JP2001096350A - 圧延用複合ロールの製造方法 - Google Patents
圧延用複合ロールの製造方法Info
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Abstract
させて、未凝固溶湯を撹拌しつつ凝固させることによ
り、年輪状偏析のない均質な圧延用複合ロールを提供す
る。 【解決手段】 重量%にて、少なくとも、Cを1.0〜
4.0%、Mo及び/又はWを合計量で1.0〜16.0
%含有する鋳鉄材溶湯20を、回転する遠心力鋳造用金型
10に供給し、遠心力鋳造によって外層を作製するステッ
プと、作製された外層の内側に内層を溶着一体化するス
テップを有する圧延用複合ロールの製造方法において、
遠心力鋳造用金型10の外周には、金型内を貫通する直流
磁界を形成するように一対の磁気コイル30,31が配備さ
れており、外層を作製するステップは、金型内面から1
5mm内側に離れた位置磁束密度Bの最大値Bmaxが、Bm
ax≧10mT(ミリテスラ)となるように直流磁界を印加
しつつ実施する。
Description
用の複合ロールの製造方法の改良に関するものである。
耐摩耗性、内部側に強靱性が要求されることから、耐摩
耗性にすぐれるハイス系鋳鉄材の外層と、強靱性にすぐ
れる鋳鉄又は鋳鋼材の内層を複合化したロールが従来よ
り使用されている。この複合ロールは、一般的には、横
型遠心力鋳造用金型の中にハイス系鋳鉄材の溶湯を鋳込
んで中空の外層を形成した後、引き続いて内層用溶湯を
鋳込んで中空状としたり、或いは外層形成後、遠心力鋳
造用金型を上型、下型と共に直立設置し、静置鋳造によ
り内層を鋳込んで中実状に作製される。
は、Cr、Mo、W、V等の炭化物形成元素を相当量含
んでおり、溶湯の凝固過程で炭化物を晶出する。この晶
出炭化物が耐摩耗性の向上に大きく寄与する。ところ
で、このハイス系材料を用いて、遠心力鋳造によりロー
ル外層を作製した場合、炭化物は、均一に分布して晶出
するのではなく、炭化物量の多い層と少ない層とが交互
にほぼ同心円状に形成されることが、外層横断面のミク
ロ組織観察によって認められる。この炭化物の濃淡層
は、一般に、年輪状偏析(バンド状偏析)と称されてい
る。
も、横型遠心力鋳造の場合に特に発生し易いことが判っ
ている。この理由は、横型遠心力鋳造の場合、図7に示
すように、溶湯に対して、上昇時に重力による減速力、
下降時に重力による加速力が働いて、上部での流速は小
さく、下部での流速は大きくなるためである。この現象
から、遠心力鋳造時における年輪状偏析の発生原因の1
つとして、凝固途中の溶湯の回転速度が変化しているこ
とが考えられる。
な同心円ではないため、ロールの外層表面には炭化物の
多い高硬度領域と炭化物の少ない低硬度領域が存在す
る。それゆえ、実際の圧延作業において、ロール外表面
は、炭化物の多い領域では摩耗が生じ難く、一方炭化物
の少ない領域では摩耗を生じ易いことから、ロールの外
表面に摩耗差が生じ、それが圧延製品に転写されて、品
質に影響を及ぼす。圧延製品の転写模様を回避するに
は、ロール表面の研磨をより頻繁に行わねばならず、ま
た、凹凸が大きいほど研磨一回当たりの研磨量も多くな
る。従って、ロールの表面研磨1回当たりの圧延量が低
下し、またロールの低寿命化を招く。
湯に直流磁界を作用させて、未凝固溶湯を撹拌しつつ凝
固させることにより、年輪状偏析のない均質な圧延用複
合ロールを提供することである。
に、本発明の圧延用複合ロールの製造方法は、重量%に
て、少なくとも、Cを1.0〜4.0%、Mo及び/又は
Wを合計量で1.0〜16.0%含有する鋳鉄材溶湯(20)
を、回転する遠心力鋳造用金型(10)に供給し、遠心力鋳
造によって外層を作製するステップと、作製された外層
の内側に内層を溶着一体化するステップを有する圧延用
複合ロールの製造方法において、遠心力鋳造用金型(10)
の外周には、金型内を貫通する直流磁界を形成するよう
に一対の磁気コイル(30)(31)が配備されており、外層を
作製するステップは、金型内面から15mm内側に離れた
位置磁束密度Bの最大値Bmaxが、Bmax≧10mT(ミ
リテスラ)となるように直流磁界を印加しつつ実施する
ものである。
ル(30)(31)によって、金型(10)の内部を通過する直流磁
界を形成しながら、鋳鉄材溶湯(20)の遠心力鋳造を行な
う。供給された溶湯(20)は、金型内で金型(10)と共に回
転し、直流磁界と直交又は交差する。ところで、溶湯(2
0)が、印加された磁束を横切る速度、即ち磁束と直交す
る方向の移動速度は変化する。具体的には、溶湯(20)の
移動方向が磁束と直交するときには、磁束を横切る溶湯
(20)の速度は最も速く、溶湯(20)の移動方向が磁束と平
行になるとき、速度はほぼゼロとなる。溶湯(20)は、上
述のとおり移動速度が変化するから、直流磁界を単位時
間当たりに横切る磁束密度が変化して誘導起電力を生じ
る。発生した誘導起電力によって、溶湯中に誘導電流が
流れ、溶湯(20)に電磁力Fが作用する。この電磁力F
は、磁束と直交する向きに作用するから、この電磁力F
によって未凝固溶湯(20)は撹拌される。未凝固溶湯(20)
を撹拌しつつ凝固させることによって、固液共存下にお
ける結晶核の成長は妨げられ、デンドライトなどの粗大
な組織が生成されることは殆んどない。また、撹拌によ
って、熱の移動が一方向ではなくなるから、等軸晶組織
を得ることができる。従って、外層には年輪状偏析は発
生しない。
れた複合ロールの外層は、円周方向にほぼ均一な硬度を
有しており、圧延の際、外層の周面に摩耗差を生ずるこ
とはなく、圧延製品の品質が確保される。外層の摩耗が
一定であるため、ロール表面の研磨頻度及び研磨量を少
なくすることができる。その結果、表面研磨一回当たり
の圧延量を多くすることができ、生産効率を向上でき
る。
0)に印加する直流磁界について、金型内面から15mm内
側に離れた位置における磁束密度Bの最大値Bmax≧1
0mTと規定しているのは、溶湯(20)に十分な撹拌を生
じさせるためである。
に、鋳込み温度を下げたり、Gno.を上げなくても、年
輪状偏析の改善を図ることができるから、低温鋳込みに
よる非金属異物混入の危険性を回避でき、また、Gno.
増大による金型(10)の低寿命化を抑えることもできる。
炭化物の比重が、溶湯の平均比重に比べて大きいほど、
印加した磁界による撹拌力が大きくなるから、本発明に
より年輪状偏析の発生を抑制する効果は高い。
ように、遠心力鋳造金型(10)と、遠心力鋳造金型(10)を
回転可能に支持するローラ(40)(40)、及び磁束を発生す
る磁気コイル(30)(31)を具えた遠心力鋳造装置(50)によ
って実施することができる。なお、以下では、金型(10)
を横向きに配置した横型遠心力鋳造装置(50)について説
明を行なうが、金型を縦又は斜めに配置した遠心力鋳造
装置にも本発明を適用できることは勿論である。
ことがことが望ましい。金型(10)の透磁率が高いと、印
加した磁束によって金型の回転を阻止する方向に電磁ブ
レーキが作用し、金型を回転するモータや減速機等の負
荷が増大したり、金型の発熱、更には金型(10)とローラ
(40)(40)との摩擦増大などにより、金型やローラを傷め
ることもあるためである。望ましい金型(10)の透磁率μ
は2.0以下であり、より望ましくは1.5以下である。
この種材料として、例えばSUS304などのオーステ
ナイト系ステンレス鋼を例示できる。
備される。ローラ(40)(40)は、減速機を介してモータ
(図示せず)に連繋されており、モータの駆動によって、
ローラ(40)(40)が回転し、金型(10)が回転する。
0)の内部を貫通して形成されるように、金型(10)に接近
して配備される。磁気コイルとして、一方向磁界を発生
する一対の磁気コイル(30)(31)を例示することができ
る。磁気コイル(30)(31)の大きさは、図1に示すよう
に、金型(10)の内径よりも小さいものを使用したり、図
3に示すように、金型(10)の内径とほぼ同じものを使用
することができる。磁気コイル(30)(31)は、図1及び図
3に示すように、金型(10)の左右両側へ配置したり、図
4に示すように金型(10)の上下へ配置して、磁束が金型
(10)の中央を貫通するようにしてもよいし、図5に示す
ように金型(10)の上方又は下方の左右両側へ配置して、
磁束が金型内の一部を通過するようにしてもよい。
略全長に亘って、磁束が通過するように配置することが
望ましいが、外層の鋳込み長さをLとしたときに、少な
くとも0.3L以上の部分に磁束が印加されるようにし
ておけば、外層の略全長に亘って、未凝固溶湯(20)の撹
拌を行なうことができる。なお、複数の磁気コイル対
を、外層の長手方向に所定間隔毎に配置するようにして
もよい。
で、一方の磁気コイル(30)がN極、他方の磁気コイル(3
1)がS極となるように夫々磁束を発生させる。これによ
り、図1に示すように、N極側の磁気コイル(30)からS
極側の磁気コイル(31)に向かう磁束が、金型内を通過す
る。
Bは、金型(10)の内面から15mm内側に離れた位置にお
ける最大値Bmaxが、10mT≦Bmax≦500mT(ミ
リテスラ)となるように印加することが望ましい。最大
磁束密度Bmaxが、500mTを越えると、金型(10)に
及ぼす電磁ブレーキ作用が大きくなり、上述の通り、負
荷や摩擦の増大、金型の発熱等を生ずることがある。逆
に、最大磁束密度Bmaxが、10mTよりも小さいと、
溶湯(20)の撹拌が不十分となるおそれがある。磁束密度
Bの大きさは、金型の回転状態と停止状態とで若干は異
なるから、遠心力鋳造時に印加される磁束の密度を正確
に測定するには、金型を回転させた状態で測定を行なう
ことが望ましい。しかしながら、金型が回転している状
態では、金型内面位置で磁束の測定を行なうことはでき
ないから、本発明では、磁束の測定位置を金型内面では
ななく、金型内面から15mm内側に離れた位置としてい
る。
磁気コイル(30)(31)間に磁束を形成しつつ、金型(10)を
回転させて、金型内に溶湯(20)を流し込む。流し込まれ
る溶湯(20)の成分として、重量%にて、少なくとも、C
を1.0〜4.0%、Mo及び/又はWを合計量で1.0
〜16.0%含有する鋳鉄材を例示することができる。
C:1.0〜4.0%とするのは、Cの含有量が1.0%
に満たないと、Mo、W等の炭化物の晶出量が不足し、
耐摩耗性が不十分となるためであり、Cの含有量が4.
0%を越えると、炭化物量が過多となり脆くなるためで
ある。また、MoとWの含有を規定するのは、MoとW
が炭化物の晶出と年輪状偏析に最も大きく影響を及ぼす
元素だからである。なお、Mo及び/又はWの合計量が
1.0%に満たないと、炭化物の晶出量が不足し十分な
耐摩耗性が得られず、16.0%を越えると、靱性の劣
化を招く。
にて、Cを1.0〜4.0%、Siを0.2〜3.0%、M
nを0.2〜2.0%、Crを3.0〜12.0%、Mo又
はWの少なくとも一種を合計量で1.0〜16.0%、V
又はNbの少なくとも一種を合計量で3.0〜10.0
%、Coを5.0%以下、Niを4.0%以下、残部実質
的にFeからなるハイス系鋳鉄材を示すことができる。
Siは湯流れ性の確保、あるいは場合によっては黒鉛を
晶出させるため、0.2〜3.0%含有させる。Mnは硬
化能を増し、Sによる劣化を防ぐために、0.2〜2.0
%含有させる。Cr、Mo、W及び、V又はNbは、C
と結合して炭化物を晶出し、耐摩耗性の向上を図るため
に、夫々Cr:3.0〜12.0%、Mo又はWの少なく
とも一種を合計量で1.0〜16.0%、V又はNbの少
なくとも一種を合計量で3.0〜10.0%含有させる。
特に、Nbは極めて硬いM1C1型の炭化物を形成し、耐
摩耗性を改善させると共に、基地中に入って基地の強化
に寄与する。Coは基地中に固溶されて基地の強化に寄
与するため、5.0%以下含有させる。Niは基地組織
を改良するために4.0%以下含有させる。上記ハイス
系鋳鉄材には、さらに、重量%にて、Al:0.5%以
下、Ti:1.0%以下、Zr:1.0%以下、B:0.
5%以下、Ta:0.5%以下、N:0.05%以下から
なる群より選択される少なくとも一種を必要に応じて含
むことができる。Al、Ti、Zr及びBは、溶湯中で
酸化物あるいは窒化物を生成して、溶湯中の酸素含有
量、窒素含有量を低下させ、製品の健全性を向上させ
る。生成した酸化物、あるいは窒化物が結晶核として作
用するために微細化に効果があり、耐摩耗性も改善され
る。これは、ハイス系鋳鉄材の耐摩耗性が、極めて硬い
M1C1型炭化物に負うところが大きいためである。この
M1C1型炭化物は実質的にはV 1C1炭化物、Nb1C1炭
化物あるいは(V、Nb)1C1炭化物であるが、溶湯の凝
固過程においては固相率の小さい段階で晶出するため、
遠心力鋳造すると、晶出したM1C1型炭化物の粒子と溶
湯の平均比重との差異によって、粒子に内面向きあるい
は外面向きの遠心分離力が働き、偏析を助長する。粘性
流体中(この場合はハイス系鋳鉄材溶湯)での粒子の移動
速度は粒子の径に比例するから、遠心力鋳造された溶湯
中に晶出したM1C1型炭化物の粒子が小さいほど、遠心
力による移動は抑えられる。Al、Ti、Zr、Bの酸
化物あるいは窒化物は、溶湯中で微細に分散し、M1C1
型炭化物晶出の核となるため、M1C1型炭化物を微細・
分散化させる効果があり、上記のメカニズムによって遠
心力鋳造における偏析を軽減する効果がある。Taは、
V又はNbと同様にCと結合し、M1C1型炭化物を形成
し、耐摩耗性に寄与する。Nは、介在物となり、溶湯の
清浄度を低下させ、多量に含有すると鋳造割れ等の虞れ
がある。このため、これら元素を、上記範囲内で、夫々
必要に応じて含有させることが望ましい。
示すように、金型(10)と一体に回転しつつ、磁気コイル
(30)(31)により形成された磁束中を横切る。金型(10)の
回転速度をVとしたとき、溶湯(20)が、磁束を横切る速
度、即ち磁束と直交する方向の移動速度Vy(溶湯(20)
の磁束と平行方向の移動速度をVxとする)は、図1に
示すように、溶湯(20)の移動方向が磁束と直交するとき
最も速く(Vy=±V)、溶湯(20)の移動方向が磁束と平
行になるときほぼゼロ(Vy=0)になる。速度変化する
溶湯(20)が磁界を横切ると誘導起電力が発生し、発生し
た誘導起電力によって、溶湯(20)中に誘導電流が流れ、
溶湯(20)には、図2に示すように電磁力Fが作用する。
この電磁力Fは、回転方向とは逆向きに作用し、回転中
の未凝固溶湯(20)を撹拌する。図3乃至図5に示すよう
に、磁気コイル(30)(31)の配置が異なる場合も同様に、
磁束を印加することによって、回転方向とは逆向きの電
磁力Fが溶湯(20)に作用する。未凝固溶湯(20)は、電磁
力Fによる撹拌作用によって、凝固遷移層における未凝
固溶湯(20)に流れを生じさせ、晶出した炭化物が分散す
る。従って、年輪状偏析の出現もない。また、固液共存
下における結晶核の成長が妨げられ、デンドライトなど
の粗大な組織が生成されることもない。また、撹拌によ
って、熱の移動が一方向ではなくなるから、等軸晶組織
を得ることができる。
加は、金型(10)への溶湯(20)の供給開始から、溶湯がほ
ぼ完全に凝固するまで続けてもよいが、外層の凝固肉厚
が厚くなると、外層の凝固部分が印加した磁束による電
磁ブレーキ作用を受け、モータ等に過大な負荷が発生す
る。また、年輪状偏析は、外層の外周へ向かうほど発生
しやすい。外層は、外周側から凝固するから、この部分
で十分な撹拌を行なう必要がある。従って、磁界の印加
は、溶湯の供給開始から、外層の使用肉厚のうち凝固し
た肉厚の比率が50%〜90%となるまで行なうことが
望ましく、使用厚さに対する凝固層の厚さの比率が70
%〜85%となるまで行なうことがより望ましい。
(20)を鋳込んだり、外層形成後、遠心力鋳造用金型(10)
を直立設置し、静置鋳造により内層を鋳込むことによっ
て、外層と内層が一体化された複合ロールが作製され
る。なお、鋳造された外層は、鋳造欠陥等を取り除い
て、圧延に供せられる面を形成するために、一般的に鋳
造された外層の外周面から5〜40mmの部分を削り代と
して機械加工によって取り除く。
鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、黒鉛鋼、鋳鉄鋼等の強靱性を有
する材料が使用される。高級鋳鉄の好適な組成例とし
て、C:2.5〜4.0%(重量%、以下同じ)、Si:
0.8〜2.5%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.2%
以下、S:0.2%以下、Ni:3.0%以下、Cr:
2.0%以下、Mo:2.0%以下、W、V、Nbを総計
で4%以下、残部実質的にFeからなるものを示すこと
ができる。ダクタイル鋳鉄の好適な組成例として、C:
2.5〜4.0%(重量%、以下同じ)、Si:1.3〜3.
5%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.2%以下、S:
0.2%以下、Ni:3.0%以下、Cr:2.0%以
下、Mo:2.0%以下、W、V、Nbを総計で4%以
下、Mg:0.02〜0.1%、残部実質的にFeからな
るものを示すことができる。黒鉛鋼の好適な組成例とし
て、C:1.0〜2.3%(重量%、以下同じ)、Si:
0.5〜3.0%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.2%
以下、S:0.2%以下、Ni:3.0%以下、Cr:
2.0%以下、Mo:2.0%以下、W、V、Nbを総計
で4%以下、残部実質的にFeからなるものを示すこと
ができる。
ルの内層は必ずしも1層である必要はなく、外層との溶
着性を改善するために必要に応じて設けられる中間層に
ついても、本願明細書では広義の内層という概念の中に
含まれるものとする。中間層を設ける場合、中間層はア
ダマイト材あるいは黒鉛鋼等が用いられることが多い。
中間層のアダマイト材の好適な組成として、重量%にて
C:1.0〜2.5%、Si:0.2〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、P:0.2%以下、S:0.2%以下、
Ni:4.0%以下、Cr:4.0%以下、Mo:4.0
%以下、W、V、Nbを総計で12%以下、残部実質的
にFeからなるものを示すことができる。中間層の黒鉛
鋼の好適な組成として、重量%にて、C:1.0〜2.3
%、Si:0.5〜3.0%、Mn:0.2〜1.5%、
P:0.2%以下、S:0.2%以下、Ni:4.0%以
下、Cr:4.0%以下、Mo:4.0%以下、W、V、
Nbを総計で12%以下、残部実質的にFeからなるも
のを示すことができる。
た横型遠心力鋳造装置(50)を用いて、種々の条件で外層
を作製し、得られた外層の偏析状態の観察を行なった。
遠心力鋳造金型(10)は、鋳込み部分の内径が300mm、
長さ200mmのSUS304製のものを使用し、金型(1
0)の内面には、予め厚さ3.0mmのレジンコーテッドサ
ンド塗型を塗布しておいた。磁気コイル(30)(31)は、鋳
込み長さ全長に亘るように配置し、印加する磁束の大き
さは、表1に示すように適宜調整した。なお、表1中、
「磁束密度」とは、金型を空転させたときに磁気コイル
間を結ぶ線上における金型から内面側15mmの位置での
磁束密度Bの最大値Bmaxの測定値である。印加される
磁束の大きさは、鋳込み開始から凝固がほぼ完了するま
で一定になるようにしている。金型(10)は、表1に示す
重力倍数Gno.(金型の回転数をN(rpm)、金型内径をD
(mm)としたとき、Gno.=N2×D/1790000)で
回転させた。鋳込み温度は、約1400℃となるように
設定した。なお、夫々の実測値を表1に示している。溶
湯(20)は、夫々表1に示す成分のものを使用し、鋳込み
厚さ50mmとなるように鋳込んだ。凝固が完了した後、
金型(10)から鋳造材を取り出し、長さ方向に切断し、粒
度240のサンドペーパーを用いて研磨した後、硝酸水
溶液のエッチング処理を施し、その中央部分の断面にお
けるマクロ組織で組織の均一性を目視により評価した。
なお、偏析の評価は、内側の不純物層を除くために、鋳
込み厚さ50mmの内、外周表面から35mmの範囲を対象
とした。
の金型(10)の重力倍数Gno.と印加する磁束密度の最大
値Bmaxを変化させて作製した発明例1〜6と、比較の
ため、印加する磁束密度が0又は10より小さい条件で
作製した比較例11〜14について実施した。結果を表
1に示す。
イトの存在は認められず、年輪状偏析も認められなかっ
た。特に、印加される磁束が強いほど、均一な組織とな
っていることがわかった。比較例11及び12について
は、ロール表面に対して1mm以上の粗大なデンドライト
が観察され、年輪状偏析の一部である帯状模様も複数観
察された。また、比較例13及び14についても、粗大
なデンドライトが多数観察され、多数の帯状模様(年輪
状偏析の一部)も観察された。このように、比較例にデ
ンドライトや年輪状偏析が発生したのは、未凝固溶湯(2
0)が殆んど撹拌作用を受けることなく凝固したためであ
る。比較例12及び14のように、最大磁束密度Bmax
が10mTよりも小さい磁束を印加しても、デンドライ
トや年輪状偏析の発生を抑制できるほどの撹拌力を得る
ことができないことがわかる。一方、発明例は、溶湯(2
0)を撹拌するのに十分な磁束を印加したことによって、
溶湯(20)が撹拌され、デンドライトや年輪状偏析の発生
を抑制できたことがわかる。
maxと重力倍数Gno.との関係を図6に示している。図6
を参照すると、デンドライトや年輪状偏析の発生を抑制
するには、磁束密度Bの最大値Bmaxを10mT以上と
することが望ましいことがわかる。また、より均一な組
織の外層を作製するには、最大磁束密度Bmaxを30m
T以上とすることが更に望ましい。ところで、遠心力鋳
造においては、金型(10)の重力倍数Gno.が50G(好適
に遠心力鋳造を行なうには、金型の重力倍数Gno.は、
100G≦Gno.≦250Gの範囲とすることが望まし
い)よりも小さいと、溶湯(20)が金型内面に密着せず、
遠心力鋳造を行なうことができない。従って、デンドラ
イトや年輪状偏析の発生を抑制した外層を作製するに
は、図6より、磁束密度Bの最大値Bmaxと重力倍数Gn
o.との関係は、Bmax≧100/(Gno.−50)+10の
条件を満たすことが望ましく、Bmax≧100/(Gno.
−50)+25の条件を満たすことがより望ましい。
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本
発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲
に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
る。
ある。
ラフである。
す説明図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%にて、少なくとも、Cを1.0〜
4.0%、Mo及び/又はWを合計量で1.0〜16.0
%含有する鋳鉄材溶湯(20)を、回転する遠心力鋳造用金
型(10)に供給し、遠心力鋳造によって外層を作製するス
テップと、作製された外層の内側に内層を溶着一体化す
るステップを有する圧延用複合ロールの製造方法におい
て、 遠心力鋳造用金型(10)の外周には、金型内を貫通する直
流磁界を形成するように一対の磁気コイル(30)(31)が配
備されており、 外層を作製するステップは、金型内面から15mm内側に
離れた位置における磁束密度Bの最大値Bmaxが、Bmax
≧10mTとなるように直流磁界を印加しつつ行ない、
金型内の未凝固溶湯(20)を電磁力作用で撹拌するように
したことを特徴とする圧延用複合ロールの製造方法。 - 【請求項2】 直流磁界は、遠心力鋳造用金型(10)に溶
湯(20)を供給した後、外層の使用厚さに対する凝固層の
厚さの比率が50%〜90%となるまで印加する請求項
1に記載の圧延用複合ロールの製造方法。 - 【請求項3】 直流磁界は、作製される外層の鋳込み長
さをLとしたとき、0.3L以上の範囲に印加する請求
項1又は請求項2に記載の圧延用複合ロールの製造方
法。 - 【請求項4】 最大磁束密度Bmaxは、遠心力鋳造用金
型(10)を用いて鋳込まれる外層の外周部分における重力
倍数をGno.としたとき、Bmax≧100/(Gno.−5
0)+10となるように印加される請求項1乃至請求項
3の何れかに記載の圧延用複合ロールの製造方法。 - 【請求項5】 最大磁束密度Bmaxは、遠心力鋳造用金
型(10)を用いて鋳込まれる外層の外周部分における重力
倍数をGno.としたとき、Bmax≧100/(Gno.−5
0)+25となるように印加される請求項1乃至請求項
3の何れかに記載の圧延用複合ロールの製造方法。 - 【請求項6】 外層は、重量%にて、Cを1.0〜4.0
%、Siを0.2〜3.0%、Mnを0.2〜2.0%、C
rを3.0〜12.0%、Mo又はWの少なくとも一種を
合計量で1.0〜16.0%、V又はNbの少なくとも一
種を合計量で3.0〜10.0%、Coを5.0%以下、
Niを4.0%以下、残部実質的にFeからなる請求項
1乃至請求項5の何れかに記載の圧延用複合ロールの製
造方法。
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