JP2001101776A - 光ディスクカムコーダー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ターンテーブル上に装着した光ディスクの回
転軸の振れを防止し、スキュー発生を防止して記録再生
特性を向上させるとともにトラッキング性能の向上を図
った光ディスクカムコーダーの軸受け構造を提供する。 【解決手段】 カムコーダー本体内のベースプレート上
にターンテーブル１０７および光学ピックアップを備
え、前記ターンテーブル上に装着した光ディスク１０６
の回転軸１２１，１３０を備えた光ディスクカムコーダ
ーの軸受け構造において、前記光ディスクの回転軸１２
１，１３０は、この光ディスク１０６の両側で軸受け１
１９，１２０に保持される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は光ディスクカムコー
ダーの光ディスク回転軸の軸受け構造に関する。より詳
しくは、回転軸の振れやスキューの防止を図った光ディ
スクカムコーダーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】光ディスクを記録媒体として用いた光デ
ィスクカムコーダーは、カメラ部に入力された映像及び
音声情報を光ディスクへ記録するための信号に変換し、
光学ピックアップにより光ディスクトラック上へデジタ
ル信号として記録する装置である。光学ピックアップは
発光源である半導体レーザーからのレーザー光を途中の
光学部品を通過して出射部である対物レンズにより光デ
ィスク上の目標トラック位置へ極小スポットとして集光
させることにより、光ディスク記録面の組成を変化させ
データの記録を行う。また、光ディスクからの反射光を
フォトディテクタ等の光電変換素子により電気信号とし
て読み取ることによりデータの再生を行う。

【０００３】光学ピックアップのレーザー光出射部であ
る対物レンズは、２軸アクチュエーター部に取付けられ
光ディスク記録面に対してフォーカシングするフォーカ
ス制御と、集光されたスポットが光ディスク上のトラッ
クを正確に追従するようにトラッキング制御が行われて
いる。対物レンズ光軸と光ディスク記録面との垂直度
は、信号の記録再生特性を左右する重要な要素でありこ
の垂直度のズレをＳＫＥＷ（スキュー）と呼ぶ。何らか
の原因により光ディスクが変形すると対物レンズ光軸と
光ディスク記録面との間でＳＫＥＷが発生し、光ディス
ク上に集光されるスポットに収差（コマ収差、非点収
差、球面収差等）が発生しこれが信号の記録再生特性を
悪化させる。

【０００４】図６はＳＫＥＷ（スキュー）の説明図であ
り、（Ａ）はスキューがない場合を示し、（Ｂ）はスキ
ューがある場合を示す。（Ａ）では光学ピックアップ２
の対物レンズ光軸Ｃが光ディスク１の法線（光ディスク
表面に垂直な線）と一致している。（Ｂ）では光ディス
ク１が傾斜してその法線Ｐが光学ピックアップ２の対物
レンズ光軸Ｃに対し傾斜しスキューが発生した状態とな
っている。

【０００５】図７は、スキューの変化による信号再生時
のＲＦ Ｊｉｔｔｅｒ（高周波ジッタ）の変化を示すグ
ラフである。図中、Ｒａｄ方向とは光学ピックアップの
シーク方向つまり光ディスクトラックの法線方向であ
り、Ｔａｎ方向とは光ディスクトラックの接線方向であ
る。図示したように、Ｒａｄ方向およびＴａｎ方向とも
にスキュー角度が僅かに発生するとジッタが大幅に悪化
する。

【０００６】光ディスクカムコーダーは、特に放送局や
業務用に使われる場合に、高画質、高音質、高信頼性が
要求される。図８は、このような光ディスクカムコーダ
ーの高機能モデルの外観を示し、（Ａ）は背面図、
（Ｂ）は側面図である。また、図９は、この光ディスク
カムコーダーの使用時の撮影姿勢の一例を示し、（Ａ）
は後から見た図、（Ｂ）は横から見た図である。

【０００７】このような光ディスクカムコーダーでは、
従来から一般的に使用されているビデオテープを記録媒
体として用いたカメラ一体型ＶＴＲとほぼ同等の大きさ
と重量を実現している。この光ディスクカムコーダーを
使用した場合の撮影姿勢は、図９に示すように、撮影者
が静止した状態ではカメラ（光ディスクカムコーダー）
に振動はほとんど加えられない。しかしながら、撮影者
が動きながら（例えば走りながら）撮影した場合には、
カメラが撮影者の頭等にぶつかり、カメラ本体に対し、
図１０に示すように、Ｒ方向の振動がローリング力とし
て作用する。また、カメラを手に持ちローアングルで撮
影したときにも同様な振動がカメラ本体に加わる。この
ような現象を本体部の「ローリング現象」と呼ぶ。

【０００８】カメラ本体にローリング現象が発生する
と、本体内部のベースプレート組体（光学ピックアップ
とそのシーク機構およびスピンドルモータ・チャッキン
グ部と光ディスクとで構成されるブロック）にこのロー
リング現象が伝わり、本体内部で回転している光ディス
ク８にはジャイロモーメントが作用し、光ディスク自体
が図１１に示すように変形する。この光ディスク８の変
形により、光学ピックアップの対物レンズ光軸と光ディ
スク記録面との間でスキューが発生して信号の記録再生
特性を悪化させる。

【０００９】図１２は従来の光ディスクのチャッキング
部の構造を示す。（Ａ）はチャッキング状態、（Ｂ）は
チャッキングを解除した状態を示す。光ディスク８は、
ターンテーブル９上に装着されその上からチャッキング
部材１５により押圧されて挟持される。チャッキング部
材１５はそのヨーク１４がターンテーブル９のマグネッ
ト１３に吸着することにより、光ディスク８をターンテ
ーブル９上に固定保持する。ターンテーブル９はスピン
ドルモータ１０の出力軸１２に装着される。出力軸１２
はスピンドルモータ１０内で軸受け１１により支持され
る。図中Ａ部は、本体から光ディスク（カートリッジ）
を排出する際にローディング機構部（図示しない）によ
りチャッキング部材１５をＢ方向に押上げることにより
チャッキングを解除する部分である。

【００１０】このような従来構造において、チャッキン
グ部材１５側の回転軸１６には軸受けが備らないため、
本体ローリング現象が発生すると、図中Ｊ方向に振れが
発生する。

【００１１】このように、光ディスクを記録媒体として
用いた光ディスクカムコーダーでは、撮影中に本体が揺
すられる状態（ローリング状態）が発生し、これにより
回転している光ディスクにジャイロモーメントが加わ
り、光ディスクを変形させるとともに、光ディスクに連
結され回転するスピンドルモータ軸に振れ（傾き）を発
生させてしまう。この光ディスク変形およびスピンドル
モータの振れにより、光学ピックアップの対物レンズ光
軸と光ディスク記録面との間に垂直度のズレであるＳＫ
ＥＷ（スキュー）が発生し、信号の記録再生特性を劣化
させる。また、スピンドルモータ軸の振れは、トラック
を偏心させトラッキング性能を悪化させる。

【００１２】上記図１２のような光ディスクの回転軸の
軸受け構造を有する光ディスクカムコーダーにおける外
部からの振動や衝撃に対する対策として、従来は、ベー
スプレート組体を本体筐体内部でバネまたはゴムダンパ
ー等で保持することにより、ベースプレート組体に直接
振動および衝撃が伝わらない構造を採用していた。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
回転軸受け構造の光ディスクカムコーダーのバネまたは
ゴムダンパーでは、ベースプレート組体に対する振動や
衝撃を充分に遮断することができず、本体にローリング
現象が発生すると、スピンドルモータを取付けたベース
プレート組体にもローリング現象が伝わってしまい、そ
の結果ターンテーブル上に装着され回転している光ディ
スクにジャイロモーメントが加わり、光学ピックアップ
の対物レンズ光軸と光ディスク記録面との間にスキュー
を発生させたり、光ディスクの回転軸であるスピンドル
モータ軸の傾き（振れ）を発生させ、記録再生特性およ
びトラッキング性能を劣化させていた。

【００１４】本発明は上記従来技術を考慮したものであ
って、ターンテーブル上に装着した光ディスクの回転軸
の振れを防止し、それによるスキュー発生を防止して記
録再生特性を向上させるとともにトラッキング性能の向
上を図った光ディスクカムコーダーの軸受け構造の提供
を目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、カムコーダー本体内のベースプレート
上にターンテーブルおよび光学ピックアップを備え、前
記ターンテーブル上に装着した光ディスクの回転軸を備
えた光ディスクカムコーダーの軸受け構造において、前
記光ディスクの回転軸は、この光ディスクの両側で軸受
けに保持されたことを特徴とする光ディスクカムコーダ
ーの軸受け構造を提供する。

【００１６】この構成によれば、光ディスクカムコーダ
ーにおける本体ローリング現象から光ディスクに加わる
ジャイロモーメントによるスピンドルモータ軸の傾き
（振れ）に対して、光ディスクを固定し回転しているチ
ャッキング部材を光ディスク上下面からの両端固定軸受
け構造とすることにより、スピンドルモータ軸の傾き
（振れ）を抑制し、対物レンズ光軸と光ディスク記録面
とのスキュー量を少なくすることができ、かつ光ディス
クトラックの偏心量が小さくなることによりトラッキン
グ特性を安定化することができる。これにより、スピン
ドルモータ内部の軸受け部には本体ローリング現象が生
じてもラジアル荷重が発生せず、軸受け自体の長寿命化
が達成でき信頼性を高めることができる。

【００１７】好ましい構成例では、前記ターンテーブル
側に設けた駆動モータの回転軸が軸受けに支持されると
ともに、前記光ディスクの前記ターンテーブルと反対側
の面にこのターンテーブルに光ディスクを押圧して保持
するチャッキング手段を備え、このチャッキング手段に
光ディスクの回転軸が設けられ、このチャッキング手段
側の回転軸が軸受けに支持されたことを特徴としてい
る。

【００１８】この構成によれば、光ディスクがその両面
側からターンテーブルおよびチャッキング手段により挟
持され、ターンテーブル側の駆動モータ（スピンドルモ
ータ）の回転軸およびチャッキング手段側の回転軸のそ
れぞれが軸受けに支持されるため、回転軸が光ディスク
の両側で確実に保持され回転軸の振れが防止され光ディ
スクの変形やスキューが防止される。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態について説明する。図１、図２および図３はそれ
ぞれ、本発明の実施の形態に係る光ディスクカムコーダ
ーの本体部分（カメラ部を除く）を側面、上面および正
面から見た内部構成図である。

【００２０】光ディスクカムコーダー本体（シャーシ
部）１０１の内部は、大きく区分すると電気基板１０２
が配置された部分と光ディスクドライブ１０３が配置さ
れた部分とで構成されている。光ディスクドライブ１０
３は、シャーシ部１０１に対して外部からの振動や衝撃
を吸収するダンパー１０４を介して取付けられている。
このダンパー１０４が取付けられているベースプレート
１０５には、光ディスク１０６を固定し回転するターン
テーブル１０７を付属したスピンドルモータ１０８と、
シーク送り機構部１０９を介して光ディスクへの信号の
記録再生を行う光学ピックアップ１１０が取付けられて
いる。

【００２１】光学ピックアップ１１０は、ベースプレー
ト１０５に固定されたシーク方向のガイド軸１１１をガ
イドにして光ディスク半径方向のシーク動作を行う。こ
のシーク動作を行う機構部がシーク送り機構部１０９で
あり、光学ピックアップ１１０に設けられたラップ部１
１２とベースプレート１０５上に設けられたギヤ列１１
３及び駆動モータ１１４で構成されている。光ディスク
カードリッジ（図示せず）に入れられた光ディスク１０
６は、カムコーダー本体１０１へ挿入された後、光ディ
スク（カードリッジ）１０６の運搬およびターンテーブ
ル１０９への位置決めが行われる。この動作を行うのが
ローディング機構部（図示せず）であり、この機構部に
光ディスク１０６をターンテーブル１０７へ固定するチ
ャッキング部材１１５がチャッキング保持部１１６を介
して取付けられている。本発明のチャッキング部材１１
５によるチャッキング力は、ターンテーブル１０７に固
定されたマグネット１１７とチャッキング部材１１５に
固定されたヨーク１１８との吸着力により発生させてお
り、光ディスク１０６をチャッキングした後は回転軸は
チャッキング保持部１１６に設けた軸受け１１９で支持
され回転する構造である。

【００２２】図４は、光ディスクのチャッキング部分の
詳細図である。図示したように、ターンテーブル１０７
を回転駆動するスピンドルモータ１０８の回転軸（スピ
ンドルモータ軸）１２１は、軸受け１２０で支持され
る。ターンテーブル１０７に対向して光ディスク１０６
を挟持して固定保持するチャッキング部材１１５側の回
転軸１３０はチャッキング保持部１１６に設けた軸受け
１１９に支持される。

【００２３】前述の図１１に示したように本体ローリン
グ現象が発生すると回転している光ディスクにはジャイ
ロモーメントが加わり変形が発生する。この時光ディス
クを保持し回転しているスピンドルモータ軸にも光ディ
スクに発生するジャイロモーメントの影響により図４の
Ｊ方向へ軸が振れようとする力が発生する。しかし、図
４で示すように光ディスク１０６の図中上側のチャッキ
ング部材側１１５にも軸受け１１９を設けているため、
実質上この上側の軸受け１１９とスピンドルモーター内
部の軸受け１２０との間でスピンドルモーター軸１２１
を保持することになりＪ方向の振れを抑制することがで
きる。その結果スピンドルモーター軸が振れることによ
り発生する光学ピックアップの対物レンズ光軸と光ディ
スク面とのＳＫＥＷの発生、及び光ディスク自体の偏心
を抑えることが可能になる。また、スピンドルモータ内
部での軸受け１２０自体も、スピンドルモータ軸１２１
が振れることにより発生する側圧（ラジアル荷重）を抑
制することができ、軸受け部の耐久性を向上する効果が
得られる。

【００２４】図５は光ディスク装着動作の説明図であ
り、（Ａ）は本体内へのカートリッジ挿入動作、（Ｂ）
は本体内でのターンテーブルへの装着動作を示す。
（Ａ）図に示すように、光ディスク１０６が収容された
カートリッジ１３１がカムコーダー本体１０１内に矢印
Ａのように挿入される。続いて、（Ｂ）図に示すよう
に、ローディング機構部（図示しない）によりチャッキ
ング保持部１１６をチャッキング部材１１５とともに矢
印Ｂのように移動させて、カートリッジ１３１をターン
テーブル１０７上に装着し、前述のようにターンテーブ
ル側のマグネット１１７とチャッキング部材側のヨーク
１１８とにより光ディスク１０６をチャッキングする。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下の効果が得られる。 （１）光ディスクカムコーダー本体にローリング現象が
発生しても、光ディスクに発生するジャイロモーメント
の影響によるスピンドルモータ軸の倒れや振れを抑制す
ることができる。これにより光学ピックアップ対物レン
ズ光軸と光ディスク記録面との間のＳＫＥＷ量を小さく
することができ、信号の記録再生特性が安定化する。
又、同時に光ディスクの偏心も小さくすることができる
ので、光学ピックアップ（対物レンズ）が光ディスクト
ラックを追従するためのトラッキングサーボ特性の安定
化にも効果がある。その結果として記録、再生時におけ
る画像、音声の乱れ、欠落といったトラブルを防止する
ことができる。

【００２６】（２）スピンドルモータ内部の軸受け部に
応力（スラスト荷重）が加わらないため、スピンドルモ
ータ自体の耐久性を向上することができる。これによ
り、光ディスクカムコーダー自体のスピンドルモータ交
換により発生するメンテナンスコストの削減、及び商品
として要求される信頼性が向上する。

【００２７】（３）スピンドルモータ軸の振れを抑制す
るために特別な構造の高価なモータを使う必要がなくな
り、コストダウンが図られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施の形態の要部側面構成図。

【図２】 図１の実施形態の上面構成図。

【図３】 図１の実施形態の正面構成図。

【図４】 図１の実施形態の光ディスクチャッキング部
分の詳細図。

【図５】 図１の実施形態の光ディスクローディング動
作の説明図。

【図６】 スキューの説明図。

【図７】 スキュー変化に対するＲＦジッタのグラフ。

【図８】 光ディスクカムコーダーの外観説明図。

【図９】 カムコーダーによる撮影姿勢一例の説明図。

【図１０】 カムコーダーに発生するローリング現象の
説明図。

【図１１】 本体ローリング現象から発生するジャイロ
モーメントと光ディスクの変形説明図。

【図１２】 従来の光ディスクチャッキング部分の説明
図。

【符号の説明】

１：光ディスク、２：光学ピックアップ、３：光ディス
クカムコーダー、４：カムコーダー本体、５：取手、
６：マイク、７：カメラレンズ、８：光ディスク、９：
ターンテーブル、１０：スピンドルモータ、１１：軸受
け、１２：回転軸、１３：マグネット、１４：ヨーク、
１５：チャッキング部材、１６：回転軸、１０１：光デ
ィスクカムコーダー本体（シャーシ部）、１０２：電気
基板（信号処理・制御系）、１０３：光ディスクドライ
ブ、１０４：耐振動・耐衝撃用ダンパー、１０５：ベー
スプレート、１０６：光ディスク、１０７：ターンテー
ブル、１０８：スピンドルモータ、１０９：シーク送り
機構部、１１０：光学ピックアップ、１１１：シーク方
向ガイド部、１１２：ラック部（光学ピックアップに付
属）、１１３：ギヤ列、１１４：シーク用駆動モータ、
１１５：チャッキング部材、１１６：チャッキング保持
部、１１７：マグネット、１１８：ヨーク、１１９，１
２０：軸受け、１２１：スピンドルモータ軸、１３０：
チャッキング部材側の回転軸、１３１：カートリッジ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】カムコーダー本体内のベースプレート上に
   ターンテーブルおよび光学ピックアップを備え、 前記ターンテーブル上に装着した光ディスクの回転軸を
   備えた光ディスクカムコーダーにおいて、 前記光ディスクの回転軸は、この光ディスクの両側で軸
   受けに保持されたことを特徴とする光ディスクカムコー
   ダー。
2. 【請求項２】前記ターンテーブル側に設けた駆動モータ
   の回転軸が軸受けに支持されるとともに、前記光ディス
   クの前記ターンテーブルと反対側の面にこのターンテー
   ブルに光ディスクを押圧して保持するチャッキング手段
   を備え、このチャッキング手段に光ディスクの回転軸が
   設けられ、このチャッキング手段側の回転軸が軸受けに
   支持されたことを特徴とする請求項１に記載の光ディス
   クカムコーダー。