JP2001131057A - 鼻粘膜付着マトリックス - Google Patents
鼻粘膜付着マトリックスInfo
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- JP2001131057A JP2001131057A JP2000255493A JP2000255493A JP2001131057A JP 2001131057 A JP2001131057 A JP 2001131057A JP 2000255493 A JP2000255493 A JP 2000255493A JP 2000255493 A JP2000255493 A JP 2000255493A JP 2001131057 A JP2001131057 A JP 2001131057A
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Abstract
に発揮させることのできる鼻粘膜付着マトリックスを提
供する。 【解決手段】ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/ま
たは脂質、脳内で作用を発揮する薬物、および粘性物質
を含有してなる、該薬物の脳内移行改善用鼻粘膜付着マ
トリックス。脳内で作用を発揮する薬物が睡眠鎮静薬、
抗不安薬、抗うつ薬またはアルツハイマー治療薬、メラ
トニン受容体アゴニスト作用を有する化合物である。例
えば、(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒ
ドロ−2H−イノデノ[5,4−b]フラン−8−イ
ル)エチル]プロピオンアミド(S)−N−[2−
(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ
[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]アセトアミ
ドである。 【効果】本発明の鼻粘膜付着マトリックス中の「脳内で
作用を発揮する薬物」が、鼻腔から脳脊髄液を経て、直
接脳組織へ移行するため、該薬物の脳内移行性が極めて
高い。しかも、鼻粘膜付着に優れ、鼻粘膜に長期にわた
って滞留できるため、該マトリックス中の「脳内で作用
を発揮する薬物」を長期にわたって持続的に脳内へ供給
できる。
Description
する薬物の脳内移行性が改善され、かつ該薬物を脳内へ
持続的に供給することのできる鼻粘膜付着マトリックス
に関する。
して、次のようなものが知られている。 1)WO−A98/42323には、「ウレアーゼ阻害
物質および油性基剤を含有する医薬組成物」が記載さ
れ、消化管粘膜付着剤の具体例がある。 2)特開平5−132416には、「ポリグリセリン脂
肪酸エステル又は脂質と薬効成分とを含むマトリックス
粒子の少なくとも表層近傍に、水で粘性を生じる物質が
分散している、常温で固体の消化管粘膜付着性マトリッ
クス」が記載されている。 3)特開平10−324643には、「水で粘性を生じ
る物質の膨潤剤を含有する消化管粘膜付着性医薬組成
物」が記載されている。
しては、次のようなものが知られている。 4)特開昭56−100714には、「セルロースエー
テル及び/又はアクリル酸重合体もしくはその薬学的に
許容し得る塩からなる粘膜接着性被覆層中に、薬物と界
面活性剤を含有する軟膏基剤からなる薬物層を偏在せし
めることを特徴とする口腔粘膜又は鼻腔粘膜接着形製
剤」が記載されている。 5)特開平7−316038には、「a)アクリル酸
(メタ)アクリル酸アルキル共重合体又はその塩、b)
アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩、c)薬
剤、d)水を必須成分として含有する粘膜投与用薬剤組
成物」が記載されている。 6)特開平7−215843には、「生物組織に付着性
を有する放出制御された薬理組成物であって、該組成物
は少なくとも一つの活性成分を含む多数のマイクロユニ
ットと該活性成分の放出を制御するための手段とを包含
しており、上記マイクロユニットはその被覆前には実質
的に生物学的付着性を有しておらず、上記マイクロユニ
ットのそれぞれは生物学的付着性重合性被覆物により被
覆されており、該被覆物は物理的に許容されるポリマー
の少なくとも一つを含有し、該ポリマーの少なくとも一
つは生物学的付着性ポリマーであり、また上記被覆は上
記マイクロユニットに生物組織への付着能を付与するも
のであることを特徴とする薬理組成物」が記載されてい
る。 7)米国特許5723143には、「口または鼻粘膜投
与用の固形粘膜付着性治療または衛生組成物」が記載さ
れている。 8)WO−A 95/5163には、「体内粘膜への薬
物送達が高められた医薬組成物として有用な生体内付着
性エマルジョン」が記載されている。
薬物を生体内へ投与する場合、該薬物の脳内移行性は、
血液脳関門によって著しく制限される。したがって、脳
内で作用を発揮する薬物の薬効を脳内で十分に発揮させ
ることのできる製剤が求められている。
用を発揮する薬物を、脳内で十分に薬効を発揮させるこ
とにつき種々検討した結果、ポリグリセリン脂肪酸エス
テル、該薬物および粘性物質を含有するマトリックスを
創製したところ、予想外にも鼻粘膜への付着性が良く、
該薬物の脳内移行性が改善され、かつ該薬物を脳内へ持
続的に供給できる等の医薬品として優れた性質を該マト
リックスが有することを初めて見出し、この知見に基づ
いて本発明を完成した。すなわち、本発明は、 (1)ポリグリセリン脂肪酸エステル、脳内で作用を発
揮する薬物および粘性物質を含有してなる該薬物の脳内
移行改善用鼻粘膜付着マトリックス; (2)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、重合度2ない
し20のポリグリセリンと炭素数12ないし22の脂肪
酸とのエステルである前記(1)記載のマトリックス; (3)ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBが1ない
し9である前記(1)記載のマトリックス; (4)ポリグリセリン脂肪酸エステルを約40ないし約
95重量%含有する前記(1)記載のマトリックス; (5)粘性物質がアクリル酸系重合体またはその塩であ
る前記(1)記載のマトリックス; (6)アクリル酸系重合体またはその塩の分子量が10
0万ないし600万である前記(5)記載のマトリック
ス; (7)粘性物質を約4ないし約30重量%含有する前記
(1)記載のマトリックス; (8)さらに粘性物質の膨潤剤を含有してなる前記
(1)記載のマトリックス; (9)粘性物質の膨潤剤がカードランおよび/または低
置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロースである前記
(8)記載のマトリックス; (10)さらに脂質を含有してなる前記(1)記載のマ
トリックス; (11)脳内で作用を発揮する薬物が脳内難移行性薬物
である前記(1)記載のマトリックス; (12)脳内で作用を発揮する薬物が睡眠鎮静薬、抗不
安薬、抗うつ薬またはアルツハイマー治療薬である前記
(1)記載のマトリックス; (13)脳内で作用を発揮する薬物がメラトニン受容体
アゴニスト作用を有する化合物である前記(1)記載の
マトリックス; (14)脳内で作用を発揮する薬物が式
置換基を有していてもよいアミノ基又は置換基を有して
いてもよい複素環基、R2は水素原子又は置換基を有し
ていてもよい炭化水素基、R3は水素原子、置換基を有
していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよ
い複素環基、XはCHR4、NR4、O又はS(R4は水
素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示
す。)、YはC、CH又はN(但し、XがCH2を示す
場合、YはC又はCHである)、
子を含む複素環、B環は置換基を有していてもよいベン
ゼン環、及びmは1ないし4の整数を示す。〕で表され
る化合物又はその塩である前記(1)記載のマトリック
ス; (15)脳内で作用を発揮する薬物が(S)−N−[2
−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ
[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオン
アミドである前記(1)記載のマトリックス; (16)脳内で作用を発揮する薬物が(S)−N−[2
−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ
[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]アセトアミ
ドである前記(1)記載のマトリックス; (17)脳内で作用を発揮する薬物を約0.1ないし約
50重量%含有する前記(1)記載のマトリックス; (18)前記(1)記載のマトリックスを含有してなる
固形製剤; (19)細粒剤または散剤である前記(18)記載の固
形製剤; (20)球形である前記(19)記載の固形製剤; (21)約0.1ないし約100μmの粒子径を有する
前記(19)記載の固形製剤; (22)ポリグリセリン脂肪酸エステル、脳内で作用を
発揮する薬物および粘性物質を含有してなる鼻粘膜付着
マトリックスを用いることを特徴とする、該薬物の脳内
移行改善方法;および (23)脳内で作用を発揮する薬物の脳内移行改善用鼻
粘膜付着マトリックスを製造するためのポリグリセリン
脂肪酸エステル、該薬物および粘性物質の使用;などに
関する。
ステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステルである
限り、モノエステル、ジエステルおよびポリエステルの
いずれでもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、結
晶多形性を示さず、しかも薬物との相互作用がほとんど
ないという特性を有するため、薬物と共存しても薬物は
殆ど失活せず、長期にわたり安定である。ポリグリセリ
ンは、「1分子中にn個(環状)ないし(n+2)個
(直鎖・分枝状)の水酸基と、(n−1)個(直鎖・分
枝状)ないしn個(環状)のエーテル結合を有する多価
アルコール」〔“ポリグリセリンエステル”阪本薬品工
業株式会社編集、発行(1994年10月4日)〕であ
り、直鎖もしくは分枝状のいずれでもよい。ポリグリセ
リンとしては、例えば式
される化合物などが使用できる。nは、通常、2ないし
50、好ましくは2ないし20、さらに好ましくは2な
いし10である。該ポリグリセリンの具体例としては、
例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリ
ン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリ
セリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリ
セリン、ペンタデカグリセリン、エイコサグリセリン、
トリアコンタグリセリンなどが挙げられる。これらのポ
リグリセリンの中で、例えばテトラグリセリン、ヘキサ
グリセリン、デカグリセリンなどが好ましい。
0、好ましくは12ないし22の脂肪酸などが挙げられ
る。該脂肪酸は、飽和または不飽和のいずれであっても
よく、具体例としては、例えばパルミチン酸、ステアリ
ン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチ
ン酸、ラウリン酸、リシノール酸、カプリル酸、カプリ
ン酸、ベヘン酸などが挙げられる。これらの中で、例え
ばステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、リノール
酸、ベヘン酸などが好ましい。
しては、例えばベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリセリド、
ベヘン酸ドデカ(デカ)グリセリド、ベヘン酸オクタ
(ヘキサ)グリセリド、カプリル酸モノ(デカ)グリセ
リド、カプリル酸ジ(トリ)グリセリド、カプリン酸ジ
(トリ)グリセリド、ラウリン酸モノ(テトラ)グリセ
リド、ラウリン酸モノ(ヘキサ)グリセリド、ラウリン
酸モノ(デカ)グリセリド、オレイン酸モノ(テトラ)
グリセリド、オレイン酸モノ(ヘキサ)グリセリド、オ
レイン酸モノ(デカ)グリセリド、オレイン酸ジ(ト
リ)グリセリド、オレイン酸ジ(テトラ)グリセリド、
オレイン酸セスキ(デカ)グリセリド、オレイン酸ペン
タ(テトラ)グリセリド、オレイン酸ペンタ(ヘキサ)
グリセリド、オレイン酸デカ(デカ)グリセリド、リノ
ール酸モノ(ヘプタ)グリセリド、リノール酸ジ(ト
リ)グリセリド、リノール酸ジ(テトラ)グリセリド、
リノール酸ジ(ヘキサ)グリセリド、ステアリン酸モノ
(ジ)グリセリド、ステアリン酸モノ(テトラ)グリセ
リド、ステアリン酸モノ(ヘキサ)グリセリド、ステア
リン酸モノ(デカ)グリセリド、ステアリン酸トリ(テ
トラ)グリセリド、ステアリン酸トリ(ヘキサ)グリセ
リド、ステアリン酸セスキ(ヘキサ)グリセリド、ステ
アリン酸ペンタ(テトラ)グリセリド、ステアリン酸ペ
ンタ(ヘキサ)グリセリド、ステアリン酸デカ(デカ)
グリセリド、パルミチン酸モノ(テトラ)グリセリド、
パルミチン酸モノ(ヘキサ)グリセリド、パルミチン酸
モノ(デカ)グリセリド、パルミチン酸トリ(テトラ)
グリセリド、パルミチン酸トリ(ヘキサ)グリセリド、
パルミチン酸セスキ(ヘキサ)グリセリド、パルミチン
酸ペンタ(テトラ)グリセリド、パルミチン酸ペンタ
(ヘキサ)グリセリド、パルミチン酸デカ(デカ)グリ
セリドなどが挙げられる。これらは、1種または2種以
上、好ましくは2ないし3種を適宜の割合で混合して用
いてもよい。
は、通常約200ないし約7000、好ましくは約30
0ないし約3000、さらに好ましくは約500ないし
約3000である。ポリグリセリン脂肪酸エステルのH
LB(Hydrophile-lipophile balance; 親水性親油性バ
ランス)は、通常1ないし22、好ましくは1ないし1
5、さらに好ましくは1ないし9である。HLBの異な
る二種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを適宜混合
して目的とするHLBを調整してもよい。ポリグリセリ
ン脂肪酸エステルのHLBを調整することによって、薬
物の放出性および溶出性をコントロールすることができ
る。
薬物および粘性物質の種類などによっても変更される
が、例えば約15ないし約80℃、好ましくは約30な
いし約75℃、さらに好ましくは約45ないし約75℃
である。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、通
常、常温(約15℃)で固型のものが使用されるが、鼻
粘膜付着マトリックスが常温で固型である限り、常温で
液状のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてもよい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくは重合度2
ないし20のポリグリセリンと炭素数12ないし22の
脂肪酸とのエステルである。
具体例としては、例えばベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリ
セリド(例えば、商品名:ポエムJ−46B、理研ビタ
ミン(株)製;商品名:HB−310、阪本薬品工業(株)
製など)、ベヘン酸ドデカ(デカ)グリセリド(例え
ば、商品名:OB−500、阪本薬品工業(株)製な
ど)、ベヘン酸オクタ(ヘキサ)グリセリド(例えば、
商品名:DB−750、阪本薬品工業(株)製など)、ス
テアリン酸ペンタ(テトラ)グリセリド(例えば、商品
名:PS−310、阪本薬品工業(株)製など)、ステア
リン酸モノ(テトラ)グリセリド(例えば、商品名:M
S−310、阪本薬品工業(株)製など)、ステアリン酸
ペンタ(ヘキサ)グリセリド(例えば、商品名:PS−
500、阪本薬品工業(株)製など)、ステアリン酸セス
キ(ヘキサ)グリセリド(例えば、商品名:SS−50
0、阪本薬品工業(株)製など)、ステアリン酸デカ(デ
カ)グリセリド(例えば、商品名:DAS−750、阪
本薬品工業(株)製など)、ステアリン酸モノ(ヘキ
サ)グリセリド(例えば、商品名:PO−500、阪本
薬品工業(株)など)、オレイン酸ペンタ(テトラ)グ
リセリド(例えば、商品名:PO−310、阪本薬品工
業(株)など)、オレイン酸デカ(デカ)グリセリド
(例えば、商品名:DAO−750、阪本薬品工業
(株)など)、ステアリン酸モノ(デカ)グリセリド、
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル〔ポリグリ
セリンポリリシノレート、例えば、テトラグリセリンポ
リリシノレート(例えば、商品名:CRS−75、阪本
薬品工業(株)製など)〕などが挙げられる。これらは、
2種以上、好ましくは2ないし3種を適宜の割合で混合
して用いてもよい。
着マトリックス中の含量は、例えば、約5ないし約98
重量%、好ましくは約20ないし約95重量%、より好
ましくは約40ないし約95重量%である。また、ポリ
グリセリン脂肪酸エステルは、脳内で作用を発揮する薬
物1重量部に対して、約0.01ないし約10000重
量部、好ましくは約0.1ないし約1000重量部用い
られる。
に脂質を含有していてもよい。脂質としては、融点約4
0ないし約120℃、好ましくは約40ないし約90℃
のものが用いられる。該脂質としては、例えば、炭素数
14ないし22の飽和脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸など)またはそ
の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩);炭素数1
6ないし22の高級アルコール(例えば、セチルアルコ
ール、ステアリルアルコールなど);上記脂肪酸とのモ
ノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドである脂
肪酸グリセリンエステル(例えば、1−モノステアリ
ン、1−モノパルミチンなど);油脂類(例えばダイズ
油、オリーブ油、ナタネ油、ハッカ油、ゴマ油、ヒマシ
油、ツバキ油、小麦胚芽油、ウイキョウ油、トウモロコ
シ油、ヒマワリ油、綿実油、ヤシ油、ラッカセイ油等お
よびこれらの硬化油、牛脂、豚脂等など);ロウ類(例
えば、蜜ロウ、カルナウバロウ、鯨ロウ、白ロウな
ど);炭化水素類(例えば、パラフィン、マイクロクリ
スタリンワックスなど);ホスホリピッド(例えば、水
添レシチンなど)等が挙げられる。これらの脂質の中
で、例えば油脂類、ロウ類、炭素数14ないし22の飽
和脂肪酸、炭素数16ないし22の高級アルコール、炭
化水素類等が好ましく、さらに、硬化綿実油、硬化ヒマ
シ油、硬化大豆油、カルナウバロウ、ステアリン酸、ス
テアリルアルコール、マイクロクリスタリンワックス等
が好ましい。とりわけ硬化ヒマシ油、カルナウバロウ等
が好ましい。
併用する場合、好ましい脂質としては、例えば油脂類
(好ましくは硬化油)およびロウ類などが挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルと脂質との具体的な組み
合わせとしては、例えばベヘン酸ヘキサ(テトラ)グリ
セリド、ベヘン酸ドデカ(デカ)グリセリド、ベヘン酸
オクタ(ヘキサ)グリセリド、ステアリン酸ペンタ(テ
トラ)グリセリド、ステアリン酸ペンタ(ヘキサ)グリ
セリドなどから選ばれる1種以上と、硬化ヒマシ油、カ
ルナウバロウ、マイクロクリスタリンワックスなどから
選ばれる1種以上との組み合わせが挙げられる。ポリグ
リセリン脂肪酸エステルと脂質とを併用する場合、両者
の合計の鼻粘膜付着マトリックス中の含量および脳内で
作用を発揮する薬物に対する使用割合が、前記したポリ
グリセリン脂肪酸エステル単独使用時の含量または使用
割合と同様となるようにすればよい。
性が発現し、鼻粘膜に対して付着性を示すと共に、製剤
的に許容される物質を意味する。なかでも、水により膨
潤し著しく増粘する物質が好ましい。粘性物質として
は、例えば、ポリマー、天然粘性物質などが挙げられ
る。該ポリマーとしては、20℃における該ポリマーの
2%水溶液の粘度が、約3ないし約50000cps、好
ましくは約10ないし約30000cps、さらに好まし
くは約15ないし約30000cpsを示すものが好まし
い。但し、中和により増粘するポリマーの場合には、2
0℃における0.2%中和液の粘度が、約100ないし
約500000cps、好ましくは約100ないし約20
0000cps、さらに好ましくは約1500ないし約1
00000cpsを示すポリマーが望ましい。なお、粘性
物質の粘度は、ブルックフィールド型回転粘度計(Broo
kfield viscometer)を用いて20℃で測定するものとす
る。
ーであり、該酸性ポリマーとしては、カルボキシル基、
スルホ基またはこれらの塩を有するポリマーが挙げられ
る。なかでも、カルボキシル基またはその塩を有するポ
リマーが好ましい。カルボキシル基またはその塩を有す
るポリマーとしては、例えば、アクリル酸を構成モノマ
ーとするアクリル酸系重合体(共重合体も含む)または
その塩が挙げられる。該塩としては、ナトリウム、カリ
ウム塩などの一価の金属塩;マグネシウム塩、カルシウ
ム塩などの二価の金属塩などが挙げられる。アクリル酸
系重合体またはその塩としては、カルボキシル基約58
ないし約63重量%を含み、分子量20万ないし600
万、好ましくは100万ないし600万、さらに好まし
くは100万ないし500万のポリマーが挙げられる。
好ましいアクリル酸系重合体またはその塩には、アクリ
ル酸単独重合体とその塩も含まれる。カルボキシル基約
58ないし約63重量%を含有するアクリル酸ポリマー
は、日本薬局方外医薬品成分規格(1986年10月)
にカルボキシビニルポリマーとして記載されている。前
記ポリマーの具体例としては、例えば、カーボマー〔商
品名:カーボポール、ザ・ビー・エフ・グッドリッチ社
(The B. F. Goodrich Company)製〕940,934,
934P,941,1342,974P(NFXVIII)な
ど;ハイビスワコー103、104、105(商品名、
和光純薬工業(株)製)、NOVEON AA1〔商品
名、ザ・ビー・エフ・グッドリッチ社(The B. F.Goodr
ich Company)製〕、カルシウムポリカーボフィル(U
SPXXIII)などが挙げられる。
カンテン、ゼラチン、ペクチン、カラギーナン、アルギ
ン酸ナトリウム、ローカストビンガム、キサンタンガ
ム、トラガントガム、アラビアゴム、キトサン、プルラ
ン、ワキシースターチ、スクラルフェート、セルロース
およびその誘導体(例、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロース
スルフェート等)などが挙げられる。なかでも、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースなどが好ましい。上記した粘性物質は、2種以
上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
体またはその塩である。粘性物質の鼻粘膜付着マトリッ
クス中の含量は、例えば、約0.005ないし約99重
量%、好ましくは約0.5ないし約45重量%、より好
ましくは約4ないし約30重量%である。
に粘性物質の膨潤剤を含有していてもよい。ここで、粘
性物質の膨潤剤は、粘性物質を膨潤させるか、あるいは
水分による粘性物質の膨潤を促進するものであって、製
剤的に許容される物質を意味する。該膨潤剤を用いるこ
とにより、鼻粘膜付着に優れ、鼻粘膜に長期にわたって
滞留することのできる、鼻粘膜付着マトリックスが得ら
れる。粘性物質の膨潤剤としては、例えばカードラン、
低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙
げられる。カードランは、微生物[アルカリゲネス・フ
ェカリス・バール・ミクソゲネス(Alcaligenes faecali
s var myxogenes)]が産生する直鎖の水不溶性多糖類
(β-1,3-グルカン)であり、とりわけカードランN(食
品添加物)が好適に用いられる。
(日本薬局方第12改正)は、セルロースのアルコール
基がヒドロキシプロポキシル基で置換されており、ヒド
ロキシプロポキシル基の含量(重量%)が5.0ないし16.
0%と規定されている。その範囲で置換基の含量および
粒度を変化させた品種、例えば、LH-11(ヒドロキシプロ
ポキシル基含量:10.0ないし13.0重量%;粒度:150μm
パス98重量%以上、180μmオン0.5重量%以下)、LH-20
(ヒドロキシプロポキシル基含量:13.0ないし16.0重量
%;粒度:75μmパス90重量%以上、106μmオン1.0重量
%以下)、LH-21(ヒドロキシプロポキシル基含量:10.0
ないし13.0重量%;粒度:75μmパス90重量%以上、106
μmオン1.0重量%以下)、LH-22(ヒドロキシプロポキシ
ル基含量:7.0ないし10.0重量%;粒度:75μmパス90重
量%以上、106μmオン1.0重量%以下)、LH-31(ヒドロキ
シプロポキシル基含量:10.0ないし13.0重量%;平均粒
子径30μm以下;粒度:45μmパス50重量%以上、75μm
オン5.0重量%以下)などを用いることができる。なかで
も、LH−22またはLH−31が好ましい。
ス中の含量は、例えば、約0.5ないし約50重量%、
好ましくは約1ないし約50重量%、より好ましくは約
1ないし約30重量%である。
物(以下、薬物と略記することがある)としては、例え
ばナプロキセンナトリウム、イソプロピルアンチピリ
ン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナッ
クなどの抗炎症薬;塩酸エフェドリン、硫酸サルブタモ
ール、塩酸フェニルプロパノールアミンなどの交感神経
作動薬;マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェン
ヒドラミン、フマル酸クレマスチンなどの抗ヒスタミン
薬;アモキシシリン、セファレキシン、クラリスロマイ
シン、クロキサシリンナトリウムなどの抗生物質;フル
オロウラシル、シスプラチン、メトトレキセートなどの
抗腫瘍薬;フェニトインナトリウム、エトスクシミド、
バルプロ酸ナトリウムなどの抗てんかん薬;塩酸ベタネ
コール、臭化ネオスチグミン、カルバコールなどのコリ
ン作動薬;塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ、オキシコド
ン、コデイン、ブプレノルフィン、フェンタニルなどの
オピオイド化合物;メラトニン、ジアゼパム、クロルジ
アゼポキサイドなどの催眠鎮静薬または抗不安薬;フル
オキセチン、サートラリン、パロキセチン、ベンラファ
キシン、ネファゾドン、レボキセチン、塩酸イミプラミ
ン、デュロキセチンなどの抗うつ薬;ドロペリドール、
ハロタンなどの麻酔薬;ドーパミン、L−ドーパ、アポ
モルフィンなどの抗パーキンソン薬;ハロペリドール、
プロクロルペラジンなどの精神神経用薬;ビンポセチン
などの脳循環代謝改善薬;オランザピン、リスペリド
ン、クエチアピン、イロペリドンなどの精神分裂病治療
薬;向知能薬;ジヒドロエルゴタミン、スマトリプタン、
ブトロファノール、カプサイシンなどの偏頭痛治療薬;
骨格筋弛緩薬;タクリン、ドネペジルなどのアルツハイ
マー治療薬;アルコール中毒治療薬;禁煙補助薬;薬物
乱用治療薬;制吐薬;イデベノン、塩酸インデロキサジ
ン、塩酸ビフェメラン、酒石酸プロチレリン、バクロフ
ェンなど中枢神経系用薬;アセチルコリン、γ―アミノ
酪酸、セロトニン、β―エンドルフィン、メチオニンー
エンケファリン、サブスタンスP、グリシン、グルタミ
ン酸、アスパラギン酸、バソアクティブ・インテスティ
ナル・ポリペプチド[vasoactive intestinal polypept
ide(VIP)]、エピネフリン、ノルエピネフリン、
ニューロテンシンなどの神経伝達物質および関連物質;
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH),副腎皮質
刺激ホルモン放出ホルモン(CRH),黄体化ホルモン
放出ホルモン(LHRH),卵胞刺激ホルモン放出ホル
モン(FSHRH)、プロラクチン放出ホルモン(Pr
RP)、成長ホルモン放出ホルモン(GRH)、ソマト
スタチン、ガラニン、ガラニン様ペプチド(GAL
P)、ニューロメジンU、グレリン、アペリン、ウロテ
ンシンII、オレキシンなどの視床下部より放出され、ホ
ルモンの合成分泌に関連するペプチドおよびそのアゴニ
スト、アンタゴニストなどの関連化合物、たとえばリュ
ープロレリンなど;甲状腺刺激ホルモン(TSH),副
腎皮質刺激ホルモン(ACTH),黄体化ホルモン(L
H),卵胞刺激ホルモン(FSH)、プロラクチン(P
RL)、成長ホルモン(GH)、バソプレシン、オキシ
トシン、ニューロペプチドYなどの下垂体ホルモン;甲
状腺ホルモン;副甲状腺ホルモン(PTH);インスリ
ン、グルカゴンなどの糖代謝関連ペプチド;アンジオテ
ンシン、デヒドロエピアンドロステロンなどの副腎皮質
髄質関連ペプチド;ガストリン、セクレチン、コレシス
トキニン、モチリンなどの消化管ホルモン;レプチン、
メラニン濃縮ホルモン(MCH)、オピオイド、コレシ
ストキニン、ボンベシンなど食欲調節に関連する神経ペ
プチドおよびそのアゴニスト、アンタゴニストなどの関
連化合物;本態行動や体温調節に関連する化合物;など
の中枢を介して作用する化合物、ホルモン、ペプチド、
タンパクなどが挙げられる。
皮膚などに投与した場合に、胃酸または酵素による分
解、初回通過効果による代謝、血液脳関門などにより脳
内への移行が著しく制限される薬物(脳内難移行性薬
物)や、血中濃度上昇によって副作用が発現する薬物に
おいては、本発明の鼻粘膜付着マトリックスが効果的で
ある。脳内で作用を発揮する薬物の鼻粘膜付着マトリッ
クス中の含量は、例えば約0.005ないし約95重量
%、好ましくは約0.1ないし約90%、さらに好まし
くは約0.1ないし約50重量%である。脳内で作用を
発揮する薬物としては、睡眠鎮静薬、抗不安薬、抗うつ
薬またはアルツハイマー治療薬等が好ましい。
ン受容体アゴニスト作用を有する化合物等が好ましい。
かかるメラトニン受容体アゴニスト作用を有する化合物
としては、同様の作用を有するものであれば特に限定さ
れないが、例えばメラトニン作用物質又はその拮抗物質
として、(1)EP−A−578620に記載の式
の式
(EP−A−447285)に記載の式
式
載の式
載の式
は特開昭63−196563号記載の式
ルコキシであり;R2は水素又はC1−C4アルキルであ
り;R3は水素、C1−C4アルキル、フェニル又は置換
フェニルであり;R4は水素、ハロアセチル、C1−C5
アルカノイル、ベンゾイル、又はハロ又はメチルで置換
されたベンゾイルであり;R5及びR6は、それぞれ独立
して、水素、又はハロであり;及びR7は水素又はC1−
C4アルキルである;但し、R3、R4及びR5が、それぞ
れ水素であるとき、R2はC1−C4アルキルである。〕
で示される化合物又はその塩、中でも式
97/43272記載の式
ルキル、C3-7シクロアルキル又はアリール;R3及びR
4は同一又は異なって水素、ハロゲン、C1-6アルキル又
は置換されたアリール;R5は水素又はC1-6アルキル;
nは0,1又は2:及びmは1,2,3又は4;
載の式
CH2、CH又は酸素;YはCR3、CR3R4又は(CH
2)n (n=1−4);ZはCH2、CH又は酸素;R
は水素、ハロゲン又はC1-4アルキル;mは1又は2;
R1はC1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-3ハロ
アルキル、C1-6アルキルアミノ、C2-6アルケニル、C
1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、C1-4アルキルチオ
(C1-4)アルキル又はトリフルオロメチルアルキル;
R2は水素又はC1-4アルキル;及びR 3及びR4はそれぞ
れ水素又はC1-4アルキルを示す。〕で表される化合物
又はその塩、中でも式
式
り、R2は式−CR3R4(CH2)pNR5COR6であ
り、R3、R4及びR5は、同一でも異なっていてもよ
く、水素又はC1-6アルキルであり、R6はC1-6アルキ
ル又はC3-7シクロアルキルであり、nは2、3又は4
の整数であり、pは1、2、3又は4の整数である。〕
で表される化合物又はその塩、中でも式
記載の式
置換基を有していてもよいアミノ基又は置換基を有して
いてもよい複素環基、R2は水素原子又は置換基を有し
ていてもよい炭化水素基、R3は水素原子、置換基を有
していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよ
い複素環基、XはCHR4、NR4、O又はS(R4は水
素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示
す。)、YはC、CH又はN(但し、XがCH2を示す
場合、YはC又はCHである)、
子を含む複素環、B環は置換基を有していてもよいベン
ゼン環、及びmは1ないし4の整数を示す。〕で表され
る化合物又はその塩等が用いられる。中でも、メラトニ
ン受容体に対し高い親和性を示し、特にML1受容体に
対する選択性が高い化合物(I)等が好ましい。化合物
(I)としては、式
ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチ
ル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等)を示す。〕
で表される化合物がとりわけ好ましく、具体的には、
(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−
2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチ
ル]プロピオンアミドまたは(S)−N−[2−(1,
6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−
b]フラン−8−イル)エチル]アセトアミドが好まし
い。
ックスの構成成分が均一に分散している系を意味し、該
構成成分が局在するもの、偏在するもの、あるいは層を
形成するもの、エマルション、または該構成成分の単な
る混合物とは明確に区別される。すなわち、本発明の鼻
粘膜付着マトリックスにおいては、構成成分である「ポ
リグリセリン脂肪酸エステル」、「脳内で作用を発揮す
る薬物」および「粘性物質」が均一に分散している。ま
た、該マトリックスが、さらに「脂質」、「粘性物質の
膨潤剤」を含有する場合、該脂質、該膨潤剤も均一に分
散している。本発明の鼻粘膜付着マトリックスは、鼻粘
膜付着に優れ、「脳内で作用を発揮する薬物」を持続的
に、かつ一定の速度で放出することができる。該マトリ
ックスの粒子径は、好ましくは約0.1ないし約150
0μm、さらに好ましくは約0.1ないし約100μm、
特に好ましくは約5ないし約50μmである。
ば構成成分である「ポリグリセリン脂肪酸エステル」、
「脳内で作用を発揮する薬物」および「粘性物質」を均
一に分散させることにより製造される。なお、該マトリ
ックスが、さらに「脂質」、「粘性物質の膨潤剤」を含
有する場合、該脂質、該膨潤剤も均一に分散させる。例
えば該マトリックスは、ポリグリセリン脂肪酸エステル
を融点以上に加熱して溶融し、薬物および粘性物質を同
時にまたは別々に添加して混合した後、冷却することに
よって製造される。また、脂質を用いる場合、該脂質
は、ポリグリセリン脂肪酸エステルと同様にして用いら
れ、粘性物質の膨潤剤を用いる場合、該膨潤剤は、粘性
物質と同様にして用いられる。この際、加熱温度は、例
えば、約40ないし約150℃、好ましくは約50ない
し約110℃、より好ましくは約50ないし約90℃で
ある。上記した加熱および分散工程は、慣用の造粒機な
どを用いて行われ、冷却工程は、噴霧冷却などによって
行われる。該噴霧冷却は、例えばスプレーチリングなど
ににより行われ、この場合、固形製剤(例、細粒剤)が
得られる。スプレーチリングは、前記したポリグリセリ
ン脂肪酸エステル、薬物および粘性物質からなる混合物
を、高速回転ディスク上に一定流速で滴下することによ
って行われる。ここで、回転ディスクとしては、例え
ば、直径5ないし100cm、好ましくは10ないし20
cmの平滑円盤、例えばアルミニウム製円盤などが使用で
きる。回転ディスクの回転速度は、例えば10ないし2
5000回転/分、好ましくは3000ないし2000
0回転/分、さらに好ましくは6000ないし1500
0回転/分である。また、混合物の滴下速度は、所望す
る粒子径に応じて選択されるが、通常、約2ないし20
0g/分、好ましくは約5ないし約100g/分であ
る。このスプレーチリング法によって得られる本発明の
マトリックスは概ね真球状である。このため、安定な薬
物放出速度が得られることから、持続的投与を図る本発
明のマトリックスの製造法として好適である。
構成成分を、慣用の溶媒(例、メタノール、アセトニト
リル、クロロホルム等)を用いた練合などの操作によっ
て分散し、造粒することによっても製造される。
の粘性物質または製剤添加剤を含有するコーティング剤
で被覆し、固形製剤としてもよい。該コーティング剤
は、さらに、上記の粘性物質の膨潤剤、ポリグリセリン
脂肪酸エステルおよび水不溶性ポリマーから選ばれる少
なくとも1種の添加物を含んでいてもよい。
おいて慣用のものであればよく、例えば、乳糖、コーン
スターチ、タルク、結晶セルロース、粉糖、ステアリン
酸マグネシウム、マンニトール、キシリトール、ソルビ
トール、エリスリトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネ
シウム、炭酸カルシウム、L−システインなどの賦形
剤;澱粉、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム粉末、メチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ
ビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなどの結合
剤;カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度
ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナ
トリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒド
ロキシプロピルスターチ、部分α化デンプンなどの崩壊
剤;アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性
剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチ
レンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤などの界
面活性剤;水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水
酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、メタケイ酸アル
ミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、
スクラルファートなどの制酸剤や粘膜保護剤;着色剤;
矯味剤;吸着剤;防腐剤;湿潤剤;帯電防止剤などが挙
げられる。これらの製剤添加剤の添加量は、固形製剤の
鼻粘膜に対する付着性を損わない範囲で適宜選択され
る。
「水不溶性ポリマー」としては、例えば、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースアセテートスクシネート、カルボキ
シメチルエチルセルロース、セルロースアセテートトリ
メリテート、セルロースアセテートフタレート、エチル
セルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマー
[商品名:オイドラギット(Eudragit)RS−100,
RL−100、 RL−PO、RS−PO、RS−30
D、RL−30D;レーム ファルマ社製]、メタアク
リル酸アクリル酸エチルコポリマー[商品名:オイドラ
ギット(Eudragit)L100−55;レーム ファルマ
社製]、メタアクリル酸メタアクリル酸メチルコポリマ
ー[商品名:オイドラギット(Eudragit)L100、S
−100、L30D−55、NE−30D;レーム フ
ァルマ社製]、ポリビニルアセテートなどが挙げられ
る。これらは2種以上を適宜の割合で混合して用いても
よい。
えばコーティング剤中の固型分全体の約0.005ない
し約100重量%、好ましくは約0.05ないし約95
重量%、さらに好ましくは約1ないし約10重量%であ
る。コーティング剤が製剤添加剤を含有する場合、製剤
添加剤の含量は、例えばコーティング剤中の固型分全体
の約0.1ないし約70重量%、好ましくは約1ないし
約50重量%、さらに好ましくは約20ないし約50重
量%である。
状、所望する粘膜付着性などに応じて適宜選択される。
例えば固形製剤が顆粒剤である場合、コーティング剤の
被覆量は、固形製剤全体の約0.1ないし約50重量
%、好ましくは約1ないし約20重量%である。また、
固形製剤が細粒剤である場合、コーティング剤の被覆量
は、固形製剤全体の約0.1ないし約100重量%、好
ましくは約1ないし約50重量%である。被覆方法とし
ては、自体公知の方法、例えば、パンコーティング法、
流動コーティング法、転動コーティング法などが採用で
きる。コーティング剤が、水または有機溶媒を含む溶液
または分散液である場合には、スプレーコーティング法
も採用できる。前記有機溶媒の種類は特に制限されず、
例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル等のアルコール類;アセトン等のケトン類;クロロホ
ルム、ジクロロメタン、トリクロロエタン等のハロゲン
化炭化水素類などが使用できる。
エステルを含有する場合、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ルと、必要に応じてその他の添加物とを加熱溶融して混
合し、水と混和して乳化した後、得られる乳化物をマト
リックスに噴霧し、乾燥することによって、被覆を行っ
てもよい。また、コーティング剤が、ポリグリセリン脂
肪酸エステルを含有する場合、コーティングパンのよう
な装置内で、温風により予熱したマトリックスに、コー
ティング剤を投入して溶融、展延させることにより被覆
を行ってもよい。被覆を行う際の温度は、通常約25な
いし約60℃、好ましくは約25ないし約40℃であ
る。被覆に要する時間は、コーティング方法、コーティ
ング剤の特性や使用量、マトリックスの特性などを考慮
して適宜選択される。
るものであればよく、該剤形としては、例えば細粒剤、
散剤、顆粒剤などが挙げられる。なかでも、細粒剤およ
び散剤が好ましい。ここで、細粒剤の粒径分布は、例え
ば75ないし500μmの粒子85重量%以上、500
ないし850μmの粒子5重量%以下、850μm以上の
粒子0重量%、74μm以下の粒子10重量%以下であ
る。散剤の粒径分布は、500ないし850μmの粒子
5重量%以下、500μm以下の粒子95重量%以上、
850μm以上の粒子0重量%である。顆粒剤の粒径分
布は、例えば500ないし1410μmの粒子90重量
%以上、177μm以下の粒子5重量%以下である。固
形製剤は、粒子状であることが好ましく、球形がさらに
好ましい。また、粒子径は、経鼻剤として使用し得る範
囲から選択される。固形製剤の粒子径は、好ましくは約
0.1ないし約1500μm、さらに好ましくは約0.
1ないし約100μm、特に好ましくは約5ないし約5
0μmである。
適な使用形態は、前記のようにして得られた固形製剤
(好ましくは細粒剤または散剤)を、所望により安定
剤、矯味剤、懸濁化剤、乳化剤、芳香剤、分散剤、滑沢
剤などの添加物とともに、適当な密封容器に封入して得
られた経鼻投与用製剤(好ましくはスプレー剤)などで
ある。スプレー剤の噴出形態としては、例えば霧状、ペ
ースト状、泡沫状、粉末状などが挙げられ、なかでも粉
末状が好ましい。また、本発明の鼻粘膜付着マトリック
スは、水性溶剤(例、蒸留水、生理的食塩水、リンゲル
液など)または油性溶剤(例、オリーブ油、ゴマ油、綿
実油、コーン油などの植物油;プロピレングリコールな
ど)に、溶解、懸濁あるいは乳化させて用いてもよい。
性であり、哺乳動物(例、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウ
サギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラット、マウスなど)に対
し、経鼻的に安全に投与される。本発明の鼻粘膜付着マ
トリックスの投与量は、薬物の種類、投与対象などを考
慮して適宜選択すればよい。例えば、薬物として抗生物
質を含有する本発明の鼻粘膜付着マトリックスを、スプ
レー剤として、脳脊髄膜炎などの疾患の予防・治療の目
的で、成人(体重約50kg)に投与する場合、該鼻粘膜
付着マトリックスの1日あたりの投与量は、通常約1な
いし約2000mg、好ましくは約20ないし約600m
g、より好ましくは約20ないし約200mg(薬物とし
て、約1ないし約1500mg、好ましくは約20ないし
約500mg、より好ましくは約20ないし150mg)で
ある。この量を1ないし3回に分けて投与すればよい。
本発明の鼻粘膜付着マトリックスを適応する場合の対象
疾患は、「脳内で作用を発揮する薬物」の種類に準じて
選択される。
して、本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発
明を限定するものではない。
310;阪本薬品工業(株)製]7.0gおよび硬化ヒ
マシ油[商品名:ラブリーワックス101(LW−10
1);フロイント産業(株)製]1.0gを秤量し、8
4℃に加熱溶融した。得られた溶融混合物に、セファレ
キシン(cephalexin)1.0g、次いでアクリル酸系重
合体(商品名:ハイビスワコー104;和光純薬(株)
製)1.0gを順次添加し、84℃に保って15分間撹
拌した。得られた溶融混合物を、9000rpmで回転し
ている直径15cmのアルミ製ディスクに10g/分の速
度で滴下し、直径約50μmの散剤(球状粒子)6.8
gを得た。
(株)、商品名HB-310)8.0gを秤量し、84℃に加熱溶融
した。これに(S)−N−[2−(1,6,7,8−テ
トラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8
−イル)エチル]プロピオンアミド(化合物A)1.0g、
次いでアクリル酸系重合体(和光純薬(株)、商品名ハ
イビスワコー104)1.0gを順次添加し、84℃に保って約1
時間攪拌し分散させた。溶融混合物を9000rpmで回転し
ている直径15cmのアルミ製ディスクに10g/分の速度で滴
下することにより約50ミクロンの球状の粒子が得られ
た。
量:1mg)を、内径0.58mm、外径0.965mmの
ポリエチレンチューブ[商品名:PE50;日本ベクト
ン・ディッキンソン(株)製]に充填後、該チューブ中
の散剤全量を、エーテル麻酔下のSDラット(雄性、9
−10週齢)の鼻腔内に投与した。一方、セファレキシ
ンの水懸濁液20μl(セファレキシン含量:1mg)
を、エーテル麻酔下のSDラット(雄性、9−10週
齢)の鼻腔内に投与した、これを対照群とした。投与1
時間後に、血漿および脳脊髄間液中のセファレキシン濃
度をHPLC法により測定した。結果を〔表1〕に示
す。なお、表中の各濃度は、ラット4匹を用いて得られ
た濃度の平均値を示す。 〔表1〕 血漿中濃度(μg/ml) 脳脊髄間液中濃度(μg/ml) 懸濁液 0.89 0.037 実施例1の散剤 0.77 0.326 〔表1〕に示されるように、本発明の製剤をラットに経
鼻投与した場合、対照群である懸濁液と比較して、薬物
の脳脊髄間液中濃度が非常に高かった。すなわち、本発
明の製剤によって、薬物の脳内移行性が改善された。
65mmのポリエチレンチューブ[商品名:PE50;日
本ベクトン・ディッキンソン(株)製]に充填し、エー
テル麻酔下のSD雄性ラットに投与量3mg/ratでそれぞ
れの鼻腔内に投与した。対照として化合物Aの懸濁液25
μlづつをそれぞれの鼻腔内に投与した。投与2時間後ま
で血漿中濃度を測定しそのAUCを計算した。また脳移行
性の指標として投与2時間後の脳脊髄間液中濃度を測定
した。結果を〔表2〕に示す。 〔表2〕 AUC0-2h(μg・h/ml) 脳脊髄間液中濃度(ng/ml) 懸濁液 1.57 9 実施例2の粒子 1.78 54 〔表2〕に示されるように、本発明の製剤をラットに経
鼻投与した場合、対照群である懸濁液と比較して、薬物
の脳脊髄間液中濃度が非常に高かった。すなわち、本発
明の製剤によって、薬物の脳内移行性が改善された。
与する場合、胃酸または酵素による分解、初回通過効果
による代謝などの影響によって、該薬物の脳内移行が制
限される。また、「脳内で作用を発揮する薬物」を経皮
投与あるいは静脈内投与する場合、該薬物の脳内移行が
血液脳関門によって著しく制限される。本発明の鼻粘膜
付着マトリックスを用いれば、該マトリックス中の「脳
内で作用を発揮する薬物」が、上記した制限を受けるこ
となく、鼻腔から脳脊髄液を経て、直接脳組織へ移行す
るため、該薬物の脳内移行性が極めて高い。しかも、本
発明の鼻粘膜付着マトリックスは、鼻粘膜付着に優れ、
鼻粘膜に長期にわたって滞留できるため、該マトリック
ス中の「脳内で作用を発揮する薬物」を長期にわたって
持続的に脳内へ供給できる。
Claims (23)
- 【請求項1】ポリグリセリン脂肪酸エステル、脳内で作
用を発揮する薬物および粘性物質を含有してなる該薬物
の脳内移行改善用鼻粘膜付着マトリックス。 - 【請求項2】ポリグリセリン脂肪酸エステルが、重合度
2ないし20のポリグリセリンと炭素数12ないし22
の脂肪酸とのエステルである請求項1記載のマトリック
ス。 - 【請求項3】ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBが
1ないし9である請求項1記載のマトリックス。 - 【請求項4】ポリグリセリン脂肪酸エステルを約40な
いし約95重量%含有する請求項1記載のマトリック
ス。 - 【請求項5】粘性物質がアクリル酸系重合体またはその
塩である請求項1記載のマトリックス。 - 【請求項6】アクリル酸系重合体またはその塩の分子量
が100万ないし600万である請求項5記載のマトリ
ックス。 - 【請求項7】粘性物質を約4ないし約30重量%含有す
る請求項1記載のマトリックス。 - 【請求項8】さらに粘性物質の膨潤剤を含有してなる請
求項1記載のマトリックス。 - 【請求項9】粘性物質の膨潤剤がカードランおよび/ま
たは低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロースであ
る請求項8記載のマトリックス。 - 【請求項10】さらに脂質を含有してなる請求項1記載
のマトリックス。 - 【請求項11】脳内で作用を発揮する薬物が脳内難移行
性薬物である請求項1記載のマトリックス。 - 【請求項12】脳内で作用を発揮する薬物が睡眠鎮静
薬、抗不安薬、抗うつ薬またはアルツハイマー治療薬で
ある請求項1記載のマトリックス。 - 【請求項13】脳内で作用を発揮する薬物がメラトニン
受容体アゴニスト作用を有する化合物である請求項1記
載のマトリックス。 - 【請求項14】脳内で作用を発揮する薬物が式 【化1】 〔式中、R1は置換基を有していてもよい炭化水素基、
置換基を有していてもよいアミノ基又は置換基を有して
いてもよい複素環基、R2は水素原子又は置換基を有し
ていてもよい炭化水素基、R3は水素原子、置換基を有
していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよ
い複素環基、XはCHR4、NR4、O又はS(R4は水
素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示
す。)、YはC、CH又はN(但し、XがCH2を示す
場合、YはC又はCHである)、 【化2】 A環は置換基を有していてもよい5ないし7員の酸素原
子を含む複素環、B環は置換基を有していてもよいベン
ゼン環、及びmは1ないし4の整数を示す。〕で表され
る化合物又はその塩である請求項1記載のマトリック
ス。 - 【請求項15】脳内で作用を発揮する薬物が(S)−N
−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イン
デノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピ
オンアミドである請求項1記載のマトリックス。 - 【請求項16】脳内で作用を発揮する薬物が(S)−N
−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イン
デノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]アセト
アミドである請求項1記載のマトリックス。 - 【請求項17】脳内で作用を発揮する薬物を約0.1な
いし約50重量%含有する請求項1記載のマトリック
ス。 - 【請求項18】請求項1記載のマトリックスを含有して
なる固形製剤。 - 【請求項19】細粒剤または散剤である請求項18記載
の固形製剤。 - 【請求項20】球形である請求項19記載の固形製剤。
- 【請求項21】約0.1ないし約100μmの粒子径を
有する請求項19記載の固形製剤。 - 【請求項22】ポリグリセリン脂肪酸エステル、脳内で
作用を発揮する薬物および粘性物質を含有してなる鼻粘
膜付着マトリックスを用いることを特徴とする、該薬物
の脳内移行改善方法。 - 【請求項23】脳内で作用を発揮する薬物の脳内移行改
善用鼻粘膜付着マトリックスを製造するためのポリグリ
セリン脂肪酸エステル、該薬物および粘性物質の使用。
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