JP2000141004A - 圧延用複合ロールの製造方法 - Google Patents

圧延用複合ロールの製造方法

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JP2000141004A
JP2000141004A JP10340986A JP34098698A JP2000141004A JP 2000141004 A JP2000141004 A JP 2000141004A JP 10340986 A JP10340986 A JP 10340986A JP 34098698 A JP34098698 A JP 34098698A JP 2000141004 A JP2000141004 A JP 2000141004A
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outer layer
casting
rolling
less
composite roll
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JP10340986A
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English (en)
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Takeru Morikawa
長 森川
Yutaka Tsujimoto
豊 辻本
Toshio Wada
俊雄 和田
Teruo Hamazuka
輝雄 濱塚
Shinichi Nakagawa
新市 中川
Toshio Tani
登志夫 谷
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイス系鋳鉄材からなる外層を遠心力鋳造に
より形成し、該外層に内層を溶着一体化させることによ
り圧延用複合ロールを製造する方法において、外層にお
ける炭化物のバラツキ度を小さくし、炭化物の年輪状偏
析が生じないようにする。 【解決手段】 重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
鉄材からなる外層の遠心力鋳造工程において、金型の回
転数を、外層の鋳造外径寸法が250mm以上350m
m未満のときは1030rpm以上、鋳造外径寸法が3
50mm以上500mm未満のときは870rpm以
上、鋳造外径寸法が500mm以上700mm未満のと
きは710rpm以上、鋳造外径寸法が700mm以上
900mm未満のときは610rpm、鋳造外径寸法が
900mm以上のときは550rpm以上とする条件で
鋳込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外層にハイス系鋳
鉄材を用いた熱間又は冷間圧延用複合ロールの製造方法
の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱間又は冷間圧延用ロールは、外面側に
耐摩耗性、内部側に強靱性が要求されることから、耐摩
耗性にすぐれるハイス系鋳鉄材の外層と、強靱性にすぐ
れる鋳鉄又は鋳鋼材の内層を複合化したロールが従来よ
り使用されている。この複合ロールは、一般的には、横
型遠心力鋳造用金型の中にハイス系鋳鉄材の溶湯を鋳込
んで中空の外層を形成した後、引き続いて内層用溶湯を
鋳込んで中空状としたり、或いは外層形成後、遠心力鋳
造用金型から取り外して、静置鋳造により内層を鋳込ん
で中実状に作製される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種ハイス系鋳鉄材
は、Cr、Mo、W、V等の炭化物形成元素を相当量含
んでおり、溶湯の凝固過程で炭化物を晶出する。この晶
出炭化物が耐摩耗性の向上に大きく寄与する。ところ
で、このハイス系材料を用いて、遠心力鋳造によりロー
ル外層を作製した場合、炭化物は、均一に分布して晶出
するのではなく、炭化物量の多い層と少ない層とが交互
に同心円状に形成されることが、横断面のミクロ組織観
察によって認められる。この炭化物の濃淡層は、一般
に、年輪状偏析と称されている。
【0004】この年輪状偏析は、同じハイス系鋳鉄材で
も、横型遠心力鋳造の場合に特に発生し易いことが判っ
ている。この理由について、溶湯の状態を模式的に示し
た図1を参照して検討すると、横型遠心力鋳造の場合、
溶湯に対して、上昇時に重力による減速力、下降時に重
力による加速力が働くため、上部の流速は小さく、下部
の流速は大きくなっている。この現象から、遠心力鋳造
時における年輪状偏析の発生原因の1つとして、凝固途
中の溶湯の回転速度が変化していることが考えられる。
【0005】ロールの外層に生ずる年輪状偏析は、完全
な同心円ではないため、ロールの外層表面には炭化物の
多い高硬度領域と炭化物の少ない低硬度領域が存在す
る。それゆえ、実際の圧延作業において、ロール外表面
は、炭化物の多い領域では摩耗が生じ難く、一方炭化物
の少ない領域では摩耗を生じ易いことから、ロールの外
表面に摩耗差が生じ、それが圧延製品に転写されて、品
質に影響を及ぼす。圧延製品の転写模様を回避するに
は、ロール表面の研磨をより頻繁に行わねばならず、ロ
ールの表面研磨1回当たりの圧延量が低下し、またロー
ルの低寿命化を招く。
【0006】発明者らは、上記課題について鋭意研究し
た結果、ロール外層の遠心力鋳造時における金型の回転
数を、外層の鋳造外径寸法に応じて適宜変えることによ
り、重力による減速力と加速力、つまり重力作用に起因
する溶湯の速度差を小さくできることを見いだし、本発
明に到った。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
鉄材の外層を遠心力鋳造により形成し、該外層に鋳鉄又
は鋳鋼材の内層を溶着一体化させることにより圧延用複
合ロールを製造する方法において、外層の遠心力鋳造工
程は、外層の鋳造外径寸法が250mm以上350mm
未満のときは、金型の回転数を1030rpm以上とす
る条件で、外層の鋳造外径寸法が350mm以上500
mm未満のときは金型の回転数を870rpm以上とす
る条件で、外層の鋳造外径寸法が500mm以上700
mm未満のときは、金型の回転数を710rpm以上と
する条件で、外層の鋳造外径寸法が700mm以上90
0mm未満のときは、金型の回転数を610rpm以上
とする条件で、外層の鋳造外径寸法が900mm以上の
ときは、金型の回転数を550rpm以上とする条件で
鋳込むようにしたものである。外層の鋳造外径寸法は、
厳密には凝固による収縮のため、金型の内径寸法よりも
若干小さくなるが、本願明細書では、この凝固収縮分は
考慮しておらず、鋳造外形寸法と金型の内径寸法を同じ
とみなしている。
【0008】なお、圧延に供される面を形成するため
に、外層の外周面を削り取る場合、削り取られた後の外
径仕上がり寸法が、230mm以上330mm未満のと
きは金型の回転数を1030rpm以上とする条件で、
外径仕上がり寸法が330mm以上480mm未満のと
きは金型の回転数を870rpm以上とする条件で、外
径仕上がり寸法が480mm以上680mm未満のとき
は、金型の回転数を710rpm以上とする条件で、外
径仕上がり寸法が680mm以上880mm未満のとき
は、金型の回転数を610rpm以上とする条件で、外
径仕上がり寸法が880mm以上のときは、金型の回転
数を550rpm以上とする条件で鋳込むようにするこ
とが望ましい。「外径仕上がり寸法」とは、圧延用複合
ロールとして圧延に使用されるときの最初の外径寸法を
意味している。
【0009】鋳込み終了時における金型の回転数は、鋳
込み開始時における金型の回転数よりも大きくすること
が望ましい。本発明における外層の遠心力鋳造は、重力
作用によって溶湯の回転速度が影響を受ける全ての遠心
力鋳造法に対して好適に適用され、金型の回転軸が水平
方向の横型、或いは斜め方向の傾斜型に対してより好適
に適用される。
【0010】
【作用及び効果】ロール外層の遠心力鋳造時における金
型の回転数を、上記のように、外層の鋳造外径寸法に応
じて適宜変えることにより、重力による減速力と加速
力、つまり重力作用に起因する溶湯の速度差は小さくな
り、重力作用による影響を実質的になくすことができる
ので、外層における年輪状偏析の生成が抑制される。ま
た、溶湯の凝固が進行すると、溶湯部の回転半径が次第
に小さくなり、重力作用の影響も変動するが、鋳込み終
了時における金型の回転数を、鋳込み開始時における金
型の回転数よりも大きくすることによって、その変動を
より小さくすることもできる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係る圧延用複合ロールの
製造方法にあっては、外層の遠心鋳造に際して、例えば
横型の遠心力鋳造装置を使用し、外層の鋳造外径寸法が
250mm以上350mm未満のときは、金型の回転数
を1030rpm以上とする条件で、外層の鋳造外径寸
法が350mm以上500mm未満のときは金型の回転
数を870rpm以上とする条件で、外層の鋳造外径寸
法が500mm以上700mm未満のときは、金型の回
転数を710rpm以上とする条件で、外層の鋳造外径
寸法が700mm以上900mm未満のときは、金型の
回転数を610rpm以上とする条件で、外層の鋳造外
径寸法が900mm以上のときは、金型の回転数を55
0rpm以上とする条件で鋳込むようにしたものであ
る。上記外層の遠心力鋳造工程は、外層の鋳造外径寸法
が250mm以上350mm未満のときは、金型の回転
数を望ましくは1040rpm以上、より望ましくは1
060rpm以上とする条件で、外層の鋳造外径寸法が
350mm以上500mm未満のときは、金型の回転数
を望ましくは880rpm以上、より望ましくは900
rpm以上とする条件で、外層の鋳造外径寸法が500
mm以上700mm未満のときは、金型の回転数を望ま
しくは720pm以上、望ましくは740rpm以上と
する条件で、外層の鋳造外径寸法が700mm以上90
0mm未満のときは、金型の回転数を望ましくは620
rpm以上、より望ましくは640rpm以上とする条
件で、外層の鋳造外径寸法が900mm以上のときは、
金型の回転数を望ましくは560rpm以上、より望ま
しくは580rpm以上とする条件で鋳込むことによ
り、年輪状偏析の生成をより確実に抑制できる。
【0012】また、圧延に供される面を形成するため
に、外層の外周面を削り取る場合、削り取られた後の外
径仕上がり寸法が、230mm以上330mm未満のと
きは金型の回転数を1030rpm以上とする条件で、
外径仕上がり寸法が330mm以上480mm未満のと
きは金型の回転数を870rpm以上とする条件で、外
径仕上がり寸法が480mm以上680mm未満のとき
は、金型の回転数を710rpm以上とする条件で、外
径仕上がり寸法が680mm以上880mm未満のとき
は、金型の回転数を610rpm以上とする条件で、外
径仕上がり寸法が880mm以上のときは、金型の回転
数を550rpm以上とする条件で鋳込むようにするこ
とが適当である。上記外層の遠心力鋳造工程は、外径仕
上がり寸法が230mm以上330mm未満のときは、
金型の回転数を望ましくは1040rpm以上、より望
ましくは1060rpm以上とする条件で、外径仕上が
り寸法が330mm以上480mm未満のときは、金型
の回転数を望ましくは880rpm以上、より望ましく
は900rpm以上とする条件で、外径仕上がり寸法が
480mm以上680mm未満のときは、金型の回転数
を望ましくは720pm以上、より望ましくは740r
pm以上とする条件で、外径仕上がり寸法が680mm
以上880mm未満のときは、金型の回転数を望ましく
は620rpm以上、より望ましくは640rpm以上
とする条件で、外径仕上がり寸法が880mm以上のと
きは、金型の回転数を望ましくは560rpm以上、よ
り望ましくは580rpm以上とする条件で鋳込むこと
により、年輪状偏析の生成をより確実に抑制できる。
【0013】また、鋳込み終了時における金型の回転数
は、鋳込み開始時における金型の回転数よりも大きくす
ることが望ましい。具体的には、鋳込み厚さが約50m
mのとき、10〜20%大きくすることが望ましい。
【0014】外層の遠心鋳造後、遠心力鋳造装置の中
で、引き続いて内層用溶湯を鋳込んで中空状としたり、
或いは、遠心力鋳造用金型から取り外して、静置鋳造に
より内層を鋳込んで中実状の複合ロールが作製される。
【0015】外層は、重量%にて、少なくとも、C:
1.0〜4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有
する鋳鉄材からなる。 C:1.0〜4.0%とするのは、Cの含有量が1.0%
に満たないと、Mo、W等の炭化物の晶出量が不足し、
耐摩耗性が不十分となるためであり、Cの含有量が4.
0%を越えると内層を形成するための鋳鉄又は鋳鋼材と
の凝固点差が過大となり、溶着不良が発生し易くなるた
めである。また、MoとWの含有を規定するのは、Mo
とWが炭化物の晶出と年輪状偏析に最も影響を及ぼす元
素であり、Mo+2Wとするのは、WはMoの2倍の影
響を有するためである。Mo+2Wが2.0%に満たな
いと、炭化物の晶出量が不足し、24.0%を越える
と、靱性の低下を招く。
【0016】前記材料として、より具体的には、重量%
にて、C:1.0〜4.0%、Si:0.1〜3.0%、M
n:0.2〜2.0%、Ni:3.0%以下、Cr:3.0
〜12.0%、Mo:0.5〜8.0%、W:8.0%以
下、V:1.0〜8.0%、但し、Mo+2Wは2.0〜
24.0%であり、残部実質的にFeのハイス系鋳鉄材
を示すことができる。Siは湯流れ性の確保、あるいは
場合によっては黒鉛を晶出させるために0.1〜3.0%
含有させる。Mnは硬化能を増し、Sによる脆化を防ぐ
ために、0.2〜2.0%含有させる。Niは基地組織を
改良するために3.0%以下含有させる。Cr、Mo、
W及びVは、Cと結合して炭化物を晶出し、耐摩耗性の
向上を図るために、夫々、3.0〜12.0%、0.5〜
8.0%、8.0%以下、及び1.0〜8.0%の範囲内で
それぞれ含有させる。
【0017】このハイス系鋳鉄材は、重量%にて、N
b:3.0%以下、Co:5.0%以下の1種又は2種、
及び/又は、Ti:1.0%以下、Zr:1.0%以下、
Al:0.5%以下、B:0.5%以下からなる群から選
択される少なくとも1種を必要に応じて含むことができ
る。Nbは極めて硬いM11型の炭化物を形成し、耐摩
耗性を改善すると共に、基地中に入って基地の強化に寄
与する。Coも基地中に固溶されて基地の強化に寄与す
る。Ti、Zr、Al及びBは溶湯中で酸化物あるいは
窒化物を生成して、溶湯中の酸素含有量、窒素含有量を
低下させ、製品の健全性を向上させる。生成した酸化
物、あるいは窒化物が結晶核として作用するために凝固
組織の微細化に効果があり、耐摩耗性も改善される。さ
らに、ハイス系鋳鉄材の耐摩耗性は、極めて硬いM11
型炭化物に負うところが大きい。このM11型炭化物は
実質的にはV11炭化物、Nb11炭化物、あるいは
(V、Nb)11炭化物であるが、溶湯の凝固過程におい
ては固相率の小さい段階で晶出するため、遠心力鋳造す
ると、晶出したM11型炭化物の粒子と溶湯の平均比重
との差異によって、粒子に内面向きあるいは外面向きの
遠心分離力が働き、偏析を助長する。粘性流体中(この
場合はハイス系鋳鉄材溶湯)での粒子の移動速度は粒子
の径に比例するから、遠心力鋳造された溶湯中に晶出し
たM11型炭化物の粒子が小さいほど、遠心力による移
動は抑えられる。Ti、Zr、Al、Bの酸化物、ある
いは窒化物は溶湯中で微細に分散し、M11型炭化物晶
出の核となるため、M11型炭化物を微細・分散化させ
る効果があり、上記のメカニズムによって遠心力鋳造に
おける偏析を軽減する効果がある。従って、これら元素
は、前記範囲内で、必要に応じて含有させることが好ま
しい。
【0018】鋳造された外層は、鋳造欠陥等を取り除い
て、圧延に供される面を形成するために、一般的には鋳
造された外層の外周面から5mm〜40mmの部分を削
り代として機械加工によって取り除かれる。この機械加
工は、外層の鋳造完了後に実施してもよいし、内層を溶
着一体化した後に実施してもよい。
【0019】本発明に用いられる内層材としては、高級
鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、黒鉛鋼、鋳鋼等の強靱性を有す
る材料が使用される高級鋳鉄の好適な組成例として、
C:2.5〜4.0%(重量%、以下同じ)、Si:0.8
〜2.5%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.2%以下、
S:0.2%以下、Ni:3.0%以下、Cr:2.0%
以下、Mo:2.0%以下、W、V、Nbを総計で4%
以下、残部実質的にFeからなるものを示すことができ
る。ダクタイル鋳鉄の好適な組成例として、C:2.5
〜4.0%(重量%、以下同じ)、Si:1.3〜3.5
%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.2%以下、S:0.
2%以下、Ni:3.0%以下、Cr:2.0%以下、M
o:2.0%以下、W、V、Nbを総計で4%以下、M
g:0.02〜0.1%、残部実質的にFeからなるもの
を示すことができる。黒鉛鋼の好適な組成例として、
C:1.0〜2.3%(重量%、以下同じ)、Si:0.5
〜3.0%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.2%以下、
S:0.2%以下、Ni:3.0%以下、Cr:2.0%
以下、Mo:2.0%以下、W、V、Nbを総計で4%
以下、残部実質的にFeからなるものを示すことができ
る。
【0020】なお、本発明の方法では、圧延用複合ロー
ルの内層は必ずしも1層である必要はなく、外層との溶
着性を改善するために必要に応じて設けられる中間層に
ついても、本願明細書では広義の内層という概念の中に
含まれるものとする。中間層を設ける場合、中間層はア
マダイト材あるいは黒鉛鋼等が用いられることが多い。
中間層のアマダイト材の好適な組成として、重量%にて
C:1.0〜2.5%、Si:0.2〜3.0%、Mn:
0.2〜1.5%、P:0.2%以下、S:0.2%以下、
Ni:4.0%以下、Cr:4.0%以下、Mo:4.0
%以下、W、V、Nbを総計で12%以下、残部実質的
にFeからなるものを示すことができる。中間層の黒鉛
鋼の好適な組成として、重量%にて、C:1.0〜2.3
%、Si:0.5〜3.0%、Mn:0.2〜1.5%、
P:0.2%以下、S:0.2%以下、Ni:4.0%以
下、Cr:4.0%以下、Mo:4.0%以下、W、V、
Nbを総計で12%以下、残部実質的にFeからなるも
のを示すことができる。
【0021】
【実施例】外層の鋳造外径に応じ、遠心力鋳造用金型の
回転数を変えたロール外層を作製し、該ロール外層から
切り出した試験片(発明例1〜5及び比較例1〜5)につ
いて、ロール外層の炭素の分布状態を調べた。各ロール
外層の鋳鉄材の組成を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】鋳鉄材の溶湯を金型に流し込み、ロール外
層の厚さが80mmとなるまで鋳込んだ。溶湯の鋳込み
温度は1385℃、金型の回転数は表1に記載してい
る。ロール外層の凝固が完了した後、常温まで冷却し
て、700℃で10時間軟化熱処理を実施した。
【0024】作製された発明例1と比較例1のロール外
層を、ロールの長手方向に切断して、粒度240のサン
ドペーパーを用いて研磨後、硝酸水溶液のエッチング処
理を施し、長手方向に100mm、径方向に80mmの
範囲のマクロ組織写真を撮影した。図3は発明例1、図
4は比較例1の組織写真である。図3と図4を比較する
と、図4では偏析が生じた結果、複数の帯状模様が観察
されたのに対し、図3にはそのような帯状模様は認めら
れなかった。
【0025】次に、各ロール外層(10)の軸方向中央か
ら、図2に示すように、ロールの長手方向に20mm
(試験片については「幅方向」という)、周方向に10m
m(試験片については「奥行方向」)という)、径方向に
80mm(試験片については「高さ方向」という)の試験
片(20)を切り出した。試験片は、1150℃で30分間
オーステナイト化熱処理した後焼入れ熱処理を行ない、
550℃で10時間の焼戻し熱処理を2回実施した。熱
処理終了後、各試験片を粒径6μmのダイヤモンド粒子
でバフ研磨した。
【0026】作製されたロール外層(10)は、削り代分を
考慮し、図2に斜線で示すように、外周面から高さ方向
に10〜50mmの部分(以下「被測定部分」という)に
ついて炭素又は炭化物の分布状態を調べることにした。
【0027】EPMAを用いて、試験片の炭素の分布状
態を測定した。各試験片の被測定部分の幅14.98m
mの範囲に対し、EPMA装置を用いて、加速電圧15
kV、ビーム径50μmの電子線を、高さ方向に70μ
m、幅方向に70μmのピッチで走査した。炭素の分布
状態は、Kα線の波長分散分析による測定数(cps:Co
unt Per Second)で評価した。
【0028】測定終了後、各ピッチ毎における測定数
(cps)の平均値を算出した。さらに算出された平均値
について、その最大値をB1max、最小値をB1minとし、
全測定数の平均値をA1としたときに、S1={(B1max−
1min)/A1}×100を、EPMAによるCのバラツ
キ度(%)と規定した。バラツキ度S1が大きいほど、炭
素の分布が不均一で炭化物の偏析が多く存在し、逆にバ
ラツキ度S1が小さければ、炭素の分布が均一で炭化物
の偏析が少ないことを意味する。
【0029】結果を表1に示す。表1において、同じ鋳
造外径どうしの試験片を比較すると、発明例は、Cのバ
ラツキ度S1が比較例に比べて小さく、炭素の分布が均
一であることがわかる。これは、金型の回転数が大きい
ほど、ロール外層鋳込み時の重力作用の影響が小さいた
めと考えられる。一方、比較例のバラツキ度S1が大き
いのは、図4に示すように、ロール外層の鋳込み時に重
力作用の影響を受けて、炭化物が年輪状に偏析している
ためである。
【0030】なお、Cのバラツキ度S1は、12%以下
であれば、炭化物の偏析が少ないから、圧延に使用した
際、外層表面に摩耗ムラを生じ難い。バラツキ度S1
12%を越えると、高さ方向(ロール外層の径方向)での
炭化物の偏析が多くなり、圧延に使用した際、外層表面
に摩耗ムラが生じ易くなる。
【0031】EPMAのバラツキ度S1が上記範囲内の
ロール外層を有する圧延用複合ロールを、実際の圧延作
業に用いたところ、ロール外層表面に摩耗ムラを生じ難
く、従来のロールよりも外層の研磨頻度を少なくするこ
とができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】横型遠心力鋳造における溶湯の状態を模式的に
示す図である。
【図2】試験片の説明図である。
【図3】本発明のロール外層の金属組織を示す図面代用
写真である。
【図4】比較例のロール外層の金属組織を示す図面代用
写真である。
【符号の説明】
(10) ロール外層 (20) 試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 37/00 C22C 37/00 B 38/00 302 38/00 302E 38/58 38/58 (72)発明者 和田 俊雄 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 濱塚 輝雄 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 中川 新市 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 谷 登志夫 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 Fターム(参考) 4E016 DA03 EA03 EA13 FA02

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
    4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
    鉄材からなり、鋳造後の外径寸法が250mm以上35
    0mm未満の外層を遠心力鋳造によって形成し、該外層
    に内層を溶着一体化させることにより圧延用複合ロール
    を製造する方法において、 外層の遠心力鋳造工程は、金型の回転数を1030rp
    m以上とする条件で鋳込むことを特徴とする圧延用複合
    ロールの製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
    4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
    鉄材からなり、鋳造後の外径寸法が350mm以上50
    0mm未満の外層を遠心力鋳造によって形成し、該外層
    に内層を溶着一体化させることにより圧延用複合ロール
    を製造する方法において、 外層の遠心力鋳造工程は、金型の回転数を870rpm
    以上とする条件で鋳込むことを特徴とする圧延用複合ロ
    ールの製造方法。
  3. 【請求項3】 重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
    4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
    鉄材からなり、鋳造後の外径寸法が500mm以上70
    0mm未満の外層を遠心力鋳造によって形成し、該外層
    に内層を溶着一体化させることにより圧延用複合ロール
    を製造する方法において、 外層の遠心力鋳造工程は、金型の回転数を710rpm
    以上とする条件で鋳込むことを特徴とする圧延用複合ロ
    ールの製造方法。
  4. 【請求項4】 重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
    4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
    鉄材からなり、鋳造後の外径寸法が700mm以上90
    0mm未満の外層を遠心力鋳造によって形成し、該外層
    に内層を溶着一体化させることにより圧延用複合ロール
    を製造する方法において、 外層の遠心力鋳造工程は、金型の回転数を610rpm
    以上とする条件で鋳込むことを特徴とする圧延用複合ロ
    ールの製造方法。
  5. 【請求項5】 重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
    4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
    鉄材からなり、鋳造後の外径寸法が900mm以上の外
    層を遠心力鋳造によって形成し、該外層に内層を溶着一
    体化させることにより圧延用複合ロールを製造する方法
    において、 外層の遠心力鋳造工程は、金型の回転数を550rpm
    以上とする条件で鋳込むことを特徴とする圧延用複合ロ
    ールの製造方法。
  6. 【請求項6】 重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
    4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
    鉄材からなり、外層を遠心力鋳造によって形成し、該外
    層に内層を溶着一体化させ、圧延に供される面を形成す
    るために、外層の外周面を削り取り、削り取られた後の
    外径仕上がり寸法を230mm以上330mm未満とす
    る圧延用複合ロールを製造する方法において、 外層の遠心力鋳造工程は、金型の回転数を1030rp
    m以上とする条件で鋳込むことを特徴とする圧延用複合
    ロールの製造方法。
  7. 【請求項7】 重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
    4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
    鉄材からなり、外層を遠心力鋳造によって形成し、該外
    層に内層を溶着一体化させ、圧延に供される面を形成す
    るために、外層の外周面を削り取り、削り取られた後の
    外径仕上がり寸法を330mm以上480mm未満とす
    る圧延用複合ロールを製造する方法において、 外層の遠心力鋳造工程は、金型の回転数を870rpm
    以上とする条件で鋳込むことを特徴とする圧延用複合ロ
    ールの製造方法。
  8. 【請求項8】 重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
    4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
    鉄材からなり、外層を遠心力鋳造によって形成し、該外
    層に内層を溶着一体化させ、圧延に供される面を形成す
    るために、外層の外周面を削り取り、削り取られた後の
    外径仕上がり寸法を480mm以上680mm未満とす
    る圧延用複合ロールを製造する方法において、 外層の遠心力鋳造工程は、金型の回転数を710rpm
    以上とする条件で鋳込むことを特徴とする圧延用複合ロ
    ールの製造方法。
  9. 【請求項9】 重量%にて、少なくとも、C:1.0〜
    4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する鋳
    鉄材からなり、外層を遠心力鋳造によって形成し、該外
    層に内層を溶着一体化させ、圧延に供される面を形成す
    るために、外層の外周面を削り取り、削り取られた後の
    外径仕上がり寸法を680mm以上880mm未満とす
    る圧延用複合ロールを製造する方法において、 外層の遠心力鋳造工程は、金型の回転数を610rpm
    以上とする条件で鋳込むことを特徴とする圧延用複合ロ
    ールの製造方法。
  10. 【請求項10】 重量%にて、少なくとも、C:1.0
    〜4.0%、Mo+2W:2.0〜24.0%を含有する
    鋳鉄材からなり、外層を遠心力鋳造によって形成し、該
    外層に内層を溶着一体化させ、圧延に供される面を形成
    するために、外層の外周面を削り取り、削り取られた後
    の外径仕上がり寸法を880mm以上とする圧延用複合
    ロールを製造する方法において、 外層の遠心力鋳造工程は、金型の回転数を550rpm
    以上とする条件で鋳込むことを特徴とする圧延用複合ロ
    ールの製造方法。
  11. 【請求項11】 外層は、重量%にて、C:1.0〜4.
    0%、Si:0.1〜3.0%、Mn:0.2〜2.0%、
    Ni:3.0%以下、Cr:3.0〜12.0%、Mo:
    0.5〜8.0%、W:8.0%以下、V:1.0〜8.0
    %、但し、Mo+2Wは2.0〜24.0%であり、残部
    実質的にFeからなるハイス系鋳鉄材である請求項1乃
    至10の何れかに記載の圧延用複合ロールの製造方法。
  12. 【請求項12】 外層のハイス系鋳鉄材は、重量%に
    て、Nb:3.0%以下、Co:5.0%以下の1種又は
    2種を含有する請求項11に記載の圧延用複合ロールの
    製造方法。
  13. 【請求項13】 外層のハイス系鋳鉄材は、重量%に
    て、Ti:1.0%以下、Zr:1.0%以下、Al:
    0.5%以下、B:0.5%以下からなる群から選択され
    る少なくとも1種を含有する請求項11又は12に記載
    の圧延用複合ロールの製造方法。
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