JP2001104751A - 排ガス除害装置 - Google Patents

排ガス除害装置

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JP2001104751A
JP2001104751A JP28288299A JP28288299A JP2001104751A JP 2001104751 A JP2001104751 A JP 2001104751A JP 28288299 A JP28288299 A JP 28288299A JP 28288299 A JP28288299 A JP 28288299A JP 2001104751 A JP2001104751 A JP 2001104751A
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oxidation catalyst
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Hidefusa Uchikawa
英興 内川
Shigeru Matsuno
繁 松野
Takehiko Sato
剛彦 佐藤
Akira Yamada
朗 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CVD排ガス中の有機物を高効率で除害可能
な有機物溶液原料用CVD排ガス除害装置を提供する。 【解決手段】 CVD排ガス除害装置4において、還元
剤及びアルカリ剤処理部6を配置する。特に、還元剤及
びアルカリ剤に加えて酸化触媒処理部7を併用した場合
において、良好な排ガスの除害効果を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原料化合物を気化
させて成膜などに用いるCVD(化学気相堆積)法に伴
い発生する排ガスの除害装置に関するものである。特
に、有機化合物を用いた溶液状のCVD原料を用いる場
合の除害装置に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】最近、半導体メモリ等のデバイスの高速
化や高集積化等の必要性から、これまでの汎用のシリコ
ンに替わる高誘電率材料や強誘電率材料を採用したメモ
リ用のキャパシタが盛んに開発されようとしている。こ
れらの材料は、チタン酸バリウムストロンチウム、チタ
ン酸ジルコン酸鉛、タンタル酸ビスマスストロンチウム
等のような複合酸化物である。これらの酸化物をCVD
法によって成膜する場合、成分となる現行のCVD原料
は多くの場合に固体であり、しかも加熱しても安定に気
化しにくいという問題点があった。これらの欠点を解消
するCVD原料及びCVD成膜方法として、例えば、日
本国特許第2799134号ならびに同第279058
1号などが有効であるとされ、最近広く一般に用いられ
るようになってきた。
【0003】一方、上記CVD装置から排出されたガス
の除外装置としては、最も一般的な構成の一例を図4に
示す。図4は、CVD装置から排ガス除害装置へのガス
処理の流れを模式的に示したもので、図において、10
1はCVD原料供給系、102はCVD気化系、103
はCVD反応炉、104は排ガス除害装置(系統)、1
05は希釈部、106はトラップ部、107は吸着部、
108は反応部、109は燃焼部、110はスクラバー
である。CVD反応炉103から出た排ガスは、排ガス
除害装置104に入り、まず希釈部105において空気
や窒素ガスなどで希釈される。次にトラップ部106で
アルカリ液などに吸収されたり、冷却されて凝縮、捕集
される。次いで吸着部107で残りのガス成分は吸着さ
れたり、反応部108において分解除去される。従来の
一般的な排ガス除害装置では、吸着部107と反応部1
08は一体になっているものも多い。
【0004】また、特開平6−47234号公報に記載
の除害装置においては、吸着部107にモレキュラーシ
ーブ及び反応部108に酸化触媒を配置していると考え
られる。さらに一般にはスクラバー110で洗浄液に溶
かされて除去される。この際に、多量の有機物を含む排
ガスの場合にはスクラバー110の前段に燃焼部109
を設けて、燃焼除去させることもある。さらに、例え
ば、特開平11−168067号公報に示されるよう
に、スクラバー110は、希釈部105またはトラップ
部106のいずれも前段もしくは後段に配置される場合
もある。さらに、排ガス除害系統104のいずれかの箇
所に、多くの場合粉塵補集用のフィルタを取り付ける、
など実際には多種多様に工夫して用いられているのが現
状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしCVD法におい
て、このような有機化合物を比較的大量に気化させて成
膜する際の排ガス処理装置、すなわち除害装置として
は、上記のように、従来の一般の半導体製造用のものを
そのまま使用しているのが現状である。このような場
合、従来多用されている気体原料によるCVDの排ガス
と比して、溶液原料からの有機物を多く含む排ガスを効
率よく処理するには、かなり大量のエネルギーを必要と
することは自明である。また、除害装置内の排ガス処理
工程において、これらの有機物が多様に互いに化合した
り、また重合することによって新たな高分子量の化合物
が生成し、排ガス処理用のフィルタや配管内にこれら高
分子量の化合物が多量に付着して除害性能の急激な低下
を来すことがしばしばであった。すなわち、配管、フィ
ルタ、吸着剤などが目詰まりを起こして除害効率や処理
寿命が著しく低下するなどの大きな問題が生じているの
が現状である。
【0006】一方、上記で述べた特開平6−47234
号公報に見られるように、テトラエトキシシラン(TEO
S)などをCVD原料として用いた場合の排ガスの除害
方法として、排ガスをモレキュラーシーブ及び酸化触媒
と接触させて除去する方法が提案されている。しかしこ
のような方法を上記のような有機化合物溶液原料を用い
るCVD法の除害装置に適用すると、酸化触媒の有する
酸化作用のために前記のように排ガス中に多量に存在す
る有機物の酸化重合によって分子量の高い化合物の生成
がかえって促進され、除害装置内のフィルタや吸着剤の
目詰まりなどの不具合が加速されるなど、必ずしも有効
な方法ではないことが本発明者らの種々の実験により明
らかになった。すなわち、酸化触媒が排ガスの温度や雰
囲気等の条件によって、すなわち排ガス中に存在する酸
素量に比べて酸化されるべき有機物の量が多すぎるなど
に起因して、本来の酸化分解作用では無しに酸化重合作
用として働くために、有機物の重合による高分子化を加
速してしまうことによってこのような不具合が生じるも
のと本発明者らは推察している。
【0007】一方、従来の排ガス除害装置は、殆どのガ
スは燃焼させればガス中の有害成分の濃度は低下すると
いう考え方から、スクラバー110の前段に配置された
燃焼部109での処理に依存することが多かった。即
ち、上記で述べた問題があっても強引に燃焼部109に
排ガスを導入させることで、処理を行っていたのであ
る。しかし、燃焼部では火炎を使用しかつ燃焼ガス(天
然ガスなど)設備も必要なたことからクリーンな半導体
向上のイメージに合致しないこと、またバーナーの目詰
まりやガス配管などのメンテナンスが大変なこと、運転
費用が高価であるなど、不利な点も多く、即ち燃焼部を
持たない除害装置あるいは燃焼部への負担の軽い除害装
置が期待されていた。
【0008】本発明は上記のような問題を解決するため
になされたもので、還元剤及びアルカリ剤が排ガス中に
多量に存在する種々の有機物の重合を阻止し、この作用
によって排ガスの浄化除去作用が促進されることを見出
したことに基づいて本発明を提案するものである。すな
わち、燃焼部への負荷が小さい除害装置、理想的には装
置内に燃焼部を持たない除害装置を提案するために、排
気ガスと接触するように還元剤及びアルカリ剤を配置し
た処理部を備えた除害装置を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る排ガス除
害装置は、有機化合物溶液原料を用いたCVD反応炉の
排気部に接続され、前記排気部から排出されたガスが少
なくとも還元剤及びアルカリ剤が配置された処理部を通
過するように構成されたものである。
【0010】上記排ガス除害装置において、還元剤が、
金属粉、亜硫酸塩、スズ塩及び第1鉄塩の中から選ばれ
た少なくとも1種のものであることを規定するものであ
る。
【0011】また、上記排ガス除害装置において、アル
カリ剤が、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属炭酸
塩、アルカリ金属アルミン酸塩及びアルカリ金属酸化物
の中から選ばれた少なくとも1種のものであることを規
定するものである。
【0012】また、上記排ガス除害装置において、還元
剤及びアルカリ剤が150〜300℃の温度範囲に加熱
されるものである。
【0013】さらに、上記排ガス除害装置において、還
元剤及びアルカリ剤の配置された処理部の少なくとも後
段に酸化触媒が配置された第2の処理部を備えたもので
ある。
【0014】また、上記排ガス除害装置において、酸化
触媒が、Pt、Pdのうちの少なくとも一種及び/またはF
e、Mn、Ni、Co、Cu及びCrから選ばれた少なくとも1種
の金属の酸化物であることを規定するものである。
【0015】また、上記排ガス除害装置において、酸化
触媒が250〜450℃の温度範囲に加熱されるもので
ある。
【0016】上記、排ガス除害装置において、前段のC
VD反応炉で用いられる有機化合物溶液原料が、テトラ
ヒドロフランに有機化合物が溶解された溶液であること
を規定するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の一実施の
形態について説明する。本願発明は、還元剤及びアルカ
リ剤が排ガス中に多量に存在する種々の有機物の重合を
阻止し、この作用によって排ガスの浄化除去作用が促進
されることを見出したことに基づくもので、CVD反応
炉の排気部から、除害処理後の大気中への排出部に至る
排ガス除害系統において、いずれかの箇所に排気ガスと
接触するように還元剤及びアルカリ剤を配置して除害装
置を構成する。
【0018】この時、還元剤及びアルカリ剤の配置より
も排ガス流の下流側に酸化触媒が配置されている場合、
前者の有する前記重合阻止作用と酸化触媒の相乗された
浄化作用とによって、非常に優れた汚れの浄化が行え
る。すなわち、還元剤及びアルカリ剤の存在下で有機物
の多種多様の重合反応による高分子化が生じない状態に
おいて、酸化触媒は初めて排ガス中の有機物に対する有
効な酸化分解による除害作用を発揮するのである。
【0019】還元剤及びアルカリ剤については、150
〜300℃の温度範囲に加熱されている場合に、より良
好な除害効果を有することが分かった。150℃を下回
る場合には、除害効果は有るものの、その効果はさほど
良好ではなく、かつ加熱温度が300℃を越える場合に
は還元剤及びアルカリ剤の熱分解が生じ初めるために、
同じく除害効果が減少することがあることを実験により
確認した。
【0020】酸化触媒についても、同じく250〜45
0℃の温度範囲に加熱されている場合に、より良好な除
害効果が発揮されることを実験により確認した。この場
合においても、250℃を下回る加熱温度の場合には、
従来の除害装置よりも除害効果は優れるものの、その効
果は著しく良好であるというわけではなく、かつ加熱温
度が450℃を越える場合には酸化触媒の結晶相が変化
したり、または熱分解が生じることなどによって、同じ
く除害効果がやや減少することがあることを同様の実験
により確かめた。
【0021】本発明で用いる還元剤が、金属粉、亜硫酸
塩、スズ塩及び第1鉄塩の中から選ばれた少なくとも1
種のものである場合、及び同じくアルカリ剤が、アルカ
リ金属ケイ酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属ア
ルミン酸塩及びアルカリ金属酸化物の中から選ばれた少
なくとも1種のものである場合において、より良好な排
ガスの除害効果が発揮され、かつ耐熱性も良好であるこ
とが実験検討により判明した。
【0022】さらに、酸化触媒としては、Pt、Pdのうち
の少なくとも一種、及び/またはFe、Mn、Ni、Co、Cu、
Crから選ばれた少なくとも一種の金属の酸化物を採用す
ることにより、良好な排ガス除害効果が得られることを
実験により確認した。
【0023】本実施の形態によれば、種々の有機化合物
溶液原料を用いたCVD法の除害装置に適用できること
を各種溶液原料を用いた除害性能試験により確かめた。
さらに、有機化合物溶液原料が、テトラヒドロフランに
有機化合物が溶解された溶液である場合の排ガスに対し
て、特に優れた作用を発揮することが判明した。すなわ
ち、CVD反応に伴って他の化合物や酸素と非常に高い
反応性を示すテトラヒドロフランの過酸化物が生成する
が、本発明を用いない場合にはこの過酸化物を高効率で
除害しにくい。これに対し、本発明を適用すると高効率
で過酸化物の除害を達成でき、したがって過酸化物との
反応によって生じる他の高分子量の種々の有機化合物も
生成されにくくなることが分かった。
【0024】本発明の実施の形態による除害装置の構成
を図1中に模式的に示す。図1は、CVD装置から本発
明の除害装置への排ガスの流れを示している。図におい
て、1はCVD用の溶液原料の供給系、2は気化系、3
はCVD反応炉、4は本発明の構成の一例を示す除害装
置系統である。除害装置の系統においては、5は希釈
部、6は還元剤及びアルカリ剤処理部、7は酸化触媒処
理部、8は燃焼部、9はスクラバーである。本発明にお
いて、還元剤、アルカリ剤、酸化触媒を装置内に適用し
た構成としては、従来例で示した図4における吸着部1
07、反応部108、燃焼部109などの替わりに還元
剤及びアルカリ剤処理部6ならびに酸化触媒処理部7を
設けた。これらの部位においてフィルタとして作用する
ハニカムコア、多孔質金属、耐熱繊維等の基材に塗布、
含浸させる方法が有効である。ただし、これらをペレッ
ト状に成形したものや、顆粒状にしたものの中を排ガス
が通過するように設置して用いても良い。アルカリ剤に
ついても、同様の方法で基材上に坦持出来る。他の通常
行われているアルカリ処理剤を用いる手段と同様に、従
来例の図4の構成のトラップ部106内に配置したり、
トラップ溶液中に溶かし込んで用いることも可能であ
る。さらには、スクラバー110の水中にアルカリ剤を
溶かし込んでおくこともできる、など本発明においても
使用上種々工夫して用いることが可能である。
【0025】図2(a)、(b)は本発明の除害装置系
統4における還元剤及びアルカリ剤処理部6の構成の一
例を示したもので、図中(a)は還元剤及びアルカリ剤
処理部6の構成を、図中(b)は該処理部6を構成する
フィルタ17の構造を示したものである。図において、
14は反応部内の排ガスが通る空間、15は排ガスの入
り口配管、16は同じく出口配管、17は内部に設置さ
れた排ガスと接触するフィルタである。還元剤及びアル
カリ剤処理部6の内部は適宜100〜400℃程度に加
熱されており、排ガスとフィルタ17が接触してガス成
分の分解が起こるようになっている。これに適宜酸素や
空気を流入させて用いても良い。フィルタ17の構成
は、一例として(b)の模式図のようになっており、1
8は金属多孔体や耐熱繊維等から成る多孔質基材、19
は還元剤及びアルカリ剤の粒子である。本発明では、酸
化触媒処理部13の詳細な構成も酸化触媒粒子が多孔質
基材に分散、担持された概ね(b)図のような構成とな
る。
【0026】なお、本発明の除害装置においては、必ず
しも図1及び図2のような構成のものを用いる必要はな
く、適宜各部の配置順等を替えるか、省略及び追加する
などの変更を加えることが出来る。また、還元剤、アル
カリ剤、酸化触媒をそれぞれ別々の部位へ適用、配置し
て用いても、酸化触媒が還元剤やアルカリ剤の下流側に
有りさえすれば優れた除害効果が得られることを実験に
より確かめた。さらに還元剤とアルカリ剤は、同一部位
に同時に用いた場合にも、また別々の部位に用いた場合
にも有効であることを種々の除害効果を調べる実験で確
認した。
【0027】上記の実施の形態で用いる還元剤、アルカ
リ剤、酸化触媒については、直接基材上に蒸着、スパッ
タリング、イオンプレーティングなどの方法で形成する
ことが可能である。また、これらの物質をフィルタなど
に坦持(分散、保持)させる方法としては、それらを含
有する溶液にフィルタなどを含浸、またはその溶液を塗
布させた後に、200〜600℃程度の温度で熱分解す
ると簡単に行える。
【0028】また、他の方法として、結合材中に還元
剤、アルカリ剤、酸化触媒を含有分散させ、これを基材
上に塗布、焼成して形成する方法も用いることが出来
る。この際に用いる結合材としては、シリカゾル、アル
ミナゲル、アルミニウムホスフェート、水ガラス、ケイ
酸カリウム、シリコーン樹脂(有機ケイ素ポリマー)な
ど、耐熱塗料などで一般に知られているものを用いるこ
とができる。
【0029】このように、本発明において還元剤、アル
カリ剤、酸化触媒を基材上に含有分散させる場合には、
特に特殊なコーティング方法を用いる必要はなく、スプ
レー法、ディップ法、印刷法、スピンコート法、ロール
コート法など任意の塗布法によって実施可能である。塗
布後は、適宜100〜400℃程度の温度での乾燥及び
加熱焼成によって付着、形成(坦持)することができ
る。
【0030】前記のように、還元剤及びアルカリ剤が排
ガス中の各種有機物分子の重合を阻止すると考えらえ、
本発明はこの作用が排ガスの除害作用をも促進すること
を見出したことに基づいて成されたものである。有機物
の重合阻止作用については、その詳細なメカニズムは明
らかではないが、次のようなプロセスに起因すると推定
している。すなわち、排ガス中の有機物が酸化重合され
て徐々に除害されにくく固着しやすい高分子量の物質が
形成されていく過程においては、次のような反応が繰り
返し進行して行き、高分子量化、高沸点物質化するもの
と推定される。ただし、以下の式では分かり易くするた
め、出発有機物質を炭化水素として一例を示している。 RH → R・ + H・ …………(1) R・ + O2 → ROO・ …………(2) ROO・ + RH → ROOH + R・ ………(3) 2ROOH → RO・ + ROO + H2O ……(4) R・ + R・ → R−R (重合) ……(5) RO・ + RH → ROH +R・ ………(6) 2ROO・ → 非ラジカル生成物 …………(7)
【0031】ただし、これらの式において、RH は炭化
水素、R・は炭化水素ラジカル、H・は水素ラジカル、RO
O・はパーオキシラジカル、ROOH はハイドロパーオキ
サイド、RO・はオキシラジカル、RーRは高分子量の重合
体、ROHはハイドライドである。すなわち、熱の作用に
よって一部の炭化水素は活性化されて(1)式のように反
応が始まる。これにより、ROH、ROOH、RーRなどの種々
の物質が生成する。(7)式において生成する非ラジカル
物質はアルコール、アルデヒド、ケトンなどであり、こ
れらは続けて酸化を受けて酸、オキシ酸、酸無水物、エ
ステル等になり、これからさらに酸化されてさらなる高
分子量物質となっていく。このようにして生成した高分
子量物質が、通常の方法では除害しにくく、配管内にタ
ール状や粒子状に固着したり、フィルタ等に強固に付着
して目詰まりを起こして除害性能を低下、阻害する元凶
となるものである。本発明で用いる還元剤は、還元作用
によりこれらの逐次進行する酸化反応を抑制する役目を
成していると推察できる。同じく、本発明で用いるアル
カリ剤は、反応の進行によって生成した酸(カルボン
酸、オキシ酸など)等の酸性物質を中和することによっ
て、反応がそれ以上進行するのを阻止すること、ならび
に生成したエステル類をアルコールと酸に加水分解(ケ
ン化)することの主に二つの作用により、反応がそれ以
上進行するのを抑止する役目を成すと推定している。し
たがって、本発明で用いるのは還元剤、アルカリ剤のい
ずれか一方では上記の作用が不十分であり、両者を併用
することが必要である。
【0032】さらには、上記のように高分子量の物質の
生成が抑えられた場合に酸化触媒が存在すると、重合を
抑制された有機物に対して酸化触媒が酸化重合では無く
酸化分解作用として働き、大いに除害効果を高めること
になると考えられる。
【0033】
【実施例】以下に、具体的な実施例により、更に詳細に
説明する。
【0034】実施例1.プラズマCVD装置を使用して
シリコンウエハ上に酸化チタンと酸化ケイ素の複合膜を
同時に形成し、この際の排ガスを本発明の除害装置を用
いて除害する実験を行った。原料化合物として、チタン
イソプロポキシドとテトラエトキシシランをイソプロピ
ルアルコールに溶解した溶液を用いた。酸素ガスを1分
間に200ccの流量で導入し、反応炉内ガス圧を0.
5Torrとして20分間成膜を行った。図1に示した
本発明のCVD除害装置構成から希釈部5、燃焼部8及
びスクラバー9を取り外し、CVD反応炉からの排ガス
を図3のような本発明の除害装置の還元剤及びアルカリ
剤処理部6、及び酸化触媒処理部7に導いてその除害効
果を試験した。図において、17は還元剤及びアルカリ
剤を坦持したニッケルクロム合金製金属多孔体フィル
タ、20は還元剤及びアルカリ剤処理部への入り口配
管、21は接続配管、22は酸化触媒を坦持したしシリ
カアルミナ製セラミックフィルタ及び23は出口配管で
ある。なお、フィルタ17は、還元剤としての亜鉛粉末
と硫酸第一鉄(混合比1対1)及びアルカリ剤としての
ケイ酸カリウムを1対1の重量比で混合し、これと結合
材としての水ガラス(ケイ酸ナトリウム)を混合したペ
ーストを金属多孔体に塗布し、150℃で30分間焼成
して作製した。このフィルタの加熱保持温度を300℃
とした。この場合においては、フィルタ22も酸化触媒
の替わりに上記と同一の還元剤及びアルカリ剤を同一の
方法で作製し、300℃に保持、配置した。
【0035】次いで、比較のため、本発明における酸化
触媒の併用効果を調べる目的で、フィルタ17は上記と
同一のアルカリ剤及び還元剤で、かつフィルタ22を下
記のように作製して酸化触媒を用いた場合についても除
害効果を比べた。酸化触媒としての二酸化マンガンに重
量比で5%のアルミナを添加剤として混練し、これを結
合材としてのメチルフェニルシリコーン(ケイ素樹脂)
に混合し、シンナーで粘度を調節してからスプレーガン
でセラミックフィルタへ塗布、乾燥後、220℃で40
分間焼成して作製した。この加熱保持温度は300℃と
した。以上のようにして作製した2種の本発明の除害装
置の排ガス除害効果については、除害処理前のCVD排
ガス中及び処理後の排ガス中におけるテトラエトキシシ
ラン、全有機体炭素ならびに一酸化炭素の濃度を、それ
ぞれガスクロマトグラフ、全有機体炭素計、赤外式ガス
濃度測定装置(いずれも市販品)を用いて測定、評価し
た。結果を比較例1の結果とともに表1に示す。
【0036】比較例1.実施例1と全く同様にしてCV
D法により同一条件で成膜を行い、図3の除害装置の還
元剤及びアルカリ剤処理部6ならびに酸化触媒処理部7
の替わりに、実施例1で用いた二酸化マンガン系触媒を
坦持したセラミックフィルタのみを配置(加熱温度30
0℃)して用いた場合について、その除害効果を本発明
の場合と比較した。この結果を実施例1の結果とともに
表1に示す。表1から明らかなように、本発明の2種の
除害装置は、いずれも従来の酸化触媒のみを用いたもの
よりも各排ガス成分に対する除害効果が良好であった。
特に、本発明の還元剤とアルカリ剤に加えて酸化触媒を
併用した場合において、その除害効果が極めて優れるこ
とが判明した。実施例1によれば、処理された排ガス、
例えば一酸化炭素では、図1中の燃焼部8を介さず排出
可能な、許容濃度以下にまでに、低減されている。図3
の構成を図1に適用すれば、さらに除害効率が向上す
る。このとき、従来と比べて燃焼部の前段で十分な処理
がなされているため燃焼部の負荷軽減が図れる。
【0037】
【表1】
【0038】実施例2.ホットウオールタイプの大型C
VD装置を使用してシリコンウエハ上にチタン酸ジルコ
ン酸鉛系薄膜を形成し、この際の排ガスを本発明の除害
装置を用いて除害する実験を行った。原料化合物とし
て、鉛ジピバロイルメタナト、ジルコニウムターシャリ
ーブトキシド及びチタンアセチルアセトナトを用い、こ
れらを所定の比率でジエチルエーテルと酢酸ブチルの混
合溶媒に溶解したものを溶液原料として用いた。反応ガ
スは酸素で、反応炉内圧力を8Torrとして15分間
成膜を行った。実施例1と同様に、図1に示た本発明の
CVD除害装置構成から希釈部5、燃焼部8及びスクラ
バー9を取り外し、CVD反応炉からの排ガスを図3に
示す本発明の除害装置の還元剤及びアルカリ剤処理部6
ならびに酸化触媒処理部7に導いてその除害効果を試験
した。なおこの場合、フィルタ17は、還元剤としての
亜硫酸水素ナトリウム及びアルカリ剤としての炭酸ナト
リウムを2対1の重量比で混合し、これと結合材として
のメチルフェニルシリコーンを少量の二酸化珪素及びタ
ルク(ともに付着性向上のための添加剤)とともに混合
したペーストを金属多孔体に塗布、乾燥し、350℃で
30分間焼成して作製した。このフィルタの加熱温度は
250℃とした。フィルタ22では、酸化触媒として白
金(Pt)を用い、加熱温度を400℃とした。この場
合、塩化白金酸の10%エタノール溶液をセラミックフ
ィルタに塗布して乾燥する工程を3回繰り返した後、1
30℃で20分間焼成して作製した。本発明の除害装置
の処理効果については、除害処理前のCVD排ガス中及
び処理後の排ガス中の全有機体炭素ならびに一酸化炭素
の濃度を、それぞれ全有機体炭素計、赤外式ガス濃度測
定装置を用いて測定、評価した。結果を比較例2の結果
とともに表2に示す。
【0039】比較例2.実施例2と全く同様にして、チ
タン酸ジルコン酸鉛系薄膜をCVD法により同一条件で
成膜し、図3の除害装置の還元剤及びアルカリ剤処理部
6ならびに酸化触媒処理部7の替わりに、実施例2で用
いた白金触媒を坦持したセラミックフィルタのみを40
0℃に加熱、配置して用いた場合について、その除害効
果を本発明の場合と比較した。この結果を実施例2の結
果とともに表2に示す。表2から明らかなように、この
場合も実施例1と同様に、還元剤とアルカリ剤に加えて
酸化触媒を併用した本発明の除外装置は、従来の酸化触
媒のみを用いたものよりも各排ガス成分に対する除害効
果がはるかに良好であった。実施例2によれば、処理さ
れた排ガス、例えば一酸化炭素では、許容濃度にまで
に、低減されている。図3の構成を図1に適用すれば、
さらに除害効率が向上する。このとき、従来と比べて燃
焼部の前段で十分な処理がなされているため燃焼部の負
荷軽減が図れる。
【0040】
【表2】
【0041】実施例3.本発明で用いる還元剤及びアル
カリ剤ならびに酸化触媒として、どのようなものが適し
ているかを調べる実験を行った。還元剤として、実施例
1及び2で用いた亜鉛、硫酸第1鉄、亜硫酸水素ナトリ
ウムの代わりに各種のものを用い、アルカリ剤としても
実施例1及び2で用いたケイ酸カリウム、炭酸ナトリウ
ムの代わりに各種のものを用いて実施例1及び2と同様
の実験を行った。酸化触媒についても、実施例1及び2
で使用した二酸化マンガンや白金以外のものについて同
様の除害試験を行って、それらの効果を調査した。その
結果、本発明で用いる還元剤が、各種の金属粉、亜硫酸
塩、スズ塩及び第1鉄塩の中から選ばれた少なくとも一
種のものである場合、及び同じくアルカリ剤が、アルカ
リ金属ケイ酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属ア
ルミン酸塩及びアルカリ金属酸化物の中から選ばれた少
なくとも一種のものである場合において、実施例1及び
2と同様に良好な排ガスの除害効果が発揮されることが
判明した。
【0042】ついで、本発明で用いる酸化触媒として実
施例1の二酸化マンガンや実施例2のPtの他に、Pdまた
はFe、Mn(二酸化マンガン以外のマンガン酸化物も)、
Ni、Co、Cr、Cuの酸化物から選ばれた少なくとも一種の
ものを用いた場合に、やはり実施例1及び2と同様に還
元剤及びアルカリ剤との相乗効果が得られ、除害作用に
優れることが明らかとなった。
【0043】ただし、本発明で使用する還元剤及びアル
カリ剤ならびに酸化触媒については、上記のものに限ら
ず、還元性物質、アルカリ(塩基)性物質及び酸化触媒
作用を有する物質であれば用いることが出来る。なお、
本発明で還元剤とアルカリ剤とを同時に用いる場合にお
ける両者の比率については特に規定するものではない
が、種々の実験から両者の重量比が概ね1対1に近い方
がより効果が大きかった。
【0044】実施例4.ホットウオールタイプのCVD
装置を使用してシリコンウエハ上に形成した白金膜上
に、チタン酸バリウムストロンチウム系薄膜を形成し、
この際の排ガスを本発明の除害装置を用いて除害する実
験を行った。原料化合物として、バリウムジピバロイル
メタナト、ストロンチウムジピバロイルメタナト、チタ
ンイソプロポキシジピバロイルメタナトを用い、これら
を所定比率でテトラヒドロフランに溶解した溶液を原料
として用いた。反応ガスは酸素で、反応炉内圧力を10
Torrとして30分間成膜を行った。本発明の除害装
置としては、CVD反応炉からの排ガスを図3と同様の
本発明の除害装置における還元剤及びアルカリ剤処理部
6ならびに酸化触媒処理部7に導いてその除害効果を試
験した。ただしこの場合、図3において、フィルタ17
は、還元剤としてのグラファイト粉末とチオ硫酸ナトリ
ウム(混合比1対1)、及びアルカリ剤としてのアルミ
ン酸ナトリウムを1対1の重量比で混合し、これと結合
材としてのブチルカルビトールとイソプロピルアルコー
ルとを十分に混合したペーストを金属多孔体に塗布し、
200℃で30分間焼成した。このフィルタの加熱保持
温度は200℃とした。フィルタ22では、下記の要領
で作製、担持した酸化触媒を用い、350℃に加熱保持
した。酸化触媒としての酸化銅及び酸化クロム(重量比
1対1)に全重量の5%のゼオライトを添加剤として混
練し、これを結合材としての水ガラスに混合し、水粘度
を調節してからスプレーガンでセラミックフィルタへ塗
布、乾燥後、280℃で40分間焼成して作製した。本
発明の除害装置の処理効果については、除害処理前のC
VD排ガス中及び処理後の排ガス中の全有機体炭素、一
酸化炭素ならびにテトラヒドロフラン過酸化物の濃度
を、それぞれ全有機体炭素計、赤外式ガス濃度測定装
置、ヨウ素滴定法を用いて測定評価した。なお、ヨウ素
チオ硫酸ナトリウムで終点まで滴定してその所要量から
過酸化物濃度を算出した。この際、テトラヒドロフラン
過酸化物をすべてテトラヒドロフランハイドロパーオキ
サイド(C483、分子量104)と想定して計算し
た。結果を比較例3の結果とともに表3に示す。
【0045】比較例3.実施例4と同様にしてCVD法
により同一条件で成膜を行い、第3図の除害装置の還元
剤及びアルカリ剤処理部6ならびに酸化触媒処理部7の
替わりに、実施例4で用いた酸化銅ー酸化クロム系触媒
を坦持したセラミックフィルタのみを350℃に加熱保
持、配置して用いた場合について、その除害効果を本発
明の場合と比較した。この結果を実施例4の結果ととも
に表3に示す。表3から明らかなように、本発明の除害
装置の場合には、従来のものと比較すると全有機体炭素
及び一酸化炭素濃度とも高効率で除害が可能であること
が分かる。さらに、本発明の除害装置においては、とく
に他の物質との反応性が極めて高いテトラヒドロフラン
過酸化物の濃度が従来の除害装置と比べて格段に低くな
るという優秀な除害効果が得られることが判明した。実
施例4によれば、処理された排ガス、例えば一酸化炭素
では、許容濃度以下にまでに、低減されている。図3の
構成を図1に適用すれば、さらに除害効率が向上する。
このとき、従来と比べて燃焼部の前段で十分な処理がな
されているため燃焼部の負荷軽減が図れる。
【0046】
【表3】
【0047】実施例5.ホットウオールタイプのCVD
装置を使用してシリコンウエハ上に形成した白金膜上
に、タンタル酸ストロンチウムビスマス系薄膜を形成
し、この際の排ガスを本発明の除害装置を用いて除害す
る実験を行った。原料化合物として、ペンタエトキシタ
ンタル、ストロンチウムジピバロイルメタナト、トリフ
ェニルビスマスを用い、これらを所定比率でテトラヒド
ロフランに溶解して溶液原料とした。反応ガスは酸素
で、反応炉内圧力を10Torrとして35分間成膜を
行った。本発明の除害装置としては、実施例4と同様に
CVD反応炉からの排ガスを図3と同様の本発明の除害
装置における還元剤及びアルカリ剤処理部6ならびに酸
化触媒処理部7に導いてその除害効果を試験した。ただ
しこの場合、図3において、フィルタ17は、還元剤と
しての銀(Ag)粉末及びアルカリ剤としての炭酸リチウ
ムを1対2の重量比で混合し、これと結合材としてのア
ルミニウムホスフェート(リン酸で希釈)とを十分に混
合したペーストを金属多孔体に塗布し、230℃で30
分間焼成して作製した。このフィルタの加熱保持温度は
220℃とした。フィルタ22では、酸化触媒を下記の
要領で作成、担持し、280℃に加熱保持した。酸化触
媒としての二酸化マンガンに全重量の5%のガンマアル
ミナを添加剤として混練し、これを結合材としての同じ
くリン酸希釈アルミニウムホスフェートに混合し、水で
粘度を調節してからスピンコーティングでセラミックフ
ィルタへ塗布、乾燥後、290℃で35分間焼成して作
製した。本発明の除害装置の処理効果については、実施
例4の場合と同様に、除害処理前のCVD排ガス中及び
処理後の排ガス中の全有機体炭素、一酸化炭素ならびに
テトラヒドロフラン過酸化物の濃度、それぞれ全有機体
炭素計、赤外式ガス濃度測定装置、ヨウ素滴定法を用い
て測定、評価した。結果を比較例4の結果とともに表4
に示す。
【0048】比較例4.実施例5と全く同様にしてCV
D法により同一条件で成膜を行い、図3の除害装置の還
元剤及びアルカリ剤処理部6ならびに酸化触媒処理部7
の替わりに、実施例5で用いた二酸化マンガン系触媒を
坦持したセラミック反応フィルタのみを280℃に加
熱、配置して用いた場合について、その除害効果を本発
明の場合と比較した。この結果を実施例5の結果ととも
に表4に示す。表4から明らかなように、表3の場合と
同様に本発明の除害装置の場合には、従来のものと比較
すると全有機体炭素及び一酸化炭素濃度とも高効率で除
害が可能であることが分かる。加えて、本発明の除害装
置においては、とくにテトラヒドロフラン過酸化物の濃
度が従来の除害装置と比べて格段に低くなるという実施
例4の場合と同じ効果が得られることが確認できた。実
施例5によれば、処理された排ガス、例えば一酸化炭素
では、許容濃度以下にまでに、低減されている。図3の
構成を図1に適用すれば、さらに除害効率が向上する。
このとき、従来と比べて燃焼部の前段で十分な処理がな
されているため燃焼部の負荷軽減が図れる。
【0049】
【表4】
【0050】実施例6.実施例4の場合において、酸化
触媒処理部7及びフィルタ22は350℃に加熱保持し
た酸化触媒を実施例4の通りにそのまま用い、同一材料
から成る還元剤及びアルカリ剤処理部6におけるフィル
タ17の加熱温度を変化させ、実施例4と同一のCVD
排ガスの除害効果を調査した。すなわち、フィルタ17
の加熱温度を室温から350℃まで変化させ、その際の
排ガス中における全有機体炭素濃度を実施例4と同様に
測定した。結果を表5に示す。なお、無処理の場合の排
ガス中の全有機体炭素濃度は、表3の場合と同一であ
る。表5は一例であるが、これから分かるように、本発
明の還元剤及びアルカリ剤については、150〜300
℃の温度範囲に加熱されている場合に、全有機体炭素濃
度が100ppm以下という極めて良好な除害効果を有す
ることが分かった。
【0051】
【表5】
【0052】実施例7.実施例1の場合において、還元
剤及びアルカリ剤処理部6ならびにフィルタ17は30
0℃に加熱保持した還元剤及びアルカリ剤を実施例1の
通りにそのまま用い、酸化触媒としての二酸化マンガン
をこれに併用した場合について、さらに詳細に除害効果
を調査した。すなわち、酸化触媒処理部7内に配置した
同一材料から成る酸化触媒フィルタ22の加熱温度を変
化させ、実施例1と同一のCVD排ガスの除害効果を調
査した。この場合、フィルタ22の加熱温度を200℃
から500℃まで変化させ、その際の排ガス中の全有機
体炭素濃度を実施例1及び6などと同様に測定した。結
果を表6に示す。なお、無処理の場合の排ガス中の全有
機体炭素濃度は、表1の場合と同一である。表6は一例
であるが、これから分かるように、本発明の酸化触媒に
ついては、250〜450℃の温度範囲に加熱されてい
る場合に、全有機体炭素濃度が100ppm以下という
極めて良好な除害効果を有することが分かった。
【0053】
【表6】
【0054】実施例8.実施例1から7で用いた本発明
の除害装置、及び各比較例で用いた従来の除害装置をそ
れぞれの実験後に解体し、内部を観察調査した。各実施
例及びそれと対応する各比較例では、それぞれ同一時間
除害処理を行ったにも係わらず、本発明の各除害装置に
おいては配管内壁や還元剤及びアルカリ剤フィルタ、な
らびに酸化触媒フィルタ等に付着物や粉末粒子による目
詰まりなどが生じていないことが確認された。これに対
して従来の除害装置においては、いずれも配管内壁や各
部内壁などにタール状生成物の付着が見られ、かつ酸化
触媒を担持したフィルタなどには生成した粉塵粒子によ
る目詰まりが各所で生じていることが分かった。したが
って、このまま連続して使用すると、従来の除害装置で
は排ガスの処理能力が急激に低下し、著しく除害処理寿
命が短くなることが容易に推定できた。
【0055】
【発明の効果】以上、この発明の排ガス除害装置は、有
機化合物溶液原料を用いたCVD反応炉の排気部に接続
され、前記排気部から排出されたガスが少なくとも還元
剤及びアルカリ剤が配置された処理部を通過するように
構成したので、また、還元剤を金属粉、亜硫酸塩、スズ
塩及び第1鉄塩の中から選ばれた少なくとも1種にし、
アルカリ剤を、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属炭
酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩及びアルカリ金属酸化
物の中から選ばれた少なくとも1種にし、これら、還元
剤及びアルカリ剤を150〜300℃に加熱したので、
排ガスの除害効率が向上するとともに、除害装置内での
目詰まり等の問題が低減し、除害装置の処理能力が維持
され、除害処理寿命も延長されるという効果を奏する。
【0056】さらに、上記排ガス除害装置において、還
元剤及びアルカリ剤の配置された処理部の少なくとも後
段に酸化触媒が配置された第2の処理部を備えた、酸化
触媒を、Pt、Pdのうちの少なくとも一種及び/またはF
e、Mn、Ni、Co、Cu及びCrから選ばれた少なくとも1種
とし、250〜450℃に加熱したので、より一層、排
ガスの除害効率が向上する。
【0057】上記、排ガス除害装置において、前段のC
VD反応炉で用いられる有機化合物溶液原料として、テ
トラヒドロフランに有機化合物が溶解された溶液を用い
た場合、従来の排ガス除外装置で処理するよりも優れた
除害効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排ガス除害装置の構成を説明するため
のも模式図である。
【図2】本発明の排ガス除害装置における還元剤及びア
ルカリ剤処理部の構成を示した図である。
【図3】本発明の排ガス除害装置における還元剤及びア
ルカリ剤処理部ならびに酸化触媒処理部の構成を示した
図である。
【図4】従来の排ガス除害装置の一般的な構成例を示し
た図である。
【符号の説明】
1 CVD原料供給系、 2 CVD気化系、 3
CVD反応炉、4 排ガス除害装置(系統)、 5
希釈部、還元剤及びアルカリ剤処理部、 7 酸化
触媒処理部、 8 燃焼部、9 スクラバー、14 反
応部内の空間、 15 処理部6への入り口配管、
16 処理部6からの出口配管、17 処理部6の内部
に設置されたフィルタ、 18 多孔質基材、19
還元剤及びアルカリ剤の粒子、 20 処理部6への
入り口配管、21 接続配管、 22 処理部7の
内部に設置されたフィルタ、23 処理部7からの出口
配管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 23/74 B01D 53/34 ZAB C23C 16/44 53/36 G (72)発明者 佐藤 剛彦 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 山田 朗 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 4D002 AB03 AC10 BA03 BA06 BA12 BA15 CA07 DA01 DA08 DA11 DA13 DA14 DA16 DA21 DA22 DA25 DA46 DA70 EA02 GA01 GB01 GB02 GB04 GB08 GB11 4D048 AA11 AA17 AB01 BA25X BA25Y BA28X BA28Y BA30X BA30Y BA31X BA31Y BA36X BA36Y BA37X BA37Y BA38X BA38Y CC38 CD01 CD05 CD08 EA07 4G069 AA03 AA08 BC58A BC58B BC62A BC62B BC66A BC66B BC67A BC67B BC68A BC68B BC72A BC75A BC75B CA02 CA07 CA19 DA06 EA07 FC07 4K030 AA06 EA12 KA49

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機化合物溶液原料を用いたCVD反応
    炉の排気部に接続され、前記排気部から排出されたガス
    が少なくとも還元剤及びアルカリ剤が配置された処理部
    を通過するように構成された排ガス除害装置。
  2. 【請求項2】 還元剤が、金属粉、亜硫酸塩、スズ塩及
    び第1鉄塩の中から選ばれた少なくとも1種のものであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の排ガス除害装置。
  3. 【請求項3】 アルカリ剤が、アルカリ金属ケイ酸塩、
    アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩及びア
    ルカリ金属酸化物の中から選ばれた少なくとも1種のも
    のであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス除害
    装置。
  4. 【請求項4】 還元剤及びアルカリ剤が150〜300
    ℃の温度範囲に加熱されることを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれか1項に記載の排ガス除害装置。
  5. 【請求項5】 還元剤及びアルカリ剤の配置された処理
    部の少なくとも後段に酸化触媒が配置された第2の処理
    部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の排ガス除
    害装置。
  6. 【請求項6】 酸化触媒が、Pt、Pdのうちの少なくとも
    一種及び/またはFe、Mn、Ni、Co、Cu及びCrから選ばれ
    た少なくとも1種の金属の酸化物であることを特徴とす
    る請求項5に記載の排ガス除害装置。
  7. 【請求項7】 酸化触媒が250〜450℃の温度範囲
    に加熱されることを特徴とする請求項5または6に記載
    の排ガス除害装置。
  8. 【請求項8】 有機化合物溶液原料が、テトラヒドロフ
    ランに有機化合物が溶解された溶液であることを特徴と
    する請求項1または5に記載の排ガス除害装置。
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