JP2001096888A - 複写防止印刷物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラー複写機等を用いた複写の有無を即座に
識別して、カラー複写機等による偽造を確実に防ぐ。 【解決手段】 本発明の印刷物は、基材１上に色相の異
なった茶色系インキ２及び緑色系インキ３を用いて絵柄
をペア印刷する。この印刷物は、見た目では互いに著し
く異なった色相でパターンが構成されているが、カラー
複写機等により複写した際には、茶色系インキで印刷し
た部分は全く色相の異なる黄緑色に変化し、緑色系イン
キで印刷した部分は黄緑色に変化して同色化してパター
ンの認識ができなくなる。この複写防止印刷物は、従来
のものに比べて印刷物と複写物との色相のコントラスト
が極めて大きく、容易に偽造の有無を判別することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カラー複写機等を
用いた偽造を困難にした有価証券、証明書等の複写防止
印刷物に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近の複写機の精度向上は著しく、特に
最新の電子写真方式の普及により、有価証券類及びパス
ポート等は容易に複製または偽造される危険性がある。
そのため、従来よりカラー複写機を用いて偽造を防止す
る方法として種々の方法が試みられている。複写防止用
の印刷物として代表されるものとして、メタメリズム
（条件等色）の原理を応用した印刷物については周知の
事実である（例えば、特公昭６０−５８７１１号公報、
特公昭６１−３７６３６号公報）。また、昼光蛍光顔料
を用いたインキは、カラー複写機により色が変化する特
徴を利用した印刷物（例えば特開平７−８９２８４号公
報）があるが、今日のように複写機のデジタル化が進
み、色及び階調補正機能が著しく向上し、従来の技術だ
けでは偽造防止効果が薄れつつあり、より一層のカラー
複写機等を用いた偽造防止策の出現が強く望まれている
のが現状である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】今日のようにカラー複
写機のデジタル化が進み、解像度や色補正機能が著しく
向上したため、従来のメタメリックインキや昼光蛍光顔
料を用いたインキによる複写防止技術では偽造防止は不
十分である。本発明は上述の点に鑑みなされたもので、
農業用として開発され、しかもその中で従来とは特性が
異なる新規な波長変換材料である昼光蛍光オレンジ顔料
〔日本曹達（株）製〕を利用し、該顔料と通常顔料とを
組み合わせたペアインキが、目視による視認性とカラー
複写に対する非視認性に有効な分光反射特性を有する点
に着目し本発明を完成するに至った。

【０００４】本発明のペアインキでは、比視感度が高
く、カラー複写用感光材料の感光波長域に含まれない５
００〜６００ｎｍの可視波長域では反射率に大きな差異
があり、比視感度が低く、カラー複写用感光材料の感光
波長域に含まれる５００ｎｍ以下と６００ｎｍ以上では
分光反射率が逆転している点に着目して、視認性パター
ンを比視認性とする効果を見いだした。これによって、
カラー複写機等を用いた複写の有無を即座に識別して、
カラー複写機等による偽造を確実に防ぐことができる印
刷物を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、鋭意研究を重ねた結果、波長変換材料
である昼光蛍光オレンジ顔料を新しく利用し、通常顔料
との組み合わせによるペアインキが、目視による視認性
とカラー複写防止に対して有効な分光反射特性を有する
点に着目し、本発明を完成するに至った。

【０００６】上記課題を解決するために、本発明は、カ
ラー複写機等による偽造防止を目的とした印刷物とし
て、背景パターン及び視認性パターンを複写して非視認
性とする少なくとも２種以上の色材を隣接して配置した
複写防止印刷物において、基材上に、前記色材が分光反
射特性で５００ｎｍより長波長側の５００〜６００ｎｍ
及び６００ｎｍ以上の領域で高い反射率を有し、かつ、
５００ｎｍ以下の短波長側の領域で低い反射率を有する
インキと、該インキに対し、５００ｎｍより長波長側の
５００〜６００ｎｍ及び６００ｎｍ以上の領域で低い反
射率を有し、かつ、５００ｎｍ以下の短波長側の領域で
高い反射率を有するインキとの、少なくとも２種以上の
インキからなる視認性パターンを互いに隣接して形成し
たことを特徴とする複写防止印刷物である。

【０００７】また、波長変換材料である昼光蛍光オレン
ジ顔料及び通常の緑色顔料を混合して作製した茶色系イ
ンキと、通常の緑色顔料及び黄色顔料を混合して作製し
た緑色系インキとからなる、前記少なくとも２種のイン
キからなる視認性パターンを互いに隣接して形成したこ
とを特徴とする複写防止印刷物である。

【０００８】

【発明の実施の形態】昼光蛍光顔料を用いたインキは、
カラー複写機等の複写により、色相が変化または消失す
る特徴がある。また、これまでのカラー複写機等の調査
により、通常顔料を用いたインキについても複写機の色
再現範囲外のある特定の色彩を有するものは、印刷物と
複写物との間で色差が生ずることが明らかになってい
る。

【０００９】例えば、一般に使用されているカラー複写
機用感光材料は、可視波長域における感光波長域は連続
ではなく、不連続であり、５６０〜６００ｎｍ付近に非
感光波長域を有する。一方、波長が約４００〜７００ｎ
ｍのいわゆる可視光線は、人間の目に感じられるが、波
長の光を認識しうる度合いは、一般的に知られている比
視感度曲線に示されるように波長により異なり、一般に
５００〜６００ｎｍでは比視感度が高く、４００〜５０
０ｎｍ及び６００〜７００ｎｍでは比視感度が低く、人
間の目では判別しにくい。したがって、一般に上記カラ
ー複写用感光材料の非感光波長域は、比視感度の高い領
域に含まれているということになる。そこで、カラー複
写用感光材料の感光波長域に含まれる可視波長域で透過
若しくは反射分光特性に差異をもち、かつ、該感光材料
の可視波長域で透過若しくは反射特性が同等な、少なく
とも２種の色材により形成されたパターンは人間の目に
は識別できるが、一旦カラー複写を行うと同色になり判
別され得なくなることが知られている。

【００１０】本発明のペアインキでは、５００〜６００
ｎｍの可視波長域では反射率に大きな差異があり、５０
０ｎｍ以下と６００ｎｍ以上の可視波長域では分光反射
率が５００ｎｍを境にして逆転している点に着目して、
視認性パターンを非視認性とする効果を見いだし、本発
明の複写防止印刷物はこれらの性質を応用したものであ
る。

【００１１】即ち、本発明の複写防止印刷物は、昼光蛍
光オレンジと通常顔料である緑色顔料とを混合して作製
した茶色系インキを用いて絵柄の一部を印刷し、残りの
絵柄の一部を緑色顔料と通常顔料である黄色顔料とを混
合して作製した緑色系インキを用いて印刷する。このよ
うに作製したペア印刷物は、見た目では色相が全く異な
るためパターンを認識できるが、この印刷物をカラー複
写機を通すことにより、茶色系インキを用いて印刷した
絵柄部分は黄緑色に複写され、緑色系インキを用いて印
刷した絵柄部分は黄緑色に複写され、同色化することに
よりパターンの認識ができなくなり、複写機等による偽
造を防止することができる。

【００１２】

【実施例】以下、上記のような考え方に基づく本発明の
一実施例について詳細に説明するが、本発明はこの実施
例によってなんら限定されるものではない。

【００１３】図１（ａ）に示したように、基材１上に任
意の絵柄を茶色系インキ２を用いて印刷し、図１（ｂ）
に示した図１（ａ）と異なる任意の絵柄を緑色系インキ
３を用いて、図１（ｃ）に示すように印刷することによ
り、複写防止印刷物を得ることができる。ここで、基材
とは上質紙、コート紙、証券用紙等をはじめとする各種
の用紙及びフィルム等が挙げられる。

【００１４】なお、上記茶色系インキは、昼光蛍光オレ
ンジに緑色顔料としてフタロシアニングリーン２Ｙを混
合して作製したインキであり、緑色系インキとは、フタ
ロシアニングリーン２Ｙと黄色系顔料としてアゾイエロ
ーＦＧとを混合して作製したインキである。なお、昼光
蛍光オレンジは、特開平１０−６６３６号公報記載のも
のであり、フタロシアニングリーン２Ｙ及びアゾイエロ
ーＦＧは公知の顔料である。

【００１５】以上のように構成した本実施例の印刷物
は、図２（ａ）に示される分光特性をもつ茶色系インキ
２及び緑色系インキ３の複数のインキを用いて印刷して
いるために、見た目では互いに著しく異なった色相でパ
ターンが構成されていることが判別できる。また、茶色
系インキ２には昼光蛍光オレンジを使用しているが、通
常顔料と混合しているために蛍光インキ特有の発色がな
く、緑色系インキ３（通常顔料）とペア印刷しても何等
違和感を感じることはない。

【００１６】本実施例の図１（ｃ）に示される印刷物を
カラー複写機（キャノン製ディジタル複写機ＣＬＣ８０
０）を使用して複写した結果、得られた複写物は図１
（ａ）の絵柄で構成される茶色系インキ２及び図１
（ｂ）の絵柄で構成される緑色系インキ３はいずれも黄
緑色に変化し、図１（ｄ）に示したように同色化するた
めにパターンの認識ができず、印刷物とは全く異なり複
写物であることが即座に判別できる。なお、複写物の分
光反射率曲線図２（ｂ）に示されるように、複写により
同じ色相に変化していることが分かる。

【００１７】

【発明の効果】本発明の複写防止印刷物は、基材上に色
相の異なった茶色系及び緑色系インキを用いて絵柄を隣
接して印刷し、茶色系として波長変換材料である昼光蛍
光オレンジと通常顔料である緑色顔料とを混合したイン
キと、緑色系として通常の緑色顔料と通常の黄色顔料と
を混合して作製した緑色系インキとにすることにより、
この印刷物は見た目では互いに著しく異なった色相でパ
ターンが構成されているが、カラー複写機等により複写
した際には、茶色系インキで印刷した部分は全く色相の
異なる黄緑色に変化し、緑色系インキで印刷した部分
は、黄緑色に変化して同色化するためパターンの認識が
できなくなる。従ってこの複写防止印刷物は、従来のも
のに比べて、印刷物と複写物との色相のコントラストが
極めて大きく、容易に偽造の有無を判別することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１（ａ）】本発明の茶色系インキの絵柄を示す図。

【図１（ｂ）】本発明の緑色系インキの絵柄を示す図。

【図１（ｃ）】本発明の複写防止印刷物の構成を示す
図。

【図１（ｄ）】複写物の絵柄を示す図。

【図２（ａ）】本発明の茶色系インキ及び緑色系インキ
を用いた印刷物の分光反射率を示す図。

【図２（ｂ）】複写物の分光反射率を示す図。

【符号の説明】 １ 印刷基材 ２ 茶色系インキ ３ 緑色系インキ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カラー複写機等による偽造防止を目的と
   した印刷物として、背景パターン及び視認性パターンを
   複写して非視認性とする少なくとも２種以上の色材を隣
   接して配置した複写防止印刷物において、基材上に、前
   記色材が分光反射特性で５００ｎｍより長波長側の５０
   ０〜６００ｎｍ及び６００ｎｍ以上の領域で高い反射率
   を有し、かつ、５００ｎｍ以下の短波長側の領域で低い
   反射率を有するインキと、該インキに対し、５００ｎｍ
   より長波長側の５００〜６００ｎｍ及び６００ｎｍ以上
   の領域で低い反射率を有し、かつ、５００ｎｍ以下の短
   波長側の領域で高い反射率を有するインキとの、少なく
   とも２種以上のインキからなる視認性パターンを互いに
   隣接して形成したことを特徴とする複写防止印刷物。
2. 【請求項２】 波長変換材料である昼光蛍光オレンジ顔
   料及び通常の緑色顔料を混合して作製した茶色系インキ
   と、通常の緑色顔料及び黄色顔料を混合して作製した緑
   色系インキとからなる、前記少なくとも２種のインキか
   らなる視認性パターンを互いに隣接して形成したことを
   特徴とする請求項１記載の複写防止印刷物。