JP2001107190A - 海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼 - Google Patents
海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】この発明は、海岸地域など０．０５ｍｄｄ以上
の塩分が飛来する環境においても優れた耐候性を有する
高力ボルト・ナット用鋼を提供する。 【解決手段】 質量％で、Ｃ：０．１５〜０．３％、
Ｐ：０．０３％以下、Ｎｉ：１．０〜５．０％を含有
し、（１）式で示す焼入れ性指数ＤＩが１．５以上であ
ることを基本成分組成とし、選択成分としてＣｕ，Ｃ
ｒ，Ｍｏ，Ｔｉ，Ｎｂ，Ｖ，Ｂを適宜選択することを特
徴とする海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼。 ＤＩ＝０．３１√Ｃ（１＋０．６４Ｓｉ）（１＋４．１Ｍｎ）（１＋２．８３Ｐ ）（１−０．６２Ｓ）（１＋２．３３Ｃｒ）（１＋０．５２Ｎｉ）（１＋３．１ ４Ｍｏ）（１＋０．２７Ｃｕ）｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝ （１ ） 但し、最終項：｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝はＢが添
加された場合のみ乗ずる。
の塩分が飛来する環境においても優れた耐候性を有する
高力ボルト・ナット用鋼を提供する。 【解決手段】 質量％で、Ｃ：０．１５〜０．３％、
Ｐ：０．０３％以下、Ｎｉ：１．０〜５．０％を含有
し、（１）式で示す焼入れ性指数ＤＩが１．５以上であ
ることを基本成分組成とし、選択成分としてＣｕ，Ｃ
ｒ，Ｍｏ，Ｔｉ，Ｎｂ，Ｖ，Ｂを適宜選択することを特
徴とする海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼。 ＤＩ＝０．３１√Ｃ（１＋０．６４Ｓｉ）（１＋４．１Ｍｎ）（１＋２．８３Ｐ ）（１−０．６２Ｓ）（１＋２．３３Ｃｒ）（１＋０．５２Ｎｉ）（１＋３．１ ４Ｍｏ）（１＋０．２７Ｃｕ）｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝ （１ ） 但し、最終項：｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝はＢが添
加された場合のみ乗ずる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築・土木分野の
各種構造物に用いられる摩擦接合用の高力ボルト・ナッ
ト用鋼に関し、特に海岸地域など塩水が関与する腐食環
境で用いられる耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼
に関する。
各種構造物に用いられる摩擦接合用の高力ボルト・ナッ
ト用鋼に関し、特に海岸地域など塩水が関与する腐食環
境で用いられる耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼
に関する。
【０００２】
【従来の技術】鋼構造物を無塗装で使用する場合、耐候
性鋼が用いられ、鋼板や形鋼に関してはＪＩＳ Ｇ３１
１４「溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材」やＪＩＳ Ｇ３
１２５「高耐候性圧延鋼材」に規格化されている。しか
し、それらの継手に用いられる高力ボルト・ナットに関
しては国内で何ら規格化されておらず、また、その目的
から、極めて高強度を必要とするため焼入れ焼戻し処理
が必須であり、鋼板や形鋼に関する上記規格の鋼を高力
ボルト・ナット用素材として利用することもできない。
性鋼が用いられ、鋼板や形鋼に関してはＪＩＳ Ｇ３１
１４「溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材」やＪＩＳ Ｇ３
１２５「高耐候性圧延鋼材」に規格化されている。しか
し、それらの継手に用いられる高力ボルト・ナットに関
しては国内で何ら規格化されておらず、また、その目的
から、極めて高強度を必要とするため焼入れ焼戻し処理
が必須であり、鋼板や形鋼に関する上記規格の鋼を高力
ボルト・ナット用素材として利用することもできない。
【０００３】高力ボルト・ナット用素材に関しては、焼
入れ焼戻し処理により１０００ＭＰａ以上の強度とする
技術が特公昭５３−２４８９０号公報、特公昭５６−２
０３５０号公報に記載されている。
入れ焼戻し処理により１０００ＭＰａ以上の強度とする
技術が特公昭５３−２４８９０号公報、特公昭５６−２
０３５０号公報に記載されている。
【０００４】特公昭５３−２４８９０号公報に記載の技
術はＣｕ，Ｃｒ，Ｓｉを添加し耐候性を確保するととも
に、Ｓｉ，Ａｌ添加により高強度鋼に特有な遅れ破壊を
抑制したことが特徴であり、特公昭５６−２０３５０号
公報にはＣｕ，Ｃｒの添加で耐候性を確保し、Ｓｉの低
減によりボルト成形前の焼鈍省略を可能とする技術が開
示されている。
術はＣｕ，Ｃｒ，Ｓｉを添加し耐候性を確保するととも
に、Ｓｉ，Ａｌ添加により高強度鋼に特有な遅れ破壊を
抑制したことが特徴であり、特公昭５６−２０３５０号
公報にはＣｕ，Ｃｒの添加で耐候性を確保し、Ｓｉの低
減によりボルト成形前の焼鈍省略を可能とする技術が開
示されている。
【０００５】しかし、これら上述した規格、先行文献に
記載された耐候性鋼は、大気暴露環境において、Ｃｕ，
Ｃｒなどの有効元素が富化した防食性の高い安定錆が表
面を覆うことにより、腐食の進展を遅延するものであ
り、海岸地域のように塩分が比較的多い環境（飛来塩分
量０．０５ｍｄｄ以上）においては錆が安定化しにく
く、実用的な耐食性を保証するものではなかった。
記載された耐候性鋼は、大気暴露環境において、Ｃｕ，
Ｃｒなどの有効元素が富化した防食性の高い安定錆が表
面を覆うことにより、腐食の進展を遅延するものであ
り、海岸地域のように塩分が比較的多い環境（飛来塩分
量０．０５ｍｄｄ以上）においては錆が安定化しにく
く、実用的な耐食性を保証するものではなかった。
【０００６】特開平７−２０７３４０号公報や特開平７
−２４２９９３号公報にはこのような環境において用い
られる耐候性鋼が開示されている。しかしながらこれら
はいずれも鋼板を対象としたもので、高力ボルト・ナッ
ト向けの素材として利用することは不可能であり、従
来、海岸地域のように塩分が比較的多い環境（飛来塩分
量０．０５ｍｄｄ以上）において実用的な耐候性を有す
る高力ボルト・ナットを製造することは不可能であっ
た。
−２４２９９３号公報にはこのような環境において用い
られる耐候性鋼が開示されている。しかしながらこれら
はいずれも鋼板を対象としたもので、高力ボルト・ナッ
ト向けの素材として利用することは不可能であり、従
来、海岸地域のように塩分が比較的多い環境（飛来塩分
量０．０５ｍｄｄ以上）において実用的な耐候性を有す
る高力ボルト・ナットを製造することは不可能であっ
た。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の点に
鑑みなされたもので、塩分，特に０．０５ｍｄｄ以上の
塩分が飛来する環境において高い耐候性を有する高力ボ
ルト・ナット用鋼を提供することを目的とする。
鑑みなされたもので、塩分，特に０．０５ｍｄｄ以上の
塩分が飛来する環境において高い耐候性を有する高力ボ
ルト・ナット用鋼を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的を
達成するため、焼入れ焼戻し後の引張強さ９８０ＭＰａ
以上の確保を前提に、鋼材の化学成分と塩分が飛来する
環境における耐候性の関係について鋭意検討を行い、以
下の知見を得た。
達成するため、焼入れ焼戻し後の引張強さ９８０ＭＰａ
以上の確保を前提に、鋼材の化学成分と塩分が飛来する
環境における耐候性の関係について鋭意検討を行い、以
下の知見を得た。
【０００９】１．飛来塩分量０．０５ｍｄｄ以上の環境
で優れた耐候性を得るためには、Ｎｉの多量添加が有効
である。
で優れた耐候性を得るためには、Ｎｉの多量添加が有効
である。
【００１０】２．Ｐは飛来塩分量０．０５ｍｄｄ以上の
環境で優れた耐候性を得るのに有効であるが、高力ボル
トでは遅れ破壊を助長することが懸念されるため、その
添加量を抑制しなければならない。しかし、Ｐの低減に
よる耐食性の低下は、Ｎｉの増量により補完することが
可能である。
環境で優れた耐候性を得るのに有効であるが、高力ボル
トでは遅れ破壊を助長することが懸念されるため、その
添加量を抑制しなければならない。しかし、Ｐの低減に
よる耐食性の低下は、Ｎｉの増量により補完することが
可能である。
【００１１】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであり、第一に、質量％で、Ｃ：０．１５〜０．
３％、Ｐ：０．０３％以下、Ｎｉ：１．０〜５．０％を
含有し、下記（１）式で示す焼入れ性指数ＤＩが１．５
以上であることを特徴とする海岸耐候性に優れた高力ボ
ルト・ナット用鋼を提供する。
たものであり、第一に、質量％で、Ｃ：０．１５〜０．
３％、Ｐ：０．０３％以下、Ｎｉ：１．０〜５．０％を
含有し、下記（１）式で示す焼入れ性指数ＤＩが１．５
以上であることを特徴とする海岸耐候性に優れた高力ボ
ルト・ナット用鋼を提供する。
【００１２】第二に、質量％でＣ：０．１５〜０．３
％、Ｓｉ：０．１〜１．０％、Ｍｎ：０．４〜１．０
％、Ｐ：０．０３％以下、Ｓ：０．０１％以下、Ａｌ：
０．０１〜０．０５％、Ｎ：０．００２〜０．０１％、
Ｎｉ：１．０〜５．０％を含有し、下記（１）式で示す
焼入れ性指数ＤＩが１．５以上であることを特徴とする
海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼を提供す
る。
％、Ｓｉ：０．１〜１．０％、Ｍｎ：０．４〜１．０
％、Ｐ：０．０３％以下、Ｓ：０．０１％以下、Ａｌ：
０．０１〜０．０５％、Ｎ：０．００２〜０．０１％、
Ｎｉ：１．０〜５．０％を含有し、下記（１）式で示す
焼入れ性指数ＤＩが１．５以上であることを特徴とする
海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼を提供す
る。
【００１３】第三に、更に、質量％でＣｕ：０．１〜
０．５％を含有する１又は２に記載の海岸耐候性に優れ
た高力ボルト・ナット用鋼を提供する。
０．５％を含有する１又は２に記載の海岸耐候性に優れ
た高力ボルト・ナット用鋼を提供する。
【００１４】第四に、更に、質量％でＣｒ：０．１〜
０．５％、Ｍｏ：０．１〜０．５％の一種又は二種を含
有する１乃至３の何れかに記載の海岸耐候性に優れた高
力ボルト・ナット用鋼を提供する。
０．５％、Ｍｏ：０．１〜０．５％の一種又は二種を含
有する１乃至３の何れかに記載の海岸耐候性に優れた高
力ボルト・ナット用鋼を提供する。
【００１５】第五に、更に、質量％でＴｉ：０．００５
〜０．０５％，Ｎｂ：０．００５〜０．０５％，Ｖ：
０．００５〜０．０５％，Ｂ：０．０００３〜０．００
５％の一種又は二種以上を含有する１乃至４の何れかに
記載の海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼を提
供する。
〜０．０５％，Ｎｂ：０．００５〜０．０５％，Ｖ：
０．００５〜０．０５％，Ｂ：０．０００３〜０．００
５％の一種又は二種以上を含有する１乃至４の何れかに
記載の海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼を提
供する。
【００１６】 ＤＩ＝０．３１√Ｃ（１＋０．６４Ｓｉ）（１＋４．１Ｍｎ）（１＋２．８３ Ｐ）（１−０．６２Ｓ）（１＋２．３３Ｃｒ）（１＋０．５２Ｎｉ）（１＋３． １４Ｍｏ）（１＋０．２７Ｃｕ）｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝ （ １） 但し、最終項：｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝はＢが添
加された場合のみ乗ずる。
加された場合のみ乗ずる。
【００１７】
【発明の実施の形態】本発明における化学成分の限定理
由について説明する。
由について説明する。
【００１８】Ｃ：０．１５〜０．３％ Ｃは焼入れ焼戻し処理により引張り強さを確保するため
添加する。０．１５％未満では必要な強度が得られず、
０．３％を超えるとボルト成形加工時の変形抵抗が増大
し加工性が低下するため、０．１５〜０．３％とする。
添加する。０．１５％未満では必要な強度が得られず、
０．３％を超えるとボルト成形加工時の変形抵抗が増大
し加工性が低下するため、０．１５〜０．３％とする。
【００１９】Ｐ：０．０３％以下 Ｐは優れた耐候性を得るのに有効であるが、０．０３％
を超えると靭性・耐遅れ破壊特性が劣化するので０．０
３％以下とする。
を超えると靭性・耐遅れ破壊特性が劣化するので０．０
３％以下とする。
【００２０】Ｎｉ：１．０〜５．０％ Ｎｉは０．０５ｍｄｄ以上の塩分が飛来する環境におい
て耐候性を大幅に改善する効果を有する重要な元素であ
り添加する。１．０％未満ではその効果が得られず、
５．０％を超えると効果が飽和するため１．０〜５．０
％とする。
て耐候性を大幅に改善する効果を有する重要な元素であ
り添加する。１．０％未満ではその効果が得られず、
５．０％を超えると効果が飽和するため１．０〜５．０
％とする。
【００２１】ＤＩ値：１．５以上 本発明は、０．０５ｍｄｄ以上の塩分が飛来する環境に
おいて耐候性を改善すると共に、高力ボルト製造時に必
要となる焼入れ性を確保する成分組成とすることが特徴
で、下記（１）式で示されるＤＩ値を規定する。ＤＩ値
は汎用的に利用されるＭ２２サイズのボルトの中心部に
まで十分焼きを入れるため１．５以上とする。
おいて耐候性を改善すると共に、高力ボルト製造時に必
要となる焼入れ性を確保する成分組成とすることが特徴
で、下記（１）式で示されるＤＩ値を規定する。ＤＩ値
は汎用的に利用されるＭ２２サイズのボルトの中心部に
まで十分焼きを入れるため１．５以上とする。
【００２２】ナットは素材径がボルトよりも若干大きく
なるが、鍛造焼入れのためボルトより焼入れ温度が高
く、また、素材中心部に穴があいているためボルトと同
成分ならば焼入れ性が確保でき、ＤＩ値１．５以上とす
る規定で十分な焼入れ性を確保することが可能である。
なるが、鍛造焼入れのためボルトより焼入れ温度が高
く、また、素材中心部に穴があいているためボルトと同
成分ならば焼入れ性が確保でき、ＤＩ値１．５以上とす
る規定で十分な焼入れ性を確保することが可能である。
【００２３】 ＤＩ＝０．３１√Ｃ（１＋０．６４Ｓｉ）（１＋４．１Ｍｎ）（１＋２．８ ３Ｐ）（１−０．６２Ｓ）（１＋２．３３Ｃｒ）（１＋０．５２Ｎｉ）（１＋３ ．１４Ｍｏ）（１＋０．２７Ｃｕ）｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝ （１） 但し、最終項：｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝はＢが添
加された場合のみ乗ずる。
加された場合のみ乗ずる。
【００２４】上記の規定で本願発明の効果は十分得られ
るが、実製造においては以下の成分について規定するこ
とがより好ましい。
るが、実製造においては以下の成分について規定するこ
とがより好ましい。
【００２５】Ｓｉ：０．１〜１．０％ Ｓｉは脱酸剤として添加する。０．１％未満ではその効
果が得られず、１．０％以上となると変形抵抗が増大す
るため、０．１〜１．０％とする。
果が得られず、１．０％以上となると変形抵抗が増大す
るため、０．１〜１．０％とする。
【００２６】Ｍｎ：０．４〜１．０％ Ｍｎは焼入れ性を高める元素であり、必要な引張り強さ
を得るため添加する。
を得るため添加する。
【００２７】０．４％未満ではその効果が得られず、
１．０％を超えると耐候性に悪影響を与えるため、０．
４〜１．０％とする。
１．０％を超えると耐候性に悪影響を与えるため、０．
４〜１．０％とする。
【００２８】Ｓ：０．０１％以下 Ｓは鋼中でＭｎＳとして存在する。０．０１％を超える
とＭｎＳ量が多くなって靭性が劣化するため、０．０１
％以下とする。
とＭｎＳ量が多くなって靭性が劣化するため、０．０１
％以下とする。
【００２９】Ａｌ：０．０１〜０．０５％ Ａｌは脱酸とＡｌＮの組織微細化による靭性向上のため
添加する。０．０１％未満ではそれらの効果が十分でな
く、０．０５％を超えると酸化物系の介在物が多くなり
靭性が劣化するため、０．０１〜０．０５％とする。
添加する。０．０１％未満ではそれらの効果が十分でな
く、０．０５％を超えると酸化物系の介在物が多くなり
靭性が劣化するため、０．０１〜０．０５％とする。
【００３０】Ｎ：０．００２〜０．０１％ ＮはＡｌＮとして析出し、組織を微細化させ靭性を向上
させるので、０．００２％以上とする。０．０１％を超
えると固溶Ｎにより靭性が劣化するため、０．００２〜
０．０１％とする。
させるので、０．００２％以上とする。０．０１％を超
えると固溶Ｎにより靭性が劣化するため、０．００２〜
０．０１％とする。
【００３１】更に本発明では、必要に応じて更に特性を
向上させるため、Ｃｕ，Ｃｒ，Ｍｏ，Ｔｉ，Ｎｂ，Ｖ，
Ｂを適宜添加することが可能であり、耐候性を向上させ
る場合はＣｕを、靭性を向上させる場合はＣｒ，Ｍｏの
一種又は二種を、強度を向上させる場合はＴｉ，Ｎｂ，
Ｖ，Ｂの一種又は二種以上を添加する。
向上させるため、Ｃｕ，Ｃｒ，Ｍｏ，Ｔｉ，Ｎｂ，Ｖ，
Ｂを適宜添加することが可能であり、耐候性を向上させ
る場合はＣｕを、靭性を向上させる場合はＣｒ，Ｍｏの
一種又は二種を、強度を向上させる場合はＴｉ，Ｎｂ，
Ｖ，Ｂの一種又は二種以上を添加する。
【００３２】以下にこれらの元素を添加する場合の限定
理由について説明する。
理由について説明する。
【００３３】Ｃｕ：０．１〜０．５％ ＣｕはＮｉと同様、耐候性を向上させるのに有効な元素
であるが、０．１％未満ではその効果が得られず、０．
５％を超えると加工性が低下するため、添加する場合は
０．１〜０．５％とする。
であるが、０．１％未満ではその効果が得られず、０．
５％を超えると加工性が低下するため、添加する場合は
０．１〜０．５％とする。
【００３４】Ｃｒ：０．１〜１．５％ Ｃｒは靭性を向上させるのに有効な元素であるが、０．
１％未満では効果が得られず、１．５％を超えると加工
性が低下するため、添加する場合は０．１〜１．５％と
する。
１％未満では効果が得られず、１．５％を超えると加工
性が低下するため、添加する場合は０．１〜１．５％と
する。
【００３５】Ｍｏ：０．１〜０．５％ Ｍｏは靭性を向上させるのに有効な元素であるが、０．
１％未満では効果が得られず、０．５％を超えると加工
性が低下するため、添加する場合は０．１〜０．５％と
する。
１％未満では効果が得られず、０．５％を超えると加工
性が低下するため、添加する場合は０．１〜０．５％と
する。
【００３６】Ｔｉ：０．００５〜０．０５％ ＴｉはＮを固定し、Ｂの窒化物としての析出を抑制し焼
入れ性に対して有効に作用するとともに、ピンニングに
より結晶粒を微細化させる。これらの作用により強度を
向上させるが、０．００５％未満では効果がなく、０．
０５％を超えると効果が飽和するため、０．００５〜
０．０５％とする。
入れ性に対して有効に作用するとともに、ピンニングに
より結晶粒を微細化させる。これらの作用により強度を
向上させるが、０．００５％未満では効果がなく、０．
０５％を超えると効果が飽和するため、０．００５〜
０．０５％とする。
【００３７】Ｎｂ：０．００５〜０．０５％ ＮｂはＴｉと同様炭窒化物の生成によるピンニングによ
り結晶粒を微細化し、強度を向上させるが、０．００５
％未満では効果がなく、０．０５％を超えると効果が飽
和するため、０．００５〜０．０５％とする。
り結晶粒を微細化し、強度を向上させるが、０．００５
％未満では効果がなく、０．０５％を超えると効果が飽
和するため、０．００５〜０．０５％とする。
【００３８】Ｖ：０．００５〜０．０５％ Ｖは炭窒化物を析出し、焼戻し軟化抵抗を高め、強度を
向上させるが、０．００５％未満では効果がなく、０．
０５％を超えると靭性が劣化するため、０．００５〜
０．０５％とする。
向上させるが、０．００５％未満では効果がなく、０．
０５％を超えると靭性が劣化するため、０．００５〜
０．０５％とする。
【００３９】Ｂ：０．０００３〜０．００５％ Ｂは焼入れ性を高め、強度を向上させるが、０．０００
３％未満では効果がなく、０．００５％を超えると効果
が飽和するため、０．０００３〜０．００５％とする。
３％未満では効果がなく、０．００５％を超えると効果
が飽和するため、０．０００３〜０．００５％とする。
【００４０】本発明鋼からの高力ボルト・ナットの製造
法は、一般的な方法で良く、高力ボルトは上記の化学成
分の鋼を熱間圧延により丸棒にしたものを素材とし、冷
間でボルト成形・ネジ転造され、焼入れ焼戻し処理され
て製造される。ナットはボルトと同一の化学成分の鋼を
熱間圧延により丸棒にしたものを素材とし、熱間鍛造で
成形後、鍛造焼入れし、焼戻し処理されて製造される。
尚、ボルト施工に際しては座金もボルト・ナットと共金
にすることが望ましい。
法は、一般的な方法で良く、高力ボルトは上記の化学成
分の鋼を熱間圧延により丸棒にしたものを素材とし、冷
間でボルト成形・ネジ転造され、焼入れ焼戻し処理され
て製造される。ナットはボルトと同一の化学成分の鋼を
熱間圧延により丸棒にしたものを素材とし、熱間鍛造で
成形後、鍛造焼入れし、焼戻し処理されて製造される。
尚、ボルト施工に際しては座金もボルト・ナットと共金
にすることが望ましい。
【００４１】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明する。種
々の成分を有する鋼を溶製し、熱間圧延により２２ｍｍ
径の丸棒とした。ボルトに成形後、８５０〜１０００℃
の温度に加熱し、焼入れを行い、その後、焼戻し処理を
行った。ナットはボルトと同一成分の鋼を熱間圧延によ
り２８ｍｍ径の丸棒とし、熱間鍛造により成形後、焼入
れ焼戻しを行った。
々の成分を有する鋼を溶製し、熱間圧延により２２ｍｍ
径の丸棒とした。ボルトに成形後、８５０〜１０００℃
の温度に加熱し、焼入れを行い、その後、焼戻し処理を
行った。ナットはボルトと同一成分の鋼を熱間圧延によ
り２８ｍｍ径の丸棒とし、熱間鍛造により成形後、焼入
れ焼戻しを行った。
【００４２】本実施例ではボルトの強度を１０３０〜１
１３０ＭＰａ級の引張強さ、ナットはＨＲＣ２５〜３０
の硬さとすることを目標とした。ボルト・ナットの耐候
性は暴露試験により評価した。暴露試験はボルト・ナッ
ト・座金の全てを共金とし、締め付けをボルト耐力の８
５％の軸力で行ったものを用い、銚子を暴露試験地とし
て一年間実施した。飛来塩分量はおよそ０．２５ｍｄｄ
で、試験後、最大孔あき腐食深さを測定した。
１３０ＭＰａ級の引張強さ、ナットはＨＲＣ２５〜３０
の硬さとすることを目標とした。ボルト・ナットの耐候
性は暴露試験により評価した。暴露試験はボルト・ナッ
ト・座金の全てを共金とし、締め付けをボルト耐力の８
５％の軸力で行ったものを用い、銚子を暴露試験地とし
て一年間実施した。飛来塩分量はおよそ０．２５ｍｄｄ
で、試験後、最大孔あき腐食深さを測定した。
【００４３】表１に供試鋼の化学成分および強度、耐候
性試験結果を示す。鋼Ｎｏ．１〜１０は請求項１〜５の
規程を満足する本発明鋼で目標とする強度及び最大孔あ
き腐食深さ０．４ｍｍ未満の良好な耐候性が得られてい
る。鋼Ｎｏ．１１はＣ量が低く、請求項１，２記載の発
明の範囲外で強度が目標強度を満足せず、暴露試験を省
略した。鋼Ｎｏ．１２はＭｎ量が高く、請求項２記載の
発明の範囲外で耐候性がやや劣る。鋼Ｎｏ．１３はＮｉ
量が低く、請求項１，２記載の発明の範囲外で耐候性が
大幅に劣化している。
性試験結果を示す。鋼Ｎｏ．１〜１０は請求項１〜５の
規程を満足する本発明鋼で目標とする強度及び最大孔あ
き腐食深さ０．４ｍｍ未満の良好な耐候性が得られてい
る。鋼Ｎｏ．１１はＣ量が低く、請求項１，２記載の発
明の範囲外で強度が目標強度を満足せず、暴露試験を省
略した。鋼Ｎｏ．１２はＭｎ量が高く、請求項２記載の
発明の範囲外で耐候性がやや劣る。鋼Ｎｏ．１３はＮｉ
量が低く、請求項１，２記載の発明の範囲外で耐候性が
大幅に劣化している。
【００４４】
【表１】
【００４５】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば
０．０５ｍｄｄ以上の塩分が飛来する環境において高い
耐候性を有する高力ボルト・ナットの製造が可能で、飛
来塩分量の多い海岸地域においても無塗装のまま摩擦接
合用高力ボルト・ナットが使用でき、産業上極めて有用
である。
０．０５ｍｄｄ以上の塩分が飛来する環境において高い
耐候性を有する高力ボルト・ナットの製造が可能で、飛
来塩分量の多い海岸地域においても無塗装のまま摩擦接
合用高力ボルト・ナットが使用でき、産業上極めて有用
である。
Claims (5)
- 【請求項１】 質量％で、Ｃ：０．１５〜０．３％、
Ｐ：０．０３％以下、Ｎｉ：１．０〜５．０％を含有
し、（１）式で示す焼入れ性指数ＤＩが１．５以上であ
ることを特徴とする海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナ
ット用鋼。 ＤＩ＝０．３１√Ｃ（１＋０．６４Ｓｉ）（１＋４．１Ｍｎ）（１＋２．８３Ｐ ）（１−０．６２Ｓ）（１＋２．３３Ｃｒ）（１＋０．５２Ｎｉ）（１＋３．１ ４Ｍｏ）（１＋０．２７Ｃｕ）｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝ （１ ） 但し、最終項：｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝はＢが添
加された場合のみ乗ずる。 - 【請求項２】 質量％でＣ：０．１５〜０．３％、Ｓ
ｉ：０．１〜１．０％、Ｍｎ：０．４〜１．０％、Ｐ：
０．０３％以下、Ｓ：０．０１％以下、Ａｌ：０．０１
〜０．０５％、Ｎ：０．００２〜０．０１％、Ｎｉ：
１．０〜５．０％を含有し、（１）式で示す焼入れ性指
数ＤＩが１．５以上であることを特徴とする海岸耐候性
に優れた高力ボルト・ナット用鋼。 ＤＩ＝０．３１√Ｃ（１＋０．６４Ｓｉ）（１＋４．１Ｍｎ）（１＋２．８３Ｐ ）（１−０．６２Ｓ）（１＋２．３３Ｃｒ）（１＋０．５２Ｎｉ）（１＋３．１ ４Ｍｏ）（１＋０．２７Ｃｕ）｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝ （１ ） 但し、最終項：｛１＋１．５（０．９−Ｃ）｝はＢが添
加された場合のみ乗ずる。 - 【請求項３】 更に、質量％でＣｕ：０．１〜０．５％
を含有する請求項１又は２に記載の海岸耐候性に優れた
高力ボルト・ナット用鋼。 - 【請求項４】 更に、質量％でＣｒ：０．１〜０．５
％、Ｍｏ：０．１〜０．５％の一種又は二種を含有する
請求項１乃至３の何れかに記載の海岸耐候性に優れた高
力ボルト・ナット用鋼。 - 【請求項５】 更に、質量％でＴｉ：０．００５〜０．
０５％，Ｎｂ：０．００５〜０．０５％，Ｖ：０．００
５〜０．０５％，Ｂ：０．０００３〜０．００５％の一
種又は二種以上を含有する請求項１乃至４の何れかに記
載の海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28685199A JP2001107190A (ja) | 1999-10-07 | 1999-10-07 | 海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28685199A JP2001107190A (ja) | 1999-10-07 | 1999-10-07 | 海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001107190A true JP2001107190A (ja) | 2001-04-17 |
Family
ID=17709860
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP28685199A Pending JP2001107190A (ja) | 1999-10-07 | 1999-10-07 | 海岸耐候性に優れた高力ボルト・ナット用鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2001107190A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1865086A1 (de) * | 2006-06-07 | 2007-12-12 | ThyssenKrupp Steel AG | Mangan-Bor-Stahl, aus einem solchen Stahl hergestelltes Flachprodukt und Verfahren zu dessen Herstellung |
-
1999
- 1999-10-07 JP JP28685199A patent/JP2001107190A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1865086A1 (de) * | 2006-06-07 | 2007-12-12 | ThyssenKrupp Steel AG | Mangan-Bor-Stahl, aus einem solchen Stahl hergestelltes Flachprodukt und Verfahren zu dessen Herstellung |
| WO2007141152A1 (de) * | 2006-06-07 | 2007-12-13 | Thyssenkrupp Steel Ag | Mangan-bor-stahl, aus einem solchen stahl hergestelltes flachprodukt und verfahren zu dessen herstellung |
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