JP2001089832A - ゴルフクラブヘッド用マルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents

ゴルフクラブヘッド用マルテンサイト系ステンレス鋼

Info

Publication number
JP2001089832A
JP2001089832A JP2000246937A JP2000246937A JP2001089832A JP 2001089832 A JP2001089832 A JP 2001089832A JP 2000246937 A JP2000246937 A JP 2000246937A JP 2000246937 A JP2000246937 A JP 2000246937A JP 2001089832 A JP2001089832 A JP 2001089832A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stainless steel
steel
corrosion resistance
hardness
golf club
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000246937A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3328646B2 (ja
Inventor
Yoshu Boku
庸秀 朴
Junta Kin
淳太 金
Kisho Boku
煕詳 朴
Yutaku Zen
兪鐸 全
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Publication of JP2001089832A publication Critical patent/JP2001089832A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3328646B2 publication Critical patent/JP3328646B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/18Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
    • C22C38/40Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
    • C22C38/44Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel with molybdenum or tungsten
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/18Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
    • C22C38/40Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
    • C22C38/46Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel with vanadium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/001Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing N
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/02Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing silicon
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/04Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing manganese

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Golf Clubs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 431マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬
化型ステンレス鋼及びチタニウム合金よりも機能的に優
れ、マルエージング鋼と同等な引張強度、降伏強度及び
硬度を有するうえ、304ステンレス鋼よりも優れた耐食
性を有し、316ステンレス鋼と同等な耐食性を有しなが
ら安価なゴルフクラブヘッド用マルテンサイト系ステン
レス鋼を提供する。 【解決手段】 重量%で、クロム:12〜16%、ニッケ
ル:1.0〜3.0%、モリブデン:1.5〜5.0%、バナジウ
ム:0.5%以下、硅素:2.0%以下、マンガン:2.0%以
下、炭素:0.1〜0.6%、窒素:0.1〜0.3%を包含し、残
りが鉄及び不可避不純物とからなる構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフクラブヘッ
ド用マルテンサイト系ステンレス鋼に係るもので、詳し
くは、優れた耐食性、機械的性質及び耐摩耗性を有する
ゴルフクラブヘッド用の高強度高耐食性のマルテンサイ
ト系ステンレス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴルフクラブに適用される材質として
は、耐食性、耐摩耗性、高表面硬度、機械的性質、耐久
性、良好な外観及び表面感触などの特性を必要としてい
る。そこで、従来では、主に、炭素鋼、アルミニウム合
金、304又は316ステンレス鋼のような18-8型オーステナ
イト系ステンレス鋼、431マルテンサイト系ステンレス
鋼、17-4析出硬化型ステンレス鋼、マルエージング鋼、
純粋チタニウム、チタニウム合金、銅-ベリリウム合金
の中の何れか一つを適用し、鋳造又は鍛造により適宜の
形状に製造していた。
【0003】また、本発明者らは、韓国特許第127955号
(特許公報1997-9523号)に示すように、塩素(chloride)
イオンが存在する腐食雰囲気下で、優れた耐食性及び耐
摩耗性を有する高強度高耐食性マルテンサイト系ステン
レス鋼を提供している。そして、このような鋼材におい
ては、既存の420Jマルテンサイト系ステンレス鋼と略同
等の強度及び硬度を有する。そのうえ、耐食性は、一般
のオーステナイト系ステンレス鋼の304ステンレス鋼よ
りも優れ、316ステンレス鋼と略同様であり、強度及び
硬度に優れているという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のゴルフクラブ用材質では、炭素鋼系の場合は
耐食性が低いため、クラブを製造した後、錆防止のため
にクロムを別途にメッキしなければならないという不都
合があり、強度及びクラブ表面の硬度が低いため、漸次
その使用が減少しているのが現状である。
【0005】また、アルミニウム合金は、強度及び硬度
が低いため、所定の強度及び硬度を得るためにはクラブ
の体積が増大するという不都合な点があった。
【0006】さらに、304又は316ステンレス鋼のような
18-8型オーステナイトステンレス鋼は、耐食性は良好で
あるが、引張強度、降伏強度及び硬度が低く、耐摩耗性
の点に問題があるという不都合な点があった。
【0007】なお、このような機械的特性の欠点を補う
ため、近来では、431マルテンサイト系ステンレス鋼及
び17-4析出硬化型ステンレス鋼が適用されている。ま
た、ゴルフボールの飛距離を向上するため、強度及び硬
度に最も優れたマルエージング鋼が使用されている。
【0008】さらに、前記チタニウム合金は、適当な硬
度及び強度を有する点で好適に適用されるが、高価であ
るという欠点があった。
【0009】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたもので、431マルテンサイト系ステンレス
鋼、析出硬化型ステンレス鋼及びチタニウム合金よりも
機能的に優れ、マルエージング鋼と同等な引張強度、降
伏強度及び硬度を有するうえ、304ステンレス鋼よりも
優れた耐食性を有し、316ステンレス鋼と同等な耐食性
を有しながら安価なゴルフクラブヘッド用マルテンサイ
ト系ステンレス鋼を提供することを課題とするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明では、重量%で、クロム:12〜16%、ニッケ
ル:1.0〜3.0%、モリブデン:1.5〜5.0%、バナジウ
ム:0.5%以下、硅素:2.0%以下、マンガン:2.0%以
下、炭素:0.1〜0.6%、窒素:0.1〜0.3%を包含し、残
りが鉄及び不可避不純物とからなることを特徴とするゴ
ルフクラブヘッド用マルテンサイト系ステンレス鋼を提
供するものである。
【0011】ここで、ゴルフクラブヘッド用マルテンサ
イト系ステンレス鋼は、腐食抵抗(耐食)性、耐摩耗
性、高い表面硬度及び機械的性質、耐久性、並びに良好
な外型及び手触りの特性を有する必要があり、特に、材
質の硬度、強度及び耐摩耗性は、クラブの製造時の最も
重要な特性である。
【0012】なお、ゴルフクラブにおいて、アイアンク
ラブをスイングする際に、ゴルフボールとクラブのヘッ
ドとが衝突する時間は非常に短い。そして、この衝突時
にクラブヘッドはエネルギーを吸収する。この時、クラ
ブヘッドにボールが接触している時間が長くなるほど、
クラブヘッドに吸収されるエネルギーが増大し、ボール
に伝達されるエネルギーが減少する。そのため、ボール
の推進力が減り、飛距離が短くなる。
【0013】従って、ゴルフクラブの表面強度及び硬度
が高いほど、クラブ表面でのボールの接触している時間
が減るため、より大きいエネルギーがボールに伝達され
る。そのため、クラブから離れたボールの速度が増大さ
れ、ゴルフボールの飛距離が向上する。
【0014】また、組織内の一部に薄板状のマルテンサ
イトが含まれた場合、振動減衰能が向上して、スイング
後のクラブの手触りが一層良好になる。
【0015】さらに、ゴルファーのスイング時の速度及
びクラブシャフトの長さによってクラブヘッドに加えら
れる圧力は多少異なるが、クラブの表面には約1トンの
荷重が加えられるため、クラブの材質が軟質であると、
変形が生じ易い。
【0016】例えば、304又は316のようなオーステナイ
ト系ステンレス鋼は、硬度、降伏強度及び引張強度が非
常に低い。そのため、変形し易く、ゲーム(プレー)中
に芝生、土及び砂などに接触すると、表面に多くの傷が
生じ、クラブの外観が悪くなる。従って、硬度及び強度
の他に、優れた耐摩耗性を備えさせることが重要な特性
であることが分かる。
【0017】以下に前記組成の限定理由について説明す
る。
【0018】<クロム:12〜16%>クロムは、耐食性を
向上させるために添加する元素であり、ステンレス鋼の
固有耐食性を得るためには必須的である。このクロム
は、酸素と結合して表面に薄い皮膜を形成し、周囲環境
による材料の反応を抑制する障害物層の役割をなす。ま
た、追加的な酸化又は腐食を防止して耐食性を増大させ
る。
【0019】しかし、マルテンサイト系ステンレス鋼に
クロムを添加し過ぎると、高温で単相領域からフェライ
ト相の安定化領域へ合金組成が変化する。そのため、マ
ルテンサイト相が得られなくなり、鋼を硬化できない。
また、フェライト相の生成は、耐食性を低下させ、強度
及び硬度を低下するため、該フェライトの生成を極力抑
制するために、クロムの含量を12〜16%に限定すること
が好ましい。
【0020】<ニッケル:1.0〜3.0%>ニッケルは、金
属組織学的にオーステナイト相を安定化させ、フェライ
ト相の生成を抑制する役割をなす。また、耐食性及び屈
曲疲労強度を増大させる。
【0021】しかし、過度に添加すると、オーステナイ
ト相が安定化され、空冷又は油冷によりマルテンサイト
の変態が起きないため、残留オーステナイト相が形成さ
れ、材料の強度及び硬度が低下する。
【0022】従って、本発明に係るゴルフクラブヘッド
用マルテンサイト系ステンレス鋼では、ニッケルの含量
を3.0%以下に限定することが好ましい。逆に、ニッケ
ルが1.0%未満に添加されると、高温でオーステナイト
安定化領域のγ-ループが充分に拡張されないため、耐
食性を向上し得るCr又はMoを増大することができない。
【0023】<モリブデン:1.5〜5%>モリブデンは、
耐食性を向上し、高温での機械的性質を向上し、
マルテンサイト系ステンレス鋼の場合は、焼戻し(tempe
ring)抵抗性及び強度を向上させる役割をなす。即ち、
このモリブデンを添加することで、焼戻しに対する抵抗
性が増加され、2次硬化反応が起こって、最適の延性、
靭性及び応力腐食亀裂抵抗性が得られる。
【0024】そして、このモリブデンは、窒素雰囲気下
で窒素との相乗効果(synergisticeffect)により耐食
性を著しく向上させるため、1.5%以上添加することが
好ましい。しかし、5%より多く添加すると、フェライ
ト相を形成し、強度及び硬度を低下させ、耐食性が低下
するため5%以下に限定することが好ましい。
【0025】<炭素:0.1〜0.6%>炭素は、オーステナ
イト相を安定化させ、強度及び硬度を向上する役割をな
す。具体的には、炭素を添加すると、オーステナイト領
域を拡張させ、クロム及びモリブデンの添加領域を確保
し、デルタフェライトの形成を抑制する。そして、含有
量が0.1%未満では、充分な強度及び硬度を得ることが
できないうえ、マルテンサイトの変態も生じない。ま
た、含量が0.6%以下であると硬度を向上するが、0.6%
より多く添加すると、炭化物が析出され、粒界腐食抵抗
性及び延性低下が発生する。そのため、0.1%以上〜0.6
%以下に添加することが好ましい。
【0026】<窒素:0.1〜0.3%>窒素は、炭素と同様
にオーステナイト領域を拡張する最も効果的な合金元素
であり、固溶体に侵入型原子(interstitial atom)に固
溶され、鋼の強度を強化する。そして、前記窒素は、耐
食性を向上させるという主要な役割をなす。
【0027】即ち、窒素は、モリブデンと共存すると
き、鋼の表面に形成される不動態被膜層にクロム酸化物
を著しく濃縮させる効果がある。しかし、固溶限度以上
に添加すると、鋳造時に気泡を発生し、鋳造欠陥が生じ
るため、含有量を0.1〜0.3%に制限することが好まし
い。
【0028】<バナジウム:0.5%>バナジウムは、ク
ロム欠乏層を抑制し、窒素の固溶量を増大させ、逆変形
オーステナイトの結晶粒の成長を抑制する元素である。
しかし、過度に添加すると、鋼の延性を低下するため、
その添加量を0.5%以下に限定することが好ましい。
【0029】<硅素:2.0%以下>硅素は、脱酸を行う
ようにCa-Si状に添加され、鋳物の製造時に溶融金属の
流動性を増加させる役割をなす。しかし、デルタフェラ
イト(δ-ferrite)の形成を促進して熱間加工性を低下さ
せるため、2.0%以下に限定することが好ましい。
【0030】<マンガン:2.0%>マンガンは、オース
テナイトを安定化する元素であり、オーステナイト領域
を拡張させる役割をなす。しかし、合金元素使用時に
は、延性を減少させ、焼鈍工程時に酸化スケールを生成
して、鋼板表面を損傷させるという欠点があるため、2.
0%以下に限定することが好ましい。
【0031】このような組成を有する本発明に係るゴル
フクラブヘッド用マルテンサイト系ステンレス鋼におい
ては、高強度、高耐食性を維持するように、適宜な時間
及び温度下で、溶体化及びオーステナイト化熱処理を行
う必要がある。なお、このような熱処理を行わない場合
には、特性劣化が生じる場合がある。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。本発明に係るゴルフクラブヘッド
用マルテンサイト系ステンレス鋼の試片製造方法、試片
の機械的特性、及び、耐食性評価を以下に示す。
【0033】<試片の製造>本発明に係る試片は、純粋
な商業用品位を有する電解鉄(純度99.9%)、クロム(純
度99.2%)、モリブデン(純度99.9%)、Fe-Si及びFe-Cr-
Nを主材料とし、高周波誘導炉を利用して大気中のアル
ミナ坩堝で溶解を施す。
【0034】このとき、高融点の純鉄を始めとし、Mo、
Cr、Ni、Fe-Cr-Nの順にそれぞれ装入する。また、溶湯
の出湯温度は約1600℃にし、予熱された矩形金型に溶湯
を注入してインゴットを製造する。
【0035】このように、製造されたインゴットを研削
又は機械的に加工して、所定の大きさとし、1100℃下で
1時間の間ソーキング(Soaking)して熱間圧延を施した
後、空冷処理を施す。
【0036】その後、前記試片を950〜1050℃下で3時
間の間オーステナイト熱処理した後、焼戻し熱処理を施
す。
【0037】そして、以下に示す試験を経て機械的特性
及び耐食性評価を行った。なお、下記の表1は、本発明
に係る合金(鋼)と比較合金(鋼)、及び従来鋼の化学
成分を示したテーブルである。
【0038】
【表1】
【0039】<耐食性評価の結果>この耐食性評価とし
ては、両極分極試験法を行い、材料の腐食抵抗性を電気
化学的に評価した。この際、試験溶液は、35℃の3.5wt
%NaClの下でポテンシオスタット(Potentiostat)を利用
して電位を腐食電位から両極方向に走査しながら電位−
電流曲線を測定した。
【0040】腐食抵抗性は、臨界電流密度、不動態電流
密度及び孔食発生電位などから評価する。即ち、臨界電
流密度と不動態電流密度が小さいほど、前記腐食抵抗性
が大きく、孔食発生電位が高いほど、耐食性が良好であ
ることと評価される。
【0041】図1及び図2は、本発明に係るゴルフクラ
ブヘッド用マルテンサイト系ステンレス鋼、比較鋼及び
従来鋼の両極分極試験結果を示したグラフである。図示
のように、本発明に係る全ての鋼の孔食発生電位は、30
4ステンレス鋼よりも高く、不動態電流密度は、304ステ
ンレス鋼よりも低いが、316ステンレス鋼とは略同等、
又は、それ以上の孔食電位を有することが分かる。
【0042】従って、本発明に係る鋼は、304ステンレ
ス鋼よりも優れた耐食性を有し、316ステンレス鋼と同
等、又は、それ以上の耐食性を有することが確認され
た。
【0043】<機械的特性評価の結果>機械的特性評価
としては、靭性試験、硬度試験及び振動減衰能試験をそ
れぞれ行った。このとき、前記靭性試験の試片は、AS
TMのサブサイズ(sub-size)の大きさに加工し、ゲージ
長(gage length)の部分をSiCペーパで#600まで研磨
した後、10mm/minの速度で靭性試験を行い、靭性強度及
び延伸率を測定した。
【0044】硬度値は、Rockwell硬度を利用し、150kg
の荷重を加えた後、C scaleで測定した。なお、以下に
示す表2は、本発明に係る合金鋼及び比較鋼の硬度値を
示したテーブルである。また、図3及び図4は、本発明
に係るゴルフクラブ用材質に好適な合金1に対し、1050
℃で3時間の間、熱処理を施した後、各温度で1時間の
間、焼戻しを施して、硬度及び靭性をそれぞれ測定した
結果を示したグラフである。
【0045】
【表2】
【0046】ここで、本発明に係る合金鋼は、図3に示
すように、HRC50以上の優れた硬度値を示し、焼戻し温
度に従う硬度の変化を比較すると、550℃以下の温度で
はHRC50以上の高い硬度値を示すことが確認された。ま
た、引張り強度は、図4に示すように、約180kg/mm2
度で550℃以下の温度下で、焼戻し時に略一定な強度が
確保されることが確認された。
【0047】次に、本発明に係るゴルフクラブヘッド用
マルテンサイト系ステンレス鋼の耐食性を向上するため
に、本発明鋼及び比較鋼の各化学組成の各合金元素がそ
れぞれ与える影響を観察した。即ち、炭素は発明鋼1,
2に、モリブデンは発明鋼1,5,6及び比較鋼5に、
Nは発明鋼1及び比較鋼1,2,4に、Niは発明鋼1及
び比較鋼6に、N及びMoの複合添加時は、発明鋼1及び
比較鋼6にそれぞれ影響を与えている。
【0048】その結果、HRC50以上の硬度値を有し、304
ステンレス鋼よりも優れた耐食性を有する合金の組成と
して、重量%でクロム:12〜16%、ニッケル:1.0〜3.0
%、モリブデン:1.5〜5%、バナジウム:0.5%以下、
硅素:2.0%以下、マンガン:2.0%以下、炭素:0.1〜
0.6%、窒素:0.1〜0.3%を包含し、残りが鉄からなる
合金を製造することが好ましい。
【0049】<実施例>以下の表3は、発明鋼1と従来
のゴルフクラブ用材質との降伏強度、引張強度及び硬度
を比較した結果を示す表である。
【0050】
【表3】
【0051】このように、本発明に係るゴルフクラブ用
合金鋼は、従来のゴルフクラブ材質の304ステンレス
鋼、316ステンレス鋼、431マルテンサイト系ステンレス
鋼、17-4析出強化型ステンレス鋼及びチタニウム合金よ
りも優れた降伏強度、引張強度及び硬度を有し、マルエ
ージング鋼と同様の機械的性質を有する。
【0052】従って、本発明に係る合金鋼をゴルフクラ
ブヘッドに適用すると、強度及び硬度が高いため、クラ
ブ表面でのボールの残留時間が短縮され、ボールに一層
大きいエネルギーが伝達されて、良好な反発力によりボ
ールが速やかに速度を上げて飛んで行くため、ゴルフボ
ールの飛距離が一層増大される。
【0053】また、表面硬度が高く、耐摩耗性が優れて
いるため、ゴルフ競技中、芝生、土及び砂などにより表
面が損傷される現象を抑制し、常に清潔なクラブ表面を
維持し、良好な外観を保つことができる。
【0054】表4は、本発明に係る合金鋼及び比較材の
振動減衰能を比較したテーブルである。
【0055】
【表4】
【0056】前記表4に示すように、本発明に係る合金
鋼の場合は、その一部に薄板状のマルテンサイトを含ん
でいるため、従来の鋼種よりも振動減衰能に優れてい
る。
【0057】従って、スイングの後に、クラブに伝達さ
れる振動が減少し、ゴルファーに爽快で柔らかい感じの
打球感を与えることができる。
【0058】なお、通常、ゴルフクラブ用材質の外観
は、腐食抵抗性及び耐摩耗性と密接な関係がある。即
ち、炭素系の材質は、腐食抵抗性が低いので、クラブを
製造した後、錆防止用のクロムメッキを施すが、このよ
うなクロムメッキは、数十マイクロメータの厚さに被覆
されるため、スクラッチ又は傷が生じると、腐食が生じ
ることもあり、使用回数を重ねるほど外観が劣化する。
【0059】そこで、別途の表面処理を施すことなく、
腐食抵抗性を有する材質が必要となる。
【0060】一般に、431マルテンサイト系ステンレス
鋼又は17-4析出硬化型ステンレス鋼は、304ステンレス
鋼又は316ステンレス鋼よりも耐食性に劣るが、それら
の材質をゴルフクラブの材質として使用しても、錆発生
の可能性はないことと知られている。
【0061】従って、本発明に係る合金鋼は、304ステ
ンレス鋼よりも耐食性に優れ、316ステンレス鋼と略等
しい耐食性を有するため、ゴルフクラブヘッドの材質と
して使用する場合、腐食発生の可能性が全くない。
【0062】また、クラブヘッドを鋳造して製造する場
合は、補修溶接が必要である。即ち、強い荷重を受け、
高い硬度及び強度が要求されるドライバーヘッドとして
使用する場合は、2〜3個の板材を製作し、それらを溶
接を施して接合するため、材質の溶接特性が非常に重要
である。
【0063】通常、マルテンサイト系のステンレス鋼を
溶接するときには、亀裂の発生を抑制するため、200〜4
00℃の温度範囲内で予熱を行うが、前記亀裂は、溶接部
の拡散性水素又は凝固時に発生するマルテンサイトの変
態により発生する。そして、通常、マルテンサイト系ス
テンレス鋼は、材料強度温度が高いため、冷却途中にマ
ルテンサイト変態を起こし易い。
【0064】しかし、本発明に係る合金鋼においては、
材料強度温度が約80℃であり、他のマルテンサイト系ス
テンレス鋼に比べ約100〜150℃ほど低いため、常温付近
でマルテンサイトの変態を起こし、相対的に亀裂の発生
が抑制される。
【0065】従って、本発明に係る合金鋼を用いると、
別途の予熱を行うことなく、容易に溶接を行うことがで
きる。
【0066】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係るゴルフクラブヘッド用マルテンサイト系ステンレ
ス鋼によると、従来のゴルフクラブ用材質としての炭素
鋼、18-8型のオーステナイトステンレス鋼、431マルテ
ンサイト系ステンレス鋼及び17-4析出硬化型ステンレス
鋼よりも優れている。そして、マルエージング鋼と同等
な機械的性質を有し、耐食性も優れている。そのため、
ゴルフクラブに適用する場合、強度及び硬度特性を一層
向上し得るという効果がある。
【0067】従って、スイング時の反発力が増大され
て、ゴルフボールの飛距離が増大し、高い振動減衰能に
より柔らかい打球感を与えることができる。しかも、耐
摩耗性及び腐食抵抗性に優れ、錆発生が抑制されるた
め、外観が清潔に維持され、製造に係る費用も一層低減
し得るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るゴルフクラブヘッド用マルテン
サイト系ステンレス鋼1、2、3、比較鋼及び従来鋼の
両極分極試験結果を示すグラフである。
【図2】 本発明に係るゴルフクラブヘッド用マルテン
サイト系ステンレス鋼4、5、6、比較鋼及び従来鋼の
両極分極試験結果を示すグラフである。
【図3】 本発明に係るゴルフクラブヘッド用マルテン
サイト系ステンレス鋼を1050℃の温度下で3時間の間オ
ーステナイト化熱処理を施した後、焼戻しを施したとき
の硬度変化を示すグラフである。
【図4】 本発明に係るゴルフクラブヘッド用マルテン
サイト系ステンレス鋼を1050℃の温度下で3時間の間オ
ーステナイト化熱処理を施した後、焼戻しを施したとき
の引張強度及び延伸率の変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朴 煕詳 大韓民国京畿道高陽市一山區白石洞白松マ ウル 三夫アパートメント101−803 (72)発明者 全 兪鐸 大韓民国全羅南道順天市照禮洞 大林アパ ートメント205−803

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、クロム:12〜16%、ニッケ
    ル:1.0〜3.0%、モリブデン:1.5〜5.0%、バナジウ
    ム:0.5%以下、硅素:2.0%以下、マンガン:2.0%以
    下、炭素:0.1〜0.6%、窒素:0.1〜0.3%を包含し、残
    りが鉄及び不可避不純物とからなることを特徴とするゴ
    ルフクラブヘッド用マルテンサイト系ステンレス鋼。
JP2000246937A 1999-08-16 2000-08-16 ゴルフクラブヘッド用マルテンサイト系ステンレス鋼 Expired - Fee Related JP3328646B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR1999-33664 1999-08-16
KR1019990033664A KR100329841B1 (ko) 1999-08-16 1999-08-16 골프 클럽 헤드용 마르텐사이트 스테인리스강

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001089832A true JP2001089832A (ja) 2001-04-03
JP3328646B2 JP3328646B2 (ja) 2002-09-30

Family

ID=19607324

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000246937A Expired - Fee Related JP3328646B2 (ja) 1999-08-16 2000-08-16 ゴルフクラブヘッド用マルテンサイト系ステンレス鋼

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP3328646B2 (ja)
KR (1) KR100329841B1 (ja)
CN (1) CN1108396C (ja)
TW (1) TW527426B (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002038227A1 (fr) * 2000-11-07 2002-05-16 Mizuno Corporation Club de golf
JP2008279248A (ja) * 2007-05-14 2008-11-20 ▲蒋▼銘端 高強度チタン合金のゴルフクラブヘッド部材の製造方法及びゴルフクラブヘッド部材
CN102888570A (zh) * 2012-10-08 2013-01-23 颜重乐 一种用于高尔夫球头的不锈钢合金
JP2013163021A (ja) * 2012-02-09 2013-08-22 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブヘッドを製造する方法
JP2014161691A (ja) * 2013-02-28 2014-09-08 Fusheng Precision Co Ltd ゴルフクラブの合金
CN106267755A (zh) * 2016-08-18 2017-01-04 朱赵伟 高强度高尔夫球杆头
JP2021046605A (ja) * 2019-09-16 2021-03-25 明安國際企業股▲分▼有限公司 ゴルフクラブヘッド製造用合金

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SE526805C8 (sv) * 2004-03-26 2006-09-12 Sandvik Intellectual Property Stållegering
CN100363524C (zh) * 2005-03-17 2008-01-23 上海材料研究所 一种耐腐蚀磨损的马氏体不锈钢及其制造方法及用途
CN103173693A (zh) * 2011-12-22 2013-06-26 北京正安广泰新材料科技有限公司 一种新型超高强度不锈钢
CN106676410A (zh) * 2017-03-02 2017-05-17 嘉兴博朗金属科技有限公司 一种多层复合不锈钢材料及其制造方法
CN106947922A (zh) * 2017-03-13 2017-07-14 浙江工贸职业技术学院 一种马氏体钢及其结构硬化处理方法
CN110760734A (zh) * 2019-12-04 2020-02-07 海安县鹰球粉末冶金有限公司 一种高密度、高耐磨、高耐腐蚀性不锈钢材料及其生产方法
CN111304550A (zh) * 2020-03-12 2020-06-19 艾诺克(成都)机械制造有限公司 一种高尔夫球具球捍头材料及其制备方法和应用
CN111424221B (zh) * 2020-03-27 2021-06-29 浙江吉森金属科技有限公司 一种层压用不锈钢板及其制造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR970009523B1 (ko) * 1994-12-29 1997-06-14 박용수 고강도 고내식성 마르텐사이트계 스테인레스강
CN1165871A (zh) * 1996-05-22 1997-11-26 哈尔滨工业大学 马氏体时效钢高尔夫球头

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002038227A1 (fr) * 2000-11-07 2002-05-16 Mizuno Corporation Club de golf
JP2008279248A (ja) * 2007-05-14 2008-11-20 ▲蒋▼銘端 高強度チタン合金のゴルフクラブヘッド部材の製造方法及びゴルフクラブヘッド部材
JP2013163021A (ja) * 2012-02-09 2013-08-22 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブヘッドを製造する方法
CN102888570A (zh) * 2012-10-08 2013-01-23 颜重乐 一种用于高尔夫球头的不锈钢合金
JP2014161691A (ja) * 2013-02-28 2014-09-08 Fusheng Precision Co Ltd ゴルフクラブの合金
CN106267755A (zh) * 2016-08-18 2017-01-04 朱赵伟 高强度高尔夫球杆头
JP2021046605A (ja) * 2019-09-16 2021-03-25 明安國際企業股▲分▼有限公司 ゴルフクラブヘッド製造用合金

Also Published As

Publication number Publication date
JP3328646B2 (ja) 2002-09-30
KR100329841B1 (ko) 2002-03-25
CN1293262A (zh) 2001-05-02
CN1108396C (zh) 2003-05-14
TW527426B (en) 2003-04-11
KR20010017914A (ko) 2001-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3328646B2 (ja) ゴルフクラブヘッド用マルテンサイト系ステンレス鋼
JP5335502B2 (ja) 耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼
US20080226490A1 (en) Low-density alloy and fabrication method thereof
TWI321592B (en) High strength and high toughness alloy with low density
JP6027302B2 (ja) 高強度焼戻し省略ばね用鋼
JP2002256397A (ja) 耐食性に優れた高硬度マルテンサイト系ステンレス鋼
JP5196934B2 (ja) 高疲労寿命焼入れ・焼戻し鋼管およびその製造方法
JP5464214B2 (ja) 超高強度ステンレス合金ストリップ、同ストリップの製造方法及びゴルフクラブヘッドを製造するために同ストリップを利用する方法
CN107923022A (zh) 新型马氏体不锈钢
JP2013159857A (ja) ゴルフクラブヘッド用Fe−Cr−Ni系合金
JP3094856B2 (ja) 高強度高靭性肌焼き用鋼
US20110061772A1 (en) Low-density high-toughness alloy and the fabrication method thereof
US20070084528A1 (en) Low-density high-toughness alloy and the fabrication method thereof
JP5046398B2 (ja) 高窒素マルテンサイト系ステンレス鋼
JP3896061B2 (ja) 熱間成形加工後の硬化能に優れた鋼板およびその使用方法
JPH07188863A (ja) 耐食高強度オーステナイト系ステンレス鋼
JP2665009B2 (ja) 高強度マルテンサイトステンレス鋼及びその製造方法
JP2000282182A (ja) 冷間加工性に優れた高疲労寿命・高耐食マルテンサイト系ステンレス鋼
JP6459704B2 (ja) 冷間鍛造部品用鋼
JP7131225B2 (ja) 析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼
JP2006255016A (ja) ゴルフクラブヘッドのステンレス合金
JP4005200B2 (ja) ゴルフクラブの製造方法
JP2000063947A (ja) 高強度ステンレス鋼の製造方法
JP5887896B2 (ja) 析出硬化型ステンレス鋼及びその製造方法
WO2017126239A1 (ja) 高強度鍛鋼及び大型鍛造部品

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees