JP2001105586A - プリントヘッドノズル異常に対するプリントマスクのカスタマイズ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】スルーフ゜ットを低減することなく印字品質不良を最
小限にすること。 【解決手段】印字品質を改善するためのインクシ゛ェットフ゜リンタ
(10)と印字方法。このフ゜リンタ(10)は、低印字品質のフ゜リント
ヘット゛ノス゛ル(24)からのインク滴の付着による印刷媒体(18)上
のト゛ット配置エラー(42)、ト゛ットサイス゛エラー(44)、及びト゛ット形状エラ
ーの視覚的に知覚できる影響を最小にする。フ゜リンタ(10)に
は、それに設置された各特定のフ゜リントヘット゛(21)に対して
それらのノス゛ル(24)が高印字品質であるか低印字品質であ
るかを決定するために、フ゜リントヘット゛ノス゛ル(24)のインク滴の出
力を試験できるセンサが設けられる。そして、フ゜リントマスク(6
2)が試験の結果に基づいて定義される。フ゜リントマスク(62)は
高品質ノス゛ル(24)からより多いインクを付着させ、低品質ノス゛
ル(24)からより少ないインクを付着させることを可能にする
マスクハ゜ターンを有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、概して、スワスタ
イプ（swath-type）の印字システムによる印字のモード
に関する。特に、インクジェットプリンタで使用される
個々のプリントヘッドによって生成される出力の印字品
質を向上させるための印字モードに関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェットプリンタ、特にサーマル
インクジェットプリンタは、低コスト、高印字品質およ
びカラー印字能力により、職場および家庭において普及
した。かかるプリンタの動作は、比較的簡単である。す
なわち、印字動作中、電子的にプリントヘッドに送信さ
れるコマンドに応じて、着色されたインク滴が用紙また
は透明フィルム等の印刷媒体上に噴出される。これらイ
ンク滴は、印刷媒体上で結合し、人間の眼によって知覚
されるテキストおよび画像（イメージ）を形成する。イ
ンクジェットプリンタは、多くの異なるインク色を使用
することができる。１つまたは複数のプリントヘッドを
１つのプリントカートリッジ内に設けることができ、プ
リントカートリッジは、各プリントヘッド用のインクの
供給源を含んでも、カートリッジ外に配置されたインク
供給源に接続されてもよい。しばしば、インクジェット
プリンタは、２〜４個のプリントカートリッジを収容で
きる。一般に、カートリッジは、プリンタ内で、印字中
媒体上で前方向および後方向にカートリッジを前後に走
査するキャリッジ内に並んで取付けられている。それに
より、カートリッジが、印字されるべき媒体上で行およ
び列の形式で配置された画素（ピクセル）と呼ばれる所
定の位置にわたって逐次的に移動する。一般に、各プリ
ントカートリッジは、プリントヘッドノズルの配列を有
しており、このプリントヘッドノズルを通ってインクが
印刷媒体上に制御可能に噴出され、ひいては各走査中
に、印字されたスワス（swath）を形成しながら、プリ
ントカートリッジ上のノズルのレイアウトに対応する媒
体の一定の幅に印字を行うことができる。また、プリン
タは、印刷媒体をプリントヘッドに対して、カートリッ
ジの移動に対してほぼ垂直な方向に移動させる印刷媒体
前進機構を有している。これにより、媒体にわたるプリ
ントカートリッジの前後の走査をプリントヘッドに対す
る媒体の前進と組合せることにより、インクを媒体の全
印刷可能領域に付着させることができる。

【０００３】印字出力の品質は、インクジェットプリン
タの購入者にとって非常に重要な特徴であり、従って、
インクジェットプリンタの製造業者は、プリンタにおい
て高レベルの印字品質を提供するために多くの注意を払
う。プリントヘッドノズルの異常（aberration）は、印
字品質を低下させる可能性があり、望ましくない。かか
る異常は、例えば、インクをまったく噴出しないこと、
不正確な量のインク滴を噴出すること、尾（tail）など
のアーティファクトによって不規則に形作られた滴を生
成すること、または所望の滴に加えて無関係の小滴のス
プレーを生成することである。ノズル異常の他の一般的
なタイプは、ドット配置エラーとしても知られる方向性
エラーであり、この場合、インク滴は印刷媒体上の意図
された位置に正確に印字されない。時に、プリントヘッ
ド異常は、プリントヘッドの設計によるものであり、そ
のためその特定のタイプのすべてのプリントヘッドにつ
いて同様であるが、一方で、特定のタイプのプリントヘ
ッドのノズル異常が、プリントヘッド毎に異なる場合も
ある。更に、プリントヘッド異常は、時間の経過および
プリントヘッドの使用に伴い大きくなる可能性がある。
例えば、ノズルが、詰まるかまたは摩損する可能性があ
る。

【０００４】しばしば、ノズル異常により、印字出力上
にバンディング（banding）または印字されない領域の
ストリーク（縞（streak））が生じる。ノズル異常によ
るバンディングを最小限にするため（同時に、ある色領
域から他の色領域へのブリーディング（にじみ（bleedi
ng）、および印刷媒体のそり（warping）またはしわ（w
rinkling）等、印刷媒体上に一度にインクを供給し過ぎ
ることを要因とする印字の不良の影響も低減するた
め）、大抵のプリンタは、媒体を横切るプリントヘッド
の１つの単一走査、すなわち「パス（pass）」のスワス
において、すべての画素位置にすべてのインク色の要求
された滴をすべては印字しない。むしろ、媒体上に十分
な量のインクを付着させるために、複数の走査が使用さ
れる。この場合、媒体は、印字されたスワスの高さの一
部のみによって、各パスの後に前進する。このように、
媒体の領域に、複数パスによって印字することができ
る。かかる「マルチパス」印字モードを使用するプリン
タにおいて、画像の各部分を完全に印字するために必要
なすべてのインク滴の一部のみが、単一のパスによって
印刷媒体の各行に置かれ、印字されていない領域は、後
の１つまたは複数のパスによって埋められる。ページの
印字が完了した時には、一般に、印刷媒体の全領域が、
同じ複数の数のパスによって印字されている。各パスが
画像の特定の行を印字するために異なるノズルを使用す
るため、マルチパス印字は、ノズルの不良を補償するこ
とができる。しかしながら、すべてのノズルが画素の各
行において実質的に同じ量のインクを付着させることが
できる一般的なマルチパス印字モードは、特に、上述し
たようなノズル異常の場合のように、いくつかのノズル
が他のノズルより悪いエラーを有している場合に、印字
品質を許容できるレベルまで向上させるためにはしばし
ば不十分である。

【０００５】ノズル異常を補償するためにマルチパス印
字の欠点を克服する１つのアプローチは、１９９０年８
月１日に出願され、１９９２年６月２３日にSchantzに
対して発行され、「Fault-Tolerant Dot-Matrix Printi
ng」と題された同一の譲受人に譲渡された米国特許第
５，１２４，７２０号に開示されており、この開示内容
はすべてこの引用をもって本明細書内に包含されたもの
とする。このアプローチでは、プリントヘッド毎に動作
不良のノズルを補償することにより印字品質を向上させ
る。この方法は、プリントヘッドをテストして動作して
いない印字要素を識別した後、プリントヘッドの走査経
路を変更することにより、動作していない印字要素が通
常印字すべき場所を適切に機能している印字要素が印字
するようにする。しかしながら、この方法は、プリント
ヘッドの各パスの後に用紙が前進する距離を低減し、そ
のため、ページを完全に印字するために必要なパスの数
を増大させるため、スループット（ページ／分等、所定
の時間単位において印字が可能なページ数）を低下させ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】スループットは、しば
しば、インクジェットプリンタの購入者に対し、印字品
質と同じかまたはそれより重要である。従って、インク
ジェットプリンタに対し、プリンタのスループットを大
幅に低減することなく、ノズル異常による印字品質の不
良を最小限にすることが未だに必要とされている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】好ましい実施態様におい
て、本発明は、印字スループットについて妥協すること
なく、ドット配置エラー、ドット形状エラーおよびドッ
トサイズエラーを補償することにより印字出力の品質を
向上させるマルチパスインクジェットプリンタを提供す
る。本発明による印字システムの実施態様は、印刷媒体
に対して相対的に移動するためにフレームに取付けられ
ているキャリッジに搭載されたプリントヘッドを含む。
プリントヘッドは、各々が印字品質を有するノズルの配
列を有しており、これを通してインクが印刷媒体上の複
数行の画素グリッド上に噴出される。各ノズルは、複数
の印字パスの個々のパス中に、複数行のうちの対応する
１つの行の上にインク滴を付着することができる。ま
た、プリンタは、ノズルを付勢して、プリントマスクに
よって制御されながら各印字パス中に媒体上にインクを
付着させるプリントコントローラを含む。更に、プリン
タは、プリンタに設置された個々のプリントヘッドのノ
ズル印字品質をテストする能力と、複数行のうちの少な
くともいくつかにおいて、高品質ノズルからより多く印
字を行い低品質ノズルからより少なく印字を行うことが
できるよう、プリントマスクを定義する能力と、を有す
る。いくつかの実施態様では、プリントヘッドノズルの
印字品質をテストする能力は、媒体上に印字され、ノズ
ル品質を検出するためにセンサによって光学的に走査さ
れるテストパターンにより実現される。代替的な実施態
様では、プリントヘッドは、インク滴が媒体上に付着さ
れる経路内に挿入されるパススルー（pass-through：通
過）検出器か、または付着されるインク滴がテスト動作
中に衝突するインパクト（impact）検出器を用いてテス
トされる。これら検出器は、光学式、圧電式、静電式ま
たは他の技術の検出器であってもよい。いくつかの実施
態様では、プリントマスクを定義する能力は、ノズル品
質メモリ、プロセッサ、及びプリントマスクメモリによ
り実現される。ノズル品質メモリは、ノズル品質のしる
し（indicia）を格納し、優先的にはプリントヘッドに
搭載される。プロセッサは、印字出力品質を向上させる
ために高品質ノズルと低品質ノズルとの間でインクの付
着を割当てるプリントマスクを定義する。プリントマス
クメモリは定義されたプリントマスクを格納する。いく
つかの実施態様では、プリントマスクは、低品質ノズル
に対して「ハイ・ファイプ（hi-fipe）」モードを使用
し、高品質ノズルに対して「マルチドロップ（multidro
p）」モードを使用するハイブリッドマスクパターンを
有し、他の実施態様では、プリントマスクは、低品質ノ
ズルよりも高品質ノズルに対し、１行においてより多く
の回数、印字が可能であるようにするマスクパターンを
有する。

【０００８】また、本発明は、マルチパス印字の方法と
して実現される。好ましくは、本方法は、印刷媒体上に
インクを付着するためのプリントヘッドを提供すること
と、プリントヘッドをテストして低印字品質ノズルと高
印字品質ノズルとを識別することと、いくつかの行にお
いて、低印字品質ノズルから所定の標準量より少ない量
のインクと、高印字品質ノズルから所定の標準量より多
い量のインクとが付着されるように、テスト結果に基づ
いて低品質ノズルと高品質ノズルとの間でインクの付着
を割当てることと、を含んでいる。テストは、プリント
ヘッド製造プロセス中、プリントヘッドの補充プロセス
中、インクジェット印字システムにプリントヘッドの設
置後、およびインクジェット印字システムの動作中に周
期的に、実行することができる。いくつかの実施態様
で、本方法は、複数パスの各々の間に、走査方向におい
てプリントヘッドおよび印刷媒体を互いに対して移動さ
せることと、複数のパスの各々の間に走査軸に沿って移
動している間、プリントマスクによって制御されなが
ら、いくつかの行において画素位置上にいくつかのノズ
ルからインクを付着することと、いくつかの行にわたっ
て異なるノズルを配置するために複数のパスの中間で媒
体前進方向にプリントヘッドおよび印刷媒体を互いに対
して移動させることと、も含む。いくつかの実施態様で
は、インクの付着を割当てることは、テストによって識
別された低印字品質ノズルのうちのいくつかが、複数の
パス中に相対的に少ない回数の合計数でインクを付着さ
せることができるようにし、高印字品質ノズルのうちの
いくつかが、複数のパス中に相対的に多い回数の合計数
でインクを付着させることができるようにする、プリン
トマスクを定義することを含む。他の実施態様では、イ
ンクの付着を割当てることは、テストによって識別され
た低印字品質ノズルのうちのいくつかが、各々、少なく
とも２つの対応するパス中に少なくとも２つの異なる行
における指定された画素位置に、わずかな数のインク滴
を付着することができるようにし、高印字品質ノズルの
うちのいくつかが、各々、複数パスのうちの少なくとも
１つの間に所定の行における指定された画素位置に迅速
に多くのインク滴を付着することができるようにする、
プリントマスクを定義することを含む。

【０００９】本発明の他の態様および利点は、図面と共
に、例として本発明の原理を説明している以下の詳細な
説明から明らかとなろう。

【００１０】

【発明の実施の形態】ここで、図面、特に図１、図２お
よび図３を参照すると、ノズル異常（aberration）によ
って発生する視覚的に好ましくない印字品質不良を低減
し、かつプリンタのスループットを低減することなくそ
れを行う、本発明に従って構成されたプリンタ１０が示
されている。プリンタ１０の好ましい実施態様は、キャ
リッジ２０が移動可能に取付けられた概して１１で示さ
れるフレームを含む。キャリッジ２０は、少なくとも１
つのプリントヘッド２１（図１は、例として４つのプリ
ントヘッド２１を示す）を保持し、行および列の矩形ア
レイに構成された画素位置１９等の複数の画素位置を有
する印刷媒体１８の表面に隣接して印字方向にプリント
ヘッド２１を搬送するために、仕切り（stall）を有す
る。キャリッジ２０は、印字パス中に印刷媒体１８に対
して相対的に移動するようにフレーム１１に取付けられ
ている。各プリントヘッド２１は、複数のノズル２４を
有しており、それらを通してインク滴が印刷媒体１８上
に噴出され、テキスト、グラフィクスまたは写真のあら
ゆる組合せを含む印字出力が形成される。後に詳述する
ように、複数のノズル２４が、走査軸４に対して実質的
に直交するノズルの線形アレイとして論理的に配列され
ることにより、各ノズルが印字パスの個々のパス中に画
素位置の複数行のうちの対応する１つの上にインク滴を
付着することができる。ここで使用される「印字パス」
という用語は、ノズル配列２４が走査軸方向４に印刷媒
体１８に対して移動する際に、プリントヘッドが印字可
能となるパスを言う。すなわち、双方向プリンタでは、
走査軸４に沿った前方および後方のパスを各々印字パス
とすることができ、一方向プリンタでは、印字パスは、
各印字パス中に移動の方向のうちの一方のみにおいて発
生することができる。各プリントヘッド２１は、異なる
カラーインク、一般的に減法混色の３原色のマジェン
タ、シアンおよびイエローを含んでおり、同じかまたは
近い画素にこれら異なる色の滴を付着することによって
他の色の色調が形成される（また、通常、減法混色の３
原色を混合することによって達成されるより豊かな色の
黒を生成するため、および他の色のより暗い色調のいく
つかを生成するために、別個の黒インクのプリントヘッ
ドもある）。キャリッジ２０は、フレーム１１内に取付
けられた概して１２で示されるキャリッジ前進機構によ
って走査軸４に沿って移動可能である。また、プリンタ
１０は、フレーム１１に取付けられた、概して１７で示
される印刷媒体前進機構も有しており、この印刷媒体前
進機構は、個々のノズルが印字する画素位置の行を変更
するように、媒体前進軸８に沿って印刷媒体１８を前進
させる。（キャリッジ前進機構１２および印刷媒体前進
機構１７は、当業者には周知であり、以下これ以上説明
しない。）プリントコントローラ５８は、キャリッジ２
０および印刷媒体１８の移動を制御し、インク滴の付着
のためにノズル２４を付勢するよう、プリントヘッドに
電気的に接続されている。走査軸４に沿ったキャリッジ
２０の相対的移動を媒体前進軸８に沿った印刷媒体１８
の相対的移動と組合せることにより、各プリントヘッド
２１は、印刷媒体１８上の複数行の画素位置１９の各々
に１つまたは複数のインク滴を付着することができる。
複数パスの各々のパス中に各プリントヘッド２１からの
インク滴の付着を制御するために、プリントコントロー
ラ５８によってプリントマスク６２が使用される。一般
に、異なる色のプリントヘッド各々の別個の輝度レベル
各々（例えば、明から暗）に対し、別々のプリントマス
ク６２が存在する。個々の印字パス中の1行の各画素位
置１９に対し、プリントマスク６２は、（ａ）その画素
位置１９で、行に隣接して配置されたノズルの印字を可
能にするか、またはそのノズルの印字を不可能にするよ
う、「ゲート」のように動作すると共に、（ｂ）印字可
能なノズルから付着されるインク滴の数を定義するマス
クパターンを有する。画素位置に対し、対応する印字可
能ノズルによって実際に印字されるか否かは、それが横
切る際に印字されるべき画像データ５４がその画素位置
においてその色のインクが必要であるか否かによって決
まる。

【００１１】後に詳述するように、本発明によるプリン
タ１０は、各プリントヘッド２１のノズル２４の各々を
テストしてそれらが適切に機能しているか否かを判断
し、それによって各ノズルに対し印字品質のしるし（in
dicia）を割当てる能力も有する。また、かかるプリン
タ１０は、各ノズルの印字品質の知識に基づいて個々の
プリントヘッド２１に対してプリントマスク６２を構成
する能力も有しており、その知識はスループットを低減
することなく印字出力の品質を向上させる。なお、これ
についても後により詳細に説明する。プリントマスク６
２は、印刷媒体１８上の画素位置１９の少なくともいく
つかの行に、低印字品質ノズルからはより少ないインク
を、高印字品質ノズルからはより多いインクを付着する
ことができるようなプリントマスクパターンを有するよ
う、構成されている。より少ないインクおよびより多い
インクは、所定の標準のインク量と比較している。一般
に、この標準量は、各ノズルからのインク量に実質的に
等しい。

【００１２】しかしながら、ノズルテストおよびプリン
トマスク構成をより詳細に説明する前に、図４Ａ乃至図
４Ｃに関し当業者に周知であって本発明が補償すること
ができるノズル異常のいくつかのタイプを考察すること
は有益である。図４Ａは、例として、方向性エラー（ド
ット配置エラーとしても知られている）を示している。
方向性エラーを示しているノズル２４は、インク滴を意
図された位置４１に正確に付着せず、ある量の方向性エ
ラーにより意図された位置４１とは異なる実際の位置４
２にインク滴を配置する。この方向性またはドット配置
エラーは、走査軸４の方向の成分（走査軸方向性エラー
またはＳＡＤエラーとして知られる）と、媒体または用
紙前進軸８の方向の成分（用紙軸方向性エラーまたはＰ
ＡＤエラーとして知られる）とを有する。本発明の実施
態様は、ＳＡＤ、ＰＡＤのどちらか一方またはＳＡＤお
よびＰＡＤ両方を示すプリントヘッドから生成される印
字品質を向上させることができる。図４Ｂは、例とし
て、ドットサイズエラー（ドット容量エラー）を示して
いる。ドットサイズエラーを示すノズル２４は、意図さ
れた量のインク４３とは異なる実際の量のインク４４を
付着する（例では、弱いかまたは詰まったノズルを用い
ることで発生するように、実際の量のインク４４が意図
された量のインク４３より少ない）。図４Ｃは、例とし
てドット形状エラーを示している。ドット形状エラーを
示すノズル２４は、意図された（パターン４５）ような
円形とは実質的に異なる実際のパターン４６でインクを
付着している。実際のパターン４６には、非円形形状、
尾（tail）およびスプレー（spray）が含まれる。

【００１３】当業者には周知であるように、プリントヘ
ッドは、一般に、シリコン基板上に形成されている。各
々異なるインク用の１つまたは複数のプリントヘッド
を、１つの基板上に形成することができる。ここで、プ
リントヘッド２１の複数のノズル２４について、図３に
関してより詳細に考察すると、プリントヘッド２１の好
ましい実施態様は、ノズル２４の２つの鉛直な列７０ａ
〜７０ｂを有しており、それらは、プリントヘッド２１
がプリンタ１０に設置された時、走査軸4に対して垂直
である。列における隣接するノズル間の列の鉛直間隔７
４は、今日のプリントヘッドでは一般に１／３００イン
チ（約０．００８４ｃｍ）である。しかしながら、１つ
ではなく２つの列を用いて、論理的にノズルを１つの列
として扱うことにより、論理的なノズル間の有効な鉛直
間隔７２は、１／６００インチ（約０．００４２ｃｍ）
まで低減され、それによって媒体前進軸８の方向に改良
された印字解像度が達成される。例として、プリントコ
ントローラ５８は、列７０ａにおいてノズルからインク
を付着することにより印刷媒体１８上の１／６００イン
チの画素位置の鉛直列を印字し、その後、列７０ｂのノ
ズルからのインクを付着する前に、列間距離７６に等し
い量だけプリントヘッド２１を走査軸方向４に移動させ
る。

【００１４】ここで、プリントヘッドノズル２４をテス
トして各々の印字品質を決定する手段に戻ると、本発明
は、センサとしても知られる、ノズルから付着されたイ
ンク滴の品質を測定するあらゆる種類の検出器の使用を
企図している。１つの好ましい実施態様は、インク滴が
センサ３０を通過する際に空中の（in flight）インク
滴を検出し特徴付けるインフライト（in-flight）パス
スルー（pass through）センサ３０を含む。キャリッジ
２０がプリントヘッド２１のノズル２４をテスト位置に
配置するよう、センサ３０をフレーム１１に取付けるこ
とができ、あるいは代替として、インク滴が通常の印字
動作（図示せず）中にセンサ３０を通過するように、セ
ンサ３０を、付着されるインク滴の経路においてプリン
トヘッド２１と媒体１８との間のキャリッジ２０に取付
けることができる。ノズル品質は、選択されたノズルか
らのインク滴の検出および特徴付けに基づいて決定され
る。インフライト検出器（センサ）３０は、光学および
静電学技術を含む当業者に周知の多くの技術を使用して
実現される。本発明と共に使用可能な光学式インフライ
ト検出器は、１９８９年１月３１に出願され１９９０年
５月１日にCobbs等に発行された米国特許第４，９２
２，２７０号と、１９９３年４月３０日に出願され１９
９５年７月１８日にStewartに発行された米国特許第
５，４３４，４３０号と、において詳細に述べられてお
り、これらはともに本発明の譲受人に譲渡されており、
それらの開示内容はすべて引用をもって本明細書に包含
されたものとする。本発明と共に使用可能な静電式イン
フライト検出器の例は、１９７６年４月２７日にFujimo
to等に発行された「Charge Amplitude Detection for I
nk Jet System Printer」と題された米国特許第３，９
５３，８６０号に述べられている。

【００１５】他の好ましい実施態様は、インク滴がセン
サ３１に衝突する際に、衝突した瞬間にインク滴を検出
し特徴付けるインパクトセンサ３１を含む。キャリッジ
２０がプリントヘッド２１のノズル２４をテスト位置に
配置するよう、センサ３１をフレーム１１に取付けるこ
とができる。ノズル品質は、選択されたノズルからのイ
ンク滴の検出および特徴付けに基づいて決定される。イ
ンパクト検出器（センサ）３１は、圧電式および静電式
技術を含む、当業者には周知の多くの技術を用いて実現
される。本発明との使用に適した圧電膜インパクト検出
器の使用は、１９９０年８月１日に出願され１９９２年
６月２３日にShantzに発行された、「Fault-Tolerant D
ot-Matrix Printing」と題された米国特許第５，１２
４，７２０号に詳細に述べられており、これは、本発明
の譲受人に譲渡され、その開示内容はすべてこの引用を
もって本明細書に包含されたものとする。本発明と共に
使用可能な静電式インパクト検出器の例は、１９８２年
４月６日にReitberger等に発行された「Ink Droplet Se
nsing Means」と題された米国特許第４，３２３，９０
５号に述べられている。

【００１６】プリントヘッドのノズル２４をテストする
ための他の好ましい実施態様は、ノズル２４から印刷媒
体１８に印字されるインク滴のテストパターン３３を使
用する。この実施態様は、印刷媒体１８に対して相対的
に移動するようにキャリッジ２０に取付けられた印字セ
ンサ３２を含む。テストパターン３３が印字された後、
キャリッジ２０は、１つまたは複数の検出パスで印刷媒
体１８にわたって印字センサ３２を移動することによ
り、ノズル２４の印字品質を決定するようテストパター
ン３３を走査し分析する。本発明と共に使用可能な印字
センサ３２の１つのタイプは、光学的反射センサであ
り、例えば、１９９７年３月４日に出願されたArmijo等
による「Detection of Printhead Nozzle Functionali
ty by Optical Scanning of a Test Pattern」と題され
た、上述した同時係属米国特許出願第０８／８１１，４
１２号においてより詳細に述べられている。上述したあ
らゆるタイプのセンサがプリントヘッドをテストするた
めにどのように使用されるかのより詳細は、後述する。

【００１７】ここで、本発明によるインクジェットプリ
ンタ１０を用いた印字の方法を考察すると、図５に関し
て、本方法は、（ａ）プリンタ１０のスループットを大
幅に低減することなくノズル異常によって発生する印字
品質の不良を最小限にすることにより、印字出力の品質
を最大限にするために、プリンタ１０の各プリントヘッ
ド２１に対してプリントマスク６２を構成する構成部６
４と、（ｂ）プリンタ１０上に画像を印字するために構
成されたプリントマスクを使用する印字部６５と、を共
に含む。

【００１８】構成部６４は、プリントヘッド２１をテス
トしてノズル２４の印字品質を決定するステップＳ５１
で開始する。このテストは、上述したセンサを使用して
ノズル品質を決定する。テスト方法については、後によ
り詳細に述べる。

【００１９】ステップＳ５２において、ステップＳ５１
で生成されたテスト結果が、ノズル品質メモリ３５に格
納される。メモリ３５は、プリントコントローラ５８に
関連して動作するように接続されたプロセッサ５９によ
って読出し可能かつ書込み可能である。テスト結果は、
ノズル品質のしるしを表す。好ましいしるしは、高印字
品質または低印字品質のいずれかの出力を生成すること
ができること、または印字品質のＮ個のレベルのうちの
１つの値をノズルに割当てることができること等、個々
のノズル２４を識別することを含む。代替として、ノズ
ルのグループを含むプリントヘッド２１の部分が、高印
字品質または低印字品質のいずれかの出力を生成するこ
とができるものとして識別されてもよい。好ましい実施
態様では、各プリントヘッド２１に対し、ノズル品質の
しるしを格納するために、別個のメモリ３５が使用さ
れ、このメモリ３５は、優先的には、各プリントヘッド
２１に組込まれる。本発明と共に使用可能なプリントヘ
ッドに組込まれるメモリは、１９９７年１月２１日に出
願され１９９８年９月２２日にBullock等に発行された
「Apparatus Controlled by Data from Consumable Par
ts with IncorporatedMemory Devices」と題された米国
特許第５，８１２，１５６号により詳細に述べられてお
り、これは、本発明の譲受人に譲渡されており、その開
示内容はすべてこの引用をもって本明細書に包含された
ものとする。代替として、メモリ３５は、プリンタ１０
か、またはプリンタ１０に接続可能なコンピュータ（図
示せず）に配置されていてもよい。

【００２０】ステップＳ５３において、インクの付着を
制御するためのプリントマスク６２が提供される。プリ
ントマスク６２は、印刷媒体１８に対するプリントヘッ
ド２１の複数印字パスの各々のパス中に各ノズル２４か
ら付着することができるインクの量を割当てる。ステッ
プＳ５４において述べられているように、プリントマス
ク６２は、印刷媒体１８の画素位置の少なくともいくつ
かの行において、低印字品質ノズルから相対的に少ない
インクで高印字品質ノズルから相対的に多いインクでの
付着を可能にするよう、定義されている。プロセッサ５
９は、プリントマスクを定義するために必要な計算およ
び制御演算を実行する。この割当てを実行するための本
発明による方法の詳細については、後により詳細に述べ
る。

【００２１】ステップＳ５５において、プリントマスク
６２が構成されると、プリントマスク６２は、プロセッ
サ５９とプリントコントローラ５８とに関連して動作す
るように接続されているプリントマスクメモリ６４に格
納される。好ましい実施態様において、プリントマスク
メモリ６４は、プリンタ１０のフレーム内に取り付けら
れる。代替として、プリントマスクメモリ６４は、プリ
ンタ１０の外部、例えばプリンタ１０に取付け可能なコ
ンピュータ（図示せず）に格納されてもよい。

【００２２】印字部６５は、プリンタ１０で印字される
べき画像のすべてまたは一部が取得されるステップＳ５
６で開始する。「画像」という用語は、絵または写真だ
けでなく、グラフィクスまたはテキストを含む、印刷媒
体１８に出力できるあらゆる情報をも表しているという
ことは、理解されるべきである。

【００２３】ステップＳ５７において、プリントヘッド
２１および印刷媒体１８は、各印字パス中に走査方向４
に相対的に移動する。ステップＳ５８に示すように、印
刷媒体１８上のプリントヘッド２１の位置に対応する画
像の各部に対し、ノズル２４は、プリントヘッド２１に
対するプリントマスク６２によって制御されながら、走
査動作中に印刷媒体１８上の画素位置の対応する複数行
にインクを付着する。

【００２４】ステップＳ５９において、画像が完全に印
字された場合、印字動作は終了する。画像の一部が印字
されるべく残っている場合、ステップＳ６０が実行さ
れ、プリントヘッド２１および印刷媒体１８は、プリン
トヘッド２１の下で媒体１８の異なるスワスを配置する
よう、パス間に媒体前進方向８へ相対的に移動する。そ
の後、ステップＳ６０に続いて、本方法はステップＳ５
７に進む。

【００２５】図５に示すような上述した方法のテストス
テップ（Ｓ５１）および格納（Ｓ５２）ステップを、プ
リンタの外部で（例えば、プリントヘッドをテストする
よう設計されたテストシステムを使用して）、プリント
ヘッド２１の製造プロセス中、前もって製造されたプリ
ントヘッド２１にインクを補充するプロセス中、インク
ジェット印字システムのプリンタ１０におけるプリント
ヘッド２１の設置後、およびインクジェット印字システ
ムの動作中プリンタにおいて周期的に等、異なる時に実
行することができる。同様に、プリントマスクを提供す
るステップ（Ｓ５３）及びプリントマスクを定義するス
テップ（Ｓ５４）を、ステップＳ５１およびステップＳ
５２の完了に続いて実行することができ、あるいは、印
字より前で、後に延期することもできる。

【００２６】ここで、ステップＳ５１のプリントヘッド
をテストする方法をより詳細に考察すると、図６に関し
て最もよく理解されるように、この方法のステップは、
実行できる検出動作のタイプによって決まる。インク滴
を付着する際に評価することによりノズル品質を決定す
る好ましい方法は、センサに隣接して関連して動作する
ように配置されたノズルから１つまたは複数の滴を付着
するステップＳ６１から開始する。インパクトセンサ３
１の場合、ステップＳ６２の場合のように、ノズルは、
ノズルからのインク滴がセンサ３１に衝突してその出力
を衝突時に生成するよう、配置される。インフライトパ
ススルーセンサ３０の場合、ステップＳ６３の場合のよ
うに、ノズルは、ノズルからのインク滴がセンサ３０の
開口を通過して光路を遮断しその出力を生成するよう
に、配置される。センサを配置するための多くの代替的
な方法は、本発明によって考慮される。多くの異なるノ
ズルを検出し分析するために、１つのセンサを再配置す
ることができる。または、移動せずに複数のノズルを評
価するために十分なサイズの検出領域を有する、１つの
センサを提供することができる。あるいは、１つのセン
サが、複数のノズルを測定するための複数の検出エレメ
ントを有していてもよい。ステップＳ６４において、セ
ンサの出力を用いて、対応するノズルの印字品質が決定
される。すべてのノズルがテストされると、ステップＳ
６５の「yes」分岐に進み、プリントヘッドのテストが
終了する。すべてのノズルがテストされていない場合、
ステップＳ６５の「no」分岐に進み、ステップＳ６６に
おいて必要な場合に、プリントヘッド２１またはセンサ
が再配置され、その後ステップＳ６１に進む。

【００２７】プリントヘッドをテストする他の方法で
は、印字されたテストパターン３３の印刷媒体１８上の
出力を評価することによりノズル品質を決定する。この
方法は、ノズルテストパターンが印刷媒体１８上に印字
されるステップＳ６７で開始する。好ましい実施態様で
は、すべてのノズルをテストするために１つのテストパ
ターンが印字される。本発明と共に使用可能なかかる１
つのテストパターンは、１９９７年３月４日に出願さ
れ、「Detection of Printhead Nozzle Functionality
by Optical Scanning of a Test Pattern」と題された
Armijo等による上述した同時係属米国特許出願第０８／
８１１，４１２号においてより詳細に述べられている。
ノズル品質の評価を自動化するために印字センサが使用
される場合、ステップＳ６８において、ノズルの印字品
質を決定するために印字されたテストパターンが走査さ
れる。代替として、ノズル品質の決定がプリンタ１０の
オペレータによって視覚的に行われる場合、オペレータ
は、ステップＳ６９において、視覚的にテストパターン
を分析することによりノズルの印字品質を決定し、ステ
ップＳ７０において、例えばプリンタ１０に接続されて
いるコンピュータ（図示せず）のキーボードまたはプリ
ンタ１０に取付けられたキーパッドを用いて、インクジ
ェット印字システムにノズル品質情報を入力する。

【００２８】ここで、図５のステップＳ５４においてよ
り詳細に考察すると、図７は、例として、スループット
を低減することなく印字品質を向上させるために、低品
質ノズルからより少ないインクで高品質ノズルからより
多くのインクで印字することができるようプリントマス
ク６２を定義する、本発明による方法を示している。概
論として、異なるタイプのプリンタが、所定の輝度のカ
ラーインクで画素位置を印字するための異なる能力を提
供することができる。いくつかのプリンタ、特に、相対
的に大きい滴容量を有するか、または、所定のノズルか
ら複数の滴を付着することができる反復率が相対的に低
いプリンタは、所定の印字パスにおいて１つの滴のみで
所定の画素位置を印字し、その１つの滴が、その画素位
置を完全に印字するために必要な完全な量のインクを提
供する。かかるプリンタは、「Banding Reduction in M
utipass Printing」と題されたAskelandによる上述した
同時係属米国特許出願第０９／３９９，４７３号（代理
人整理番号１０９８０８７２−１）において述べられて
いる。

【００２９】代替として、他のプリンタ、特に画素位置
を完全に印字するために必要なインクの完全な量を提供
するためにいくつかの滴が必要となるような、相対的に
小さい滴容量を有し、所定のノズルから複数の滴を付着
することができる反復率が比較的高いプリンタは、１つ
の画像の印字中に異なるモードで印字することができ
る。「ハイ・ファイプ（hi-fipe）」モードとして知ら
れる第１の印字モードでは、ノズルは、いくつかのパス
のうちの各々において異なる複数行の画素位置にわずか
な数の滴（一般に１滴）を付着する。所定の行の所定の
画素位置に、ノズルは、画素位置に完全に印字するため
に必要なインクの合計量の一部のみを提供する。そのた
め、追加の滴は、他のパス中にその画素位置に他のノズ
ルから付着しなければならない。「マルチドロップ（mu
ltidrop）」モードとして知られる第２の印字モードで
は、ノズルは、いくつかの滴（一般に、少なくとも２
滴）をわずかな数のパス（一般に１つのパス）で所定の
画素位置に迅速に付着することにより、所定の位置を印
字する。一般に、いくつかの滴は、１つのパス中にその
画素位置を完全に印字する。有利には、いくつかのノズ
ルがハイ・ファイプモードで動作することができる一方
で、他のノズルはマルチドロップモードで動作する。か
かるプリンタは、「Hybrid Printmask for Multidrop I
nkjet Printer」と題されたBland等による上述した同時
係属米国特許出願第０９／３９９，５３４号（代理人整
理番号１０９８０８７１−１）において述べられてい
る。

【００３０】図７に関して図５のステップＳ５４の説明
に戻ると、プリンタが１滴／パス印字モードかまたはハ
イブリッドなハイ・ファイプ／マルチパス印字モードで
動作するか否かにより、異なるステップが実行される。
１滴／パス印字モードが使用される場合、プリントマス
クは、複数の印字パス中にノズルの各々を付勢すること
ができる回数の合計数を指定する。プリントマスクを定
義する第１のステップＳ７１では、テストによって識別
された低印字品質ノズルが、複数パス中に相対的に少な
い合計回数、印字を行うことができる。次に、ステップ
Ｓ７２において、テストによって識別された高印字品質
ノズルが、複数パス中に相対的に多い合計回数、印字を
行うことができ、低印字品質ノズルを使用して実行され
る印字の低減された量が補償される。相対的に多い合計
回数および相対的に少ない合計回数は、すべてのノズル
に対する回数の実質的に等しい数に対応している。

【００３１】このステップの後、本方法は終了する。結
果としてのプリントマスク６２は、ノズルのうちのいく
つかがある行の少ない画素位置に滴を付着することがで
き、他のノズルがその行の多くの画素位置に滴を付着す
ることができるようにするマスクパターンを有してお
り、高品質ノズルと低品質ノズルとの間の一様でない印
字負荷を提供する。この場合、高品質ノズルは、低品質
ノズルより、ある行でイネーブルとされる合計回数が多
い。しかしながら、補償を行う高品質ノズルは、異なる
パス中に低印字品質ノズルによって印字される行の１つ
のパス中に印字するため、その行の印字のために適切な
数の合計滴が可能となる。この方法を実行する結果とし
てのプリントマスク６２の構造および動作の方法は、
「Banding Reduction in Mutipass Printing」と題され
たAskelandによる上述した同時係属米国特許出願第０９
／３９９，４７３号（代理人整理番号１０９８０８７２
−１）において述べられている。

【００３２】ハイブリッドのハイ・ファイプ／マルチパ
ス印字モードが使用される場合、プリントマスク６２
は、複数パスの各々のパス中にノズルの各々が画素位置
に付着することができるインクの滴の数を指定する。こ
の場合、所定の輝度レベルの色で画素位置６２を完全に
印字するために少なくとも２つのインク滴が必要であ
る。プリントマスクを定義する第１のステップＳ７３で
は、テストによって識別された低印字品質ノズルが、少
なくとも２つの対応するパス中に少なくとも２つの異な
る行の個々の画素位置へわずかな数の滴を付着すること
ができる。次に、ステップＳ７４において、テストによ
って識別された高印字品質ノズルが、少なくとも１つの
パス中に１つの行の特定の画素位置へ多くの滴を迅速に
付着することができる。任意に、中間的な印字品質であ
ると定義されるノズルが、少なくとも２つの対応するパ
ス中に少なくとも２つの行の個々の画素位置へわずかな
数の滴を付着すると共に、少なくとも１つの他のパス中
に１つの行の特定の画素位置へ多くの滴を迅速に付着す
ることができるようにしてもよい。このステップの後、
本方法は終了する。結果としてのプリントマスク６２
は、いくつかのノズルに対してハイ・ファイプマスクサ
ブパターンを有し他のノズルに対してマルチドロップマ
スクパターンを有し、高印字品質ノズルと低印字品質ノ
ズルとから等しい印字負荷を提供し、すべてのパスの終
了後に、高印字品質ノズルと低印字品質ノズルとが、実
質的に同じ数の滴を付着することができるようになる。
しかしながら、低印字品質ノズルは、その画素を完全に
印字するために必要なすべてのインクの一部に対し、あ
る特定画素に対するインクの供給を制限するハイ・ファ
イプモードで動作し、他の高印字品質ノズルが異なるパ
スでそれに印字することによりその特定画素に残りのイ
ンクを供給するため、低印字品質ノズルからの誤った印
字の影響が印字出力にわたってより均一に分散され、そ
れによって視覚的により知覚されなくなる。この方法を
実行する結果であるプリントマスク６２の構造および動
作の方法は、「Hybrid Printmask for Multidrop Inkje
t Printer」と題されたBland等による上述した同時係属
米国特許出願第０９／３９９，５３４号（代理人整理番
号１０９８０８７１−１）において述べられている。

【００３３】上述したことから、本発明によって提供さ
れるプリンタおよび方法は、本技術分野において重要な
前進を表すということが認められよう。印字スループッ
トを大幅に低減することなく、個々のプリントヘッドに
対して生じるノズル異常によって発生する視覚的に好ま
しくないバンディングを低減するように、本発明に従っ
てプリンタを構成することができる。本発明のいくつか
の特定の実施態様を述べ説明してきたが、本発明は、そ
のように述べられ説明された特定の方法、形態または部
品の配置に限定されるものではない。特に、本発明は、
印字パスが走査軸４に沿って移動の両方向に発生する双
方向印字かまたは印字パスが走査軸４に沿って一方向の
みに発生する一方向印字で、印刷媒体１８がパス間を同
じ距離だけ前進する均一前進（even-advance）印字モー
ドかまたは媒体１８がパス間を異なる距離で前進する不
均一前進（uneven-advance）印字モードで、印刷媒体上
の複数行に完全に印字するために複数パスが必要である
マルチパスプリンタで、幅に多数のセルを有するプリン
トマスクで、バンドプリンタおよびドラムプリンタを含
むすべてのタイプのスワスプリンタで、サーマルおよび
ピエゾ印字技術を含むすべてのタイプのインクジェット
プリンタで、およびプリンタのすべてのコンポーネント
が同じ物理的エンクロージャ内に配置されていない印字
システムで、使用することができる。本発明によれば、
多くの個々のノズルを検出し分析するために１つのセン
サを配置することができ、１つのセンサを、移動せずに
複数のノズルを検出するために十分なサイズの検出領域
を有するよう設計することができ、あるいは、１つのセ
ンサが複数ノズルの出力を検出するために複数の検出エ
レメントを有するようにしてもよい。また、本発明は、
プリントヘッド上にそれらノズルが配置されている場所
に関わらず、低印字品質および高印字品質ノズルを有す
るプリントヘッドと共に使用が可能である。本発明は、
特許請求の範囲のみによって限定される。

【００３４】以下においては、本発明の種々の構成要件
の組み合わせからなる例示的な実施態様を示す。 １．インクジェット印字システム（10）により、複数行
の画素位置を有する印刷媒体（18）にわたって複数のパ
スを用いて印字する方法であって、インクの供給源と複
数のノズル（24）とを有し前記印刷媒体（18）上にイン
クを付着するためのプリントヘッド（21）を提供し、該
ノズル（24）の各々が、単一のパス中に前記行の対応す
る１つにインクを付着し、該ノズル（24）のうちのいく
つかが測定可能な印字品質を有していることと、前記プ
リントヘッド（21）をテストして低印字品質ノズル（2
4）と高印字品質ノズル（24）とを識別するテスト結果
を生成すること（S51）と、スループットを低減するこ
となく印字出力の品質を向上させるために、前記低印字
品質ノズルから所定の標準量より少ないインクおよび前
記高印字品質ノズルから所定の標準量より多いインクが
少なくともいくつかの行に付着される（S54）ように、
前記テストのテスト結果に基づき、前記低印字品質ノズ
ル（24）と前記高印字品質ノズル（24）との間でインク
の付着を割当てること（S53）と、を含む、方法。 ２．前記プリントヘッド（21）をテストすること（S5
1）は、テストを行うことにより、ドット配置エラー（4
2）、ドットサイズエラー（44）およびドット形状エラ
ーからなるグループの印字品質不良のうちの少なくとも
１つについて実質的な量を示すノズル（24）を識別する
ことを含む、上記１記載の方法。 ３．前記割当てること（S53）のために使用される前記
所定の標準量のインクは、前記複数のパスのいずれかの
間に前記行のうちの対応する１つにインクを付着する前
記複数のノズル（24）のうちの個々のノズルからの実質
的に等しい量のインクである、上記１記載の方法。 ４．前記低印字品質ノズル（24）および前記高印字品質
ノズル（24）のしるしをメモリ（64）に格納すること
（S52）を更に含む、上記１記載の方法。 ５．前記プリントヘッド（21）をテストすること（S5
1）は、前記印刷媒体（18）にノズルテストパターンを
印字すること（S67）と、及び前記ノズルテストパター
ンを光学的に走査することにより、前記低印字品質ノズ
ル（24）と高印字品質ノズル（24）とを識別すること
（S68）と、を更に含む、請求項１記載の方法。 ６．前記プリントヘッド（21）をテストすること（S5
1）は、前記印刷媒体（18）にノズルテストパターンを
印字すること（S67）と、及び前記ノズルテストパター
ンを視覚的に分析することにより、前記低印字品質ノズ
ル（24）と高印字品質ノズル（24）とを識別すること
（S69）と、を更に含む、上記１記載の方法。 ７．前記プリントヘッド（21）をテストすること（S5
1）は、前記ノズル（24）のうちの個々のノズルに近接
して配置可能なインク滴検出器（30、31）を提供するこ
とと、前記インク滴検出器に近接して配置された前記ノ
ズル（24）のうちの選択された個々のノズルから少なく
とも１滴のインクを付着すること（S61）と、出力を提
供する前記インク滴検出器（30、31）を用いて、前記ノ
ズル（24）のうちの前記選択された個々のノズルから前
記少なくとも１滴のインクを検出すること（S62、S63）
と、及び前記インク滴検出器（30、31）の前記出力から
前記ノズル（24）のうちの前記選択された個々のノズル
の印字品質を決定すること（S64）と、を更に含む、上
記１記載の方法。 ８．前記検出することは、前記少なくとも１滴が前記イ
ンク滴検出器（30）のすぐ近くを通過する際に空中で前
記少なくとも１滴を検出すること（S63）を含む、上記
７記載の方法。 ９．前記検出することは、インク滴が前記インク滴検出
器（31）に衝突した際の衝突時に前記少なくとも１滴を
検出すること（S62）を含む、上記７記載の方法。 １０．前記テストすること（S51）は、プリントヘッド
（21）製造プロセス中と、プリントヘッド（21）の補充
プロセス中と、前記インクジェット印字システム（10）
における前記プリントヘッド（21）の設置後と、及び前
記インクジェット印字システム（10）の動作中に周期的
にと、からなるグループから選択されたある時に、前記
テストを実行することを含む、上記１記載の方法。

【００３５】

【発明の効果】本発明により、プリンタのスループット
を大幅に低減することなくノズル異常による印字品質不
良を最小限にすることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を具現化しているインクジェットプリン
タの斜視図である。

【図２】図１のインクジェットプリンタの主要な書込み
システム部の略図である。

【図３】図１のプリンタと共に使用可能なプリントヘッ
ドのノズル配列の略図である。

【図４Ａ】図１のプリンタで達成可能な印字品質に影響
を与えるノズル異常エラーのタイプ（方向性エラー）を
示す略図である。

【図４Ｂ】図１のプリンタで達成可能な印字品質に影響
を与えるノズル異常エラーのタイプ（ドット容量エラ
ー）を示す略図である。

【図４Ｃ】図１のプリンタで達成可能な印字品質に影響
を与えるノズル異常エラーのタイプ（ドット形状エラ
ー）を示す略図である。

【図５】スループットを低減することなく個々のプリン
トヘッドの特定のノズル異常を補償するために、図１の
マルチパスインクジェットプリンタで印字する方法のフ
ローチャートである。

【図６】図５の方法において実行されるようなノズル品
質を定義するためにプリントヘッドをテストするための
方法のフローチャートである。

【図７】図５の方法において実行されるような図２のプ
リントマスクパターンを定義するための方法のフローチ
ャートである。

【符号の説明】

10 プリンタ 18 印刷媒体 21 プリントヘッド 24 ノズル 30、31 センサ 42 実際の位置（ドット配置エラー） 44 実際の量のインク（ドットサイズエラー、ドット容
量エラー） 64 プリントマスクメモリ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロナルド・エイ・アスケランド アメリカ合衆国カリフォルニア州92129, サンディエゴ，ペナノバ・ストリート・ 11371

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インクジェット印字システム（10）によ
   り、複数行の画素位置を有する印刷媒体（18）にわたっ
   て複数のパスを用いて印字する方法であって、 インクの供給源と複数のノズル（24）とを有し前記印刷
   媒体（18）上にインクを付着するためのプリントヘッド
   （21）を提供し、該ノズル（24）の各々が、単一のパス
   中に前記行の対応する１つにインクを付着し、該ノズル
   （24）のうちのいくつかが測定可能な印字品質を有して
   いることと、 前記プリントヘッド（21）をテストして低印字品質ノズ
   ル（24）と高印字品質ノズル（24）とを識別するテスト
   結果を生成すること（S51）と、 スループットを低減することなく印字出力の品質を向上
   させるために、前記低印字品質ノズルから所定の標準量
   より少ないインクおよび前記高印字品質ノズルから所定
   の標準量より多いインクが少なくともいくつかの行に付
   着される（S54）ように、前記テストのテスト結果に基
   づき、前記低印字品質ノズル（24）と前記高印字品質ノ
   ズル（24）との間でインクの付着を割当てること（S5
   3）と、を含む、方法。