JP2001093140A - カレンダー処理装置及びこれを用いる磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

カレンダー処理装置及びこれを用いる磁気記録媒体の製造方法

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JP2001093140A
JP2001093140A JP26887999A JP26887999A JP2001093140A JP 2001093140 A JP2001093140 A JP 2001093140A JP 26887999 A JP26887999 A JP 26887999A JP 26887999 A JP26887999 A JP 26887999A JP 2001093140 A JP2001093140 A JP 2001093140A
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layer
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Shigemi Kato
茂己 加藤
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カレンダー処理装置の金属ロール周面に発生
する硬質クロムメッキのマイクロクラックの進行を遅ら
せることにより、金属ロールの清浄や交換のための製造
ライン停止頻度を下げ、生産性を向上させることを可能
とする、カレンダー処理装置及びこれを用いる磁気記録
媒体の製造方法を提供すること。 【解決手段】 複数個の金属ロール1a〜1dと弾性ロ
ール2a〜2cあるいは金属ロールと金属ロールとの間
に磁気記録媒体3を挿通することにより該磁気記録媒体
磁気層の鏡面化を行うカレンダー処理装置において、前
記金属ロール1a〜1dの表面に施す硬質クロムメッキ
を複層メッキ構造とし、各層のメッキ厚みを30〜10
0μmの範囲としたことを特徴とするもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カレンダー処理装
置及びこれを用いる磁気記録媒体の製造方法に関し、よ
り詳細には、磁性層の表面平滑処理工程を改善すること
が可能な、カレンダー処理装置及びこれを用いる磁気記
録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体の製造工程の一つに、磁性
層表面の平滑性あるいは充填度を高めるために行うカレ
ンダー処理と呼ばれる表面平滑処理工程がある。このカ
レンダー処理は、加熱金属ロールと樹脂等の弾性体ある
いは金属ロール同士の間に、磁気記録媒体を加熱・加圧
しながら通す処理工程である。このカレンダー処理に関
しては、従来から、本処理工程実施中に、上記加熱金属
ロールに接触する磁性層表面の磁性層形成材料が脱落
し、金属ロールに付着して汚れが発生するという問題が
あった。
【0003】上記金属ロールの表面は、硬さと耐磨耗性
向上の観点から、電解による硬質クロムメッキ(ビッカ
ース硬度700以上)を施している。前述のような、金
属ロール周面に付着した汚れが磁性層表面に転写した状
態を光学顕微鏡で観察したところ、汚れは網目状に転写
していることが確認された。この網目は、硬質クロムメ
ッキ層に発生するマイクロクラックのパターンであると
考えられる。マイクロクラックの発生原因は、金属ロー
ルのメッキ時に、メッキ内部に残留応力があるため、メ
ッキ直後から非常に微細なクラックが内在しており、こ
の内在クラックが、磁気記録媒体をカレンダー処理する
際の加熱・加圧により拡大し、表面まで進行するためと
いわれている。
【0004】図5(a)に、上述のマイクロクラックの
表面図を、また、図5(b)には、その断面図を、いず
れも模式的に示した。このマイクロクラックは、メッキ
時の残留応力から生まれるため、金属ロール10に施さ
れたメッキ層13の厚みと相関があり、メッキ層13の
厚みが厚いほど残留応力は大きいと考えられる。従来、
上記金属ロールのメッキは、カレンダー処理時の磨耗や
トラブルで発生するシワ押し傷の除去,マイクロクラッ
クの除去のために再研磨して再使用できるよう、200
μm以上の厚みに施されている。
【0005】ただし、上述のように発生するマイクロク
ラックは、金属ロールのメッキ層のかなり内部まで進行
しているため、マイクロクラックを除去するために金属
ロールの表面を再研磨した場合に、表面上はマイクロク
ラックが除去されたように見えても、クラックは実際は
図5(b)に示すように内部まで進行しているため、再
使用中に、短時間で再びマイクロクラックが発生すると
いう問題がある。この場合には、メッキ層をすべて取り
除き、新たにメッキし直すことで対応する他に手だてが
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】金属ロール面に汚れが
蓄積する原因の一つとして、このマイクロクラックの微
細な凹凸が磁性層とのニップ時に磁性層表面を引き裂い
て蓄積させることがあげられる。このマイクロクラック
と汚れとの関係を調べた結果、クラック幅cが2μm以
上になると磁性層表面に転写し、製品の品質に影響する
ことが判明した。この汚れは、磁気記録媒体の磁性面に
転写されることにより磁気記録媒体のS/Nの低下を招
き、ドロップアウトの原因となる。従来のVHSテープ
を代表とする製品では、このマイクロクラックは品質に
影響しないために問題はなかったが、近年のコンピュー
タバックアップテープを代表する高密度記録媒体(例え
ば、DLT)では、このマイクロクラックが問題となっ
てきた。
【0007】このような事態を回避するには、定期的に
金属ロール周面の汚れを除去する清浄化あるいは金属ロ
ールの交換が必要である。これらの作業に際しては、製
造ラインを停止しなければならず、生産性の低下を招く
ので、汚れの発生をできるだけ抑制することが望まし
い。また、マイクロクラックに蓄積した汚れは、有機溶
剤等による清浄作業で除去することは可能だが、頻繁に
行わなければならないため、生産性の大幅な低下を招
く。
【0008】従来の技術では、汚れを抑制する方法とし
て、特開平9−73627号公報に開示された技術(金
属ロールに潤滑剤を塗布して汚れを防止する方法),特
開平4−258812号公報に開示された技術(金属ロ
ールに潤滑剤を塗布して汚れを防止する方法),特開平
1−312732号公報に開示された技術(金属ロール
に界面活性皮膜を形成して汚れを防止する方法)及び特
開昭61−115240号公報に開示された技術(ロー
ルに揮発性の離型成ガスを吹き付ける方法)において、
いずれも金属ロールに潤滑剤、界面活性剤、離型成ガス
を塗布または吹き付けてロール表面に吸着形成させ、汚
れを抑制する方法が開示されている。
【0009】しかしながら、上記従来技術のうち、特開
平9−73627号公報に開示された技術,特開平4−
258812号公報に開示された技術,特開平1−31
2732号公報に開示された技術は、磁気記録媒体自体
の持つ研磨性により、金属ロール表面に吸着形成した物
質を短時間に脱離させるところから、頻繁に製造ライン
を停止し、吸着処理をしなければならないという欠点が
ある。また、特開昭61−115240号公報に開示さ
れた離型成ガスを吹き付ける方法は、ガスを常に吹き付
け続ける必要があり、生産コストがかかり、実用的とは
いえない。
【0010】また、もう一つの問題点としては、金属ロ
ールのメッキの磨耗が挙げられる。カレンダー加熱金属
ロールは、ロールとロールとの間で磁気記録媒体を加圧
しながら処理を行うため、接触せん断力により、ロール
表面に施した硬質クロムメッキが磨耗していく。この磨
耗は、ロール幅方向に一定ではなく、不均一に磨耗する
ために、ロール間の圧力の不均一を生ずることになり
(図6参照)、製品の平滑性や充填度に影響を与えると
いう問題が生じる。
【0011】上述のロールの磨耗量は、当然のことなが
ら処理量と相関があり、例えば、処理量が約64,80
0,000m(これは平均的な処理時間では、約12ヶ
月に相当する。)になると、磨耗により加圧不均一が無
視できなくなるため、それ以前にカレンダー処理時のト
ラブルでのシワ押し等の問題がなければ、従来は12ヶ
月で定期的にロールの交換を行っている。
【0012】本発明の目的は、従来の技術における上述
のような問題を解消し、カレンダー処理装置の金属ロー
ル周面に発生する硬質クロムメッキのマイクロクラック
の進行を遅らせることにより、汚れによる金属ロールの
清浄や交換のための製造ライン停止頻度を下げ、生産性
を向上させることを可能とする、カレンダー処理装置及
びこれを用いる磁気記録媒体の製造方法を提供すること
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係るカレンダー処理装置は、複数個の金属
ロールと弾性ロールあるいは金属ロールと金属ロールと
の間に磁気記録媒体を挿通することにより該磁気記録媒
体磁気層の鏡面化を行うカレンダー処理装置において、
前記金属ロールの表面に施す硬質クロムメッキを複層メ
ッキ構造とし、各層のメッキ厚みを30〜100μmの
範囲としたことを特徴とするものである。
【0014】また、本発明に係る磁気記録媒体の製造方
法は、非磁性層形成用塗布液と磁性層形成用塗布液と
を、乾燥後の非磁性層の厚さ及び磁性層の厚さが所定の
厚さになるように長尺状の支持体上に塗布し、前記両層
がまだ湿潤状態にあるうちに配向処理を行った後乾燥し
て非磁性層及び磁性層を設けた磁気記録媒体を、表面に
複層施された硬質クロムメッキの各層の厚みを30〜1
00μmの範囲とした金属ロールを含むカレンダー処理
装置によりカレンダー処理することを特徴とするとする
ものである。
【0015】本発明においては、カレンダー処理装置に
用いる金属ロールの表面に施された硬質クロムメッキが
複層メッキ構造であるとともに、各層のメッキ厚みが3
0〜100μmの範囲となっており、硬質クロムメッキ
層におけるマイクロクラックの進行を遅らせることがで
きる。 したがって、クラック幅が品質に影響する2μ
mに達するまでの処理量を大幅に増加させることが可能
になり、生産性の向上に寄与することができる。また、
硬質クロムメッキを複層メッキ構造とすることで、最外
周の層を研磨し、研磨後の最外周に現れたメッキ層を使
用することが可能となる。すなわち、カレンダー処理時
のトラブルで発生するシワ押し傷が発生した場合でも、
再メッキ処理する必要がなく、短時間で補修できる研磨
での対応が可能となる。したがって、補修費の低減及び
生産性が向上する。また、予備ロールの確保も必要がな
くなる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形
態に係るカレンダー処理装置の構成の要部を示す断面図
である。
【0017】図1に示すように、本実施形態では7段の
カレンダー処理装置を利用しており、1a〜1dは、内
部に加熱手段を備えた金属ロールであり、2a〜2cは
樹脂ロールである。また、3は磁気テープであり、3a
はその磁性面を示している。後述する実施例及び比較例
では、この7段のカレンダー処理装置における最上段の
加熱金属ロール1aの表面に施す硬質クロムメッキを複
層メッキ構造とし、かつ、各層の厚みを20〜200μ
mの範囲内の種々の厚みに設定している。そして、この
カレンダー処理装置を用いて、実施例に説明するような
磁性層を有する磁気記録媒体のカレンダー処理を行う。
【0018】なお、上記実施形態は本発明の一例を示す
ものであり、本発明はこれに限定されるべきものではな
い。例えば、上記実施形態においては、カレンダー処理
装置として、金属ロールと樹脂ロールからなる7段のロ
ール構成である例を示したが、本発明は、これ以外に
も、例えば金属ロールのみからなるもの、構成段数の異
なるもの、あるいは、金属ロールと樹脂ロールとの組み
合わせを変えたものなど、他の構成に係るカレンダー処
理装置及びこれを用いる磁気記録媒体の製造方法にも適
用可能である。さらに、上記実施形態においては、カレ
ンダー処理装置の最初の金属ロールのみのメッキ厚みを
変化させた例を示したが、他の加熱金属ロールについて
も、同様にメッキ厚みを調整しても良い。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
する。まず、磁気記録媒体の製造方法の概要について説
明する。 (1)非磁性層形成用塗布液及び磁性層形成用塗布液の調製 a.研磨剤を含む分散液の組成 α‐Al23 (アルミナ) 100部(重量部) 〔平均粒子サイズ:0.2μm〕 極性基(−SO3Na基)含有塩化ビニル系共重合体 12部 〔−SO3Na基の含有量:5×10-5モル/g、 重合度:350、エポキシ基含有量:モノマー単位で3.5重量%、 (MR−110、日本ゼオン(株)製)〕 メチルエチルケトン 100部 上記の成分をサンドミルを用いて分散させて研磨剤を含
む分散液を調整した。
【0020】 b.非磁性層形成用成分 非磁性粉末 二酸化チタンTiO2(ルチル型) 100部 〔TiO2含有量:90%以上 平均一次粒子径:0.035μm BET法による比表面積:40m2/g pH:7.0 DBP吸油量:27〜38g/100g モース硬度:6.0 表面処理剤(Al23)〕 磁性体表面処理剤 0.3部 〔フェニルホスホン酸〕 極性基(−SO3Na基)含有塩化ビニル系共重合体 12部 〔−SO3Na基含有量:5×10-5モル/g、重合度:350、 エポキシ基含有量:モノマー単位で3.5重量%、 (MR−110、日本ゼオン(株)製)〕 極性基(−SO3Na基)含有ポリエステルポリウレタン樹脂5部 〔ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/ MDI=0.9/2.6/1(重量比) −SO3Na基:1×10-4モル/g含有〕 ポリイソシアネート 3部 〔(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)〕 上記の研磨剤(α−アルミナ)を含む分散液 10部 カーボンブラック 10部 〔(平均粒子サイズ:0.1μm、旭カーボン(株)製)〕 プチルステアレート 0.1部 ステアリン酸 0.2部 オレイン酸 0.1部 メチルエチルケトン 150部 シクロヘキサノン 150部
【0021】 c.磁性層形成用成分 強磁性金属粉末 100部 〔(組成/Fe:Co:Y:Al=100:10:3:11 保磁力(Hc):180エルステッド(Oe) BET法による比表面積:57m2/g 結晶子サイズ:170A 飽和磁化量(δs):130emu/g 粒子サイズ(平均長軸長):0.10μm pH:9.3〕 磁性体表面処理剤〔(フェニルスルホン酸)〕 3部 極性基(−SO3Na基)含有塩化ビニル系共重合体 10部 〔−SO3Na基の含有量:5×10-5モル/g、 重合度:350、エポキシ基含有量:モノマー単位で3.5重量%、 (MR−110、日本ゼオン(株)製)〕 極性基(−SO3Na基)含有ポリエステルポリウレタン樹脂2.5部 〔ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/ MDI=0.9/2.6/1(重量比) −SO3Na基含有量:1×10-4モル/g含有〕 ポリイソシアネート 2.5部 〔(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)〕 上記の研磨剤(α−アルミナ)を含む分散液 10部 カーボンブラック 1部 〔(#50、平均粒子サイズ:0.10μm、旭カーボン(株)製)〕 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2部 オレイン酸 1部 メチルエチルケトン 150部 シクロヘキサノン 50部
【0022】まず、上記磁性層形成用成分及び非磁性層
形成用成分のうち、研磨剤を含む分散液以外の各成分を
それぞれ連続ニーダ(オープンニーダ)で混練し、非磁
性層形成用塗布液及び磁性層形成用塗布液をそれぞれ調
整した。
【0023】 (2)バックコート層形成用塗布液の調製 (バックコート層形成用成分) 微粒子状カーボンブラック粉末 100部 〔(キャボット社製、BP−800、平均粒子サイズ:17μm)〕 粗粒子状カーボンブラック粉末 10部 〔(カーボンカルプ社製、サーマルブラック、平均粒子サイズ:270μm) 〕 炭酸カルシウム(軟質無機粉末) 80部 〔(白石工業(株)製、白艶華0、平均粒子サイズ:40μm、 モース硬度:3)〕 α−アルミナ(硬質無機粉末) 5部 〔(平均粒子サイズ:200μm、モース硬度:9)〕 ニトロセルロース樹脂 140部 ポリウレタン樹脂 15部 ポリイソシアネート 40部 ポリエステル樹脂 5部 分散剤 :オレイン酸銅 5部 銅フタロシアニン 5部 硫酸バリウム 5部 メチルエチルケトン 2200部 酢酸ブチル 300部 トルエン 600部
【0024】上記バックコート層を形成する各成分を連
続ニーダで混練したのち、バックコート層形成用塗布液
を調製した。
【0025】(3)磁気テープの作製 得られた非磁性層形成用塗布液と磁性層形成用塗布液
を、乾燥後の非磁性層の厚さが2.2μmとなるよう
に、またこの上に乾燥後の磁性層の厚さが0.3μmと
なるように長尺状のポリエチレンテレフタレート(PE
T)支持体(厚さ:6.0μm)上に同時重層塗布を行
った。ついで、両層がまだ湿潤状態にあるうちに、30
00ガウスの磁束密度を持つコバルト磁石と1500ガ
ウスの磁束密度を持つソレノイドを用いて配向処理を行
った。その後乾燥を行い、非磁性層及び磁性層を設け
た。
【0026】その後、支持体の他方の側(磁性層とは反
対側)に、上記バックコート層形成用塗布液を乾燥後の
厚さが0.5μmとなるように塗布し、乾燥してバック
コート層を設け、支持体の一方の面に非磁性層と磁性層
とが、そして他方の面にバックコート層がそれぞれ設け
られた磁気記録積層体ロールを得た。得られた磁気記録
積層体ロールを、金属ロールのみから構成される図1に
示したような、金属ロールと樹脂ロールからなる7段構
成のカレンダー処理装置に通してカレンダー処理を行っ
た。
【0027】カレンダー処理の条件は、以下の通りであ
る。 メッキ厚み変更ロール :加熱金属ロール上段のロール1a 加熱金属ロール温度 :90℃ ニップ圧(線圧) :300kg/cm カレンダー処理速度 :150m/min 定期ロール清浄 :約60,000m処理毎に実施
【0028】マイクロクラック発生の判断は、複層メッ
キを施された加熱金属ロール1aの表面変化とカレンダ
ー処理後の磁性層表面を定期的に観察してクラック幅を
測定し、クラック幅が品質に影響する2μmに達した限
界処理量を判定・確認した。マイクロクラックの進行に
関しては、硬質クロムメッキの外周メッキ厚み又は再研
磨後の外周メッキ厚みとカレンダー処理量(処理時間)
との間に、図2及び図3に示すような相関があることが
確認された。全体の傾向としては、硬質クロムメッキ厚
みが薄いほど、マイクロクラックが限界幅2μmに達す
るまでの処理量(処理時間)は長くなる。
【0029】まず、図2に示すグラフ、すなわちマイク
ロクラック幅が2μmに達するまでの、最外周メッキ厚
みとカレンダー処理量との関係について実施例1〜4及
び比較例1〜5を参照して説明する。
【0030】〔実施例1〕上述の処理条件下で、外周メ
ッキ厚みを100μmに設定した2〜4層メッキ構造か
らなる金属ロール1aを使用した場合、クラック幅が品
質に影響する2μmに達したのは処理量が約64,80
0,000mに達したときであった。なお、一番処理量
の多いものは3層メッキ、その次が4層メッキ、その次
が2層メッキを施したものであった。
【0031】〔実施例2〕上述の処理条件下で、外周メ
ッキ厚みを70μmに設定した2〜4層メッキ構造から
なる金属ロールを使用した場合、クラック幅が品質に影
響する2μmに達したのは、処理量が約81,000,
000mに達したときであった。なお、一番処理量の多
いものは4層メッキ、その次がほぼ同じ処理量で2層及
び3層メッキを施したものであった。
【0032】〔実施例3〕上述の処理条件下で、外周メ
ッキ厚みを50μmに設定した2〜4層メッキ構造から
なる金属ロールを使用した場合、クラック幅が品質に影
響する2μmに達したのは、処理量が約97,200,
000mに達したときであった。なお、一番処理量の多
いもののは2層メッキ、その次が4層メッキ、その次が
3層メッキを施したものであった。
【0033】〔実施例4〕上述の処理条件下で、外周メ
ッキ厚みを30μmに設定した2〜4層メッキ構造から
なる金属ロールを使用した場合、クラック幅が品質に影
響する2μmに達したのは、処理量が約102,60
0,000mに達したときであった。なお、一番処理量
の多いものは2層メッキ、その次がほぼ同じ処理量で3
層及び4層メッキを施したものであった。
【0034】〔比較例1〕外周メッキ厚みを20μmに
設定した2〜4層メッキ構造からなる金属ロールを使用
した実験の結果は、メッキ前の鉄芯母材の加工精度は、
通常1/100mm(10μm)で加工されているた
め、金属ロール周面でメッキ厚みにばらつきが生まれ、
一部のメッキ厚みが薄いところでは使用時の磨耗により
メッキが無くなる事態が発生した。
【0035】〔比較例2〕外周メッキ厚みを10μmに
設定した2〜4層メッキ構造からなる金属ロールを使用
した実験においても、比較例1と同様の現象がみられ
た。
【0036】〔比較例3〕上述の処理条件下で、外周メ
ッキ厚みを110μmに設定した2〜4層メッキ構造か
らなる金属ロールを使用した実験の結果、磨耗による1
2ヶ月ごとの定期ロール交換時期よりも前の約59,4
00,000m処理後の時点で、マイクロクラックの幅
は品質に影響する2μmに達した。なお、一番処理量の
多いものは3層メッキ、その次が2層メッキ、その次が
4層メッキを施したものであった。
【0037】〔比較例4〕上述の処理条件下で、外周メ
ッキ厚みを150μmに設定した2〜4層メッキ構造か
らなる金属ロールを使用した実験の結果、磨耗による1
2ヶ月ごとの定期ロール交換時期よりも前の約37,8
00,000m処理後の時点で、マイクロクラックの幅
は品質に影響する2μmに達した。なお、一番処理量の
多いものは4層メッキ、その次が2層メッキ、その次が
3層メッキを施したものであった。
【0038】〔比較例5〕上述の処理条件下で、外周メ
ッキ厚みを200μmに設定した2〜4層メッキ構造か
らなる金属ロールを使用した実験の結果、磨耗による1
2ヶ月ごとの定期ロール交換時期よりも前の約27,0
00,000m処理後の時点で、マイクロクラックの幅
は品質に影響する2μmに達した。なお、一番処理量の
多いものは3層メッキ、その次が2層メッキ、その次が
4層メッキを施したものであった。
【0039】以上の実施例1〜4及び比較例1〜5によ
り、金属ロールの硬質クロムメッキ厚みを30μmから
100μmの範囲内にすることで、品質に影響するマイ
クロクラックは磨耗による定期ロール交換以前には発生
せず、生産性の向上が実現されることが確認できた。ま
た、ロール清浄作業も頻繁に実施する必要が無くなるこ
とが確認できた。
【0040】次に、図3に示すグラフ、すなわちマイク
ロクラック幅が2μmに達するまでの、再研磨後の外周
メッキ厚みとカレンダー処理量との関係について実施例
5〜8及び比較例6〜10を参照して説明する。
【0041】〔実施例5〕上述の処理条件下で、再研磨
後の外周メッキ厚みを100μmに設定した2〜4層メ
ッキ構造からなる金属ロール1aを使用した場合、クラ
ック幅が品質に影響する2μmに達したのは処理量が約
64,800,000mに達したときであった。なお、
一番処理量の多いものは3層メッキ、その次が2層メッ
キ、その次が4層メッキを施したものであった。
【0042】〔実施例6〕上述の処理条件下で、再研磨
後の外周メッキ厚みを70μmに設定した2〜4層メッ
キ構造からなる金属ロールを使用した場合、クラック幅
が品質に影響する2μmに達したのは、処理量が約8
1,000,000mに達したときであった。なお、一
番処理量の多いものはほぼ同じ処理量である2層及び4
層メッキ、その次が3層メッキを施したものであった。
【0043】〔実施例7〕上述の処理条件下で、再研磨
後の外周メッキ厚みを50μmに設定した2〜4層メッ
キ構造からなる金属ロールを使用した場合、クラック幅
が品質に影響する2μmに達したのは、処理量が約9
7,200,000mに達したときであった。なお、一
番処理量の多いものは2層メッキ、その次が3層メッ
キ、その次が4層メッキを施したものであった。
【0044】〔実施例8〕上述の処理条件下で、再研磨
後の外周メッキ厚みを30μmに設定した2〜4層メッ
キ構造からなる金属ロールを使用した場合、クラック幅
が品質に影響する2μmに達したのは、処理量が10
2,600,000mに達したときであった。なお、一
番処理量の多いものは2層メッキ、その次が3層メッ
キ、その次が4層メッキを施したものであった。
【0045】〔比較例6〕上述の処理条件下で、再研磨
後の外周メッキ厚みを20μmに設定した2〜4層メッ
キ構造からなる金属ロールを使用した実験の結果は、メ
ッキ前の鉄芯母材の加工精度は、通常1/100mm
(10μm)で加工されているため、金属ロール周面で
メッキ厚みにばらつきが生まれ、一部のメッキ厚みが薄
いところでは使用時の磨耗によりメッキが無くなる事態
が発生した。
【0046】〔比較例7〕上述の処理条件下で、再研磨
後の外周メッキ厚みを10μmに設定した2〜4層メッ
キ構造からなる金属ロールを使用した実験においても、
比較例6と同様の現象がみられた。
【0047】〔比較例8〕上述の処理条件下で、再研磨
後のメッキ厚みを110μmに設定した2〜4層メッキ
構造からなる金属ロールを使用した実験の結果、磨耗に
よる12ヶ月ごとの定期ロール交換時期よりも前の5
9,400,000m処理後の時点で、マイクロクラッ
クの幅は品質に影響する2μmに達した。なお、一番処
理量の多いものは3層メッキ、その次がほぼ同じ処理量
で2層及び4層メッキを施したものであった。
【0048】〔比較例9〕上述の処理条件下で、再研磨
後のメッキ厚みを150μmに設定した2〜4層メッキ
構造からなる金属ロールを使用した実験の結果、磨耗に
よる12ヶ月ごとの定期ロール交換時期よりも前の3
7,800,000m処理後の時点で、マイクロクラッ
クの幅は品質に影響する2μmに達した。なお、一番処
理量の多いものは3層メッキ、その次がほぼ同じ処理量
で2層及び4層メッキを施したものであった。
【0049】〔比較例10〕上述の処理条件下で、再研
磨後のメッキ厚みを200μmに設定した2〜4層メッ
キ構造からなる金属ロールを使用した実験の結果、磨耗
による12ヶ月ごとの定期ロール交換時期よりも前の2
7,000,000m処理後の時点で、マイクロクラッ
クの幅は品質に影響する2μmに達した。なお、一番処
理量の多いものは2層メッキ、その次が3層メッキ、そ
の次が4層メッキを施したものであった。
【0050】以上の実施例5〜8及び比較例6〜10に
より、再研磨で下流側のメッキ層を出した後に、再使用
した場合の金属ロールの硬質クロムメッキ厚みを30μ
mから100μmの範囲内にすることで、品質に影響す
るマイクロクラックは磨耗による定期ロール交換以前に
は発生せず、生産性の向上が実現されることが確認でき
た。また、ロール清浄作業も頻繁に実施する必要が無く
なることが確認できた。
【0051】なお、単層メッキであっても当然ながら同
様な効果を奏することができるが、上記実施例の場合、
何れの場合も複層メッキ構造の金属ロールで実験を行っ
た。複層メッキ構造の場合、クラックが連続すれば、従
来例、すなわちメッキ層が200μm以上の厚みのもの
と変わらなく場合があるが、図4に示すように、複層メ
ッキ構造の断面を観察すると、各層6,7のメッキ面は
独立しており、メッキ層界面でクラックは結びつかない
ので、連続したクラックは生じない。したがって、従来
例のような問題は生じない。また、残留応力が小さい複
層メッキを組み合わせることで総厚みを厚くすることが
できる。
【0052】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、金属ロールの表面に施す硬質クロムメッキを複
層メッキ構造とし、各層のメッキ厚みを30〜100μ
mの範囲としたので、金属ロール周面に発生する硬質ク
ロムメッキのマイクロクラックの進行を遅くし、金属ロ
ールの清浄や交換のための製造ラインの停止頻度を下げ
ることが可能になり、生産性の向上を実現できるという
顕著な効果を奏するものである。また、硬質クロムメッ
キが複層メッキ構造となっているので、最外周の層を研
磨し、その後に最外周に現れたメッキ層を使用すること
ができる。すなわち、例えカレンダー処理時にシワ押し
傷が発生した場合でも、再メッキ処理するのではなく、
短時間で補修できる研磨での対応が可能となるので、補
修費の低減及び生産性が向上する。また、予備ロールの
確保も必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るカレンダー処理装置
の構成の要部を示す断面図である。
【図2】マイクロクラック幅が2μmに達するまでの、
最外周メッキ厚みとカレンダー処理量との相関を示す図
である。
【図3】マイクロクラック幅が2μmに達するまでの、
再研磨後の外周メッキ厚みとカレンダー処理量との相関
を示す図である。
【図4】複層メッキ構造の断面図である。
【図5】硬質クロムメッキのマイクロクラック観察図で
あり、(a)は表面図、(b)は断面図である。
【図6】加熱金属ロールの、導入時点と12ヶ月後の定
期ロール交換時点での磨耗状況の一例を示す図である。
【符号の説明】
1a〜1d 加熱金属ロール 2a〜2c 樹脂ロール 3 磁気テープ 3a 磁気テープの磁性面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個の金属ロールと弾性ロールあるい
    は金属ロールと金属ロールとの間に磁気記録媒体を挿通
    することにより該磁気記録媒体磁気層の鏡面化を行うカ
    レンダー処理装置において、 前記金属ロールの表面に施す硬質クロムメッキを複層メ
    ッキ構造とし、各層のメッキ厚みを30〜100μmの
    範囲としたことを特徴とするカレンダー処理装置。
  2. 【請求項2】 非磁性層形成用塗布液と磁性層形成用塗
    布液とを、乾燥後の非磁性層の厚さ及び磁性層の厚さが
    所定の厚さになるように長尺状の支持体上に塗布し、前
    記両層がまだ湿潤状態にあるうちに配向処理を行った後
    乾燥して非磁性層及び磁性層を設けた磁気記録媒体を、
    表面に複層施された硬質クロムメッキの各層の厚みを3
    0〜100μmの範囲とした金属ロールを含むカレンダ
    ー処理装置によりカレンダー処理することを特徴とする
    磁気記録媒体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6596410B2 (en) * 2000-09-29 2003-07-22 Nippon Piston Ring Co., Ltd. Chrome-plated sliding member and manufacturing method thereof

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