JP2001113742A - 厚膜式サーマルヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

厚膜式サーマルヘッドおよびその製造方法

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JP2001113742A
JP2001113742A JP2000214658A JP2000214658A JP2001113742A JP 2001113742 A JP2001113742 A JP 2001113742A JP 2000214658 A JP2000214658 A JP 2000214658A JP 2000214658 A JP2000214658 A JP 2000214658A JP 2001113742 A JP2001113742 A JP 2001113742A
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thermal head
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Ryoichi Imai
良一 今井
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Riso Kagaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極への通電に伴う発熱抵抗体の発熱部分を
表面側とし、マスターの穿孔加熱までの熱拡散を抑制
し、穿孔径を小さくすると共に熱応答性を向上して穿孔
特性を改善した、低コスト化が可能な厚膜式サーマルヘ
ッドを得る。 【解決手段】 電気絶縁性の基板10と、基板10の表面に
固定されスペーサ18を介して溝部13を形成するよう配置
された2枚の耐熱絶縁性の薄板11,12 と、溝部13に埋設
された発熱抵抗体14と、薄板11,12 の表面に発熱抵抗体
14と接触して発熱抵抗体14の延在方向に設けられた複数
の電極15,16 とを有してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、孔版印刷機等にお
けるマスター(原紙)の穿孔製版に使用する厚膜式サー
マルヘッドおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種記録装置の画像形成に使用されてい
るサーマルヘッドには、薄膜形成技術による薄膜式サー
マルヘッドと、これによらない厚膜式サーマルヘッドと
がある。このようなサーマルヘッドを利用して孔版印刷
用の感熱マスターの穿孔製版を行うについては、穿孔と
穿孔間に離間部が形成されることが印刷品質を高める上
で要求されている。
【0003】従来より、感熱紙印字あるいはリボン転写
印字方式に厚膜サーマルヘッドが用いられている。この
サーマルヘッドは、セラミック等の絶縁体の基板上に形
成された通電電極の上面に発熱抵抗体が積層形成されて
いる。そして、発熱抵抗体の底面にある前記電極に通電
され、この通電エネルギーに応じて抵抗体が底部から発
熱し、記録媒体と接触する表面部分に向かって熱が伝播
する。このサーマルヘッドによれば、個々の発熱部分
(発熱素子)よりも広い範囲で連続した画像が形成され
る。
【0004】上記厚膜サーマルヘッドを孔版印刷の製版
に用いた場合、前述のように発熱抵抗体の底より発熱が
起こり、上部の表面まで熱が伝わる間に熱が発散し、広
範囲に熱が伝播するため、表面での発熱領域が大きくな
って、穿孔径の肥大化を引き起こすと共に、熱が伝播す
る時間的な遅延により表面温度は所定の時間が経たない
と穿孔に必要な温度に達せず、応答性の低下を招く問題
がある。
【0005】また、孔版印刷機においては、マスターの
穿孔からインクが通過して用紙に転写した際に、インク
が滲み、マスターの穿孔径より印刷ドット径が大きくな
る特性を有することから、インクが滲んでしまう分、穿
孔の大きさを小さく形成する必要がある。この点から
も、マスターの穿孔を独立して行う必要があり、前述の
ような発熱抵抗体を底部から発熱させる方式のサーマル
ヘッドは、マスターの穿孔製版用としては不向きであっ
た。
【0006】特に、ライン状のサーマルヘッドで、その
主走査方向(マスターの幅方向)においては電極の配設
間隔の調整で穿孔径を小さくすることが可能であるが、
副走査方向(マスターの走行方向)においては発熱抵抗
体の幅を狭く形成することの困難性と熱拡散との影響に
よって、穿孔径を小さくすることが難しい問題を有して
いる。
【0007】つまり、図9に示すように、基板a上に配
設された電極b上に発熱抵抗体dをシルクスクリーン印
刷法により塗設する際、鎖線で示すように塗布直後の抵
抗体ペーストcは細幅に盛り上がるように形成されて
も、塗布直後から副走査方向に流れて広がると共に高さ
が低くなり、時間が経過して実際に形成される発熱抵抗
体dは底面積が大きくなり、発熱幅が広くなる。この現
象は、塗布された抵抗体ペーストcが流動状態であるた
めと、広がりを規制する部材がないために生起し、前記
発熱抵抗体dの幅を狭くすることが難しい原因の一つで
ある。
【0008】例えば、特開昭63−165153号公報
には、サーマルヘッドの発熱領域を個々の抵抗体より広
く拡散させ、連続した画像を形成する目的で、セラミッ
クなどの絶縁性基板の上に、蓄熱を行うための層を設
け、この蓄熱層に設けられた溝に発熱抵抗体を埋設し、
その上に電極を配設する構造が提案されている。しかし
感熱孔版の製版に用いた場合、発熱した熱が、蓄熱層に
こもってしまい、その熱が徐々に広がり、全体的に熱が
溜まってしまい、小さい領域で熱を発生させることがで
きず、穿孔径の連結、肥大化等の不具合が生起する恐れ
がある。また、蓄熱層を有することで放熱速度(熱応答
速度)が遅くなり、マスターを穿孔させようとすると、
穿孔と穿孔との間の離間部ができず、連続穿孔が行わ
れ、孔版印刷用の製版には適していないものである。
【0009】また、厚膜式サーマルヘッドとして、基板
上の電極の上に突起状に発熱抵抗体が形成されたものが
知られている。しかし、この突起状の発熱抵抗体を有す
る構造では、孔版印刷用のマスターを移動させつつ穿孔
製版を行うと、マスターに使われている樹脂が穿孔を行
うごとに、「紙かす」や「樹脂かす」となって発熱抵抗
体の突起部に溜まり、製版を阻害する問題があった。ま
た、紙粉が突起部の前面に溜まり、この紙粉がマスター
の密着を阻害して穿孔不良を起こすことがあった。この
点から突起部を有さないサーマルヘッド構造が望まれ
る。
【0010】上記点から従来より、孔版印刷機の感熱マ
スターを穿孔製版させるについては、薄膜式サーマルヘ
ッドが用いられている。つまり、薄膜式サーマルヘッド
では発熱抵抗体が薄膜であることで発熱エリアが小さく
穿孔が小径にできる特性を有している。しかしながら、
薄膜式サーマルヘッドは、製造コストが高くなる。これ
は薄膜式サーマルヘッドの製造が半導体製造技術を用
い、スパッタリング装置、真空蒸着装置などの高価な半
導体製造装置を必要とし、高度な作業が要求されるため
である。また、サーマルヘッドを構成する素材自体も高
価となり、さらに、半導体製造装置はICなどの集積回
路用であって、大判(A2版以上)用の長いサーマルヘ
ッドを一度に製造することができず、小さく製造された
複数のサーマルヘッドを組み合わせる必要があり、これ
では継ぎ目部分の発熱不良により印刷に白スジが発生す
る恐れがある。
【0011】一方、前記厚膜式サーマルヘッドの製造は
スクリーン印刷技術等が利用でき、大判用のものも容易
に製造可能であり、低コスト化が図れる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来のサ
ーマルヘッドでは、薄膜式サーマルヘッドは穿孔特性に
優れるがコスト面および大判のものが得られにくい問題
を有し、一方、厚膜式サーマルヘッドはコスト面および
大判のものが得られる点で有利であるが穿孔特性で劣る
問題を有するものである。
【0013】すなわち、前記の厚膜式サーマルヘッドの
構造では、前述のように発熱抵抗体の底部から発熱して
その熱が発熱抵抗体の上部に伝播する途中で熱が発散し
てしまい、発熱領域を小さくすることができず、孔版印
刷機が要求するような特性でマスターの独立穿孔を行う
ことが難しかった。
【0014】そこで本発明は上記点に鑑みてなされたも
のであり、穿孔特性を改善し得た厚膜式サーマルヘッド
およびその製造方法を提供せんとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明による厚膜式サーマルヘッドは、電気絶縁性の基板
と、スペーサと、前記基板の表面に固定され、前記スペ
ーサを介して溝部を形成するよう配置された2枚の耐熱
絶縁性の薄板と、前記溝部に埋設された発熱抵抗体と、
前記薄板の表面に、前記発熱抵抗体と接触して該発熱抵
抗体の延在方向に設けられた複数の電極と、を有するこ
とを特徴とするものである。
【0016】また、前記電極が、交互に設けられた第1
の電極と第2の電極からなり、各第1の電極と第2の電
極との間に通電させることにより前記発熱抵抗体を発熱
させるものが好適である。
【0017】さらに、前記基板が、セラミック焼成体に
よるセラミック基板であるものが好ましい。
【0018】前記スペーサは、前記溝部の幅を規定する
微小球体、または、微小円筒体であることが好ましい。
【0019】前記薄板は、前記基板に接着剤で固着する
のが好ましい。また、前記薄板は、耐熱性樹脂で設ける
のが好ましい。
【0020】また、本発明による厚膜式サーマルヘッド
の製造方法は、電気絶縁性の基板の表面に、2枚の耐熱
絶縁性の薄板をスペーサを介して溝部を形成するよう配
置し、前記薄板を前記基板の表面に固着し、前記溝部に
発熱抵抗体を埋設し、前記薄板の表面に、前記発熱抵抗
体と接触して該発熱抵抗体の延在方向に複数の電極を設
けることを特徴とするものである。
【0021】なお、前記スペーサは、溝部を形成した後
にはいずれかの過程で除去してもよい。
【0022】
【発明の効果】上記のような本発明によれば、孔版印刷
機のサーマルヘッドにてマスターに穿孔製版を行うとき
に、発熱抵抗体を電気絶縁性の基板上の溝部に埋め込
み、この発熱抵抗体に対してマスターに密着する表面側
に電極を設け、発熱抵抗体の発熱部分をマスター側とし
たことにより、熱伝播距離を短くして発熱領域が拡散せ
ずこの発熱領域の拡大化を抑えることができ、厚膜式で
あってもマスターの穿孔を副走査方向に対しても小さく
することが可能となり、穿孔製版の特性を高めて印刷用
紙に印刷したときのドット印字径が小さくなり印刷品質
の向上が図れると共に、半導体製造装置によらずに製造
可能でその製造コストが低減でき、大判サイズ用のサー
マルヘッドの製造も白スジの発生を伴うことなく容易に
行える。
【0023】また、前記発熱抵抗体の底面または側面か
らマスターの加熱に寄与しない熱を基板等に放熱させ、
マスターへの発熱領域が小さくなるだけでなく熱応答特
性を向上させて、高速動作をも可能にしている。
【0024】さらに、基板上への溝部の形成を、2枚の
薄板をスペーサを介して接近させて互いの側端面で形成
することで、均一で細い幅の溝部を簡易に形成でき、特
に微小球体または微小円筒体によるスペーサを使用する
と寸法のばらつきが少なく形成でき、得られる発熱抵抗
体の精度が高く良好な発熱特性が得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態に基
づいて本発明を詳細に説明する。図1は一つの実施の形
態のサーマルヘッドを示す要部平面図、図2および図3
は図1のA−A断面図およびB−B断面図である。
【0026】厚膜式サーマルヘッド1は、電気絶縁性の
セラミック焼成体などのセラミック基板等による基板1
0の上面両側に、耐熱性樹脂またはセラミック等による
耐熱性および電気絶縁性を有する2枚の薄板11,12
が、互いの側端面をスペーサ18(図2および図4参
照)を介して近接した状態で積層され、両側の薄板1
1,12間に断面矩形状の線状溝部13が設けられ、こ
の溝部13の中に電導性の発熱抵抗体14が埋め込まれ
ている。この発熱抵抗体14の上に、板状の第1の電極
15と第2の電極16とが交互に発熱抵抗体14の延び
る方向と直交する方向に延びて設けられている。第1の
電極15と第2の電極16は、それぞれ先端部が前記発
熱抵抗体14に接触され、基部は互いに異なる方向に延
びるように前記薄板11,12の表面に積層形成され
る。上記発熱抵抗体14の上方と第1の電極15および
第2の電極16の中央側部分の上部を覆って、ガラス等
による表面が平坦な耐摩耗膜17(保護層)が被覆され
ている。この耐摩耗膜17がマスターとの接触面とな
る。
【0027】前記溝部13の側面を構成する前記薄板1
1,12の側端面の平滑度は、極めて精度の良いものを
用いる(例えば、長さが300mmに対して平滑度は±5
μm程度)。また、前記溝部13の幅を規定する前記ス
ペーサ18は、寸法のばらつきの少ないガラス微小球
体、または、ガラス微小円筒体を使用する。前記薄板1
1,12の厚みが溝部13の深さを規定する。
【0028】前記薄板11,12は、前述のように、耐
熱性樹脂板、セラミック板などが使用できる。耐熱性樹
脂としては、テトラカルボン酸−芳香族ジアミン−シロ
キサン結合のポリイミド樹脂(耐熱温度約600℃)が
好適に使用できる。この薄板11,12は、前記基板1
0に接着剤で固着積層される。
【0029】なお、前記第1の電極15および第2の電
極16には、制御回路(ドライバーIC)とワイヤーボ
ンディングがなされ通電が行われる。
【0030】上記通電に伴い、図3に示すように、各電
極15,16間の発熱抵抗体14の上部が発熱し、この
発熱Tが上部の耐摩耗膜17を表面側に伝播し(密点部
分が発熱温度が高い)、その表面から図示しないマスタ
ーに作用して穿孔製版を行う。前記第1および第2の電
極15,16で隔てられた各発熱部分が穿孔単位(発熱
素子)となる。また、前記発熱抵抗体14の発熱は、該
発熱抵抗体14の下面から基板10側に伝播して放熱さ
れる。
【0031】図1に示すように、前記発熱抵抗体14の
延びる方向が主走査方向Xでマスターの幅方向に相当
し、これと直交する方向が副走査方向Yでマスターの走
行方向に相当する。
【0032】なお、前記溝部13の断面形状すなわち発
熱抵抗体14の断面形状は、薄板11,12の側端面形
状を変更することで、矩形状のほかU字状、V字状、台
形状などに形成可能である。これらの場合に、通電時の
発熱態様は同様であるが、溝部形状の相違に対応して基
板10などへの放熱特性が若干異なる。
【0033】ここで、前記図1〜図3に示したサーマル
ヘッド1の製造方法を、図4〜図8に基づいて順に説明
する。基本的工程は、電気絶縁性の基板10の表面に2
枚の耐熱絶縁性の薄板11,12をスペーサ18を介し
て細い溝部13を形成するよう配置し、この薄板11,
12を基板10の表面に固着し、前記溝部13に発熱抵
抗体14を埋め込んだ後に、薄板11,12の表面に金
属膜を形成し、これをフォトエッチングし、発熱抵抗体
14と接触してその延在方向に複数の電極15,16を
設け、最後に耐摩耗膜17を被覆するものである。
【0034】まず、図4において、絶縁性を有するセラ
ミック基板による基板10の上面両側に耐熱性樹脂によ
る薄板11,12を、その側端面間にガラス微小球体に
よるスペーサ18を介在させて溝部13を形成した状態
において、薄板11−スペーサ18−薄板12の狭まる
両端方向からと、薄板11,12と基板10の厚み方向
との方向にわずかな力を加圧しながら、押圧固定ができ
る固定具にて仮止めをしておく。上記スペーサ18によ
ってできる隙間から、溶剤にて1%濃度程度に希釈され
た粘度の低い耐熱性接着剤(高耐熱ポリイミド)を注射
器などの細い針穴から流し込み、接着剤が基板10と薄
板11,12との隙間に流し込まれた後に加熱を行い、
溶剤を気化させて接着させる。また、熱硬化性エポキシ
接着剤を基板10の表面に予め塗布しておいて、薄板1
1,12を貼り合わせてから加熱して接着剤を硬化させ
てもよい。
【0035】前記溝部13の幅すなわちスペーサ18の
直径は、30〜50μmとすることで、400dpiの
解像度のサーマルヘッド1を構成することができる。溝
部13の深さは、薄板11,12の厚みによって決ま
り、30〜50μm程度とするとよい。
【0036】次に、図5に示すように、前記溝部13に
発熱抵抗体14となるペースト状素材31をスキージ3
2を用いて充填させるスキージングにより埋め込む。次
にペースト状素材31を固形化するために加熱して焼き
固め、発熱抵抗体14を形成する。ここで発熱抵抗体1
4の材料としては、ペースト状の酸化ルテニウムを用い
るのが好適であるが、その他、炭素系導電性ペースト材
を使用してもよい。
【0037】次に図6に示すように、前記薄板11,1
2上の発熱抵抗体14の上面を含む全面に、電極の素材
となるペースト状の金もしくはその他の金属による金属
膜33をシルク印刷法によって塗設する。続いて上記ペ
ースト状の金属膜33を加熱して固定させる。
【0038】次に上記電極用の金属膜33上にフォトレ
ジストを塗布した後、電極15,16の形成パターンの
露光を行い現像する。つまり、電極15,16となる部
分のフォトレジストを残して、その他の部分のフォトレ
ジストは現像除去し、前記金属膜33を露出させる。そ
の後、エッチング処理を行い、フォトレジストで覆われ
ていない部分の金属膜33を除去し、図7に示すよう
に、所定のパターンで第1の電極15および第2の電極
16を形成する。
【0039】次に図8に示すように、第1の電極15お
よび第2の電極16の端部を除いて、発熱抵抗体14お
よび電極15,16の上にガラス組成の塗布液を塗設
し、その後加熱して耐摩耗膜17(保護膜)を形成し
て、サーマルヘッド1を得る。
【0040】上記の工程の後に、ドライバーICの実装
取り付けやワイヤーボンディングの工程を経て、各電極
15,16に配線され、孔版印刷機の製版部に組み込め
るサーマルヘッド1が製造される。
【0041】なお、前記スペーサ18は、溝部13の形
成および発熱抵抗体14の埋設に必要とされ、その後の
工程および製品では不要であり、例えば寸法上の点か
ら、脱落防止の点などから、いずれかの過程でスペーサ
18を除去してもよい。
【0042】上記のような実施の形態によれば、発熱抵
抗体14を薄板11,12間の溝部13に埋め込み、そ
の表面側に第1の電極15および第2の電極16を配設
し、その表面側に耐摩耗膜17を形成したことで、電極
15,16による通電に対応した発熱抵抗体14の発熱
は、耐摩耗膜17側の表面部分で発生し、マスターへの
伝達経路が短く熱応答性に優れると共に拡散程度が小さ
く、マスターに小さな穿孔を行うことができ、解像度を
高めることができる。しかも、サーマルヘッド1の製造
は半導体製造技術によらない厚膜製造技術によって行
え、大判用のサーマルヘッドについても容易に低コスト
に製造することができる。
【0043】特に、発熱抵抗体14は底面が基板10
に、側面が薄板11,12に接していることで、この発
熱抵抗体14の底面および側面から熱を随時放熱してい
るために、熱が蓄積して発熱領域が広くなる現象を防止
している。
【0044】また、薄板11,12間に寸法精度のよい
スペーサ18を使用して細い溝部13を形成し、これに
発熱抵抗体14を埋め込んだことで、該発熱抵抗体14
の幅を細く精度よく形成することができ、副走査方向の
穿孔径に影響する発熱領域が細く狭くなり、副走査方向
についても穿孔を小さくすることができた。また、上記
厚膜式サーマルヘッド1は発熱部分の表面が平坦で突起
部が少ないために、マスターの穿孔製版に伴う「樹脂カ
ス」によってマスターと発熱部分とが密着できずに製版
が阻害される現象を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態によるサーマルヘッ
ドを示す要部平面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】サーマルヘッドの第1の製造工程を示す斜視図
【図5】サーマルヘッドの第2の製造工程を示す斜視図
【図6】サーマルヘッドの第3の製造工程を示す斜視図
【図7】サーマルヘッドの第4の製造工程を示す斜視図
【図8】サーマルヘッドの第5の製造工程を示す斜視図
【図9】従来のサーマルヘッドにおける発熱抵抗体の形
成を示す断面図
【符号の説明】
1 厚膜式サーマルヘッド 10 基板 11,12 薄板 13 溝部 14 発熱抵抗体 15 第1の電極 16 第2の電極 17 耐摩耗膜 18 スペーサ T 発熱 X 主走査方向 Y 副走査方向

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁性の基板と、 スペーサと、 前記基板の表面に固定され、前記スペーサを介して溝部
    を形成するよう配置された2枚の耐熱絶縁性の薄板と、 前記溝部に埋設された発熱抵抗体と、 前記薄板の表面に、前記発熱抵抗体と接触して該発熱抵
    抗体の延在方向に設けられた複数の電極と、 を有することを特徴とする厚膜式サーマルヘッド。
  2. 【請求項2】 前記電極が、交互に設けられた第1の電
    極と第2の電極からなり、各第1の電極と第2の電極と
    の間に通電させることにより前記発熱抵抗体を発熱させ
    ることを特徴とする請求項1に記載の厚膜式サーマルヘ
    ッド。
  3. 【請求項3】 前記基板が、セラミック焼成体によるセ
    ラミック基板であることを特徴とする請求項1に記載の
    厚膜式サーマルヘッド。
  4. 【請求項4】 前記スペーサが、前記溝部の幅を規定す
    る微小球体であることを特徴とする請求項1に記載の厚
    膜式サーマルヘッド。
  5. 【請求項5】 前記スペーサが、前記溝部の幅を規定す
    る微小円筒体であることを特徴とする請求項1に記載の
    厚膜式サーマルヘッド。
  6. 【請求項6】 前記薄板が、前記基板に接着剤で固着さ
    れたことを特徴とする請求項1に記載の厚膜式サーマル
    ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記薄板が、耐熱性樹脂で設けられてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の厚膜式サーマルヘ
    ッド。
  8. 【請求項8】 電気絶縁性の基板の表面に、2枚の耐熱
    絶縁性の薄板をスペーサを介して溝部を形成するよう配
    置し、 前記薄板を前記基板の表面に固着し、 前記溝部に発熱抵抗体を埋設し、 前記薄板の表面に、前記発熱抵抗体と接触して該発熱抵
    抗体の延在方向に複数の電極を設けることを特徴とする
    厚膜式サーマルヘッドの製造方法。
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