JP2001118479A - 電流切断器 - Google Patents

電流切断器

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JP2001118479A
JP2001118479A JP29995199A JP29995199A JP2001118479A JP 2001118479 A JP2001118479 A JP 2001118479A JP 29995199 A JP29995199 A JP 29995199A JP 29995199 A JP29995199 A JP 29995199A JP 2001118479 A JP2001118479 A JP 2001118479A
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Masaaki Tone
政彰 刀根
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電池や電子基板や電池等の他の端子と接続す
る場合に、必ず必要とされたニッケルプレート等の接続
用の導体が不要となり、接続工程の簡素化が可能で、接
続不良の発生の可能性を低減することができる電流切断
器の提供を図らんとする。 【解決手段】 この電流切断器は、バイメタルやトリメ
タル等の温度変化によって変形する金属積層体3と、こ
の金属積層体の変形によって接点の開閉が行われる複数
の接点板1,2とが、ケーシング4に収納されている。
少なくとも1本の接点板1,2は、その一端がケーシン
グ4内に挿入され、他端がケーシング外に延設されたも
のである。ケーシング4内における一端は、上記の接点
を構成し、ケーシング4に延設された他端は、電池や電
子基板等の他の端子と、直接される端子を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、バイメタルやト
リメタル等の温度変化によって変形する金属積層体を用
いた電流切断器に関するもである。
【0002】
【従来の技術】従来より、バイメタルやトリメタル等の
温度変化によって変形する金属積層体(以下、特に必要
のないかぎり金属積層体と言う)を用いた電流切断器
は、電動機等の発熱により外部の温度が上昇した場合
や、電流切断器に高圧電流が流れた場合に、回路を切断
するために用いられている。今日、電気製品の小型化は
目ざましいものがあり、電流切断器にあっても、基板上
に他の素子と同じように配設されるため、その小型化の
要請は極めて強いものがある。例えば、ケーシングを含
めた全長が1cm以下、幅が5mm以下のものの開発が求め
られている。
【0003】従来の比較的小型の金属積層体を用いた電
流切断器については、2種類に大別することができる。
第1は、金属積層体自体は接点を構成せず、金属積層体
によって別体の可動接点板を動かす形式のものであり、
第2は、金属積層体自体が接点を構成する形式のもので
ある。
【0004】第1の形式の代表例を2種、図9を用いて
説明する。図9の(A)は、その1つ目の例を示したも
ので、このものは、可動接点板101を固定接点板10
2の上方に配位して、可動接点板101の下方に金属積
層体103を配位する。金属積層体103の基端は可動
接点板101の基端にカシメ等の固定手段104で固定
され、全体がケーシング105内に収納されている。そ
して、図9の(B)に示すように、温度上昇に伴い、金
属積層体103が反転することによって、可動接点板1
01を上方に押し上げて、両接点板101,102の接
触を断つ。この金属積層体103の反転は、ケーシング
105の外部の温度上昇による場合と、回路に高圧電流
が流れることよって可動接点板101が発熱し、この発
熱により金属積層体103が加熱される場合とがある
が、その何れにも対応するものである。
【0005】第1の形式の2つ目の例を、図9の(C)
に示す。このものは、可動接点板101を固定接点板1
02の上方に配位して、可動接点板101上に金属積層
体103を配位する。この金属積層体103の両端は、
可動接点板101の上面両端に設けられた支持部10
6,106によって支持されており、全体がケーシング
105に収納されている。そして、図9の(D)に示す
ように、温度上昇に伴い、金属積層体103が反転する
ことによって、可動接点板101を上方に引き上げて、
両接点板101,102の接触を断つ。この金属積層体
103の反転も、外部の温度上昇による場合と、回路に
高圧電流が流れた場合との何れにも対応する。
【0006】次に、第2の形式の代表的なものを図10
(A)に示す。このものは、金属積層体からなる可動接
点板107を固定接点板102の上方に配位した状態で
ケーシング105内に収納する。この可動接点板107
は反転可能な金属積層体によって構成されており、図1
0(B)に示すように、温度上昇に伴い、金属積層体か
らなる可動接点板107が反転することによって、固定
接点板102との接触を断つ。この可動接点板107の
反転は、ケーシング105の外部の温度上昇による場合
と、回路に高圧電流が流れることよって可動接点板10
7が発熱する場合とがあるが、その何れにも対応するこ
とは第1の形式の場合と同様である。
【0007】第1の形式の場合には、金属積層体には直
接通電しないため、金属積層体の導電性を考慮する必要
がないため、金属積層体としてバイメタルが用いられる
傾向に有り、第2の形式の場合には、金属積層体に直接
通電するため、金属積層体には導電性の良いトリメタル
が用いられる傾向に有る。但し、これらは一般的な傾向
に過ぎず、第1の形式のものにトリメタルが用いられ、
第2の形式のものにバイメタルが用いられる場合もあ
る。
【0008】これらの従来の電流切断器にあっては、各
接点板101,102,107は、通常、ベリリウムカ
ッパー等の抵抗値の極力小さな金属によって形成されて
おり、また、ケーシング105外に1.5〜3.0mm程
度が延設されているに過ぎず、例えば図10(A)に示
すように、電池108や電子基板等の他の端子109と
は、直接接続されることがなく、ニッケルプレート11
0等の他の接続用の導体を介して接続されているもので
ある。
【0009】ところが、これら従来の電流切断器は、次
の問題を有する。まず、従来の電流切断器は、電池や電
子基板や電池等の他の端子と接続する場合には、必ずニ
ッケルプレート110が必要となり、その分、溶接やロ
ー付け等の接続工程が多く必要となり、また、接続箇所
が多くなればなるほど接続不良が生ずる可能性も高くな
る。他の問題として、金属積層体103,107は、両
端が固定されていない方が、反転の動作が鋭敏である
が、上記の例では、少なくとも一端が固定されているた
め、鋭敏な動作が実現し難く、また、金属積層体10
3,107の自由度が小さく、反転時における開状態の
接点間の間隔(接点ギャップ)が小さくなり、これを大
きくするには、金属積層体や電流切断器全体を大きなも
のにする必要が生じる。特に、図10の第2の形式の場
合、金属積層体107は、反転作動をする部分107a
と、反転動作を行わない固定用の部分107bとを、1
枚の金属積層体107に形成するため、反転精度(反転
若しくは正転時の温度条件)にバラツキが大きくなると
言った課題も有する。また、上記の金属積層体は、バッ
テリーの保護回路として用いられる場合がある。詳しく
は、バッテリーが接続される回路に短絡が生じると、大
電流が流れ、バッテリが発熱して、最悪の場合、火災が
発生する場合がある。これを防ぐために、回路中に金属
積層体を配位し、大電流が流れた場合に、金属積層体が
反転して回路を遮断するようにしている。ところが、回
路が遮断されて暫くすると温度が低下して、金属積層体
が復帰し、通電状態となる。そのとき、回路の短絡状態
が修理されていないと、再度金属積層体が反転すること
となり、同じ状態が繰り返されることとなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本願発明
は、電池や電子基板や電池等の他の端子と接続する場合
に、必ず必要とされたニッケルプレート等の接続用の導
体が不要となり、接続工程の簡素化が可能で、接続不良
の発生の可能性を低減することができる電流切断器の提
供を目的とする。本願発明の他の目的は、反転時におけ
る開状態の接点間の間隔(接点ギャップ)を充分な大き
さにすることができ、金属積層体の大きさの選択の自由
度を高め、全体の小型化に有利であると共に、金属積層
体の俊敏な動作を実現して、反応精度を向上させること
ができる電流切断器の提供を目的とする。本願発明のさ
らに他の目的は、金属積層体の反転状態を長期に維持
し、より具体的には、バッテリが消耗するまで金属積層
体の反転状態を維持し得る電流切断器の提供を目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明は、バ
イメタルやトリメタル等の温度変化によって変形する金
属積層体と、この金属積層体の変形によって接点の開閉
が行われる複数の接点板とが、ケーシングに収納された
電流切断器において、この電流切断器の少なくとも1本
の接点板は、その一端がケーシング内に挿入され、他端
がケーシング外に延設されたものであり、ケーシング内
における一端が、上記の接点を構成し、ケーシングに延
設された他端が、電子基板や電池等の他の端子と直接接
続される端子を構成するものであることを特徴とする電
流切断器を提供する。この第1の発明に係る電流切断器
にあっては、少なくとも1本の接点板が、単にケーシン
グケーシング外に延設されているに止まらず、電子基板
や電池等の他の端子と直接接続される端子を構成する。
そのため、従来必要とされたニッケルプレート等の接続
用の導体が不要となり、接続工程の簡素化が可能で、接
続不良の発生の可能性を低減することができるものであ
る。
【0012】本願の第2の発明は、上記の第1の発明に
係る電流切断器において、ケーシングに2本の接点板が
配設され、この2本の接点板の各々が、その一端がケー
シング内に挿入され、他端がケーシング外に延設された
ものであり、この接点板が抵抗値10〜100μΩ−c
mの溶接性の良好な素材によって形成されたものである
ことを特徴とするものを提供する。抵抗値10〜100
μΩ−cmの溶接性の良好な素材としては、燐青銅、ス
テンレス、洋白、チタンカッパー等を例示できる。接点
板を、電子基板や電池等の他の端子と直接接続される端
子として使用する場合、溶接により接続することが多い
と考えられるが、その際、あまり抵抗値が小さいと溶接
性が悪くなり、逆に抵抗値が大きいと通電性が悪くな
る。そこで、上記の抵抗値10〜100μΩ−cmの溶
接性の良好な素材によって接点板を形成することによっ
て、接点板と電子基板や電池等の他の端子とを直接溶接
によって接続するのに適したものとなる。
【0013】本願の第3の発明は、上記の第1又は第2
の発明に係る電流切断器において、ケーシング内に形成
された収納空間内に互いに間隔をおいて2個の固定接点
が設けられ、この2個の固定接点が上記の接点板の各々
に設けられたものであり、上記の金属積層体が導電性を
有するものであり、両固定接点に対して接触離反する2
個の可動接点がこの導電性を有する金属積層体の両端に
設けられ、この金属積層体の両端がケーシング内に非固
定状態で配位されることにより、金属積層体が温度変化
によって変形する際にその両端が動くことができ、この
金属積層体が温度変化によって変形することにより、金
属積層体の各可動接点が各固定接点に接触して金属積層
体を介して通電する状態と、金属積層体を介して通電し
ない非接触の状態とが切り替わるものであることを特徴
とするものを提供する。本願の第3の発明に係る電流切
断器にあっては、金属積層体の両端に可動接点を設け、
この金属積層体の両端がケーシング内に非固定状態で配
位されいるため、金属積層体の動きの自由度が大きく、
反転時における開状態の接点間の間隔(接点ギャップ)
を充分な大きさにすることができる。また、従来のよう
に、金属積層体に反転動作を行わない固定用の部分を設
ける必要がないため、金属積層体の俊敏な動作を実現し
て、反応精度を向上させることができる。
【0014】本願の第4の発明は、上記の第1又は第2
の発明に係る電流切断器において、上記の接点板同士が
ケーシング内にて抵抗体によって接続され、この抵抗体
が金属積層体を介する回路とは並列な回路を構成するこ
とを特徴とするものを提供する。本願の第4の発明にお
ける電流切断器にあっては、回路中に短絡が生じて、金
属積層体が反転して、上記接点が開いても、接点板同士
を接続する抵抗体を通じて多くの電流が流れ、抵抗体が
発熱する。この発熱により、金属積層体の反転状態が維
持される。これにより、金属積層体の反転にて接点が開
いても、バッテリーからの電流は抵抗体を通じて流れ続
けて、バッテリーが消耗するまで、発熱状態が維持され
る。そして、バッテリーが完全に消耗し、バッテリーの
発熱や火災の発生のおそれがなくなった状態で、温度が
低下して、金属積層体が復帰し、接点が閉じる。尚、本
願の発明の説明において、上下左右は相対的な位置関係
を示すに止まり、上下を反対として実施することができ
ることは言うまでもない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本願発明の実
施の形態を説明する。図1は本願発明の実施の形態に係
る金属積層体を用いた電流切断器の平面図であり、図2
は通電状態における図1のA−A線に沿った断面図であ
り、図3は非通電状態における図1のA−A線に沿った
断面図であり、図4は同右側面図である。
【0016】この電流切断器は、1対の固定接点板1,
2と、温度変化によって変形する金属積層体3とをケー
シング4に収納した電流切断器であり、金属積層体3
が、両固定接点板1,2に対して接触離反する可動接点
板として機能するものである。この電流切断器は、ケー
シング4の外形寸法が、長さ6.2mm、幅3.8mm、高
さ1.3mmの世界最小級のものとして実施され得る。
【0017】ケーシング4は、合成樹脂等の非導電性材
料によって形成されたもので、この例では、上部材41
と下部材42とからなり、両者を合わせて必要に応じて
密閉することにより、固定接点板1,2及び金属積層体
3を収納する収納空間43を備えたケースを構成する。
ケーシング4は、耐水性を持たせるために密閉しておく
ことが好ましい。この上部材41と下部材42との密閉
は、両部材41,42をUV樹脂やエポキシ樹脂等の接
着剤で接着することによって行ってもよいが、この例で
は、超音波により両部材41,42を溶着している。
【0018】ケーシング4について更に詳しく説明する
と、ケーシング4は、その一端(図1の左端)に、一方
の固定接点板1を導入する溝状の導入口(図示せず)を
有し、他端(図1の右端、図4)に、他方の固定接点板
2を導入する溝状の導入口45を有する。両固定接点板
1,2は、一端が上記の各導入口45からケーシング4
の収納空間43内に挿入され、他端がケーシング4の外
に延設されたものである。以下、両固定接点板1,2の
収納空間43内に挿入された部分を挿入部分1a,2a
と言い、ケーシング4の外に延設された部分を延設部分
1b,2bと言う。
【0019】両固定接点板1,2は、ケーシング4の成
形に際して(さらに詳しくはケーシング4の下部材42
の成形に際して)、当該成形用の型内に配位してインサ
ート成形されることにより、固定されている。これによ
り、組立に際しては、両固定接点板1,2とケーシング
の下部材42とは一体となった1つの部品として取り扱
うことができ、他の部品としては、ケーシングの下部材
41と、金属積層体3との3部品となり、組立工程が簡
素化され、部品管理も容易となる。但し、インサート成
形を行わずに、ケーシング4のみを成形しておき、組立
時に、固定接点板1,2をケーシング4に固定するよう
にしてもよい。具体的には、ケーシング4の上部材41
と下部材42との間に両固定接点板1,2を挟んで組み
立てることができる。その際、図示は省略するが、ケー
シングの上部材41又は下部材42にピンや凸部を設
け、この各固定接点板1,2にピン挿通孔や凹部を設け
ておくことにより、強固な固定が可能となる。
【0020】両固定接点板1,2は、導電性の金属から
なる板状体であり、収納空間43内に配位された先端に
は、固定接点11,21を有する。両固定接点11,2
1は、両接点板1,2をプレスやカシメ等によって変形
させて形成することができるが、このプレスやカシメの
場合、接点11,21を設けた反対側の面に脹らみが出
来てしまい、その分、上下に無駄な間隔を必要としてし
まう。そのため、この例では、アウトレイを採用するこ
とにより背面の脹らみを無くし、小さな収納空間43
(例えば、高さ1.3mmのケーシング4の場合、収納空
間43の高さは0.6mmとなる)を有効利用することが
できる。言い換えると、脹らみがない分、接点が開いた
時の接点ギャップ両固定接点11,21間の間隔を大き
くすることができる。この固定接点板1,2のケーシン
グ4の外に延設された延設部分1b,2bは、直接、電
子基板や電池等の他の端子と接続される端子を構成する
ものであるが、これについては、各実施の形態に共通す
るものとして、最後に説明する。
【0021】次に、金属積層体3は、温度変化に応じて
形状が変化する素材で形成され、通常は熱膨張率の異な
る3種の金属層からなるトリメタルを用いているが、金
属積層体3を介して通電が可能であれば、2層のバイメ
タルや、4層以上のものであってもよい。この金属積層
体3は、温度変化によって徐々に形状が変化するもので
あってもよいが、温度変化によって反りの方向が切り替
わる正転反転型のもの、特に、温度の上昇により反転
し、温度の低下によって復帰するものが、熱応答性が良
好で、精度が高くなる点で好ましい。この例では、熱膨
張率の高い層が下側に、熱膨張率の低い層が上側に位置
するように金属積層体3を配位したものである。そし
て、常時の通電状態では、金属積層体3の中央が上方に
膨らむように反っている。トリメタルの場合、高膨張側
にニッケル−クロム−鉄の合金や、ニッケル−マンガン
−鉄の合金を用い、低膨張側にニッケル−鉄の合金を用
い、その中間に銅やニッケル等の導電性の高い金属を配
位するのが適しているが、用いる金属は適宜変更し得
る。
【0022】ここで、金属積層体3の最も望ましい形態
を、図5を参照して説明する。この金属積層体3は、正
転反転型の金属積層体で、略部分球面状をなしている。
ここで、部分球面とは、球面からその一部を切り出した
形状を意味しており、略部分球面状とは、完全な球面で
はなくとも玉子形等の球面に近い形状から、その一部を
切り出した形状を意味している。また図5では、球面の
形状を誇張して描いているが、この球面の湾曲率は適宜
変更して実施し得る。図5の金属積層体3の例は、図5
(A)に示すように、球面の一部を、一つの平面で切り
取った平面視円形の仮想部分球面kを、さらに平面視長
方形状に切り取った形状としたものである。但し、この
図5(A)は、図2、図3に示す装着状態の金属積層体
3を裏返しにして描いているものである。従って、この
金属積層体3は、図2、図3に示す装着状態では、図5
(B)の中央横断面でも、(C)の中央縦断面でも、中
央部分31を中心に、何れの方向に向かっても漸次下降
する形状をなしている。そして、反転した場合には、中
央部分31を中心に反転して、反対側に(図では、中央
部分31が下方になるように反るものである。図中、3
2は金属積層体3の長手方向の一端を示し、33は他端
を示す。また、34,34は、金属積層体3の側辺を示
す。尚、このように、平面視力長方形状としたのは、幅
が限られたケーシング4にあって、ケーシング4の大き
さが許す最大限の大きさ(一端32から他端33までの
長さ)の金属積層体3を得るために行ったものであり、
ケーシング4の幅を大きくして実施する場合には、仮想
部分球面kと同じ形状の金属積層体を用いることもでき
る。
【0023】そして、この金属積層体3は、両端32,
33に、可動接点35,36が形成されている。常時の
通電状態では、金属積層体3の中央部分31が上方に膨
らむように反っており、金属積層体3の両端32,33
がケーシング4の収納空間43の下方に位置して、固定
接点板1,2の固定接点11,21に接触して通電状態
となっている。このとき、金属積層体3の中央部分31
がケーシング4の収納空間43の上面に当接することに
よって、金属積層体3の両端の可動接点35,36が固
定接点板1,2の固定接点11,21に、適度の接圧で
接触した状態を保っている。この接触を良好になすた
め、ケーシング4の収納空間43の上面には、凸部46
が形成されているが、必ずしも設ける必要はない。この
ように、金属積層体3の中央部分31の上面が収納空間
43の上面と当接し、金属積層体3の両端32,33
が、その下に位置する固定接点11,21に当接する状
態とすることによって、中央部分31と両端32,33
が突っ張った状態となり、金属積層体3は自由状態で反
転可能であるにもかかわらず、金属積層体3は動かず
に、接点同士の接触状態が安定する。しかも、金属積層
体3の持つ反り(湾曲度)よりも小さな反りで、ケーシ
ング4の収納空間43内に配位することによって(即
ち、金属積層体3を弾性変形した状態で配位することに
よって)、金属積層体3の弾性が、固定接点11,21
と可動接点35,36との接圧として現れる。これによ
り、接点11,21,35,36の接圧が大きくなり、
接触抵抗が安定すると言った利点がある。
【0024】この金属積層体3の長さは、両固定接点板
1,2の固定接点11,21間の間隔以上であることを
条件に適宜変更して実施し得るが、この例では、収納空
間43の略全長(一端から他端まで)に渡って配位され
ており、収納空間43の許す範囲で最大限の大きさを確
保している。このように、金属積層体3の大きさを極力
大きくすることは、金属積層体3の成形時(ディスク
フォーミング時)の標準偏差が小さくなり、金属積層体
3の反転精度の向上に有利となる。
【0025】次に、金属積層体3が温度上昇によって反
転した状態を図3に示す。この図3に示されるように、
金属積層体3の反転によって、中央部分31が下方に突
出するように反ることにより、両端の可動接点35,3
6が上方に移動して、固定接点11,21との接触が離
れ、非通電状態となる。このとき、金属積層体3の両端
32,33は、固定されていないため、この反転の際に
は、自由状態となって無理なく反転する。また、中央部
分31についても、固定されていないため、この反転の
際には、自由状態となって無理なく反転する。また、反
転後、中央部分31は収納空間43の下面に当接し、金
属積層体3の両端32,33は収納空間43の上面に当
接した状態となるため、金属積層体3が収納空間43内
で遊ぶことがなく、固定と可動の両接点11,21,3
5,36間に充分な間隔を維持することがでる。この遊
びのない状態を得るため、収納空間43の下面には、凸
部47が形成されているが、必ずしも設ける必要はな
い。
【0026】上記のように、接点が開いて非通電状態と
なり、金属積層体3の温度が所定の復帰温度まで低下す
ると、金属積層体3が反転状態から図2の正転状態に復
帰し、固定接点11,21と可動接点35,36とが接
触して通電状態となる。
【0027】この金属積層体3の温度上昇による反転
は、ケーシング外部の温度上昇によって生ずる他、両固
定接点板1,2間に短絡電流(数100Aの大電流)が
流れた場合に、両固定接点板1,2及び金属積層体3が
発熱することによっても生ずる。尚、この例では、金属
積層体3の中央部分31を固定していないが、中央部分
31をケーシング4に固定して実施することもできる。
但し、この場合、反転動作の俊敏性が若干低下するおそ
れが生ずる。
【0028】次に、図6,図7に基づき他の実施の形態
について説明する。この実施の形態では、先の実施の形
態と同じ構成に加えて、両固定接点板1,2同士を抵抗
体5,5によって接続する構成を付加したもので、抵抗
体5,5によって接続され、この抵抗体が金属積層体3
を介する回路とは並列な回路を構成するものである。こ
の例では、抵抗体5,5は抵抗値の大きな金属板を、両
固定接点板1,2の固定接点11,21上に渡したもの
である。抵抗体5,5は、少なくとも1本あれば足りる
が、この例では、ケーシング4の収納空間43の両側に
2本渡している。また、金属板とせずに、カーボン含有
樹脂等の導電性を有するものの抵抗値が高い樹脂を、固
定接点板1,2間に塗布して、抵抗体としてもよい。
尚、図6では、抵抗体5,5を右上がりの斜線で示して
いる。抵抗体5,5は、収納空間43の下面の凸部47
の両側に配位されており、この収納空間43の下面の凸
部47は、図6に表されているケーシング4の収納空間
43の上面の凸部46より一回り小さく形成されてい
る。
【0029】この電流切断器にあっては、常時は抵抗値
の低い金属積層体3を通じて大部分の電流が流れ、抵抗
体5,5は発熱しない。そして、両固定接点板1,2間
に短絡電流(数100Aの大電流)が流れると、両固定
接点板1,2及び金属積層体3が発熱して、金属積層体
3が反転する。これにより、前記の固定接点11,21
と可動接点35,36とが開くが、接点板1,2同士を
並列に接続する抵抗体5,5を通じて電流が流れ、抵抗
体5,5が発熱する。金属積層体3は、この発熱の影響
を受ける程度に抵抗体5,5の近くに位置しているた
め、抵抗体5,5の発熱の影響により、金属積層体3は
復帰温度まで温度が低下せず、反転状態が維持される。
これにより、金属積層体3が反転しても、回路の電流は
抵抗体5,5を通じて流れ続ける。そして、例えば回路
の電源としてバッテリー(図示せず)が用いられている
場合、バッテリーの放電が完了するまで、抵抗体5,5
の発熱状態が維持され、金属積層体3は復帰しない。そ
して、バッテリーが完全に消耗し、バッテリーの発熱や
火災の発生のおそれがなくなった状態で、温度が低下し
て、金属積層体3が復帰し、接点が閉じる。
【0030】各実施の形態において、固定接点板1,2
のケーシング4の外に延設された延設部分1b,2b
は、直接、電子基板や電池等の他の端子と接続される端
子を構成する。この接続例を図8に示すが、この例で
は、電池61や電子基板62等の他の端子63,64と
直接接続されているものであり、従来用いられていたニ
ッケルプレート等の他の接続用の導体を必要としない。
この固定接点板1,2の延設部分1b,2bの長さは5
mm以上、特に、5〜10mmが適当であるが、これに限定
されるものではなく、溶接等によって端子を接続又は固
定し易い長さとすればよい。また、この固定接点板1,
2の材質としては、燐青銅、ステンレス、洋白、チタン
カッパー等が適当であるが、他の材質としてもよい。ま
た、電流切断器の構造は、先の実施の形態のものに限定
されるものではなく、バイメタルやトリメタル等の金属
積層体の反転と復帰によって接点の開閉が行われる種々
の形式の電流切断器に適用できるものであり、固定接点
板のみならず、可動接点板の一端がケーシング外に延設
されたものでも、電子基板や電池等の他の端子と直接接
続することができるものとして実施することができる。
いずれの場合にも、ニッケルプレート等の接続用の導体
を必要とせずに、他の機器との接続が可能となり、接続
不良の発生の可能性を減少させ、製造コスト、組立コス
トの低減に有利であるという効果が生ずる。
【0031】以上の実施の形態においては、金属積層体
3はケーシング4の収納空間43の両端間の長さに略等
しいものとして実施したが、その長さは、必要とされる
金属積層体の精度によって設計変更し得る。即ち、本願
発明では、金属積層体3の大きさは、従来の例と異な
り、両接点板1,2の大きさにより制限を受けることな
く自由に設定できるものである。尚、金属積層体3の反
転正転の作動温度は適宜変更して実施し得ることは言う
までもない。
【0032】
【発明の効果】以上のように、本願の第1の発明は、電
池や電子基板や電池等の他の端子と接続する場合に、必
ず必要とされたニッケルプレート等の接続用の導体が不
要となり、接続工程の簡素化が可能で、接続不良の発生
の可能性を低減することができる電流切断器を提供する
ことができたものである。本願の第2の発明は、上記の
第1の発明の効果を確実に発揮することができ、接点板
と電池や電子基板や電池等の他の端子とを溶接によって
直接接続するのに適した電流切断器を提供することがで
きたものである。本願の第3の発明は、反転時における
開状態の接点間の間隔(接点ギャップ)を充分な大きさ
にすることができ、金属積層体の大きさの選択の自由度
を高め、全体の小型化に有利であると共に、金属積層体
の俊敏な動作を実現して、反応精度を向上させることが
できる電流切断器の提供を目的することができたもので
ある。本願の第4の発明は、金属積層体の反転状態を長
期に維持し、より具体的には、バッテリが消耗するまで
金属積層体の反転状態を維持し得る電流切断器を提供す
ることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の実施の形態に係る金属積層体
を用いた電流切断器の平面図である。
【図2】通電状態における図1のA−A線に沿った断面
図である。
【図3】非通電状態における図1のA−A線に沿った断
面図である。
【図4】同右側面図である。
【図5】(A)は裏返しにした状態の金属積層体の斜視
図である。(B)(C)は(A)の金属積層体を表向け
て装着状態にした状態の断面を示すもので、(B)は中
央横断面図であり、(C)は中央縦断面である。
【図6】本願発明の第2の実施の形態に係る金属積層体
を用いた電流切断器の平面図である。
【図7】接点が開いた状態における図6のB−B線に沿
った断面図である。
【図8】本願発明の電流切断器の接続状態の説明図であ
る。
【図9】従来例の説明図であり、(A)は第1の例の通
電状態、(B)は第1の例の非通電状態、(C)は第2
の例の通電状態、(D)は第2の例の非通電状態を示す
ものである。
【図10】(A)は第3の従来例の通電状態、(B)は
第3の従来例の非通電状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 固定接点板 2 固定接点板 3 金属積層体 4 ケーシング 5 抵抗体 11 固定接点 21 固定接点 35 可動接点 36 可動接点

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バイメタルやトリメタル等の温度変化に
    よって変形する金属積層体と、この金属積層体の変形に
    よって接点の開閉が行われる複数の接点板とが、ケーシ
    ングに収納された電流切断器において、この電流切断器
    の少なくとも1本の接点板は、その一端がケーシング内
    に挿入され、他端がケーシング外に延設されたものであ
    り、ケーシング内における一端が、上記の接点を構成
    し、ケーシングに延設された他端が、電子基板や電池等
    の他の端子と直接接続される端子を構成するものである
    ことを特徴とする電流切断器。
  2. 【請求項2】 ケーシングに2本の接点板が配設され、
    この2本の接点板の各々が、その一端がケーシング内に
    挿入され、他端がケーシング外に延設されたものであ
    り、この接点板が抵抗値10〜100μΩ−cmの溶接
    性の良好な素材によって形成されたものであることを特
    徴とする請求項1記載の電流切断器。
  3. 【請求項3】 ケーシング内に形成された収納空間内に
    互いに間隔をおいて2個の固定接点が設けられ、この2
    個の固定接点が上記の接点板の各々に設けられたもので
    あり、上記の金属積層体が導電性を有するものであり、
    両固定接点に対して接触離反する2個の可動接点がこの
    導電性を有する金属積層体の両端に設けられ、この金属
    積層体の両端がケーシング内に非固定状態で配位される
    ことにより、金属積層体が温度変化によって変形する際
    にその両端が動くことができ、この金属積層体が温度変
    化によって変形することにより、金属積層体の各可動接
    点が各固定接点に接触して金属積層体を介して通電する
    状態と、金属積層体を介して通電しない非接触の状態と
    が切り替わるものであることを特徴とする請求項1又は
    2記載の電流切断器。
  4. 【請求項4】 上記の接点板同士がケーシング内にて抵
    抗体によって接続され、この抵抗体が金属積層体を介す
    る回路とは並列な回路を構成することを特徴とする請求
    項1乃至3の何れかに記載のバイメタルを用いた電流切
    断器。
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