JP2001122669A - リング状セラミックス焼成用カーボン型 - Google Patents

リング状セラミックス焼成用カーボン型

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JP2001122669A
JP2001122669A JP30168599A JP30168599A JP2001122669A JP 2001122669 A JP2001122669 A JP 2001122669A JP 30168599 A JP30168599 A JP 30168599A JP 30168599 A JP30168599 A JP 30168599A JP 2001122669 A JP2001122669 A JP 2001122669A
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mold
ring
powder
firing
carbon
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JP30168599A
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English (en)
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Masahito Nakanishi
政仁 中西
Shoji Kosaka
祥二 高坂
Hitoshi Matsunosako
等 松之迫
Hidemi Matsumoto
秀美 松本
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粉体をカーボン型に充填する際、粉体が外部に
漏れることなく充填でき、焼成工程で発生していた焼き
ばめを防ぐことができるリング状セラミックス焼成用カ
ーボン型を得る。 【解決手段】内スリーブ及び内モールドの熱膨張係数が
粉体を焼結して形成されるリング状セラミックスの熱膨
張係数より大きく、且つ、外スリーブ及び外モールドの
熱膨張係数がリング状セラミックスの熱膨張係数より小
さくし、さらに粉体の周囲にカーボンシートを配置す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リング状セラミッ
クスをホットプレス装置にて焼成する際に使用するカー
ボン型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミックスの中でも比較的に易
焼結材料であるAl23やZrO2等の酸化物系セラミ
ックスの粉体を用いてリング状セラミックス焼結体を製
造する方法は以下の通りである。
【0003】まず焼成前の成形法としては、セラミック
ス粉末原料に適量のバインダーを混合して造粒し、これ
を所定の形状の金型に入れて油圧プレスにて一軸加圧成
形する金型プレス成形法や、同じく所定の形状のラバー
型に入れて冷間静水圧装置(CIP)にて等方加圧成形
するラバープレス成形法が用いられ、得られた成形体を
所定の形状に切削加工して仕上げる方法がある。
【0004】また、水系セラミックススラリーと石膏型
を用いた鋳込み成形法があり、この成形法は、石膏型に
水系のセラミックススラリーを流し込み、石膏型にスラ
リーの水分を吸収させ、型内部にセラミックスを着肉さ
せた後に硬化した成形体を石膏型から取り出す方法であ
る。
【0005】これ以外の特殊な鋳込み成形法としては、
セラミックス粉体に熱可塑性樹脂を混練したスラリーを
用い、加熱した金型に流し込み、金型を冷却させた後に
硬化した成形体を金型から取り出す方法がある。或い
は、セラミックス粉体に熱硬化性樹脂を混練させたスラ
リーを用い、金型に流し込んだ後に金型毎加熱し、熱硬
化した成形体を金型から取り出す方法がある。鋳込み成
形法の特徴は、型を脱型して得られた成形体が製品の最
終形状に近い形状をしており、所定の形状に切削加工す
る量が加圧成形と比較して少ないことにある。
【0006】易焼結材料である酸化物系セラミックスを
焼成する際には、これらの成形体を脱脂工程でバインダ
ー分を分解除去した後に、常圧で焼成して焼結体を得る
方法が一般的である。
【0007】一方、難焼結材料であるSi34やSiC
等の非酸化物系セラミックスの焼成は常圧焼成では緻密
体が得られないため、これを解決する手段として、ガス
圧焼成(GPS焼成)やセラミックス粉体をカーボン型
内に充填し、高温下で加圧しながら焼成するホットプレ
ス焼成、或いは熱間静水圧焼成装置による焼成(HIP
焼成)が提案されている。
【0008】しかし、GPS焼成及びHIP焼成を用い
ると、GPS焼成では理論密度まで緻密化させることが
難しく、またHIP焼成では理論密度までの緻密化が可
能ではあるもののランニングコストが高くなるという欠
点がある。
【0009】これに対し、ホットプレス焼成は単純平板
形状等の成形体を理論密度近くまで安価に製造すること
が可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リング
状セラミックス等、比較的複雑な形状をホットプレス焼
成で得ることは、技術的に大変困難であった。
【0011】例えば、リング状セラミックスをホットプ
レス焼成する際、焼結体とカーボン型の熱膨張係数の差
による相互干渉により、両者が焼きばめと同様の状態と
なり、固着や破損によりカーボン型の寿命が短くなった
り、焼結体の歩留まりが低くなるなどの問題があった。
【0012】そこで、実公平7−54260号公報で
は、焼きばめを起こさずに、円柱形で中実なセラミック
ス焼結体を得る方法が提案されている。これは、図6に
示す通り、ホットプレス焼成するセラミックス粉体14
と外モールド1との間に円筒形のスリーブ15を配置
し、該スリーブ15の稜線の一部にスリット12を形成
し、さらに外モールド1とスリーブ15の間にクリアラ
ンス13dを設けたものである。
【0013】上記方法は、セラミックス粉体14を加熱
し、焼結体を得る過程において、該クリアランス13d
が焼結体と外モールド1の熱膨張係数の差を吸収して、
焼きばめを防止するという方法である。
【0014】次に、実開平4−50205号公報では、
図7に示す通り、スリット12を形成したスリーブ15
の内側にセラミックス粉体14を充填し、円筒形カーボ
ンシート5cをクッション材として外モールド1とスリ
ーブ15の間に挿入する方法が提案されている。
【0015】上記セラミックス粉体14を焼結温度まで
加熱すると、円柱形で中実な焼結体が得られる。この方
法で用いられたスリット12及び円筒形カーボンシート
5cは、焼結体と円筒形状の外モールド1の熱膨張係数
の差を吸収するためのものである。
【0016】上記図6、7のいずれの方法も、熱膨張係
数の差により生じる応力の発生を吸収できるものの、セ
ラミックス粉体14とスリット12を設けたスリーブ1
5が直接接するため、セラミックス粉体14がスリット
12の隙間に入り込み、スリットの効果を無くすばかり
でなく、焼結体に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0017】また、特開平11−795号公報では、ホ
ットプレス焼成後に環状被焼成体を破壊を招かずに取り
出すことを目的として、以下の様な焼成装置が提案され
ている。
【0018】これは、図8に示す通り、環状被焼成体1
06を所定方向に向って加圧するための加圧機構10
1、111と、環状被焼成体106の外周側を保持する
ための型102と、環状被焼成体106の内側空間に設
置されている中子107とを備えており、中子107が
環状被焼成体106に対して接触しない位置に設置され
ている芯材108と、この芯材108の外側面と環状被
焼成体106との間の環状の隙間を充填している外殻部
材109A、109Bを備えたことを特徴とするもので
ある。
【0019】しかしながら、上記の様な構成では、環状
被焼成体106は、スリーブ103A、103B、及び
外殻部材109A、109Bと直接接しているため、ホ
ットプレス焼成後に型(スリーブ103A、103B、
及び外殻部材109A、109B)と環状被焼成体10
6が付着するという問題があった。
【0020】また、スリーブ103A、103B、及び
外殻部材109A、109Bは何れも平面的に見ると半
円形状をしており、半割の両者を対向させて円筒形状に
する構造であるため、型の組立に時間がかかったり、半
割の型の組み合わせの隙間にセラミックスの粉体が侵入
し、型と付着する問題があった。
【0021】更に、上記焼成装置は、焼成収縮中に加圧
機構101と中子107が接触する構造であるために、
焼成収縮途中で接触した場合には緻密化不足を生じ、接
触しない場合でも、環状被焼成体の形状、寸法、材質が
変更される毎に、スペーサー等の型を替える必要があ
り、大変不経済であった。
【0022】それに加え,環状被焼成体106の材質
と、焼成装置を構成する部材の材質の組み合わせによっ
ては、熱膨張差によって環状被焼成体106を取り出す
際、両者が破壊する可能性も高かった。
【0023】そこで本発明の目的は、リング状セラミッ
クスのホットプレス焼結体、特に難焼結材料であるB4
Cのリング状ホットプレス焼結体の作製において、粉体
の漏れを防止するとともに、焼成途中のカーボン型の変
形を防止し、焼成終了後の熱膨脹係数の差による焼きば
め状態を防止することにより、カーボン型の円滑且つ容
易な分離作業を行えるようにし、製品の歩留まり向上と
型寿命を向上させることとした。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、リング状セラ
ミックス焼成用カーボン型において、各部品の形状、熱
膨張係数、及びその組み合わせ方法を吟味し、適宜その
組み合わせを選択することにより、上記課題を達成出来
ることを見いだした。
【0025】即ち、本発明のリング状セラミックス焼成
用カーボン型は、ホットプレス焼成する粉体の外側に配
置される外スリーブとこの外側に備えた外モールド、粉
体の内側に配置される内スリーブとこれを内側より支持
する内モールド、粉体を上側より押圧する上リング、及
び粉体を下側より押圧する下リングを有するリング状セ
ラミックス焼成用カーボン型において、上記内スリーブ
及び内モールドの熱膨張係数を、上記粉体を焼結して形
成されるリング状セラミックスの熱膨張係数より大きく
し、且つ、上記外スリーブ及び外モールドの熱膨張係数
を上記リング状セラミックスの熱膨張係数より小さくす
るとともに、上記粉体の周囲にカーボンシートを配置し
たことを特徴とする。
【0026】また、本発明の上記外モールドの材質をC
/Cコンポジットとし、上記内スリーブ及び外スリーブ
の形状は、軸方向にスリットを設けた馬蹄形状としたこ
とを特徴とする。
【0027】さらに、上記内モールドが、円錐台形状の
殻部内モールドと中空形状の外周部内モールドからな
り、殻部内モールドの外径及び外周部内モールドの内径
が、下リング側に向かってテーパ状に広がっていること
を特徴とし、上記殻部内モールドと外周部内モールドの
間に、クリアランスが設けてあり、上記外周部内モール
ドが4個以上に分割される構造であることを特徴とす
る。
【0028】
【作用】本発明のリング状セラミックス焼成用カーボン
型によれば、上記内スリーブ及び内モールドの熱膨張係
数を上記粉体を焼結して形成されるリング状セラミック
スの熱膨張係数より大きくし、且つ、上記外スリーブ及
び外モールドの熱膨張係数を上記リング状セラミックス
の熱膨張係数より小さくすることにより、焼成後のリン
グ状セラミックス焼結体とカーボン型とが焼きばめ状態
になることを防ぐ。
【0029】また、焼成中にリング状セラミックスは上
下方向からの加圧に加え、殻部内モールドが外周部内モ
ールド及び内スリーブを介してリング状セラミックスを
押し広げるので、外スリーブを介して外モールドを押し
広げる。外モールドからの強制力がリング状セラミック
スの外方向への張り出す力よりも大きく働いても、外ス
リーブにスリットを形成する場合、発生する応力は外ス
リーブのスリットが狭くなる分として吸収される。同様
に、内スリーブにスリットを形成する場合、リング状セ
ラミックスからの強制力が殻部内モールドの膨張より大
きく働いても、発生する応力は内スリーブのスリットが
狭くなる分として吸収される。
【0030】また、円筒形状のカーボンシートは、薄紙
状のもので、熱膨張係数の差より発生する応力の吸収と
粉体の漏れ防止に作用する。なお、このカーボンシート
は焼成後にリング状セラミックスと固着することはあっ
てもその厚みが薄いため、サンドブラスト等で容易に除
去することが可能である。
【0031】また、殻部内モールド、外周部内モールド
間のクリアランスは、加圧が始まる温度以上の加熱中に
は消滅するが、焼成が終了して室温まで冷却された時に
は再度クリアランスが出現する為、脱型時の抵抗が低減
される。
【0032】また、外周部内モールドを4個以上に分割
される構造とし、外周部内モールドの内径を下リング側
に向かってテーパ状にすることにより、脱型時、殻部内
モールドが下方向に抜けた後、外周部内モールドが無理
なく内側に倒れ込んで分割、脱型できるようになる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明のリング状セラミッ
クス焼成用カーボン型の実施形態について説明する。
【0034】図1に本発明のリング状セラミックスをホ
ットプレス焼成するためのカーボン型の概略組立構成図
を示す。このカーボン型は、ホットプレス焼成する粉体
11の外側に配置される外スリーブ3とこの外側に備え
た外モールド1、粉体11の内側に配置される内スリー
ブ4とこれを内側より支持する内モールド2、粉体11
を上側より押圧する上リング6及び粉体11を下側より
押圧する下リング7、上記粉体11の周囲に配置され
る、円筒形の外側カーボンシート5a、円筒形の内側カ
ーボンシート5b、リング状の上側カーボンシート8
a、リング状の下側カーボンシート8bより構成され、
外モールド1の外側には加熱手段(図示せず)を配置し
ている。
【0035】本発明のカーボン型は、内スリーブ4及び
内モールド2の熱膨張係数を粉体11を焼結して形成さ
れるリング状セラミクスの熱膨張係数より大きくし、且
つ、外スリーブ3及び外モールド1の熱膨張係数を前記
リング状セラミックスの熱膨張係数より小さくし、且つ
粉体の周囲にカーボンシート5a、5b、8a、8bを
配置してある。その結果、カーボンシートを粉体の周囲
に配置することで粉体の漏れを防止することができるば
かりでなく、焼結体とカーボン型の付着を抑制できる。
【0036】また、カーボン型の熱膨張係数を上記関係
にすることにより、焼成終了後の熱膨張係数の差による
焼きばめ状態を防止することができるため、カーボン型
の円滑且つ容易な分離作業が可能となり、製品の歩留ま
り向上と型寿命の向上を達成することができる。
【0037】上記カーボン型の組立は、以下の手順で行
う。先ず、円形の下パンチ台10上の中心部に内モール
ド2を配置し、その外側に内スリーブ4、円筒形の内側
カーボンシート5bの順に配置する。円筒形の内側カー
ボンシート5bの外側には下リング7を配置し、下リン
グ7の上にはリング状の下側カーボンシート8bを配置
する。下リング7の外側には円筒形の外側カーボンシー
ト5a、外スリーブ4、外モールド1の順で配置し、外
モールド1は下パンチ台10の上で位置決めする。
【0038】また、図2に示すように軸方向のスリット
12を設けた馬蹄形状の外スリーブ3及び内スリーブ4
を使用することもできる。この場合、焼成中にリング状
セラミックスは上下方向からの加圧に加え、殻部内モー
ルド2bが外周部内モールド2a及び内スリーブ4を介
してリング状セラミックス11を押し広げるので、外ス
リーブ3を介して外モールド1を押し広げる。外モール
ド1からの強制力がリング状セラミックス11の外方向
への張り出す力よりも大きく働いても、図2に示すよう
に外スリーブ3のスリット12を形成する場合、発生す
る応力は外スリーブ3のスリット12が狭くなる分とし
て吸収される。同様に、内スリーブ4にスリット12を
形成する場合、リング状セラミックス11からの強制力
が殻部内モールド2bの膨張より大きく働いても、発生
する応力は内スリーブ4のスリット12が狭くなる分と
して吸収される。
【0039】そして、B4C等の粉体11の充填は、以
下の手順で行う。リング状の下側カーボンシート8bの
上に粉体11を必要量充填し、その上部を均一にし、押
し固めた後、リング状の上側カーボンシート8a、上リ
ング6の順に置く。
【0040】ホットプレス焼成は、外モールド1の外側
から、抵抗加熱方式あるいは誘導加熱方式で真空雰囲気
下で加熱し、1000℃到達時、上蓋9の方向から、所
定の成形圧に達するまで加圧する。所定の成形圧になっ
た後にも昇温を続け、2000℃に達した後は真空雰囲
気からAr雰囲気に切り替える。焼結温度2200℃ま
でAr雰囲気のまま昇温し、焼結温度で所定時間保持し
続ける。2200℃での保持が終了後、冷却途中の15
00℃までその成形圧を保持する。
【0041】ホットプレス焼成後の脱型の手順について
は、カーボン型を組み立てたときと逆の手順で脱型す
る。
【0042】また、上記各部材はカーボンからなるが、
特に外モールド1の材質は、C/Cコンポジットを用い
ることが好ましい。これはC/Cコンポジットの熱膨張
係数が、他の型材に比べ小さいために、焼成終了後の熱
膨張差により、型の分離作業を容易にすることができる
からである。
【0043】図3に本発明の別の実施形態を示すカーボ
ン型の概略組立構成図を示す。このカーボン型は、ホッ
トプレス焼成する粉体11の外側に配置される外スリー
ブ3とこの外側に備えた外モールド1、粉体の内側に配
置される内スリーブ4とこれを内側より支持する外周部
内モールド2a及び殻部内モールド2b、粉体を上側よ
り押圧する上リング6及び粉体を下側より押圧する下リ
ング7、上記粉体の周囲に配置される、円筒形の外側カ
ーボンシート5a、円筒形の内側カーボンシート5b、
リング状の上側カーボンシート8a、リング状の下側カ
ーボンシート8bより構成され、外モールド1の外側に
は加熱手段(図示せず)を配置している。
【0044】また、上記内モールド2の構造が、円錐台
形状の殻部内モールド2b及び中空形状の外周部内モー
ルド2aに分割され、さらに殻部内モールド2bの外径
及び外周部内モールド2aの内径が、下リング7側に向
かって広がっていく構造にすることにより、焼成終了後
の型の分離作業を容易に行うことができる。
【0045】また、上記殻部内モールド2bと外周部内
モールド2aの間に、クリアランスを設けることによ
り、焼成中の応力を吸収することができるため、焼成途
中のカーボン型の変形を防止し、焼成終了後の型の分離
作業を容易に行うことができる。
【0046】また、図5に示すように、上記外周部内モ
ールド2aを4個以上の分割体21a〜24aに分割さ
れる構造にすることにより、焼成前の型の組立作業及び
焼成後の型の分離作業が更に容易になる。
【0047】上記カーボン型の組立は、以下の手順で行
われる。先ず、円形の下パンチ台10上の中心部に殻部
内モールド2bを設置し、外周部内モールド2a、内ス
リーブ4、円筒形の内側カーボンシート5bの順に配置
する。円筒形の内側カーボンシート5bの外側には下リ
ング7を、下リング7の上にはリング状の下側カーボン
シート8bを配置する。下リング7の外側には円筒形の
外側カーボンシート5a、外スリーブ3、外モールド1
の順で配置し、外モールド1は下パンチ台10の上で位
置決めする。
【0048】図1で示した実施形態と同様に、スリット
を設けた外スリーブ3及び内スリーブ4を使用する場合
は、図2に示すように軸方向のスリット12を設けた馬
蹄形状の外スリーブ3及び内スリーブ4を使用すること
もできる。
【0049】粉体11の充填の手順は、先の実施形態に
示した手順と同一である。
【0050】ホットプレス焼成は、外モールド1の外側
から、抵抗加熱方式あるいは誘導加熱方式で真空雰囲気
下で加熱し、外周部内モールド2aと殻部内モールド2
b間のクリアランス13aが無くなる昇温途中の100
0℃到達時点で、上蓋9の方向から、所定の成形圧に達
するまで加圧する。所定の成形圧になった後にも昇温を
続け、2000℃に達した後は真空雰囲気からAr雰囲
気に切り替える。焼結温度2200℃までAr雰囲気の
まま昇温し、焼結温度で所定時間保持し続ける。220
0℃での保持が終了後、冷却途中の1500℃までその
成形圧を保持する。
【0051】焼成終了後、上蓋9と下パンチ台10を脱
型する。続いて、殻部内モールド2bを下方向に脱型
し、外周部内モールド2aを内側に倒れ込む様にした
後、最後に内スリーブ4を外す。これによりリング状セ
ラミックスの内側の脱型は終了する。
【0052】リング状セラミックスの外側の脱型につい
ては、先ず外モールド1を外し、引き続き外スリーブ
3、上リング6、下リング9の順に外す。
【0053】尚、リング状セラミックスに付着している
円筒形の外側カーボンシート5a、円筒形の内側カーボ
ンシート5b、リング形状の上側及び下側カーボンシー
ト8a、8bは、焼成体の脱型後にサンドブラスト等で
容易に除去できる。
【0054】本発明の構造を持つカーボン型は、各部材
の熱膨張係数を選択することにより、B4C以外の炭化
物セラミックス(SiC、WC、TiC等)、窒化物セ
ラミックス(Si34、BN等)、酸化物セラミックス
(Al23、ZrO2等)硫化物セラミックス(ZnS
等)にも応用が可能であり、製品としては、スペーサー
リング、サセプター、クランプリング等のリング形状の
セラミックス焼結体の作製に大変有効である。
【0055】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。なお、本
発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定さ
れるものではない。
【0056】先ず表1〜3に示すNo.1〜18の18
種類のカーボン型を準備し組み立てた。なお、カーボン
型は発明の実施の形態で示した手順に従い組み立てた。
【0057】次に、リング状の下側カーボンシート8b
の上に、25〜2200℃における熱膨張係数が5.2
×10-6/℃であるB4C粉体を必要量充填し、B4C粉
体の上部を均一にした後、押し固めた。その後、リング
状の上側カーボンシート8a、上リング6、上蓋9の順
に置き、B4C粉体を封止した。
【0058】なお、上リング6及び下リング9は、25
〜2200℃における熱膨張係数が、外スリーブ3より
大きく内スリーブ4より小さい5.6×10-6/℃のカ
ーボン材を使用した。
【0059】ホットプレス焼成は、外モールド1の外側
から、抵抗加熱方式で真空雰囲気下で15℃/分の昇温
速度で加熱し、1000℃に到達した時点で、上蓋9の
方向より、所定の成形圧350kgf/cm2に達する
まで加圧した。所定の成形圧になった後再び昇温を続
け、2000℃に達した時点で真空雰囲気からAr雰囲
気に切り替えた。以降Ar雰囲気のまま昇温し、焼結温
度の2200℃到達後、所定時間保持した。2200℃
での保持終了後、降温し、降温途中の1500℃までそ
の成形圧を保持した。
【0060】焼成終了後の型の分離作業は、発明の実施
の形態に示した手順に従った。
【0061】カーボン型の評価については、カーボン型
から焼結体を脱型する際の抵抗、きしみ音の把握、そし
て、得られた焼結体及びカーボン型の欠陥の有無を観察
した。
【0062】結果を表1〜3に示す。なお表1〜3中の
材質は、すべてカーボンであり、材質名は識別しやすい
ようにA〜Cとし、C/Cコンポジットのみそのまま示
した。熱膨張係数は、25〜2200℃における測定値
を示した。また、記載した項目のなかで、外周部内モー
ルド2a及び殻部内モールド2bのテーパ形状の有無と
は、外周部内モールド2aの内径及び殻部内モールド2
bの外径が下リング9側に向かって広がっているかいな
いかを示す。
【0063】表1〜3によれば、 No.1では、B4
C粉体充填時において、粉体が漏れることもなく、粉体
の周囲にカーボンシート5a、5b、8a、8bを配置
した効果が確認できた。また、焼成後のリング状セラミ
ックス及びカーボン型には破損は見られず、内スリーブ
4及び内モールド2の熱膨張係数をリング状セラミック
スの熱膨張係数より大きくし、且つ外スリーブ3及び外
モールド1の熱膨張係数をリング状セラミックスの熱膨
張係数より小さくしたことによる効果が確認できた。な
お、脱型する際、焼結体とカーボン型との間にきしみ音
が発生する等、摩擦による抵抗が見られたが、No.1
〜No.4に移るに従い、脱型の際に発生するきしみ音
は低減していき、No.4ではきしみ音がなくなった。
【0064】また、No.5〜7では、内モールド2が
分割され、No.1〜4に比べ、脱型は容易になった。
【0065】また、No.8〜10では、クリアランス
13aの存在により、殻部内モールド2bを抵抗無く抜
き取れるため、更に脱型は容易となった。
【0066】加えて、No.11〜16では、殻部内モ
ールド2b脱型後、外周部内モールド2aが内側に倒れ
込む構造となっているため、一層容易に、殻部内モール
ド2b、外周部内モールド2a、内スリーブ4、外スリ
ーブ3の順で脱型できるようになった。
【0067】一方、比較例であるNo.17は、リング
状セラミックスの熱膨張係数が外スリーブ3及び外モー
ルド1の熱膨張係数より小さく、また、内モールド2及
び内スリーブ4の熱膨張係数より大きいため、外スリー
ブ3とリング状セラミックスが焼きばめ状態になるとと
もに外モールド1が樽状に変形していた。無理に脱型を
強行すると外モールド1とリング状セラミックスの両方
が破損した。比較例No.18は、カーボンシート5
a、5b、8a、8bが無いために焼結体とカーボン型
が焼成中に焼き付き、脱型は全く不可能であった。
【0068】なお、本実施例では、外周部内モールド2
aは、4分割構造のものを用いたが、さらに分割構造を
5分割、6分割、・・・と増やしたほうが好適である。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、リング状セラミックス
焼成用カーボン型において、内スリーブ及び内モールド
の熱膨張係数を、粉体を焼結して形成されるリング状セ
ラミクスの熱膨張係数より大きくし、且つ、外スリーブ
及び外モールドの熱膨張係数を前記リング状セラミック
スの熱膨張係数より小さくし、且つ粉体の周囲にカーボ
ンシートを配置することで、粉体の漏れを防止すること
ができるばかりでなく、焼結体とカーボン型の付着を抑
制でき、焼成終了後の熱膨張係数の差による焼きばめ状
態を防止することができるため、カーボン型の円滑且つ
容易な分離作業が可能となり、製品の歩留まり向上と型
寿命の向上を達成することができる。
【0073】また、軸方向のスリットを設けた馬蹄形状
の外スリーブ及び内スリーブを使用することにより、焼
成中に発生する応力を吸収することが出来る。
【0074】また、外モールドの材質をC/Cコンポジ
ットにすることにより、C/Cコンポジットの熱膨張係
数が、他の型材に比べ小さいために、焼成終了後の熱膨
張差により、型の分離作業を容易にすることができる。
【0075】また、内モールドを、円錐台形状の殻部内
モールド及び中空形状の外周部内モールドに分割し、さ
らに殻部内モールドの外径及び外周部内モールドの内径
が、下リング側に向かって広がっていく構造にすること
により、焼成終了後の型の分離作業を容易に行うことが
できる。
【0076】また、上記殻部内モールドと外周部内モー
ルドの間に、クリアランスを設けることにより、焼成中
の応力を吸収することができるため、焼成途中のカーボ
ン型の変形を防止し、焼成終了後の型の分離作業を容易
に行うことができる。
【0077】また、上記外周部内モールドを4個以上に
分割される構造にすることにより、焼成前の型の組立作
業及び焼成後の型の分離作業が更に容易になる。
【0078】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるリング状セラミックス焼成用カ
ーボン型の概略組立構成図である。
【図2】本発明に係わるリング状セラミックス焼成用カ
ーボン型の外スリーブ及び内スリーブの馬蹄形状の斜視
図である。
【図3】本発明の他の実施例を示すリング状セラッミク
ス焼成用カーボン型の概略組立構成図である。
【図4】本発明に係わる図1中のA部詳細図である。
【図5】本発明に係わるリング状セラミックス焼成用カ
ーボン型の外周部内モールドの平面図である。
【図6】従来のカーボン型を示す斜視図である。
【図7】従来のカーボン型を示す斜視図である。
【図8】従来のカーボン型を示す断面図である。
【符号の説明】
1 :外モールド 2 :内モールド 2a:外周部内モールド 21a〜24a:分割体 2b:殻部内モールド 3 :外スリーブ 4 :内スリーブ 5a:カーボンシート 5b:カーボンシート 6 :上リング 7 :下リング 8a:カーボンシート 8b:カーボンシート 9 :上蓋 10 :下パンチ台 11 :粉体 12 :スリット 13a:クリアランス 13b:クリアランス 13c:クリアランス 13d:クリアランス 14 :セラミックス粉体 15 :円筒形スリーブ F :加圧方向 101 :加圧機構(上パンチ) 102 :外周側の型 102a、103b:テーパー面 103A、103B:スリーブ 104 :焼成前の空間 105A、105B:円環形状のスペーサー 105a:中央孔 106 :環状被加圧焼成体 107 :中子 108 :芯材 108c:外側面 109A、109B:外殻部材 109a:内側面 110 :スペーサー 111 :加圧機構(下パンチ) D :加圧方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 秀美 鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株 式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4G030 AA60 BA25 GA29 GA31

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホットプレス焼成する粉体の外側に配置さ
    れる外スリーブとこの外側に備えた外モールド、上記粉
    体の内側に配置される内スリーブとこれを内側より支持
    する内モールド、粉体を上側より押圧する上リング、及
    び粉体を下側より押圧する下リングを有するリング状セ
    ラミックス焼成用カーボン型において、上記内スリーブ
    及び内モールドの熱膨張係数を上記粉体を焼結して形成
    されるリング状セラミックスの熱膨張係数より大きく
    し、且つ、上記外スリーブ及び外モールドの熱膨張係数
    を上記リング状セラミックスの熱膨張係数より小さくす
    るとともに、上記粉体の周囲にカーボンシートを配置し
    たことを特徴とするリング状セラミックス焼成用カーボ
    ン型。
  2. 【請求項2】上記外モールドの材質がC/Cコンポジッ
    トであることを特徴とする請求項1記載のリング状セラ
    ミックス焼成用カーボン型。
  3. 【請求項3】上記内スリーブ及び外スリーブは、軸方向
    にスリットを設けた馬蹄形状であることを特徴とする請
    求項1又は2に記載のリング状セラミックス焼成用カー
    ボン型。
  4. 【請求項4】上記内モールドが、円錐台形状の殻部内モ
    ールドと中空形状の外周部内モールドからなり、殻部内
    モールドの外径及び外周部内モールドの内径が、下リン
    グ側に向かってテーパ状に広がっていることを特徴とす
    る請求項1、2又は3に記載のリング状セラミックス焼
    成用カーボン型。
  5. 【請求項5】上記殻部内モールドと外周部内モールドの
    間に、クリアランスが設けてあることを特徴とする請求
    項4に記載のリング状セラミックス焼成用カーボン型。
  6. 【請求項6】上記外周部内モールドが4個以上に分割さ
    れる構造であることを特徴とする請求項4又は5に記載
    のリング状セラミックス焼成用カーボン型。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012524706A (ja) * 2009-04-23 2012-10-18 サン−ゴバン・インダストリエ・ケラミク・レーデンタール・ゲー・エム・ベー・ハー セラミック成形部品を作成するための方法、装置、およびその使用
KR102132251B1 (ko) * 2019-01-31 2020-07-09 비씨엔씨 주식회사 실린더 또는 링 형태의 보론카바이드 소결체 제조방법 및 이를 이용한 플라즈마 장치용 엣지링 제조방법
KR20210019761A (ko) * 2019-08-13 2021-02-23 비씨엔씨 주식회사 열간가압 소결용 다층 적층 구조의 몰드
KR102249470B1 (ko) * 2020-05-19 2021-05-07 비씨엔씨 주식회사 입자성장을 억제한 고밀도 보론카바이드 세라믹 제조방법 및 제조된 세라믹 소결체

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