JP2001112252A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路

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JP2001112252A
JP2001112252A JP28147399A JP28147399A JP2001112252A JP 2001112252 A JP2001112252 A JP 2001112252A JP 28147399 A JP28147399 A JP 28147399A JP 28147399 A JP28147399 A JP 28147399A JP 2001112252 A JP2001112252 A JP 2001112252A
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switching
voltage
circuit
resonance
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JP28147399A
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Masayuki Yasumura
昌之 安村
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷、交流入力電圧変動に対して実使用条件
に対応できるだけの力率を維持する。また、リップル成
分の抑制を図る。 【解決手段】 分電圧プッシュプル形のスイッチング周
波数制御方式複合共振形コンバータに対して力率改善回
路を備えたスイッチング電源回路として、一次側共振回
路に得られるスイッチング出力が一次側並列共振コンデ
ンサを介することで、静電結合方式もしくは磁気結合方
式により帰還されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、力率改善回路を備
えたスイッチング電源回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】先に本出願人は、一次側に共振形コンバ
ータを備えた電源回路を各種提案している。また、共振
形コンバータに対して力率改善を図るための力率改善回
路を備えて構成した電源回路も各種提案している。
【0003】図10は、先に本出願人により出願された
発明に基づいて構成されるスイッチング電源回路の一例
を示す回路図である。この電源回路は自励式による電流
共振形のスイッチングコンバータに対して力率改善のた
めの力率改善回路が設けられた構成とされている。
【0004】この図に示す電源回路においては、商用交
流電源ACを全波整流するブリッジ整流回路Diが備え
られている。この場合、ブリッジ整流回路Diにより整
流された整流出力は、力率改善回路20を介して平滑コ
ンデンサCiに充電され、平滑コンデンサCiの両端に
は、交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する整流平
滑電圧Eiが得られることになる。また、この整流平滑
回路(Di,Ci)に対しては、その整流電流経路に対
して突入電流制限抵抗Riが挿入されており、例えば電
源投入時に平滑コンデンサに流入する突入電流を抑制す
るようにしている。
【0005】この図に示す力率改善回路20において
は、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデ
ンサCiの正極端子間に対して、フィルタチョークコイ
ルLN−高速リカバリ型ダイオードD1 −チョークコイ
ルLS が直列接続されて挿入される。フィルタコンデン
サCN は高速リカバリ型ダイオードD1 のアノード側と
平滑コンデンサCiの正極端子間に対して挿入されるこ
とで、フィルタチョークコイルLN と共にノーマルモー
ドのローパスフィルタを形成している。
【0006】また、力率改善回路20に対しては、高速
リカバリ型ダイオードD1 のカソードとチョークコイル
LSの接続点に対して、後述する一次側の直列共振回路
の端部が接続されて、この直列共振回路に得られるスイ
ッチング出力が帰還されるようにしている。なお、力率
改善回路20による力率改善動作については後述する。
【0007】この電源回路には、平滑コンデンサCiの
両端電圧である整流平滑電圧Eiを動作電源とする自励
式の電流共振形コンバータが備えられる。この電流共振
形コンバータにおいては、図のように2つのバイポーラ
トランジスタによるスイッチング素子Q1 、Q2 をハー
フブリッジ結合したうえで、平滑コンデンサCiの正極
側の接続点とアース間に対して挿入するようにして接続
されている。これらスイッチング素子Q1 、Q2 の各コ
レクタ−ベース間には、それぞれ起動抵抗RS1、RS2が
挿入されている。また、スイッチング素子Q1 、Q2 の
各ベースに対して接続される抵抗RB1、RB2は、スイッ
チング素子Q1 、Q2 のベース電流(ドライブ電流)を
設定する。また、スイッチング素子Q1 、Q2 の各ベー
ス−エミッタ間にはそれぞれクランプダイオードDD1,
DD2が挿入される。クランプダイオードDD1,DD2は、
それぞれスイッチング素子Q1,Q2がオフとされる期間
に、ベース−エミッタを介して流れるクランプ電流の電
流経路を形成する。そして、共振用コンデンサCB1,C
B2は次に説明するドライブトランスPRTの駆動巻線N
B1、NB2と共に、自励発振用の直列共振回路(自励発振
駆動回路)を形成しており、スイッチング素子Q1 、Q
2 のスイッチング周波数を決定する。
【0008】ドライブトランスPRT (Power Regulati
ng Transformer)はスイッチング素子Q1 、Q2 を駆動
すると共に、スイッチング周波数を可変制御することに
より定電圧制御を行うために設けられるもので、この図
の場合には駆動巻線NB1、NB2及び共振電流検出巻線N
D が巻回され、更にこれらの各巻線に対して制御巻線N
C が直交する方向に巻回された直交型の可飽和リアクト
ルとされている。このドライブトランスPRTの駆動巻
線NB1の一端は、抵抗RB1−共振用コンデンサCB1の直
列接続を介してスイッチング素子Q1 のベースに接続さ
れ、他端はスイッチング素子Q1 のエミッタに接続され
る。また、駆動巻線NB2の一端はアースに接地されると
共に、他端は抵抗RB2−共振用コンデンサCB2の直列接
続を介してスイッチング素子Q2 のベースと接続されて
いる。駆動巻線NB1と駆動巻線NB2は互いに逆極性の電
圧が発生するように巻装されている。
【0009】絶縁コンバータトランスPIT (Power Is
olation Transformer)は、スイッチング素子Q1 、Q2
のスイッチング出力を二次側に伝送する。この絶縁コン
バータトランスPITの一次巻線N1 の一端は、共振電
流検出巻線ND を介してスイッチング素子Q1 のエミッ
タとスイッチング素子Q2 のコレクタの接点(スイッチ
ング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が
得られるようにされる。
【0010】また、一次巻線N1 の他端は、直列共振コ
ンデンサC1 を介するようにして、力率改善回路20内
の高速リカバリ型ダイオードD1 のカソードとチョーク
コイルLS の接続点に対して接続されている。
【0011】この場合、上記直列共振コンデンサC1 及
び一次巻線N1 は直列に接続されているが、この直列共
振コンデンサC1 のキャパシタンス及び一次巻線N1
(直列共振巻線)を含む絶縁コンバータトランスPIT
の漏洩インダクタンス(リーケージインダクタンス)成
分により、スイッチングコンバータの動作を電流共振形
とするための一次側直列共振回路を形成している。
【0012】また、この図における絶縁コンバータトラ
ンスPITの二次側では、二次巻線N2に対してセンタ
ータップを設けた上で、整流ダイオードDO1,DO2,D
O3,DO4及び平滑コンデンサCO1,CO2を図のように接
続することで、[整流ダイオードDO1,DO2,平滑コン
デンサCO1]の組と、[整流ダイオードDO3,DO4,平
滑コンデンサCO2]の組とによる、2組の全波整流回路
が設けられる。[整流ダイオードDO1,DO2,平滑コン
デンサCO1]から成る全波整流回路は直流出力電圧EO1
を生成し、[整流ダイオードDO3,DO4,平滑コンデン
サCO2]から成る全波整流回路は直流出力電圧EO2を生
成する。なお、この場合には、直流出力電圧EO1及び直
流出力電圧EO2は制御回路1に対しても分岐して入力さ
れる。制御回路1においては、直流出力電圧EO1を検出
電圧として利用し、直流出力電圧EO2を制御回路1の動
作電源として利用する。
【0013】制御回路1は、例えば二次側の直流電圧出
力EO1のレベルに応じてそのレベルが可変される直流電
流を、制御電流としてドライブトランスPRTの制御巻
線NC に供給することにより後述するようにして定電圧
制御を行う。
【0014】上記構成による電源回路のスイッチング動
作としては、先ず商用交流電源が投入されると、例えば
起動抵抗RS1、RS2を介してスイッチング素子Q1 、Q
2 のベースに起動電流が供給されることになるが、例え
ばスイッチング素子Q1 が先にオンとなったとすれば、
スイッチング素子Q2 はオフとなるように制御される。
そしてスイッチング素子Q1 の出力として、共振電流検
出巻線ND →一次巻線N1 →直列共振コンデンサC1 に
共振電流が流れるが、この共振電流が0となる近傍でス
イッチング素子Q2 がオン、スイッチング素子Q1 がオ
フとなるように制御される。そして、スイッチング素子
Q2 を介して先とは逆方向の共振電流が流れる。以降、
スイッチング素子Q1 、Q2 が交互にオンとなる自励式
のスイッチング動作が開始される。このように、平滑コ
ンデンサCiの端子電圧を動作電源としてスイッチング
素子Q1 、Q2 が交互に開閉を繰り返すことによって、
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1 に共振電
流波形に近いドライブ電流を供給し、二次巻線N2に交
番出力を得る。
【0015】また、ドライブトランスPRTによる定電
圧制御は次のようにして行われる。例えば、交流入力電
圧レベルや負荷変動等に伴って二次側出力電圧EO1 が
上昇するように変動したとすると、前述のように制御巻
線NC に流れる制御電流のレベルも二次側出力電圧EO1
の上昇に応じて高くなるように制御される。この制御
電流によりドライブトランスPRTに発生する磁束の影
響で、ドライブトランスPRTにおいては飽和状態に近
付く傾向となって、駆動巻線NB1,NB2のインダクタン
スを低下させるように作用するが、これにより自励発振
回路の条件が変化してスイッチング周波数は高くなるよ
うに制御される。この電源回路では、直列共振コンデン
サC1 及び一次巻線N1 の直列共振回路の共振周波数よ
りも高い周波数領域でスイッチング周波数を設定してい
る(アッパーサイド制御)が、上記のようにしてスイッ
チング周波数が高くなると、直列共振回路の共振周波数
に対してスイッチング周波数が離れていくことになる。
これにより、スイッチング出力に対する直列共振回路の
共振インピーダンスは高くなる。
【0016】このようにして共振インピーダンスが高く
なることで、一次側直列共振回路の一次巻線N1 に供給
されるドライブ電流が抑制される結果、二次側出力電圧
が抑制されることになって、定電圧制御が図られること
になる。なお、以降は上記のような方法による定電圧制
御方式を「スイッチング周波数制御方式」ということに
する。
【0017】また、力率改善回路20による力率改善動
作は次のようになる。この図に示す力率改善回路20の
構成では、直列共振回路(N1,C1)に供給されたスイ
ッチング出力をチョークコイルLS 自体が有するとされ
る誘導性リアクタンス(磁気結合)を介して整流電流経
路に帰還するようにされる。
【0018】上記のようにして帰還されたスイッチング
出力により、整流電流経路にはスイッチング周期の交番
電圧が重畳されることになるが、このスイッチング周期
の交番電圧の重畳分によって、高速リカバリ型ダイオー
ドD1 では整流電流をスイッチング周期で断続する動作
が得られることになり、この断続作用により見掛け上の
フィルタチョークコイルLN,チョークコイルLS のイ
ンダクタンスも上昇することになる。これにより、整流
出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも
低いとされる期間にも平滑コンデンサCiへの充電電流
が流れるようにされる。この結果、交流入力電流の平均
的な波形が交流入力電圧の波形に近付くようにされて交
流入力電流の導通角が拡大される結果、力率改善が図ら
れることになる。
【0019】図11は、先に本出願人により提案された
発明に基づいて構成することのできるスイッチング電源
回路の他の構成例を示す回路図である。この電源回路も
2本のスイッチング素子がハーフブリッジ結合された電
流共振形コンバータが備えられるが、その駆動方式につ
いては他励式とされている。また、この場合にも力率改
善を図るための力率改善回路が備えられた構成とされて
いる。なお、図10と同一部分については同一符号を付
して説明を省略する。
【0020】この図に示す一次側の電流共振形コンバー
タとしては、例えばMOS−FETとされる2石のスイ
ッチング素子Q11、Q12が備えられている。ここでは、
スイッチング素子Q11のドレインを整流平滑電圧Eiの
ラインと接続し、スイッチング素子Q11のソースとスイ
ッチング素子Q12のドレインを接続し、スイッチング
素子Q12のソースを一次側アースに接続することで、他
励式に対応したハーフブリッジ結合を得ている。これら
スイッチング素子Q11、Q12は、発振ドライブ回路2に
よって交互にオン/オフ動作が繰り返されるようにスイ
ッチング駆動されて、整流平滑電圧Eiを断続してスイ
ッチング出力とする。また、この場合には、各スイッチ
ング素子Q11、Q12のドレイン−ソース間に対して、図
に示す方向によって接続されるクランプダイオードDD
1、DD2が設けられる。
【0021】また、この場合には、スイッチング素子Q
11、Q12のソース−ドレインの接続点(スイッチング出
力点)に対して、絶縁コンバータトランスPITの一次
巻線N1 の一端を接続することで、一次巻線N1 に対し
てスイッチング出力を供給するようにされる。一次巻線
N1 の他端は、直列共振コンデンサC1を介して、次に
述べる力率改善回路21のフィルタチョークコイルLN
と高速リカバリ型ダイオードD1 のアノードとの接続点
に対して接続される。
【0022】この場合にも、直列共振コンデンサC1 の
キャパシタンス及び一次巻線N1 を含む絶縁コンバータ
トランスPITの漏洩インダクタンス成分により、スイ
ッチング電源回路を電流共振形とするための直列共振回
路を形成している。
【0023】この場合の制御回路1は、例えば直流出力
電圧EO1 の変動に対応したレベルの制御信号を発振ド
ライブ回路2に出力する。発振ドライブ回路2では制御
回路1から供給された制御信号に基づいて、発振ドライ
ブ回路2からスイッチング素子Q11,Q12の各ゲートに
供給するスイッチング駆動信号の周波数を変化させて、
スイッチング周波数を可変するようにしている。そし
て、この図11に示す電源回路においても、図10に示
した電源回路と同様に、スイッチング周波数は直列共振
周波数よりも高い領域として設定されている。そして、
例えば直流出力電圧EO1 が上昇すると、そのレベルに
応じて、制御回路1はスイッチング周波数を高くするよ
うに発振ドライブ回路2に対する制御を行う。これによ
り、図10にて説明したのと同様にして定電圧制御が行
われる。起動回路3は、電源投入直後に整流平滑ライン
に得られる電圧あるいは電流を検出して、発振ドライブ
回路2を起動させるために設けられるもので、絶縁コン
バータトランスPITに追加的に巻装した巻線を整流し
て得られる低レベルの直流電圧を動作電源として入力し
ている。
【0024】この図に示す力率改善回路21では、ブリ
ッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCi
の正極端子間に対して、フィルタチョークコイルLN −
高速リカバリ型ダイオードD1 が直列接続されて挿入さ
れる。ここで、フィルタコンデンサCN はフィルタチョ
ークコイルLN −高速リカバリ型ダイオードD1 の直列
接続回路に対して並列に設けられる。そして、このよう
な接続形態によっても、フィルタコンデンサCN はフィ
ルタチョークコイルLN と共にノーマルモードのローパ
スフィルタを形成している。また、共振コンデンサC3
は、高速リカバリ型ダイオードD1 に対して並列に設け
られる。ここでは詳しい説明は省略するが、例えば共振
コンデンサC3 は例えばフィルタチョークコイルLN 等
と共に並列共振回路を形成するようにされ、その共振周
波数は後述する直列共振回路の共振周波数とほぼ同等と
なるように設定される。これにより、負荷が軽くなった
ときの整流平滑電圧Eiの上昇を抑制する作用を有する
ものである。この力率改善回路21に対しては、先にも
述べたようにして、フィルタチョークコイルLN と高速
リカバリ型ダイオードD1 のアノードとの接続点に対し
て直列共振回路(N1,C1)の端部が接続される。
【0025】このような接続形態では、一次巻線N1 に
得られるスイッチング出力は、直列共振コンデンサC1
の静電容量結合を介して、スイッチング出力を整流電流
経路に帰還されることになる。この場合には、フィルタ
チョークコイルLN と高速リカバリ型ダイオードD1 の
アノードとの接続点に対して、一次巻線N1に得られた
共振電流が流れるように帰還されて、スイッチング出力
が印加されることになる。
【0026】上記のようにしてスイッチング出力が帰還
されることで、整流電流経路にはスイッチング周期の交
番電圧が重畳されることになるが、このスイッチング周
期の交番電圧の重畳分によって、高速リカバリ型ダイオ
ードD1 では整流電流をスイッチング周期で断続する動
作が得られることになり、この断続作用により見掛け上
のフィルタチョークコイルLN のインダクタンスも上昇
することになる。また、共振コンデンサC3にはスイッ
チング周期の電流が流れることでその両端に電圧が発生
するが、整流平滑電圧Eiのレベルは、この共振コンデ
ンサC3の両端電圧だけ引き下げられることになる。こ
れにより、整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの
両端電圧よりも低いとされる期間にも平滑コンデンサC
iへの充電電流が流れるようにされる。この結果、交流
入力電流の平均的な波形が交流入力電圧の波形に近付く
ようにされて交流入力電流の導通角が拡大され、やはり
力率改善が図られることになる。
【0027】このように、上記図10及び図11に示し
た電源回路では力率改善回路(20,21)を備えるこ
とで、力率改善を図ることが出来るが、これらの図に示
した力率改善回路は、少ない部品点数によって形成され
ているため、高効率、低ノイズ、小型軽量、低コストに
より、力率改善を図ることができるというメリットを有
している。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】ここで、図12に、上
記図10及び図11に示した電源回路についての、負荷
電力Poと力率PFとの関係を示す。なお、ここでは、
交流入力電圧VAC=230V時の条件が示されている。
この図によれば、力率PFは、負荷電力Poが減少する
のに応じて、低下していくという特性が得られているこ
とが分かる。
【0029】また、図13には、交流入力電圧VACと力
率PFとの関係が示されている。ここでは、最大負荷電
力Pomax=200W時と、最小負荷電力Pomin=50
W時の各条件での下での特性が示されている。この図に
示されるように、力率PFは、交流入力電圧VACが上昇
するのに応じて、力率PFは比例的に低下していくこと
が分かる。また、最小負荷電力Pomin=50W時の条
件での力率PFとしては、最大負荷電力Pomax=20
0Wよりも低い力率となっている。つまり、上記図11
によっても述べたように、負荷電力が小さい場合のほう
が、力率PFとしては低くなるという特性がここでも得
られている。
【0030】また、上記図13に示した特性は、動作波
形図としては図14のようにして示される。ここで、図
14(a)(b)には、交流入力電圧VAC=230Vで
最大負荷電力Pomax=200W時の交流入力電圧VA
C、交流入力電流IACが示され、図14(c)(d)に
は、交流入力電圧VAC=230Vで最小負荷電力Pomi
n=50W時の交流入力電圧VAC、交流入力電流IACが
示されている。ここで、交流入力電圧VACの半周期が1
0msであるとして、最大負荷電力Pomax=200W
時には、交流入力電流IACの導通期間τは実際には5m
s程度とされて、力率としてはPF=0.85となる。
これに対して、最小負荷電力Pomin=50W時には、
交流入力電流IACの導通期間τは2.5ms程度にまで
短くなり、力率としてはPF=0.65程度にまで低下
する。この最小負荷電力Pomin=50W時に得られる
力率PFの値では、実用上要求される力率としての値を
満足しない場合がある。
【0031】このように、交流入力電圧の変動や負荷電
力の変動によって力率が低下してしまうことは、逆に言
えば、これらの電源回路に対する交流入力電圧や負荷条
件が制限されてしまうことになる。つまり、電源回路と
して採用可能な機器が制限されるという問題がある。具
体的には、例えば交流入力電圧と負荷条件が指定されて
いるカラーテレビジョン受像機では採用可能であるが、
事務機器や情報機器では採用できないといったこととな
る。
【0032】また、図10及び図11に示した力率改善
のための構成では、一次側の直列共振回路が商用交流電
源の整流電流経路と接続される形態を採るために、直列
共振回路に対して商用交流電源周期(50Hz/60H
z)のリップルが重畳することが分かっている。このリ
ップル成分の重畳レベルは、負荷電力の増加に従って大
きくなる。そして、例えば、実用性に対応する所定の測
定条件のもとでPF=0.8程度の力率が維持できるよ
うに所要の部品の選定を行って構成したとすると、力率
改善回路が備えられない場合と比較して、最大負荷電力
時の二次側直流出力電圧に表れるリップル電圧レベルと
しては約3倍〜4倍程度にまで増加してしまうことが分
かっている。
【0033】上記のようなリップル成分の増加を抑制す
るために、例えば図10及び図11に示した電源回路の
実際においては、制御回路1の利得の向上や、一次側の
平滑コンデンサCiのキャパシタンスの増加などの対策
をとることになるのであるが、この場合には、部品素子
のコストアップを招くと共に、スイッチング動作が異常
発振しやすくなるという問題を招く。
【0034】さらに図10及び図11に示した電源回路
では、電流共振形コンバータの一次側直列共振回路にチ
ョークコイルLSや共振コンデンサC3のインピーダンス
が挿入されることになるため、最大負荷電力Pomaxが
低下する。このため、絶縁コンバータトランスPITの
一次巻線N1や直列共振コンデンサC1の再設計が必要
となるという欠点がある。
【0035】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は上記課題
を考慮してスイッチング電源回路として次のように構成
する。即ち、入力された商用交流電源を整流するととも
に、直列接続された2つの平滑コンデンサの両端に得ら
れる平滑電圧を分圧して第1及び第2の直流入力電圧を
出力する整流平滑手段と、疎結合とされる所要の結合係
数が得られるようにギャップが形成され、一次側出力を
二次側に伝送するために設けられる絶縁コンバータトラ
ンスと、上記第1及び第2の直流入力電圧をそれぞれス
イッチング素子により断続して上記絶縁コンバータトラ
ンスの一次巻線に出力するようにされた第1及び第2の
スイッチング手段と、少なくとも上記絶縁コンバータト
ランスの一次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と一次
側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成
されて上記第1及び第2のスイッチング手段の動作を電
圧共振形とする第1及び第2の一次側共振回路と、整流
電流経路に挿入されるとともに上記第1、第2の一次側
共振回路のうちの一方に得られるスイッチング出力がそ
の一方の一次側共振回路における上記一次側並列共振コ
ンデンサを介して帰還され、この帰還されたスイッチン
グ出力に基づいて整流電流を断続することにより力率を
改善する力率改善手段と、上記絶縁コンバータトランス
の二次巻線の漏洩インダクタンス成分と二次側共振コン
デンサのキャパシタンスとによって二次側において形成
される二次側共振回路と、上記二次側共振回路を含んで
形成され、上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に得
られる交番電圧を入力して整流動作を行って二次側直流
出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成
手段と、上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて二次
側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成さ
れた定電圧制御手段とを備えたスイッチング電源回路を
構成する。
【0036】また上記力率改善手段には、整流電流を断
続するための高速リカバリ型ダイオードが配されている
とともに、上記第1、第2の一次側共振回路のうちの一
方の上記一次側並列共振コンデンサの接地側が、上記高
速リカバリ型ダイオードのアノードに接続されるように
する。或いは上記力率改善手段には、整流電流を断続す
るための高速リカバリ型ダイオードとインダクタンスが
直列接続されて配されているとともに、上記第1、第2
の一次側共振回路のうちの一方の上記一次側並列共振コ
ンデンサが、上記高速リカバリ型ダイオードとインダク
タンスの接続点に接続されるようにする。
【0037】上記構成によれば、分電圧プッシュプル形
のスイッチング周波数制御方式複合共振形コンバータと
いわれる電源回路に備えられる力率改善回路に対して
は、一次側共振回路に得られるスイッチング出力が一次
側並列共振コンデンサを介することで、静電結合方式も
しくは磁気結合方式により帰還されることになる。
【0038】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態とし
てのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
なお、この図において図10又は図11と同一部分には
同一符号を付して説明を省略する。
【0039】この図に示す電源回路の一次側には、電圧
共振形のスイッチングコンバータ(電圧共振型コンバー
タ)が設けられる。そして、この電圧共振型コンバータ
に対して力率改善回路10が備えられるものである。ま
たこの図に示す電源回路は、例えば交流入力電圧Vac
=150V以上(いわゆるAC200V系)の条件に対
応するものとされる。
【0040】この図に示す電源回路にあっては、いわゆ
る分電圧プッシュプル方式を採用している。このため、
整流平滑電圧を得るための平滑コンデンサとしては、2
本の平滑コンデンサCi1,Ci2が備えられる。これら
平滑コンデンサCi1,Ci2は、図示するようにブリッ
ジ整流回路Diの正極出力ラインと、一次側アース間に
対して直列に接続されるようにして備えられる。
【0041】この場合には、平滑コンデンサCi1の正
極側に対して一次巻線N1Aの一端が直交型ドライブトラ
ンスPRTの検出巻線NDを介して接続される。また、
平滑コンデンサCi1の負極と平滑コンデンサCi2の正
極との接続点に対しては、チョークコイルCHを介して
一次巻線N1Bの端部とスイッチング素子Q1のエミッタ
の接続点が接続される。
【0042】また、この電源回路としては、2組のスイ
ッチング素子Q1,Q2をプッシュプル動作によりスイッ
チング駆動すると共に、スイッチング素子Q1,Q2のス
イッチング周波数を可変制御するために、直交型ドライ
ブトランスPRTが設けられている。
【0043】直交型ドライブトランスPRTの構造とし
ては、例えば4本の磁脚を有する2つのダブルコの字型
コアの互いの磁脚の端部を接合するようにして立体型コ
アを形成する。そして、この立体型コアの所定の2本の
磁脚に対して、同じ巻回方向に検出巻線ND,駆動巻線
NB1,NB2を巻装し、更に制御巻線NCを、上記検出巻
線ND,駆動巻線NB1,NB2に対して直交する方向に巻
装することで可飽和リアクトルとして構成される。
【0044】また、この場合の駆動巻線NB1,NB2は、
図のように互いに独立して直交型制御トランスPRTに
巻装されている。そして、駆動巻線NB1の一端は平滑コ
ンデンサCi1−Ci2の接続点に対してチョークコイル
CHを介して接続され、その他端が共振コンデンサCB1
−ベース電流制限抵抗RB1を介してスイッチング素子Q
1のベースに接続される。また、駆動巻線NB2の一端は
一次側アースに接地され、その他端は共振コンデンサC
B2−ベース電流制限抵抗RB2を介してスイッチング素子
Q2のベースに接続される。つまり、駆動巻線NB1−共
振コンデンサCB1−ベース電流制限抵抗RB1によりスイ
ッチング素子Q1のための自励発振駆動回路を形成し、
駆動巻線NB2−共振コンデンサCB2−ベース電流制限抵
抗RB2によりスイッチング素子Q2のための自励発振駆
動回路を形成する。
【0045】検出巻線NDでは、後述するスイッチング
動作によってスイッチング出力に応じた交番電圧が検出
される。駆動巻線NB1,NB2では、検出巻線NDにより検
出されたスイッチング出力に応じて、互いに180°位
相が異なる逆極性の交番電圧が得られるようになってい
る。
【0046】プッシュプル動作のために設けられる2本
のスイッチング素子Q1、Q2には、高耐圧のバイポーラ
トランジスタ(BJT;接合型トランジスタ)が採用さ
れている。
【0047】スイッチング素子Q1には、上記駆動回路
(駆動巻線NB1−ベース電流制限抵抗RB1−共振コンデ
ンサCB1)、及びクランプダイオードDD1、並列共振コ
ンデンサCr1が図のように接続され、スイッチング素
子Q2には、駆動回路(駆動巻線NB2−ベース電流制限
抵抗RB2−共振コンデンサCB2)、及びクランプダイオ
ードDD2、並列共振コンデンサCr2が図のように接続
される。
【0048】ここで、クランプダイオードDD1,DD2
は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2のベース−コレ
クタ間に対して並列に接続される。また並列共振コンデ
ンサCr1はスイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ
間に対して接続される。但し、他方の並列共振コンデン
サCr2はスイッチング素子Q2のコレクタと、力率改善
回路10における高速リカバリ型ダイオードのアノード
側の間に配されている。また、スイッチング素子Q2の
エミッタは一次側アースに接続される。
【0049】起動抵抗Rsは平滑コンデンサCiの正極
とスイッチング素子Q2間に対して接続されるようにな
っている。この起動抵抗Rsは、起動時において、スイ
ッチング動作を起動させるための起動電流をスイッチン
グ素子Q2に対して供給するために挿入されるものであ
る。
【0050】絶縁コンバ−タトランスPITは、スイッ
チング素子Q1,Q2のスイッチング出力を二次側に伝送
する絶縁コンバータトランスPITは、図2に示すよう
に、例えばフェライト材によるE型コアCR1、CR2
を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア
が備えられ、このEE型コアの中央磁脚に対して、分割
ボビンBを利用して一次巻線N1(N1A,N1B) と、二
次巻線N2をそれぞれ分割した状態で巻装している。そ
して、中央磁脚に対しては図のようにギャップGを形成
するようにしている。これによって、所要の結合係数に
よる疎結合が得られるようにしている。ギャップGは、
E型コアCR1,CR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よ
りも短く形成することで形成することが出来る。また、
結合係数kとしては、例えばk≒0.85という疎結合
の状態を得るようにしており、その分、飽和状態が得ら
れにくいようにしている。
【0051】この場合、絶縁コンバータトランスPIT
における一次側巻線は、一次巻線N1A,N1Bに分割さ
れ、一次巻線N1Aの一端はスイッチング素子Q1のコレ
クタと接続され、他端は直交型ドライブトランスPRT
の検出巻線NDを介して平滑コンデンサCi1の正極側に
接続される。一次巻線N1Bの一端は、スイッチング素子
Q2のコレクタに対して接続され、他端はチョークコイ
ルCHのインダクタンス巻線Lcの直列接続を介して平
滑コンデンサCi2の正極と接続される。
【0052】この場合、上記した並列共振コンデンサC
r1は、一次巻線N1Aの漏洩インダクタンス成分(L1
A)とインダクタンス巻線Lcとの合成インダクタンス
(L1A+Lc)とによってスイッチング素子Q1を電圧
共振形の動作とするための並列共振回路を形成する。同
様にして、並列共振コンデンサCr2は、一次巻線N1B
の漏洩インダクタンス成分(L1B)とインダクタンス巻
線Lcとの合成インダクタンス(L1B+Lc)とによっ
てスイッチング素子Q2を電圧共振形の動作とするため
の並列共振回路を形成する。またここでは詳しい説明を
省略するが、スイッチング素子Q1、Q2 の各オフ時に
は、これらの並列共振回路の作用によって共振コンデン
サCr1、Cr2の両端電圧は、実際には正弦波状のパ
ルス波形となって電圧共振形の動作が得られるようにな
っている。
【0053】このような一次側の構成では、駆動巻線N
B1,駆動巻線NB2において互いに逆極性の交番電圧が得
られることで、駆動巻線NB1を備える自励発振駆動回路
と、駆動巻線NB2を備える自励発振駆動回路のそれぞれ
によって、互いに逆極性の交番電流としての駆動電流
(ベース電流)が、スイッチング素子Q1、Q2の各ベー
スに流される。これによって、スイッチング素子Q1、
Q2は、自励発振駆動回路の定数により決定されるスイ
ッチング周波数により交互にオン/オフを行う動作が得
られる。即ち、電圧共振形で、かつ、プッシュプルによ
るスイッチング動作が得られる。スイッチング素子Q1
のスイッチング出力は、一次巻線N1Aに供給され、スイ
ッチング素子Q2のスイッチング出力は一次巻線N1Bに
供給される。そして、チョークコイルCHのインダクタ
ンス巻線Lcを介して平滑コンデンサCiに流れる。
【0054】また、スイッチング素子Q1,Q2がプッシ
ュプル動作を行うのにあたり、スイッチング素子Q1
は、平滑コンデンサCi1の両端電圧を入力してスイッ
チング動作を行い、スイッチング素子Q2は、平滑コン
デンサCi2の両端電圧を入力してスイッチング動作を
行うようにされる。つまり、スイッチング素子Q1,Q2
は、それぞれ1/2Eiのレベルの直流電圧を入力して
スイッチングを行うようにされる。このような構成とす
ることで、例えばAC200V系の条件であっても、A
C100V系と同様の条件でプッシュプルによるスイッ
チング動作を行うことを可能としているものである。
【0055】絶縁コンバ−タトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1 により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二
次側並列共振コンデンサC2 が並列に接続されること
で、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次
側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって
並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、
二次巻線N2に励起される交番電圧は共振電圧となる。
つまり二次側において電圧共振動作が得られる。
【0056】即ち、この電源回路では、一次側にはスイ
ッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が
備えられ、二次側にも、電圧共振動作を得るための並列
共振回路が備えられる。なお、本明細書では、このよう
に一次側及び二次側に対して共振回路が備えられて動作
する構成のスイッチングコンバータについては、「複合
共振形スイッチングコンバータ」ともいうことにする。
【0057】この場合、上記のようにして形成される二
次側の並列共振回路に対しては、二次巻線N2に対して
タップを設けた上で、整流ダイオードDO1,DO2,DO
3,DO4及び平滑コンデンサCO1,CO2を図のように接
続することで、[整流ダイオードDO1,DO2,平滑コン
デンサCO1]の組と、[整流ダイオードDO3,DO4,平
滑コンデンサCO2]の組とによる、2組の全波整流回路
が設けられる。[整流ダイオードDO1,DO2,平滑コン
デンサCO1]から成る全波整流回路は直流出力電圧EO1
を生成し、[整流ダイオードDO3,DO4,平滑コンデン
サCO2]から成る全波整流回路は直流出力電圧EO2を生
成する。なお、この場合には、直流出力電圧EO1及び直
流出力電圧EO2は制御回路1に対しても分岐して入力さ
れる。制御回路1においては、直流出力電圧EO1を検出
電圧として利用し、直流出力電圧EO2を制御回路1の動
作電源として利用する。
【0058】制御回路1は、例えば二次側の直流電圧出
力EO1のレベルに応じてそのレベルが可変される直流電
流を、制御電流としてドライブトランスPRTの制御巻
線NC に供給することにより、後述のように定電圧制御
を行う。
【0059】ところで、絶縁コンバータトランスPIT
においては、一次巻線N1 、二次巻線N2 の極性(巻方
向)と整流ダイオードDO (DO1、DO2、DO3、DO4)
の接続との関係によって、一次巻線N1 のインダクタン
スL1と二次巻線N2 のインダクタンスL2 との相互イ
ンダクタンスMについて、+Mとなる場合と−Mとなる
場合とがある。例えば、図3(a)に示す接続形態を採
る場合に相互インダクタンスは+M(加極性:フォワー
ド方式)となり、図3(b)に示す接続形態を採る場合
に相互インダクタンスは−M(減極性:フライバック方
式)となる。これを、図1に示す電源回路の二次側の動
作に対応させてみると、例えば二次巻線N2 に得られる
交番電圧が正極性のときに整流ダイオードDO1(DO3)
に整流電流が流れる動作は、+Mの動作モード(フォワ
ード方式)とみることができ、逆に、二次巻線N2 に得
られる交番電圧が負極性のときに整流ダイオードDO2
(DO4)に整流電流が流れる動作は、−Mの動作モード
(フライバック方式)であるとみることができる。即
ち、この電源回路では、二次巻線に得られる交番電圧が
正/負となるごとに、相互インダクタンスが+M/−M
のモードで動作することになる。
【0060】制御回路1では、二次側直流出力電圧レベ
ル(EO1)の変化に応じて、制御巻線NCに流す制御電
流(直流電流)レベルを可変することで、直交型制御ト
ランスPRTに巻装された駆動巻線NB1、NB2のインダ
クタンスLB1、LB2を可変制御する。これにより、駆動
巻線NB1、NB2のインダクタンスLB1、LB2を含んで形
成されるスイッチング素子Q1、Q2のための自励発振駆
動回路内の直列共振回路の共振条件が変化する。これ
は、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング周波数を
可変する動作となるが、この動作によって二次側直流出
力電圧を安定化する作用を有する。
【0061】続いて、力率改善回路10の構成について
説明する。力率改善回路10においては、ブリッジ整流
回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端
子間に対して、チョークコイルLs−高速リカバリ型ダ
イオードD1が直列接続されて挿入される。フィルタコ
ンデンサCNはチョークコイルLs−高速リカバリ型ダ
イオードD1の直列接続回路に対して並列に設けられる
ことで、チョークコイルLsと共にノーマルモードのロ
ーパスフィルタを形成している。
【0062】また、並列共振コンデンサC3は、高速リ
カバリ型ダイオードD1に対して並列に設けられる。こ
こでは詳しい説明は省略するが、例えば 並列共振コン
デンサC3は例えばチョークコイルLs等と共に並列共
振回路を形成するようにされる。これにより、負荷が軽
くなったときの整流平滑電圧Eiの上昇を抑制する作用
を有するものである。また、力率改善回路10に対して
は、チョークコイルLsと、高速リカバリ型ダイオード
D1のアノードと、並列共振コンデンサC3との接続点
に対して、上述した並列共振コンデンサCr2が接続さ
れて、スイッチング素子Q2側の一次側並列共振回路に
得られるスイッチング出力(電圧共振パルス電圧)が帰
還されるようにしている。
【0063】このような力率改善回路10による力率改
善動作は、基本的には次のようになる。この図に示す力
率改善回路10の構成では、スイッチング素子Q2側の
一次側並列共振回路に得られるスイッチング出力を並列
共振コンデンサCr2の静電容量結合を介して、整流電
流経路に帰還することになる。
【0064】このようにして帰還されたスイッチング出
力により、整流電流経路にはスイッチング周期の交番電
圧が重畳されることになるが、このスイッチング周期の
交番電圧の重畳分によって、高速リカバリ型ダイオード
D1では整流電流をスイッチング周期で断続する動作が
得られることになり、この断続作用により見掛け上のチ
ョークコイルLsのインダクタンスも上昇することにな
る。また、並列共振コンデンサC3にはスイッチング周
期の電流が流れることでその両端に電圧が発生するが、
整流平滑電圧Eiのレベルは、この並列共振コンデンサ
C3の両端電圧だけ引き下げられることになる。これに
より、整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端
電圧よりも低いとされる期間にも平滑コンデンサCiへ
の充電電流が流れるようにされる。この結果、交流入力
電流の平均的な波形が交流入力電圧の波形に近付くよう
にされて交流入力電流の導通角が拡大される結果、力率
改善が図られることになる。
【0065】そして上述したように、並列共振コンデン
サCr2は、力率改善回路10の高速リカバリ型ダイオ
ードD1のカソードに接続されている。これは、並列共
振コンデンサCr2と並列共振コンデンサC3が直列接
続された状態となり、つまり並列共振コンデンサCr2
の両端電圧としてあらわれる、電圧共振パルス電圧が、
並列共振コンデンサCr2と並列共振コンデンサC3の
静電容量比によって分圧される。そして高速リカバリ型
ダイオードD1と並列接続されている並列共振コンデン
サC3を介して、平滑コンデンサCiに電圧帰還される
電圧帰還方式としての回路系が形成されている。
【0066】並列共振コンデンサCr1、Cr2の静電
容量は、Cr1<Cr2であり、また並列共振コンデン
サC3の静電容量はCr2よりも十分に大きいものとさ
れている。特にコンデンサC3の静電容量を増加させる
と力率PFは向上することになる。即ち、交流入力電圧
VACが高い期間では、スイッチング周波数fsは高く制
御され、また交流入力電圧VACが低い期間では、スイッ
チング周波数fsは低く制御されるため、交流入力電圧
VACのピーク値近辺では、電圧共振パルス電圧は力率改
善回路10に帰還されず、交流電源ACからの交流入力
電流IACは、ブリッジ整流回路Di→チョークコイルL
s→高速リカバリ型ダイオードD1を介して平滑コンデ
ンサCiに充電される。そして交流入力電圧VACが低く
なるに伴って、電圧共振パルス電圧の力率改善回路10
への帰還量が増加する。なおスイッチング素子Q1、Q
2の各コレクタに発生する電圧共振パルス電圧のピーク
値とオフ次のパルス幅は同等である。
【0067】図4、図5は、このような力率改善回路1
0によって改善される力率の様子を示している。この図
4は交流入力電圧VAC=230V、負荷電力PO=20
0W時の、力率PF=0.8の交流入力電流IACも動作
波形を示しており、また図5は、負荷電力PO=10W
時、力率PF=0.75の交流入力電流IACも動作波形
を示している。
【0068】本例のスイッチング電源回路について、フ
ィルタコンデンサCN=1μF、チョークコイルLS=1
50μH、並列共振コンデンサCr1=4700pF、
並列共振コンデンサCr2=5600pF、並列共振コ
ンデンサC3=0.033μFに設定し、最大負荷電力
POmax=240W、最小負荷電力POmin=0Wの範囲
で、さらに交流入力電圧VAC=180V〜288Vの範
囲という条件下で実験した。その結果、交流入力電圧V
AC=230Vの状態では、図6に示すように、負荷電力
PO=240W〜20Wという負荷変動に対して、力率
PFはほぼ0.8となり、一定に維持されているものと
なった。また図7に示すように、交流入力電圧VAC=1
80V〜288Vの範囲に変動に対して、負荷電力PO
=240W〜50Wの各条件下で、ほぼ同様の力率(P
F=0.8程度)が得られた。
【0069】このように、本実施の形態の電源回路で
は、交流入力電圧、負荷の変動に対しても高力率を維持
できる。このために、交流入力電圧や負荷条件が指定さ
れるテレビジョン受像機などに限定されず、例えば負荷
条件が変動する事務機器やパーソナルコンピュータなど
の事務機器に対して本実施の形態の電源回路を搭載する
ことが実用上充分に可能となるものである。
【0070】また二次側直流出力電圧レベルEO1、E02
の50Hzリップル電圧成分も、力率改善回路10を備
えない場合の2倍程度の増加にとどまっており、例えば
カラーテレビジョン等に用いる電源回路としては実用上
問題のない範囲となっている。
【0071】さらに、本例のような電圧期間方式の場
合、最大負荷電力POmax時に制御範囲が狭くなること
はなく、複合共振形コンバータの再設計は不要である。
【0072】続いて図8により本発明の第2の実施の形
態を説明する。この図8は、本発明の第2の実施の形態
としての電源回路の構成を示す回路図である。なお、こ
の図において図1、及び図10、図11と同一部分には
同一符号を付して説明を省略する。
【0073】この図8に示す電源回路も、図1と同様に
分電圧プッシュプル方式を採用している。このため、整
流平滑電圧を得るための平滑コンデンサとしては、2本
の平滑コンデンサCi1,Ci2が備えられる。また、2
組のスイッチング素子Q1,Q2をプッシュプル動作によ
りスイッチング駆動すると共に、スイッチング素子Q
1,Q2のスイッチング周波数を可変制御するために、直
交型ドライブトランスPRTが設けられている。
【0074】さらに、スイッチング素子Q1のエミッタ
・コレクタ間に配される並列共振コンデンサCr1は、
一次巻線N1Aの漏洩インダクタンス成分(L1A)とイン
ダクタンス巻線Lcとの合成インダクタンス(L1A+L
c)とによってスイッチング素子Q1を電圧共振形の動
作とするための並列共振回路を形成する。
【0075】また、スイッチング素子Q2側でも、並列
共振コンデンサCr2は、一次巻線N1Bの漏洩インダク
タンス成分(L1B)とインダクタンス巻線Lcとの合成
インダクタンス(L1B+Lc)とによってスイッチング
素子Q2を電圧共振形の動作とするための並列共振回路
を形成する。但しこの例では、スイッチング素子Q2の
エミッタ・コレクタ間には、コンデンサCr21、Cr
22が直列接続され、この直列接続されたコンデンサC
r21、Cr22が並列共振コンデンサCr2として機
能する。
【0076】またこの図に示す力率改善回路11におい
ては、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コン
デンサCiの正極端子間に対して、フィルタチョークコ
イルLN −高速リカバリ型ダイオードD1 −チョークコ
イルLS が直列接続されて挿入される。フィルタコンデ
ンサCN は高速リカバリ型ダイオードD1 のアノード側
と平滑コンデンサCiの正極端子間に対して挿入される
ことで、フィルタチョークコイルLN と共にノーマルモ
ードのローパスフィルタを形成している。
【0077】そしてこの力率改善回路11に対しては、
高速リカバリ型ダイオードD1 のカソードとチョークコ
イルLSの接続点に対して、上述した並列共振コンデン
サを構成する直列接続されたコンデンサCr21、Cr
22の接続点が接続されて、一次側並列共振回路に得ら
れるスイッチング出力(電圧共振パルス電圧)が帰還さ
れるようにしている。
【0078】このような力率改善回路11による力率改
善動作は、基本的には次のようになる。この図に示す力
率改善回路11の構成では、一次側並列共振回路に供給
されたスイッチング出力をチョークコイルLS 自体が有
するとされる誘導性リアクタンス(磁気結合)を介して
整流電流経路に帰還するようにされる。
【0079】上記のようにして帰還されたスイッチング
出力により、整流電流経路にはスイッチング周期の交番
電圧が重畳されることになるが、このスイッチング周期
の交番電圧の重畳分によって、高速リカバリ型ダイオー
ドD1 では整流電流をスイッチング周期で断続する動作
が得られることになり、この断続作用により見掛け上の
フィルタチョークコイルLN,チョークコイルLS のイ
ンダクタンスも上昇することになる。これにより、整流
出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも
低いとされる期間にも平滑コンデンサCiへの充電電流
が流れるようにされる。この結果、交流入力電流の平均
的な波形が交流入力電圧の波形に近付くようにされて交
流入力電流の導通角が拡大される結果、力率改善が図ら
れることになる。
【0080】ここで本例では、上述したように並列共振
コンデンサCr2は、コンデンサCr21、Cr22の
直列接続により形成されており、コンデンサCr21、
Cr22の接続点が力率改善回路11の高速リカバリ型
ダイオードD1のカソードに接続されている。従って、
共振コンデンサCr2(Cr21、Cr22)の両端電
圧としてあらわれる電圧共振パルス電圧が、コンデンサ
Cr21、Cr22の静電容量比によって分圧され、高
速リカバリ型ダイオードD1とチョークコイルLSの接続
点に帰還される電圧帰還方式としての回路系が形成され
ている。
【0081】コンデンサCr21、Cr22の静電容量
は、Cr21<Cr22とされており、特にコンデンサ
Cr22の静電容量を増加させると力率PFは向上する
ことになる。即ち、交流入力電圧VACが高い期間では、
スイッチング周波数fsは高く制御され、また交流入力
電圧VACが低い期間では、スイッチング周波数fsは低
く制御されるため、交流入力電圧VACのピーク値近辺で
は、電圧共振パルス電圧は力率改善回路11に帰還され
ず、交流電源ACからの交流入力電流IACは、ブリッジ
整流回路Di→フィルタチョークコイルLN→高速リカ
バリ型ダイオードD1→チョークコイルLSを介して平滑
コンデンサCiに充電される。そして交流入力電圧VAC
が低くなるに伴って、電圧共振パルス電圧の力率改善回
路11への帰還量が増加する。
【0082】このような電源回路においても、図1で説
明した例と同様に、交流入力電圧、負荷の変動に対して
も高力率を維持でき、交流入力電圧や負荷条件が指定さ
れるテレビジョン受像機などに限定されず、例えば負荷
条件が変動する事務機器やパーソナルコンピュータなど
の事務機器に対して実用上充分なものとなる。
【0083】ところで、この図8に示す電源回路の二次
側においては、二次巻線N2の一端は二次側アースに接
続され、他端は直列共振コンデンサCs1の直列接続を
介して整流ダイオードDO1のアノードと整流ダイオード
DO2のカソードの接続点に対して接続される。整流ダイ
オードDO1のカソードは平滑コンデンサCO1の正極と接
続され、整流ダイオードDO2のアノードは二次側アース
に対して接続される。平滑コンデンサCO1の負極側は二
次側アースに対して接続される。
【0084】このような接続形態では結果的に、[直列
共振コンデンサCs1,整流ダイオードDO1,DO2、平
滑コンデンサCO1]の組から成る倍電圧全波整流回路が
設けられることになる。ここで、直列共振コンデンサC
s1は、自身のキャパシタンスと二次巻線N2の漏洩イン
ダクタンス成分とによって、整流ダイオードDO1,DO2
のオン/オフ動作に対応する直列共振回路を形成する。
即ち、本実施の形態の電源回路は、一次側にはスイッチ
ング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が備え
られ、二次側には、倍電圧全波整流動作を得るための直
列共振回路が備えられた複合共振形スイッチングコンバ
ータの構成を採る。
【0085】ここで、上記[直列共振コンデンサCs
1,整流ダイオードDO1,DO2、平滑コンデンサCO1]
の組による倍電圧全波整流動作としては次のようにな
る。一次側のスイッチング動作により一次巻線N1にス
イッチング出力が得られると、このスイッチング出力は
二次巻線N2に励起される。そして、整流ダイオードDO
1がオフとなり、整流ダイオードDO2がオンとなる期間
においては、一次巻線N1と二次巻線N2との極性(相互
インダクタンスM)が−Mとなる減極性モードで動作し
て、二次巻線N2の漏洩インダクタンスと直列共振コン
デンサCs1による直列共振作用によって、整流ダイオ
ードDO2により整流した整流電流IC2を直列共振コンデ
ンサCs1に対して充電する動作が得られる。
【0086】そして、整流ダイオードDO2がオフとな
り、整流ダイオードDO1がオンとなって整流動作を行う
期間においては、一次巻線N1と二次巻線N2との極性
(相互インダクタンスM)が+Mとなる加極性モードと
なり、二次巻線N2に誘起された電圧に直列共振コンデ
ンサCs1の電位が加わるという直列共振が生じる状態
で平滑コンデンサCO1に対して充電が行われる動作とな
る。上記のようにして、加極性モード(+M;フォワー
ド動作)と減極性モード(−M;フライバック動作)と
の両者のモードを利用して整流動作が行われることで、
平滑コンデンサCO1においては、二次巻線N2の誘起電
圧のほぼ2倍に対応する直流出力電圧EO1が得られる。
【0087】上記構成によると、この図8に示す回路の
二次側では相互インダクタンスが+Mと−Mの動作モー
ドとなる状態を利用して、倍電圧全波整流を行うことで
二次側直流出力電圧を得るようにしている。つまり、一
次側の電流共振作用と二次側の電流共振作用とによる電
磁エネルギーが同時に負荷側に供給されるようにしてい
るため、それだけ負荷側に供給される電力も更に増加し
て、最大負荷電力の大幅な増加が図られることになる。
【0088】また、倍電圧全波整流回路によって二次側
直流出力電圧を得るようにしていることで、例えば等倍
電圧整流回路によって得られる二次側直流出力電圧と同
等のレベルを得ようとすれば、本実施の形態の二次巻線
N2としては、従来の1/2の巻数で済むことになる。
この巻数の削減は、絶縁コンバータトランスPITの小
型軽量化、及び低コスト化につながる。なお、この場合
には、二次巻線N2とは独立して二次巻線N2Aを巻装
し、この二次巻線N2Aに対してはセンタータップをアー
スに接地したうえで、整流ダイオードDO3,DO4及び平
滑コンデンサCO2からなる全波整流回路が接続されるこ
とで、直流出力電圧EO2を生成するようにしている。
【0089】続いて図9により本発明の第3の実施の形
態を説明する。なお、この図9において図1、及び図1
0、図11と同一部分には同一符号を付して説明を省略
する。
【0090】この図9に示す電源回路も、図1と同様に
分電圧プッシュプル方式を採用している。このため、整
流平滑電圧を得るための平滑コンデンサとしては、2本
の平滑コンデンサCi1,Ci2が備えられる。ただしこ
の図の場合、一次側に備えられる電圧共振形コンバータ
は他励式の構成を採っており、例えばMOS−FETに
よるスイッチング素子Q21、Q22が備えられる。
【0091】スイッチング素子Q21のドレインは、一次
巻線N1Aを介して平滑コンデンサCi1の正極と接続さ
れ、ソースはチョークコイルCHを介して、平滑コンデ
ンサCi1、Ci2の接続点に接続されている。また並
列共振コンデンサCr1は、スイッチング素子Q21のド
レイン・ソース間に接続されている。さらにスイッチン
グ素子Q21のドレイン−ソース間に対しては、クランプ
ダイオードDD1が並列に接続されている。
【0092】スイッチング素子Q22のドレインは、一次
巻線N1B、チョークコイルCHを介して平滑コンデンサ
Ci2の正極と接続され、ソースは一次側アースに接続
されている。また並列共振コンデンサCr2は、スイッ
チング素子Q22のドレイン・ソース間に接続されている
とともに、この並列共振コンデンサCr2に直列に並列
共振コンデンサCr20が接続されている。さらにスイッ
チング素子Q22のドレイン−ソース間に対しては、クラ
ンプダイオードDDが並列に接続されている。またこの
場合、スイッチング素子Q22のドレインは、並列共振コ
ンデンサCr20を介して、力率改善回路12における高
速リカバリ型ダイオードD1と、チョークコイルLSとの
接続点に接続されている。なお、並列共振コンデンサC
r2の静電容量は、並列共振コンデンサCr22に比べて
十分に大きいものとされて、力率改善回路12に対して電
圧帰還方式とされる。
【0093】上記スイッチング素子Q21、Q22は、発振
・ドライブ回路2によって、先に図1にて説明したプッ
シュプル方式のスイッチング動作が得られるようにスイ
ッチング駆動される。制御回路1では二次側直流出力電
圧E01の変動に応じて変動したレベルの電流又は電圧を
発振・ドライブ回路2に対して供給する。発振・ドライ
ブ回路2では、二次側直流出力電圧E01の安定化が図ら
れるように、制御回路1からの出力レベルに応じて、そ
の周期が可変されたスイッチング駆動信号(電圧)をス
イッチング素子Q21及びQ22のゲートに対して出力す
る。
【0094】この場合、起動回路3に対しては、平滑コ
ンデンサCi1,Ci2に得られる整流平滑電圧Eiが
動作電源として供給されており、また、絶縁コンバータ
トランスPITに追加的に巻装された巻線N4に得られ
た起動時の電圧によって、起動回路3は、発振・ドライ
ブ回路2を起動させるための動作を実行するようにされ
ている。
【0095】また、この図に示す力率改善回路12は、
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサ
Ciの正極端子間に対して、チョークコイルLs−高速
リカバリ型ダイオードD1が直列接続されて挿入され
る。フィルタコンデンサCNはチョークコイルLs−高
速リカバリ型ダイオードD1の直列接続回路に対して並
列に設けられることで、チョークコイルLsと共にノー
マルモードのローパスフィルタを形成している。そして
上述したように、スイッチング素子Q22のドレインが、
並列共振コンデンサCr20を介して、高速リカバリ型ダ
イオードD1とチョークコイルLSとの接続点に接続され
ていることで、スイッチング素子Q22側の一次側並列共
振回路に得られるスイッチング出力(電圧共振パルス電
圧)が静電結合方式で帰還されるようにしている。
【0096】このような構成によっても、図1、図8で
説明した例と同様に、交流入力電圧、負荷の変動に対し
ても高力率を維持でき、交流入力電圧や負荷条件が指定
されるテレビジョン受像機などに限定されず、例えば負
荷条件が変動する事務機器やパーソナルコンピュータな
どの事務機器に対して実用上充分なものとなる。
【0097】ところで、この図9の電源回路の二次側と
しては、二次巻線N2に対して二次側並列共振コンデン
サC2 が備えられることで二次側並列共振回路が形成さ
れるものとしたうえで、二次側巻線N2に対してはブリ
ッジ整流回路DBR及び平滑コンデンサCO1から成る整流
平滑回路が備えられることで、二次側出力電圧EO1を得
るようにしている。つまり、この構成では二次側におい
てブリッジ整流回路DBRによって全波整流動作を得てい
る。
【0098】なお、この場合には、二次側において、上
記二次巻線N2とは独立して、もう1つの二次巻線N2A
を巻装してセンタータップを施した上で、整流ダイオー
ドDO3,DO4及び平滑コンデンサCO2を図のように接続
することで、全波整流動作によって二次側出力電圧EO2
を得るようにしている。但し、二次巻線N2Aに対して
は、並列共振コンデンサは設けられない。
【0099】以上、実施の形態について説明してきた
が、本発明はさらに多様な変形例が考えられる。例えば
本出願人は、複合共振形スイッチングコンバータとし
て、二次側直列共振回路を利用した4倍電圧整流回路を
備えた構成も既に提案しているが、このような構成も本
実施の形態の変形例として成立し得る。つまり、本実施
の形態としては二次側の共振回路及び整流回路の構成と
して特に限定されるものではない。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、分電圧
プッシュプル形のスイッチング周波数制御方式複合共振
形コンバータに対して力率改善回路を備えたスイッチン
グ電源回路として、一次側共振回路に得られるスイッチ
ング出力が一次側並列共振コンデンサを介することで、
静電結合方式もしくは磁気結合方式により力率改善回路
に帰還される。これにより、交流入力電圧や負荷電力の
変動に対して広範囲に渡って力率が一定に保持されると
いう効果がある。このため交流入力電圧AC100V
系、200V系共用のワイドレンジ対応、或いは負荷変
動が大きい事務機器、情報機器用の力率改善電源回路と
して好適なものとなる。
【0101】また、直流出力電圧の50Hzリップル電
圧成分の増加が少ないため、特別なリップル対策を必要
とせず、これにより、制御回路のゲイン向上や電解コン
デンサの容量増加等は不要であるという利点がある。
【0102】さらに最大負荷電力は低下しないため、複
合共振形コンバータの再設計は不要である。また力率改
善前より電力変換効率が多少向上しており、動作波形が
電圧、電流ともに正弦波となることで発生ノイズが低レ
ベルであるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態としてのスイッチン
グ電源回路の構成を示す回路図である。
【図2】本実施の形態の電源回路に採用される絶縁コン
バータトランスの構造を示す側断面図である。
【図3】相互インダクタンスが+M/−Mの場合の各動
作を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態のスイッチング電源回路の動
作を示す波形図である。
【図5】第1の実施の形態のスイッチング電源回路の動
作を示す波形図である。
【図6】第1の実施の形態のスイッチング電源回路につ
いての負荷電力と力率との関係を示す特性図である。
【図7】第1の実施の形態のスイッチング電源回路につ
いての交流入力電圧と力率との関係を示す特性図であ
る。
【図8】第2の実施の形態としてのスイッチング電源回
路の構成を示す回路図である。
【図9】第3の実施の形態としてのスイッチング電源回
路の構成を示す回路図である。
【図10】先行技術としての電源回路の構成を示す回路
図である。
【図11】先行技術としての電源回路の構成を示す回路
図である。
【図12】先行技術の電源回路について、負荷電力と力
率との関係を示す特性図である。
【図13】先行技術の電源回路について、交流入力電圧
と力率との関係を示す特性図である。
【図14】先行技術の電源回路について、負荷電力に応
じた商用交流電源の入力に対する動作を示す波形図であ
る。
【符号の説明】
1 制御回路、10,11,12 力率改善回路、Di
ブリッジ整流回路、Ci 平滑コンデンサ、D1 高
速リカバリ型ダイオード、Cr1,Cr2 並列共振コ
ンデンサ、C3 並列共振コンデンサ、C2 二次側並
列共振コンデンサ、Cs1 二次側直列共振コンデン
サ、PRT 直交型制御トランス、PIT絶縁コンバー
タトランス、Q1,Q2,Q21,Q22 スイッチング素子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力された商用交流電源を整流するとと
    もに、直列接続された2つの平滑コンデンサの両端に得
    られる平滑電圧を分圧して第1及び第2の直流入力電圧
    を出力する整流平滑手段と、 疎結合とされる所要の結合係数が得られるようにギャッ
    プが形成され、一次側出力を二次側に伝送するために設
    けられる絶縁コンバータトランスと、 上記第1及び第2の直流入力電圧を、それぞれスイッチ
    ング素子により断続して上記絶縁コンバータトランスの
    一次巻線に出力するようにされた第1及び第2のスイッ
    チング手段と、 少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線を
    含む漏洩インダクタンス成分と一次側並列共振コンデン
    サのキャパシタンスとによって形成されて、上記第1及
    び第2のスイッチング手段の動作を電圧共振形とする第
    1及び第2の一次側共振回路と、 整流電流経路に挿入されるとともに、上記第1、第2の
    一次側共振回路のうちの一方に得られるスイッチング出
    力が、その一方の一次側共振回路における上記一次側並
    列共振コンデンサを介して帰還され、この帰還されたス
    イッチング出力に基づいて整流電流を断続することによ
    り力率を改善する力率改善手段と、 上記絶縁コンバータトランスの二次巻線の漏洩インダク
    タンス成分と、二次側共振コンデンサのキャパシタンス
    とによって二次側において形成される二次側共振回路
    と、 上記二次側共振回路を含んで形成され、上記絶縁コンバ
    ータトランスの二次巻線に得られる交番電圧を入力し
    て、整流動作を行って二次側直流出力電圧を生成するよ
    うに構成された直流出力電圧生成手段と、 上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて、二次側直流
    出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定
    電圧制御手段と、 を備えたことを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 【請求項2】 上記力率改善手段には、整流電流を断続
    するための高速リカバリ型ダイオードが配されていると
    ともに、上記第1、第2の一次側共振回路のうちの一方
    の上記一次側並列共振コンデンサの接地側が、上記高速
    リカバリ型ダイオードのアノードに接続されることを特
    徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 【請求項3】 上記力率改善手段には、整流電流を断続
    するための高速リカバリ型ダイオードとインダクタンス
    が直列接続されて配されているとともに、上記第1、第
    2の一次側共振回路のうちの一方の上記一次側並列共振
    コンデンサが、上記高速リカバリ型ダイオードとインダ
    クタンスの接続点に接続されることを特徴とする請求項
    1に記載のスイッチング電源回路。
JP28147399A 1999-10-01 1999-10-01 スイッチング電源回路 Withdrawn JP2001112252A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108631563A (zh) * 2017-03-20 2018-10-09 奥克斯空调股份有限公司 一种功率变换电路的纹波电流抑制方法及装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108631563A (zh) * 2017-03-20 2018-10-09 奥克斯空调股份有限公司 一种功率变换电路的纹波电流抑制方法及装置
CN108631563B (zh) * 2017-03-20 2019-11-12 奥克斯空调股份有限公司 一种功率变换电路的纹波电流抑制方法及装置

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