JP2001118113A - 紙幣収納放出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】大小さまざまな混在紙幣を取扱うため、テープ
幅を中央１本で構成すると、軸方向でテープによる挟持
点より紙幣端までの距離が長く紙幣の折れ癖やカール等
による収納放出時の信頼性の確保が困難であった。 【解決手段】上記問題を解決する手段として本発明は、
スクレーパ両脇にスクレーパガイドと、搬送ローラ両脇
に多段の放出用紙幣ガイドを具備した。多段の放出用紙
幣ガイドは紙幣搬送面より空転ローラ方向に傾斜してお
り、中央より両外側に向かうほど傾斜角の支点位置がホ
イール側から遠ざかるように構成することにより、小サ
イズ紙幣や紙幣の折れやカール癖等の悪条件紙幣でも収
納放出が可能な低コストで高信頼性の紙幣収納放出装置
を供給することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、金融機関等で使用
される現金自動取引装置や、自動販売機等に搭載される
紙幣の収納、放出を行う紙幣収納放出装置および紙幣収
納放出装置を適用した紙幣自動入出金機に係わり、特に
ホイール、リール間でテープを巻き取り、巻き戻すこと
によって紙幣の収納、放出を行う紙幣収納放出装置およ
び紙幣収納放出装置を適用した紙幣自動入出金機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ホイールにテープと紙幣とを巻き取るこ
とで収納し、逆に巻戻すことで放出する方式の紙幣収納
放出装置は、簡素な構成で小型、低コストの装置を実現
できるというメリットがある。この方式の紙幣収納放出
装置としては、例えば特開平8−96191号公報に示されて
いるような、１本テープをホイールとリールに巻き付け
た基本的な構成に、紙幣の収納繰出し補助手段を付加し
た装置が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記の従来例は紙幣の
長辺方向に収納、放出を行う方式であり、紙幣の長辺寸
法が長いために紙幣の挟持点間隔を大きく設計できると
いう特徴と、テープ幅を短く設計しても軸方向でテープ
による挟持点より紙幣端までの距離が短いため、紙幣の
折れ癖やカール等でも信頼性が確保できる特徴を有して
いる。

【０００４】然るに紙幣の短辺方向に収納する方式と比
較すると、同一の収納枚数におけるホイール径が増大
し、装置を小型化できないという問題があった。

【０００５】また従来の装置では紙幣の挟持点間距離を
小さく構成し難く、外国紙幣の小サイズ紙幣を取扱うこ
とが困難であった。

【０００６】紙幣を短辺方向に収納する１本テープの紙
幣収納放出装置ではホイール径の増大を長辺方向より抑
えることで挟持点間距離を小さく構成でき、外国紙幣の
小サイズ紙幣を取扱うことができる。

【０００７】しかし、大小さまざまな混在紙幣を取扱う
ため、テープ幅を中央１本で構成すると、軸方向でテー
プによる挟持点より紙幣端までの距離が長く紙幣の折れ
癖やカール等の悪条件紙幣の収納放出の信頼性の確保が
困難である。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決する手段
として本発明は、スクレーパ両脇にスクレーパガイド
と、搬送ローラ両脇に多段の放出用紙幣ガイドを具備し
た。多段の放出用紙幣ガイドは中央より両外側に向かう
ほど傾斜角の支点位置がホイール側から遠ざかるように
構成し、放出用紙幣ガイドの先端部は紙幣搬送面より外
側に向かうほど離れるように構成することで、放出する
紙幣が中央より偏ったり、または傾いたり紙幣条件とし
て折れやカール癖等があっても安定して放出可能な紙幣
収納放出装置を実現した。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図を参
照して説明する。

【００１０】図１０は本発明の紙幣収納放出装置３を適
用した紙幣自動入出金機８の側面図を示す。ここで、顧
客による入金取引時の紙幣の流れについて説明する。顧
客により寸法の異なる各金種混在紙幣が入出金口１に一
括投入されると、入出金口１で１枚ずつに分離され搬送
路６に繰り出される。繰り出された紙幣は矢印Ａで示す
搬送路６を通り、鑑別装置２で金種の判別後に紙幣収納
放出装置３に各金種混在で一時収納される。顧客により
金額確認が得られて入金取引が成立すると、紙幣収納放
出装置３内の各金種混在紙幣を放出し、矢印Ｂで示す搬
送路６を通り、各金種毎の還流カセット５または入金カ
セット４に収納する。このように、本発明の紙幣収納放
出装置３は、紙幣自動入出金機８の一時スタッカとして
適用されている。

【００１１】図１は本発明の紙幣収納放出装置３の全体
構成を示した側面図であり、図３は図１の斜視図、図４
は図１の平面図である。また、図２は本装置に装置外部
より搬送されてきた紙幣を最大枚数収納した状態の側面
図である。

【００１２】図１，図２，図３，図４を用いて本発明の
紙幣収納放出装置３の全体構成を説明する。

【００１３】リール２０に固定し、巻き付けられたテー
プ３０の一端は、中間ローラ（第１ローラ）４２の外周
面を介してホイール１０に取付けられている。このテー
プ幅は紙幣の挟持力、収納紙幣の面外変形の拘束力、テ
ープ強度などから必要な寸法に決定される。

【００１４】次にホイール１０の軸には、ホイール１０
とほぼ同じ直径で空転する補助ホイール１１、（ドラム
部材）が具備されている（二点鎖線で表示）。中間ロー
ラ４２の左右に中間ローラ４２軸に固定した搬送ローラ
（第３ローラ）４１を配置し、搬送ローラ４１の上部に
搬送ローラ４１に圧接する空転ローラ（第２ローラ）４
０が配置してある。中間ローラ４２の上部には、空転ロ
ーラ４０軸を中心に揺動するスクレーパ（第２紙幣ガイ
ド）５０が配置してあり、このスクレーパ５０の両脇に
はスクレーパガイド（第３紙幣ガイド）５３が固定さ
れ、スクレーパ用ばね５２で上方に持上げられたスクレ
ーパ５０の先端は、常時ホイール１０に巻付いたテープ
３０の外周面に接触している。また、スクレーパ５０の
中間位置に空転する補助ローラ５１が固定してあり、補
助ローラ５１とテープ３０は常時接触する。

【００１５】さらに、紙幣収納の際に紙幣をホイール１
０の外周面に無理なく倣わせるための紙幣ガイド６０が
搬送ローラ４１の軸を中心として揺動するように配置し
てあり、形状の一部は図２に示すような紙幣の収納によ
るホイール１０に巻付いたテープ３０の最大径よりも大
きな円弧形状からなり、紙幣ガイド用ばね６１で上方に
持上げられている。

【００１６】また、空転ローラ４０の両脇には多段の放
出用紙幣ガイド（第１紙幣ガイド）７０を具備する。

【００１７】なお、ホイール１０，リール２０は図示し
ないモータと、リール軸にはトルクリミッタを具備し、
テープテンションがほぼ一定となるように制御しながら
回転駆動され、ホイール１０，リール２０それぞれにテ
ープの巻取り、巻戻しを行うことができる。

【００１８】テープ３０の厚さは極力薄く、また、テー
プ幅を狭く構成することおよび空転する補助ホイール１
１（ドラム部材）の採用によりホイール１０軸の慣性負
荷を低減し、紙幣の処理速度を高速化することができ
る。以上が本発明の基本構成である。

【００１９】次に紙幣の収納動作について説明する。

【００２０】図１に示す矢印方向から紙幣１００が搬送
されてくると、ホイール１０を反時計方向に回転駆動
し、リール２０に巻付いているテープ３０をホイール１
０に巻取る。また、中間ローラ４２は自身の外周面に巻
付いたテープ３０との摩擦力で回転駆動し、中間ローラ
４２軸に固定してある搬送ローラ４１と空転ローラ４０
が回転駆動される。よって、装置外部より搬送されてき
た紙幣１００は搬送ローラ４１と空転ローラ４０で挟持
しホイール方向に搬送され、次に補助ローラ５１とテー
プ３０で挟持し、ホイール１０の外周面にテープととも
に巻き付けて収納される。収納される際に、紙幣ガイド
６０により収納される紙幣１００をホイール１０の外周
面に無理なく倣わせるように案内する。従って、装置外
部より搬送されてくる各金種混在紙幣１０１を、ホイー
ル１０の外周面にテープ３０とともに巻き取り順次収納
することで図２に示すように各種混在紙幣１０１を収納
することができる。このように各金種混在紙幣１０１を
収納することによりホイール外周径が大きくなり、スク
レーパ５０および紙幣ガイド６０がそれに合わせ移動す
ることになる。

【００２１】次に紙幣の放出動作について説明する。

【００２２】図２に示すリール２０軸を反時計方向に回
転駆動し、ホイール１０に各種混在紙幣１０１とともに
巻付いたテープ３０をリール２０に巻戻すことで、ホイ
ール１０の外周面にテープ３０とともに巻付いた各種混
在紙幣１０１を矢印方向に放出させる。放出の際、スク
レーパ５０によりテープ３０より紙幣１０１を剥離する
ことができる。その結果、各種混在紙幣１０１はスムー
ズに補助ローラ５１とテープ３０の挟持点を通り、搬送
ローラ４１と空転ローラ４０により紙幣収納放出装置３
外部へと放出される。

【００２３】このとき、本発明のスクレーパガイド５
３、および放出用紙幣ガイドが具備されていない場合、
図５に示すように放出紙幣が中央より大きく偏ったり、
または傾いた条件で、且つ紙幣にカール癖があるカール
紙幣１０２のとき、中央のスクレーパ５０から離れてい
る紙幣のコーナ部１０２ａは大きく上方にせり上がる。
このように紙幣コーナ部１０２ａがせり上がった状態で
このまま搬送されると、紙幣１０２の先端部が搬送ロー
ラ４１と空転ローラ４０の挟持点に搬送されず、図６、
図８に示すように空転ローラ４０の上部に衝突し、紙幣
１０２のコーナ部１０２ａが三角形状に折れる耳折れ１
０２ｂが発生し装置外部へと放出されてしまう。

【００２４】ホイール１０とテープ３０の挟持点と搬送
ローラ４１と空転ローラ４０の挟持点との距離は、紙幣
の収納枚数によってホイール１０の外周径が変化するた
め、最大ホイール外周径の内側に固定した挟持点となる
ローラまたはガイドを配置することが困難である。

【００２５】そこで、収納枚数によりホイール１０に巻
付いたテープ３０に沿って回動するスクレーパ５０の両
脇にスクレーパガイド５３を具備する。このスクレーパ
ガイド５３はスクレーパ５０の中央付近よりホイール１
０側、空転ローラ４１側に紙幣搬送面に対して遠ざかる
ようにそれぞれ傾斜している。また、ホイール側の先端
位置は軸方向で中央より外側に向かいホイール１０中心
より遠ざかるように構成される。さらに、紙幣収納によ
るホイール１０外周径の最大時にスクレーパガイド５３
の紙幣搬送面の他方面はホイール１０外周径に接触せ
ず、軸方向で中央より外側に向かうほどホイール１０中
心より遠ざかるように構成する。これにより、補助ロー
ラ５１とテープ３０により挟持された紙幣の両脇をスク
レーパガイド５３により紙幣の浮き上がりを押さえなが
ら搬送ローラ４１と空転ローラ４０の挟持点に紙幣を搬
送することができる。

【００２６】スクレーパガイド５３を紙幣の搬送幅まで
具備してもよいが、スクレーパ５０とスクレーパガイド
５３を合わせた自重が大きくなり、スクレーパ５０本来
の機能の放出紙幣の先端部をホイール１０の外周面より
剥離する機能が低下するため、スクレーパガイド５３の
軸方向の長さは、中央から空転ローラ４１付近までの長
さが望ましい。このように、スクレーパガイド５３を短
く構成すると、スクレーパガイド５３だけでは紙幣１０
２の紙幣コーナ部１０２ａの浮き上がりを押さえるには
不十分であるため、空転ローラ４０の両脇に固定した放
出用紙幣ガイド７０が必要となる。この放出用紙幣ガイ
ド７０は紙幣搬送面に対しホイール１０側が離れるよう
に傾斜して構成され、軸方向に多段もしくは傾斜構造
で、中央よりそれぞれ外側に向かう傾斜角の支点位置が
ホイール側より遠ざかるように構成され、放出用紙幣ガ
イド７０の先端部は紙幣搬送面からの距離が軸方向で中
央より外側に向かうに従い遠ざかるように構成される。

【００２７】また、ホイール１０に収納された紙幣が収
納条件により傾いたり、中央より偏ったりする場合、紙
幣のコーナ部がホイール１０外周面より高くせり上がる
ことがある。このせり上がった紙幣コーナ部が放出用紙
幣ガイド７０に接触しないように放出用紙幣ガイド７０
の先端位置は中央より外側に向かうほどホイール中心か
らの距離が遠ざかるように構成される。

【００２８】上記スクレーパガイド５３及び放出用紙幣
ガイド７０を具備することにより、図７、図９に示すよ
うにカール紙幣１０２の先端部は中央のスクレーパ５０
両脇のスクレーパガイド５３でせり上がりが押えられ、
且つ、放出用紙幣ガイド７０の中央よりのガイドから徐
々にカール紙幣１０２のせり上がりを押え込んだ状態で
搬送ローラ４０と空転ローラ４１の挟持点に案内するこ
とができる。

【００２９】以上説明したように、本発明によれば、ス
クレーパガイド５３と多段の放出用紙幣ガイド７０を具
備することにより、放出時に耳折れ等の不具合が発生し
ない信頼性の高い紙幣収納放出装置を供給できる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように本発明は次のような
効果がある。

【００３１】最も簡素な構成の１本テープ方式および紙
幣の短辺方向に搬送処理する方式を採用した紙幣収納放
出装置の信頼性向上を目的として、放出用紙幣ガイドお
よびスクレーパガイドを具備すくことにより、小サイズ
紙幣や紙幣の折れやカール癖等の悪条件紙幣でも収納放
出が可能な低コストで高信頼性の紙幣収納放出装置を供
給することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した紙幣収納放出装置の側面図
（紙幣収納の初期状態）。

【図２】本発明を適用した紙幣収納放出装置の側面図
（紙幣収納の完了状態）。

【図３】本発明を適用した紙幣収納放出装置の斜視図
（紙幣収納の初期状態）。

【図４】本発明を適用した紙幣収納放出装置の平面図
（紙幣収納の初期状態）。

【図５】紙幣放出時の紙幣折れを説明する紙幣収納放出
装置の斜視図。

【図６】紙幣放出時の紙幣折れを説明する紙幣収納放出
装置の斜視図。

【図７】本発明を適用した紙幣収納放出装置の紙幣放出
時の斜視図。

【図８】紙幣放出時の紙幣折れを説明する紙幣収納放出
装置の平面図。

【図９】本発明を適用した紙幣収納放出装置の紙幣放出
時の平面図。

【図１０】本発明の紙幣収納放出装置を搭載した紙幣自
動入出金機の概略図。

【符号の説明】

１…入出金口、２…鑑別装置、３…紙幣収納放出装置、
４…入金カセット、５…還流カセット、６…搬送路、８
…紙幣自動入出金機、Ａ…入金取引時の紙幣の流れ、Ｂ
…入金取引成立後の紙幣の流れ、１０…ホイール、１１
…補助ホイール、２０…リール、３０…テープ、４０…
空転ローラ、４１…搬送ローラ、４２…中間ローラ、５
０…スクレーパ（破線表示）、５１…補助ローラ、５２
…スクレーパ用ばね、５３…スクレーパガイド、６０…
紙幣ガイド、６１…紙幣ガイド用ばね、６２…ガイドロ
ーラ、７０…放出用紙幣ガイド、１００…紙幣、１０１
…各種混在紙幣、１０２…カール紙幣、１０２ａ…カー
ル紙幣のコーナ部、102b…カール紙幣の耳折れ部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 利一 愛知県尾張旭市晴丘町池上１番地 株式会 社日立製作所情報機器事業部内 Ｆターム(参考） 3E040 AA01 BA06 BA13 DA08 FB06 FB15 FG13

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】１本のテープのみを巻取り、且つ巻戻しす
   る少なくとも１個のリールと、前記リールに巻取り、且
   つ巻戻されるテープに圧接し方向転換する少なくとも１
   個の第１ローラと、前記第１ローラにより方向転換され
   たテープと装置外部より短辺方向に搬送される紙幣とを
   巻取り、且つ巻戻しを行うホイールから構成される紙幣
   収納放出装置において、 前記ホイールと第１ローラ間のテープ両脇近傍で第１ロ
   ーラに対向し、且つ前記ホイールに巻き取られたテープ
   と紙幣とによるホイール外周の最大径よりも外側近傍
   で、装置外部より搬送されホイールにテープとともに巻
   取り、且つ巻戻される紙幣を案内する第１紙幣ガイドを
   具備することを特徴とする紙幣収納放出装置。