JP2001131123A - ジアリールカーボネートの製造方法 - Google Patents

ジアリールカーボネートの製造方法

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JP2001131123A JP30957199A JP30957199A JP2001131123A JP 2001131123 A JP2001131123 A JP 2001131123A JP 30957199 A JP30957199 A JP 30957199A JP 30957199 A JP30957199 A JP 30957199A JP 2001131123 A JP2001131123 A JP 2001131123A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】溶融エステル交換法による芳香族ポリカーボネ
ートの製造において重合触媒に被毒作用を示す物質を含
まないジアリールカーボネートを、製造工程から排出さ
れる排水負荷を低減しながら製造する方法を提供する。 【解決手段】芳香族モノヒドロキシ化合物と、ホスゲン
又はアリールクロロフォーメートとを芳香族複素環式含
窒素塩基性化合物又はその塩の存在下に反応させて得た
ジアリールカーボネートを含有する反応混合物を、アル
カリ水溶液と接触させて十分中和した後、有機相と水相
に分離し、該有機相を水と接触させ、再び水相と有機相
に分離し、該有機相よりジアリールカーボネートを回収
するジアリールカーボネートの製造方法において、アル
カリ水溶液との接触後に分離した水相を一定のpH範囲
に調整した後、蒸留し、留出水をアルカリ水溶液の調製
及び/又は有機相と接触させる水として再利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度に精製され
たジアリールカーボネートを製造する際の、排水負荷を
低減する方法に関するものである。本発明で得られたジ
アリールカーボネートは、溶融エステル交換法による芳
香族ポリカーボネートを製造する原料として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】ジアリールカーボネートの製造方法とし
ては、種々の製造法が知られている。例えば、アルカリ
水溶液中での芳香族モノヒドロキシ化合物の相界面ホス
ゲン化法(Schotten−Baumann反応)が
知られている。この場合、アルカリ水溶液によりホスゲ
ンの部分ケン化が起こると共に、副生成物として大量の
塩化ナトリウムを生じるので、ホスゲンの有効利用率の
低下、アルカリ使用による原料コストの増加、排水処理
等の問題を生じる。
【0003】また、米国特許第2,837,555号明
細書には、触媒としてハロゲン化テトラメチルアンモニ
ウムの存在下に無溶媒縮合を行うことが提案されてい
る。しかしながら、この方法では経済的な反応速度を得
るためには、比較的多量の触媒を必要とし、且つ180
〜215℃という高い温度を用いることが必要であり、
そのために熱的に不安定なハロゲン化テトラメチルアン
モニウムの分解の恐れを伴う。加うるに、化学量論的に
必要とされる量よりもずっと高い割合でホスゲンが消費
される。
【0004】かかる問題を解決する手段として、芳香族
モノヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応を、触媒量の
芳香族複素環式塩基性窒素化合物(以下、塩基性触媒と
いうこともある)又はその塩の存在において行ってジア
リールカーボネートを製造する方法が提案されている
(特公昭58−50977号公報参照)。反応混合物中
に含有される触媒を分離する方法として該公報には、反
応混合物蒸留時の釜残物質として易融解性付加物として
単離する方法と、反応溶融物の底に沈降した第2の液相
から触媒を単離する方法が記載されている。
【0005】しかし、前者の蒸留釜残として易融解性付
加物の状態で分離できる触媒は、塩酸付加物の熱安定性
や沸点の上から限られており、後者の反応溶融物からの
液液分離の場合には、ジアリールカーボネート中へかな
りの量の触媒の塩が溶解し、これを原料としてビスフェ
ノールAとエステル交換法により製造される芳香族ポリ
カーボネートは色相が悪かったり、金型を腐食する。
【0006】芳香族モノヒドロキシ化合物と、ホスゲン
又はアリールクロロフォーメートとを芳香族複素環式含
窒素塩基性化合物又はその塩の存在下に反応させた場
合、ジアリールカーボネートの他に塩酸が副生する。ア
ルカリ水溶液中での反応例等を除いて、この塩酸の一部
が、反応混合物への溶解、塩基性触媒との付加物の形成
等により、反応混合物中に残存する。塩酸等の加水分解
性塩素を有する化合物は、ジアリールカーボネートから
溶融エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製
造する際の重合触媒に被毒作用を示す物質として知られ
ており、ジアリールカーボネート中の含有量を数十pp
b以下とすることが望ましい。
【0007】塩酸や塩基性触媒の塩酸付加物として反応
混合物に残存した塩酸を、重合触媒に影響が無いレベル
まで除去する方法としては、反応混合物をアルカリによ
り中和すると共に、中和工程で極微量に残存した塩酸や
中和により生成した塩を完全に除去することが考えられ
る。そこで、反応混合物をアルカリ水溶液と接触させて
pH7.0〜9.5、好ましくはpH8.8〜9.2の
範囲で中和した後、有機相と水相に分離し、該有機相を
温水と接触させ、再び水相と有機相に分離し、有機相よ
りジアリールカーボネートを回収するプロセスが提案さ
れた(特開平11−5766号公報参照)。
【0008】この方法では、中和後に分離した水相が、
排水として系外へ排出される。これらの排水中には、水
溶性の芳香族モノヒドロキシ化合物、水溶性の触媒等が
溶解しており、工業的レベルで生産を行う場合には、溶
解ロスによる原料コスト増のみならず、排水処理に伴う
コスト増が問題となる。特に芳香族モノヒドロキシ化合
物は、通常の排水処理法である活性汚泥処理を行う際に
活性汚泥への負荷が大きく、極力、低減することが重要
である。そこで、アルカリ水溶液との接触後に分離した
水相又は水との接触後に分離した水相を蒸留し、留出水
をアルカリ水溶液の調製又は有機相と接触させる水とし
て再利用する方法が提案された(特開平11−2953
2号公報参照)。
【0009】しかし、この提案の方法では、アルカリ水
溶液との接触時のpHを、中和が完遂可能な限界の塩基
性に設定するのが常であって、分離した水相のpHは9
を下回ることはなく、9〜10程度となっている。この
状態のまま次の蒸留操作に入ると、pHが高すぎるた
め、芳香族モノヒドロキシ化合物が塩の形になり、高沸
物へ変化し、単純な蒸留操作では蒸留できない状態とな
る。蒸留の初期は塩基性触媒が蒸留され、塩基性触媒が
蒸留された残液のpHは最初のpHよりやや高めのpH
を示すようになる。すなわち、塩基性触媒と芳香族モノ
ヒドロキシ化合物が共存した系のpHは、塩基性触媒の
作用により、通常よりやや低めの値を示しており、この
段階のpHが高いと、一旦塩基性触媒が蒸留された後の
残液中に含有される芳香族モノヒドロキシ化合物はより
塩形成の方に傾き、蒸留され難い状態となるのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、芳香族モノ
ヒドロキシ化合物と、ホスゲン又はアリールクロロフォ
ーメートとを芳香族複素環式含窒素塩基性化合物又はそ
の塩の存在下に反応させるジアリールカーボネートの製
造方法において、反応で副生した塩酸、反応中間体であ
るアリールクロロフォーメート、塩基性触媒の塩酸付加
物等の、溶融エステル交換法による芳香族ポリカーボネ
ートの製造において重合触媒に被毒作用を示す物質を含
まないジアリールカーボネートを、製造工程から排出さ
れる排水負荷を低減しながら製造する方法の提供を目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、芳香族モノヒ
ドロキシ化合物と、ホスゲン又はアリールクロロフォー
メートとを芳香族複素環式含窒素塩基性化合物又はその
塩の存在下に反応させて得たジアリールカーボネートを
含有する反応混合物を、アルカリ水溶液と接触させてp
H8.5〜9.5の範囲に中和した後、有機相と水相に
分離し、分離した有機相を温水と接触させ、再び水相と
有機相に分離し、該有機相よりジアリールカーボネート
を回収するジアリールカーボネートの製造方法におい
て、アルカリ水溶液との接触後に分離した水相をpH5
〜8.4の範囲に調整した後蒸留することを特徴とする
ジアリールカーボネートの製造方法を提供するものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】原料及び補助材料 芳香族モノヒドロキシ化合物: 芳香族モノヒドロキシ
化合物としては、芳香環に直接ヒドロキシ基が結合して
いるものであり、フェノール、クレゾールやブチルフェ
ノール等のアルキルフェノール類、アリールフェノール
類、ハロゲン化フェノール類及びヘテロ原子を介してア
ルキル又はアリール基の結合したフェノール類が使用で
きる。 アリールクロロフォーメート: アリールクロロフォー
メートとしては、前記芳香族モノヒドロキシ化合物のク
ロロフォーメートが使用できる。
【0013】ホスゲン: ホスゲンとしては、塩化メチ
レンや四塩化炭素や塩素等の不純物を含有しない純粋の
ものが好ましい。ホスゲン導入量としては、芳香族モノ
ヒドロキシ化合物1.0モルに対して1.0モル以下が
好ましく、0.4〜0.5モルがさらに好ましい。化学
量論量は0.5モルであるが、ホスゲンの導入量を化学
量論量以下に抑制することにより、未反応の芳香族モノ
ヒドロキシ化合物が必然的に残存し、反応中間体である
アリールクロロフォーメートと芳香族モノヒドロキシ化
合物のジアリールカーボネート生成反応が促進されて、
工業用グレードの着色のないポリカーボネートが得られ
る。
【0014】芳香族複素環式含窒素塩基性化合物又はそ
の塩: 触媒として用いられる芳香族複素環式含窒素塩
基性化合物としては、窒素原子が芳香族の5員環又は6
員環中に存在しており、かつ、反応条件下にホスゲン又
は炭酸エステルと強固な結合を生じやすい官能基(例え
ば、アミノ基又はヒドロキシ基)を有していない塩基性
窒素化合物であり、環には、窒素原子の他に酸素、硫黄
等の他のヘテロ原子を有していても良い。かかる塩基性
触媒の具体例としては、ピリジン、キノリン、ピコリ
ン、イミダゾール類、ベンズイミダゾール類、ピラゾー
ル類、トリアゾール類及びベンゾトリアゾール類であ
る。
【0015】上記塩基性触媒は、反応混合物中で直ちに
相当する塩酸塩に変化する。この塩酸塩は遊離型の塩基
性触媒と解離平衡の状態にあるため、遊離型の塩基性触
媒の代わりに、塩基性触媒の塩、例えば、塩酸塩や硫酸
塩等の無機酸塩、蟻酸塩や酢酸塩等の有機酸塩を使用す
ることができる。これらの触媒は、芳香族モノヒドロキ
シ化合物1.0モルに対して、0.001〜0.20モ
ルの量で使用することが好ましく、0.01〜0.10
モルの使用がさらに好ましい。
【0016】アルカリ: 塩酸塩型の塩基性触媒の中和
剤として用いられるアルカリとしては、ナトリウム、カ
リウム、カルシウム及びバリウムの水酸化物、炭酸及び
リン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩が使用でき
る。
【0017】フローシート 本発明のジアリールカーボネート製造方法の一例を、図
1のフローシートを用いて説明する。図中、1は第1反
応器、2は第2反応器、3は第3反応器、4は中和槽、
5、7は分離槽、6は温水処理槽、8、9は蒸留装置、
11、12、13、14、15、16及び17はそれぞ
れ芳香族モノヒドロキシ化合物、塩基性触媒又はその
塩、ホスゲン、不活性ガス、アルカリ水溶液、温水及び
酸性水溶液導入用の配管、21、22、23、24、2
5、26、27、28及び29はそれぞれ第1反応器反
応混合物、第2反応器排ガス、第2反応器排液、第3反
応器排ガス、第3反応器排液、中和液、その分離有機
相、温水処理液及びその分離有機相排出用の配管、2
7’、27”及び29’はそれぞれ中和液分離水相の排
出用、同循環用及び温水処理液分離水相の排出循環用の
配管、31、32、33、34及び35はそれぞれ第1
反応器、第2反応器、第3反応器、中和槽及び温水処理
槽に設置された撹拌機を示す。
【0018】反応:加熱溶融した芳香族モノヒドロキシ
化合物(11)、塩基性触媒又はその塩(12)及びガ
ス状のホスゲン(13)を、第1反応器(1)に連続的
に供給し、120〜190℃の温度で、撹拌(31)を
行いながら反応を行う。その際、ホスゲン(13)は図
示するように反応器内の液相部に導入される。また、塩
基性触媒又はその塩(12)は、加熱溶融した芳香族モ
ノヒドロキシ化合物(11)の一部又は全部と混合して
導入してもよい。
【0019】第1反応器反応混合物は気液分散状態のま
ま連続的に排出され、配管(21)を経て第2反応器
(2)に導入され、撹拌下(32)更に反応を進めホス
ゲンの転化率を向上させる。第2反応器排ガスは、主に
反応によって発生した塩化水素及び未反応ホスゲンから
なり、配管(22)から排出され、コンデンサー(図示
せず)を経て系外にパージされる。従って、このホスゲ
ンの消費率を向上させることは重要となる。
【0020】第2反応器排液は配管(23)から排出さ
れ、更に第3反応器(3)に導入され、撹拌下(3
3)、窒素ガスのような不活性ガス(14)を吹き込ん
で液中に溶存する塩化水素ガスを除去し、クロロフォー
メート体の押し切り反応(芳香族モノヒドロキシ化合物
との平衡反応によるジアリールカーボネートへの転換)
を促進する。第3反応器排ガスは、不活性ガスに同伴さ
れた塩化水素であり、配管(24)から排出され、塩化
水素は必要に応じ精製を施し回収塩酸として再利用され
る。不活性ガスは、塩酸回収後この反応器に再循環使用
することもできる。なお、反応器2基の場合は、第2反
応器を省略し、第1反応器と第3反応器で運転すること
もできる。
【0021】分離・回収:反応終了後の混合物中には、
ジアリールカーボネート、未反応芳香族モノヒドロキシ
化合物、塩基性触媒の塩酸塩及び微量不純物が含まれて
おり、塩素含有量は、触媒の使用量に応じて約300〜
60,000ppmとなる。第3反応器排液は、配管
(25)を経て中和槽(4)に供給し、撹拌下(34)
アルカリ水溶液(15)と接触させて塩基性触媒の塩酸
塩を中和する。中和工程では、反応混合物中に存在する
塩基性触媒の塩酸塩が、アルカリ水溶液との接触によ
り、完全に遊離型の塩基性触媒に転化できる処理条件が
選択される。具体的には、中和時のpHを所定の範囲内
に調整することが重要である。すなわち、pH8.5〜
9.5、好ましくはpH8.8〜9.2の範囲が選択さ
れる。中和時のpHが上記の範囲を超えると、ジアリー
ルカーボネートの分解が増大し、また上記範囲未満では
遊離型の塩基性触媒への転化が不十分となるので好まし
くない。
【0022】中和液は、配管(26)を経て分離槽
(5)に導入し、ここで有機相と水相に分離する。分離
槽(5)で分離された水相は、配管(27’)を経て蒸
留装置(9)に供給し、少量溶存する塩基性触媒及び芳
香族ヒドロキシ化合物を留出水として回収する。そのた
めに、蒸留に先立ち、上記分離された水相に、塩酸水溶
液等の酸性水溶液(17)を添加、混合し、pH=5〜
8.4、好ましくはpH=6〜8の範囲に調整すること
が必要である。すなわち、蒸留装置(9)に供給される
水相のpHが高すぎる場合には、芳香族モノヒドロキシ
化合物が塩の形になり高沸物へ変化し、単純な蒸留操作
では蒸留できない状態となる。一方、水相のpHが低す
ぎる場合には、塩基性触媒が塩の形になり高沸物へ変化
し、やはり単純な蒸留操作で蒸留できなくなる。しか
し、pHが上記範囲内に調整された水相であれば、通常
の蒸留操作により、塩基性触媒及び芳香族ヒドロキシ化
合物の両者共ほぼ全量を、留出水として容易に回収する
ことができる。従って、蒸留装置(9)で回収された留
出水は、系内で効果的に再利用され、決して排水として
直接排出されることはない。例えば、アルカリ水溶液
(15)の調製に循環利用してもよいし、図示のよう
に、配管(27”)を経て温水処理槽(6)の洗浄水
(16)として循環利用してもよい。蒸留装置(9)の
釜残液は、主として中和工程において生成したアルカリ
の塩酸塩(以下、中和塩ということもある)を含むが、
塩基性触媒及び芳香族ヒドロキシ化合物は殆ど含まない
ので、排水として系外に排出されるが、原料の溶解ロス
は削減され、廃水処理負荷は大幅に低減される。
【0023】一方、分離槽(5)で分離された有機相
は、配管(27)を経て温水処理槽(6)に供給し、撹
拌下(35)更に温水(16)と接触させる。温水処理
液は配管(28)を経て分離槽(7)に導入し、ここで
再び、有機相と水相に分離する。分離槽(7)から排出
される水相は、通常、図示のように、配管(29’)を
経て、アルカリ水溶液(15)の調製に循環利用され
る。中和工程及び温水処理工程の温度は、有機相及び水
相がいずれも液状を保持し、両者間での液・液接触が可
能な温度が選ばれるが、中和反応の促進及び中和塩の水
相への抽出効果を考慮すると、50〜100℃、好まし
くは65〜100℃の範囲で行うことが望ましい。
【0024】また、温水処理工程では、大半は分離槽
(5)で水相中へ移行したが、少量なお有機相中に溶存
する中和塩を、温水で十分に抽出し、製品ジアリールカ
ーボネート中の塩素含有量を、重合を阻害しない量まで
低減可能な処理条件が選択される。具体的には、使用す
る温水(16)の量は、有機相(27)の重量に対し
て、通常0.01〜20倍、好ましくは0.2〜1倍で
あることが好ましい。水の量が少なすぎると塩素除去の
効果が十分でなく、多すぎると分離した水相中に飽和で
包含されるフェノールの回収に手間がかかり好ましくな
い。中和工程及び温水処理工程の攪拌と分離を適切に行
えば、温水処理は1回で十分であるが、攪拌や分離が不
十分で塩素の含有量が十分には低下しない場合は、温水
との接触及び水相と有機相の分離の操作を、複数回行う
ことにより、同様の効果が得られる。上記の中和・温水
処理が行われ、最終的に分離された有機相(29)は、
塩素の含有量が約100ppb以下に低減されている。
【0025】分離槽(7)から排出される有機相は、配
管(29)を経て蒸留装置(8)に供給し、そこで蒸留
によって、遊離型の塩基性触媒、未反応芳香族モノヒド
ロキシ化合物及びジアリールカーボネートを分離回収す
る。蒸留圧力は、蒸留時の加熱によるジアリルカーボネ
ートの分解を抑えるためには1〜100torr、実用
上は5〜50torrの減圧が好ましい。蒸留温度は、
遊離型の塩基性触媒がピリジンの場合は20〜40to
rrで50〜80℃、未反応の芳香族モノヒドロキシ化
合物がフェノール等の場合は20〜40torrで50
〜100℃、ジアリールカーボネートがジフェニルカー
ボネート等の場合5〜10torrで140〜160℃
である。蒸留装置(8)は、複数の蒸留塔(図示せず)
から構成されていてもよい。例えば、塩基性触媒を容易
に効率良く回収するために、第1蒸留塔で軽沸物(未反
応芳香族モノヒドロキシ化合物、遊離型の塩基性触媒及
び水分等)を分離し、第2蒸留塔で高沸不純物と製品ジ
アリールカーボネートに分離してもよい。このようにし
て得られる製品ジアリールカーボネートは、塩素含有量
40ppb以下であり、重合を阻害しない。
【0026】本発明のジアリールカーボネートの製造
は、連続式でも、バッチ式(回分式)でもよい。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明する。なお、以下の実施例及び比較例において、フ
ェノール及びピリジン、塩化ナトリウムの分析並びにD
PC(ジフェニルカーボネート)中の塩素含有量の測定
及び表示は、下記の手順による。フェノール及びピリジン 液体クロマトグラフで定量分
析した。塩化ナトリウム イオンクロマトグラフで定量分析し
た。
【0028】塩素含有量 DPC約5gを精秤してトル
エン10mlに加え、60℃で溶解後、超純水(塩素イ
オンを含有しないイオン交換水)10mlを加え、23
℃の恒温室で、マグネチックスターラを用い1000r
pmで10分間攪拌した後、DPCから水相を分離し
た。水相中に抽出された塩素イオンを、イオンクロマト
グラフで定量分析した。分析結果は、DPCの重量に対
する、塩素の量として表示した。
【0029】実施例1反応 図1に示すように、オイル循環方式の外部加熱装置に接
続された、ジャケット及び撹拌機付きのガラスライニン
グ製反応容器(内容積が60l、実液29lの位置にオ
ーバーフロー管を設置)を3基直列に接続した。第1反
応器(1)には、フェノール導入管(11)、触媒導入
管(12)及びホスゲン導入管(13)を接続し、第2
反応器(2)には、塩化水素ガス排出用のコンデンサー
付き排気管(22)を接続し、第3反応器(3)には窒
素ガス導入管(14)及び塩化水素ガス排出用の排気管
(24)を接続した。第1反応器(1)へ、あらかじめ
触媒ピリジンを5モル%添加して撹拌しておいた溶融フ
ェノールを、約29l/hr(フェノール29.7kg
/hr、ピリジン1.24kg/hrに相当)で連続供
給しながら、150℃へ昇温した。また、攪拌機(3
1)にはテフロンライニング製のデイスクタービン翼を
装備し、これを駆動させた。一方、供給されるフェノー
ルに対し0.46モル比のホスゲン(14.4kg/h
r)を第1反応器へ連続供給した。第1反応器(1)か
ら流出した反応混合物は、オーバーフロー管(21)を
介して第2反応器(2)へ供給し、第2反応器から流出
した反応混合物は、第3反応器(3)に供給され、反応
混合物中へ導入される窒素ガス0.5m3 /hrと混合
接触させ、塩化水素ガス及びフェニルクロロフォーメー
トガスを同伴除去させた。
【0030】中和・温水処理 第3反応器(3)から流出した反応混合物(組成:DP
C89重量%、フェノール6重量%、ピリジン塩酸塩5
重量%、フェニルクロロフォーメート未検出)は、オイ
ル循環方式の外部加熱装置に接続された、ジャケット及
び撹拌機付きテフロンライニング製中和槽(4)に供給
され、温水処理工程からの循環水(29’)を含む25
%水酸化ナトリウム水溶液(15)と、温度85℃で、
混合接触させて中和した。この時、中和槽に設置したp
H計の値が9〜9.5になるように、アルカリ水溶液
(15)の供給量を調整した。この時の中和槽(4)で
の液滞留時間は8分間であつた。この中和液は、テフロ
ンライニング製分離槽(5)に導かれ、有機相と水相に
分離された。この時の分離槽(5)での滞留時間は30
分間であつた。分離槽(5)で分離された有機相は、更
に温水処理槽(6)に供給されて、蒸留装置(9)の留
出水(27”)を含む温水(水相/有機相比=0.3)
と、温度85℃で、8分間攪拌混合された後、分離槽
(7)にて30分間の静置時間を経て、再び水相から分
離された。この分離された水相は、配管(29’)を経
て中和槽(4)に循環利用した。一方、分離槽(5)で
分離された水相は、フェノール1.0%、ピリジン0.
3%及び塩化ナトリウム4.5%を含み、pH9.5で
あった。配管(27’)を経て排出されたこの水相に、
35%塩酸を添加し、pH6.0に調整した後、蒸留装
置(9)に供給した。オールダーショー型18段の連続
式蒸留塔により、常圧下、環流比0.5、留出率70%
の条件で、連続蒸留操作を行った結果、留出水中にフェ
ノールの99.2%、ピリジンの99.9%が回収され
た。この留出水は、配管(27”)を経て温水処理槽
(6)に循環利用した。なお、蒸留装置(9)の蒸留釜
残は、塩化ナトリウム15%、フェノール255ppm
を含む液であったが、ピリジンは検出限界(5ppm)
以下であった。
【0031】蒸留 上記温水処理後に分離された有機相は、配管(29)を
経て蒸留装置(8)に供給した。ここでは、第1蒸留塔
(図示せず)における減圧蒸留により未反応フェノー
ル、ピリジン、水の軽沸点物が分離除去され、次に第2
蒸留塔(図示せず)において製品DPCを分離取得し
た。
【0032】実施例2 実施例1において、蒸留前の分離水相のpH調整を6.
0に代えて8.0とした以外は、実施例1と全く同様に
してDPCの製造を行った。その結果、留出水中にフェ
ノールの99.1%、ピリジンの99.9%が回収され
た。蒸留釜残は、塩化ナトリウム15%及びフェノール
300ppmを含む液であったが、ピリジンは検出限界
以下(5ppm)であった。
【0033】比較例1 実施例1において、蒸留前の分離水相のpH調整を行わ
なかった(pH=9.5)以外は、実施例1と全く同様
にしてDPCの製造を行った。その結果、留出水中にフ
ェノールの92.4%、ピリジンの99.9%が回収さ
れた。蒸留釜残は、塩化ナトリウム15%及びフェノー
ル2530ppmを含む液であったが、ピリジンは検出
限界以下(5ppm)であった。
【0034】比較例2 実施例1において、蒸留前の分離水相のpH調整を6.
0に代えて4.5とした以外は、実施例1と全く同様に
してDPCの製造を行った。その結果、留出水中にフェ
ノールの99.2%、ピリジンの95%が回収された。
蒸留釜残は、塩化ナトリウム15%、フェノール253
ppm及びピリジン50ppmを含む液であった。
【0035】
【発明の効果】本発明方法によれば、中和後の水相中に
溶存する芳香族モノヒドロキシ化合物や有機塩基性触媒
を、蒸留により留出水中へ高い収率で回収することがで
きる。その結果、中和により生じた塩酸塩等を含む蒸留
釜残液中への残存量が著しく減少し、排水処理における
負荷を低減することが可能となる。また、回収された芳
香族モノヒドロキシ化合物や触媒を含有する蒸留留出水
を、アルカリ水溶液及び有機相と接触させる水として再
利用しても、何ら問題となることはない。むしろ、再利
用により、系外へ排出される排水は、分離された水相を
蒸留した際の蒸留釜残液のみとなり、原料の溶解ロス削
減の他に、排水処理負荷を大幅に低減することが可能と
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジアリールカーボネートの製造方法を
示すフローシート図。
【符号の説明】
1 第1反応器 2 第2反応器 3 第3反応器 4 中和槽 5、7 分離槽 6 温水処理槽 8、9 蒸留装置 11〜17 導入用の配管 21〜29 排出用の配管 31〜35 撹拌機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 兵頭 成俊 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内 (72)発明者 浦嶋 英俊 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC24 AC48 AD11 AD16 AD30 BA51 BA69 BA92 BC51 BC53 BT40 KA52 KA53

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族モノヒドロキシ化合物と、ホスゲン
    又はアリールクロロフォーメートとを芳香族複素環式含
    窒素塩基性化合物又はその塩の存在下に反応させて得た
    ジアリールカーボネートを含有する反応混合物を、アル
    カリ水溶液と接触させてpH8.5〜9.5の範囲に中
    和した後、有機相と水相に分離し、分離した有機相を温
    水と接触させ、再び水相と有機相に分離し、該有機相よ
    りジアリールカーボネートを回収するジアリールカーボ
    ネートの製造方法において、アルカリ水溶液との接触後
    に分離した水相をpH5〜8.4の範囲に調整した後蒸
    留することを特徴とするジアリールカーボネートの製造
    方法。
  2. 【請求項2】蒸留留出水をアルカリ水溶液の調製又は有
    機相と接触させる水として再利用することを特徴とす
    る、請求項1記載のジアリールカーボネートの製造方
    法。
  3. 【請求項3】アルカリ水溶液及び水との接触を、50〜
    100℃の範囲で行うことを特徴とする、請求項1記載
    のジアリールカーボネートの製造方法。
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