JP2001108108A - 二酸化炭素冷媒用シール材およびそれを用いた圧縮機、冷凍システム装置 - Google Patents

二酸化炭素冷媒用シール材およびそれを用いた圧縮機、冷凍システム装置

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JP2001108108A
JP2001108108A JP29119299A JP29119299A JP2001108108A JP 2001108108 A JP2001108108 A JP 2001108108A JP 29119299 A JP29119299 A JP 29119299A JP 29119299 A JP29119299 A JP 29119299A JP 2001108108 A JP2001108108 A JP 2001108108A
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compressor
dioxide refrigerant
refrigerant
sealing material
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Fumitoshi Nishiwaki
文俊 西脇
Masaaki Suzuki
正明 鈴木
Noriho Okaza
典穂 岡座
Yuji Yoshida
雄二 吉田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シール材に対して著しく溶解、浸透しやすいC
2冷媒に適した低リーク量かつ高信頼性の二酸化炭素
冷媒用シール材、およびそれを用いた圧縮機、冷凍シス
テム装置を提供することを目的とする。 【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン等の二酸化炭
素冷媒ガスに対する拡散係数が溶解係数より大きく、室
温における二酸化炭素冷媒ガスに対する浸透係数を0.
38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・c
mHg)の範囲とするエラストマーをシール材とし、そ
のシール材を用いて圧縮機、冷凍システム装置を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二酸化炭素を冷媒と
する冷凍冷蔵庫や空調機等に用いられる冷媒圧縮機およ
び冷凍空調システム装置のシール材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】冷凍空調用の電動圧縮機としては、圧縮
部がスクロール式、レシプロ式、ロータリー式、斜板
式、スクリュー式およびリニア式等のものがあり、いず
れの方式も家庭用、業務用、車載用の空調分野で使用さ
れている。また、冷凍空調システムに用いられる冷媒
は、オゾン層保護の地球環境の観点から、塩素を含まな
い代替冷媒であるハイドロフルオロカーボン(HFC)
系冷媒への変換が進められている。ここでは、スクロー
ル式の半密閉型圧縮機を例に取り従来の技術を説明す
る。空調用に使用されているスクロール圧縮機として
は、特開平6−307356号公報に開示されているも
のが知られている。
【0003】図7に従来の半密閉型スクロール圧縮機の
縦断面図を示す。密閉容器1は、それぞれフランジ部を
有する上シェル1a、胴シェル1b、下シェル1c、お
よびスペーサ22から構成される。前記上シェル1a、
胴シェル1b、下シェル1cのフランジ部に設けたO−
リング溝内にO−リング23を装着し、各フランジ部を
密着固定することにより、密閉容器1内部を外部から密
閉している。
【0004】密閉容器1の内部には、固定スクロール2
aと固定スクロール2aに対して旋回運動する可動スク
ロール2bとを噛み合わせた圧縮機構部2と、可動スク
ロール2bを支えるスラスト軸受3、固定スクロール2
aを支えるテイハネケース25、スラスト軸受3を支承
する軸受部品4を上部に設けている。そして、可動スク
ロール2bの軸2cを、主軸5の端部のクランク部5a
に設けた穴部の偏心軸受6に挿入し、可動スクロール2
bを主軸5の回転運動により旋回運動させる。主軸5に
は電動機7の回転子7aが取り付けられており、密閉容
器1に焼き嵌め固定された固定子7bとともに軸受部品
4の下部に配設されている。
【0005】ジャーナル軸受8は軸受部品4に環状のブ
ッシュ材を圧入することにより形成されており、主軸5
に作用する径方向の力を支えている。密閉容器1の下方
底部には潤滑油9を貯溜する油だめ10が設けられてい
る。また、密閉容器1の側部には冷媒ガスの吸入管11
が設けられている。15は固定スクロール2aの上部に
設けられた吐出チャンバー、16は密閉容器1の外へ圧
縮冷媒ガスを出す吐出管部である。そして、軸受部品
4、スペーサ22、およびテイハネケース25には貫通
孔(図示せず)を設け、軸受部品4の下部および吐出チ
ャンバー15の上部を吸入側の冷媒ガス圧力が作用する
構成としている。
【0006】前記軸受部品4にはジャーナル軸受8、偏
心軸受6、スラスト軸受3を潤滑、冷却した潤滑油9を
排出する油排出口12が設けられている。主軸5には潤
滑油9を各軸受部、すなわちジャーナル軸受8、偏心軸
受6、スラスト軸受3へ供給する貫通穴13を設け、か
つ主軸5の下端にはオイルポンプ14を取り付け、潤滑
油9を吸い上げるようにしている。テイハネケース25
と軸受部品4とはスペーサー22をはさんでボルトで締
結されている。
【0007】19は停止時に可動スクロール2bが逆転
するのを防ぐための逆止弁、24は逆止弁の動きを規制
する逆止弁ガイド、20は可動スクロール2bを固定ス
クロール2aに対して旋回運動させるための自転防止用
のオルダムリングである。
【0008】次に上記機構からなる圧縮機構の作用を説
明する。低圧冷媒ガスは吸入管11より戻り、圧縮機構
部2に吸入されるとともに、電動機7を冷却する。すな
わち、密閉容器1内には吸入側の冷媒ガス圧力が作用す
るが、O−リング23により密閉容器1内の冷媒ガスが
外部にリークすることを防いでいる。固定スクロール2
aに対して可動スクロール2bを自転しないように旋回
運動させることにより、固定スクロール2aと可動スク
ロール2bとの間に形成された複数の圧縮空間が外側か
ら内側に向かって次第に縮小させられて圧縮が行われ
る。圧縮された冷媒ガスは高圧冷媒ガスとなり、一旦吐
出チャンバー15へ入る。そして吐出管部16より密閉
容器1外へ吐出され、再び低圧冷媒ガスを循環させ、周
知の圧縮サイクルを構成する。
【0009】一方、オイルポンプ14で吸い上げられた
潤滑油9は、主軸5の貫通穴13の中を上昇し、偏心軸
受6、スラスト軸受3、ジャーナル軸受8を潤滑、冷却
して、油排出口12から固定子7b上部へ排出され、固
定子7bの切り欠き部(図示せず)を通って油だめ10
に戻る潤滑サイクルを形成している。
【0010】従来の業務用のスクロール圧縮機では、冷
媒としてハイドロフルオロカーボン(HFC)系のR4
07C冷媒を、冷凍機油としてポリオールエステル油を
用い、O−リング等のシール材にはアクリロニトリル−
ブタジエン共重合体(NBR)ゴムあるいは水素化アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体(HNBR)ゴムを
用いていた。
【0011】O−リング等のシール材を用いて冷媒が充
満した密閉容器内の高圧冷媒ガスをシールする場合、一
般に冷媒ガスはシール材の表面に溶解し、高圧面側(密
閉容器内部)から低圧面側(密閉容器外部)への拡散が
生じ、拡散した冷媒ガスは低圧側に蒸発することが知ら
れている。このプロセスは浸透プロセスあるいは透過プ
ロセスと呼ばれ、次のガス浸透方程式(数1)で表され
る。
【0012】
【数1】(V/t)= P・A・(p1−p2)/h ここで、V/tは浸透速度、Pは浸透係数、Aは面積、
hは厚さ、(p1−p2)は圧力差である。なお、浸透
係数Pは溶解係数Sと拡散係数Dの積として(数2)式
で表される。
【0013】
【数2】P=S・D すなわち、浸透量は溶解係数Sが高く、拡散係数Dが高
いほど、多くなることが解る。
【0014】R407C冷媒の主成分はHFC134a
冷媒であり、この冷媒の各種シール材に対する浸透係数
Pは低い値であることが知られている。例えば、HFC
134a冷媒ガスに対してNBR材の室温における浸透
係数は約0.38×10-9cm3・cm/(cm2・s・
cmHg)である。したがって、NBRあるいはHNB
Rシール材を用いても、HFC系冷媒に対して、冷媒ガ
スがシール材中を浸透する浸透量は少なかった。また、
NBRあるいはHNBRシール材は材料適合性にも優
れ、膨潤による体積増加率も低い材料であった。
【0015】高圧雰囲気下でシール材中に溶解した大量
の冷媒ガスは、圧力が急激に低下すると、圧力低下とと
もに膨張し、シール材の空孔部に集まり、拡散係数が低
い場合には、臨界サイズまで成長した後、裂けてシール
の破裂を引き起こすことが知られている。この現象はE
xplosive Decompression(E
D)と呼ばれている。
【0016】R407C冷媒を空調用途に用いる場合、
低圧式圧縮機の吸入圧すなわち密閉容器内の圧力は0.
5MPa程度であり、停止時(室温24℃とすると)に
はおおよそ1.0MPa程度となる。したがって、たと
えON−OFF運転を行ってもシール材に作用する圧力
変動は高々0.5MPa程度の小さな値であり、かつ、
NBRあるいはHNBRシール材の浸透係数は低い値で
あるため、ED現象が生じてシール材が破裂するような
ことはない。
【0017】このように、HFC系冷媒を用いた冷凍空
調システムのシール材にNBRあるいはHNBRシール
材を用いても、冷媒ガスがシール材中を浸透する浸透量
は少なく、またED現象によりシール材が破裂するよう
なことはなかった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】今後、地球環境、特に
地球温暖化防止の観点から、空調用冷媒を従来用いてき
たHFC冷媒から自然界にもともと存在する二酸化炭素
(CO2)などの自然冷媒に切り替える必要がある。し
かしながら、CO2冷媒は、従来のHFC系冷媒に比
べ、作動圧力が極めて高い。冷房標準条件の場合、R4
07C冷媒では前述のように圧縮機吸入圧(低圧)が
0.5MPaであるのに対し、CO2冷媒では吸入圧
(低圧)が約5MPaとなり、吐出圧(高圧)にいたっ
ては8〜10MPaにも達する。しかもCO2冷媒は、
従来のHFC系冷媒に比べ、シール材に対する溶解係数
が非常に高く、拡散係数も中程度であるため、著しく溶
解、浸透しやすい冷媒である。
【0019】以上のことから、CO2冷媒は急激な減圧
によるシール破壊現象すなわちED現象が特に起こりや
すい冷媒であった。このように、従来のHFC134a
冷媒に使用していたシール材をCO2冷媒に用いた場合
には、シール材を透過する冷媒ガスの漏れ量が著しく増
大するのみならず、運転条件による急激な圧力変動によ
りシール材が破裂していた。
【0020】このため、安全性に問題があるのみなら
ず、システム中の冷媒が減少して冷凍効果が得られなく
なり、CO2冷媒システムの信頼性を損ねていた。
【0021】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、CO2冷媒に適した低リーク量かつ高信頼性の二酸
化炭素冷媒用シール材、およびそれを用いた圧縮機、冷
凍システム装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1記載の本発明は、二酸化炭素冷媒ガスに対す
る拡散係数が溶解係数より大きいことを特徴とする二酸
化炭素冷媒用シール材である。
【0023】請求項2記載の本発明は、二酸化炭素冷媒
ガスに対する室温における浸透係数が0.38〜1.3
6×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)であ
る二酸化炭素冷媒用シール材である。
【0024】請求項3記載の本発明は、ポリテトラフル
オロエチレン、テトラフルオロエチレン−プロピレン共
重合体、ポリエーテルエーテルケトンの何れかを主成分
とする二酸化炭素冷媒用シール材である。
【0025】請求項4記載の本発明は、ポリイミド、ポ
リフェニレンサルファイド、カーボン、グラファイト、
ガラスファイバー、二硫化モリブデンの少なくとも何れ
かを充填材として添加した二酸化炭素冷媒用シール材で
ある。
【0026】請求項5記載の本発明は、上述した二酸化
炭素冷媒用シール材を用いて構成したことを特徴とする
二酸化炭素冷媒用圧縮機である。
【0027】請求項6記載の本発明は、圧縮機のシェル
内を低圧に保つ低圧式構造を有する二酸化炭素冷媒用圧
縮機である。
【0028】請求項7記載の本発明は、2段階に圧縮す
る圧縮機のシェル内を低圧と高圧の中間圧に保つ二酸化
炭素冷媒用圧縮機である。
【0029】請求項8記載の本発明は、圧縮形式がスク
ロール式、レシプロ式、ロータリー式、斜板式、スクリ
ュー式、リニア式の何れかである二酸化炭素冷媒用圧縮
機である。
【0030】また、請求項9の本発明は、上述した二酸
化炭素冷媒用圧縮機を用いて構成したことを特徴とする
冷凍システム装置である。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0032】本発明は、二酸化炭素(CO2)冷媒用シ
ール材に、CO2ガスに対する拡散係数が溶解係数より
大きな値を持つシール材を用いたものである。拡散係数
が溶解係数より大きいため、シール材の表面部に溶解し
たCO2ガスは容易に高圧側から低圧側に拡散する。し
たがって、運転条件による圧力変動が生じても、急激な
圧力減少によるED現象が生じることはない。また、室
温におけるCO2ガスに対するシール材の浸透係数を
0.38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s
・cmHg)としている。ED現象が起こらず、浸透係
数が小さくリーク量が少ないシール材を探索した結果、
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系材料で浸透
係数1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cm
Hg)であった。また、HFC系冷媒に対して実用化さ
れているNBR材料のHFC134a冷媒ガスに対する
浸透係数が約0.38×10-9cm3・cm/(cm2
s・cmHg)であることから、実用上は室温における
浸透係数の範囲として0.38〜1.36×10-9cm
3・cm/(cm2・s・cmHg)が望ましい。
【0033】シール材の材料としては、前記ポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)系材料の他に、テトラフ
ルオロエチレン−プロピレン共重合体(FEPM)、ポ
リエーテルエーテルケトン(PEEK)材料などを用い
ても、拡散係数を溶解係数より大きく、かつ室温におけ
る浸透係数の範囲を0.38〜1.36×10-9cm 3
・cm/(cm2・s・cmHg)とすることが可能で
ある。
【0034】さらに、耐摩耗性を向上させるため、前記
材料を主成分として、ポリイミド(PI)、ポリフェニ
レンサルファイド(PPS)、カーボン、グラファイ
ト、ガラスファイバー、二硫化モリブデン(MoS2
などの充填材を添加した場合でも、同様に拡散係数が溶
解係数より大きく、かつ室温における浸透係数の範囲を
0.38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s
・cmHg)とすることが可能である。
【0035】このような仕様のCO2ガス用シール材料
としたため、次に述べるような作用を生じる。
【0036】発明者らは、上記の構成もしくは手段によ
って得られる新事実、作用を以下に述べる実験に基づき
確認した。
【0037】CO2冷媒を作動流体とする冷凍サイクル
を構成する圧縮機の密閉容器、バルブ、および背圧弁の
シール材として各種O−リング材料を用い、CO2冷媒
との材料適合性を試験した。数百時間の冷凍サイクル運
転後、各構成要素を分解し、各種O−リング材料の観察
を行った。O−リング材料には、フッ素ゴム、パーフロ
ロエラストマー(商品名カルレッツ)、クロロプレンゴ
ム、およびPTFEを用いた。
【0038】図1〜図4に上記材料適合性試験結果を示
す。それぞれ図1はフッ素ゴム、図2はパーフロロエラ
ストマー、図3はクロロプレンゴム、図4はPTFEの
試験結果を示す。フッ素ゴムおよびパーフロロエラスト
マーは、シール材が裂けてシールの破裂を引き起こし
た。クロロプレンゴムの場合には、表面上に多数の亀裂
が見られた。冷凍サイクルから取り外した直後のクロロ
プレンゴムのO−リングにはCO2ガスの膨張によりシ
ール材表面に気泡形成が生じて、その気泡が成長破裂
し、亀裂を形成する現象すなわちED現象を確認した。
一方、PTFEの場合、シール材の変化は全くなかっ
た。
【0039】PTFEの拡散係数は溶解係数より大き
く、フッ素ゴムの溶解係数は拡散係数より大きいことが
知られている。パーフロロエラストマーおよびクロロプ
レンゴムの場合、フッ素ゴムと同様である。以上のこと
から、PTFEのように拡散係数を溶解係数より大きく
することで、ED現象を防ぐことができることが解っ
た。そして、前述のように浸透係数の範囲を0.38〜
1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmH
g)とすることにより、ED現象を起こさない範囲でリ
ーク量を低減することができる。
【0040】したがって、本発明の二酸化炭素冷媒用シ
ール材を採用することにより、浸透性の非常に高いCO
2冷媒を用いた場合でも、シール材を浸透するガス量を
低減するとともに、シール材破裂が生じない高信頼性の
シール材を実現することが可能となる。
【0041】(実施の形態1)本発明の第1の実施の形
態における二酸化炭素冷媒用圧縮機の構成を、図7の従
来例を示した図を用いて説明する。図7に示した従来の
半密閉型スクロール圧縮機と、O−リング材料を除い
て、同一の構成である。したがって、従来例と同一の構
成および作用の説明は省くことにする。
【0042】本実施の形態では、O−リング23の材料
にPEEK材を用いている。この材料の室温における浸
透係数は小さく0.88×10-9cm3・cm/(cm2
・s・cmHg)であり、その拡散係数は溶解係数より
大きな値である。このため、シール材を透過するCO2
冷媒ガス量は少なく、またシール材表面に溶解したCO
2冷媒ガスは容易に拡散するため、運転条件による圧力
変動が生じてもシール材中のCO2冷媒ガスの急膨張に
よるシール材の破裂現象が生じることはない。したがっ
て、シール材の浸透するガス量を低減するとともに、高
信頼性のシール材を実現することが可能となる。
【0043】なお、本実施の形態では圧縮機を低圧構造
のスクロール圧縮機としたが、レシプロ式、ロータリー
式、斜板式、スクリュー式であっても同様の効果が得ら
れる。また、2段圧縮の圧縮機の場合には、リーク量を
低減させ、しかも圧縮機構成を容易にするため中間圧を
密閉容器内圧に採用することが望ましい。その場合に
も、同様の効果が得られることは言うまでもない。さら
に、シール材の材料として、前記ポリエーテルエーテル
ケトン(PEEK)系材料の他に、ポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)材料、テトラフルオロエチレン−
プロピレン共重合体(FEPM)などを用いても同様の
効果が得られる。
【0044】(実施の形態2)以下、本発明の第2の実
施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0045】図5は本発明の第2の実施の形態における
二酸化炭素(CO2)冷媒用圧縮機の縦断面図である。
本実施の形態では、CO2対応カーエアコン用の開放型
スクロール圧縮機を示している。開放型圧縮機の場合、
密閉容器30内に電動機などの駆動要素を備えず、密閉
容器30の外部から主軸31を介して圧縮機構部32を
駆動する。ここで、密閉容器30は上シェル30a、下
シェル30b、および主軸31から構成され、O−リン
グ33および軸シール34を用いて容器内部を密閉して
いる。圧縮機構に関しては図7に示した従来スクロール
圧縮機と同様である。圧縮機構部32は固定スクロール
32aと固定スクロール32aに対して噛み合わされ旋
回運動する可動スクロール32bから構成される。可動
スクロール32bはスラスト軸受35で支えられ、主軸
31は径方向に転がり軸受36で支えている。そして、
主軸31の回転運動により、可動スクロール32bを旋
回運動させる。密閉容器30には冷媒ガスの吸入口37
および吐出口38を設けている。
【0046】本実施の形態では、主軸31の軸シール3
4にリップシールを用い、その材料にはPTFE材中に
耐摩耗性を向上させるためポリイミド(PI)樹脂粉末
を添加したもの採用した。また、上シェル30aと下シ
ェル30b間のシールにはPEEK材のO−リングを採
用した。軸シール34のPTFE材の室温における浸透
係数は1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・c
mHg)であり、その拡散係数は溶解係数より大きな値
である。また、O−リング33に用いたPEEK材の室
温における浸透係数は0.88×10-9cm3・cm/
(cm2・s・cmHg)であり、同様にその拡散係数
は溶解係数より大きな値であった。
【0047】次に上記構成からなる圧縮機構の作用を説
明する。低圧CO2冷媒ガスは吸入口37から密閉容器
30内に吸入され、圧縮機構部32に流入する。固定ス
クロール32aに対して可動スクロール32bを旋回運
動させることにより、固定スクロール32aと可動スク
ロール32bとで形成された複数の圧縮空間が外側から
内側に向かって次第に縮小させられ圧縮が行われる。圧
縮されたCO2冷媒ガスは高圧となり、吐出口38から
密閉容器30外に吐出される。
【0048】本実施の形態では、CO2冷媒ガスのシー
ル材に室温における浸透係数の範囲が0.88〜1.3
6×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)のP
TFE材およびPEEK材を用いたため、シール材を透
過するCO2冷媒ガス量を低減することが可能となる。
また、このシール材料は拡散係数が溶解係数より大きな
値であるため、運転条件による圧力変動が生じてもシー
ル在中のCO2冷媒ガスの急膨張によるシール材の破裂
現象が生じることはない。さらに、軸シール34のPT
FEシール材中にポリイミド(PI)樹脂粉末を充填し
たため、主軸31の回転摺動による軸シールの耐摩耗特
性を向上させることが可能となり、長期信頼性の確保が
できる。
【0049】なお、本実施の形態では圧縮機を低圧構造
のスクロール圧縮機としたが、レシプロ式、ロータリー
式、斜板式、スクリュー式であっても同様の効果が得ら
れる。さらに、シール材の材料として、テトラフルオロ
エチレン−プロピレン共重合体(FEPM)材料などを
用いても同様の効果が得られる。
【0050】(実施の形態3)以下、本発明の第3の実
施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0051】図6は本発明の第3の実施の形態における
二酸化炭素冷媒用冷凍システム装置に用いる配管継手の
縦断面図である。二酸化炭素冷媒用の配管継手は、ボデ
イ40、グランド41、メスナット42およびO−リン
グ43から構成し、ボデイ40、グランド41は配管4
2と溶接している。この構成とすることにより、接続が
素早く、容易にでき、軸方向のクリアランスも必要とし
ない。
【0052】O−リング43の材料にはPEEK材を用
いている。この材料の室温におけるCO2ガスに対する
浸透係数は小さく0.88×10-9cm3・cm/(c
2・s・cmHg)であり、その拡散係数は溶解係数
より大きな値である。このため、シール材を透過するC
2冷媒ガス量は少なく、またシール材表面に溶解した
CO2冷媒ガスは容易に拡散するため、運転条件による
圧力変動が生じてもシール材中のCO2冷媒ガスの急膨
張によるシール材の破裂現象が生じることはない。した
がって、シール材の浸透するガス量を低減するととも
に、高信頼性のシール材を実現することが可能となる。
【0053】本発明の二酸化炭素冷媒用冷凍システム装
置は、実施の形態1の二酸化炭素冷媒用圧縮機と、ガス
クーラー、膨張弁、エバポレータ、レシーバ、配管等を
上記二酸化炭素冷媒用の配管継手を用いて接続しシステ
ム構成したものである。したがって、著しく溶解、浸透
しやすい二酸化炭素を冷媒に用いた場合でも、冷凍シス
テムからの冷媒のリーク量を低減できるとともに信頼性
の高いシステムを実現することが可能となる。
【0054】なお、本実施の形態ではメスナットを締め
付けることによりシールする継手を用いたが、Push
Fitタイプの継手であっても同様の効果が得られる
ことは言うまでもない。
【0055】また、シール材の材料として、前記ポリエ
ーテルエーテルケトン(PEEK)系材料の他に、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)材料、テトラフル
オロエチレン−プロピレン共重合体(FEPM)などを
用いても同様の効果が得られる。
【0056】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように本
発明は、著しく溶解、浸透しやすい二酸化炭素を冷媒に
用いた場合でも、シール材からのリーク量を低減させる
ことが可能となり、また運転条件による急激な圧力変動
によりシール材が破裂することがなくなるため、安全
性、信頼性の高い低リーク量のシール材、およびそのシ
ール材を用いた圧縮機、配管継手および冷凍システムを
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】材料適合性試験結果(フッ素ゴム)を表す図
【図2】材料適合性試験結果(パーフロロエラストマ
ー)を表す図
【図3】材料適合性試験結果(クロロプレンゴム)を表
す図
【図4】材料適合性試験結果(PTFE)を表す図
【図5】本発明の第2の実施の形態における二酸化炭素
冷媒用圧縮機の縦断面
【図6】本発明の第3の実施の形態における二酸化炭素
冷媒用冷凍システム装置に用いる配管継手の縦断面図
【図7】従来の半密閉型スクロール圧縮機の縦断面図
【符号の説明】
30 密閉容器 30a 上シェル 30b 下シェル 31 主軸 32 圧縮機構部 32a 固定スクロール 32b 可動スクロール 23、33、43 O−リング 34 軸シール
フロントページの続き (72)発明者 岡座 典穂 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 吉田 雄二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3H003 AA02 AA03 AA05 AB03 AC03 AD03 BC00 CD00 3H029 AA02 AA03 AA14 AB03 BB16 BB44 CC19 3J040 AA01 AA13 CA01 EA15 EA17 FA01 FA06 FA07 FA11 FA13 HA15

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二酸化炭素冷媒ガスに対する拡散係数が
    溶解係数より大きいことを特徴とする二酸化炭素冷媒用
    シール材。
  2. 【請求項2】 二酸化炭素冷媒ガスに対する室温におけ
    る浸透係数が0.38〜1.36×10-9cm3・cm
    /(cm2・s・cmHg)である請求項1記載の二酸
    化炭素冷媒用シール材。
  3. 【請求項3】 ポリテトラフルオロエチレン、テトラフ
    ルオロエチレン−プロピレン共重合体、ポリエーテルエ
    ーテルケトンの何れかを主成分とする二酸化炭素冷媒用
    シール材。
  4. 【請求項4】 ポリイミド、ポリフェニレンサルファイ
    ド、カーボン、グラファイト、ガラスファイバー、二硫
    化モリブデンの少なくとも何れかを充填材として添加し
    た請求項3記載の二酸化炭素冷媒用シール材。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載の二酸化炭素冷媒用シ
    ール材を、シール用部材として用いたことを特徴とする
    二酸化炭素冷媒用圧縮機。
  6. 【請求項6】 圧縮機のシェル内を低圧に保つ低圧式構
    造を有する請求項5記載の二酸化炭素冷媒用圧縮機。
  7. 【請求項7】 2段階に圧縮する圧縮機のシェル内を低
    圧と高圧の中間圧に保つ請求項5記載の二酸化炭素冷媒
    用圧縮機。
  8. 【請求項8】 圧縮形式がスクロール式、レシプロ式、
    ロータリー式、斜板式、スクリュー式、リニア式の何れ
    かである請求項5〜7のいずれかに記載の二酸化炭素冷
    媒用圧縮機。
  9. 【請求項9】 請求項5〜8のいずれかに記載の二酸化
    炭素冷媒用圧縮機を、圧縮機として用いたことを特徴と
    する冷凍システム装置。
JP29119299A 1999-10-13 1999-10-13 二酸化炭素冷媒用シール材およびそれを用いた圧縮機、冷凍システム装置 Withdrawn JP2001108108A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002242859A (ja) * 2001-02-16 2002-08-28 Mitsubishi Heavy Ind Ltd スクロール圧縮機
JP2003013041A (ja) * 2001-06-28 2003-01-15 Mitsubishi Cable Ind Ltd シール用ゴム組成物およびそれを用いた耐二酸化炭素用シール
US11788773B2 (en) 2021-01-06 2023-10-17 Carrier Corporation Carbon dioxide refrigeration system with low temperature mode

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