水溶液中で徐々に解離する。抗癌作用機序
は、Leaving groupが加水分解などで外
れ、白金がDNA鎖内の塩基と結合して架橋を形成し核
酸複製を阻害することによると考えられている(メディ
シナルケミストリー第4版、p.264、講談社サイエ
ンティフィク)。
【0008】また、cis−Pt(II)が活性酸素を発
生させることも認められており、活性酸素を除去するた
めのスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)やカタラ
ーゼなどの量が低下している癌細胞を活性酸素が攻撃す
ることが抗癌作用発現機序のひとつと考えられている
(活性酸素と病気、p.73、講談社)。以上のよう
に、トロポロン化合物およびcis配置の白金錯体はそ
れぞれ有用な特性を有することは知られていたが、それ
らが錯体を形成すること及びその錯体は未だ知られてい
なかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、トロポロン
化合物と白金よりなる新規な抗菌性錯体を提供すること
を目的とする。更に詳しくは、本発明は、広範囲の種類
の細菌、カビ等に対する優れた抗菌効果を有し、様々な
用途における抗菌剤として有用であるばかりでなく、白
金錯体を用いた癌治療における副作用軽減や感染症防止
の効果が期待できる新規な白金錯体を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、トロポロン化合物と白金化合物が錯体を形成
することを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の
第一は、下記一般式(1)で表されるトロポロン化合物の
白金錯体を提供する。また、
【化10】 (式中、R1 〜R3 は水素、直鎖又は分岐のアルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基を
表す。nは白金イオンの価数を表す整数で2又は4であ
る。mは白金イオンに対するトロポロン化合物のモル比
を表す1〜6の整数である。A、B、C、Dは白金イオ
ンの配座を表し、AとBはトロポロン化合物と同一平面
上にある配座である。AとBを占める配位子は、アンモ
ニア、直鎖又は分岐の脂肪族アミン類、芳香族アミン
類、塩化物、臭化物、ヨウ化物、カルボン酸の中から選
択される。また、AとBを占める配位子は、互いに炭化
水素鎖などで結合されていてもよい。AとBはトロポロ
ン化合物の酸素原子で占められていてもよい。CとDの
配座を占める配位子は、空白でもよいし、アンモニア、
直鎖又は分岐の脂肪族アミン類、芳香族アミン類、塩化
物、臭化物、ヨウ化物、カルボン酸の中から選択しても
よい。また、CとDを占める配位子は、互いに或いはA
とBを占める配位子と炭化水素鎖などで結合されていて
もよく、トロポロン化合物の酸素原子で占められていて
もよい) 本発明の第二は、本発明の第一のトロポロン化合物の白
金錯体を含有する抗菌剤を提供する。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
言うトロポロン化合物とは、下記一般式(2)で表される
置換又は非置換のトロポロン化合物であり、天然物又は
公知の方法で得られた合成物質を用いればよい。
【化11】 (ただし、R1 〜R3 は水素、或いは直鎖又は分岐のア
ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキ
ル基を表し、直鎖状または分岐状を問わない。また不飽
和結合が含まれていてもかまわない。また酸素、ケイ
素、ハロゲンなどのヘテロ原子が含まれていてもかまわ
ない。)
【0012】上記定義において、アルキル基としては、
例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−
ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−
メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチル
ペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、
4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘ
キシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−
ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−メチ
ル−2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2
−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。アル
ケニル基としては一般式−CH=CR4 5 で表され
る。アルキニル基としては一般式−CHC−R4 で表さ
れる。
【0013】R4 、R5 は水素または炭化水素基であ
り、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピ
ル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、
n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、
3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メ
チルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチ
ル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n
−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、
n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−
ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセ
ニルなどが挙げられる。
【0014】シクロアルキル基としては、例えばシクロ
プロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロ
ペンテン−1−イル、2−シクロペンテン−1−イル、
シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、1−シクロヘ
キセン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3
−シクロヘキセン−1−イル、1,3−シクロヘキサジ
エン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イ
ル、シクロヘプチル、1−シクロヘプテン−1−イル、
2−シクロヘプテン−1−イル、3−シクロヘプテン−
1−イル、4−シクロヘプテン−1−イル、シクロオク
チル、1−シクロオクテン−1−イル、2−シクロオク
テン−1−イル、シクロノニル、シクロデシルなどが挙
げられる。
【0015】また、酸素が含まれるものとしては、今ま
で述べた基に一般式−OR6 や一般式−COOR7 で表
される置換基が有するものが挙げられる。R6 やR7
水素または炭化水素基であり、例えばメチル、エチル、
n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブ
チル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブ
チル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−
ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペ
ンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、
1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オクチ
ル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ド
デシル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニ
ル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられ
る。また、今まで述べた基にケイ素やフッ素、塩素、臭
素、ヨウ素のようなハロゲンが含まれていてもかまわな
い。
【0016】本発明で言うトロポロン化合物の白金錯体
は、一般式(1)で表される。
【化12】 上記式(1)において、nは白金イオンの価数を表す整数
で、2または4である。mは白金イオンに対するトロポ
ロン化合物のモル比を表す整数で、1から6のいずれで
もよい。
【0017】A、B、C、Dは白金イオンの配座を表
し、AとBはトロポロン化合物と同一平面上にある配座
である。AとBを占める配位子は特に制限はなく、アン
モニア、直鎖又は分岐した脂肪族アミン類、芳香族アミ
ン類、塩化物、臭化物、ヨウ化物、カルボン酸などの中
から適宜選択すればよい。また、AとBを占める配位子
は、互いに炭化水素鎖などで結合されていてもよく、例
えばCarboplatin〔式(5) 〕、Nedapl
atin〔式(6)〕、Tetraplatin〔式(8)
〕などの配位子などが挙げられる。また、AとBはト
ロポロン化合物の酸素原子で占められていてもかまわな
い。CとDの配座を占める配位子も特に制限はなく、空
白でもよいし、アンモニア、直鎖又は分岐した脂肪族ア
ミン類、芳香族アミン類、塩化物、臭化物、ヨウ化物、
カルボン酸、などの中から適宜選択してもよい。また、
CとDを占める配位子は、互いにもしくはAとBを占め
る配位子と炭化水素鎖などで結合されていてもよく、ト
ロポロン化合物の酸素原子で占められていてもかまわな
い。
【0018】本発明のトロポロン化合物の白金錯体の合
成法は特に制限はなく、金属錯体を合成するための公知
の方法を採用すればよい。例えば、トロポロン化合物と
水酸化ナトリウムとから得られるトロポロン化合物のナ
トリウム塩を、塩化白金(II)、テトラクロロ白金(I
I)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV) 酸などの白金
化合物と反応させることにより合成できる。
【0019】本発明の白金錯体は、広範囲の種類の細
菌、カビなどに優れた効果を発揮するが、これはトロポ
ロン化合物と白金の抗菌効果が相乗的に作用する結果と
考えられる。本発明者らの検討の結果、本発明の白金錯
体生理食塩水中で徐々にトロポロン化合物を遊離するこ
とが分かった。このことより、該白金錯体が人体に投与
された場合、白金を遊離すると予想される。即ち、トロ
ポロン化合物は、白金系抗癌剤におけるLeaving
groupとして作用すると予想される。また、トロ
ポロン化合物の2つの酸素原子の空間配置より明らかな
ように、該化合物は必然的に白金の配座をcis型に占
めるので、トロポロン化合物が遊離したあとには、抗癌
剤の条件であるcis−型の空の配座が提供されること
が期待される(従来の技術の項参照)。また、このよう
に体内で遊離したトロポロン化合物は、それ自身も優れ
た抗菌性を有するので、抗癌剤の投与で体力が低下した
場合に懸念される感染症などを防止する効果を発揮する
ことも期待される。
【0020】トロポロン化合物のなかでもヒノキチオー
ルは、近年院内感染の原因として社会問題化しているメ
チシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)にも優れた効
果を発揮することが既に確認されている(防菌防黴、2
2、265(1994))。また、ヒノキチオールは耐
性菌の発生例が未だ認められておらず、各種の抗生物質
耐性菌による感染症予防にも効果を発揮するものと期待
される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に実施例などに基づき本発明
を詳述するが、本発明はこれらの実施例などにより何ら
限定されない。なお、本発明の実施例などにおける抗菌
防カビ試験は下記の方法で実施した。〈抗菌防カビ性試
験〉30×30mmに裁断した試験片を、寒天入りブイ
ヨン培地入ったプラスチックシャーレ中央に置き、これ
に約1×106 /mlに希釈した黄色ブドウ球菌、大腸
菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、クロカ
ビ、水虫菌の混合懸濁液1mlを接種した。37℃で7
日間培養した後、該シャーレ内の菌生育の程度を調べ
た。
【0022】(実施例1)水酸化ナトリウム0.111
1gを純粋10.3gに溶解し、水酸化ナトリウム水溶
液を調製した。該水溶液に対し4−イソプロピルトロポ
ロン(ヒノキチオール)0.437gを加え、50℃で
10分間撹拌して溶解させ、4−イソプロピルトロポロ
ンのナトリウム塩の水溶液を調製した。該水溶液に対
し、テトラクロロ白金(II)酸カリウム1.1085g
を水10.7gに溶解した水溶液を室温で加え、55℃
で1.5時間撹拌して反応させ、4−イソプロピルトロ
ポロンの白金錯体1.025gを黒色固体として得た。
該白金錯体の元素分析値(C:25.6%、H:2.4
%、N:<0.2%、O:6.8%、Cl:15.1
%、K:8.3%、Pt:41.7%)より、該白金錯
体がK[(4−イソプロピルトロポロン)・PtCl
2]の構造であることを確認した。
【0023】該白金錯体1重量%を溶解させたアセトン
にセルロース製不織布を10分間浸漬した後、室温でア
セトンを蒸発させ、該白金錯体を含有する不織布を得
た。該不織布より30×30mmの試験片を作成し、抗
菌防カビ性試験を実施した結果、菌の生育は全く認めら
れなかった。一方、該白金錯体を37℃の生理食塩水に
加えた結果、4−イソプロピルトロポロン(ヒノキチオ
ール)の遊離が確認された。本実施例が示すように、本
発明の白金錯体は広範囲の種類の菌種に対し優れた抗菌
効果を発揮する。また、該白金錯体は生理食塩水により
トロポロン化合物が遊離するので、人体に投与された場
合にもトロポロン化合物が遊離すると考えられ、その結
果白金が遊離して抗癌作用が得られること及び、遊離し
たトロポロン化合物による抗癌剤副作用軽減や感染症予
防効果が期待される。
【0024】(実施例2)水酸化ナトリウム0.111
3gを純粋10.2gに溶解し、水酸化ナトリウム水溶
液を調製した。該水溶液に対しトロポロン0.325g
を加え、50℃で10分間撹拌して溶解させ、トロポロ
ンのナトリウム塩の水溶液を調製した。該水溶液に対
し、テトラクロロ白金(II)酸カリウム1.1082g
を水10.5gに溶解した水溶液を室温で加え、55℃
で1.5時間撹拌して反応させ、トロポロンの白金錯体
0.958gを黒色固体として得た。該白金錯体の元素
分析値(C:19.7%、H:1.2%、N:<0.2
%、O:7.5%、Cl:16.6%、K:9.1%、
Pt:45.8%)より、該白金錯体がK[(トロポロ
ン)・PtCl2]の構造であることを確認した。
【0025】該白金錯体1重量%を溶解させたアセトン
にセルロース製不織布を10分間浸漬した後、室温でア
セトンを蒸発させ、該白金錯体を含有する不織布を得
た。該不織布より30×30mmの試験片を作成し、抗
菌防カビ性試験を実施した結果、菌の生育は全く認めら
れなかった。一方、該白金錯体を37℃の生理食塩水に
加えた結果、4−イソプロピルトロポロン(ヒノキチオ
ール)の遊離が確認された。本実施例が示すように、本
発明の白金錯体は広範囲の種類の菌種に対し優れた抗菌
効果を発揮する。また、該白金錯体は生理食塩水により
トロポロン化合物が遊離するので、人体に投与された場
合にもトロポロン化合物が遊離すると考えられ、その結
果白金が遊離して抗癌作用が得られること及び、遊離し
たトロポロン化合物による抗癌剤副作用軽減や感染症予
防効果が期待される。
【0026】(比較例1)本発明の白金錯体を含まない
アセトンにセルロース製不織布を10分間浸漬した後、
室温でアセトンを蒸発させた。該不織布より30×30
mmの試験片を作成し、抗菌防カビ性試験を実施した結
果、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、メチシリン耐性
黄色ブドウ球菌、クロカビ、水虫菌が検出された。本比
較例は、本発明の白金錯体を用いていないので抗菌効果
が全く得られていない。
【0027】
【発明の効果】本発明により、トロポロン化合物と白金
よりなる新規な抗菌性錯体を提供することが可能にな
る。更に詳しくは、広範囲の種類の細菌、カビ等に対す
る優れた抗菌効果を有し、様々な用途における抗菌剤と
して有用であるばかりでなく、白金錯体を用いた癌治療
における副作用軽減や感染症予防の効果が期待できる新
規な白金錯体を提供することが、本発明により可能にな
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるトロポロン化
    合物の白金錯体。 【化1】 (式中、R1 〜R3 は水素、直鎖又は分岐のアルキル
    基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基を
    表す。nは白金イオンの価数を表す整数で2又は4であ
    る。mは白金イオンに対するトロポロン化合物のモル比
    を表す1〜6の整数である。A、B、C、Dは白金イオ
    ンの配座を表し、AとBはトロポロン化合物と同一平面
    上にある配座である。AとBを占める配位子は、アンモ
    ニア、直鎖又は分岐の脂肪族アミン類、芳香族アミン
    類、塩化物、臭化物、ヨウ化物、カルボン酸の中から選
    択される。また、AとBを占める配位子は、互いに炭化
    水素鎖などで結合されていてもよい。AとBはトロポロ
    ン化合物の酸素原子で占められていてもよい。CとDの
    配座を占める配位子は、空白でもよいし、アンモニア、
    直鎖又は分岐の脂肪族アミン類、芳香族アミン類、塩化
    物、臭化物、ヨウ化物、カルボン酸の中から選択しても
    よい。また、CとDを占める配位子は、互いに或いはA
    とBを占める配位子と炭化水素鎖などで結合されていて
    もよく、トロポロン化合物の酸素原子で占められていて
    もよい)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトロポロン化合物の白金
    錯体を含有する抗菌剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110330533A (zh) * 2019-07-26 2019-10-15 广西师范大学 2-甲基-8-羟基喹啉与托酚酮混配铂配合物及其制备方法和应用

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110330533A (zh) * 2019-07-26 2019-10-15 广西师范大学 2-甲基-8-羟基喹啉与托酚酮混配铂配合物及其制备方法和应用
CN110330533B (zh) * 2019-07-26 2021-05-28 广西师范大学 2-甲基-8-羟基喹啉与托酚酮混配铂配合物及其制备方法和应用

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