JP2001122640A - 封着用組成物 - Google Patents

封着用組成物

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JP2001122640A JP2000234788A JP2000234788A JP2001122640A JP 2001122640 A JP2001122640 A JP 2001122640A JP 2000234788 A JP2000234788 A JP 2000234788A JP 2000234788 A JP2000234788 A JP 2000234788A JP 2001122640 A JP2001122640 A JP 2001122640A
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寛 臼井
Masaru Segawa
優 瀬川
Yuichi Kuroki
有一 黒木
Eiji Ichikura
栄治 市倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】封着物の強度を高くできる封着用組成物を得
る。 【解決手段】質量百分率表示で、80%以上98.99
%未満のPbO−ZnO−B23−SiO2系結晶性低
融点ガラス粉末、0.01〜5%のジルコン粉末、1%
超19.99%以下のα−アルミナ粉末、0〜10%の
フィラーからなる組成物に、α−4PbO・B23結晶
粉末とPb34粉末が合量で0.0001〜3%外掛け
添加された封着用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーブラウン管
のパネルとファンネルとの封着に好適な封着用組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】カラーブラウン管のパネルとファンネル
とは、従来、PbO−ZnO−B23−SiO2系低融
点ガラスを含有する封着用組成物を用いて封着されてい
た。すなわち、前記封着用組成物をペースト化して封着
部に塗布し、これを440〜470℃に30〜40分程
度保持することによりパネルとファンネルとは封着され
る。封着されたパネルとファンネル(カラーブラウン管
バルブ)の内部は、その後300〜380℃の高温下に
おいて、10-6Torr以下の高真空に排気される。
【0003】特開平8−225341にはそのような封
着用組成物として、たとえば、PbO−ZnO−B23
−SiO2系低融点ガラスおよび4重量%のアルミナ粉
末を含有する封着用組成物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年カラーブラウン管
の大型化およびパネル面フラット化が進行し、それにと
もないカラーブラウン管バルブの重量が増加している
(パネル面フラット化にともなうカラーブラウン管バル
ブの強度低下を防止するために、さらにガラス厚さを増
加させる必要があり、前記重量が一層増加する傾向にあ
る。)。このためカラーブラウン管バルブの軽量化が求
められている。
【0005】大型のカラーブラウン管バルブを軽量化す
るためには、パネル、ファンネルのガラス厚さを小さく
する必要がある。しかしガラス厚さを小さくするとパネ
ルとファンネルの封着部の強度が低下する問題があっ
た。本発明は、以上の課題を解決し、封着された物(カ
ラーブラウン管バルブ等)の強度を高くできる封着用組
成物の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、質量百分率表
示で、80%以上かつ98.99%未満のPbO−Zn
O−B23−SiO2系結晶性低融点ガラスの粉末、
0.01〜5%のジルコン粉末、1%超かつ19.99
%以下のα−アルミナ粉末および0〜10%の低膨張セ
ラミックスフィラーから実質的になる組成物に、α−4
PbO・B23結晶粉末とPb34粉末との少なくとも
1種が合量で0.0001〜3%外掛けで添加されてい
る封着用組成物を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の封着用組成物は、通常は
ビヒクルと混合してペーストとされる。ビヒクルとして
は、酢酸イソアミルにニトロセルロースを溶解した溶液
が例示される。前記ペーストは、たとえばカラーブラウ
ン管のパネルとファンネルの封着する部分に塗布後焼成
される。この場合、焼成は、たとえば400〜450℃
に30〜40分保持することにより行われる。
【0008】本発明における結晶性ガラスとは、10℃
/分で昇温し350〜500℃に2時間保持する示差熱
分析において発熱ピークが生ずるガラスである。すなわ
ち前記条件において結晶化するガラスである。好ましく
は10℃/分で昇温し400〜450℃に2時間保持す
る示差熱分析において発熱ピークが生ずるガラスであ
る。本発明における低融点ガラスとは、軟化点が600
℃以下のガラスである。
【0009】本発明におけるPbO−ZnO−B23
SiO2系結晶性低融点ガラスとは、PbO、ZnO、
23およびSiO2を含有し、350〜500℃に保
持すると、時間経過とともに第1結晶(2PbO・Zn
O・B23)が出現し、次いで第2結晶(α−4PbO
・B23)が析出する結晶性ガラスである。好ましく
は、400〜450℃に保持したときに前述のように第
1結晶、第2結晶を析出するガラスである。
【0010】本発明における低膨張セラミックスフィラ
ーとは、室温〜300℃における平均線膨張係数(以下
単に膨張係数という。)が70×10-7/℃以下である
セラミック粉末である。ただし、ジルコン粉末およびα
−アルミナ粉末を除く。本発明の封着用組成物において
は、低膨張セラミックスフィラーは取り扱いやすさの点
から、コーディエライト、ムライト、チタン酸鉛、シリ
カ、β−ユークリプタイト、β−スポジュメンおよびβ
−石英固溶体からなる群から選ばれた1種以上からなる
ことが好ましい。
【0011】本発明の封着用組成物を用いて封着された
カラーブラウン管のパネルとファンネルの内部は、通
常、300〜380℃の高温下において10-6Torr
以下の高真空に排気される。この際、焼成された本発明
の封着用組成物は、流動したり発泡したりすることはな
い。
【0012】焼成された本発明の封着用組成物(以下焼
成体という。)の膨張係数は、カラーブラウン管のパネ
ル、ファンネルの膨張係数と整合させるために、70×
10 -7〜110×10-7/℃であることが好ましい。よ
り好ましくは80×10-7〜110×10-7/℃、特に
好ましくは85×10-7〜105×10-7/℃、最も好
ましくは90×10-7〜100×10-7/℃である。
【0013】次に、本発明の封着用組成物の組成につい
て、質量百分率表示を用いて以下に説明する。PbO−
ZnO−B23−SiO2系結晶性低融点ガラス粉末は
流動性を与える成分であり、必須である。98.99%
以上では焼成体の膨張係数が大きくなりすぎ、封着部が
割れるおそれがある。好ましくは98%以下である。8
0%未満では流動性が低下し、封着部の気密性が低下す
るおそれがある。好ましくは85%以上、より好ましく
は90%以上である。
【0014】ジルコン粉末は、結晶化を促進して焼成時
間を短くし、また焼成体の膨張係数を低下させて所定の
値にするための成分であり、必須である。5%超では流
動性が低下しすぎる。好ましくは1%以下、より好まし
くは0.5%以下である。0.01%未満では効果が小
さすぎる。好ましくは0.05%以上である。
【0015】α−アルミナ粉末は、強度を高くし、また
焼成体の膨張係数を低下させて所定の値にするための成
分であり、必須である。19.99%超では流動性が低
下しすぎる。好ましくは15%以下、より好ましくは1
0%以下である。1%以下では効果が小さすぎる。好ま
しくは1.5%以上、より好ましくは2%超、特に好ま
しくは2.5%以上、最も好ましくは4%超である。
【0016】低膨張セラミックスフィラーは焼成体の膨
張係数を低下させて所定の値にするための成分であり、
10%まで含有してもよい。10%超では流動性が低下
するおそれがある。より好ましくは7%以下、特に好ま
しくは5%以下、最も好ましくは2%以下である。
【0017】α−4PbO・B23結晶粉末およびPb
34粉末は結晶性低融点ガラス粉末の結晶化のための種
結晶であり、第2結晶(α−4PbO・B23)の析出
を促進する。少なくともいずれか一方の成分を含有する
ことが必須である。前記第2結晶の析出によりPbO結
晶の析出が抑制される。なお、前記PbO結晶の析出は
パネルとファンネルの封着部の電気絶縁性を低下させ
る。前記電気絶縁性は、前記封着部の外部と内部に電圧
(30000V)を印加し前記封着部の外部と内部との
間に流れる電流(リーク電流)により評価される。リー
ク電流は30nA以下であることが好ましい。ここでい
う封着部の内部とは、パネルとファンネルが封着された
カラーブラウン管バルブの内部の側の封着部の面であ
り、封着部の外部とは、前記カラーブラウン管バルブの
外部の側の封着部の面である。
【0018】上記4成分(PbO−ZnO−B23−S
iO2系結晶性低融点ガラス粉末、ジルコン粉末、α−
アルミナ粉末、低膨張セラミックスフィラー)の含有量
の合計を100質量部として質量部表示で表わしたα−
4PbO・B23結晶粉末およびPb34粉末の含有量
の合計、すなわち質量百分率表示の外掛けの添加量の合
計が3%超では焼結性が低下する。好ましくは1%以
下、より好ましくは0.3%以下である。0.0001
%未満では第2結晶の析出促進効果が小さい。好ましく
は0.0002%以上、より好ましくは0.0003%
以上、特に好ましくは0.001%以上、最も好ましく
は0.01%以上である。
【0019】α−4PbO・B23結晶粉末は、たとえ
ば次のようにして作製される。すなわちPbO:B23
=4モル:1モルとなるように調合した原料を900℃
で1時間溶解し、フレーク化し、次いで440℃で1時
間熱処理したものをボールミルで所定時間粉砕して粉末
化する。Pb34粉末は、たとえば市販のものを使用で
きる。
【0020】本発明の封着用組成物は実質的に上記成分
からなるが、この他に本発明の目的を損なわない範囲で
他の成分を外掛けの添加量として合量で5%まで添加し
てもよい。前記他の成分としては黒色耐熱顔料等の顔料
が例示される。
【0021】PbO−ZnO−B23−SiO2系結晶
性低融点ガラス粉末は実質的に質量百分率表示で、 PbO 71〜84%、 ZnO 8〜16%、 B23 7〜10%、 SiO2 1〜3%、 BaO 0〜3%、 CaO 0〜3%、 SrO 0〜3%、 Li2O 0〜3%、 Na2O 0〜3%、 K2O 0〜3%、 Al23 0〜5%、 Bi23 0〜10%、 からなることが好ましい。
【0022】質量百分率表示で、実質的に、 PbO 71.5〜78%、 ZnO 10.5〜14.5%、 B23 7〜10%、 SiO2 1.65〜3%、 BaO 0.1〜1.85%、 CaO 0〜1.5%、 SrO 0〜1.5%、 Li2O 0〜3%、 Na2O 0〜3%、 K2O 0〜3%、 Al23 0〜5%、 Bi23 0〜10%、 からなり、BaO、CaOおよびSrOの含有量の合計
が0.1〜1.85%であって、質量百分率表示のZn
O含有量と同表示のPbO含有量の比ZnO/PbOが
0.14〜0.20の範囲にあることがより好ましい。
【0023】上記組成について、質量百分率表示を用い
て以下に説明する。
【0024】PbOの含有量が71%未満では、軟化点
が高くなりすぎて流動性が低下し、強度の低下および/
または封着部の気密性の低下が起るおそれがある。好ま
しくは71.5%以上、より好ましくは74.5%以上
である。84%超では、軟化点が低くなりすぎ、排気の
際の昇温速度を充分に大きくできなくなるおそれがあ
る。好ましくは78%以下、より好ましくは77%以
下、特に好ましくは76%以下である。
【0025】ZnOの含有量が8%未満では、軟化点が
高くなりすぎ、結晶化しにくくなる。好ましくは9%以
上、より好ましくは10.5%以上、特に好ましくは1
1.5%以上、最も好ましくは12.1%以上である。
16%超では、ガラスの溶解中に失透が生成しやすくな
る。好ましくは14.5%以下、より好ましくは13.
5%以下である。
【0026】ZnOの含有量とPbOの含有量の比Zn
O/PbOは、短時間での封着と排気の際の高い昇温速
度とを両立させるパラメータであり、0.14〜0.2
0の範囲にあることが好ましい。0.14未満では、排
気の際の昇温速度を充分には大きくできないおそれがあ
る。より好ましくは0.15以上である。0.20超で
は、流動性が低下して強度が低下するおそれがあり、ま
た、結晶化しにくくなって短時間での封着が困難になる
おそれがある。より好ましくは0.18以下である。
【0027】B23の含有量が7%未満では、軟化点が
高くなりすぎ、流動性が低下する。好ましくは8%以上
である。10%超では、化学的耐久性が悪くなる。好ま
しくは9.5%以下である。
【0028】SiO2の含有量は、排気の際の昇温速度
を上げうるようにするための重要なパラメータである。
1%未満では、結晶化速度が大きくなりすぎ、排気の際
の昇温速度を充分には大きくできない。好ましくは1.
65%以上、より好ましくは1.7%以上である。許容
含有範囲の上限付近では下限付近ほど特性がドラスチッ
クには変化しないが、3%超では、軟化点が高くなりす
ぎ、流動性が低下する。好ましくは2.5%以下であ
る。
【0029】BaOは必須ではないが、短時間での封着
と排気の際の高い昇温速度とを両立させるために3%ま
で含有してもよい。3%超では、結晶化速度が小さくな
りすぎ、封着が短時間で行えなくなる。より好ましくは
1.85%以下、特に好ましくは1.80%以下であ
る。排気の際の昇温速度をより大きくしたい場合はBa
Oを0.1%以上含有することが好ましい。より好まし
くは0.6%以上である。
【0030】CaOおよびSrOは必須ではないが、ガ
ラスの溶解性を向上させるためにそれぞれ3%まで含有
してもよい。3%超では結晶化速度が小さくなりすぎる
おそれがある。より好ましくはそれぞれ1.5%以下で
ある。
【0031】BaO、CaOおよびSrOの合量は、接
着性向上のために、0.1〜1.85%であることが好
ましい。0.1%未満では接着性が向上しないおそれが
ある。好ましくは0.5%以上である。1.85%超で
は結晶化速度が小さくなりすぎるおそれがある。より好
ましくは1.8%以下である。
【0032】Li2O、Na2OおよびK2Oは必須では
ないが、ガラスの溶解性を向上させるためにそれぞれ3
%まで含有してもよい。3%超では電気絶縁性が低下す
るおそれがある。Al23は必須ではないが、化学的耐
久性を向上させるために5%まで含有してもよい。5%
超では流動性が低下するおそれがある。Bi23は必須
ではないが、流動性を高くするために10%まで含有し
てもよい。10%超では結晶化しにくくなるおそれがあ
る。
【0033】PbO−ZnO−B23−SiO2系結晶
性低融点ガラス粉末は実質的に上記成分からなることが
好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で上記成分
以外の成分を合量で3%まで含有してもよい。Fe23
等の着色剤が例示される。なお、ハロゲン、特にFは含
有しないことが好ましい。ハロゲン、特にFはカラーブ
ラウン管使用中にガス化しカラーブラウン管の電子銃の
特性を劣化させる(エミッションスランプ現象)おそれ
があるからである。
【0034】次に、本発明の封着用組成物によって封着
されたカラーブラウン管バルブ(以下単に本バルブとい
う。)について説明する。本バルブは、本発明の封着用
組成物をビヒクルと混合してペーストとし、このペース
トをパネルとファンネルの封着する部分に塗布後焼成す
ることにより製造される。本バルブに使用されるパネル
とファンネルの0℃〜300℃における平均線膨張係数
(以下JIS膨張係数という。)はJIS R3102
の規定に従って測定されるものであり、97×10-7
99×10-7/℃の範囲にあることが好ましい。
【0035】本バルブにおいて、パネルとファンネルが
封着された部分の強度(封着強度)は以下に述べる4点
曲げ強度試験法によって測定される。なお、8回測定を
行い、その平均値を封着強度とする。
【0036】(1)パネルおよびファンネルからそれぞ
れ60mm×30mm×9mmの試験片を切り出し、6
0mm×9mmの面を鏡面研磨する。一方、封着用組成
物をビヒクルと混練してペーストとする。ビヒクルとし
て酢酸イソアミルにニトロセルロースを質量百分率表示
で1.2%溶解したものを用いる。 (2)ファンネル試験片の鏡面研磨面にペーストを塗布
し、そのペースト塗布面に鏡面研磨面を合せるようにパ
ネル試験片を載置し、これを電気炉内で焼成してパネル
試験片とファンネル試験片を接合する。
【0037】(3)前記接合試験片の接合面に対して直
角方向に幅5mmの試験片(5mm×60mm×9m
m)を切り出し、強度試験片とする。 (4)前記強度試験片を用いて4点曲げ強度試験(上ス
パン:20mm、下スパン:50mm、クロスヘッドス
ピード:0.1mm/分)を行い強度を算出する。
【0038】封着強度が500kgf/cm2未満すな
わち500×0.098MPa未満ではカラーブラウン
管バルブの軽量化が困難である。好ましくは520kg
f/cm2以上すなわち520×0.098MPa以上
である。本バルブにおけるパネルとファンネルの封着部
の外部と内部に30000Vを印加したときに前記外部
と前記内部との間に流れる電流(リーク電流)が30n
A超では、該封着部が絶縁破壊するおそれがある。
【0039】
【実施例】常法にしたがって原料を調合、混合し、10
00〜1200℃で熔融し、ガラス化した。次いでこれ
を水砕またはローラに通すことによりフレーク状とし
た。次いでこれをボールミルにて所定時間粉砕し、表の
PbOからBaOまでの欄に質量百分率表示で示された
組成のガラスの粉末を製造した。表のZnO/PbOの
欄にZnOとPbOの含有量の質量比を示す。これらの
ガラスの軟化点は、表に℃表示で示すとおりいずれも6
00℃以下である。また、これらのガラス粉末を400
〜450℃に保持すると、時間経過とともに第1結晶
(2PbO・ZnO・B23)が出現し、次いで第2結
晶(α−4PbO・B23)が析出した。
【0040】次に、このガラス粉末、ジルコン粉末、α
−アルミナ粉末、低膨張セラミックスフィラー、Pb3
4粉末を、表のガラスからPb34までの欄に示す質
量割合で混合し、封着用組成物を調製した。例1〜例5
は実施例、例6〜例8は比較例である。なお、表中のβ
−eucr、β−spod、β−石英はそれぞれβ−ユ
ークリプタイト、β−スポジュメン、β−石英固溶体、
を略して表わしたものである。
【0041】この封着用組成物について、フローボタン
径(単位:mm)、接着残留歪(単位:nm/cm)、
膨張係数(単位:10-7/℃)を測定した。また、この
封着用組成物を、25型または29型のカラーブラウン
管のファンネル(JIS膨張係数:98×10-7/℃)
とパネル(JIS膨張係数:98×10-7/℃)の間に
介在させ、表に記載した焼成温度(単位:℃)に35分
間保持してファンネルとパネルを封着しバルブを製造し
た。このバルブについて、耐水圧強度(単位:kgf/
cm2すなわち0.098MPa)、耐熱強度(単位:
℃)、限界排気昇温速度(単位:℃/分)、封着強度
(単位:kgf/cm2すなわち0.098MPa)、
電気絶縁性を測定・評価した。測定・評価の結果を表に
示す。それぞれの測定・評価法は次のとおりである。
【0042】フローボタン径:封着時(焼成時)の流動
性を示す。封着用組成物の試料粉末10gを直径12.
7mmの円柱状に加圧成形後、表記載の焼成温度(単
位:℃)に35分間保持して得たほぼ円形の焼成体の直
径である。26mm以上であることが好ましい。
【0043】接着残留歪:封着用組成物とビヒクル(酢
酸イソアミルにニトロセルロース1.2%を溶解した溶
液)とを質量比11.5:1の割合で混合してペースト
とした。このペーストをファンネルガラス片の上に塗布
し、フローボタン径の場合と同条件で焼成後、ファンネ
ルガラス片と封着用組成物との間に発生した残留歪み
(圧縮歪み)をポーラリメータを用いて測定した。40
0nm/cm以下であることが好ましい。
【0044】膨張係数:封着用組成物をフローボタン径
の場合と同じ条件で焼成後、所定寸法に研磨して、熱膨
張測定装置により昇温速度10℃/分の条件で伸びの量
を測定し、室温〜300℃における平均線膨張係数を算
出した。70×10-7〜110×10-7/℃の範囲にあ
ることが好ましい。
【0045】耐水圧強度:25型バルブの内外に水によ
る圧力差を与え、破壊するときの圧力差を測定した。こ
の測定を5回行いその平均値を算出した。バルブとして
の強度を保証するためには、4.6kgf/cm2以上
すなわち4.6×0.098MPa以上であることが好
ましく、4.7kgf/cm2以上すなわち4.7×
0.098MPa以上であることがより好ましく、4.
8kgf/cm2以上すなわち4.8×0.098MP
a以上であることが特に好ましい。
【0046】耐熱強度:25型バルブの内外に水と湯に
より温度差を与え、破壊するときの温度差を測定した。
この測定を5回行いその平均値を算出した。カラーブラ
ウン管を製造する際の熱処理工程で発生する熱応力を考
慮すると、45℃以上であることが好ましい。
【0047】限界排気昇温速度:29型バルブの内部を
真空ポンプで排気しながら10-6Torrに維持しつつ
種々の昇温速度で昇温し、バルブが破壊しない限界の昇
温速度を求めた。バルブの排気工程における昇温速度の
上限値の指標である。15℃/分以上であることが好ま
しい。
【0048】封着強度:表に記載した焼成温度で焼成し
て作製した強度試験片を用いて4点曲げ強度試験法によ
り測定した。 電気絶縁性:封着部の内部と外部に30000Vを印加
したときのリーク電流を測定した。30nA以下のもの
を○で表示した。
【0049】例1〜例4の封着用組成物を用いて封着し
たバルブは、耐水圧強度および耐熱強度が高く、限界排
気昇温速度も充分に大きい。一方、例6〜例8の封着用
組成物を用いて封着したバルブは、耐水圧強度および耐
熱強度のいずれも低い。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明の封着用組成物を用いることによ
り、強度の高いカラーブラウン管バルブを提供でき、そ
の結果カラーブラウン管(パネル面フラット化のものを
含む。)の軽量化が可能になる。またバルブの排気工程
に要する時間を短くでき、製造費用を削減できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒木 有一 千葉県船橋市北本町1丁目10番1号 旭硝 子株式会社内 (72)発明者 市倉 栄治 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 4G062 AA08 AA09 BB04 DA03 DB01 DB02 DB03 DC03 DD01 DE03 DE04 DF07 EA01 EA02 EA03 EB01 EB02 EB03 EC01 EC02 EC03 ED01 EE01 EE02 EE03 EF01 EF02 EF03 EG01 EG02 EG03 FA01 FA10 FB01 FC01 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA02 GA03 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM11 MM25 PP01 PP02 PP03 PP04 PP05 PP06 PP09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量百分率表示で、80%以上かつ98.
    99%未満のPbO−ZnO−B23−SiO2系結晶
    性低融点ガラスの粉末、0.01〜5%のジルコン粉
    末、1%超かつ19.99%以下のα−アルミナ粉末お
    よび0〜10%の低膨張セラミックスフィラーから実質
    的になる組成物に、α−4PbO・B23結晶粉末とP
    34粉末との少なくとも1種が合量で0.0001〜
    3%外掛けで添加されている封着用組成物。
  2. 【請求項2】結晶性低融点ガラスが実質的に質量百分率
    表示で、 PbO 71〜84%、 ZnO 8〜16%、 B23 7〜10%、 SiO2 1〜3%、 BaO 0〜3%、 CaO 0〜3%、 SrO 0〜3%、 Li2O 0〜3%、 Na2O 0〜3%、 K2O 0〜3%、 Al23 0〜5%、 Bi23 0〜10%、 からなる請求項1に記載の封着用組成物。
  3. 【請求項3】低膨張セラミックスフィラーが、コーディ
    エライト、ムライト、チタン酸鉛、シリカ、β−ユーク
    リプタイト、β−スポジュメンおよびβ−石英固溶体か
    らなる群から選ばれた1種以上からなる請求項1または
    2に記載の封着用組成物。
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