JP2001116129A - 産業車両のスイッチバック終了判定装置及びスイッチバック制御装置 - Google Patents

産業車両のスイッチバック終了判定装置及びスイッチバック制御装置

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JP2001116129A
JP2001116129A JP29479799A JP29479799A JP2001116129A JP 2001116129 A JP2001116129 A JP 2001116129A JP 29479799 A JP29479799 A JP 29479799A JP 29479799 A JP29479799 A JP 29479799A JP 2001116129 A JP2001116129 A JP 2001116129A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 産業車両において、比較的構成及び処理内容
の簡単な判定装置を用いてスイッチバック終了時期を正
しく判定する。 【解決手段】 エンジン式フォークリフトのトルクコン
バータ2と作動連結された変速機3は、前進クラッチ8
及び後進クラッチ9を備える。制御装置41はスイッチ
バック中にシフト側クラッチを半クラッチにする制御を
行い、ROM43には半クラッチ係合圧から決まる想定
減速度のデータが記憶されている。フォークリフト走行
中にシフトレバー31のスイッチバック操作を検出する
と、CPU42はスイッチバック操作時の車速センサ1
7の検出車速を、想定減速度のデータ値で割って、車両
停止までに要する予想所要時間を計算する。CPU42
は、スイッチバック操作時からの経過時間を計時するカ
ウンタが予想所要時間を計時し終わったことを確認後、
検出車速が停止車速以下であると判断した時に、スイッ
チバック終了と判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォークリフト等
の産業車両において、例えばスイッチバックをスムーズ
に行うための制御を実施する場合、制御を終了するスイ
ッチバック終了時点を判定する産業車両のスイッチバッ
ク終了判定装置及びスイッチバック制御装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、フォークリフトにはトルクコンバ
ータを備えた変速機が使用されるものがある。この種の
フォークリフトにおいては、走行中にシフトレバー(前
後進切換レバー)を、前進位置から後進位置へ、あるい
は後進位置から前進位置へ切換えるスイッチバック操作
が可能となっている。そのため、シフトレバーをスイッ
チバック操作すると、進行方向と逆側のクラッチが接続
されるため、駆動輪が制動されてフォークリフトが減速
するスイッチバックをし、減速停止後に進行方向を反転
させ元の進行方向と逆方向へ発進する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】スイッチバック減速中
は、駆動輪に逆回転力を伝達しようとするシフト側クラ
ッチの係合が駆動輪の制動力を与え、強い減速ショック
が生じるという問題があった。また、スイッチバック減
速中は駆動輪が制動によりロックする場合があった。駆
動輪のロックは、工場等の床面にタイヤ痕(タイヤマー
ク)を付けるなどの問題を招く。そのため、スイッチバ
ック操作した際に、フォークリフトがスムーズにスイッ
チバックし、駆動輪のロックを招き難くすることが望ま
れていた。
【0004】この問題を解決する方法として、例えばス
イッチバック時の駆動輪の制動力を弱め、スムーズにス
イッチバックできるような減速緩和制御を採用すること
が考えられる。スイッチバック終了後は、駆動輪の制動
力を弱める必要がなくなるので、スイッチバック終了時
期を判定し、制御の終了時期を決める必要がある。
【0005】スイッチバック終了時は車速が一旦「0」
になるので、例えばフォークリフトに備えられた車速セ
ンサを利用し、その検出車速が例えば停止車速となった
時をスイッチバック終了と判定する方法が考えられる。
通常、フォークリフトでは車速センサは駆動輪と作動連
結された出力軸等の回転を検出するようになっている。
スイッチバック制動中は駆動輪がロックする場合があ
り、駆動輪がロックしたときは車両が走行しているにも
かかわらず駆動輪の回転がほぼ停止し、検出車速が停止
車速であると検出される。このため、車速センサの検出
車速のみにより判定を行う構成では、駆動輪のロックを
スイッチバック終了と誤判定する恐れがあった。
【0006】この場合、スイッチバック中の減速緩和制
御が、駆動輪がロックした時点で早期に終了されてしま
う。その結果、制御終了時から車両停止時までの残りの
区間で、減速ショックが発生したり、駆動輪のロックが
発生し易くなって、スムーズなスイッチバックが保証さ
れなくなるという問題がある。また、この種の不具合を
解消するためには、駆動輪のロックと車両停止を区別可
能な、複数種のセンサを備えて複雑な判定方法をとる判
定装置を使わざる得ないという問題があった。
【0007】本発明は前記課題を解決するためになされ
たものであって、その第1の目的は、比較的構成及び処
理内容の簡単な判定装置を用いてスイッチバック終了時
期を正しく判定することができる産業車両のスイッチバ
ック終了判定装置を提供することにある。
【0008】第2の目的は、スイッチバック時にスムー
ズな制動を実現できる産業車両のスイッチバック制御装
置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために請求項1に記載の発明は、エンジンの出力をト
ルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進
クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各ク
ラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する
制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換
え操作するシフト操作手段とを備えた産業車両におい
て、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進
へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作
を検出する操作検出手段と、車速を検出する車速検出手
段と、前記操作検出手段によりスイッチバック操作が検
出されると、そのスイッチバック操作時の検出車速を用
いて、車両がスイッチバック終了設定車速に達するまで
の予想所要時間を求める演算手段と、前記スイッチバッ
ク操作時からの時間の経過を計時する計時手段と、前記
計時手段が前記予想所要時間を計時し終わるとスイッチ
バック終了と判定する判定手段とを備えている。
【0010】この構成によれば、車両走行中にシフト操
作手段のスイッチバック操作が操作検出手段により検出
されると、演算手段はスイッチバック操作時における車
速検出手段の検出車速を用いて、車両がスイッチバック
終了設定車速に達するまでの予想所要時間を予測する。
判定手段は、計時手段がスイッチバック操作時から予想
所要時間を計時し終わるとスイッチバック終了と判定す
る。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、スイッチバック操作検出時からスイッ
チバック終了判定時までの区間において、シフト側クラ
ッチを半クラッチにするように前記制御弁を制御するク
ラッチ制御手段を備え、前記演算手段は、前記スイッチ
バック操作時の前記車速検出手段の検出車速を用いて、
前記クラッチ制御手段により前記シフト側クラッチが半
クラッチ状態とされたときのクラッチ係合圧から決まる
想定減速度に応じた予想所要時間を予測することを要旨
とする。
【0012】この構成によれば、請求項1の発明の作用
に加え、スイッチバック操作検出時からスイッチバック
終了判定時までの区間において、クラッチ制御手段によ
り制御弁が制御され、シフト側クラッチが半クラッチと
されることで、車両の減速度が緩和される。演算手段
は、スイッチバック操作時の検出車速を用いて、シフト
側クラッチが半クラッチ状態とされたときのクラッチ係
合圧から決まる想定減速度に応じた予想所要時間を予測
する。その結果、車両の緩和された減速度に応じた正し
い時期にスイッチバック終了判定することが可能とな
る。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、産業車両は、スイッチバック時の車両
の減速感強さを設定するための設定操作手段を備え、前
記クラッチ制御手段は、前記シフト側クラッチを前記設
定操作手段により設定された設定情報に応じたクラッチ
係合圧に制御するものであって、前記演算手段は、前記
スイッチバック操作時の前記車速検出手段の検出車速を
用いて、前記設定操作手段により設定された設定情報に
応じた予想所要時間を予測することを要旨とする。
【0014】この構成によれば、請求項2の発明の作用
に加え、スイッチバック操作検出時からスイッチバック
終了判定時までの区間において、シフト側クラッチは設
定操作手段により設定された設定情報に応じたクラッチ
係合圧に制御される。つまり、車両の減速感強さを設定
変更することが可能となる。演算手段は、スイッチバッ
ク操作時の検出車速を用いて、設定操作手段により設定
された設定情報に応じた予想所要時間を予測する。その
結果、設定情報に応じた正しい時期にスイッチバック終
了判定することが可能となる。
【0015】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれか一項に記載の発明において、前記判定手段は、
前記計時手段が前記予想所要時間を計時した後、前記車
速検出手段の検出車速が第2のスイッチバック終了設定
車速以下となると、スイッチバック終了と判定すること
を要旨とする。
【0016】この構成によれば、請求項1〜3のいずれ
か一項の発明の作用に加え、判定手段は、計時手段が予
想所要時間を計時した後、車速検出手段の検出車速が第
2のスイッチバック終了設定車速以下となると、スイッ
チバック終了と判定する。よって、予想所要時間の経過
から車速が十分低速域になったことを推定した後、さら
に実際の車速が十分低速域にあることを確認してスイッ
チバック終了判定される。
【0017】請求項5に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれか一項に記載の発明において、前記トルクコンバ
ータのタービン回転数を検出するタービン回転数検出手
段を備え、前記判定手段は、前記計時手段が前記予想所
要時間を計時した後、前記タービン回転数検出手段の検
出値から決まるシフト側クラッチの入力側回転数と、前
記車速検出手段の検出車速から決まるシフト側クラッチ
の出力側回転数とが許容範囲内で一致すると、スイッチ
バック終了と判定することを要旨とする。
【0018】この構成によれば、請求項1〜3のいずれ
か一項の発明の作用に加え、判定手段は、計時手段が予
想所要時間を計時した後、タービン回転数検出手段の検
出値から決まるシフト側クラッチの入力側回転数と、車
速検出手段の検出車速から決まるシフト側クラッチの出
力側回転数とが許容範囲内で一致すると、スイッチバッ
ク終了と判定する。例えばスイッチバック終了判定時
に、シフト側クラッチを半クラッチ状態から完全係合さ
せても、ショックが起き難い。
【0019】第1の目的を達成するために請求項6に記
載の発明は、エンジンの出力をトルクコンバータを介し
て出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラ
ッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油
圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機
を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作
手段とを備えた産業車両において、車両走行中に前記シ
フト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ
切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段
と、車両の走行加速度を検出する加速度検出手段と、ス
イッチバック操作検出後、前記加速度検出手段により検
出された車両の走行加速度が負でなくなったと判断する
と、スイッチバック終了と判定する判定手段とを備えて
いる。
【0020】この構成によれば、車両走行中にシフト操
作手段のスイッチバック操作が操作検出手段により検出
された後、判定手段は、加速度検出手段により検出され
た車両の走行加速度が負でなくなったと判断すると、ス
イッチバック終了と判定する。
【0021】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明において、前記トルクコンバータのタービン回転
数を検出するタービン回転数検出手段を備え、前記判定
手段は、前記加速度検出手段により検出された車両の走
行加速度が負でなくなった以後、前記タービン回転数検
出手段の検出値から決まるシフト側クラッチの入力側回
転数と、前記車速検出手段の検出車速から決まるシフト
側クラッチの出力側回転数とが許容範囲内で一致する
と、スイッチバック終了と判定することを要旨とする。
【0022】この構成によれば、判定手段は、加速度検
出手段により検出された車両の走行加速度が負でなくな
った以後、タービン回転数検出手段の検出値から決まる
シフト側クラッチの入力側回転数と、車速検出手段の検
出車速から決まるシフト側クラッチの出力側回転数とが
許容範囲内で一致すると、スイッチバック終了と判定す
る。よって、加速度が負でなくなった後、さらにシフト
側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲内で
一致したことを確認してスイッチバック終了判定され
る。
【0023】請求項8に記載の発明は、請求項6又は7
に記載の発明において、産業車両は、駆動輪のロックを
検出するロック検出手段と、前記スイッチバック操作検
出後、前記ロック検出手段により前記駆動輪のロックが
検出されたときに前記シフト側クラッチのクラッチ係合
圧を弱める制御をするロック防止制御手段とを備えてお
り、前記判定手段は、前記ロック防止手段が前記シフト
側クラッチのクラッチ係合圧を弱めたことに起因して前
記加速度検出手段の検出加速度が負でなくなる時期を除
いた判定時期にスイッチバック終了であるか否かの判定
を行うことを要旨とする。
【0024】この構成によれば、判定手段は、ロック防
止制御手段がシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱め
たことに起因して加速度検出手段の検出加速度が負でな
くなる時期を除いた判定時期にスイッチバック終了であ
るか否かの判定を行う。ロック防止制御手段がシフト側
クラッチのクラッチ係合圧を弱めたことで加速度が負で
なくなることに起因する誤判定が防止される。
【0025】第2の目的を達成するために請求項9に記
載の発明は、産業車両におけるスイッチバック制御装置
において、エンジンの出力をトルクコンバータを介して
出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッ
チを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧
を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を
前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手
段と、請求項1〜8のいずれか一項に記載のスイッチバ
ック終了判定装置と、前記操作検出手段によるスイッチ
バック操作検出時から前記判定手段によるスイッチバッ
ク終了判定までの減速区間においては、シフト側クラッ
チを半クラッチにするように前記制御弁を制御するクラ
ッチ制御手段とを備えている。
【0026】この構成によれば、操作検出手段によるス
イッチバック操作検出時からクラッチ制御手段によりシ
フト側クラッチが半クラッチとされる。スイッチバック
終了判定装置の判定手段がスイッチバック終了判定をす
ると、クラッチ制御手段による制御が終了される。例え
ば駆動輪のロック時をスイッチバック終了判定とする誤
判定が防止される。
【0027】請求項10に記載の発明は、請求項9に記
載の発明において、駆動輪のロックを検出するロック検
出手段と、前記スイッチバック操作検出後、前記ロック
検出手段により前記駆動輪のロックが検出されたときに
前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御を
するロック防止制御手段とを備え、前記スイッチバック
終了判定装置は、請求項1〜5、8のいずれか一項に記
載のものである。
【0028】この構成によれば、スイッチバック操作検
出後、ロック防止制御手段は、ロック検出手段により駆
動輪のロックが検出されたときにシフト側クラッチのク
ラッチ係合圧を弱める制御をする。スイッチバック終了
判定装置の判定手段がスイッチバック終了判定をする
と、クラッチ制御手段による制御が終了される。例えば
駆動輪のロック検出時の誤判定や、ロック防止制御手段
がシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めたことに起
因する誤判定が防止される。請求項11に記載の発明
は、請求項9又は10に記載の発明において、前記スイ
ッチバック終了判定装置によりスイッチバック終了と判
定されると、前記クラッチ制御手段は、前記シフト側ク
ラッチを半クラッチ状態から完全係合させることを要旨
とする。
【0029】この構成によれば、請求項9又は10の発
明の作用に加え、スイッチバック終了判定装置によりス
イッチバック終了と判定されると、クラッチ制御手段に
より制御弁が制御され、シフト側クラッチは半クラッチ
状態から完全係合される。スイッチバック終了時はクラ
ッチの入力側と出力側の各回転数がほぼ一致するので、
一気に完全係合してもショックが起き難い。特にタービ
ン回転数検出値を使って、シフト側クラッチの入力側と
出力側の各回転数の許容範囲内での一致を確認する判定
方法を使うスイッチバック終了判定装置を備えた発明
(請求項5、6、8)では、完全係合させた時のショッ
クが一層緩和される。
【0030】請求項12に記載の発明は、請求項9〜1
1のいずれか一項に記載の発明において、駆動輪のスリ
ップを検出するスリップ検出手段と、前記スイッチバッ
ク終了判定装置によりスイッチバック終了と判定された
後の発進過程において、前記スリップ検出手段により駆
動輪のスリップが検出されたときは、シフト側クラッチ
のクラッチ係合圧を弱める制御をするスリップ防止制御
手段とを備えている。
【0031】この構成によれば、請求項9〜11のいず
れか一項に記載の発明の作用に加え、スイッチバック終
了判定装置によりスイッチバック終了と判定された後の
発進過程において、スリップ検出手段により駆動輪のス
リップが検出されたときは、スリップ防止制御手段はシ
フト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をする。
よって、スイッチバック後の発進過程において駆動輪が
スリップし難い。
【0032】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明
を産業車両としてのフォークリフトに具体化した第1の
実施形態を図面に従って説明する。
【0033】図1に示すように、エンジン1の出力軸1
aはトルクコンバータ2を備えた変速機3に連結され、
変速機3は差動装置4を介して駆動輪5を有する車軸6
に連結されている。エンジン1にはスロットルアクチュ
エータ7が設けられ、スロットルアクチュエータ7の作
動によってスロットル開度が調節されてエンジン1の回
転数、即ちエンジン1の出力軸1aの回転数が調節され
る。
【0034】変速機3は入力軸(メインシャフト)3a
及び出力軸(カウンタシャフト)3bを備え、入力軸3
aに前進クラッチ8及び後進クラッチ9が設けられてい
る。前進クラッチ8及び後進クラッチ9と出力軸3bと
の間には図示しないギヤ列がそれぞれ設けられ、各クラ
ッチ8,9及び各ギヤ列を介して入力軸3aの回転が出
力軸3bに伝達される。両クラッチ8,9には油圧式の
クラッチ、この実施形態では湿式多板クラッチが使用さ
れ、受圧室8a,9a内の油圧力によって接続力が調節
可能に、かつ受圧室8a,9a内の油圧力を高めると接
続力が大きくなるように構成されている。前進クラッチ
8及び後進クラッチ9は、制御弁としての前進クラッチ
バルブ10及び後進クラッチバルブ11を介して供給さ
れる油圧により受圧室8a,9a内の油圧力が制御され
る。前進クラッチバルブ10及び後進クラッチバルブ1
1はソレノイドへの通電量に比例した開度となる比例ソ
レノイド弁で構成されている。
【0035】変速機3の出力軸3bにはクラッチ式の駐
車ブレーキ12が設けられている。駐車ブレーキ12は
出力軸3bと一体回転するディスク12aと、出力軸3
bに対して回転不能かつスラスト方向に移動可能に設け
られたブレーキパッド12bとを備えている。ブレーキ
用バルブ13を介して受圧室12cの油圧が制御される
ことにより駐車ブレーキ12が制動制御されるように構
成されている。ブレーキ用バルブ13には電磁弁が使用
されている。
【0036】図1ではトルクコンバータ2、変速機3及
び各バルブ10,11,13が独立して図示されている
が、これら各装置は一つのハウジング内に組み込まれ
て、オートマチックトランスミッションを構成してい
る。そして、変速機3には図示しない油圧ポンプが組み
込まれ、その油圧ポンプの吐出油が図示しない流路及び
各バルブ10,11,13を介して各受圧室8a,9
a,12cに供給可能に構成されている。前記油圧ポン
プはエンジン1の回転時に変速機3に伝達される回転力
により駆動されるようになっている。
【0037】変速機3の入力軸3aには歯車14が一体
回転可能に設けられ、タービン回転数検出手段としての
磁気ピックアップからなるタービン回転数センサ15に
より入力軸3aの回転数が検出される。タービン回転数
センサ15は入力軸3aの回転数に比例したパルス信号
を出力する。変速機3の出力軸3bには歯車16が一体
回転可能に設けられ、車速検出手段としての磁気ピック
アップからなる車速センサ17により出力軸3bの回転
数が検出される。車速センサ17は出力軸3bの回転数
に比例したパルス信号を出力する。
【0038】エンジン1により駆動される荷役用ポンプ
(油圧ポンプ)18の吐出側に、図示しない管路等を介
してフォーク19を昇降させるリフトシリンダ20及び
マスト21を傾動させる図示しないティルトシリンダが
接続されている。リフトシリンダ20にはフォーク19
に積載された荷の重量(荷重)を検出する荷重検出手段
としての荷重センサ22が設けられている。荷重センサ
22はリフトシリンダ20の内部の油圧を検出する圧力
センサからなり、フォーク19の積載荷重に対応した検
出信号を出力する。
【0039】運転室の床にはアクセルペダル23と、イ
ンチングペダル24と、ブレーキペダル25とが設けら
れている。インチングペダル24は荷役作業を行いなが
らフォークリフトの微速走行を行う際に、クラッチを半
接続状態(半クラッチ状態)にするために使用するもの
である。そして、ブレーキペダル25を操作する(踏み
込む)ときは、ブレーキペダル25はインチングペダル
24と独立して作動するが、インチングペダル24を操
作する(踏み込む)ときは、途中からインチングペダル
24とブレーキペダル25とが連動可能に構成されてい
る。
【0040】アクセルペダル23の操作量を検出するア
クセルセンサ26は、アクセルペダル23の操作量に比
例した検出信号を出力する。インチングペダル24の操
作量を検出するインチングセンサ27は、インチングセ
ンサ27の操作量に比例した検出信号を出力する。
【0041】ブレーキペダル25は油圧式の踏力発生装
置(エミュレータ)28と機械的に連結され、踏力発生
装置28にはその内部の油圧を検出する圧力センサから
なるブレーキセンサ29が設けられている。ブレーキセ
ンサ29はブレーキペダル25を踏み込んだときのブレ
ーキ踏力に比例する検出信号を出力する。ブレーキペダ
ル25が操作されたか否かはブレーキスイッチ30によ
り検出される。
【0042】運転室の前部にはシフト操作手段としての
シフトレバー(前後進レバー)31が設けられている。
シフトレバー31の位置を検知するシフトスイッチ32
は、シフトレバー31が前進位置F、後進位置R及び中
立位置(ニュートラル位置)Nのいずれにあるかを検知
し、各位置に対応する信号を出力する。また、運転室の
前部にはリフトレバー33及びティルトレバー34が設
けられている。リフトレバー33の操作量を検出するリ
フトレバーセンサ35は、リフトレバー33の操作量に
比例した検出信号を出力する。ティルトレバー34の操
作量を検出するティルトレバーセンサ36は、ティルト
レバー34の操作量に比例した検出信号を出力する。
【0043】また、運転室の前部には設定操作手段とし
てのモード切換スイッチ37が設けられている。モード
切換スイッチ37は、スイッチバック時のフォークリフ
トの減速感を設定する操作をするためのもので、予め設
定されたハード,ノーマル,ソフトの3種類の中から好
みに応じたモードを選択するために使用される。ハー
ド、ノーマル、ソフトの3種類の順で、設定される減速
感(想定減速度)の強さが大きくなる。また、エンジン
1に内蔵されたエンジン回転数センサ38によりエンジ
ン回転数が検出される。エンジン回転数センサ38はエ
ンジン回転数に比例したパルス信号を出力する。
【0044】次に前記スロットルアクチュエータ7、前
進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11及びブ
レーキ用バルブ13を駆動制御するための電気的構成を
説明する。
【0045】制御装置41は、演算手段及び判定手段と
しての中央処理装置(以下、CPUという)42、読出
し専用メモリ(ROM)43、読出し及び書替え可能な
メモリ(RAM)44、入力インタフェース45及び出
力インタフェース46を備えている。ROM43には所
定の制御プログラムや制御プログラムを実行する際に必
要な各種データ等が記憶されている。RAM44にはC
PU42の演算結果等が一時記憶される。CPU42は
ROM43に記憶された制御プログラムに基づいて作動
する。なお、操作検出手段は、シフトスイッチ32及び
CPU42により構成される。エンジン回転数制御手段
は、制御装置41(CPU42)及びスロットルアクチ
ュエータ7により構成される。クラッチ制御手段、ロッ
ク防止制御手段及びスリップ防止制御手段は、制御装置
41(CPU42)及びクラッチバルブ10,11によ
り構成される。加速度検出手段、ロック検出手段及びス
リップ検出手段は、車速センサ17及び制御装置41
(CPU42)により構成される。
【0046】CPU42は前記各センサ15,17,2
2,26,27,29,35,36,38及び各スイッ
チ30,32,37の出力信号を入力するとともに、R
OM43に記憶された各種制御プログラムに従って動作
し、スロットルアクチュエータ7及び各バルブ10,1
1,13への制御指令信号を出力する。
【0047】前記タービン回転数センサ15、車速セン
サ17、ブレーキスイッチ30、シフトスイッチ32、
モード切換スイッチ37及びエンジン回転数センサ38
は、入力インタフェース45を介してCPU42に接続
されている。荷重センサ22、アクセルセンサ26、イ
ンチングセンサ27、ブレーキセンサ29、リフトレバ
ーセンサ35及びティルトレバーセンサ36は図示しな
いA/D変換器(アナログ・ディジタル変換器)及び入
力インタフェース45を介してCPU42に接続されて
いる。
【0048】CPU42は出力インタフェース46及び
図示しない駆動回路を介してスロットルアクチュエータ
7、前進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11
及びブレーキ用バルブ13にそれぞれ接続されている。
【0049】ROM43には、各種プログラム(図7〜
図12)と、各種プログラムで使用する各種のマップ
(図2〜図4)が記憶されている。各プログラムはエン
ジン運転中(スタータキーオン中)に所定時間(例えば
10〜50msec. )間隔で実行される。
【0050】図7,図8はスイッチバック制御を実行す
るためのプログラムである。このプログラムには、図9
に示すSBエンジン回転数制御ルーチンと、図10に示
すSBクラッチ圧制御ルーチンが含まれる。図2,図3
の各マップM1,M2は図9のルーチンで使用され、図
4のマップM3は図10のルーチンで使用される。
【0051】図11,図12はスイッチバック終了後に
実行される発進制御のプログラムで、発進エンジン回転
数制御ルーチン(図11)と、発進クラッチ圧制御ルー
チン(図12)とからなる。
【0052】本実施形態では、スイッチバック中に、モ
ード切換スイッチ37の操作により設定されたモードに
応じた減速感が得られるように、シフト側クラッチを半
クラッチの係合圧に調節するクラッチ圧制御を採用して
いる。車両の減速度は車体重量に影響されるので、モー
ドに応じた一定減速感が常に得られるように、フォーク
リフトに積載された荷の重量(荷重)を考慮してクラッ
チ係合圧を決めるようにしている。つまり、スイッチバ
ック中の半クラッチの係合圧が、荷重およびモードを考
慮して決められる。図4のマップM3は、荷重、モード
に応じたクラッチ係合圧Phrを決めるために使用され
る。
【0053】また、スイッチバック制動過程において
は、駆動輪5のロックを防止する一種のABS(アンチ
スキッドブレーキシステム)制御を採用している。スイ
ッチバック中に駆動輪5のロックが検出されたときにシ
フト側クラッチの係合圧を弱めることにより、進行方向
と逆のシフト側クラッチの係合により発生する制動力を
弱める。このABS制御では、駆動輪5の回転加速度が
スイッチバック中の減速ではあり得ない大きな減速度の
値をとるとタイヤロックと判定する。車速センサ17の
検出車速の時間差分から求めた加速度から、駆動輪5の
回転加速度をみることとし、その加速度がロック判定用
しきい値を負側に超えたとき、つまり減速度がしきい値
を上回るときにタイヤロックと判定する。
【0054】タイヤロック検出中はクラッチ係合圧を設
定圧まで抜き、タイヤロックが検出されなくなるとクラ
ッチ係合圧を復帰させ、以後、タイヤロック検出の度に
クラッチ係合圧の抜・入を繰り返す。このときクラッチ
係合圧が復帰する度に徐々に小さくなるようにその復帰
圧を前回の値よりも小さな値とする。これにより駆動輪
5の駆動力を路面抵抗と均衡する、ロックがぎりぎり起
こらない平衡点に収束させるようにしている。以上はS
Bクラッチ圧制御ルーチンで行われる。
【0055】さらにスイッチバック中にエンジン回転数
を上限値以下に抑えるエンジン回転数制御を採用し、シ
フト側クラッチの係合により発生する制動力を、エンジ
ン回転数制御の面からも弱めるようにしている。これが
SBエンジン回転数制御ルーチン(図9)で行われる。
【0056】一方、スイッチバック終了後の発進過程で
は、駆動輪5のスリップを防止する一種のTRC(トラ
クションコントロール)制御を採用している。このTR
C制御の基本的な考え方は前記ABS制御と同様であ
り、タイヤスリップが検出されている間はクラッチ係合
圧を設定圧まで抜き、タイヤスリップが検出されなくな
るとクラッチ係合圧を復帰させ、以後、タイヤスリップ
検出の度にクラッチ係合圧の抜・入を繰り返す。駆動輪
5の回転加速度がフォークリフトの発進ではあり得ない
値をとるとタイヤスリップと判定する。駆動輪5の回転
加速度は、車速センサ17の検出車速の時間差分から求
めた加速度を使い、その加速度がスリップ判定用しきい
値を正側に超えたときにタイヤスリップと判定する。こ
のときクラッチ係合圧が復帰の度に徐々に小さくなるよ
うに前回の値より小さな値とする。これにより駆動輪5
の駆動力を路面抵抗と均衡する、スリップがぎりぎり起
こらない平衡点に収束させるようにしている。以上は発
進クラッチ圧制御ルーチンで行われる。さらにTRC制
御実行中はエンジン回転数を低く抑える制御を採用して
おり、これが発進エンジン回転数制御ルーチンで行われ
る。
【0057】本実施形態では、スイッチバックをスムー
ズに行うために採用した減速緩和制御(図9,図10の
各ルーチン)の終了時期を決定するために、スイッチバ
ック終了判定処理を採用する。このスイッチバック終了
判定処理により決定された制御終了時期は、発進制御へ
の移り変わり時期となる。先の減速緩和制御の終了時期
としては、スイッチバック終了時の車両停止時期(車速
「0」)を採用する。スイッチバック終了判定処理は検
出車速値を使って行う方法を採用し、フォークリフトに
従来より設けられた車速センサ17を利用するようにし
ている。
【0058】その判定方法は、スイッチバック操作時か
ら車両停止までに要する所要時間を予測し、その予想所
要時間を経過した時を車両停止時と推定する方法をと
る。詳しくは次のようになる。SBクラッチ圧制御ルー
チンより各モード毎に決まるシフト側クラッチのクラッ
チ係合圧から想定される想定減速度データがROM43
には記憶されている。スイッチバック操作時点から車両
停止までに要する予想時間Tsbは、シフトレバー31の
スイッチバック操作時の検出車速Vstと、ROM43に
記憶された設定モードに応じた想定減速度データとを用
い、次の計算式を使って計算する。
【0059】Tsb=Vst/αst ここで、αstは、設定モードに応じた想定減速度であ
る。スイッチバック操作時からの時間経過をカウンタに
より計時し、カウンタの計時が予想時間Tsbに達した時
を、車両停止(車速「0」)時として推定する。なお、
計時手段は、このカウンタ及びCPU42により構成さ
れる。
【0060】予想所要時間の経過から車両停止時を推定
する方法をとるのは次の理由による。車両停止時は検出
車速が「0」となることで判定できるが、スイッチバッ
ク中は駆動輪5がロックする場合があり、駆動輪5がロ
ックしたときに検出車速が見かけ上、車速「0」と検出
される。このため、駆動輪5のロックを車両停止と誤判
定する恐れがある。この不都合を避けるため、本実施形
態では、停止までに要する予想時間Tsbの計時によって
車両停止時期を時間経過から推定する。
【0061】本実施形態では、この予想時間Tsbの経過
後、さらに検出車速が停止車速Vo以下であることが確
認された時にスイッチバック終了と判定する。この判定
がなされた時を、スイッチバックをスムーズに行うため
に採用した制御の終了時期とする。
【0062】また、ブレーキペダル25を踏み込んだと
きは、前後進クラッチ8,9を同時係合させることによ
り制動力を得るブレーキ方式を採用している。このた
め、常用ブレーキとしてドラムブレーキ等は装備してい
ない。その他のブレーキ方式として駐車ブレーキ12を
使用する構成とすることもできる。もちろん、常用ブレ
ーキとしてドラムブレーキを駆動輪5に装備する構成を
採用することもできる。なお、スイッチバック中にブレ
ーキ操作がなされたときはクラッチ圧制御についてはブ
レーキ制御の方を優先させる。この場合、ブレーキ制御
において、前後進クラッチ8,9の同時係合のクラッチ
圧に対してスイッチバック制御時と同方式のABS制御
が実施される。
【0063】次に図7〜図12に示す各ルーチンのプロ
グラム内容について説明する。はじめに図7,図8のS
Bエンジン回転数制御ルーチンを説明する。まずステッ
プ(以下単にSと記す)10においては、スイッチバッ
ク操作されたか否かを判断する。走行中(車速V>0)
にシフトレバー31がF位置からR位置へ、またはR位
置からF位置へ切換えられたときにスイッチバック操作
されたと判断する。スイッチバック操作されたと判断し
たときはS20に進み、スイッチバック操作されたと判
断しなかったときはS90に進む。
【0064】S20では、フラグFsbに「1」をセット
する。フラグFsb=1であることはスイッチバック中で
あることを意味する。スイッチバック操作されたその1
回の時のみS30〜S70において設定モードに応じた
予想時間Tsbを計算する。
【0065】S30では、ハードモードであるか否かを
判断する。ハードモードであればS50においてハード
モードに応じた予想時間Tsbを計算する。ROM43に
は設定モードに応じた想定減速度のデータが記憶されて
おり、車速センサ17から入力する検出車速Vstと、想
定減速度のデータとを用いて予想時間Tsbを計算する。
ここで、想定減速度とは、クラッチ係合圧Phr(図4の
マップM3を参照)から想定されるスイッチバック中の
車両の減速度のデータである。例えばハード,ノーマ
ル,ソフトの各モードの想定減速度をαh,αn,αs
とおく。ここで、減速度とは、減速過程の加速度(<
0)の絶対値である。ハードモードのときは予想時間T
sbが、式 Tsb=Vst/αh より計算される。一方、
ハードモードでなければS40に進む。
【0066】S40では、ソフトモードであるか否かを
判断する。ソフトモードであればS60においてソフト
モードに応じた予想時間Tsbを計算する。すなわち、式
Tsb=Vst/αs より計算する。一方、ソフトモー
ドでなければ(つまりノーマルモードであれば)S70
に進む。
【0067】S70では、ノーマルモードに応じた予想
時間Tsbを計算する。すなわち、式Tsb=Vst/αn
より計算する。ここで、減速度がαh>αn>αsの関
係にあることから、予想時間Tsbは、車速Vstが同じで
あれば、ハード、ノーマル、ソフトの順で短くなる。
【0068】次のS80では、SBカウンタに時間Tsb
に相当する計数値SBcnt をセットする。S90では、
スイッチバック中(Fsb=1)であるか否かを判断す
る。フラグFsb=1であればS100に進み、Fsb=1
でなければ当該ルーチンを終了する。
【0069】S100では、SBカウンタの計数値SB
cnt が正(SBcnt >0)であるか否かを判断する。つ
まりスイッチバック操作時から車両停止までに要する予
想時間Tsbを経過しておらず、スイッチバック減速過程
にあるか否かを判断する。SBcnt >0が成立すればS
120に進み、SBcnt >0が不成立であればS110
に進む。
【0070】S110では、車速Vが停止車速Vo 以下
(V≦Vo )であるか否かを判断する。停止車速Vo と
は仮にクラッチを完全係合してもさほどショックの起こ
らない十分な低速車速であって、例えば0〜5km/hの範
囲内の値である。つまり、SBcnt >0が不成立で車速
が「0」になったと推定された後、さらに車速Vが停止
車速Vo以下であることが確認されると、S150にお
いてフラグFsbをリセット(Fsb=0)した後、当該ル
ーチンから発進制御ルーチンへ移行する。一方、S10
0においてスイッチバック減速過程にある(SBcnt >
0)と判断されているうちは、S120〜S140の処
理を実行する。なお、スイッチバック終了設定車速は車
両停止時の車速「0」であり、第2のスイッチバック終
了設定車速は停止車速Voである。
【0071】S120では、SBエンジン回転数制御
(図9)を実行する。S130では、SBクラッチ圧制
御(図10)を実行する。S140では、計数値SBcn
t をデクリメントする。
【0072】従って、走行中にシフトレバー31を進行
方向反対側のシフト位置へ切り換えるスイッチバック操
作がなされると、停止までに要する予想時間Tsbが経過
し、かつ車速Vが停止車速Vo に達するまでの間は、S
Bエンジン回転数制御(図9)とSBクラッチ圧制御
(図10)が実行される。
【0073】次に図9に示すSBエンジン回転数制御ル
ーチンを説明する。まずS210では、荷重に応じたエ
ンジン回転数上限値NEsbをマップM1(図2)を参照
して求める。荷重は荷重センサ22の検出値を用いる。
【0074】S220では、アクセル開度に応じた目標
エンジン回転数NEtrg をマップM2(図3)を参照し
て求める。S230では、目標エンジン回転数NEtrg
がエンジン回転数上限値NEsbより大きい(NEtrg >
NEsb)か否かを判断する。この条件NEtrg >NEsb
が成立するときはS240に進み、この条件が不成立の
ときはS250に進む。
【0075】S240では、目標エンジン回転数NEtr
g にエンジン回転数上限値NEsbをセットする。S25
0では、目標エンジン回転数NEtrg とするスロットル
開度THtrg をスロットルアクチュエータ7に指令す
る。
【0076】従って、当ルーチンの実行により、スイッ
チバック中は車両が停止(車速「0」)するか、車速V
が停止車速Voに達するかするまでの減速区間におい
て、エンジン回転数が上限値NEsb以下に制限される。
【0077】次に図10に示すSBクラッチ圧制御ルー
チンを説明する。まずS310では、当ルーチン実行1
回目であるか否かを判断する。例えばフラグFsbが
「0」から「1」へ切り換わったときを1回目と判断す
る。
【0078】S320では、荷重,モードに応じたクラ
ッチ係合圧PhrをマップM3(図4)を参照して求め
る。図4に示すように、ハード,ノーマル,ソフトの各
モード毎のマップ線H,N,Sが用意されており、各マ
ップ線とも荷重Wの値に応じてクラッチ係合圧Phrが変
化する。モード切換スイッチ37により選択されたモー
ドに応じたマップ線を使い、そのマップ線に基づき荷重
Wに応じたクラッチ係合圧Phrを求める。クラッチ係合
圧Phrは、ハード,ノーマル,ソフトの順で、しかも荷
重Wが重いほど大きな値に決まる。このクラッチ係合圧
Phrによってスイッチバック時の車両の減速度がほぼ決
まる。
【0079】次のS330〜S360は、ABS制御の
際にクラッチ係合圧Phrの補正をする補正量を決めるた
めの準備の処理である。図5に示すようにABS制御で
は、加速度accがタイヤロックのしきい値Alockを負
側に超えたときにクラッチ係合圧Pclを設定圧Po に抜
き、タイヤロックが解消されて再度クラッチ係合圧を復
帰させるときにそのクラッチ係合圧Pclを前回のクラッ
チ係合圧よりも小さな値に補正をする。この補正量は、
しきい値Alockより少し大きな設定値A1modeを加速度
accが下回る領域の積分値(ハッチング領域の面積)
intgAに比例させており、クラッチ係合圧Phrから積分
値intgAに応じた比率(低減率)分を減算することによ
り、ABS実行中徐々に小さくする毎回のクラッチ係合
圧Pclが決められる。
【0080】その処理内容は次のようになる。S330
では、加速度acc=V1−V2を計算する。ここでV
1は今回の車速、V2は前回の車速である。車速センサ
17は駆動輪5の回転速度を間接的に検出するので、加
速度accは駆動輪5の回転加速度に比例する値とな
る。スイッチバック中の加速度accは負(acc<
0)の値をとる。
【0081】S340では、Δacc=A1mode−ac
cを計算する。Δaccは、加速度accが設定値A1
modeを下回るときに正の値をとる。ここで、設定値A1
modeが補正用しきい値に相当する。
【0082】S350では、Δaccを数値制限処理し
てΔAとする(0≦ΔA≦α)。すなわちΔaccが負
の値をとれば「0」とし、Δaccが値αを超える値を
とれば「α」とする。よって、加速度accが設定値A
1modeを下回って正の値をとるΔacc(但し、上限値
α)のみがΔAとして残る。ここでαは、ΔAの積分値
(累積値)を使って、後の処理で決まる補正量の急増を
避けるための上限値である。
【0083】S360では、積分値intgA=ΔA+intg
Aを計算する。つまり前回の積分値intgAに今回のΔA
を加算する。ΔAの累積値である積分値intgAは、加速
度accが設定値A1modeを下回る領域の面積に相当す
る(図6参照)。
【0084】S370では、加速度accがロック判定
用のしきい値Alock未満である(acc<Alock)か否
かを判断する。つまりタイヤロックが検出されたか否か
を判断する。タイヤロックが検出されないときはS38
0に進み、タイヤロックが検出されればS400に進
む。
【0085】S400では、フラグFabs に「1」をセ
ットする。つまり、タイヤスリップが検出され、ABS
モードになるとフラグFabs =1となる。一方、S38
0では、フラグFabs =1であるか否かを判断する。F
abs =1でなければS390においてクラッチ係合圧
(クラッチ圧という)PclとしてPhrを採用する。そし
てS440において、シフト側クラッチバルブに対し、
クラッチ圧Phrに相当する電流値IPclを指令する。こ
のため、スイッチバック中、フォークリフトは荷重,モ
ードが考慮されたクラッチ圧Phrから決まる想定減速度
αstで減速し、積荷の荷重によらず常に設定モードに応
じた想定減速度αstが得られる。
【0086】一方、S370においてタイヤロックが検
出されたときは、フラグFabs =1とした(S400)
後、S410においてクラッチ圧Pclとして設定圧Po
を採用する。そしてS440において、シフト側クラッ
チバルブに対し、クラッチ圧Po に相当する電流値IP
o を指令する。このため、タイヤロックを検出したとき
はシフト側クラッチの係合圧がクラッチ圧Po に抜かれ
る(図5参照)。
【0087】ABSモードになった後、S370におい
てタイヤロックを検出しなくなるとクラッチ圧を再度復
帰させるが、S380においてABSモードである(F
abs=1)と判断すると、S420,S430において
復帰クラッチ圧Pclを計算する。
【0088】S420では、積分値intgAを正規化す
る。すなわち積分値intgAをある基準値で割り、0≦S
er≦1を満たす積分値intgAの正規化値Serを算出
する。S430では、クラッチ圧Pcl=(1−Ser)
・Phrを計算する。つまりクラッチ圧Phrに対し積分値
intgAに応じた比率分だけ小さな値がクラッチ圧Pclと
して算出される。
【0089】そしてS440において、シフト側クラッ
チバルブに対し、クラッチ圧(1−Ser)・Phrに相
当する電流値IPclを指令する。このため、ABSモー
ドにおいて復帰時のクラッチ圧には、クラッチ圧Phrに
対して積分値intgAに応じた比率分だけ小さく補正され
たクラッチ圧Pclが採用される(図5参照)。このた
め、タイヤロック検出の度に復帰時のクラッチ圧Pclが
徐々に小さくなり、しかも前回の値に対する今回の値の
低減率が徐々に小さくなる。その結果、駆動輪5の駆動
力は路面抵抗と均衡してタイヤロックがぎりぎり起こら
ない平衡点に収束する。
【0090】ここで、設定値A1modeはモードに応じて
異なる値に設定され、各モードの各想定減速度に応じ
て、ハード,ノーマル,ソフトの順で負側に大きな値を
とる。設定値A1modeを、ハード,ノーマル,ソフトの
順に、A1h,A1n,A1sとおくと、Alock<A1
h<A1n<A1s<0の関係となる。従って、加速度
accが同じであれば、ソフト,ノーマル,ハードのモ
ード順で、intgAが大きな値をとることになって、この
モード順で復帰時のクラッチ係合圧Pclの低減率が大き
くなる。よって、どのモードでもクラッチ係合圧Pclは
速やかに平衡点に収束する。なお、図5において、加速
度accがしきい値Alockを超えないその近傍値に収束
するが、これは駆動輪5の回転加速度がしきい値Alock
近傍の値に収束するのであって、フォークリフトの実際
の減速度は、ABS制御によりクラッチ係合圧を低減し
た分だけモードに応じた想定減速度A1modeより若干小
さくなる。
【0091】また、ABSモード(Fabs =1)は、例
えばABSモード中における差分値ΔAlock(=Alock
−acc)の累積である積分値intgΔAlockが、intgΔ
Alock<0の条件を満たすとリセット(Fabs =0)さ
れる。クラッチ係合圧Pclが平衡点の値に収束して加速
度accがしきい値Alockを超えないその近傍の値に落
ち着くと、やがてintgΔAlock<0が成立し、Fabs =
0とされる。Fabs =0とされた時、積分値intgAとin
tgΔAlockは共に「0」にリセットされる。
【0092】次にスイッチバック終了後の発進制御ルー
チンについて説明する。はじめに図11に示す発進エン
ジン回転数制御ルーチンを説明する。まずS500で
は、アクセル開度に応じた目標エンジン回転数NEtrg
をマップM2(図3)を参照して求める。
【0093】S510では、加速度acc=V1−V2
を計算する。加速度accは駆動輪5の回転加速度に比
例する値となる。スイッチバック後の発進時の加速度a
ccは正(acc>0)の値をとる。
【0094】S520では、加速度accがスリップ判
定用のしきい値Aslipを超える(acc>Aslip)か否
かを判断する。つまりタイヤスリップが検出されたか否
かを判断する。タイヤスリップが検出されるとS530
に進み、タイヤスリップが検出されないときはS540
に進む。
【0095】S530では、フラグFtrc に「1」をセ
ットする。つまり、タイヤスリップが検出され、TRC
モードになったとしてフラグFtrc =1とする。S54
0では、フラグFtrc =1であるか否かを判断する。F
trc =1であればS550に進み、Ftrc =1でなけれ
ばS600に進む。
【0096】S550では、Δacc=acc−Aslip
を計算する。Δaccは、加速度accがしきい値Asl
ipを上回るときに正の値、下回るときに負の値をとる。
S560では、Δaccの累積である積分値intgB=Δ
acc+intgBを計算する。TRCモード中の加速度a
ccは、後述するTRC制御(クラッチ圧制御)によ
り、しきい値Aslipに対し上下に振幅する値をとり、駆
動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡するクラッチ圧に収束
する前においては、積分値intgBが正の値をとる(intg
B>0)。
【0097】S570では、intgB>0であるか否かを
判断する。つまり、駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡
するクラッチ圧に収束した後であるか否かを判断する。
intgB>0であればS580に進み、intgB>0でなけ
ればS590に進む。
【0098】S580では、目標エンジン回転数NEtr
g にアイドル回転数NEo をセットする。つまりTRC
モード中はアイドル回転数NEo が採用される。S59
0では、フラグFtrc をリセットする(Ftrc =0)。
つまりTRCモードが終了する。
【0099】S600では、目標エンジン回転数NEtr
g とするスロットル開度THtrg をスロットルアクチュ
エータ7に指令する。よって、intgB>0が成立する間
は、TRCモードとみなされてエンジン回転数がアイド
ル回転数に低く抑えられる。このため、タイヤスリップ
検出時のみエンジン回転数を低下させようとした場合、
エンジン回転数の応答遅れのため巧くタイミングがとれ
ないが、タイヤスリップが発生する可能性のあるintgB
>0が成立する間中、エンジン回転数を低く抑えるの
で、エンジン回転数の応答遅れによるタイミングの不一
致の問題が解消される。
【0100】次に図12に示す発進クラッチ圧制御ルー
チンを説明する。S610,S620は、TRC制御の
際にクラッチ係合圧Pclの補正をするための補正量を決
めるための準備の処理である。TRC制御では、加速度
accがタイヤスリップのしきい値Aslipを超えたとき
にクラッチ圧Pclini を設定圧Po に抜き、タイヤスリ
ップが解消された後の復帰時のクラッチ圧Pclを前回の
クラッチ圧よりも小さな値に補正をする。この補正量を
決める基本的な考え方は前記ABS制御と同じであっ
て、しきい値Aslipより少し小さな設定値A2modeを加
速度accが上回る領域の積分値ΔAに応じた低減率分
だけ完全係合のクラッチ係合圧Pcから減算する。
【0101】その処理内容は次のようになる。S610
では、Δacc=acc−A2modeを計算する。加速度
accは発進エンジン回転数制御ルーチンで先に計算し
た値(S510)を使用する。Δaccは、加速度ac
cがスリップ用の補正用しきい値である設定値A2mode
を上回るときに正の値をとる。
【0102】S620では、Δaccを数値制限処理し
たΔA(0≦ΔA≦α)を用いて、積分値intgA=ΔA
+intgAを計算する。積分値intgAは、加速度accが
設定値A2modeを上回る領域の面積に相当する(図6参
照)。
【0103】S630では、加速度accがしきい値A
slipを超える(acc>Aslip)か否かを判断する。つ
まりタイヤスリップが検出されたか否かを判断する。タ
イヤスリップが検出されないときはS640に進み、タ
イヤスリップが検出されるとS660に進む。
【0104】S640では、フラグFtrc =1であるか
否かを判断する。つまりTRCモードであるか否かを判
断する。Ftrc =1でなければS650においてクラッ
チ圧Pclとして完全係合圧Pc を採用する。
【0105】そしてS690において、シフト側クラッ
チバルブに対し、クラッチ圧Pclに相当する電流値IP
clを指令する。このため、スイッチバック終了判定がな
されて発進制御に移行すると、シフト側クラッチが一気
に完全係合される。
【0106】一方、S630においてタイヤスリップが
検出されたときは、S650においてクラッチ圧Pclと
して設定圧Po を採用する。そしてS690において、
シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Po に相当
する電流値IPclを指令する。このため、タイヤスリッ
プを検出したときはクラッチ係合圧が設定圧Po に弱め
られる(図6参照)。
【0107】TRCモードになった後、S630におい
てタイヤスリップを検出しなくなるとクラッチ圧を再度
復帰させるが、S640においてTRCモードである
(Ftrc =1)と判断すると、S670,S680にお
いて復帰時のクラッチ圧Pclを計算する。
【0108】S670では、積分値intgAの正規化値S
er(0≦Ser≦1)を算出する。S680では、ク
ラッチ圧Pclを、式 Pcl=(1−Ser)・Pc よ
り計算する。つまりクラッチ圧Pc に対して積分値intg
Aに応じた比率(Ser)分減算したクラッチ圧Pclが
算出される。
【0109】そしてS690において、シフト側クラッ
チバルブに対し、クラッチ圧Pcl=(1−Ser)・P
c に相当する電流値IPclを指令する。このため、TR
Cモードにおいてタイヤスリップが検出されるうちは徐
々に復帰時のクラッチ圧Pclが小さくなり、駆動輪5の
駆動力が路面抵抗と均衡してタイヤスリップがぎりぎり
起こらない平衡点のクラッチ圧に収束する。
【0110】従って、以上の各ルーチンの実行によりス
イッチバック操作されたときは次のような制御が行われ
る。図6に示すように、例えばフォークリフトが前進走
行中に時刻Toでシフトレバー31をF位置からR位置
に切り換えるスイッチバック操作されたとする。する
と、F位置側の前進クラッチ8が切離されると同時にR
位置側の後進クラッチ9が接続される。このとき荷重を
考慮した半クラッチのクラッチ係合圧Phrが採用され
る。また、停止までの予想時間Tsbが計算され、この予
想時間Tsbが経過するまでの減速区間は、エンジン回転
数が上限値NEsb以下に低く抑えられる。そのため、ス
イッチバック中はフォークリフトがスムーズに減速す
る。
【0111】スイッチバック中、半クラッチの減速度に
抑えられても駆動輪5がロックする場合は、ABS制御
が実行される。すなわちクラッチ圧Pclをロック検出中
に設定圧Poまで抜き、クラッチ圧の復帰時は、加速度
accが設定値A1modeを負側に超えた領域の積分値に
応じた低減率分をクラッチ圧Phrから減算し、クラッチ
圧Pclを徐々に低下させる。このため、ABS制御によ
って駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡とするほぼ平衡
点に収束する(図5,図6を参照)。
【0112】スイッチバック操作時から予想時間Tsbを
経過した後、車速Vが停止車速Vo以下になるとスイッ
チバック終了判定がなされ、スイッチバック制御を終了
して発進制御に移行する。スイッチバック終了判定を行
うに際し、車速Vが停止車速Vo以下に達したか否かの
判断は、予想時間Tsbの経過後(つまり車両停止後)に
行われるので、スイッチバック中に駆動輪5のロックを
スイッチバック終了と誤判定することはまずない。
【0113】発進制御に移行すると、シフト側クラッチ
(後進クラッチ9)は一気に完全係合される。このとき
車速がほぼ0であり、シフト側クラッチの入力側の回転
数(トルクコンバータのタービン回転数)と、出力側の
回転数(駆動輪回転数と減速ギヤ比に応じた比例関係に
ある回転数)が共にほぼ0で回転差が極めて小さいの
で、クラッチを一気に完全係合させてもさほどショック
が発生しない。発進制御ではエンジン回転数はアクセル
ペダル2の操作量に応じた値に制御される。
【0114】発進過程ではTRC制御も行われ、半クラ
ッチの加速度に抑えても駆動輪5がスリップする場合
は、クラッチ圧Pclをスリップ検出中に設定圧Poまで
抜き、クラッチ圧の復帰時は、加速度accがしきい値
A2modeを正側に超えた領域の積分値に応じた低減率で
完全係合圧Pcから減算し、クラッチ圧Pclを徐々に低
減させる。このため、TRC制御によって駆動輪5の駆
動力が路面抵抗と均衡とするほぼ平衡点に収束する(図
6を参照)。
【0115】この実施の形態では以下の効果を有する。 (1)予想時間Tsbの経過後、検出車速Vが停止車速V
o以下になったことを確認できたときにスイッチバック
終了と判定するので、スイッチバック中の駆動輪5のロ
ックをスイッチバック終了時と誤判定することを防ぐこ
とができる。よって、フォークリフトの停止時点をスイ
ッチバック終了時期として正しく判定することができ
る。従って、減速緩和制御を必要区間を通して継続させ
ることができ、スムーズなスイッチバックを実現でき
る。
【0116】(2)スイッチバック終了判定に必要な予
想時間Tsbおよび検出車速Vは、従来からフォークリフ
トに設けられた車速センサ17を使って得られるので、
判定専用のセンサを別途設ける必要がなく、判定装置を
簡単な構成で済ませられる。
【0117】(3)予想時間Tsbを求めるのに半クラッ
チの係合圧から想定される想定減速度データを使うの
で、設定減速感(モード)に応じた正しい予想時間Tsb
を算出することができる。
【0118】(4)スイッチバック中は、シフト側クラ
ッチを半クラッチとして駆動輪5の制動力を弱めるの
で、フォークリフトをスムーズにスイッチバックさせる
ことができる。
【0119】(5)さらに減速緩和制御の一つとして採
用する、スイッチバック中のエンジン回転数を上限値N
Esb以下に抑えるSBエンジン回転数制御が、駆動輪5
の制動力を一層弱めるのに寄与するので、フォークリフ
トを一層スムーズにスイッチバックさせることができ
る。
【0120】(6)スイッチバック中は、モードに応じ
た設定減速感(減速度)が常に得られるように、シフト
側クラッチのクラッチ係合圧Phrを荷重が重いほど大き
な値となるように荷重を考慮して設定し、一方、エンジ
ン回転数上限値NEsbを荷重が重いほど大きな値となる
ように荷重を考慮して設定する。よって、スイッチバッ
ク中はフォークリフトの積荷の有無や荷重の違いに影響
されずいつもほぼ同じ減速感を得ることができる。
【0121】(7)前記(6)効果から、モードに応じ
た一定減速度が常に得られることから、予想時間Tsbの
経過時が実際の車両停止時といつもほぼ一致する。この
ため、スイッチバック終了設定時期と実際の判定時期と
のずれを少なくでき、判定精度を高めることができる。
【0122】(8)スイッチバック終了判定がなされる
と、シフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全
係合させるが、シフト側クラッチの入力側と出力側との
回転差が小さいのでショックが小さくて済む。また、ス
イッチバック終了時にクラッチを一気に完全係合させる
ことからクラッチを半クラッチ状態にする保持時間が短
く済み、クラッチ8,9の摩耗速度を低減させてその寿
命を長くすることができる。
【0123】(9)スイッチバック中は、駆動輪5のロ
ックを検出するとシフト側クラッチのクラッチ係合圧を
弱める一種のABS制御を採用するので、スイッチバッ
ク減速中の駆動輪5のロックをほぼ確実に防止すること
ができる。例えばスイッチバックが原因で工場の床面に
タイヤ痕(タイヤマーク)が付くことをなるべく回避で
きる。
【0124】(10)駆動輪5のロックが検出されなく
なった復帰時のクラッチ係合圧Pclは、駆動輪5の駆動
力が路面抵抗との平衡点に収束するように徐々に小さく
されるので、ABS制御の採用が原因で減速度を不要に
弱め過ぎる事態を回避できる。
【0125】(11)駆動輪5のロックが検出されなく
なった復帰時のクラッチ係合圧Pclは、加速度accが
設定値A1modeを負側に超える領域の積分値に応じた低
減率で徐々に小さくされるので、駆動輪5の駆動力を路
面抵抗との平衡点に速やかに収束させることができ、駆
動輪5のロック発生頻度をより効果的に減らすことがで
きる。
【0126】(12)スイッチバック終了後の発進過程
で駆動輪5のスリップが検出されると、シフト側クラッ
チのクラッチ係合圧を弱めるTRC制御を採用するの
で、スイッチバック終了後の発進過程において駆動輪の
スリップを発生し難くすることができる。
【0127】(13)TRC制御実行中は、エンジン回
転数をアイドル回転数に小さく抑えるので、駆動輪5の
スリップを効果的に防止することができる。エンジン回
転数を制御するときは応答遅れがあるため、TRC制御
でタイヤスリップの検出中のみエンジン回転数を低下さ
せる制御をすると、エンジン回転数の応答遅れのためタ
イミングが巧くとれない。しかし、本実施形態ではタイ
ヤスリップが起きる可能性の高いintgB>0が成立する
間中は、エンジン回転数を低く維持するので、エンジン
回転数の応答遅れによるタイミングの不一致の心配がな
い。よって、クラッチ係合圧を抜くときは常時エンジン
回転数が低い状態に保たれ、スリップ抑制効果が高くな
る。
【0128】(14)加速度Δaccを所定値α以下の
値に数値制限したΔAを採用するので、ABS制御やT
RC制御において、復帰時のクラッチ圧Pclの急激な変
化を避けることができる。このため、駆動輪5の駆動力
を路面抵抗との平衡点に一層収束させ易い。
【0129】(15)モード切換スイッチ37によりモ
ードを選択することにより、運転者等の好みに応じたス
イッチバック中の減速感を得ることができる。 (16)ABS制御において積分値intgAを決める設定
値A1modeにモードに応じた値を設定し、復帰時のクラ
ッチ係合圧Pclを前回の値より小さくする低減率をモー
ドに応じて変化させたので、どのモードにおいても駆動
輪5の駆動力を路面抵抗との平衡点に速やかに収束させ
ることができる。よって、駆動輪5のロック発生頻度を
効果的に減らすことができる。
【0130】(17)駆動輪5の回転加速度がフォーク
リフトのスイッチバック時の減速や発進ではあり得ない
値になったことをもって、タイヤロックやタイヤスリッ
プを検出するので、車速センサ17の検出値を利用する
ことができる。よって、ABS制御やTRC制御を採用
するが、駆動輪5のロックやスリップを検出する専用の
センサ等を装備する必要がない。
【0131】(第2の実施形態)次に第2の実施形態を
説明する。本実施形態では、スイッチバック終了判定
に、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数の一
致をみる。なお、前記第1の実施形態と同様の構成につ
いては同じ符号を付してその説明を省略し、特に異なる
点について詳しく説明する。
【0132】スイッチバック制御のプログラムのうちス
イッチバック終了の判定方法が第1の実施形態と異な
る。その他の制御処理内容、すなわちSBエンジン回転
数制御(図9)、SBクラッチ圧制御(図10)、発進
制御プログラム(図14)は前記第1の実施形態と同じ
であり、発進エンジン回転数制御(図11)と、発進ク
ラッチ圧制御(図12)とからなる。
【0133】図13はスイッチバック制御プログラムの
一部を示し、第1の実施形態の図8に相当するものであ
る。スイッチバック制御プログラムのS10〜S80ま
での処理は第1の実施形態の図7と同じである。すなわ
ち、スイッチバック操作を検出すると、設定モードに応
じた予想時間Tsbを計算して、SBカウンタに予想時間
Tsbに相当する計数値SBcntをセットする。
【0134】図13に示すスイッチバック制御のプログ
ラムについて説明する。S90,S100は図8のもの
と同じ内容である。つまりスイッチバック中(Fsb=
1)であるか否かを判断し、スイッチバック中であれば
S100に進む。S100では、SBカウンタの計数値
SBcnt が正(SBcnt >0)であるか否かを判断す
る。つまりスイッチバック操作時から車両停止までに要
する予想時間Tsbの経過前のスイッチバック減速過程に
あるか否かを判断する。SBcnt >0が成立すればS1
20に進み、SBcnt >0が不成立であればS710に
進む。
【0135】S710では、シフト側クラッチの入力側
の回転数(トルクコンバータのタービン回転数)と、出
力側の回転数(駆動輪回転数と減速ギヤ比に応じた比例
関係にある回転数)との回転差が一定範囲以内であるか
否かを判断する。つまり、シフト側クラッチの入力側と
出力側の各回転数が許容範囲内で一致するか否かを判断
する。シフト側クラッチの入力側回転数は、タービン回
転数センサ15の検出値を使用する。シフト側クラッチ
の出力側回転数は、車速センサ17の検出値を使い、出
力軸3bと入力軸3aとの間に設けられたギヤ列の減速
比を考慮して求める。スイッチバックから発進への切り
換わり時で車速「0」になるときは、トルクコンバータ
2がストールしてタービン回転数がほぼ0となり、駆動
輪5の回転が止まる。よって、シフト側クラッチの入力
側と出力側の各回転数が共にほぼ0となる。
【0136】S100とS710の処理により、SBcn
t >0が不成立で車速が「0」になったと推定された
後、さらにシフト側クラッチの入力側と出力側の各回転
数が許容範囲内で一致したと判断されたときに、S72
0においてフラグFsbをリセット(Fsb=0)した後、
当該ルーチンから発進制御ルーチン(図14)へ移行す
る。発進制御ルーチンでは、S750の発進エンジン回
転数制御、S760の発進クラッチ圧制御とを実行す
る。
【0137】一方、S100においてスイッチバック減
速過程にある(SBcnt >0)と判断されているうち、
およびSBcnt >0と判断されなくなった後でもシフト
側クラッチの入力側と出力側の両回転数が許容範囲内で
一致するまでの間は、S120〜S140の処理を実行
する。すなわちS120でSBエンジン回転数制御(図
9)を実行し、S130でSBクラッチ圧制御(図1
0)を実行する。また、S140では、計数値SBcnt
をデクリメントする。
【0138】従って、例えば図15における回転数のグ
ラフに示すように、フォークリフトの後進走行中は、後
進クラッチ(Rクラッチ)8の出力側と前進クラッチ
(Fクラッチ)9の出力側の各回転数は、例えば出力軸
3bとの間に設けられたギヤ列の減速比がFクラッチと
Rクラッチで同じであれば、両クラッチ8,9は互いに
同回転数の逆回転をする。例えば時刻Toに、シフトレ
バー31をR位置からF位置へスイッチバック操作した
とする。すると、F側クラッチの係合圧が制動力となっ
て駆動輪5の回転速度が低下する。そして駆動輪5の回
転速度の低下に連れて、Rクラッチ出力側回転数NRと
Fクラッチ出力側回転数NFが共にほぼ一定勾配(一定
減速度)で回転数「0」に近づいていく。また、タービ
ン回転数Ntは、トルクコンバータ2が逆回転方向の制
動負荷を受けてストールすることにより回転数「0」に
近づいていく。また、図15における車速のグラフに示
すように、検出車速は時刻Toからほぼ一定勾配で低下
し、時刻T1で検出車速「0」に達した後、ほぼ一定勾
配で増加する。
【0139】一方、スイッチバック操作時から停止まで
に要する予想時間Tsbの経過(時刻T1)後、さらにシ
フト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲
内で一致する(時刻T2)までの間は、SBエンジン回
転数制御(図9)とSBクラッチ圧制御(図10)が実
行される。
【0140】そして、予想時間Tsbの経過(時刻T1)
後、シフト側クラッチの入力側と出力側の回転差が一定
範囲以内に収束すると(時刻T2の近く)、発進制御
(図12)へ移行してシフト側クラッチが一気に完全係
合される。このとき、シフト側クラッチの入力側と出力
側の各回転数が合っているので、一気に完全係合させて
もショックはさほど発生しない。
【0141】シフト側クラッチの入力側と出力側の各回
転数がほぼ一致するか否かの判断は、予想時間Tsbの経
過後に行われるので、スイッチバック中に駆動輪5がロ
ックしたために両回転数が許容範囲で一致することがあ
っても、スイッチバック終了と誤判定されることがな
い。
【0142】発進制御へ移行後は、発進エンジン回転数
制御(S750)と発進クラッチ圧制御(S760)が
実行される。これにより発進過程では駆動輪5のスリッ
プを検出するとTRC制御が実行され、スリップが起き
難くなる。なお、スイッチバック中は駆動輪5のロック
を検出するとABS制御が実行され、ロックが起き難く
なる。
【0143】以上詳述したように本実施形態によれば、
前記第1の実施形態で述べた(1),(3)〜(17)
の効果が同様に得られる他、以下の効果がさらに得られ
る。 (18)シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数
が許容範囲内で実際に一致したことを確認してから、発
進制御に移ってシフト側クラッチを一気に完全係合させ
るため、ショックを一層発生し難くすることができる。
【0144】(19)車速センサ17の他、タービン回
転数センサ15を設けるだけで済む。スイッチバック終
了判定のための構成が簡単で済む。 (第3の実施形態)次に第3の実施形態を説明する。本
実施形態では、スイッチバック終了判定に、加速度の検
出値を使用する。なお、前記第1の実施形態と同様の構
成については同じ符号を付してその説明を省略し、特に
異なる点について詳しく説明する。
【0145】スイッチバック制御のプログラムのうちス
イッチバック終了の判定方法が、第1及び第2の実施形
態と異なる。その他の制御処理内容、すなわちSBエン
ジン回転数制御(図9)、SBクラッチ圧制御(図1
0)、発進制御プログラム(図11,図12)は前記各
実施形態と同じである。
【0146】図16はスイッチバック制御プログラムで
あり、第1の実施形態の図7,図8に相当するものであ
る。以下、このスイッチバック制御プログラムについて
説明する。このルーチンでは検出加速度accが正(a
cc>0)であることをもってスイッチバック終了と判
定する。つまりスイッチバック操作後、検出加速度から
減速過程から加速過程に切り換わったと判断される時を
スイッチバック終了時と判定する。但し、ABS制御を
実行したときは加速度が正になる瞬間が生じるので、こ
の時期を除く処理を合わせて採用している。
【0147】まずS10,S20は図7のものと同じ処
理である。すなわちスイッチバック操作を検出すると、
フラグFsbをセット(Fsb=1)する。S90は、図8
のものと同じ処理であり、スイッチバック中(Fsb=
1)であるか否かを判断する。スイッチバック中でなけ
れば当該ルーチンを終了する。スイッチバック中であれ
ばS810に進む。
【0148】S810では、ABSモード(Fabs=
1)であるか否かを判断する。ABSモードであればS
820に進み、ABSモードでなければS830に進
む。S820では、ABS制御においてクラッチ係合圧
Pclを設定圧Poに抜いた後再度入れたときから所定時
間toを経過したか否かを判断する。ABS制御を実行
したときは、図5に示すようにクラッチ係合圧Pclを設
定圧Poに抜いた後、やがて加速度accが正になる過
程が生じ、この加速過程を検出してスイッチバックの終
了と判断することを回避するため、この加速過程では判
定処理を行わないようにしている。クラッチ係合圧Pcl
を設定圧Poから復帰させた(例えば図5における時刻
Tr)後、加速度accが正から負へ完全に切り換わる
に十分な時間を所定時間toとして設定し、クラッチ係
合圧の復帰後、所定時間toを経過した以後に加速度a
ccが正であるか否かの判定を行うようにしている。ク
ラッチ係合圧の復帰後、所定時間toを経過していれば
S830に進み、所定時間toを経過していればS12
0に進む。
【0149】S830では、加速度accが正である
(acc>0)か否かを判断する。図15に示すよう
に、スイッチバック中で検出車速Vが低減していって発
進過程に移る停止時(検出車速Vが「0」の時刻T1)
は、加速度accが負から正に切り換わる。加速度ac
cが正になったことをもって車両停止時と判定する。加
速度accが正であるときは、S710に進み、加速度
accが正でないとき(acc≦0)はS120に進
む。
【0150】S710は、図13のものと同じ処理であ
り、シフト側クラッチの入力側の回転数(トルクコンバ
ータのタービン回転数)と、出力側の回転数(駆動輪回
転数と減速ギヤ比に応じた比例関係にある回転数)との
回転数差が一定範囲内であるか否かを判断する。つま
り、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許
容範囲内で一致するか否かを判断する。図15に示すよ
うに、スイッチバック終了の車両停止時(時刻T1)
は、シフト側クラッチの出力側回転数は「0」となる
が、入力側回転数は「0」とはなっていない。時刻T1
からしばらく後に両者の回転差が一定範囲内に収まる。
【0151】S830とS710の処理により、acc
>0が成立した後、さらにシフト側クラッチの入力側と
出力側の回転差が一定範囲以内に収束したと判断された
ときに、S720においてフラグFsbをリセット(Fsb
=0)した後、当該ルーチンから発進制御ルーチンへ移
行する。
【0152】一方、S830においてacc >0と判
断されるまでの間、およびacc>0と判断された後で
も、S710においてシフト側クラッチの入力側と出力
側の回転差が一定範囲以内に収束したと判断されるまで
の間は、S120、S130の処理を実行する。すなわ
ちS120でSBエンジン回転数制御(図9)を実行
し、S130でSBクラッチ圧制御(図10)を実行す
る。
【0153】従って、走行中にシフトレバー31を逆進
側へ切り換えるスイッチバック操作されると、検出加速
度が負の値(acc<0)をとる減速(制動)中は、S
Bエンジン回転数制御(図9)とSBクラッチ圧制御
(図14)が実行される。そして、フォークリフトが制
動過程から発進過程に切り換わって検出加速度が負の値
(acc<0)から正の値(acc>0)になった後、
シフト側クラッチの入力側と出力側の回転差が一定範囲
以内に収束すると(時刻T2近く)、スイッチバック終
了と判定される。その結果、発進制御(図12)へ移行
し、シフト側クラッチは一気に完全係合される。このと
き、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数がほ
ぼ一致するので、一気に完全係合させてもさほどショッ
クが発生しない。
【0154】スイッチバック中に駆動輪5がロックして
シフト側クラッチの入力側と出力側の回転差が一定範囲
以内に収まることがあっても、この際は検出加速度ac
cが負の値をとる(acc<0)ので、スイッチバック
終了と誤判定されることはない。また、ABS制御が実
行されたときは、駆動輪5のロックが検出されてクラッ
チ係合圧Pclが弱められたとき、検出加速度accが正
の値をとることがある。しかし、ABSモードではクラ
ッチ係合圧Pclを設定圧Poまで抜いて再度入れた(復
帰)時点(図5における時刻Tr)から所定時間(例え
ば0.2〜0.5秒)経過した以後、スイッチバック終
了判定の判断処理を行う。つまり、図5において、AB
Sモード中にあるときにクラッチ圧Pclを設定圧Poま
で抜いたことに起因して加速度accが正となる区間を
除いた時期を、スイッチバック終了判定の判断処理を行
う判定時期としている。このため、ABS制御の実行に
起因して加速度が正となる時をスイッチバック終了と判
定する誤判定が防止される。
【0155】以上詳述したように本実施形態によれば、
前記第1の実施形態で述べた(1),(4)〜(6),
(8)〜(17)の効果、及び、第2の実施形態で述べ
た(18),(19)の効果が同様に得られる。特に
(1)の効果では、検出加速度accが正でない(ac
c≦0)間は、スイッチバック終了と判定されないの
で、駆動輪5のロックをスイッチバック終了と誤判定す
ることがない。
【0156】その他、以下の効果が得られる。 (20)ABS制御の採用によりクラッチ係合圧Pclを
設定圧Poまで抜いたことに起因して加速度accが正
となる区間が生じるが、この区間を除く、クラッチ係合
圧Pclの復帰時(時刻Tr)から所定時間経過以後を判
定時期としたので、ABS制御の採用に起因するスイッ
チバック終了の誤判定を防ぐことができる。
【0157】なお、実施の形態は上記に限定されず、次
の態様で実施することができる。 ○ スイッチバック終了判定内容は、スイッチバック操
作後、車両がスイッチバック終了設定車速に達するのに
要する予想時間を経過した時のみでもよい。つまり、第
1の実施形態において車速が設定車速以下であるか否か
の判断処理(S110)はなくす。また、第2の実施形
態においてクラッチの入力側と出力側の回転数が許容範
囲内で一致したか否かの判断処理(S710)はなく
す。この構成でも、スムーズにスイッチバックさせるた
めの制御(クラッチ圧制御やエンジン回転数制御)を必
要な時期区間継続させることができる。
【0158】○ スイッチバック終了判定内容は、スイ
ッチバック操作後、車両の検出加速度が負でなくなった
時のみでもよい。つまり、第3の実施形態においてクラ
ッチの入力側と出力側の回転数が許容範囲内で一致した
か否かの判断処理(S710)はなくす。この構成で
も、スムーズにスイッチバックさせるための制御(クラ
ッチ圧制御やエンジン回転数制御)を必要な時期区間継
続させることができる。
【0159】○ 第2のスイッチバック終了設定車速
は、予想所要時間を決めるスイッチバック終了設定車速
と同じ車速であってもよい。例えば停止車速Vo (例え
ば5km/h以下の値)に達するまでの予想時間を計算し、
その予想時間の経過後、検出車速が停止車速Vo 以下で
あるか否かを判断する。
【0160】○ 前記各実施形態において、スイッチバ
ック中にシフト側クラッチを半クラッチ状態とするクラ
ッチ圧制御をなくし、スイッチバック中にエンジン回転
数を小さく制限するエンジン回転数制御のみを採用する
ものであってもよい。この場合、スイッチバック終了判
定装置はエンジン回転数制御の終了時期の決定に使用さ
れる。エンジン回転数を低く抑えるだけでもフォークリ
フトのスイッチバック中の減速度を小さくすることはで
きる。この場合、アクセル開度に関係なくエンジン回転
数に一定値を与えてもよい。例えば一定値をアイドル回
転数とすることができる。
【0161】○ エンジン回転数を上限値以下に制限す
るエンジン回転数制御と、シフト側クラッチ係合圧を半
クラッチとするクラッチ圧制御とのスイッチバック終了
判定条件(時期)が異なってもよい。
【0162】○ スイッチバック終了判定条件は、停止
車速に達した時に限定されない。停止車速より大きな設
定車速に達した時でもよい。要するにスムーズなスイッ
チバックができればよい。設定車速は例えば8km/hでも
よい。
【0163】○ 前記各実施形態において、スイッチバ
ック中のエンジン回転数はアクセル操作量に応じた値と
してもよい。シフト側クラッチを半クラッチにするだけ
でもスムーズにスイッチバックできる。
【0164】○ スイッチバック中のABS制御を無く
すこともできる。 ○ スイッチバック中にシフト側クラッチを完全係合さ
せ、ABS制御のみを採用することができる。ABS制
御の採用によりスイッチバック中の駆動輪5のロックを
防ぐことはできる。この場合、ABS制御の終了判定を
スイッチバック終了判定装置が行う。また、スイッチバ
ック後の発進過程でTRC制御を採用する場合、ABS
制御からTRC制御への移り換わり時期がスイッチバッ
ク終了判定により決められる。
【0165】○ スイッチバック終了後の発進過程で、
シフト側クラッチを半クラッチにする発進制御を採用し
てもよい。この場合、クラッチ係合圧を荷重センサの検
出値(荷重)を考慮して決めてもよい。この構成によれ
ば、車両に積載された荷の重量に影響されることなくい
つも安定した加速度でスムーズに発進できる。
【0166】○ ABS制御の制御内容は前記各実施形
態に限定されない。駆動輪5のロックを検出したときに
シフト側クラッチの係合圧を少なくともロックを防ぐこ
とが可能な値まで弱める制御であればよい。例えばスリ
ップ検出中にクラッチ係合圧を抜くだけのABS制御で
もよい。特にクラッチ係合圧Pclの低減率を徐々に小さ
くする制御であれば、駆動輪5の駆動力を路面抵抗と均
衡する平衡点に収束させることはできる。この際のクラ
ッチ係合圧Pclの補正計算方法は、加速度の積分値を利
用する方法に限定されない。
【0167】○ スイッチバック終了判定時(例えば停
止車速に達した時点)に、シフト側クラッチを半クラッ
チ状態から一気に完全係合させるのではなく、徐々に完
全係合に近づけていく発進制御を採用することもでき
る。この場合、スイッチバック後、より確実にスムーズ
に発進できる。
【0168】○ スイッチバック中のクラッチ係合圧の
制御に、モードに応じた目標減速度が得られるように、
車速(減速度)フィードバック制御を採用してもよい。 ○ 車両停止までに要する予想時間を計算するのに使用
する減速度として、設定値でなく、検出減速度を使って
もよい。例えばスイッチバック操作により制動し始めた
直後の減速度を検出し、この検出減速度とその減速度検
出時点の検出車速を用いて停止までの予想所要時間を計
算する。減速度は例えば検出車速の時間差分から求め
る。
【0169】○ 車速検出手段としてロータリエンコー
ダを使用することもできる。車速値だけでなく、減速中
であるか加速中であるかを考慮した判定ができる。 ○ 従動輪に車速センサを設ける。駆動輪がロックして
も従動輪は転動するので、その検出車速のみから車両停
止時を正しく判定できる。
【0170】○ 検出車速と予想時間との関係を示すマ
ップを記憶し、マップを使って検出車速から予想時間を
求めてもよい。つまり想定減速度データは使用しない。 ○ 加速度を検出車速の時間差分から求めるのではな
く、加速度センサ(加速度ピックアップ)の検出値を使
用してもよい。
【0171】○ 減速感強さ(モード)を連続的に可変
設定できる例えばボリュームなどの設定操作手段を使用
することもできる。 ○ 変速機は乾式クラッチ式でもよい。
【0172】○ スイッチバック終了判定装置を適用す
る産業車両はフォークリフトに限らず、スイッチバック
操作可能なその他の産業車両、例えばトラクタショベル
等に適用してもよい。
【0173】前記実施形態及び別例から把握できる請求
項以外の技術思想を、以下に記載する。 (1)請求項1〜5、8〜12のいずれかの発明におい
て、前記車速検出手段は、駆動輪の回転速度を検出する
ものである。この場合、駆動輪のロック時をスイッチバ
ック終了設定車速に達した時と誤判定することがない。
【0174】(2)請求項2又は3の発明において、産
業車両は、車両に積載された荷の荷量を検出する荷重検
出手段を備え、前記クラッチ制御手段は、前記荷重検出
手段の検出値に基づき荷重が重いほど前記シフト側クラ
ッチのクラッチ係合圧を大きくする。この構成によれ
ば、荷重検出手段の検出値に基づき荷重が重いほどシフ
ト側クラッチのクラッチ係合圧を大きくするので、スイ
ッチバック時の車両の減速度が車両に積載された荷の荷
重に影響され難くなる。この時の荷重が考慮されたクラ
ッチ係合圧から決まる想定減速度に応じた予想所要時間
が、スイッチバック操作時の検出車速を用いて予測され
る。その結果、荷重が考慮された減速度に応じた正しい
時期にスイッチバック終了判定することができる。
【0175】(3)請求項7の発明において、前記加速
度検出手段は、車速検出手段と、該車速検出手段の検出
値の時間差分を演算して加速度を求める加速度演算手段
とを備えている。この構成によれば、請求項7の発明の
効果に加え、加速度演算手段により車速検出手段の検出
値の時間差分を演算して加速度が求められ、加速度を求
めるのに車速検出手段を利用できる。
【0176】(4)請求項10の発明において、前記減
速区間においては、エンジン回転数を予め設定された上
限値以下に制御するエンジン回転数制御手段を備えてい
る。この構成によれば、請求項10の発明の効果に加
え、エンジン回転数制御手段により減速区間において
は、エンジン回転数が予め設定された上限値以下に制御
される。この結果、スイッチバック時の車両の減速度が
効果的に緩和される。エンジン回転数を上限値以下にす
る制御を例えば駆動輪のロック時に止める不具合が防止
される。
【0177】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜5の発明
によれば、スイッチバック操作時の検出車速を用いて、
車両がスイッチバック終了設定車速に達するまでの予想
所要時間を予測し、その予想所要時間を経過した時にス
イッチバック終了と判定するので、比較的構成及び処理
内容の簡単な判定装置を用いてスイッチバック終了時期
を正しく判定することができる。
【0178】請求項2の発明によれば、スイッチバック
操作時の検出車速を用いて、シフト側クラッチが半クラ
ッチ状態とされたときのクラッチ係合圧から決まる想定
減速度に応じた予想所要時間を予測するので、車両の減
速度の緩和程度に応じた正しい時期にスイッチバック終
了判定をすることができる。
【0179】請求項3の発明によれば、スイッチバック
操作時の検出車速を用いて、設定操作手段により設定さ
れた設定情報に応じた予想所要時間を予測するので、設
定情報に応じた正しい時期にスイッチバック終了判定を
することができる。
【0180】請求項4の発明によれば、予想所要時間の
経過後、検出車速が十分低速域にあることが確認された
時にスイッチバック終了と判定するので、一層適切にス
イッチバック終了の時期を判定することができる。
【0181】請求項5のによれば、予想所要時間の経過
後、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許
容範囲内で一致した時を、スイッチバック終了と判定す
るので、例えばスイッチバック終了判定時に、シフト側
クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係合させても
ショックが起き難い。
【0182】請求項6〜8の発明によれば、シフト操作
検出後、車両の検出加速度が負でなくなった時をスイッ
チバック終了と判定するので、比較的構成及び処理内容
の簡単な判定装置を用いてスイッチバック終了時期を正
しく判定することができる。
【0183】請求項7の発明によれば、検出加速度が負
でなくなった後、さらにシフト側クラッチの入力側と出
力側の各回転数が許容範囲内で一致した時をスイッチバ
ック終了と判定するので、例えばスイッチバック終了判
定時に、シフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に
完全係合させてもショックが起き難い。
【0184】請求項8の発明によれば、ロック防止制御
のためにシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めたこ
とに起因して検出加速度が負でなくなる時期を除いた判
定時期にスイッチバック終了判定を行うので、ロック防
止制御に起因する誤判定を防止することができる。
【0185】請求項9〜12の発明によれば、スイッチ
バックをスムーズにするためにシフト側クラッチを半ク
ラッチとするクラッチ制御を採用した場合、クラッチ制
御を駆動輪のロック時に誤って終了させることなく正し
い時期に終了させることができる。
【0186】請求項10〜12の発明によれば、駆動輪
のロックが検出されたときにシフト側クラッチのクラッ
チ係合圧を弱めるロック防止制御を採用する場合、クラ
ッチ制御をロック防止制御に起因する誤判定なく正しい
時期に終了させることができる。
【0187】請求項11、12の発明によれば、請求項
9又は10の発明の効果に加え、クラッチ制御の終了時
にシフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係
合させる制御をするので、ショックなくクラッチ制御を
終了でき、しかもクラッチを半クラッチ状態に保持する
保持時間を短くでき、クラッチの寿命を延ばすことがで
きる。特にシフト側クラッチの入力側と出力側の各回転
数が許容範囲内で一致した時に完全係合させる構成で
は、完全係合時のショックを一層確実に緩和できる。
【0188】請求項12の発明によれば、請求項9〜1
1のいずれか一項の発明の効果に加え、スイッチバック
終了と判定された後の発進過程において、駆動輪のスリ
ップを検出するとシフト側クラッチのクラッチ係合圧を
弱めるスリップ防止制御の採用により、駆動輪のスリッ
プを発生し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態におけるフォークリフトの概
略構成図。
【図2】 荷重とエンジン回転数上限値との関係を示す
マップ図。
【図3】 アクセル開度と目標エンジン回転数との関係
を示すマップ図。
【図4】 荷重とクラッチ係合圧との関係を示すマップ
図。
【図5】 ABS制御を説明するためのグラフ。
【図6】 スイッチバック制御を説明するためのグラ
フ。
【図7】 スイッチバック制御を示すフローチャート。
【図8】 同じくスイッチバック制御を示すフローチャ
ート。
【図9】 SBエンジン回転数制御ルーチンを示すフロ
ーチャート。
【図10】 SBクラッチ圧制御ルーチンを示すフロー
チャート。
【図11】 発進エンジン回転数制御ルーチンを示すフ
ローチャート。
【図12】 発進クラッチ圧制御ルーチンを示すフロー
チャート。
【図13】 第2の実施形態におけるスイッチバック制
御の一部を示すフローチャート。
【図14】 発進制御ルーチンのフローチャート。
【図15】 スイッチバック終了判定処理を説明するた
めのグラフ。
【図16】 第3の実施形態におけるスイッチバック制
御を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン、2…トルクコンバータ、3…変速機、3
b…出力軸、5…駆動輪、7…エンジン回転数制御手段
を構成するスロットルアクチュエータ、8…前進クラッ
チ、9…後進クラッチ、8a,9a…受圧室、10…ク
ラッチ制御手段、ロック防止制御手段及びスリップ防止
制御手段を構成するとともに制御弁としての前進クラッ
チバルブ、11…クラッチ制御手段、ロック防止制御手
段及びスリップ防止制御手段を構成するとともに制御弁
としての後進クラッチバルブ、17…加速度検出手段、
ロック検出手段及びスリップ検出手段を構成するととも
に車速検出手段としての車速センサ、15…タービン回
転数検出手段としてのタービン回転数センサ、22…荷
重検出手段としての荷重センサ、31…シフト操作手段
としてのシフトレバー、32…操作検出手段を構成する
シフトスイッチ、37…設定操作手段としてのモード切
換スイッチ、41…操作検出手段、エンジン回転数制御
手段、クラッチ制御手段、ロック検出手段、ロック防止
制御手段、スリップ検出手段及びスリップ防止制御手段
を構成するとともに演算手段、計時手段及び判定手段と
しての制御装置、42…操作検出手段、エンジン回転数
制御手段、クラッチ制御手段、ロック検出手段、ロック
防止制御手段、スリップ検出手段及びスリップ防止制御
手段を構成するとともに演算手段、計時手段及び判定手
段としてのCPU、Tsb…予想所要時間としての予想時
間。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:48 F16H 59:48 Fターム(参考) 3F333 AA02 AB13 FA17 FA20 FA29 FA31 FE05 FE09 3J052 AA01 AA07 CA04 CB11 CB16 EA03 FB31 GB06 GC01 GC43 GC44 GC46 GC51 HA03 KA01 LA07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの出力をトルクコンバータを介
    して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進ク
    ラッチを備えた変速機と、 前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を
    調整する制御弁と、 前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作する
    シフト操作手段とを備えた産業車両において、 車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、ま
    たは後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出
    する操作検出手段と、 車速を検出する車速検出手段と、 前記操作検出手段によりスイッチバック操作が検出され
    ると、そのスイッチバック操作時の検出車速を用いて、
    車両がスイッチバック終了設定車速に達するまでの予想
    所要時間を求める演算手段と、 前記スイッチバック操作時からの時間の経過を計時する
    計時手段と、 前記計時手段が前記予想所要時間を計時し終わるとスイ
    ッチバック終了と判定する判定手段とを備えている産業
    車両のスイッチバック終了判定装置。
  2. 【請求項2】 産業車両は、スイッチバック操作検出時
    からスイッチバック終了判定時までの区間において、シ
    フト側クラッチを半クラッチにするように前記制御弁を
    制御するクラッチ制御手段を備え、 前記演算手段は、前記スイッチバック操作時の前記車速
    検出手段の検出車速を用いて、前記クラッチ制御手段に
    より前記シフト側クラッチが半クラッチ状態とされたと
    きのクラッチ係合圧から決まる想定減速度に応じた予想
    所要時間を予測する請求項1に記載の産業車両のスイッ
    チバック終了判定装置。
  3. 【請求項3】 産業車両は、スイッチバック時の車両の
    減速感強さを設定するための設定操作手段を備え、前記
    クラッチ制御手段は、前記シフト側クラッチを前記設定
    操作手段により設定された設定情報に応じたクラッチ係
    合圧に制御するものであって、 前記演算手段は、前記スイッチバック操作時の前記車速
    検出手段の検出車速を用いて、前記設定操作手段により
    設定された設定情報に応じた予想所要時間を予測する請
    求項2に記載の産業車両のスイッチバック終了判定装
    置。
  4. 【請求項4】 前記判定手段は、前記計時手段が前記予
    想所要時間を計時した後、前記車速検出手段の検出車速
    が第2のスイッチバック終了設定車速以下となると、ス
    イッチバック終了と判定する請求項1〜3のいずれか一
    項に記載の産業車両のスイッチバック終了判定装置。
  5. 【請求項5】 前記トルクコンバータのタービン回転数
    を検出するタービン回転数検出手段を備え、前記判定手
    段は、前記計時手段が前記予想所要時間を計時した後、
    前記タービン回転数検出手段の検出値から決まるシフト
    側クラッチの入力側回転数と、前記車速検出手段の検出
    車速から決まるシフト側クラッチの出力側回転数とが許
    容範囲内で一致すると、スイッチバック終了と判定する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の産業車両のスイッ
    チバック終了判定装置。
  6. 【請求項6】 エンジンの出力をトルクコンバータを介
    して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進ク
    ラッチを備えた変速機と、 前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を
    調整する制御弁と、 前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作する
    シフト操作手段とを備えた産業車両において、 車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、ま
    たは後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出
    する操作検出手段と、 車両の走行加速度を検出する加速度検出手段と、 スイッチバック操作検出後、前記加速度検出手段により
    検出された車両の走行加速度が負でなくなったと判断す
    ると、スイッチバック終了と判定する判定手段とを備え
    ている産業車両のスイッチバック終了判定装置。
  7. 【請求項7】 前記トルクコンバータのタービン回転数
    を検出するタービン回転数検出手段を備え、前記判定手
    段は、前記加速度検出手段により検出された車両の走行
    加速度が負でなくなった以後、前記タービン回転数検出
    手段の検出値から決まるシフト側クラッチの入力側回転
    数と、前記車速検出手段の検出車速から決まるシフト側
    クラッチの出力側回転数とが許容範囲内で一致すると、
    スイッチバック終了と判定する請求項6に記載の産業車
    両のスイッチバック終了判定装置。
  8. 【請求項8】 産業車両は、駆動輪のロックを検出する
    ロック検出手段と、前記スイッチバック操作検出後、前
    記ロック検出手段により前記駆動輪のロックが検出され
    たときに前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱め
    る制御をするロック防止制御手段とを備えており、 前記判定手段は、前記ロック防止手段が前記シフト側ク
    ラッチのクラッチ係合圧を弱めたことに起因して前記加
    速度検出手段の検出加速度が負でなくなる時期を除いた
    判定時期にスイッチバック終了であるか否かの判定を行
    う請求項6又は7に記載の産業車両のスイッチバック終
    了判定装置。
  9. 【請求項9】 エンジンの出力をトルクコンバータを介
    して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進ク
    ラッチを備えた変速機と、 前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を
    調整する制御弁と、 前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作する
    シフト操作手段とを備えた産業車両において、 請求項1〜8のいずれか一項に記載のスイッチバック終
    了判定装置と、 前記操作検出手段によるスイッチバック操作検出時から
    前記判定手段によるスイッチバック終了判定までの減速
    区間においては、シフト側クラッチを半クラッチにする
    ように前記制御弁を制御するクラッチ制御手段とを備え
    た産業車両におけるスイッチバック制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のスイッチバック制御
    装置において、 駆動輪のロックを検出するロック検出手段と、 前記スイッチバック操作検出後、前記ロック検出手段に
    より前記駆動輪のロックが検出されたときに前記シフト
    側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をするロック
    防止制御手段とを備え、 前記スイッチバック終了判定装置は、請求項1〜5、8
    のいずれか一項に記載のものである産業車両におけるス
    イッチバック制御装置。
  11. 【請求項11】 前記スイッチバック終了判定装置によ
    りスイッチバック終了と判定されると、前記クラッチ制
    御手段は、前記シフト側クラッチを半クラッチ状態から
    完全係合させる9又は10に記載の産業車両のスイッチ
    バック制御装置。
  12. 【請求項12】 駆動輪のスリップを検出するスリップ
    検出手段と、 前記スイッチバック終了判定装置によりスイッチバック
    終了と判定された後の発進過程において、前記スリップ
    検出手段により駆動輪のスリップが検出されたときは、
    シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をする
    スリップ防止制御手段とを備えている請求項9〜11の
    いずれか一項に記載の産業車両のスイッチバック制御装
    置。
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