JP2001126537A - 電気絶縁材用樹脂組成物、電気絶縁材ならびにそれを用いた接続方法 - Google Patents

電気絶縁材用樹脂組成物、電気絶縁材ならびにそれを用いた接続方法

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JP2001126537A
JP2001126537A JP30404399A JP30404399A JP2001126537A JP 2001126537 A JP2001126537 A JP 2001126537A JP 30404399 A JP30404399 A JP 30404399A JP 30404399 A JP30404399 A JP 30404399A JP 2001126537 A JP2001126537 A JP 2001126537A
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insulating material
electrical insulating
decomposition
electrically insulating
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JP30404399A
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English (en)
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Masaki Kawahigashi
正記 川東
Yoshiji Miyashita
芳次 宮下
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用前に長時間放置しても、酸化防止剤がそ
の表面にブリードアウトしにくく、モールドしても内部
にボイドまたは空隙が発生しにくい電気絶縁材用樹脂組
成物、およびそれを成形してなる電気絶縁材、ならびに
それを用いた接続方法を提供する。 【解決手段】 110℃以上140℃未満で融解成形可
能なポリオレフィン系樹脂、酸化防止剤、半減期1分と
なるような分解温度が110℃以上140℃未満の低温
分解型架橋剤、ならびに半減期1分となるような分解温
度が140℃以上300℃以下の高温分解型架橋剤を含
有する樹脂組成物、およびそれを110℃以上140℃
未満で融解成形してなる電気絶縁材、ならびにそれを被
接続体同志の接続部分に巻き付けた後140℃以上30
0℃以下でモールドする接続方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気絶縁材用樹脂組
成物、特に通信用ケーブル、電力ケーブルなどのケーブ
ルの接続などに用いる電気絶縁テープ用などに好適な電
気絶縁材用樹脂組成物、電気絶縁材、ならびにそれを用
いた接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通信用ケーブル、電力ケーブルなどのケ
ーブルの布設にあたっては、ケーブル、屋外線、屋内配
線、架空線、または電気機器などの被接続体同士をそれ
ぞれの接続部分において接続する必要がある。このよう
な被接続体同士の接続には、その接続部分が周囲から絶
縁されることが要求される。このような被接続体同士の
接続方法として、電気絶縁テープなどの電気絶縁材を用
いてモールドして接続部を形成する方法が知られてい
る。
【0003】前記の電気絶縁材を製造するための樹脂組
成物としては、たとえばヒンダードフェノール系酸化防
止剤および1種類の架橋剤をポリエチレンに添加した組
成物が知られている。このような組成物を、上述の架橋
剤が架橋反応を起こさない温度で押出成形することによ
って、電気絶縁材が製造される。この電気絶縁材を、上
述したモールドに供される電気絶縁テープとして使用す
る。すなわち電気絶縁テープを、上述のように被接続体
同士の接続部分に複数重に巻き付けたあと、巻き付けた
電気絶縁テープに加熱処理を施す。この加熱処理の温度
は、電気絶縁テープに含有される架橋剤が架橋反応を起
こす温度に選ばれる。このような加熱処理によって架橋
反応が起こり、前記接続部分において被接続体同士が一
体化してモールドされ、被接続体同士が接続される。こ
のモールドによって、接続部が形成される。
【0004】このような電気絶縁材を使用前に長時間放
置しておくと、電気絶縁材に含有される酸化防止剤が、
電気絶縁材の表面上にブリードアウトする。このような
電気絶縁材を電気絶縁テープとして使用して上述のよう
に被接続体同士の接続に用いた場合、モールドの際の複
数重の電気絶縁テープ間に酸化防止剤が局在化している
ので、テープ間の融着が不充分となってしまう。このよ
うな接続部は、電気特性に悪影響を与える可能性のある
ボイドまたは空隙をその内部に生じる問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決しようとするものであり、その目的は、使用前
に長時間放置しても、酸化防止剤がその表面上にブリー
ドアウトしにくく、モールドに用いても内部にボイドま
たは空隙が発生しにくい電気絶縁材用樹脂組成物、およ
び該組成物を成形してなる電気絶縁材、ならびにそれを
用いた接続方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点を解決するため鋭意研究した結果、ポリオレフィン系
樹脂と、酸化防止剤と、酸化防止剤を前記ポリオレフィ
ン系樹脂にグラフトさせるための低温分解型架橋剤と、
モールドを形成するための高温分解型架橋剤とを含有す
る電気絶縁材用樹脂組成物を、前記低温分解型架橋剤が
反応しかつ前記高温分解型架橋剤が反応しない温度で融
解成形することによって、使用前に長時間放置しても添
加物が表面上にブリードアウトしにくく、被接続体同士
の接続に用いても接続部の内部にボイドまたは空隙を発
生しにくい電気絶縁材が得られることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、 (1)110℃以上140℃未満の温度範囲で融解成形
可能なポリオレフィン系樹脂、酸化防止剤、半減期1分
となるような分解温度が110℃以上140℃未満であ
る低温分解型架橋剤、ならびに半減期1分となるような
分解温度が140℃以上300℃以下である高温分解型
架橋剤を含有することを特徴とする電気絶縁材用樹脂組
成物である。
【0008】好適な実施態様は、次のとおりである。 (2)電気絶縁テープ用であることを特徴とする上記
(1)の電気絶縁材用樹脂組成物。
【0009】また本発明は、上記(1)または(2)の
電気絶縁材用樹脂組成物を、110℃以上140℃未満
で融解成形してなることを特徴とする電気絶縁材であ
る。さらにまた本発明は、被接続体同士をそれぞれの接
続部分において接続する接続方法であって、絶縁を要求
される前記接続部分に上記(3)の電気絶縁材を巻き付
けた後、140℃以上300℃以下でモールドすること
を特徴とする接続方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電気絶縁材用樹脂組成物は、110℃以上14
0℃未満で融解成形可能なポリオレフィン系樹脂と、酸
化防止剤と、酸化防止剤を前記ポリオレフィン系樹脂に
グラフトさせるための低温分解型架橋剤と、モールドを
形成するための高温分解型架橋剤とを含有する。
【0011】前記ポリオレフィン系樹脂としては、11
0℃以上140℃未満で融解成形することができる限り
特に限定されないが、たとえばポリエチレン、EVA
(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレン
−エチルアクリレート共重合体)、EMA(エチレン−
メチルアクリレート共重合体)、EMMA(エチレン−
メタクリル酸メチル共重合体)などが挙げられる。中で
もポリエチレンが特に好ましく、このようなポリエチレ
ンとしては、具体的には、高密度ポリエチレン(融解温
度:135℃)、中密度ポリエチレン(融解温度:13
0℃)、低密度ポリエチレン(融解温度:110℃)、
直鎖状低密度ポリエチレン(融解温度:115℃)、ま
たは超低密度ポリエチレン(融解温度:110℃)など
が挙げられる。
【0012】前記酸化防止剤は、後述する低温分解型架
橋剤によりポリオレフィン系樹脂にグラフトできるもの
であり、好ましくは、ヒンダードフェノール系の酸化防
止剤である。このようなヒンダードフェノール系の酸化
防止剤としては、具体的には、テトラキス〔メチレン−
3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕メタン、2,2−チオジエ
チレンビス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4’−
チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−メチレンビス(3,5−ジ−t−ブチルフェ
ノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−
t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オク
タデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチ
ルテトラキス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,
4’−チオビス〔3−(3−メチル−6−t−ブチルフ
ェニル)−2−チオアルキルプロピオネート〕などが挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】本発明の電気絶縁材用樹脂組成物における
前記酸化防止剤の配合量は、ポリオレフィン系樹脂10
0重量部に対し、0.1〜1重量部が好ましい。酸化防
止剤の配合量がポリオレフィン系樹脂100重量部に対
して0.1重量部未満であると、該組成物を成形してな
る電気絶縁材の酸化防止効果が不充分となり好ましくな
い。また逆に酸化防止剤の配合量がポリオレフィン系樹
脂100重量部に対して1重量部を超えると、後述する
融解成形時における酸化防止剤のポリオレフィン系樹脂
へのグラフトが不完全となり好ましくない。
【0014】本発明の電気絶縁材用樹脂組成物に含有さ
れる低温分解型架橋剤は、ポリオレフィン系樹脂に酸化
防止剤をグラフトさせるものであり、半減期1分となる
ような分解温度が110℃以上140℃未満の架橋剤で
ある。このような低温分解型架橋剤としては、具体的に
は、o−メチルベンゾイルパーオキサイド(半減期1分
となる分解温度:113℃)、ビス(3,5,5−トリ
メチルヘキサノイル)パーオキサイド(半減期1分とな
る分解温度:114℃)、ラウロイルパーオキサイド
(半減期1分となる分解温度:116℃)、ベンゾイル
パーオキサイド(半減期1分となる分解温度:130
℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(半減期1分と
なる分解温度:112℃)、t−ブチルパーオキシ−2
−エチルヘキサノエート(半減期1分となる分解温度:
133℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(半
減期1分となる分解温度:133℃)などが挙げられる
が、これらに限定されるものではない
【0015】半減期1分となるような分解温度が110
℃未満の架橋剤を低温分解型架橋剤として用いると、後
述する融解成形時においてポリオレフィン系樹脂が融解
する前に低温分解型架橋剤が分解してしまう。このよう
にして製造された電気絶縁材は酸化防止剤がポリオレフ
ィン系樹脂に均一にグラフトされておらず、局所的な酸
化が起こりやすい。また逆に半減期1分となるような分
解温度が140℃以上の架橋剤を低温分解型架橋剤とし
て用いると、融解成形時に低温分解型架橋剤が分解せ
ず、酸化防止剤のポリオレフィン系樹脂へのグラフトが
起こらない。このようにして製造された電気絶縁材で
は、使用前に長時間放置したときの酸化防止剤のブリー
ドアウトを抑制できない。
【0016】本発明の電気絶縁材用樹脂組成物における
前記低温分解型架橋剤の配合量は、ポリオレフィン系樹
脂100重量部に対し、好ましくは0.05〜1重量部
であり、より好ましくは0.1〜0.8重量部であり、
特に好ましくは0.2〜0.5重量部である。低温分解
型架橋剤の配合量がポリオレフィン系樹脂100重量部
に対して0.05重量部未満であると、後述する融解成
形による電気絶縁材の製造時における酸化防止剤のポリ
オレフィン系樹脂へのグラフトが不充分となってしまい
好ましくない。また逆に1重量部を超えると融解成形時
に過剰に架橋反応が起こり、成形物が外観不良となって
しまい好ましくない。
【0017】また本発明の電気絶縁材用樹脂組成物に含
有される高温分解型架橋剤は、半減期1分となるような
分解温度が140℃以上300℃以下の架橋剤である。
このような高温分解型架橋剤としては、具体的には、ジ
クミルパーオキサイド(半減期1分となる分解温度:1
79℃)、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプ
ロピル)ベンゼン(半減期1分となる分解温度:183
℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパ
ーオキシ)−3−ヘキシン(半減期1分となる分解温
度:181℃)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(半減
期1分となる分解温度:192℃)などが挙げられる
が、これらに限定されるものではない
【0018】半減期1分となるような分解温度が140
℃未満の架橋剤を高温分解型架橋剤として用いると、後
述する融解成形による電気絶縁材の製造時において、低
温分解型架橋剤と共に高温分解型架橋剤が分解して過剰
に架橋反応が起こり、成形物が外観不良となってしま
う。また逆に半減期1分となるような分解温度が300
℃を超える架橋剤を高温分解型架橋剤として用いると、
該組成物を成形してなる電気絶縁材をモールドに供され
る電気絶縁テープとして使用した場合、モールドのため
の加熱処理の温度が高くなってしまい、用いたポリオレ
フィン系樹脂によっては前記加熱処理で分解してしま
う。
【0019】本発明の電気絶縁材用樹脂組成物における
前記高温分解型架橋剤の配合量は、ポリオレフィン系樹
脂100重量部に対し、好ましくは0.5〜5重量部で
あり、より好ましくは1〜3重量部であり、特に好まし
くは1.8〜2重量部である。高温分解型架橋剤の配合
量がポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.5
重量部未満であると、該組成物を成形してなる電気絶縁
材をモールドに供される電気絶縁テープとして使用した
場合、モールドの際の架橋度が不充分となってしまい好
ましくない。また逆に高温分解型架橋剤の配合量がポリ
オレフィン系樹脂100重量部に対して5重量部を超え
ると、高温分解型架橋剤の効果は前記配合量が5重量部
以下の場合と同じであり、無駄であるので好ましくな
い。
【0020】このような電気絶縁材用樹脂組成物を11
0℃以上140℃未満の温度で融解成形することによっ
て、電気絶縁材を製造することができる。前記融解成形
とは、樹脂組成物を加熱して溶融させた後に冷却して固
化させる押出成形などの熱可塑性樹脂の一般的な成形方
法をさす。前記融解成形の温度が110℃未満である
と、ポリオレフィン系樹脂が融解しないので電気絶縁材
に成形することができない。また逆に融解成形の温度が
140℃以上であると、低温分解型架橋剤と共に高温分
解型架橋剤が分解して過剰に架橋反応が起こってしま
い、成形物が外観不良となる。
【0021】上述のように製造された電気絶縁材として
は、電気絶縁テープが例示され、これは通常モールドに
供される。該テープとしては、幅10〜100mm、好
ましくは20〜50mm、特に25mmが好適であり、
厚さ0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.8mm、
特に0.5mmの長尺物が好適である。こうして製造さ
れた電気絶縁材は、たとえばモールド用の電気絶縁テー
プとして、通信用ケーブル、電力ケーブルなどのケーブ
ルの布設における被接続体同士の接続に用いることがで
きる。このような接続には、被接続体のそれぞれの接続
部分が周囲から絶縁されることが要求される。前記被接
続体としては、ケーブル、屋外線、屋内配線、架空線、
または電気機器などが挙げられる。
【0022】本発明の接続方法は、被接続体同士の接続
部分に前記電気絶縁テープを複数重に巻き付けた後、前
記電気絶縁テープに加熱処理を施してモールドさせる方
法である。前記加熱処理の温度は、140℃以上300
℃以下、すなわち電気絶縁テープに含有される高温分解
型架橋剤が分解して架橋反応を起こす温度に選ばれる。
これによってモールドのための加熱処理においてポリオ
レフィン系樹脂が分解してしまうような不具合を考慮す
ることなく、前記加熱処理を行うことができる。このよ
うな加熱処理によって高温分解型架橋剤による架橋反応
が起こり、前記接続部分において被接続体同士が一体化
してモールドされ、接続される。
【0023】上述のように本発明の電気絶縁材用樹脂組
成物は、110℃以上140℃未満で融解成形可能なポ
リオレフィン系樹脂と、酸化防止剤と、半減期1分とな
るような分解温度が110℃以上140℃未満の低温分
解型架橋剤と、半減期1分となるような分解温度が14
0℃以上300℃以下の高温分解型架橋剤とを含有す
る。このような樹脂組成物を、110℃以上140℃未
満の温度で融解成形して、本発明の電気絶縁材を製造す
る。この温度の範囲は、ポリオレフィン系樹脂が融解す
ることができ、低温分解型架橋剤が分解して架橋反応
し、かつ高温分解型架橋剤が分解しない温度の範囲であ
る。このように前記融解成形の温度を選択することによ
って、融解成形時において低温分解型架橋剤と共に高温
分解型架橋剤が分解して過剰な架橋反応が起こることが
ない。これによって低温分解型架橋剤のみによる架橋反
応で、酸化防止剤が融解したポリオレフィン系樹脂に均
一にグラフトされる。このようにして製造された電気絶
縁材は、使用前に長時間放置しても、酸化防止剤がその
表面上にブリードアウトしにくい。したがってこのよう
な電気絶縁材を長時間放置したあとに、たとえば電気絶
縁テープとして被接続体同士の接続に使用したとして
も、モールド時において複数重の電気絶縁テープ間は充
分に融着することができるので、従来の電気絶縁テープ
を同様に用いた場合と比較して、内部にボイドまたは空
隙を発生しにくい被接続体の接続部を形成することがで
きる。したがって従来の電気絶縁テープを用いた場合と
比較して、電気特性に悪影響を与える可能性がより低い
被接続体同士の接続が可能である。
【0024】本発明の電気絶縁材用樹脂組成物は、必要
に応じてたとえばTAICなどの架橋助剤を含有してい
てもよく、またたとえばカーボンブラックなどの着色剤
などの添加物を含有していてもよい。
【0025】また本発明による樹脂組成物は、電気絶縁
材の製造原料として好適である。好ましい電気絶縁材と
しては、電気絶縁テープ、電気絶縁フィルムなどが挙げ
られ、中でも電気絶縁テープが特に好ましい。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、これらは単なる例示であり、本発明は、こ
れらにより何ら限定されるものではない。
【0027】実施例1 低密度ポリエチレン(融解温度:110℃)100重量
部に、酸化防止剤として4,4’−チオビス(3−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)を0.2重量部、低温
分解型架橋剤としてラウロイルパーオキサイド(半減期
1分となる分解温度:116℃)を0.2重量部、高温
分解型架橋剤としてジクミルパーオキサイド(半減期1
分となる分解温度:179℃)を1.5重量部配合し
て、電気絶縁テープ用樹脂組成物を作製した。このよう
な樹脂組成物を110℃で押出成形し、幅25mm、厚
さ0.5mmの電気絶縁テープを作製した。
【0028】実施例2 低密度ポリエチレン(融解温度:110℃)100重量
部に、酸化防止剤として4,4’−メチレンビス(3,
5−ジ−t−ブチルフェノール)を0.5重量部、低温
分解型架橋剤としてt−ブチルパーオキシイソブチレー
ト(半減期1分となる分解温度:133℃)を0.5重
量部、高温分解型架橋剤として1,3−ビス(t−ブチ
ルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(半減期1分とな
る分解温度:183℃)を3.0重量部配合して、電気
絶縁テープ用樹脂組成物を作製した。このような樹脂組
成物を130℃で押出成形し、幅25mm、厚さ0.5
mmの電気絶縁テープを作製した。
【0029】実施例3 低密度ポリエチレン(融解温度:110℃)100重量
部に、酸化防止剤として4,4’−メチレンビス(3,
5−ジ−t−ブチルフェノール)を0.5重量部、低温
分解型架橋剤としてt−ブチルパーオキシイソブチレー
ト(半減期1分となる分解温度:133℃)を1.0重
量部、高温分解型架橋剤として1,3−ビス(t−ブチ
ルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(半減期1分とな
る分解温度:183℃)を0.5重量部配合して、電気
絶縁テープ用樹脂組成物を作製した。このような樹脂組
成物を130℃で押出成形し、幅25mm、厚さ0.5
mmの電気絶縁テープを作製した。
【0030】実施例4 低密度ポリエチレン(融解温度:110℃)100重量
部に、酸化防止剤として4,4’−メチレンビス(3,
5−ジ−t−ブチルフェノール)を0.5重量部、低温
分解型架橋剤としてt−ブチルパーオキシイソブチレー
ト(半減期1分となる分解温度:133℃)を0.05
重量部、高温分解型架橋剤として1,3−ビス(t−ブ
チルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(半減期1分と
なる分解温度:183℃)を5.0重量部配合して、電
気絶縁テープ用樹脂組成物を作製した。このような樹脂
組成物を130℃で押出成形し、幅25mm、厚さ0.
5mmの電気絶縁テープを作製した。
【0031】比較例1 低密度ポリエチレン(融解温度:110℃)100重量
部に、酸化防止剤を4,4’−チオビス(3−メチル−
6−t−ブチルフェノール)を0.2重量部、高温分解
型架橋剤としてジクミルパーオキサイド(半減期1分と
なる分解温度:179℃)を2.0重量部配合して、電
気絶縁テープ用樹脂組成物を作製した。このような樹脂
組成物を110℃で押出成形し、幅25mm、厚さ0.
5mmの電気絶縁テープを作製した。
【0032】比較例2 低密度ポリエチレン(融解温度:110℃)100重量
部に、酸化防止剤を4,4’−チオビス(3−メチル−
6−t−ブチルフェノール)を0.2重量部、低温分解
型架橋剤としてラウロイルパーオキサイド(半減期1分
となる分解温度:116℃)を0.2重量部配合して、
電気絶縁テープ用樹脂組成物を作製した。このような樹
脂組成物を110℃で押出成形し、幅25mm、厚さ
0.5mmの電気絶縁テープを作製した。
【0033】比較例3 低密度ポリエチレン(融解温度:110℃)100重量
部に、酸化防止剤として4,4’−メチレンビス(3,
5−ジ−t−ブチルフェノール)を0.2重量部、低温
分解型架橋剤としてt−ブチルパーオキシイソブチレー
ト(半減期1分となる分解温度:133℃)を2.0重
量部、高温分解型架橋剤として1,3−ビス(t−ブチ
ルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(半減期1分とな
る分解温度:183℃)を4.0重量部配合して、電気
絶縁テープ用樹脂組成物を作製した。このような樹脂組
成物を145℃で押出成形し、幅25mm、厚さ0.5
mmの電気絶縁テープを作製した。
【0034】<未使用の電気絶縁テープの酸化防止剤ブ
リードアウト率測定>実施例1〜4および比較例1〜3
でそれぞれ作製した電気絶縁テープを、50℃で1ケ月
間放置した。放置後、各電気絶縁テープの表面にブリー
ドアウトした酸化防止剤をメタノールで洗浄した後に採
取し、液体クロマトグラフィーを用いてその量を測定し
た。この測定値から、酸化防止剤ブリードアウト率
〔%〕を算出した。前記酸化防止剤ブリードアウト率と
は、放置前の電気絶縁テープの酸化防止剤の含有量に対
する、放置後にブリードアウトした酸化防止剤の量の割
合をさす。
【0035】<高温分解型架橋剤および低温分解型架橋
剤の残存率>実施例1〜4および比較例1〜3でそれぞ
れ作製した電気絶縁テープに含有される未反応の架橋剤
を、50℃のテトラヒドロフランで抽出した。このよう
にして得た各抽出液を液体クロマトグラフィーにかけ
て、高温分解型架橋剤および低温分解型架橋剤それぞれ
に関して、電気絶縁テープ用樹脂組成物時における含有
量に対する、抽出量の割合である架橋剤残存率〔%〕を
算出した。
【0036】<モールドの可否>実施例1〜4および比
較例1、3でそれぞれ作製した電気絶縁テープを、電気
ケーブル同士の接続部分に巻き付け、それぞれ含有する
高温分解型架橋剤が分解し得る温度で加熱してモールド
できるかどうかをみた。なお高温分解型架橋剤を含有し
ない比較例2についても、実施例2と同じ温度で加熱し
て、モールドできるかどうかをみた。その結果を表1に
示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1に示されるように、実施例1〜4の電
気絶縁テープは、酸化防止剤のブリードアウトが殆ど起
こらないといえる程度に酸化防止剤ブリードアウト率が
低く、低温分解型架橋剤が残存していなかった。さらに
高温分解型架橋剤が殆ど残存しており、全てのテープに
ついてモールドが可能であった。比較例1の電気絶縁テ
ープは、実施例1〜4の電気絶縁テープと比較して、酸
化防止剤ブリードアウト率が非常に高かった。比較例2
の電気絶縁テープは、実施例1〜4の電気絶縁テープと
同程度の酸化防止剤ブリードアウト率であったけれど
も、モールド用の高温分解型架橋剤を使用しておらず、
モールドできなかった。また融解成形の温度が本願の範
囲外であった比較例3の電気絶縁テープは、実施例1〜
4の電気絶縁テープと同程度の酸化防止剤ブリードアウ
ト率であったけれども、前記融解成形時に低温分解型架
橋剤と共に高温分解型架橋剤も分解してしまい、高温分
解型架橋剤の残存率が0%で、モールドできなかった。
【0039】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
電気絶縁材用樹脂組成物およびそれを成形してなる電気
絶縁材、ならびにそれを用いた接続方法によれば、使用
前に長時間放置しても、電気絶縁材に含有される酸化防
止剤が電気絶縁材の表面上にブリードアウトしにくく、
被接続体同士の接続に用いても接続部の内部にボイドま
たは空隙を発生しにくい電気絶縁材、およびそれを用い
た接続方法を提供することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB031 BB061 BB071 EJ016 EJ026 EJ036 EK037 EK047 EK057 EV076 FD076 FD147 GQ01 5G305 AA14 AB40 BA12 BA20 BA26 BA29 CA01 CD05 CD09 DA11 5G355 AA03 BA02 BA11 CA23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 110℃以上140℃未満で融解成形可
    能なポリオレフィン系樹脂、酸化防止剤、半減期1分と
    なるような分解温度が110℃以上140℃未満である
    低温分解型架橋剤、ならびに半減期1分となるような分
    解温度が140℃以上300℃以下である高温分解型架
    橋剤を含有することを特徴とする電気絶縁材用樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 電気絶縁テープ用であることを特徴とす
    る請求項1記載の電気絶縁材用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の電気絶縁材用樹
    脂組成物を、110℃以上140℃未満で融解成形して
    なることを特徴とする電気絶縁材。
  4. 【請求項4】 被接続体同士をそれぞれの接続部分にお
    いて接続する接続方法であって、絶縁を要求される前記
    接続部分に請求項3記載の電気絶縁材を巻き付けた後、
    140℃以上300℃以下でモールドすることを特徴と
    する接続方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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KR20200042527A (ko) * 2017-08-30 2020-04-23 다우 글로벌 테크놀로지스 엘엘씨 과산화물 함유 폴리올레핀 제형물

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JP7507683B2 (ja) 2017-08-30 2024-06-28 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー ペルオキシド含有ポリオレフィン配合物

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