JP2001098211A - 塗料組成物及び塗装金属板 - Google Patents

塗料組成物及び塗装金属板

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JP2001098211A
JP2001098211A JP27390899A JP27390899A JP2001098211A JP 2001098211 A JP2001098211 A JP 2001098211A JP 27390899 A JP27390899 A JP 27390899A JP 27390899 A JP27390899 A JP 27390899A JP 2001098211 A JP2001098211 A JP 2001098211A
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hydroxyl group
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Kunio Shimizu
邦雄 清水
Yasuteru Kajikawa
泰照 梶川
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温での加工性及び高温での耐ブロッキング
性の両者を満足する模様塗膜を形成できる凹凸仕上げ用
塗料を得る。 【解決手段】水酸基含有ポリエステル樹脂(A)60〜
95重量部及びアミノ樹脂(B)5〜40重量部の合計
量100重量部に対して、平均粒子径0.2〜80μm
の有機高分子微粒子(C)2〜40重量部、及び水酸基
を有するセルロースエステルに環状エステル類を開環グ
ラフト重合させて得られるセルロースエステル誘導体
(D)1〜15重量部を含有する塗料組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温時の加工性及
び高温時の耐ブロッキング性に優れ、かつ意匠性に優れ
た凹凸模様を有する塗膜を形成できる凹凸仕上げ用塗料
組成物、特に器物加工用のプレコート塗装鋼板用として
適した塗料組成物、及びこの塗料組成物を塗装してなる
塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、VTR、ラジカセ、電子レンジな
どの家電製品は、意匠性を要求される器物に加工され
る。この器物の塗装鋼板用の上塗塗料としては、ポリエ
ステル樹脂を基体樹脂として、メラミン樹脂又はイソシ
アネート化合物を硬化剤とした組成物を樹脂成分とする
有機溶剤型塗料に、有機樹脂微粒子を混合した凹凸仕上
げ用塗料が使用されている。なかでも、硬化剤として、
メラミン樹脂、特にメチルエーテル化メラミン樹脂との
混合物に、硬化触媒を配合した塗料が多く用いられてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の塗料を塗装
した塗装鋼板は、器物に加工する場合、一般に季節を問
わず、プレス成型などによって成型加工されるが、冬場
の低温においては、塗膜の加工性が劣るため、冬場の加
工性を良くすることは極めて重要である。例えば、寒冷
地域での成型加工は、0℃で行われることも少なくない
ため、塗膜のガラス転移温度は、50℃以下でないと十
分な加工性が得られないという現状にある。一方、加工
性を重要視して、塗膜のガラス転移温度を低下させる
と、塗装鋼板をシート状に堆積したり、コイル状に巻き
取った場合、特に夏場の高温において、その荷重によ
り、塗膜のブロッキングを生じやすくなるという問題が
ある。
【0004】上記のように、低温での加工性及び高温で
の耐ブロッキング性の両者を満足する塗膜を形成できる
凹凸仕上げ用塗料は現在見出されておらず、これらを満
足する塗料の開発が急務となっている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、低温での
加工性及び高温での耐ブロッキング性の両者を満足し、
模様塗膜を形成できる凹凸仕上げ用塗料を得るべく鋭意
研究の結果、有機高分子微粒子を含有するポリエステル
−アミド樹脂系凹凸仕上げ用塗料において、水酸基を有
するセルロースエステルに、環状エステル類を開環グラ
フト重合させて得られるセルロースエステル誘導体を配
合することによって、上記目的を達成できることを見出
し本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明の第1は、水酸基含有ポリ
エステル樹脂(A)60〜95重量%及びアミノ樹脂硬
化剤(B)40〜5重量%((A)と(B)の合計は1
00重量%である。)の混合物100重量部に対して、
平均粒子径0.2〜80μmの有機高分子微粒子(C)
2〜40重量部、及び水酸基を有するセルロースエステ
ルに環状エステル類を開環グラフト重合させて得られる
セルロースエステル誘導体(D)1〜15重量部を含有
してなる塗料組成物を提供する。本発明の第2は、水酸
基含有ポリエステル樹脂(A)が、オイルフリーポリエ
ステル樹脂、アルキド樹脂、及び/又はこれらの樹脂の
変性物であることを特徴とする本発明の第1に記載の塗
料組成物を提供する。本発明の第3は、水酸基含有ポリ
エステル樹脂(A)が、数平均分子量1,000〜3
5,000、ガラス転移温度−25〜35℃、水酸基価
3〜100mgKOH/gを有することを特徴とする本発明の
第2に記載の塗料組成物を提供する。本発明の第4は、
アミノ樹脂硬化剤(B)が、メチルエーテル化メラミン
樹脂、又はメチルエーテル化メラミン樹脂とブチルエー
テル化メラミン樹脂との混合メラミン樹脂であることを
特徴とする本発明の第1に記載の塗料組成物を提供す
る。本発明の第5は、水酸基含有ポリエステル樹脂
(A)とアミノ樹脂硬化剤(B)との合計100重量部
に対して、さらに防錆顔料(E)を1〜20重量部含有
することを特徴とする本発明の第1に記載の塗料組成物
を提供する。本発明の第6は、金属板上に、プライマー
塗膜を介して、又は介さずに、本発明の第1〜5の何れ
かに記載の塗料組成物の硬化塗膜が形成されてなる塗装
金属板を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】初めに、本発明における樹脂組成
物を構成する樹脂成分について説明する。 (A)水酸基を含有するポリエステル樹脂 本発明の組成物において、(A)成分であるポリエステ
ル樹脂は、水酸基を含有するポリエステル樹脂であり、
オイルフリーポリエステル樹脂、アルキド樹脂、及び/
又はこれらの樹脂の変性物、例えば、ウレタン変性ポリ
エステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂、エポキシ変
性ポリエステル樹脂などのいずれであってもよい。
【0008】上記水酸基含有ポリエステル樹脂(A)
は、得られる塗膜の加工性、塗膜硬度、耐溶剤性、耐汚
染性、及び樹脂の取扱い易さなどの観点から、数平均分
子量1,000〜35,000、ガラス転移温度−25
〜35℃、水酸基価3〜100mgKOH/gを有することが
好ましく、数平均分子量1,500〜33,000、ガ
ラス転移温度−20〜25℃、水酸基価3〜70mgKOH/
gを有することがさらに好ましい。ポリエステル樹脂
(A)において、数平均分子量が1,000未満では塗
膜の加工性が低下し、一方、35,000を超えると、
樹脂が高粘度となって、取扱い難くなるとともに、塗装
時の塗装作業性が低下する。またガラス転移温度が−2
5℃未満では、得られる塗膜の硬度が低くなってしま
い、一方、35℃を超えると塗膜の加工性が低下する。
また水酸基価が3mgKOH/g未満では、塗膜の耐溶剤性
(硬化性)が低下し、一方、100mgKOH/gを超えると
塗膜の加工性が低下する。
【0009】本発明において、ガラス転移温度(Tg)
は、示差熱分析(DSC)によるものであり、また数平
均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によ
って、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの
である。ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、加工性
に重点を置く場合は、30℃以下であることがより好ま
しく、塗膜硬度(耐ブロッキング性、耐キズ性に関係す
る。)に重点を置く場合は、15℃以上であることがよ
り好ましい。
【0010】上記オイルフリーポリエステル樹脂は、主
に多塩基酸と多価アルコールとのエステル化物であっ
て、多塩基酸としては、例えば、(無水)フタル酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フ
マル酸、(無水)マレイン酸、テトラヒドロ(無水)フ
タル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸などの群から選
ばれた1種以上の二塩基酸及びこれらの酸の低級アルキ
ルエステル化物が主に用いられる。酸成分としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、及びこれらの酸のメチルエ
ステルのような低級アルキルエステル化物が特に好まし
い。必要に応じて安息香酸、クロトン酸、p−tert−ブ
チル安息香酸などの一塩基酸;(無水)トリメリット
酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、(無水)ピ
ロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などを併用する
こともできる。多価アルコールとしては、例えば、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオールなどの二価アルコールが
主に用いられる。さらに必要に応じて、グリセリン、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用
することもできる。多塩基酸と多価アルコールの両成分
のエステル化又はエステル交換反応は、公知の方法で行
える。
【0011】アルキド樹脂は、上記オイルフリーポリエ
ステル樹脂の酸成分及びアルコール成分に加えて、油脂
肪酸を公知の方法で反応せしめたものである。油脂肪酸
としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマ
ニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱
水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸などが挙げられる。ア
ルキド樹脂の油長は30%以下が好ましい。
【0012】ウレタン変性ポリエステル樹脂は、上記オ
イルフリーポリエステル樹脂、又は上記オイルフリーポ
リエステルの製造の際の、酸成分及びアルコール成分を
反応させて得られる低分子量のオイルフリーポリエステ
ル樹脂を、ポリイソシアネート化合物と公知の方法で反
応せしめたものである。またウレタン変性アルキド樹脂
は、上記アルキド樹脂、又は上記アルキド樹脂製造の際
の各成分を反応させて得られる低分子量のアルキド樹脂
を、ポリイソシアネート化合物と公知の方法で反応せし
めたものである。
【0013】ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン
変性アルキド樹脂を製造する際に使用するポリイソシア
ネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−
メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,
4,6−トリイソシアネートトルエンなどが挙げられ
る。
【0014】エポキシ変性ポリエステル樹脂としては、
上記ポリエステル樹脂の製造に使用する各成分から製造
したポリエステル樹脂を用い、この樹脂のカルボキシル
基とエポキシ基含有樹脂との反応生成物や、ポリエステ
ル樹脂中の水酸基とエポキシ樹脂中の水酸基とをポリイ
ソシアネート化合物を介して結合した生成物などの、ポ
リエステル樹脂とエポキシ樹脂とを付加、縮合、グラフ
トなどの反応による反応生成物を挙げることができる。
【0015】(B)アミノ樹脂硬化剤 本発明の組成物における(B)成分であるアミノ樹脂硬
化剤としては、例えば、メラミン樹脂や、他のアミノ樹
脂である尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、スピログア
ナミン樹脂などを挙げることができるが、メラミン樹脂
が好ましく、なかでもメチルエーテル化メラミン樹脂、
又はメチルエーテル化メラミン樹脂とブチルエーテル化
メラミン樹脂との混合物であることが好適である。
【0016】上記メチルエーテル化メラミン樹脂は、メ
ラミンとホルムアルデヒドとの付加反応生成物(1量体
又は多量体)であるメチロール化メラミン樹脂中のメチ
ロール基の一部又は全部をメタノールのみでエーテル化
したメチルエーテル化メラミン樹脂、及びメチロール化
メラミン樹脂中のメチロール基の一部又は全部をメタノ
ールと他の炭素数2〜4のアルコール、例えば、エタノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノ
ールなどとの混合アルコールによって混合エーテル化し
たメラミン樹脂(混基エーテル化メラミン樹脂)の両者
を包含する。混基エーテル化メラミン樹脂を使用する場
合には、上記性質のどちらの性質を優先させるかに応じ
て、混基比率を選んで使用することができる。相溶性の
劣るアルキルエーテル化メラミン樹脂が塗膜表面に移行
する性質を優先する場合には、メチルエーテル基は全エ
ーテル基の50%未満にし、塗膜内部の架橋が行われる
性質を優先する場合にはメチルエーテル基は全エーテル
基の50%以上にすることが好ましい。
【0017】上記メチルエーテル化メラミン樹脂として
は、メチルエーテル化されたメチロール基の数が、トリ
アジン核1個当り、平均で3.0個以上、数平均分子量
が1,000以下であるものが、ポリエステル樹脂
(A)との相溶性、得られる塗膜の耐汚染性、加工性な
どの点から好ましい。
【0018】上記好ましいメチルエーテル化メラミン樹
脂の市販品としては、例えば、サイメル303、同32
5、同327、同350、同730、同736、同73
8〔いずれも三井サイテック(株)製〕、メラン52
2、同523〔いずれも日立化成(株)製〕、ニカラッ
クMS001、同MX650〔三和ケミカル(株)
製〕、スミマールM−55〔住友化学(株)製〕、レジ
ミン740、同747〔いずれもモンサント社製〕など
のメチルエーテル化メラミン樹脂;サイメル232、同
266、同XV−514〔いずれも三井サイテック
(株)製〕、ニカラックMX500、同MX600、同
MS95〔いずれも三和ケミカル(株)製〕、レジミン
753、同755〔いずれもモンサント社製〕などのメ
チルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラ
ミン樹脂などを挙げることができる。
【0019】上記メチルエーテル化メラミン樹脂と混合
して使用するブチルエーテル化メラミン樹脂は、メラミ
ンとホルムアルデヒドとの付加反応生成物(1量体又は
多量体)であるメチロール化メラミン樹脂中のメチロー
ル基の一部又は全部をn−ブチルアルコール又はイソブ
チルアルコールでエーテル化したものであり、得られる
塗料の塗料安定性、得られる塗膜の耐汚染性などの点か
ら数平均分子量が800〜8,000の範囲であること
が好ましく、1,000〜3,000の範囲にあること
がさらに好ましい。
【0020】上記好ましいブチルエーテル化メラミン樹
脂の市販品としては、例えば、ユーバン20SE、同2
8SE〔いずれも三井化学(株)製〕、スーパーベッカ
ミンJ−820−60、同L−117−60、同L−1
09−65、同G−821−60、同47−508−6
0、同L−118−60〔いずれも大日本インキ化学工
業(株)製〕などを挙げることができる。メチルエーテ
ル化メラミン樹脂にブチルエーテル化メラミン樹脂を併
用することにより、ポリエステル樹脂との相溶性の劣る
ブチルエーテル化メラミン樹脂が塗膜表面に移行し、こ
の硬化膜が耐汚染性に優れた効果を発揮するとともに、
塗膜硬度にも有利である。塗膜内部の架橋は、主として
メチルエーテル化メラミン樹脂によって行うことができ
ることから加工性の点でも有利である。
【0021】本発明の組成物において、(B)成分とし
てメチルエーテル化メラミン樹脂又はこの樹脂と前記他
のアミノ樹脂との混合物を使用する場合には、硬化触媒
として酸触媒を併用して硬化反応を促進させることが好
ましい。
【0022】この硬化触媒(e)としては、強酸、強酸
の中和物などがあり、代表例として、p−トルエンスル
ホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタ
レンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸など
の強度の酸であるスルホン酸化合物、これらのスルホン
酸化合物のアミン中和物などを挙げることができる。こ
れらのうち、塗料の安定性、反応促進効果、得られる塗
膜の物性などの点から、p−トルエンスルホン酸のアミ
ン中和物及び/又はドデシルベンゼンスルホン酸のアミ
ン中和物が好適である。
【0023】硬化触媒(e)の使用量は、(A)成分と
(B)成分との合計100重量部に対して、酸化合物の
量に換算した値として、0.1〜3.0重量部であるこ
とが好適である。
【0024】(C)有機高分子微粒子 本発明の組成物における(C)成分である有機高分子微
粒子としては、平均粒子径0.2〜80μm、好ましく
は3〜50μmを有する有機高分子微粒子であって、塗
料の硬化時に溶融、流展せずに、硬化後においても粒子
として存在し、塗面に凹凸を付与することができるもの
である。
【0025】この微粒子の有機高分子樹脂種としては、
ポリアミド樹脂(ナイロン11、ナイロン12など)、
シリコン樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレ
ン、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン三元共
重合体、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン
樹脂、メラミン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フェノール
樹脂などを挙げることができ、その中でも、ポリアミド
樹脂が付着性、耐食性、耐擦傷性の面から好適である。
【0026】(D)セルロースエステル誘導体 本発明の組成物における(D)成分である水酸基を有す
るセルロースエステルに環状エステル類を開環グラフト
重合させて得られるセルロースエステル誘導体に関し
て、水酸基を有するセルロースエステルとは、セルロー
スの水酸基がその一部を残して酸によりエステル化され
たものを指す。セルロースエステルとしては、例えば、
セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオ
ネート、セルロースアセテートブチレート、セルロース
アセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロース
エステル類が例示できる。これらの内、セルロースアセ
テート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロ
ースアセテートブチレートが好ましく、特にセルロース
アセテートが有用である。酸とセルロースのグルコース
単位を有する水酸基とからなるエステル結合は、平均1
〜2.9個、即ち置換度1〜2.9が好ましく、従って
残存水酸基は平均0.1〜2個が好ましいが、特に0.
2〜1.3個が好ましい。
【0027】本発明に係る環状エステルとしては、開環
重合し得る物であれば特に限定されるものではなく、例
えば、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε
−カプロラクトン、α、α−ジメチル−β−プロピオラ
クトン、β−エチル−δ−バレロラクトン、α−メチル
ラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン、γ−メチ
ル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε
−カプロラクトン、3,5,5−トリメチル−ε−カプ
ロラクトン、エナントラクトン等のラクトン類、グリコ
リド、ラクチドなどの環状エステルなどが挙げられる。
本発明に係る環状エステルとしては、単一種類のものに
限定されるものではなく、上記各種のものを複数組み合
わせたものでもよい。尚、環状エステルとしては、とり
わけ工業的に入手しやすく、比較的安価であり、セルロ
ースアセテート等、本発明に係るセルロースエステルと
の相溶性の優れたε−カプロラクトンが特に好適であ
る。
【0028】本発明において、セルロースエステル誘導
体(D)を得るための水酸基を有するセルロースエステ
ルと環状エステルの仕込み比率には特に制限はなく、塗
料組成物の使用形態によって、適宜選択することができ
る。しかし、水酸基を有するセルロースエステルに環状
エステルをグラフト重合を行うには、一般に前者の1〜
85wt%に対して後者の99〜15wt%(両者の合
計は100wt%である。)の比率が望ましい。水酸基
を有するセルロースエステルの仕込み比率が85wt%
を超えると反応系の粘度が著しく高くなり、取り扱いに
くくなる。また、逆に、1wt%未満では耐熱性などの
セルロースエステルの特徴が失われて好ましくない。粘
度が高すぎて取り扱い難いときには、補助的に第三成分
として、セルロースアセテート及び環状エステルとの相
溶性の良い活性水素を持たない有機溶剤を加えることに
よって系の粘度を下げ、反応させやすくすることも可能
である。
【0029】本発明に係る、水酸基を有するセルロース
エステルに環状エステル、特にラクトン類をグラフト重
合させる反応に用いられる触媒としては、通常環状エス
テルの開環反応に用いられる触媒、即ち、ナトリウムや
カリウム等のアルカリ金属及びそのアルコキシドなどの
誘導体、トリエチルアルミニウムで代表されるアルキル
アルミニウム及びその誘導体、チタン酸テトラブチルで
代表されるアルコキシチタン化合物、オクチル酸スズ、
ジブチルスズラウリレート等の有機金属又は金属錯体、
有機スズなどの金属ハロゲン化物が挙げられる。尚、本
発明に係るセルロースエステル誘導体を製造するために
用いられる好ましい触媒はオクチル酸スズである。
【0030】本発明に係るグラフト重合体である上記セ
ルロースエステル誘導体(D)を得るためには、通常の
攪拌機、還流冷却器(但し、乾燥管付き)付き反応器を
使用するほか、二軸押出機が好ましく使用される。
【0031】本発明に係る上記誘導体を得るための重合
温度は、通常、環状エステルの開環重合に適用されてい
る温度が好適であり、100〜210℃が好ましい。ま
た、上記重合反応時間は、水酸基を有するセルロースエ
ステルと環状エステルのそれぞれの種類、仕込み比率、
触媒の種類と量、反応温度、さらには反応装置により異
なり、特に制限されるものではないが、好ましくは1時
間〜8時間である。また本発明に係るグラフト重合体を
得るに際して、重合反応に用いられる各原料、窒素、反
応機等については、十分乾燥させておくことが望まし
い。更に反応系の水分は0.1wt%以下、好ましくは
0.01wt%以下、より好ましくは0.001wt%
以下である。
【0032】この様な水酸基を有するセルロースエステ
ルと環状エステルの仕込み割合で重合反応させた平均的
なグラフト重合体は、グルコース単位中の残存水酸基当
たり、ε−カプロラクトン1〜50、好ましくは3〜3
0、更に好ましくは5〜20モル付加重合してなる構造
を有するものが最も好ましい。この様なセルロースエス
テル誘導体(D)としては、重量平均分子量が5万〜1
00万の範囲のもの、好ましくは8万〜80万のもので
ある。重量平均分子量が5万未満では、塗膜の強度が不
充分となりやすい。又、重量平均分子量が100万を超
えると、グラフト重合体の粘度が高過ぎて、塗膜の平滑
性が低くなり塗装上の問題が生じやすい。(D)成分は
前もって溶剤に溶解させておき、溶液として配合するこ
とができる。(D)成分を配合することによって、加工
性を保持しながら耐ブロッキング性を向上させることが
できる。
【0033】本発明組成物において、(A)、(B)、
(C)及び(D)成分の配合量は、以下のとおりであ
る。水酸基含有ポリエステル樹脂(A)とアミノ樹脂硬
化剤(B)との配合比率は、固形分重量%比で、(A)
/(B)が、60/40〜95/5の範囲であり、好ま
しくは70/30〜85/15の範囲((A)と(B)
の合計は100重量%である。)である。(A)成分が
60重量%未満となると、塗膜の加工性が低下し、一
方、(A)成分が95重量%を超えると、得られる塗膜
の耐ブロッキング性、耐汚染性、硬度、耐溶剤性などが
低下する。
【0034】有機高分子微粒子(C)の配合量は、
(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対し
て、2〜40重量部の範囲であり、好ましくは3〜20
重量部の範囲である。(C)成分の配合量が2重量部未
満では、凹凸が疎らになって塗膜の意匠性が低下し、一
方、40重量部を超えると、塗料の塗装作業性が低下す
るとともに得られる塗膜の加工性が低下する。
【0035】水酸基を有するセルロースエステルに環状
エステル類を開環グラフト重合させて得られるセルロー
スエステル誘導体(D)の配合量は、(A)成分と
(B)成分との合計100重量部に対して、1〜15重
量部の範囲であり、好ましくは2〜8重量部の範囲であ
る。(D)成分の配合量が1重量部未満では、耐ブロッ
キング性向上の効果が十分でなく、一方、15重量部を
超えると、塗膜の硬化性が劣り塗膜の密着性が低下する
とともに、塗料の塗装時の不揮発分が低下し塗装作業性
が悪くなる。
【0036】本発明の塗料組成物は、上記(A)、
(B)、(C)及び(D)成分のみからなっていてもよ
いが、取扱い上、及び塗装性の面などから通常、有機溶
剤が含有せしめられる。
【0037】上記有機溶剤としては、上記(A)、
(B)、(C)及び(D)の各成分を溶解ないしは分散
できるものが使用でき、具体的には、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系
溶剤;トルエン、キシレン、高沸点石油系炭化水素など
の炭化水素系溶剤;エチレングリコールモノエチルエー
テル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル系溶
剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノ
エチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ
エチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤などが
挙げられ、これらは単独で、又は2種以上混合して使用
することができる。
【0038】本発明の塗料組成物は、顔料を含有しない
クリヤ塗料として使用することができるが、着色顔料を
含有するエナメル塗料としても使用できる。着色顔料と
しては塗料分野で使用できる着色顔料、例えば、シアニ
ンブルー、シアニングリーン、アゾ系やキナクリドン系
などの有機赤顔料などの有機着色顔料;チタン白、チタ
ンエロー、ベンガラ、カーボンブラック、黄鉛、各種焼
成顔料などの無機着色顔料が使用できる。
【0039】また、本発明の組成物は、必要に応じて、
クロム酸ストロンチウム、クロム酸亜鉛、クロム酸バリ
ウム、クロム酸カルシウムなどの防錆顔料(E);タル
ク、クレー、シリカ、マイカ、アルミナなどの体質顔
料;充填剤、添加剤などを含有していてもよい。防錆顔
料(E)の配合は、本発明の組成物を金属板上にプライ
マー塗膜を介さずに塗装する場合に特に効果的であり、
塗装金属板の耐食性を向上させることができる。防錆顔
料(E)の配合量は、ポリエステル樹脂(A)とメラミ
ン樹脂硬化剤(B)との合計100重量部に対して20
重量部以下の範囲であることが好ましく、プライマーを
介さずに塗装する場合には1〜20重量部の範囲である
ことが好適である。なお、プライマーを介する場合は、
プライマーに防錆効果があるために、1重量部以下でよ
い。
【0040】本発明の塗料組成物を塗装する被塗装物と
しては、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッ
キ鋼板、合金メッキ鋼板、アルミニウム板、ステンレス
鋼板、銅板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼板などの金属板
又はこれらの金属板に、リン酸塩系やクロム酸塩系など
の表面処理を施した金属板が好適であるが、プラスチッ
クス、木材、セメントなどにも適用可能である。
【0041】また上記塗料は、これらの被塗物に直接
に、又はプライマー塗膜を介して塗装することができ
る。プライマーとしては、エポキシ系、ポリエステル
系、アクリル系及びこれらの変性プライマーなどが挙げ
られ、加工性の面からポリエステルプライマーが特に好
適である。プライマー塗膜の膜厚は特に限定されるもの
ではないが、通常1〜15μm、好ましくは2〜8μm
の範囲である。
【0042】本発明に係る塗装金属板は、上記金属板上
に、上記プライマー塗膜を介して、又は介さずに本発明
の塗料組成物の硬化塗膜が形成されてなるものである。
【0043】本発明の塗料組成物の塗装方法は、カーテ
ンフロー塗装、ロール塗装、浸漬塗装及びスプレー塗装
などが可能であり、通常、乾燥した後の塗膜厚が5〜3
0μmの範囲内となるよう塗装される。また上記塗料の
硬化は、塗料が硬化する温度−焼付時間の中から適宜設
定できるが、コイルコーティングなどによって塗装する
プレコート塗装分野においては、通常、素材到達最高温
度160〜260℃で15〜90秒の範囲、特に200
〜230℃で、30〜70秒の範囲が好適である。
【0044】本発明の塗料組成物は、ポリエステル−ア
ミノ樹脂系凹凸仕上げ塗料であって、水酸基を有するセ
ルロースエステルに環状エステル類を開環グラフト重合
させて得られるセルロースエステル誘導体(D)を配合
することによって、これまで達成できなかった低温での
加工性と高温での耐ブロッキング性の両者を達成したも
のである。この塗料組成物を塗装した塗装鋼板は、冬場
の寒冷地における低温での加工性及び夏場の高温下での
積重ねなどにおける耐ブロッキング性のいずれにおいて
も優れた性能を示す。本発明の塗料組成物は、意匠性に
優れた凹凸仕上げ塗膜を形成できることから家電製品な
どの意匠性を要求される器物に加工される塗装鋼板用の
上塗塗料として特に好適なものである。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、以下の「部」及び「%」はいずれも重量基準
である。
【0046】[合成例1,2](セルロースエステル誘導
体(D1、D2)の合成) 攪拌機、温度計、還流冷却管(上部に乾燥管付き)を備
えた反応器に、絶乾燥セルロースアセテート(ダイセル
化学工業(株)製、酢化度55%、置換度2.45、表
1では酢綿と記す。)、精製ε−カプロラクトンを表1
に示す重量比率で加え、反応系内の水分濃度を0.1w
t%以下にして、180℃に加熱し、攪拌してセルロー
スアセテートを均一に溶解させた。溶解を確かめた後、
触媒としてオクチル酸スズ(II価)0.24部を滴下に
より加え、4時間反応させた後、グラフト物を反応器よ
り取り出した。
【0047】
【表1】
【0048】[実施例1〜8及び比較例1〜7]表2に示
す組成配合にて、塗料化を行い各上塗塗料を得た。厚さ
0.5mmのクロメート処理電気亜鉛メッキ鋼板上に、
関西ペイント社製KPカラー8620プライマー(プレ
コート鋼板用ポリエステル系プライマー)を乾燥膜厚が
5μmとなるように塗装し、素材到達温度220℃とな
るように45秒間焼付け、プライマー塗装鋼板を得た。
このプライマー塗装鋼板上に、上記のようにして得た各
上塗塗料をバーコータにて、乾燥膜厚が約18μmとな
るよう塗装し、素材到達最高温度が220℃となるよう
に60秒間焼付けて各上塗塗装鋼板を得た。得られた塗
装鋼板について各種試験を行った。その試験結果を表3
に示す。
【0049】なお表2におけるポリエステル樹脂(A1
〜A4)及びメラミン樹脂(B1〜B2)の量は、固形分
重量による表示であり、硬化触媒(e1〜e2)の量は、
それぞれのスルホン酸化合物の量に換算して重量表示し
た。なお、実施例及び比較例において塗料化に際して
は、黒顔料であるカーボンブラックを配合した。また、
セルロースエステル誘導体(D1〜D2)は、メチルエチ
ルケトン/トルエン/キシレン/酢酸ブチル=2/1/
1/1(重量比)の混合溶剤に溶解させ、固形分20%
溶液として使用した。なお、表2では固形分として表示
した。さらに、シクロヘキサノン/スワゾール1500
(コスモ石油(株)製、芳香族石油系高沸点溶剤)=6
0/40(重量比)の混合溶剤を、塗料粘度調整などの
ために使用した。塗装に際しては、塗料粘度をフォード
カップ#4で約100秒(25℃)に調整した。
【0050】[実施例9]実施例1において、クロメート
処理電気亜鉛メッキ鋼板上に、プライマーを塗装せず
に、この鋼板に直接に、表2に記載の配合の塗料組成物
を塗装する以外は実施例1と同様に行って、上塗塗膜を
形成した上塗塗装鋼板を得た。得られた塗装鋼板につい
て各種試験を行った。その結果を表3に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】表2中の(註)は、それぞれ下記のとおり
である。(A1)〜(A4)の水酸基含有ポリエステル樹
脂は、いずれも東洋紡績(株)製のポリエステル樹脂で
あり、下記表4に示す性状値を有する。
【0054】
【表4】
【0055】(B1)サイメル303:三井サイテック
(株)製、数平均分子量1,000以下の低分子量メチ
ルエーテル化メラミン樹脂、ヘキサキス(メトキシメチ
ル)メラミンの含有量が60重量%以上。 (B2)スーパーベッカミンJ−820−60:大日本
インキ化学工業(株)製、n−ブチルエーテル化メラミ
ン樹脂。 (C1)オルガソール2002ES3:仏国、アト・シ
ミー社製、平均粒径約30μmのナイロン12微粒子。 (C2)オルガソール2002ES5:仏国、アト・シ
ミー社製、平均粒径約50μmのナイロン12微粒子。 (C3)TEXTURE5378:シャムロックケミカ
ル社製、平均粒径約25μmのポリプロピレン微粒子。 (D1)水酸基を有するセルロースエステルに環状エス
テル類を開環グラフト重合させて得られるセルロースエ
ステル誘導体 (D2)水酸基を有するセルロースエステルに環状エス
テル類を開環グラフト重合させて得られるセルロースエ
ステル誘導体 (e1)PTSA中和物(硬化触媒):p−トルエンス
ルホン酸のジn−ブチルアミンによる中和物。酸のアミ
ンによる中和当量は1.0。 (e2)DDBSA中和物(硬化触媒):ドデシルベン
ゼンスルホン酸のジメチルオキサゾリジンによる中和
物。酸のアミンによる中和当量は1.0。
【0056】表3中における試験は下記試験法に従って
行った。 試験方法塗面外観:塗面(30cm×30cm)の凹凸の均
一性を肉眼で観察し次の基準で評価した。 ◎:凹凸感の偏りがなく、反射光が均一なもの。 ○:反射光が周囲と異なる場所が1〜4ケ所あるもの。 △:同上場所が5〜10ケ所のもの。 ×:同上場所が10ケ所以上のもの。 折曲げ加工性:20℃及び0℃の室内において、塗面を
外側にして試験板を180度折曲げて、折曲げ部分にワ
レが発生しなくなる下記T数を表示した。T数とは、折
曲げ部分の内側に何もはさまずに180度折曲げを行っ
た場合を0T、試験板と同じ厚さの板を1枚はさんで折
曲げた場合を1T、2枚の場合を2T、・・・・・・、6枚の
場合を6Tとした。
【0057】耐衝撃性:JIS K5400 8.3.
2(1990)デュポン式耐衝撃性試験に準じて、落錘
重量500g、撃芯の尖端直径1/2インチ、落錘高さ
50cmの条件にて塗装板の塗面に衝撃を加えた。ついで
衝撃を加えた部分にセロハン粘着テープを貼着し、瞬時
にテープを剥がしたときの塗膜の剥がれ程度を評価し
た。 ○:塗面に剥がれが認められない。 △:塗面にわずかの剥がれが認められる。 ×:塗面にかなりの剥がれが認められる。 密着性:試験板の塗膜表面にカッターナイフで素地に到
達するように、直交する縦横11本ずつの平行直線を1
mm間隔で引いて、1×1mmのます目100個を作成し
た。この塗面にセロハン粘着テープを貼着し、テープを
急激に剥がした後の塗面を観察し下記基準で評価した。 ○:塗膜の剥離が全く認められない。 △:わずかに剥離したが、ます目の残存数は90個以上
である。 ×:多く剥離し、ます目の残存数は90個未満である。 耐ブロッキング性:2枚の試験板の塗面同士を合わせ
て、温度50℃、加重80kg/cm2の条件で24時間密着
させた後、板を剥がした。その剥がし易さを評価した。 ◎:塗面同士が全くくっつかず板が容易にとれる。 ○:塗面同士がわずかにくっつくが、板が容易にとれ
る。 △:塗面同士がかなりくっつき、板を剥がすのに力を要
するが、剥がした塗面に異常は認められない。 ×:塗面同士が強くくっつき、剥がすと塗面に異常が認
められる。 耐溶剤性:20℃の室内にてメチルエチルケトンを浸み
込ませたガーゼにて塗面に約1kg/cm2の荷重をかけて約
5cmの長さの間を往復させた。プライマー塗膜(プライ
マー塗膜なし(ワンコート)の場合は鋼板)が見えるま
での往復回数を記録した。50回の往復でプライマー塗
膜(ワンコートの場合は鋼板)が見えないものは50<
と表示した。 耐食性:JIS Z2371塩水噴霧試験で、500時
間後の平面部における白錆発生の面積率で評価した。 ◎:面積率1%未満 ○:面積率1%以上10%未満 △:面積率10%以上30%未満 ×:面積率30%以上
【0058】上記の試験結果において、比較例1では、
セルロースエステル誘導体(D)が欠けており、耐ブロ
ッキング性が劣っている。比較例2では、水酸基含有ポ
リエステル樹脂A1の配合割合が本発明の範囲未満であ
り、折り曲げ加工性、耐衝撃性、密着性、耐ブロッキン
グ性などが劣っている。比較例3では、水酸基含有ポリ
エステル樹脂A1の配合割合が本発明の範囲を超えてお
り、耐ブロッキング性が劣っている。比較例4では、水
酸基含有ポリエステル樹脂のTgが本発明の範囲を超え
ており、折り曲げ加工性、耐衝撃性、密着性などが劣っ
ている。比較例5では、本発明に係るセルロースエステ
ル誘導体(D)が欠けており、耐ブロッキング性が劣っ
ている。比較例6では、本発明に係る有機高分子微粒子
(C)の配合割合が本発明の範囲未満であり、塗面外観
が劣っている。また、比較例7では、本発明に係るセル
ロースエステル誘導体(D)の配合割合が本発明の範囲
を超えており、耐衝撃性及び密着性が劣っている。
【0059】
【発明の効果】本発明の塗料組成物は、冬場の寒冷地に
おける低温での加工性及び夏場の高温下での積重ねなど
における耐ブロッキング性のいずれにおいても優れた性
能を示す。また、意匠性に優れた凹凸仕上げ塗膜を形成
できることから家電製品などの意匠性を要求される器物
に加工される塗装鋼板用の上塗塗料として特に好適なも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 161/20 C09D 161/20 Fターム(参考) 4D075 CA02 DA06 DB01 DC10 EB35 EB36 EB52 EB53 EC07 EC15 EC37 EC53 4J038 BA042 DA142 DA162 DA172 DD001 DD121 GA03 KA03 KA08 MA02 MA13 MA14 NA03 PA07 PC02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基含有ポリエステル樹脂(A)60
    〜95重量%及びアミノ樹脂硬化剤(B)40〜5重量
    %((A)と(B)の合計は100重量%である。)の
    混合物100重量部に対して、平均粒子径0.2〜80
    μmの有機高分子微粒子(C)2〜40重量部、及び水
    酸基を有するセルロースエステルに環状エステル類を開
    環グラフト重合させて得られるセルロースエステル誘導
    体(D)1〜15重量部を含有してなる塗料組成物。
  2. 【請求項2】 水酸基含有ポリエステル樹脂(A)が、
    オイルフリーポリエステル樹脂、アルキド樹脂、及び/
    又はこれらの樹脂の変性物であることを特徴とする請求
    項1記載の塗料組成物。
  3. 【請求項3】 水酸基含有ポリエステル樹脂(A)が、
    数平均分子量1,000〜35,000、ガラス転移温
    度−25〜35℃、水酸基価3〜100mgKOH/gを有す
    ることを特徴とする請求項2記載の塗料組成物。
  4. 【請求項4】 アミノ樹脂硬化剤(B)が、メチルエー
    テル化メラミン樹脂、又はメチルエーテル化メラミン樹
    脂とブチルエーテル化メラミン樹脂との混合メラミン樹
    脂であることを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
  5. 【請求項5】 水酸基含有ポリエステル樹脂(A)とア
    ミノ樹脂硬化剤(B)との合計100重量部に対して、
    さらに防錆顔料(E)を1〜20重量部含有することを
    特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
  6. 【請求項6】 金属板上に、プライマー塗膜を介して、
    又は介さずに、請求項1〜5の何れかに記載の塗料組成
    物の硬化塗膜が形成されてなる塗装金属板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005534798A (ja) * 2002-08-08 2005-11-17 ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト 被覆材料および溶接可能な被覆物を製造するための該被覆材料の使用

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JP2005534798A (ja) * 2002-08-08 2005-11-17 ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト 被覆材料および溶接可能な被覆物を製造するための該被覆材料の使用

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