JP2001090563A - 内燃機関 - Google Patents

内燃機関

Info

Publication number
JP2001090563A
JP2001090563A JP27067299A JP27067299A JP2001090563A JP 2001090563 A JP2001090563 A JP 2001090563A JP 27067299 A JP27067299 A JP 27067299A JP 27067299 A JP27067299 A JP 27067299A JP 2001090563 A JP2001090563 A JP 2001090563A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
exhaust
engine
valve
air
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27067299A
Other languages
English (en)
Inventor
Kotaro Hayashi
孝太郎 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP27067299A priority Critical patent/JP2001090563A/ja
Publication of JP2001090563A publication Critical patent/JP2001090563A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料消費量の悪化を抑制しながら機関のNO
X 排出量を低減する。 【解決手段】 ディーゼル機関1に吸気弁の開閉タイミ
ングを変更可能な可変バルブタイミング装置50を設け
る。電子制御ユニット(ECU)30は、機関排気通路
に配置したNOX センサ71で排気NOX 濃度を検出
し、このNOX 濃度が所定の上限値以下になるように、
可変バルブタイミング装置を駆動して吸気弁開閉タイミ
ングをフィードバック制御する。吸気弁開閉タイミング
を変更することにより、吸気絞りの場合のようなポンピ
ングロスを生じることなく筒内に既燃ガスを残留させる
ことができるため、燃料消費量の増大を抑制しながら排
気中のNOX を低減することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸気弁と排気弁と
のうち少なくとも一方の開閉タイミングを変更可能な可
変バルブタイミング装置を備えた内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の排気中に含まれるNOX 量を
低減するために、機関排気の一部を吸気系に循環させる
排気再循環(EGR)装置を備えた機関が知られてい
る。EGR装置を備えた機関では、酸素濃度の低い不活
性ガスとしての排気を吸気に混入することにより機関燃
焼温度を低下させ、燃焼により発生するNOX 量を低減
している。通常、EGR装置は、機関排気マニホルドと
吸気通路(例えばサージタンク)とを接続するEGR通
路を備え、このEGR通路上に配置したEGR制御弁開
度を機関運転状態に応じて制御することにより、EGR
通路を通って吸気通路に還流する排気ガス(EGRガ
ス)量を制御している。
【0003】EGRは、機関吸気に酸素濃度の低い排気
を還流させるものであるため、機関の運転状態を良好に
維持しつつ排気中のNOX を低減するためには、EGR
ガス量を適切に制御する必要がある。この種のEGR装
置を備えた内燃機関の例としては、例えば特開平10−
252573号公報に記載されたものがある。
【0004】同公報の機関は、排気系と吸気系とを接続
するEGR通路と、このEGR通路上に配置された排気
還流制御弁(EGR制御弁)とを備えている。また、同
公報の機関は、排気中のNOX 濃度を検出する手段を備
え、検出したNOX 濃度に基づいて上記EGR制御弁開
度を制御している。すなわち、同公報の機関では、機関
運転状態(回転数、負荷)に応じて目標となる機関NO
X 排出量が設定されている。また、同公報の機関は、運
転中にNO X 検出手段で検出した排気NOX 濃度から機
関の実際のNOX 排出量を算出するともに、実際のNO
X 排出量が機関NOX 排出量の目標値に一致するように
EGR制御弁の開度をフィードバック制御している。
【0005】同公報の機関では、上記のようにEGR制
御弁を排気中のNOX 濃度に基づいて制御することによ
り、実際の機関NOX 排出量をばらつきを生じることな
く低減することを可能としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報の
機関のようにEGR装置を用いて機関のNOX 排出量を
低減する場合には問題が生じる。例えば、ディーゼル機
関等のように極めて空燃比の高い燃焼を行なう機関では
NOX を低減するためにEGRガスも多量に吸気系に還
流させる必要がある。ところが、EGR制御弁を用いて
EGR流量を制御する方式では排気圧力と吸気圧力との
間に充分に大きな差圧がない状態では多量のEGRガス
を吸気系に還流させることができない問題がある。特
に、ディーゼル機関では負荷に応じて排気圧力も低下す
るため機関アイドル運転や軽負荷運転時には充分な量の
EGRガスを還流させることは困難である。
【0007】このため、上記公報の装置のようにEGR
制御弁を用いてEGRガス流量を制御する場合には、デ
ィーゼル機関においても吸気通路に絞り弁を設け、アイ
ドル運転時や軽負荷運転時には絞り弁を絞るようにして
いる。すなわち、吸気絞り弁を絞ることにより絞り弁下
流側の吸気系に負圧を生じさせ、排気系と吸気系との圧
力差を増大させるようにして、アイドル運転時等にも充
分な量のEGRガスを還流させるようにしているのであ
る。
【0008】ところが、上記のようにEGRガス量を確
保するために軽負荷運転時に吸気絞り弁を絞った場合に
は、吸気絞り損失が発生し機関のポンピングロスが増大
することになる。このため、EGR制御弁を使用してE
GRガス量を制御する場合、機関の出力低下や燃料消費
量の増大が生じる問題がある。また、EGR制御弁を用
いて排気を吸気系に還流する場合にはEGRガス量を機
関運転状態の変化に応じて応答性良く制御することがで
きない問題がある。すなわち、吸気系はある程度の容積
を有しているため、EGR制御弁開度を変更しても吸気
系内のEGRガス濃度がEGR制御弁開度に対応した量
になるまでにはある程度の遅れ時間が必要となる。この
ため、EGR制御弁開度を変更しても実際に気筒内に流
入するEGRガス量は直ちには変化しない。従って、機
関加速時等のように出力確保のために短時間でEGRガ
ス量を低減する必要がある場合にはEGRガス量変化が
遅いため、充分な機関出力を確保することができなくな
り加速性の悪化等の問題が生じるのである。
【0009】更に、上記公報の機関では排気NOX 量が
所定の目標量になるようにEGRガス量を制御してい
る。しかし、実際には他の運転条件が同一であっても排
気NO X 量を同一にするために必要とされるEGRガス
量は大きくばらつく場合がある。このため、上記公報の
機関では排気中のNOX 量の制御は正確に目標値に制御
できるものの、NOX 量制御時のEGRガス量は大きく
ばらつくようになる。一般にEGRガス量が増大すると
機関燃焼空燃比は低下し、NOX の発生量は低下する
が、ディーゼル機関の場合には気筒における燃焼空燃比
があるスモーク限界値以下に低下すると排気スモークが
発生する問題がある。このため、上記公報の装置のよう
に、実際のNOX 量を目標値に制御するためには実際の
EGRガス量が大きくばらついても機関燃焼空燃比がス
モーク限界以下にならないように、ばらつきを考慮して
NOX 量の目標値を高く設定しておく必要がある。この
ため、NOX 量のみに基づいてEGRガス量の制御を行
なった場合には、充分に排気中のNOX 量を低減できな
い場合が生じる。
【0010】本発明は上記問題の1つまたはそれ以上を
解決することが可能な内燃機関を提供することを目的と
している。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、排気中のNOX 濃度を検出するNOX 検出手段
と、前記NOX 検出手段により検出したNOX 濃度に基
づいて、機関のNOX排出量が予め定めた条件を満たす
ように、気筒吸気弁と排気弁とのうち少なくとも一方の
開閉タイミングを変更する可変バルブタイミング手段
と、を備えた内燃機関が提供される。
【0012】すなわち、請求項1の発明によれば、排気
中のNOX 濃度に基づいて気筒吸気弁と排気弁とのうち
少なくとも一方の開閉タイミングが変更される。排気中
のNOX 濃度は気筒吸気弁と排気弁とのうち一方、もし
くは両方の開閉タイミングを変更することにより変化さ
せることができる。気筒吸気弁と排気弁との両方が開弁
するバルブオーバラップ期間には、排気行程時に排気弁
から排出されるべき既燃ガスの一部が吸気弁から吸気ポ
ートに逆流する。この既燃ガスは次に気筒が吸気行程に
なると再度気筒内に吸入され、気筒内に既燃ガスが残留
することになる。このため、例えば、弁の開閉タイミン
グが、吸気弁と排気弁との開弁期間のオーバラップが増
大するように変更されると、気筒内に残留する不活性ガ
スとしての既燃ガスの量が増大しEGRガスを吸気系に
還流した場合と同様に燃焼温度が低下する。このため、
機関のNOX 排出量は残留する既燃ガス量が多いほど低
下するようになる。
【0013】一方、バルブオーバラップ期間が増大して
も吸気絞りの場合のように機関のポンピングロスが増大
することはない。このため、機関アイドル運転時や軽負
荷時にも弁の開閉タイミングを変更することにより、ポ
ンピングロスの増大による燃料消費量の増大を伴うこと
なく気筒内に多量の既燃ガスを残留させてNOX を低減
することが可能となる。また、気筒内に残留する既燃ガ
スの量はバルブオーバラップ期間が変化すると、遅れを
伴わずに直ちに変化する。このため、例えば、機関加速
時等のように急速に気筒内に残留する既燃ガス量を変化
させる必要がある場合にも、バルブオーバラップ期間の
変更に残留既燃ガス量が追従して変化し加速性の低下が
生じない。
【0014】請求項2に記載の発明によれば、前記可変
バルブタイミング手段は、前記バルブタイミングを変更
することにより気筒内に残留する既燃ガスの量を制御
し、前記NOX 検出手段により検出したNOX 濃度に基
づいて、機関のNOX 排出量が予め定めた所定値以下に
なる量の既燃ガスが気筒内に残留するように前記吸気弁
と排気弁とのうち少なくとも一方の開閉タイミングをフ
ィードバック制御する、請求項1に記載の内燃機関が提
供される。
【0015】すなわち、請求項2の発明では請求項1の
発明において、弁開閉タイミングは気筒内の残留既燃ガ
ス量が、機関のNOX 排出量を所定値以下にする値にな
るように、NOX 検出手段の検出したNOX 濃度に基づ
いてフィードバック制御される。このため、請求項1の
作用に加えて機関NOX 排出量がばらつきを生じること
なく確実に所定値以下に制御されるようになる。
【0016】請求項3に記載の発明によれば、更に、機
関排気の空燃比を検出する空燃比検出手段を備え、前記
可変バルブタイミング手段は、前記NOX 検出手段によ
り検出した排気中のNOX 濃度と、前記空燃比検出手段
により検出した排気空燃比との両方が予め定めた条件を
満たすように前記吸気弁と排気弁とのうち少なくとも一
方の開閉タイミングを変更する、請求項1に記載の内燃
機関が提供される。
【0017】すなわち、請求項3の発明では、請求項1
の発明において、弁開閉タイミングは排気中のNOX
度だけでなく、排気空燃比にも基づいて制御される。排
気中のNOX 濃度は弁開閉タイミングを変更して気筒内
の既燃ガス量を増大させることにより低下させることが
できる。しかし、同一の排気NOX 濃度を得るための気
筒内の残留既燃ガスの量は他の条件が同一でもばらつき
があり一定しない場合がある。このような場合には、例
えばNOX 検出手段により検出した排気NOX濃度のみ
に基づいて、排気NOX 濃度が例えば所定値以下になる
ように弁開閉タイミングを制御していると、NOX 濃度
を所定値以下にするために必要な既燃ガス量がばらつき
により増大したような場合には気筒の燃焼空燃比が過度
に低下してしまい、ディーゼル機関などでは排気スモー
クが発生する問題がある。本発明では排気中のNOX
度のみでなく、排気空燃比にも応じて弁開閉タイミング
が制御される。このため、例えば排気NOX 濃度を低下
させるために気筒内の残留既燃ガスを増大するように弁
開閉タイミングを変更したときに、排気空燃比がスモー
クの発生を生じる限界値付近まで低下したような場合に
は、それ以上の弁開閉タイミングの変更を禁止するよう
にして、排気中のNOX を低減しながら排気スモークの
発生を防止することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態について説明する。図1は、本発明を自動車
用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成
を示す図である。図1において、1は自動車用内燃機関
を示す。本実施形態では機関1は#1から#6の6つの
気筒を備えた6気筒ディーゼル機関とされ、各気筒には
気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁111が設
けられている。燃料は高圧燃料噴射ポンプ(図示せず)
から各燃料噴射弁111が接続されたコモンレール(蓄
圧室)(図示せず)に圧送され、コモンレールから各燃
料噴射弁111により各気筒内に所定のタイミングで噴
射される。
【0019】図1において21は各気筒の吸気ポートを
吸気通路2に接続する吸気マニホルド、31は各気筒の
排気ポートを排気通路3に接続する排気マニホルドであ
る。本実施形態では、後述するように吸気マニホルド2
1には冷却水ジャケット21aが設けられており、図示
しない機関冷却水系統から供給される冷却水により吸気
マニホルド21の冷却が行なわれる。
【0020】また、本実施形態では、機関1の過給を行
なう過給機35が設けられており、排気通路3は過給機
35の排気出口に、吸気通路2は過給機35の吸気吐出
口に、それぞれ接続されている。また、吸気通路2には
過給機35から供給される吸気の冷却を行なうインター
クーラ25及び吸気絞り弁27が設けられている。吸気
絞り弁27は、機関始動時等に機関吸入空気量を絞り機
関運転状態を安定させるために使用される。
【0021】図1に50で示すのは、機関のバルブタイ
ミングを変更する可変バルブタイミング装置である。本
実施形態では、可変バルブタイミング装置50は吸気カ
ムシャフトのクランクシャフトに対する回転位相を変化
させることにより、無段階に吸気弁の開弁時期と閉弁時
期とを変更可能な形式のものが用いられる。なお、本発
明では、可変バルブタイミング装置50の種類について
は特に制限はなく、吸気弁と排気弁のうち一方もしくは
両方の開閉タイミングを変更可能なものであれば公知の
いずれの形式のものをも使用することができる。
【0022】図1に70で示すのは、排気通路3に配置
されたNOX 吸蔵還元触媒である。本実施形態のNOX
吸蔵還元触媒70は、例えばアルミナを担体とし、この
担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa 、リチウム
Li 、セシウムCs のようなアルカリ金属、バリウムB
a 、カルシウムCa のようなアルカリ土類、ランタンL
a 、セリウムCe、イットリウムYのような希土類から
選ばれた少なくとも一つの成分と、白金Ptのような貴
金属とを担持したものである。NOX 吸蔵還元触媒は流
入する排気ガスの空燃比がリーンのときに、排気中のN
X (NO2 、NO)を硝酸イオンNO3 - の形で吸収
し、流入排気ガスがリッチになると吸収したNOX を放
出するNOX の吸放出作用を行う。
【0023】この吸放出のメカニズムについて、以下に
白金PtおよびバリウムBaを使用した場合を例にとっ
て説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土
類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。流入排
気中の酸素濃度が増大すると(すなわち排気の空燃比が
リーン空燃比になると)、これら酸素は白金Pt上にO
2 - またはO2-の形で付着し、排気中のNOX は白金P
t上のO2 - またはO2-と反応し、これによりNO2
生成される。また、流入排気中のNO2 及び上記により
生成したNO2 は白金Pt上で更に酸化されつつ吸収剤
としての酸化バリウムBaOと結合しながら硝酸イオン
NO3 - の形で吸収剤内に拡散する。このため、リーン
雰囲気下では排気中のNO X がNOX 吸蔵還元触媒内に
硝酸塩の形で吸収されるようになる。
【0024】また、流入排気中の酸素濃度が低下すると
(すなわち、排気の空燃比が低下すると)、白金Pt上
でのNO2 生成量が減少するため、反応が逆方向に進む
ようになり、吸収剤内の硝酸イオンNO3 - はNO2
形でNOX 吸蔵還元触媒から放出されるようになる。こ
の場合、排気中にHC、CO等の成分が存在すると白金
Pt上でこれらの成分によりNO2 が還元される。
【0025】本実施形態では、機関1としてディーゼル
機関が使用されているため機関排気は通常リーン空燃比
であり、NOX 吸蔵還元触媒70は排気中のNOX を吸
収する。しかし、NOX 吸蔵還元触媒に吸収されたNO
X 量が増大すると吸収剤(BaO等)が硝酸イオンで飽
和してしまい、NOX 吸蔵還元触媒が排気中のNOX
吸収できなくなる。そこで、本実施形態では筒内燃料噴
射弁111から各気筒の膨張または排気行程に燃料を噴
射することによりNOX 吸蔵還元触媒に一定のタイミン
グで未燃燃料を多く含むリッチ空燃比の排気を供給する
ようにしている。これによりNOX 吸蔵還元触媒がNO
X で飽和する前に吸収したNOX を放出させ還元浄化す
ることができるため、NOX 吸蔵還元触媒のNOX 吸収
能力が低下することが防止される。気筒の膨張または排
気行程に噴射された燃料は気筒内で燃焼せずに気化して
排気とともにNOX 吸蔵還元触媒70に流入する。これ
により、機関の出力変動を生じることなくリッチ空燃比
の排気をNOX 吸蔵還元触媒に供給することができる。
【0026】また、本実施形態ではNOX 吸蔵還元触媒
70の上流側と下流側の排気通路にはNOX センサ71
と73とが配置されている。NOX センサ71と73と
は排気中のNOX 濃度に対応した電圧信号を発生するも
のである。図2は、本実施形態の上流側のNOX センサ
71の構成を模式的に示す図である。下流側のNOX
ンサ73も同一の構成とされている。
【0027】図2において、NOX センサ71は、ジル
コニア(ZrO2 )等の固体電界質331からなり、固
体電解質内には、拡散律速部335を介して排気通路に
連通する第1反応室340、第1反応室340と拡散律
速部337を介して連通する第2反応室350及び、標
準気体としての大気が導入される大気室360を備えて
いる。拡散律速部335、337はそれぞれ第1反応室
340、第2反応室350への酸素成分の拡散による流
入を抑制し、排気通路内の排気と第1反応室、第1の反
応室と第2反応室との間の酸素濃度差を維持可能とする
ものである。
【0028】図2に341で示すのは第1反応室340
内に配置された白金電極(陰極)、342で示すのは陰
極341と固体電解質331を挟んでセンサ71外部に
設けられた同様な白金電極(陽極)である。また、第2
反応室350内には同様な白金電極350とNOX 検出
用のロジウム(Rh)電極353が、大気室360内に
は参照用の白金電極361が、それぞれ配置されてい
る。図に370で示すのは固体電解質加熱用の電気ヒー
タである。
【0029】第1反応室340の電極341と外部電極
342、及び第2反応室の電極351と外部電極342
とは、それぞれ第1反応室340と第2反応室350内
の排気中の酸素を外部に排出する酸素ポンプとして機能
する。固体電解質331が一定の温度以上のときに電極
341と342、及び電極351と342との間に電圧
を印加すると陰極341、351上では排気中の酸素分
子がイオン化され、イオン化した酸素分子が固体電解質
331内を陽極342に向かって移動して陽極342上
で再び酸素分子になる。このため、第1反応室340、
第2反応室350内の排気中の酸素が外部に排出され
る。また、酸素イオンの移動に伴って、電極342と3
41及び351との間には単位時間に移動した酸素分子
の量に比例する電流が流れる。このため、この電流を制
御することにより各反応室から排出される酸素量を制御
することができる。
【0030】また、本実施形態では大気室360の電極
361と各反応室内の電極341、351との間には酸
素電池が形成される。第1と第2反応室内の排気は酸素
濃度が大気に較べて低いため、大気室360内の大気と
各反応室内の排気との間には酸素の濃度差が生じてい
る。大気室360と各反応室340、350とを隔てる
固体電解質の温度がある温度以上になると、外部から電
極間に電圧を印加しない状態では酸素濃度差により大気
室360内から固体電解質331を通って反応室34
0、350に酸素が移動するようになる。すなわち、大
気室360内の大気中の酸素分子は電極361上でイオ
ン化し、固体電解質331内を移動して酸素濃度の低い
反応室340、350の電極341、351上で再び酸
素分子になる。このため、電極361と各電極341、
351との間には大気の酸素濃度と各反応室内の酸素濃
度との差に応じた電圧が発生する。大気の酸素濃度は一
定であるため、電極361と各電極341、351との
電位差V0、V1(図2)はそれぞれ第1反応室340
と第2反応室351内の排気の酸素濃度を表すようにな
る。
【0031】本実施形態では、前述したように、各反応
室から酸素を外部に排出する酸素ポンプ(電極341と
342、電極351と342)が備えられており、それ
ぞれの酸素ポンプの酸素排出速度はそれぞれの電極間の
ポンプ電流Ip0、Ip1(図2)を調節することによ
り、各反応室内の排気の酸素濃度(すなわち、電圧V
0、V1)が所定の一定値になるように制御される。本
実施形態では第1反応室340内の酸素濃度は例えば1
ppm程度に、また、第2の反応室350内の酸素濃度
は例えば0.01ppm程度になるようにポンプ電流I
p0、Ip1が制御されている。このため、第2反応室
350内は極めて酸素濃度の低い還元雰囲気に維持され
る。一方、排気中のNOX (NO、NO2 )は酸素ポン
プによっては外部に排出されないため第1、第2反応室
中の排気のNOX 濃度は外部の排気と同一に維持され
る。ところが、第2反応室のNOX 検出電極353はロ
ジウム(Rh)であるため還元触媒として機能し、還元
雰囲気下でNOX (NO、NO 2 )を還元する。また、
大気室360の参照電極361とNOX 検出用電極35
3との間には電圧が印加されているため、NOX 検出用
電極353上では、NO→(1 /2)N2 +(1/2) O2 、ま
たはNO2 →(1 /2)N2 +O2 の反応が生じNO X の還
元により酸素が発生するようになる。この酸素は、電極
353上でイオン化して大気室360の参照電極361
に向かって固体電解質331中を移動し、参照電極36
1上で酸素分子を形成する。第2反応室350内の酸素
濃度は極めて低いため、参照電極361に向かって固体
電解質中を流れる酸素イオンはその全量が排気中のNO
X の還元により生じたことになる。すなわち、固体電解
質中を単位時間あたりに流れる酸素イオンの量は、第2
反応室内のNOX 濃度(排気通路内の排気のNOX
度)に応じた量になる。従って、この酸素イオンの移動
に伴って発生する電流値(図2、Ip2)を計測するこ
とにより排気通路内の排気のNOX 濃度を検出すること
ができる。本実施形態のNOX センサ71は、上記電流
値Ip2を電圧信号に変換し、排気中のNOX 濃度に応
じた電圧信号を出力するものである。
【0032】本実施形態では、NOX 吸蔵還元触媒70
下流側のNOX センサ73出力はNOX 吸蔵還元触媒7
0から吸収したNOX を放出させるタイミングを判定す
るために用いられる。すなわち、NOX 吸蔵還元触媒7
0に吸収されたNOX 量が増大してNOX 吸蔵還元触媒
のNOX 吸蔵能力が低下するとNOX 吸蔵還元触媒70
下流側の排気のNOX 濃度が増大する。本実施形態で
は、下流側のNOX センサ73で検出した排気中のNO
X 濃度が予め定めた値まで増大したときに、NO X 吸蔵
還元触媒に吸収されたNOX 量が増大したと判定して機
関1の各気筒で膨張または排気行程に追加の燃料噴射を
行なってNOX 吸蔵還元触媒から吸収したNOX を放出
させている。
【0033】また、本実施形態ではNOX 吸蔵還元触媒
70上流側の排気通路には、NOXセンサ71に加え
て、排気空燃比を検出する空燃比センサ75が配置され
ている。本実施形態の空燃比センサ75は排気空燃比に
応じた連続出力信号を発生する、いわゆるリニア空燃比
センサとされている。図1に30で示すのは機関1の電
子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、本実
施形態ではRAM、ROM、CPUを備えた公知の構成
のマイクロコンピュータとされ、機関1の燃料噴射制御
等の基本制御を行なう他、後述するようにNOX センサ
71出力に基づいて可変バルブタイミング装置50を制
御し、機関1の各気筒の吸気弁バルブタイミングを変更
することにより、排気中のNO X を低減する操作を行な
う。
【0034】これらの制御を行なうため、ECU30の
入力ポートには、機関吸気通路に設けられたエアフロー
メータ51から機関吸入空気量に対応した信号が、また
機関1の冷却水ジャケット(図示せず)に設けた冷却水
温度センサ53から機関冷却水温度に対応した信号が、
それぞれ図示しないADコンバータを介して入力されて
いる。また、ECU30の入力ポートには、更にNOX
センサ71、73及び空燃比センサ75の出力が、それ
ぞれ図示しないADコンバータを介して供給されてい
る。
【0035】更に、ECU30の入力ポートには、機関
クランク軸(図示せず)近傍に配置された回転数センサ
55から機関クランク軸一定回転角毎にパルス信号が入
力されている他、本実施形態では機関1のアクセルペダ
ル(図示せず)近傍に配置したアクセル開度センサ57
から運転者のアクセルペダル踏込み量(アクセル開度)
を表す電圧信号が図示しないADコンバータを介して入
力されている。
【0036】ECU30は、所定間隔毎にエアフローメ
ータ51出力とアクセル開度センサ57出力、温度セン
サ53及び空燃比センサ41、排気温度センサ43の出
力をAD変換して吸入空気量Gとアクセル開度ACC
P、冷却水温度TW及び排気空燃比AF、排気温度TEX
としてECU30のRAMの所定領域に格納するととも
に、回転数センサ55からのパルス信号の間隔から機関
回転数NEを算出し、RAMの所定の領域に格納してい
る。ECU30は、アクセル開度センサ57で検出した
アクセル開度ACCPと機関回転数NEとに基づいて予
めROMに格納した関係に基づいて機関基本燃料噴射量
を算出し、この基本燃料噴射量に機関運転状態に応じた
補正を加えて機関の主燃料噴射量Q、を設定する。な
お、本発明では燃料噴射量の設定方法には特に制限はな
く、ディーゼル機関における公知の設定方法のいずれを
も使用することができる。
【0037】一方、ECU30の出力ポートは、各気筒
への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するために、図
示しない燃料噴射回路を介して各気筒の燃料噴射弁11
1に接続されている他、図示しない高圧燃料ポンプを制
御して、高圧燃料ポンプからコモンレールへの燃料圧送
量を制御している。また、ECU30の出力ポートは更
に、図示しない駆動回路を介して可変バルブタイミング
装置50に接続され、吸気弁バルブタイミングを制御し
ている。
【0038】次に、内燃機関1のNOX 排出量制御の第
1の実施形態について説明する。 (1)第1の実施形態 本実施形態では吸気弁開弁タイミングを進角することに
より吸気弁と排気弁とのバルブオーバラップ期間を変更
し、気筒内に残留する既燃ガス量を制御している。
【0039】図3は、吸気弁開弁タイミングによるバル
ブオーバラップ期間の変化を説明する図である。図3に
おいて、EX、INは、それぞれ排気弁と吸気弁のバル
ブリフトカーブを示し、EBDCは膨張行程下死点を、
ITDC、IBDCはそれぞれ吸気行程の上死点と下死
点、CTDCは圧縮行程上死点を示している。
【0040】また、図3(A) は一般的な機関のバルブタ
イミングを、図3(B) は図3(A) に対して吸気弁開閉タ
イミングを進角させた場合を、それぞれ示している。図
3(A) に示すように、一般的には排気弁(EX)は膨張
行程下死点(EBDC)前から開弁し、吸気行程上死点
(ITDC)後に閉弁する。また、吸気弁(IN)は吸
気行程上死点(ITDC)前、すなわち排気弁が完全に
閉弁する直前から開弁し、吸気行程下死点(IBDC)
を少し越えた位置で閉弁する。
【0041】一方、吸気弁開閉タイミングを進角させた
場合(図3(B) )には、吸気弁の開弁が早まるため吸気
弁の開弁タイミングは、排気行程中途位置まで早まる。
このため、吸気弁が開弁してから排気弁が閉弁するまで
の間の吸気弁と排気弁との両方が同時に開弁しているバ
ルブオーバラップ期間(図3にOA)で示す期間が図3
(A) の場合に較べて長くなる。このバルブオーバラップ
期間中は燃焼により生成した高圧の既燃ガスの排気弁か
らの排出が終了していないため、吸気弁が開弁すると、
筒内の既燃ガスが吸気弁を通って吸気マニホルド21に
逆流するようになる。この既燃ガスは排気行程が終了し
て吸気行程が開始されると吸気マニホルド21内の新気
とともに再び筒内に流入するようになる。このため、気
筒内には不活性ガスとしての既燃ガスが残留するように
なり、EGR装置を用いて吸気系に排気を還流させた場
合と同様に、気筒内燃焼温度が低下しNOX の生成が抑
制される。筒内に残留する既燃ガスの量はバルブオーバ
ラップ期間が長く(吸気弁開弁タイミングが進角)され
るほど増大し、残留既燃ガス量が増大するほど燃焼によ
り生成するNOX 量は低下する。
【0042】なお、本実施形態では図3(B) に示すよう
に吸気弁開弁タイミングを進角させることによりバルブ
オーバラップ期間を変化させているが、吸気弁開閉タイ
ミングを変化させる変わりに排気弁閉弁タイミングを遅
角させることによってもバルブオーバラップ期間を増大
させ、筒内残留既燃ガス量を増大させることが可能であ
る。また、吸気弁と排気弁との両方の開閉タイミングを
変化させれば、バルブオーバラップ期間と、バルブオー
バラップが生じるクランク角との両方を変化させること
が可能となる。
【0043】また、本実施形態のように気筒内に残留す
る既燃ガスを増大させると、高温の既燃ガスにより吸気
行程時の筒内温度が上昇してしまい、吸気体積効率が低
下するため吸入される新気の量が減少する場合がある。
そこで、本実施形態では吸気マニホルド21に水冷ジャ
ケットを設け、吸気マニホルドに逆流した既燃ガスが再
度気筒内に吸入される前に冷却されるようにしている。
【0044】本実施形態では、排気通路3に配置された
NOX センサ71で検出した排気中のNOX 濃度に基づ
いて可変バルブタイミング装置50を駆動し、実際に検
出したNOX 濃度が予め定めた所定値になるように、吸
気弁の開閉タイミングをフィードバック制御する。図4
は、本実施形態のNOX 量制御操作を説明するフローチ
ャートである。
【0045】本操作は、ECU30により一定時間毎に
実行されるルーチンとして行なわれる。図4において操
作が開始されると、ステップ401では、機関回転数N
E、アクセル開度ACCP、機関吸入空気量G、排気N
X 濃度NRがそれぞれ回転数センサ57、アクセル開
度センサ55、エアフローメータ51及びNOX センサ
71の出力に基づいて読み込まれる。そして、ステップ
403では、機関運転状態(機関吸入空気量G、機関回
転数NEとアクセル開度ACCP)とに基づいて予め定
めた機関のNOX 排出量上限値NW(グラム/時間)が
算出される。本実施形態では、機関運転状態に応じて許
容可能なNOX 排出量が予め定められており、吸入空気
量G、回転数NE、アクセル開度アクセル開度を用いた
数値テーブルとの形でECU30のROMに格納されて
いる。ステップ403ではこの数値テーブルに基づい
て、吸入空気量G、回転数NE、アクセル開度ACCP
とから目標NOX 排出量の上限値NWが設定される。
【0046】次いで、ステップ405では上記により設
定したNOX 排出量NWが排気NO X 濃度に換算され
る。すなわち、ステップ405ではステップ403で設
定した上限値NWの量のNOX が現在の排気流量(吸入
空気量G)に存在するとした場合の排気NOX 濃度NR
0 が算出される。NR0 は現在の運転状態における排気
NOX 濃度の許容上限値となる。
【0047】次いで、ステップ407では上記により算
出したNOX 濃度の許容上限値NR 0 とステップ401
で求めた実際の排気NOX 濃度NRとが比較される。そ
して、NR≧NR0 であった場合、すなわち現在のNO
X 濃度NRが許容値以上であった場合にはステップ40
9に進み、吸気弁バルブタイミングの設定値VTを一定
量αだけ進角させる。一方、ステップ407で現在のN
X 濃度NRが許容値NR0 より低い場合(NR<NR
0 )であった場合には、次にステップ411で現在のN
X 濃度NRが、許容値より一定の幅K1 以内にあるか
否かを判定する。そして、NRがNR0 −K1 より低下
している場合にはステップ413で吸気弁バルブタイミ
ング設定値VTを一定値αだけ遅角させる。ステップ4
11、413で排気NOX 濃度NRが許容値より一定値
1 以上低くならないようにしているのは、必要以上に
バルブオーバラップ期間が長く設定されて気筒内の残留
既燃ガス量が過大になり機関の性能に影響を生じること
を防止するためである。
【0048】ステップ415では、ステップ407から
ステップ413で設定したバルブタイミング設定値VT
が、可変バルブタイミング装置50に出力される。これ
により、機関の吸気弁バルブタイミングは設定値VTに
制御される。上述のように、本実施形態では排気中のN
X 濃度が目標値NR0 以下になるように(すなわち機
関のNOX 排出量が所定の許容値以下になるように)吸
気弁バルブタイミングが制御されるため、気筒内には常
に機関のNOX 排出量が所定の許容値以下になるだけの
既燃ガスが残留するようになる。このため、本実施形態
では、機関のNOX 排出量が確実に所定の許容値以下に
保持されるようになる。しかも、本実施形態では筒内の
残留既燃ガス量は、吸気弁バルブタイミングを変更する
ことにより制御されるため、多量の既燃ガスを気筒内に
残留させる場合にも吸気絞り等を行なう必要がなく、吸
気絞りによる機関のポンピングロスが生じない。このた
め、本実施形態ではアイドル運転等の機関軽負荷運転時
にも機関燃料消費量を大幅に増大させることなくNOX
排出量を低減することが可能となっている。
【0049】更に、本実施形態では気筒内から吸気ポー
トに逆流した既燃ガスを再度吸入することにより気筒内
に既燃ガスが残留するため、バルブタイミングの変化が
生じれば、それに応じて直ちに残留既燃ガス量も変化す
る。従って、急加速時等のように、直ちに残留既燃ガス
量を低減して機関出力を増大させる必要があるような場
合にも応答性良く残留既燃ガス量を制御することができ
る。このため、本実施形態では、EGR制御弁を用いた
EGR装置などに見られるような急加速時等のEGRガ
ス量の変化の応答遅れによる加速性の悪化等が生じな
い。 (2)第2の実施形態 次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0050】上述の第1の実施形態では、排気NOX
度NRが目標値NR0 以下になるように吸気弁バルブタ
イミングが制御されている。ところが、吸気弁バルブタ
イミングが進角されて気筒内の残留既燃ガス量が増大す
ると、気筒に吸入される新気の量が低下する。一方、機
関燃料噴射量は前述したようにアクセル開度ACCPと
機関回転数NEとにより定まるため、筒内の残留既燃ガ
ス量が増大しても燃料噴射量は変化しない。このため、
気筒内の燃焼における実際の空燃比は残留既燃ガス量が
増大するほど低下することになる。
【0051】前述のように、燃焼により発生するスモー
ク量はディーゼル機関の常用空燃比領域では空燃比が低
下するほど増大する。一方、実際の機関では、排気NO
X 濃度は筒内の残留既燃ガス量が増大し、燃焼空燃比が
低下するほど低くなるものの、NOX 濃度と空燃比との
関係にはばらつきがあり、同じ燃焼空燃比であってもN
X 濃度が大きく異なる場合がある。
【0052】図5は、機関の排気スモーク濃度Sと排気
中のNOX 濃度NRの燃焼空燃比(排気空燃比)による
変化を示すグラフである。図5において、カーブ(A) は
排気NOX 濃度NR、カーブ(B) は排気スモーク濃度S
を表している。カーブ(B) から判るように、排気スモー
ク濃度Sは空燃比が約23以上の領域では空燃比が低下
するほど増大する。また、一般に排気スモーク濃度は空
燃比と良好な相関を示し、空燃比が同一であれば常に排
気スモーク濃度もほぼ一定になる。
【0053】ところが、図5、カーブ(A) に示すよう
に、NOX 濃度NRは全体としては空燃比が低下するほ
ど低くなるものの、空燃比に対して正確には対応せず、
例えばカーブ(A) に示した斜線領域の範囲でばらつきを
示す。このため、第1の実施形態のように排気中のNO
X 濃度のみに基づいて吸気弁バルブタイミングを制御し
ていると、空燃比が過度に低下して排気スモークが増大
してしまう場合がある。
【0054】例えば、排気中のスモーク濃度の上限値が
0 であった場合、図5カーブ(B)に示すように空燃比
はAF0 より高い値に維持する必要がある。一方、空燃
比がAF0 であるとき、排気NOX 濃度NRは、図5カ
ーブ(A) に示すようにNR1からNR2 までの間でばら
つきを生じる。いま、NOX 濃度の許容値NR0 をNR
1 とNR2 との中間に設定したとする。この場合、排気
NOX 濃度のみに基づいて排気空燃比を制御したとする
と、NOX 濃度を許容値NR0 にする排気空燃比は図5
のAF1 からAF2 までの間でばらつくことになり、仮
にばらつきにより空燃比がAF1 近傍になった場合に
は、空燃比ははスモーク限界空燃比AF0より低くなる
ため、排気スモーク濃度は許容限界を越えてしまうこと
になる。
【0055】このため、排気NOX 濃度のみに基づいて
吸気弁バルブタイミングを制御する場合には、このばら
つきを考慮して最も空燃比が低下した場合でも排気スモ
ーク限界以上の空燃比になるように、例えば図5のNR
2 のようにNR0 より高いNOX 濃度を許容限界とする
必要がある。ところが、空燃比のばらつき傾向は予測で
きないため、一律に許容値を高い値NR2 に設定してし
まうと実際にはスモーク限界以上の空燃比でNOX 濃度
をNR0 まで低減できる場合にもNOX 濃度はNR2
近に制御されてしまい充分に排気NOX の低減を図るこ
とができない問題がある。
【0056】本実施形態では、排気中のNOX 濃度とと
ともに、排気空燃比を監視することにより、NOX 濃度
の許容値をNR0 に維持しながら、空燃比のばらつきに
よる排気スモークの発生を完全に防止可能としている。
本実施形態では、第1の実施形態と同様にNOX センサ
71で検出した排気NOX 濃度が許容値NR0 以下にな
るように吸気弁バルブタイミングを制御する。しかし、
本実施形態では同時に空燃比センサ75により常時排気
空燃比を監視しており、吸気弁変更により機関排気空燃
比(燃焼空燃比)がスモーク限界(図5、AF0 )以下
になった場合には直ちに吸気弁バルブタイミングを遅角
させ、排気空燃比を常にスモーク限界以上に維持するよ
うにしている。これにより、NO X 排出量を制御する際
に排出量許容値を低く設定しながらスモークの発生を防
止することが可能となる。
【0057】図6は、本実施形態のNOX 量制御操作を
説明するフローチャートである。本操作は、ECU30
により一定時間毎に実行されるルーチンとして行なわれ
る。図6において操作が開始されると、ステップ601
では、図4と同様に機関回転数NE、アクセル開度AC
CP、機関吸入空気量G、排気NOX 濃度NRがそれぞ
れ回転数センサ57、アクセル開度センサ55、エアフ
ローメータ51及びNOX センサ71から読み込まれる
他、空燃比センサ71から機関排気空燃比AFが読み込
まれる。そして、ステップ603と607では、機関の
NOX 排出量上限値NW(ステップ603)と排気NO
X 濃度上限値NR0 (ステップ605)が算出される。
ステップ603と605は、図4ステップ403、40
5と同一の操作である。
【0058】一方、本実施形態では、次にステップ60
7で空燃比センサ75で検出した実際の排気空燃比AF
がスモーク限界空燃比AF0 より高いか否かが判定され
る。現在の排気空燃比AFがスモーク限界より高い場合
(AF>AF0 )には、次にステップ609でNOX
ンサ71で検出した排気NOX 濃度NRが上限値NR 0
以上か否かが判定され、NR≧NR0 であった場合には
ステップ611で吸気弁バルブタイミング設定値が一定
値αだけ進角され、ステップ615でバルブタイミング
が設定値に制御される。また、ステップ609でNR<
NR0 であった場合には、バルブタイミング設定値は変
更せず現在のバルブタイミングを維持する。ステップ6
09、611及び615は図4ステップ407、409
及び415と同一の操作である。
【0059】また、本実施形態では、ステップ607で
実際の空燃比AFがスモーク限界AF0 以下になってい
る場合にはステップ613が実行され、バルブタイミン
グ設定値VTは一定値αだけ遅角される。これにより、
空燃比がスモーク限界以下になった場合には直ちに吸気
弁バルブタイミングが遅角され、筒内の残留既燃ガス量
が低減されるため排気スモークが発生することが防止さ
れる。
【0060】上記のように、本実施形態によれば、排気
NOX 濃度が低下するように吸気弁バルブタイミングが
進角されるが、排気空燃比がスモーク限界に到達した場
合にはそれ以上のバルブタイミングの進角が禁止される
ようになり、NOX を低減しながら排気スモークの発生
を防止することが可能となる。
【0061】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、燃料消
費量の増大や加速性の悪化を防止しながら機関のNOX
排出量低減することが可能となる共通の効果を奏する。
また、請求項3の発明によれば、上記共通の効果に加え
てNOX 排出量の制御により空燃比が過度に低下するこ
とを防止可能とする効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用ディーゼル機関に適用した場
合の概略構成を示す図である。
【図2】NOX センサの構造概略を説明する図である。
【図3】吸気弁バルブタイミングの変更によるバルブオ
ーバラップ期間の変化を説明する図である。
【図4】本発明のNOX 排出量制御操作の第1の実施形
態を説明するフローチャートである。
【図5】排気NOX 濃度と排気スモーク濃度との排気空
燃比による変化を説明するグラフである。
【図6】本発明のNOX 排出量制御操作の第2の実施形
態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…ディーゼル機関 21…吸気マニホルド 30…電子制御ユニット(ECU) 50…可変バルブタイミング装置 71、73…NOX センサ 75…空燃比センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 41/14 310 F02D 41/14 310P 310N F02M 25/07 510 F02M 25/07 510B 570 570J Fターム(参考) 3G062 AA01 AA05 AA10 BA06 BA09 FA08 GA01 GA04 GA06 GA08 GA17 3G091 AA10 AA18 AB06 BA14 DA07 DC01 EA01 EA05 EA07 EA33 GB02X GB03X GB04X GB06W GB10X HB05 3G092 AA02 AA11 AA18 BA04 DA01 DA02 DA08 DA12 DC01 EA04 EA09 EA14 EA22 EC01 FA06 FA17 FA18 FA21 FA25 HA01Z HA13X HD04Z HD05Z HE01Z HE08Z HF08Z 3G301 HA02 HA11 HA19 JA02 JA03 JA24 JA25 LA01 LA07 LB11 MA01 ND01 NE12 NE16 NE17 NE19 PA01Z PD01Z PD04Z PE01Z PE08Z PE10A PF03Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気中のNOX 濃度を検出するNOX
    出手段と、 前記NOX 検出手段により検出したNOX 濃度に基づい
    て、機関のNOX 排出量が予め定めた条件を満たすよう
    に、気筒吸気弁と排気弁とのうち少なくとも一方の開閉
    タイミングを変更する可変バルブタイミング手段と、 を備えた内燃機関。
  2. 【請求項2】 前記可変バルブタイミング手段は、前記
    バルブタイミングを変更することにより気筒内に残留す
    る既燃ガスの量を制御し、前記NOX 検出手段により検
    出したNOX 濃度に基づいて、機関のNOX 排出量が予
    め定めた所定値以下になる量の既燃ガスが気筒内に残留
    するように前記吸気弁と排気弁とのうち少なくとも一方
    の開閉タイミングをフィードバック制御する、請求項1
    に記載の内燃機関。
  3. 【請求項3】 更に、機関排気の空燃比を検出する空燃
    比検出手段を備え、前記可変バルブタイミング手段は、
    前記NOX 検出手段により検出した排気中のNOX 濃度
    と、前記空燃比検出手段により検出した排気空燃比との
    両方が予め定めた条件を満たすように前記吸気弁と排気
    弁とのうち少なくとも一方の開閉タイミングを変更す
    る、請求項1に記載の内燃機関。
JP27067299A 1999-09-24 1999-09-24 内燃機関 Pending JP2001090563A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27067299A JP2001090563A (ja) 1999-09-24 1999-09-24 内燃機関

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27067299A JP2001090563A (ja) 1999-09-24 1999-09-24 内燃機関

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001090563A true JP2001090563A (ja) 2001-04-03

Family

ID=17489347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27067299A Pending JP2001090563A (ja) 1999-09-24 1999-09-24 内燃機関

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001090563A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2435899A (en) * 2006-03-06 2007-09-12 Ford Global Tech Llc Variable valve actuation in compression-ignition engines for reduced CO emissions
KR101034020B1 (ko) 2009-06-12 2011-05-11 기아자동차주식회사 디젤엔진의 cvva 제어장치 및 방법
JP2013124585A (ja) * 2011-12-14 2013-06-24 Hino Motors Ltd 内燃機関
CN110446842A (zh) * 2017-03-24 2019-11-12 Mtu腓特烈港有限责任公司 用于运行内燃机的方法和内燃机

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2435899A (en) * 2006-03-06 2007-09-12 Ford Global Tech Llc Variable valve actuation in compression-ignition engines for reduced CO emissions
GB2435899B (en) * 2006-03-06 2011-01-26 Ford Global Tech Llc Variable valve actuation for reduced CO emissions
KR101034020B1 (ko) 2009-06-12 2011-05-11 기아자동차주식회사 디젤엔진의 cvva 제어장치 및 방법
JP2013124585A (ja) * 2011-12-14 2013-06-24 Hino Motors Ltd 内燃機関
CN110446842A (zh) * 2017-03-24 2019-11-12 Mtu腓特烈港有限责任公司 用于运行内燃机的方法和内燃机
US20200011260A1 (en) * 2017-03-24 2020-01-09 Mtu Friedrichshafen Gmbh Method for operating an internal combustion engine, and internal combustion engine
US10947906B2 (en) * 2017-03-24 2021-03-16 Mtu Friedrichshafen Gmbh Method for operating an internal combustion engine, and internal combustion engine
CN110446842B (zh) * 2017-03-24 2022-04-26 罗尔斯·罗伊斯解决方案有限公司 用于运行内燃机的方法和内燃机

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6763799B2 (en) Internal combustion engine and control method of the same
US7454900B2 (en) Catalyst recovery method
EP0974747B1 (en) A control system for an internal combustion engine
JPWO2006001495A1 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3601395B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
KR20010099778A (ko) 내연기관
JP4482848B2 (ja) ターボ過給機付きエンジンの排気浄化装置
JP2001090563A (ja) 内燃機関
JP3356075B2 (ja) 内燃機関
EP3620638B1 (en) Exhaust purification system of internal combustion engine
JP2002180885A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3624702B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP3509482B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3551790B2 (ja) 内燃機関
JP3997841B2 (ja) NOxセンサの基準点学習方法
JP2005291057A (ja) 排気ガス浄化装置
JP3807209B2 (ja) 内燃機関の運転制御装置
JP3156674B2 (ja) 内燃機関
JP3551797B2 (ja) 内燃機関
JP3331991B2 (ja) 内燃機関
JP4345377B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP3424554B2 (ja) 内燃機関
JP3932729B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2002021605A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2002013429A (ja) 内燃機関の排気浄化制御装置