JP2001096420A - 金属板剪断用丸刃 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属板剪断用丸刃、特に径の大きい丸刃にお
いて、刃先が摩耗したときなどに行なう研削修理のため
の刃替え作業や研削作業が容易で安全に行なうことがで
きるような丸刃にすると共に、大径のままで廃刃となる
ような材料の無駄をなくすようにする。また、普通サイ
ズの金属板剪断用丸刃においては刃先部を超硬合金など
のような高価な材料で形成する丸刃を単純な構造とし、
経済的に得られるようにする。 【解決手段】 円板状の台金２の少なくとも一側面の外
周部に環状の切欠段部５を設けて円板状の凸部９を形成
し、その円板状の凸部９の円周面に当接する内側弧面を
備えた複数の扇状の刃先チップ３を円板状の凸部の周囲
にねじにより環状に取付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板や非鉄金属板
などの金属板を複数条にスリツトするスリッター装置や
金属板の両サイドをトリミングするサイドトリンマー装
置等に用いられる金属板剪断用丸刃の改良に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来より、板状、又は帯状の金属板の両
サイドの欠陥部を除去したり、金属板の幅を揃えたりす
るためにはサイドトリマー装置によるトリミングが行な
われ、又広幅の金属板を幅方向で複数条に分割して所定
幅の金属帯を得るのにはスリッター装置によるスリット
切断が行なわれている。このサイドトリミングやスリッ
ト切断は例えば図４の（イ）（ロ）に示すように、上下
に対をなす上丸刃１４と下丸刃１５の刃先同士を所定の
位置関係で上下に相対峙させ、それぞれ反対方向（切断
方向）に回転させてその間に金属板１１を通すことによ
り切断が行なわれるようになっている。

【０００３】図４の（イ）はサイドトリミングのときの
上下丸刃の組み合わせを示し、図４の（ロ）はスリット
切断のときの上下丸刃の組み合わせであり、それぞれ図
において符号１２は上回転軸、符号１３は下回転軸を表
し、一般的には上回転軸１２と下回転軸１３は軸受け手
段（図示せず）によって平行に支持されている。そして
金属板１１が厚板鋼板等の場合には上丸刃１４及び下丸
刃１５は例えば外径が８００ｍｍ〜１０００ｍｍ、更に
大径のものでは外径が１５００ｍｍにおよぶものもあ
る。このような大径丸刃の場合にはその丸刃の材質には
主に金型用合金工具鋼（ＳＫＤ材など）が用いられてい
る。

【０００４】また金属板１１が厚物でない鋼板や非鉄金
属板の場合には上丸刃１４及び下丸刃１５の外径は前記
の大径丸刃より小さな径の丸刃となり、このような丸刃
の場合にはその丸刃の材質としては、前記同様の金型用
合金工具鋼等に加えて高速度工具鋼や超硬合金などが用
いられているが、超硬合金を利用した丸刃の場合にはか
なりの小径サイズの丸刃は別として丸刃全体を超硬合金
で形成したのでは高価なものになってしまうことより、
例えば特開平６−３２０３２６号公報に示されているよ
うにろう付けや焼きばめ及び回り止め手段等を複合的に
利用して環状の超硬合金からなる刃体と他の材質からな
る中間部材と基体とを一体に構成して複合刃物とした超
硬合金製の剪断用丸刃が用いられていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
厚板鋼板剪断用丸刃のような大径丸刃の場合にはその重
量は非常に重いものとなり、その結果、所定量の金属板
の剪断加工によって刃先が摩耗した丸刃を研削修理する
ために行なう刃替え作業や研削作業のときの丸刃の取り
扱いが大変な作業となっていた。また、繰り返される研
削修理によって外径が廃刃寸法に達したとしてもその廃
刃の寸法は大きなものであることに変わりはなく、廃刃
としてかなりの鋼材が無駄になっていた。また、大径丸
刃でない場合でもその外径の大きさによっては、丸刃全
体を高速度工具鋼や粉末高速度工具鋼等で形成したので
はやはり高価な丸刃となってしまうし、外径側のみを環
状の超硬合金とした複合丸刃の場合には前述したように
複雑な構成となるために製造工程が煩雑なものとなり、
その結果同様に高価な丸刃となっていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、中央部に回転
軸への取付孔が設けられ円板状に形成された台金と、該
台金にねじにより着脱可能に支持される複数の刃先チッ
プとを備えてなる金属板剪断用丸刃であり、前記台金
は、少なくとも一側面の外周部に環状の切欠段部を設け
ることによって形成される円板状の凸部を有し、前記刃
先チップは、前記台金の前記円板状の凸部の円周面に当
接する内側弧面を備えた扇状に形成されており、複数の
前記刃先チップを前記円板状の凸部の周囲に環状に取り
付けて金属板剪断用丸刃とし、刃先が摩耗したときには
扇状の刃先チップを取り外して別の刃先チップと交換す
るか、又は取り外した刃先チップを別に準備した治具等
を用いて研削修理することができるようにしたものであ
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図１及び図２を参照しながら説明する。図１は本発明
の金属板剪断用丸刃１の斜視図であり、図２は図１の金
属板剪断用丸刃１から扇形状の刃先チツプ３を取り外し
た状態を示す断面図である。

【０００８】図において、円板状に形成された台金２に
は回転軸（図示せず）への取付孔４がその台金２の外周
面８と同軸に設けられており、その取付孔４の軸心と台
金２の両側面６，７，とはほぼ直角に交わるようになっ
ている。そして、台金２の少なくとも一方の側面の外周
部には環状の切欠段部５が設けられ、その切欠断部５に
よって取付孔４と同軸な円板状の凸部９が形成されてい
る。また、刃先チップ３は扇状に形成されており、その
内側弧面の形状は台金２の円板状の凸部９の円周面に当
接する形状とされている。そして、台金２の環状の切欠
段部５には複数の扇状の刃先チップ３が円板状の凸部９
の周囲に環状に連続してねじによりそれぞれ取付けられ
ている。次に、円板状の凸部９の周囲に取付けられて環
状となっている刃先チップ３、３、のその環状体の外径
Ｔは台金２の外周面８の外径Ｄとほぼ等しいか、または
所定の寸法だけ大きく形成されている。

【０００９】

【実施例】次に、図３により本発明の実施例について説
明する。図はそれぞれ本発明の金属板剪断用丸刃１の断
面を示す図である。図３の（イ）及び（ロ）は主にサイ
ドトリンマー装置用として用いられる金属板剪断用丸刃
１であり、台金２には一方の側面の外周部のみに環状の
切欠段部５が設けられている。そして、（イ）の金属板
剪断用丸刃１は円板状の凸部９の周囲に取付けられて環
状となっている刃先チップ３，３，のその環状体の外径
Ｔと台金２の外周面８の外径Ｄとほぼ同一寸法としたも
のである。また、（ロ）の金属板剪断用丸刃１は円板状
の凸部９の周囲に取付けられて環状となっている刃先チ
ップ３，３，のその環状体の外径Ｔは台金２の外周面８
の外径Ｄに比べて所定寸法だけ大径としたものである。

【００１０】図３の（ハ）（ニ）は主にスリッター装置
用として用いられる金属板剪断用丸刃１であり、台金２
には両側面の外周部にそれぞれ環状の切欠段部５が設け
られている。そして、（ハ）の金属板剪断用丸刃１は円
板状の凸部９の周囲に取付けられて環状となっている刃
先チップ３，３，のその環状体の外径Ｔと台金２の外周
面８の外径Ｄとほぼ同一寸法としたものである。また、
（ニ）の金属板剪断用丸刃１は円板状の凸部９の周囲に
取付けられて環状となっている刃先チップ３，３、のそ
の環状体の外径Ｔは台金２の外周面８の外径Ｄに比べて
所定寸法だけ大径としたものである。

【００１１】次に、台金２と刃先チップ３との材質の組
合せの実施例について説明する。剪断される金属板が厚
板鋼板であって金属板剪断用丸刃１が大径丸刃となる場
合には、台金２を機械構造用炭素鋼（Ｓ４５Ｃ材など）
で形成し、刃先チップ３としては金型用合金工具鋼（Ｓ
ＫＤ材など）を用い、所定の熱処理と所定の機械加工を
施して扇状の刃先チップ３とした。そして、このような
大径丸刃の場合には円板状の凸部９の周囲に取付けられ
て環状となっている刃先チップ３，３，のその環状体の
外径Ｔは台金２の外周面８の外径Ｄに比べて所定寸法だ
け大径とし、刃先チップ３を所定回数の研削修理が可能
な形状とした。

【００１２】剪断される金属板が厚板鋼板ではなく、そ
のため金属板用剪断丸刃１が大径丸刃でない場合の台金
２と刃先チップ３との材質の組合せとしては、台金２を
機械構造用炭素鋼（Ｓ４５Ｃ材など）や金型用合金工具
鋼（ＳＫＤ材など）により形成し、刃先チップ３として
は、金型用合金工具鋼、高速度工具鋼、粉末高速度工具
鋼、超硬合金、或いはサーメットなどで形成することが
できる。そして、この場合の刃先チップ３の環状体の外
径寸法Ｔは、刃先チツプ３を研削修理可能な丸刃とする
か、使い捨て方式とするかによって台金２の外周面８の
外径Ｄより大径とするか、或いは同一にするかを決めれ
ばよい。また、刃先チップ３をサーメットや超硬合金で
形成する場合にはそれぞれの刃先チップの刃先縁に微小
の面取りを施すようにした方が刃先のチッピング防止の
ために好ましい。尚、この台金２と刃先チップ３の材質
については、上述した実施例に限定されるものでなく、
適宜各種の材質を選定することができることは当然であ
る。

【００１３】図３においては、それぞれ刃先チップ３の
幅と台金２の切欠段部５の幅とがほぼ同一寸法の実施例
について図示したが、刃先チツプ３の幅は切欠段部５の
幅より狭くても、また広くして台金２の側面より出っ張
るようにしてもよいが、切断位置の調整を正確なものに
するとの観点から、刃先チップ３の幅と台金２の切欠段
部５の幅とは同じ幅になるように構成する方が好まし
い。

【００１４】

【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、次
のような効果を奏する。即ち、大径丸刃の場合には、刃
先の研削修理を行なうときに大径丸刃全体を取り扱う必
要がなく、扇状をした複数の刃先チップを取り外して、
別に準備した刃先チツプと交換するか、又は別に準備し
た治具などを利用しての研削修理が可能になるので、作
業性がよく、かつ作業が安全なものになる。また、台金
は長期間の利用が可能になるので大径の状態で廃刃とし
て捨てていた従来のような無駄もなくなる。また大径丸
刃でない場合でも前記同様の効果があることに加えて、
刃先チツプのみを例えばサーメットや超硬合金などの高
価な材料で形成することにより丸刃全体を高価な材料で
形成する必要がなくなるので経済的な金属板剪断用丸刃
を得ることができ、従来の超硬合金製複合丸刃のように
複雑な構成の丸刃とする必要もなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の金属板剪断用丸刃の実施の形態を示す
斜視図である。

【図２】本発明の金属板剪断用丸刃から扇状の刃先チッ
プを取り外した状態を示す断面図である。

【図３】本発明の金属板剪断用丸刃の実施例を示す断面
図である。

【図４】サイドトリミングのときの上下丸刃の組み合
せ、及び、スリット切断のときの上下丸刃の組み合せを
示す概略図である。

【符号の説明】

１ 金属板剪断用丸刃 ２ 台金 ３ 刃先チップ ４ 回転軸への取付け孔 ５ 切欠段部 ６ 台金の側面 ７ 台金の側面 ８ 外周面 ９ 円板状の凸部 １１ 金属板 １２ 上回転軸 １３ 下回転軸 １４ 上丸刃 １５ 下丸刃

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中央部に回転軸への取付孔が設けられて
   円板状に形成された台金と、該台金にねじにより着脱可
   能に支持される複数の刃先チップとを備えてなる金属板
   剪断用丸刃であり、前記台金は、少なくとも一側面の外
   周部に環状の切欠段部を設けることによって形成される
   円板状の凸部を有し、前記刃先チップは、前記台金の前
   記円板状の凸部の円周面に当接する内側弧面を備えた扇
   状に形成され、複数の前記刃先チップが前記円板状の凸
   部の周囲に環状に取り付けられていることを特徴とする
   金属板剪断用丸刃。