JP2001121913A - 車両用セグメント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】建設車両、土木車両、オフロード車両などの車
両において、車輪リムの外周面に取付けられて車両を構
成するゴム製の車両用セグメントに関する。 【解決手段】車輪のリムの外周面に固定する装着部と、
該装着部から外側に立ち上がる両側壁部と、両側壁部相
互間にわたり延びる踏面部とを備えるゴム弾性体と、該
ゴム弾性体内部を貫通する中空部と、前記装着部とリム
との間の固定手段とを有する車輪用セグメントであっ
て、リムの外周面に周方向に向かって２列に装着され、
各セグメントの外側に位置する踏面部の車輪周方向の踏
面幅が、内側に位置する踏面幅よりも大きいことを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、建設車両、土木
車両、オフロード車両などの車両において、車輪リムの
外周面に取付けられて車両を構成するゴム製の車両用セ
グメントに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の車両用セグメントとしては、例
えば、出願人が先に特開平１０−１５９１０２号公報と
して提案したものがある。このセグメントは、図６に斜
視図として示すように、車輪３０のリム３１の外周面で
周方向に順次に装着するものであり、リム３１に固定さ
れる装着部３２と、この装着部３２のリム幅方向の左右
に立ち上がる側面部３３と、両側面部３３、３３を結ぶ
踏面部３４を設けると共に、これら各部３２、３３、３
４によって中空部３５が形成され、リム３１への装着に
供されるボルト３６を、装着部３２に埋設した補強プレ
ート３７を介して設けると共に、装着部３２から中空部
３５内へ突出する隆起部３８を設けたものである。な
お、図中、符号３９は、補強プレート３７から突出して
隆起部３８を補強するサポーター示す。

【０００３】かかる構成のセグメントを適用した車輪で
は、走行中の車両の垂直方向のばね定数を、リム３１の
周方向に延びる中空部３５の作用の下に柔らかくするこ
とで、車両の乗心地性能を高めると共に、突起乗越し時
の衝撃を緩和することができ、また、車両の荷役中の負
荷の作用に当っては、踏面部３４の内面が隆起部３８周
面へ当接することにより、車輪の余剰の圧漬変形を防止
することができる一方、負荷の解放に際しては、中空部
３５内面と隆起部３８周面との摩擦によるエネルギー吸
収に基づき、車両に生じる振動を有効に減衰させること
ができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、この種のセ
グメントを有する車輪は上述したように際立つ効果を発
揮する一方で、この車輪を装着した車両が、特に高速走
行で、一般路面や作業現場の硬質路面に形成された轍内
走行から通常路面へ移動する時、車両のオペレータの意
図とは無関係に、車両が左右に振られる現象が生じるこ
とが分かった。この現象は、一般にワンダリングと呼ば
れ、オペレータに余分な疲労を強いるばかりか、時には
事故などの危険をもたらすこととなる。従って、この発
明は、上記した利点を保持した上で、耐ワンダリング性
を向上させた車輪用セグメントを提供することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は以上の課題を解
決するためになされたものであって、その要旨は、車輪
のリムの外周面に固定する装着部と、該装着部から外側
に立ち上がる両側壁部と、両側壁部相互間にわたり延び
る踏面部とを備えるゴム弾性体と、該ゴム弾性体内部を
貫通する中空部と、前記装着部とリムとの間の固定手段
とを有する車輪用セグメントであって、リムの外周面に
周方向に向かって２列に装着され、各セグメントの外側
に位置する踏面部の車輪周方向の踏面幅が、内側に位置
する踏面幅よりも大きいことを特徴とするもので、好ま
しい形状としては、踏面部がリムの両外側において踏み
込み側の踏面縁より蹴り出し側の踏面縁がリムの中央側
に位置するものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】一般に、タイヤが路面に形成され
る轍の凹凸などの傾斜路面を乗り上げる向きに進入角を
もって横断しようとするとき、図４に示すように、タイ
ヤには路面からの反力ＦＲと傾斜路面との間に発生する
キャンバースラストＦＣによる横力ＦＹが働く。ここで
タイヤが例えばラジアルタイヤであると、従来のバイア
スタイヤに比べてタイヤの径方向剛性及び幅方向剛性が
高くなることから、前記反力ＦＲが大きく、キャンバー
スラストＦＣが小さくなるため、タイヤに働く横力ＦＹ
が大きくなる。即ち、傾斜路面を乗り上げるためには進
入角を大きくしなければならず、スムーズな乗り上げが
できないためワンダリング現象が発生することが判明し
ている。従って、かかるワンダリング現象を抑制するた
めには、キャンバースラストＦＣを増加させることによ
り、横力ＦＹを減少させることが有効である。そこで発
明者はこの点の検討を更に行い以下の知見を得た。

【０００７】このことを車両用セグメントについて更に
言えば、図５に示すように、キャンバースラストＦＣ
は、タイヤが傾斜路面に接地して撓み変形をしたときに
発生する側壁部７の倒れ込み変形がトレッド端近傍での
トレッド曲げ変形ｂ・ｓを起こし、この変形によるトレ
ッドの剪断変形Ｓ・ｓによって発生する傾斜路面を乗り
上げる向きの横力Ｆ・ｓの寄与が大きいのである。そこ
で、キャンバースラストＦＣを増加させるためには、前
記倒れ込み変形のトレッド端近傍への伝達によるトレッ
ドの曲げ変形ｂ・ｓを増加させれば良い。又、トレッド
端近傍の踏面が、特に傾斜路面に接触した時により広く
接地するようにすれば良いのである。

【０００８】以上の知見に基づいてなされた本発明は、
リムの外側のセグメント踏面縁部が轍の斜面に広く接す
るようになり、セグメントの側壁の倒れ込み変形による
踏面端近傍に伝達されるこの倒れ込み変形による踏面部
の剪断変形によって発生する傾斜路面を乗り上げる向き
の横力が大きくなり、このため、キャンバースラストＦ
Ｃが増大することになる。そして、請求項２の発明によ
れば、轍の斜面を乗り上げようとする力がより大きくな
るものである。更に言えば、ホイールの中央側ではセグ
メント相互の踏面間隔が広がるので、トラクション効果
をより高めることができることとなったものである。

【０００９】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づき説明
する。図１は本発明の車両用セグメントをリムに装着し
た際の切断側面図、図２はその表面側展開図である。図
１において、符号３０は車輪であり、車輪３０はリム３
１を備える。この車輪３０に装着するセグメント１０
は、リム３１の外周面に固定する装着部１１と、装着部
１１から放射方向外側に延びる両側壁部１２と、両側壁
部１２相互に渡り延びる踏面部１３とを備えるゴム弾性
体１４と、このゴム弾性体１４の内部を長手方向に貫通
する中空部１５ａ、１５ｂ、１５ｃと、装着部１１とリ
ム３１との間の固定手段１６を有する。

【００１０】図示例の各中空部１５には装着部１１より
隆起したゴムストッパー１５ｓを備えており、リム３１
の外表面に２列に配置されている。中空部１５ａ、１５
ｂ、１５ｃは内側より順次大きな中空部を形成している
ものであり、踏面部１３には周方向に延びる周溝１３
ａ、１３ｂ、１３ｃが形成され、更に、リム３１の外側
に該当する踏面部１３ｄ、１３ｅは後述するプレート１
７の屈曲に合わせてプレート１７側に後退した形状をも
ち、車輪が傾斜面に乗り上げた際に接地する機能を有し
ている例である。

【００１１】そして、周溝１３ａ、１３ｂの形状は外側
に切り込んだ深さをもつ溝であって、特に内側の溝縁部
は好ましくは曲面にて構成されるのが良い。尚、表面展
開図にて分かるように踏面部１３はリムの中央になるに
つれて踏面部１３の周方向長さが短くなっているもので
ある。

【００１２】固定手段１６は、リム３の外周面の半径と
略同心円の半径を有し、車輪１の回転軸線（図示せず）
と平行に延びる金属製プレート１７と固定用ボルト１８
とを有するもので、プレート１７と固定用ボルト１８と
は装着部１１内に埋設する。図示例のようにプレート１
７全体を埋設する場合及びプレート１７の内周面を露出
させる場合のいずれも可とする。尚、図においてプレー
ト１７及びリム３１は外側部を屈曲している例である
が、これがストレート状をなすものであってもよいこと
は勿論である。

【００１３】さて、車輪が傾斜面に接触して乗り上げる
際、傾斜面に接触する側、即ち車輪の外側の踏面部の周
方向幅Ｌが大きく取ってるため、傾斜面に幅広く接触す
ることが可能となったもので、轍などからの離脱が容易
になったものである。特に、図例のセグメントにあって
は、更にリムの外側の踏面部が比較的柔らかく構成さ
れ、かつリムの中央部よりも外側における踏面部が広い
面積にて傾斜面に接触するようにされているため、傾斜
面を乗り上げる力は大きく効果的となったものである。
更に、中央部にける踏面部間の間隔Ｗが広がることは走
行時に確実に路面を捕らえることとなるためトラクショ
ン効果をより増すこととなる。

【００１４】図３は本発明の第２例を示すセグメントの
踏面部１３側からの平面図である。踏面部の表面形状は
踏み込み側踏面縁よりも蹴り出し側踏面縁部を、外側よ
りも内側に後退させた例であり、特にタイヤの回転軸を
通る接地面に垂直な軸廻りでタイヤの回転に伴う傾斜面
を乗り上げようとするモーメントが働き、キャンバース
ラストＦＣを増加できることとなる。

【００１５】

【発明の効果】この発明によれば、車両の良好な乗り心
地性能、突起乗り越し時の優れた衝撃緩和性、車輪の余
剰の圧潰変形防止性、負荷解放時における車両の優れた
振動減衰特性など、従来のセグメントが有する性能を十
分に保持した上で、優れたワンダリング性を発揮するこ
とができる車両用セグメントを提供できた。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の車両用セグメントの一部切断断
面図である。

【図２】図２は図１の車両用セグメントの平面図であ
る。

【図３】図３は本発明の第２の車両用セグメントの平面
図である。

【図４】図４は一般のタイヤにおける傾斜路面を乗り上
げる際の説明図である。

【図５】図５は車両用セグメントにおける図４と同様の
説明図である。

【図６】図６は従来の車両用セグメントの説明図であ
る。

【符号の説明】

３０‥車輪、 ３１‥リム、 １０‥車両用セグメント、 １１‥装着部、 １２‥側壁部、 １３‥踏面部、 １４‥ゴム弾性体、 １５‥中空部、 １６‥固定手段、 １７‥金属製プレート、 １８‥固定用ボルト、 Ｌ‥踏面部の周方向の幅、 Ｗ‥中央部にける踏面部の間隔。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車輪のリムの外周面に固定する装着部
   と、該装着部から外側に立ち上がる両側壁部と、両側壁
   部相互間にわたり延びる踏面部とを備えるゴム弾性体
   と、該ゴム弾性体内部を貫通する中空部と、前記装着部
   とリムとの間の固定手段とを有する車輪用セグメントで
   あって、リムの外周面に周方向に向かって２列に装着さ
   れ、各セグメントの外側に位置する踏面部の車輪周方向
   の踏面幅が、内側に位置する踏面幅よりも大きいことを
   特徴とする車両用セグメント。
2. 【請求項２】 踏面部がリムの両外側において踏み込み
   側の踏面縁より蹴り出し側の踏面縁がリムの中央側に位
   置する請求項１記載の車両用セグメント。